JP5148431B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、視野角特性の改善された液晶表示装置に関する。
従来、液晶表示装置(LCD)の表示モードとして、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)等の種々の表示モードが提案されている。LCDは、一般的に応答時間が数十ミリ秒であり、動画像を表示する際にボケが生じる場合がある。動画像を自然に表示するためには、120Hz程度での駆動又は黒挿入駆動を行うことが必要であり、そのため液晶の粘性を下げたり、Δεを大きくするなど、液晶組成物の応答特性を改善する試みがなされている。液晶組成物についての検討のみならず、セルギャップを薄くする、オーバードライブを行う等、応答速度を向上させる様々な試みがなされている。しかしながら、これらの検討に基づく応答速度の向上には現在では限界があり、例えば、光の利用効率が低下する、また低温で液晶の応答が追従しなくなる等の問題が発生することがわかっている。
近年、この応答特性を改良するLCDの方式として、屈曲形構造を有する化合物を含み、スメクチック相を呈する液晶を用いた方式が提案されている(特許文献1及び非特許文献1参照)。このモードは、正面方向(表示面に対して法線方向)の光漏れが小さく高いコントラストが得られること、及び分子の回転による抵抗が小さいため、電圧印加による応答速度が極めて速いという特徴を有している。
WO2007/083784号公報 Japanese Journal of Applied Physics,vol.45,No.10,2006,pp.L282−L284
しかし、本発明者が検討したところ、このモードに使用される液晶は、電圧印加時に面内方向で生じるΔnが小さいため、光利用効率を維持するためには、セルの厚さを厚くする必要があり、このため黒表示時の斜め方向の光漏れが、他の表示モードと比較して大きいという問題があることがわかった。
本発明の課題は、屈曲型の分子形状の液晶性化合物を含むスメクチック相を呈する液晶を利用した表示モードの液晶表示装置の視野角特性を改善することである。より具体的には、本発明の課題は、高速応答性を示し、しかも視野角特性が良好な液晶表示装置を提供することである。
本発明の課題を解決する手段は以下の通りである。
[1] 一対の偏光層、
前記一対の偏光層の間に、2枚の基板と、該2枚の基板に配置される、屈曲型構造の化合物を含有するスメクチック相を呈する液晶組成物からなる液晶層であって、スメクチック相の各層が基板に対して平行である液晶層とを有する液晶セル、
前記一対の偏光層のいずれか一方と前記液晶セルとの間に配置される、波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)の絶対値が10nm以下で且つ波長550nmにける厚さ方向レターデーションRth(550)が500nm以上である第1の位相差層、及び
前記一対の偏光層のいずれか一方と前記液晶セルとの間に配置されるRe(550)が90nm以上である第2の位相差層を、
少なくとも有することを特徴とする液晶表示装置。
[2] 前記一対の偏光層が、その透過軸を互いに直交して配置され、且つ前記第2の位相差層が、その面内遅相軸を、前記一対の偏光層のそれぞれの透過軸に平行又は直交にして配置されていることを特徴とする[1]の液晶表示装置。
[3] 前記液晶セルが、該液晶層の層面に対して平行に印加された電圧によって駆動され、前記液晶層の黒表示時の波長550nmにおける厚さ向のレターデーションRth(550)が1000nm以上であることを特徴とする[1]又は[2]の液晶表示装置。
[4] 前記第2の位相差層のRe(550)が、90nm〜150nmで且つRth(550)が45nm〜75nmであり;及び前記第1の位相差層のRth(550)が、前記液晶層のRth(550)より150nm以上小さいことを特徴とする[1]〜[3]のいずれかの液晶表示装置。
[5] 前記第2の位相差層のRe(550)が180nm〜320nmであり且つRth(550)が−50nm〜50nmであり;及び前記第1の位相差層のRth(550)が、前記液晶層のRth(550)より100nm以上小さいことを特徴とする[1]〜[3]のいずれかの液晶表示装置。
本発明によれば、屈曲型の分子形状の液晶性化合物を含むスメクチック相を呈する液晶を利用した表示モードの液晶表示装置の視野角特性を改善することができる。より具体的には、本発明によれば、高速応答性を示し、しかも視野角特性が良好な液晶表示装置を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
まず、本明細書で用いられる用語について、説明する。
(レターデーション、Re及びRth)
本明細書において、Re(λ)及びRth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーション(nm)及び厚さ方向のレターデーション(nm)を表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(X)及び式(XI)よりRthを算出することもできる。
Figure 0005148431
注記:
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。また、式中、nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dは膜厚を表す。
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
本明細書において、位相差膜等の「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。また、「可視光領域」とは、380nm〜780nmのことをいう。さらに屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。
また、本明細書において、位相差膜及び液晶層等の各部材の光学特性を示す数値、数値範囲、及び定性的な表現(例えば、「平行」あるいは「直交」等の表現)については、液晶表示装置やそれに用いられる部材について一般的に許容される誤差を含む数値、数値範囲及び性質を示していると解釈されるものとする。一般的には、角度についての許容誤差は、厳密な角度±5゜未満であり、厳密な角度±4゜未満が好ましく、厳密な角度±3゜未満がより好ましい。また、角度について、「+」は時計周り方向を意味し、「−」は反時計周り方向を意味するものとする。
また、本明細書において「偏光板」とは、特に断らない限り、長尺の偏光板及び液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された(本明細書において、「裁断」には「打ち抜き」及び「切り出し」等も含むものとする)偏光板の両者を含む意味で用いられる。また、本明細書では、「偏光膜」及び「偏光板」を区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する透明保護膜を有する積層体を意味するものとする。
本発明は、屈曲型構造の化合物を含みスメクチック相を呈する液晶を利用した液晶セルを有する液晶表示装置に関する。本発明の液晶表示装置は、以下に説明する所定の表示モードを利用しているので、高速応答が可能であるという利点がある一方で、黒表示時に斜め方向に生じる光漏れが大きいという欠点がある。この欠点は、以下のことに起因する。当該表示モードでは、後述するように、液晶層のΔnが小さいため、光利用効率が表示特性に必要な範囲となるようにするためには、液晶層の厚みdを厚くする必要がある。液晶層の厚みdが増加すると、黒表示時に斜め方向に生じる光漏れの一因である、黒表示時の液晶層の厚み方向のレターデーションRthが増加し、光漏れがより顕著になる。本発明では、この黒表示時に生じる光漏れを、所定の光学特性を示す第1及び第2の位相差層を配置することで軽減している。よって、本発明によれば、当該表示モードを利用することで高速応答性を達成できるとともに、黒表示時に斜め方向に生じる光漏れを軽減でき、高速応答性で且つ視野角特性も良好な液晶表示装置を提供できる。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の液晶表示装置の一実施形態の模式図である。
図1の液晶表示装置は、一対の偏光板PL1及びPL2、その間に配置される液晶セルLC、偏光板PL1と液晶セルLCとの間に配置される第1の位相差層3、ならびに偏光板PL2と液晶セルLCとの間に配置される第2の位相差層7を有する。偏光板PL1は、偏光膜2及びその表面に配置される保護膜1a及び1bからなり、ならびに偏光板PL2は、偏光膜9及びその表面に配置される保護膜8a及び8bからなる。偏光板PL1及びPL2は、偏光膜2の透過軸a及び偏光膜9の透過軸dを直交にして配置される。
液晶セルLCは、ガラス板やポリマーフィルム等からなる一対の基板4及び6と、その間に、液晶層5とを有する。液晶層5は、屈曲型構造の化合物を含有するスメクチック相を呈する液晶組成物からなる。液晶層5は、スメクチック相を呈するとき、当該スメクチック相の各層が、基板4及び6の表面に対して平行になっている。より具体的には、液晶層5がスメクチック相を呈するとき、屈曲型構造の化合物の分子は、その長軸を、基板4及び6の表面に対して垂直にして配向し、層状の構造が形成されるが、各層の層面は、基板4及び6の表面に平行になっている。当該分子の分極方向は短軸方向であり、液晶層5に電圧が印加されていない状態では、各分子の短軸方向、即ち分極方向、はランダムな方向になり、液晶層5全体としては層面内に分極の異方性はない。従って、液晶セルLCは、電圧無印加時は、暗表示状態(「黒表示状態」という場合がある)になる。一方、液晶層5に電圧が印加され、基板4及び6の表面に平行な電場が形成されると、屈曲型構造の分子は分極方向を電場にそろえて配向し、液晶層5の層面内に分極の異方性が生じ、液晶セルLCは、明表示状態になる。この様に、液晶セルLCは、暗表示及び明表示の切り替えが、液晶層中の分子の層面内の配向変化によって生じるので、高速応答性に優れている。
液晶セルLCの構造、及びその作製に用いられる液晶材料等については、WO2007/083784号公報に詳細な記載があり、参照することができる。
液晶層5の基板4及び/又は基板6の内面には、電極層が形成されていて、電圧を印加することにより、液晶層5の層面に対して平行な電場を形成することが可能になっている。電極は、基板4及び6のそれぞれに形成しても、一方の基板4(又は6)にのみ形成してもよい。また、電極が絶縁層を介した2層構造となっている構成であってもよい。2層構造の電極のうち、最下層の電極はパターニングされていない電極でも、線状などの電極でもよい。上層の電極は線状が好ましいが、下層電極からの電界が通過できる形状であれば,網目状,スパイラル状,点状などいずれでもよく,電位が中立なフローティング電極をさらに追加してもよい。また絶縁層は、SiOや窒化膜などの無機材料でも、アクリルやエポキシ系等の有機材料のいずれでもよい。図2に、基板4の内面の拡大図を示す。図2では、基板4の内面には、屈曲した電極層10が形成されていて、電圧を印加することにより、層面に平行な電場を形成する。なお、基板に形成される電極層の形状は、図2の形状に限定されるものではなく、例えば、WO2007/083784号公報の図2に示す形状であってもよい。
図1中、液晶層5に付された矢印bは、電圧印加によって形成される電場の方向であり、電場の方向bは、偏光膜2及び9の透過軸a及びdのそれぞれと、45°程度の角度で交わる方向であるのが好ましい。この様に配置すると、液晶への電圧印加により発生する位相差の面内遅相軸方向が直交する二枚の偏光膜と対角位の関係になり、明表示時の光の利用効率を最大限に高めることができるので、好ましい。
液晶層5の屈折率は基板法線方向をz方向、電圧印加方向をx方向とすると、黒表示時では、nz>nx=ny、明表示ではnz>nx'>ny'になる。明表示時の液晶層5の位相差はnx'−ny'と液晶層5の厚みdとの積で与えられ、200〜300nm程度とするのが好ましい。液晶層5の電圧印加によって発生する面内方向の複屈折nx'−ny'は、屈曲型構造の分子の短軸方向の双極子モーメントが電場に沿って配向することによって得られるので、例えば、分子の長軸方向の双極子モーメントの配向を利用する液晶層と比較して小さく、0.001〜0.03程度である。このため上記範囲の位相差とするためには、層の厚みの好ましい範囲は、10〜300μm程度になる。
一般的に、表示面の法線方向から傾斜した斜め方向から液晶表示装置を観察すると、一対の偏光子の透過軸が直交配置からずれるため、光漏れが生じることが知られている。液晶層5の厚みdの好ましい範囲は、他の表示モードに利用される液晶層の厚みの好ましい範囲と比較して、上記した通り、より厚い範囲である。ところで、黒表示時には、液晶層5中の屈曲型構造の化合物の分子は、その長軸を基板面に対して垂直にして配向しているので、液晶層5は、層の厚みdに比例するRthを示す。この黒表示時の液晶層5のRthは、斜め方向に生じる光漏れの一因であるので、当該Rthが増加することにより、斜め方向の光漏れがより顕著になる。液晶層5の厚みを前記好ましい範囲にすると、黒表示時の液晶層5のRthは1000nm以上になる。これを考慮して、偏光膜2及び9それぞれの透過軸が、斜め方向から観察すると見かけ上直交配置からずれることに起因する黒表示時の光漏れを軽減する必要がある。本実施の形態では、所定の光学特性の第1の位相差層3及び第2の位相差層7を配置することで、黒表示時に斜め方向に生じる光漏れを軽減している。
図1中下側にバックライトが配置され、光が図面下側から、偏光膜2→第1の位相差層3→液晶層5→第2の位相差層7→偏光膜9の順に通過するものとして、第1の位相差層3及び第2の位相差層7の作用を説明する。
偏光膜2から入射した光は、第1の位相差層3を通過すると、その厚み方向のレターデーションRthにより、偏光状態が変化する。次に、光は黒表示時の液晶層5を通過することにより、液晶層5のRthによって偏光状態が変化するが、第1の位相差層3のRthと黒表示時の液晶層5のRthは、互いの作用を打ち消すように作用する。第2の位相差層7は、黒表示時の液晶層5を通過した光の偏光状態を、主にその面内レターデーションReによって変化させ、出射側偏光膜9による消光点の状態にする作用がある。
上記作用を達成するためには、第1の位相差層3は、Re(550)の絶対値が10nm以下で且つ波長550nmにおける厚さ方向レターデーションRth(550)が500nm以上であり;及び第2の位相差層7は、Re(550)が90nm以上であり、且つその面内遅相軸cを、偏光膜9の透過軸dと平行且つ偏光膜2の透過軸aと直交にして配置される。
好ましい一態様は、第2の位相差層7のRe(550)が、90nm〜150nmで且つRth(550)が45nm〜75nmであり;及び第1の位相差層3のRth(550)が、液晶層5のRth(550)より150nm以上小さい態様である。
また、第2の位相差層のRthが小さいほうが、色味の視野角依存性の軽減効果が期待でき、この観点では、本発明の好ましい他の態様は、第2の位相差層7のRe(550)が180nm〜320nmであり且つRth(550)が−50nm〜50nmであり;及び第1の位相差層3のRth(550)が、液晶層5のRth(550)より100nm以上小さい態様である。
黒表示時に斜め方向に生じる光漏れの程度に波長依存性があると、カラーシフトとして認識される。これを軽減するためには、赤(R)光、緑(G)光及び青(B)光のいずれについても光学補償を正確に行う必要がある。斜め方向に生じるカラーシフトの軽減が期待できる一例は、第2の位相差層として、Reが可視光域において逆波長分散性、即ち短波長ほどReが減少する特性、を示す位相差層を利用する態様である。但し、第2の位相差層の光学特性、第1の位相差層及び液晶層のRthの範囲等によっては、第2の位相差層のReが可視光域において波長によらず一定である態様、及び第2の位相差層のReが可視光域において順波長分散性を示す態様のいずれでも、カラーシフトをある程度軽減できる。
液晶セル側に配置されている偏光板PL1及びPL2の保護膜1a及び8aは、いずれも面内レターデーションRe及び厚み方向のレターデーションRthのいずれも小さいほど、光学設計が容易となるので好ましい。また、第1の位相差層3及び第2の位相差層7が上記光学特性を示すとともに、それぞれ偏光膜を保護する保護膜としても機能し得るポリマーフィルム等からなる態様では、保護膜1a及び8aに代えて、第1の位相差層3及び第2の位相差層7を、偏光膜2及び9それぞれの保護膜として利用してもよい。
以上の説明では、図面下側にバックライトが配置され、光が下から入射するものとして説明したが、バックライトの配置を図面上側にしても、本実施の形態と同様の効果が得られる。
以下、本発明の液晶表示装置に利用される位相差層等の種々の部材について、光学特性、及び作製方法について詳細に説明する。
第1の位相差層:
本発明の液晶表示装置には、Re(550)が10nm以下で且つ波長550nmにける厚さ方向レターデーションRth(550)が500nm以上である第1の位相差層を利用する。上記した通り、第1の位相差層は、そのRthによって、黒表示時の液晶層のRthを打ち消す作用がある。従って、第1の位相差層のRth(550)の好ましい範囲は、液晶層の黒表示時のRthに応じて設定される。これをより詳細に検討した結果、驚くべきことに、第1の位相差層Rthの好ましい範囲は、液晶層のRthよりも100nm以上小さく、その差ΔRthの好ましい範囲は、液晶層のRthが大きいほど大きくなることが分かった。具体的には、液晶層の黒表示時のRth(550)が1000nmの場合、第1の位相差層Rthの好ましい範囲は液晶層のRthよりも100nm〜250nm(より好ましくは150〜200nm)小さく、液晶層の黒表示時のRth(550)が2000nmの場合、第1の位相差層Rthの好ましい範囲は液晶層のRthよりも250nm〜450nm(より好ましくは300〜400nm)小さい。本発明で利用する表示モードでは、液晶層の黒表示時のRthが1000nm以上になることを考慮すると、第1の位相差層のRth(550)は500〜5000nm程度であるのが好ましい。一方、第1の位相差層のRe(550)は小さく、その絶対値は10nm以下である。Re(550)は0nmであってもよく、即ち、負のCプレートと呼ばれる位相差板を利用してもよい。
第1の位相差層のより近くに位置する偏光板の内側保護膜(図1中では、保護膜1a)が厚み方向レターデーションRth’を有する態様は、そのRth’に応じて、第1の位相差層と類似の光学作用を及ぼす。このため、このような態様では、第1の位相差層のRth(550)の範囲は、上述の好ましい範囲から、内側保護膜のRth’を減じた値とするのが好ましい。
第1の位相差層の材料については特に制限はない。ポリマーフィルムであると、偏光膜と貼り合わせることができる。また、単独の部材として、例えば、光学補償フィルムとして液晶表示装置に組み込むことができる。前記ポリマーフィルムの材料としては、光学性能、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるポリマーが好ましいが、上述の条件を満たす範囲であればどのような材料を用いてもよい。例えば、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー等が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーを混合したポリマーも例として挙げられる。
また、前記ポリマーフィルムを形成する材料としては、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を好ましく用いることができる。熱可塑性ノルボルネン系樹脂としては、日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製のアートン等が挙げられる。
また、前記ポリマーフィルムを形成する材料としては、従来偏光板の透明保護フィルムとして用いられてきたセルロース系ポリマー(以下、セルロースアシレートという)を特に好ましく用いることができる。セルロースアシレートの代表例としては、トリアセチルセルロースが挙げられる。セルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、前記セルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
セルロースアシレートの置換度は、セルロースの構成単位((β)1,4−グリコシド結合しているグルコース)に存在している、3つの水酸基がアシル化されている割合を意味する。置換度(アシル化度)は、セルロースの構成単位質量当りの結合脂肪酸量を測定して算出することができる。測定方法は、「ASTM D817−91」に準じて実施する。
本発明において、第1及び第2の光学異方性層の形成に用いるセルロースアシレートは、アセチル置換度が2.50〜3.00であるセルロースアセテートが好ましい。前記アセチル置換度は2.70〜2.97がさらに好ましい。
前記セルロースアシレートは、350〜800の質量平均重合度を有することが好ましく、370〜600の質量平均重合度を有することがさらに好ましい。また本発明で用いられるセルロースアシレートは、70000〜230000の数平均分子量を有することが好ましく、75000〜230000の数平均分子量を有することがさらに好ましく、78000〜120000の数平均分子量を有することがよりさらに好ましい。
前記セルロースアシレートは、アシル化剤として酸無水物や酸塩化物を用いて合成できる。工業的に最も一般的な合成方法では、綿花リンタや木材パルプなどから得たセルロースをアセチル基及び他のアシル基に対応する有機酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)又はそれらの酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)を含む混合有機酸成分でエステル化してセルロースエステルを合成する。
前記セルロースアシレートフィルムは、ソルベントキャスト法により製造されるのが好ましい。ソルベントキャスト法を利用したセルロースアシレートフィルムの製造例については、米国特許第2,336,310号、同2,367,603号、同2,492,078号、同2,492,977号、同2,492,978号、同2,607,704号、同2,739,069号及び同2,739,070号の各明細書、英国特許第640731号及び同736892号の各明細書、並びに特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号及び同62−115035号等の記載を参考にすることができる。また、前記セルロースアシレートフィルムは、延伸処理を施されていてもよい。延伸処理の方法及び条件については、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号 等に記載の例を参考にすることができる。
第1の位相差層に要求される光学特性を満足するために、前記ポリマーフィルム中に、Rth発現剤を添加してもよい。ここで、「Rth発現剤」とはフィルムの厚み方向に複屈折を発現する性質を有する化合物である。Rth発現剤は、250〜400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましく、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。Rth発現剤は、延伸により発現するReに影響しないことが好ましく、円盤状の化合物を用いることが好ましい。円盤状の化合物としては、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含み、特に、芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が好ましく、特に1,3,5−トリアジン環が好ましく用いられる。具体的には、例えば特開2001−166144号公報に開示の化合物が好ましく用いられる。芳香族化合物は、ポリマー100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用する。芳香族化合物は、ポリマー100質量部に対して、0.05〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上の化合物を併用してもよい。
また、Rth発現剤とともに、又はそれに代えて、紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤は、Rth発現剤としても機能し得る。前記紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報に記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。前記第2の光学異方性層として用いるセルロースアシレートフィルムには、紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、且つ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
前記第1の光学異方性層は、液晶組成物から形成された層であってもよいし、かかる層とポリマーフィルムとの積層体であってもよい。前記液晶組成物は少なくとも1種の液晶性化合物を含有する。該液晶性化合物は、分子構造が円盤状であるディスコティック液晶から選択されるのが好ましい。該ディスコティック液晶の好ましい化合物例には、特開2001−27706号公報に記載の化合物が含まれる。
前記液晶組成物は、硬化性の組成物であるのが好ましく、重合反応により硬化して層となるために、重合性成分を含有しているのが好ましい。液晶性化合物そのものが重合性であっても、別途重合性モノマーを添加してもよいが、液晶性化合物そのものが重合性であるのが好ましい。また、前記硬化性液晶組成物は、所望により、重合開始剤、配向制御剤、界面活性剤等の種々の添加剤を含有していてもよい。
前記第1の位相差層は、硬化性液晶組成物を塗布液として調製し、ポリマーフィルム等からなる支持体の表面又は配向膜の表面に塗布し、液晶性化合物の分子、好ましくは円盤状分子、を所望の配向状態にした後、光照射及び/又は加熱により、重合を開始させて、かかる配向状態に分子を固定して形成することができる。前記第1の位相差層に要求される光学特性を満足するためには、円盤状分子をホメオトロピック配向状態、即ち、その円盤面の光軸と層面とのなす角が直交する配向状態、に固定して、第1の位相差層を形成するのが好ましい。
前記第1の位相差層を硬化性液晶組成物から形成する場合は、ポリマーフィルム等の支持体上に形成するのが一般的である。支持体であるポリマーフィルムの複屈折性を積極的に利用して、積層体として第1の位相差層に要求される光学特性を満足する態様であっても、また支持体にはレターデーションがほぼ0のフィルム(例えば、特開2005−138375に記載のセルロースアシレートフィルム等)を用いて、前記硬化性液晶組成物からなる層のみで、第1の位相差層に要求される光学特性を満足する態様であってもよい。
第2の位相差層:
本発明の液晶表示装置は、Re(550)が90nm以上である第2の位相差層を有する。第2の位相差層は、光学的に一軸性であっても二軸性であってもよい。いわゆるAプレートといわれる位相差板を利用することもできる。本発明の効果は、第2の位相差層のRe(550)が90〜150nmであり、且つRth(550)が45〜75nmの範囲で得られる。
第2の位相差層としてAプレートを利用する態様では、その面内遅相軸は、一対の偏光膜のうち第2の位相差層のより近い位置に配置される偏光膜の透過軸に対して、平行とするのが好ましい。延伸ポリマーフィルムの中にはAプレートとして機能するものがある。延伸ポリマーフィルムは、延伸方向に面内遅相軸を有するものが多い。例えば、第2の位相差層として、Aプレートとして機能する延伸ポリマーフィルムを使用し、ポリビニルアルコール等の偏光膜とロール・トゥ・ロールで貼り合せると、第2の位相差層と偏光膜との積層体であって、前者の面内遅相軸と後者の透過軸とが平行になっている積層体を容易に作製できる。
第2の位相差層の材料については特に制限はない。ポリマーフィルムであると、偏光子と貼り合わせることができる。また、単独の部材として、例えば、光学補償フィルムとして液晶表示装置に組み込むことができる。前記ポリマーフィルムの材料としては、第1の位相差層として利用可能なポリマーフィルムの材料と同様である。また、第2の位相差層に要求される光学特性を満足するポリマーフィルムを作製するため、ポリマーフィルム中には、Re発現剤を添加してもよい。ここで、Re発現剤」とはフィルム面内の複屈折を発現する性質を有する化合物である。使用可能なRe発現剤の例には、特開2006−265309号公報、特開2007−238758号公報等に記載の化合物が含まれる。
また、種々の態様に応じて、Reの波長分散性が調整されたポリマーフィルムを作製するために、ポリマーフィルム中に、波長分散調整剤を添加してもよい。第2の位相差層として利用可能な一例は、Reについて逆波長分散性を示すポリマーフィルムであり、より具体的には、Re(450)<Re(550)を満足するフィルムである。この特性を満足するポリマーフィルムの作製に使用可能な波長分散調整剤の例には、特開2007−249180号公報、特開2007−321108号公報、特開2008−107767号公報等に記載の化合物が含まれる。
上記した通り、第2の位相差層として利用されるポリマーフィルムは、延伸処理を施された延伸フィルムであってもよい。延伸方向は幅方向及び長手方向のいずれでもよい。
また、第2の位相差層の好ましい一例として、Re(550)が、180nm〜320nm(より好ましくは240〜300nm)であり、且つRth(550)が−50nm〜50nm(より好ましくは−20nm〜20nm)であるもの(以下、「第2の位相差層B」という場合がある)が挙げられる。この特性を満足する第2の位相差層を有する態様では、色味の視野角依存性がより軽減される効果が期待できる。この特性を満足する第2の位相差層を有する態様では、その面内遅相軸は、一対の偏光膜のうち第2の位相差層により近い位置に配置される偏光膜の透過軸と平行であっても直交であっても、同様の効果が得られる。また、この特性を満足する第2の位相差層を有する態様では、液晶層の黒表示時のRthが、第1の位相差層のRthよりも大きいほうが、光漏れの軽減効果が高く、具体的には、液晶層の黒表示時のRthのほうが、100nm〜300nm程度大きいことが好ましい。
第2の位相差層Bは、押出し成形方式や流延製膜方式等の適宜な方式で製造したフィルムを、例えばロールによる縦延伸方式、テンターによる横延伸方式や二軸延伸方式などにより、延伸処理することにより、前記光学特性に調整して、製造することができる。また、面方向に一軸又は二軸に延伸し、厚さ方向にも延伸する方法等により厚さ方向の屈折率を制御することによって製造することができる。また高分子ポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して、加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理して配向させる方法等により作製することもできる(例 特開平5−157911号公報、特開平11−125716号公報、特開2001−13324号公報)。前記のロールによる縦延伸方式では、加熱ロールを用いる方法や雰囲気を加熱する方法、それらを併用する方法等の適宜な加熱方法を採ることができる。またテンターによる二軸延伸方式では、全テンター方式による同時二軸延伸方法や、ロール・テンター法による逐次二軸延伸方法などの適宜な方法を採ることができる。
また、前記第2の光学異方性層は、液晶組成物から形成された層であってもよいし、かかる層とポリマーフィルムとの積層体であってもよい。前記液晶組成物は少なくとも1種の液晶性化合物を含有する。該液晶性化合物は、分子構造が棒状であるネマチック液晶から選択されるのが好ましい。前記液晶組成物は、硬化性の組成物であるのが好ましく、重合反応により硬化して層となるために、重合性成分を含有しているのが好ましい。液晶性化合物そのものが重合性であっても、別途重合性モノマーを添加してもよいが、液晶性化合物そのものが重合性であるのが好ましい。また、前記硬化性液晶組成物は、所望により、重合開始剤、配向制御剤、界面活性剤等の種々の添加剤を含有していてもよい。
前記第2の位相差層は、硬化性液晶組成物を塗布液として調製し、ポリマーフィルム等からなる支持体の表面又は配向膜の表面に塗布し、液晶性化合物の分子、好ましくは棒状分子、を所望の配向状態にした後、光照射及び/又は加熱により、重合を開始させて、かかる配向状態に分子を固定して形成することができる。前記第2の位相差層に要求される光学特性を満足するためには、棒状分子をホモジニアス配向状態、即ち、その長軸が層面に対して平行である配向状態、に固定して、第2の位相差層を形成するのが好ましい。
前記第2の位相差層を硬化性液晶組成物から形成する場合は、ポリマーフィルム等の支持体上に形成するのが一般的である。支持体であるポリマーフィルムの複屈折性を積極的に利用して、積層体として第2の位相差層に要求される光学特性を満足する態様であっても、また支持体にはレターデーションがほぼ0のフィルム(例えば、特開2005−138375に記載のセルロースアシレートフィルム等)を用いて、前記硬化性液晶組成物からなる層のみで、第2の位相差層に要求される光学特性を満足する態様であってもよい。
1.実施例
図1に示した構成の液晶表示装置について光学シミュレーションを実施し、効果の確認を行った。光学計算には、シンテック社製のLCD Master Ver6.08を用いた。液晶セルや電極、基板、偏光板等は、液晶ディスプレイ用に従来から用いられているものがそのまま使用できる。液晶材料は屈折率異方性Δnの波長依存性が450nmで0.2773、550nmで0.2350、650nmで0.2115としたものを用いた。液晶セルの配向はプレチルト角90度で垂直配向とし、液晶セルギャップを5μm及び10μmのそれぞれの場合について計算した。それぞれの場合、液晶層の厚さ方向のレターデーションRth(即ち、記液晶層の厚さd(ミクロン)と黒表示時の液晶層の屈折率異方性Δn=(nx+ny)/2−nzとの積)は、それぞれ1175nm、2350nmとなる。偏光膜にはLCD Masterに付属のG1220DUを用いた。第2の位相差層のRthは、Reの半分に設定した。
また偏光板の保護膜1a及び8aのRth及びReは0nmとした。光源にはLCD Masterに付属のBacklight光源を用いた。
<液晶表示装置の漏れ光>
計算は、第2の位相差層Reと、第1の位相差層のRthをそれぞれ独立に変化させながら、方位角45度方向での最大光透過率(%)を求めた。その結果を、表1及び表2に示す。表1が液晶セルのギャップを5μmとして行ったシミュレーションの結果、及び表2が液晶セルのギャップを10μmとして行ったシミュレーションの結果である。
Figure 0005148431
Figure 0005148431
上記シミュレーションの条件を、以下の表に示す組合せ(第2の位相差層が第2の位相差層Bの光学特性を示す条件であり、Rth(550)=0nm)に代えて、同様にシミュレーションを行い、光漏れを求めた。
Figure 0005148431
表1及び表2に示す結果から、斜め方向の光漏れの軽減効果があるのは、以下の2つの組合せであることが理解できる。
第2の位相差層のRe(550)が、90nm〜150nm;及び第1の位相差層のRth(550)が、液晶層のRth(550)より150nm〜450nm小さい組合せ;及び
第2の位相差層のRe(550)が180nm〜320nmであり;及び第1の位相差層のRth(550)が、液晶層のRth(550)より100nm〜300nm小さい組合せ。
なお、表1及び2に示す結果は、第2の位相差層のRthについては、Reの半分に設定した結果である。従って、前者の例では、第1の位相差層のRth(550)が、45nm〜75nmの範囲で効果があったことが理解できる。
2.比較例
第1の位相差層及び第2の位相差層を配置していない以外は同様の条件で光学シミュレーションを実施し、同様に方位角45度方向での最大光透過率(%)を求めたところ、液晶セルギャップ5μmの結果は透過率18.40%、及び10μmの結果は23.79%であり、光漏れが顕著であった。
本発明の液晶表示装置の一例の模式図である。 本発明に利用可能な電極層の一例である。
符号の説明
1a、1b、8a、8b 偏光板保護膜
2、9 偏光膜
3 第1の位相差層
4、6 基板
5 液晶層
7 第2の位相差層
LC 液晶セル
PL1、PL2 偏光板
a、d 透過軸
b 電場の方向
c 面内遅相軸

Claims (5)

  1. 一対の偏光層、
    前記一対の偏光層の間に、2枚の基板と、該2枚の基板に配置される、屈曲型構造の化合物を含有するスメクチック相を呈する液晶組成物からなる液晶層であって、スメクチック相の各層が基板に対して平行である液晶層とを有する液晶セル、
    前記一対の偏光層のいずれか一方と前記液晶セルとの間に配置される、波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)の絶対値が10nm以下で且つ波長550nmにける厚さ方向レターデーションRth(550)が500nm以上である第1の位相差層、及び
    前記一対の偏光層のいずれか一方と前記液晶セルとの間に配置されるRe(550)が90nm以上である第2の位相差層を、
    少なくとも有することを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記一対の偏光層が、その透過軸を互いに直交して配置され、且つ前記第2の位相差層が、その面内遅相軸を、前記一対の偏光層のそれぞれの透過軸に平行又は直交にして配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記液晶セルが、該液晶層の層面に対して平行に印加された電圧によって駆動され、前記液晶層の黒表示時の波長550nmにおける厚さ方向のレターデーションRth(550)が1000nm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
  4. 前記第2の位相差層のRe(550)が、90nm〜150nmで且つRth(550)が45nm〜75nmであり;及び前記第1の位相差層のRth(550)が、前記液晶層のRth(550)より150nm以上小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  5. 前記第2の位相差層のRe(550)が180nm〜320nmであり且つRth(550)が−50nm〜50nmであり;及び前記第1の位相差層のRth(550)が、前記液晶層のRth(550)より100nm以上小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
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