JP5252615B2 - 液晶パネル、及び液晶表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶パネル、及び液晶表示装置に関する。
従来、例えば、VAモードの液晶表示装置として、透過型液晶表示装置及び反射型液晶表示装置に加え、半透過型液晶表示装置が知られている(特許文献1及び2)。
液晶表示装置の液晶セルは、2枚の液晶セル基板と、該2枚の液晶セル基板間に介在されたスぺーサーと、該2枚の液晶セル基板の間隙に注入された液晶材料と、を備えており、スぺーサーによって、液晶材料の注入された液晶層の厚み(セルギャップ)が一定に保たれている。
かかる液晶材料の注入された液晶層は、それ自体複屈折性を有し、位相差を生じる。この位相差に起因する視野角特性改善などのため、液晶セルには、液晶層の位相差を打ち消す光学補償板が設けられている。
従来、VAモードの液晶表示装置の光学補償板として、nx>ny=nzの関係を満たすポジティブAプレートと、nx=ny>nzの関係を満たすネガティブCプレートと、を積層することが開示されている(非特許文献1)。
また、VAモードの液晶表示装置の光学補償板として、nx>ny=nzの関係を満たし、短波長側になるほど位相差が実質的に小さくなる位相差フィルムAと、nx≧ny>nzの関係を満たし、短波長側になるほど位相差が実質的に大きくなる位相差フィルムCと、を積層することが開示されている(特許文献3)。
しかしながら、上記従来の液晶パネルは、視野角改善(高コントラスト化)を目的とするものであり、斜め方向から見た場合のカラーシフト(色変化)の問題については、十分に改善されていない。
特開平11−242226号公報 特開2001−209065号公報 特許第3648240号公報 SID 97 DIGEST P845〜P848
そこで、本発明は、全方位方向及び極角方向から見た場合でも、カラーシフトが生じにくい液晶パネル、及び液晶表示装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、カラーシフトが生じる原因について、鋭意研究したところ、液晶セルの位相差の波長分散と光学補償層の位相差の波長分散の関係に着目した。すなわち、本発明者は、短波長側になるに従って位相差が実質的に小さくなる波長分散(逆波長分散特性とも呼ばれる。以下、この性質を「逆波長分散特性」という場合がある)を示す液晶セルに、逆波長分散特性を示す光学補償層と、各波長で位相差が実質的に略一定となる波長分散(フラットな波長分散とも呼ばれる。以下、この性質を「フラット分散特性」という場合がある)を示す光学補償層と、を用いることにより、カラーシフトを防止できることを見出した。
本発明は、液晶セルと、液晶セルの一面側に設けられた第1の偏光子と、液晶セルの他面側に設けられた第2の偏光子と、第1の偏光子及び第2の偏光子の間に設けられた第1の光学補償層及び第2の光学補償層と、を備え、液晶セルが、VAモードであり、無電圧状態で0.8<Re[450]/Re[550]<1の関係を満たし、第1の光学補償層が、nx>ny≧nzであり、Nz係数0.8〜1.4であり、0.8<Re[450]/Re[550]<1の関係を満たし、第2の光学補償層が、nx=ny>nzで且つ0.98<Re[450]/Re[550]<1.04の関係を満たす液晶パネルを提供する。
ただし、Nz係数=(nx−nz)/(nx−ny)で求められ、Re[λ]=(nx−ny)・dで求められる。nxは、面内に於けるX軸方向(面内に於いて屈折率が最大となる軸方向)の屈折率を、nyは、同面内に於けるY軸方向(面内に於いてX軸方向に直交する方向)の屈折率を、nzは、前記X軸方向及びY軸方向に直交する方向の屈折率を示す。dは、厚み(nm)を示し、λは、波長を示す。
本発明の好ましい態様では、上記第1の光学補償層が、第1の偏光子及び液晶セルの間に設けられ、第2の光学補償層が、第2の偏光子と液晶セルの間に設けられている上記液晶パネルを提供する。
本発明の好ましい態様は、上記第1の偏光子が液晶セルの視認側に設けられている上記液晶パネルを提供する。
本発明の好ましい態様では、上記第2の光学補償層が、ノルボルネン系ポリマーを含む上記液晶パネルを提供する。
本発明の好ましい態様では、上記第1の光学補償層が、セルロース系ポリマーまたは変性ビニルアルコール系ポリマーを含む上記液晶パネルを提供する。
このセルロース系ポリマーとしては、例えば、ポリマーのアセチル置換度(DSac)及びプロピオニル置換度(DSpr)が、2.0≦(DSac+DSpr)≦3.0で、且つ1.0≦DSpr≦3.0であるものを用いることが好ましい。
また、変性ビニルアルコール系ポリマーとしては、繰り返し単位として下記一般式(I)又は一般式(II)で表される構造のうち少なくとも何れかを有する鎖状ポリマーを含むものが好ましい。
Figure 0005252615
ただし、一般式(I)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分枝状のアルコキシル基、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分枝状のチオアルコキシル基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、水酸基又はチオール基を示す(但し、R及びRは同時に水素原子ではない)。R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を示す。
Figure 0005252615
ただし、一般式(II)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。Aは、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいアントラニル基、又は置換基を有していてもよいフェナントレニル基を示す。ナフチル基、アントラニル基、又はフェナントレニル基を構成する炭素原子のうち1以上の炭素原子は窒素原子で置換されていてもよい。
また、本発明は、上記いずれかの液晶パネルを備える液晶表示装置を提供する。
本発明の液晶パネルは、全方位角及び極角方向から見た場合でも、カラーシフトが起こりにくく、カラー表示特性に優れている。かかる液晶パネルを備える液晶表示装置は、斜め方向から見た場合のカラー表示が、正面方向から見た場合とほぼ同様に見え、カラー表示特性に優れている。
<液晶パネルの構成例>
図1は、本発明の液晶パネルを含む液晶表示装置100の一例を示している。
1は、液晶パネルを示し、10は、液晶パネル1に設けられたライトユニットを示し、20は、液晶パネル1の周囲に設けられたベゼルを示す。
ライトユニット10は、液晶パネル1の反対側に設けられている、いわゆるバックライトユニットである。
一般に、液晶表示装置は、液晶パネルに設けられる光源の配置に従い、透過型、反射型、及び半透過型に大別できる。
透過型の液晶パネルは、液晶パネルの反対側に光源(バックライト)が配置されたものである。透過型の液晶パネルは、このバックライトの光を透過させて画像表示を行う形式である。反射型の液晶パネルは、液晶セルの視認面側に光源(フロントライト)、または画面横側に光源(サイドライト)が配置されたものである。反射型の液晶パネルは、フロントライト等の光を反射板にて反射させて画像表示を行う形式である。また、反射型の液晶パネルの中には、基板上に反射電極を設け、液晶セルの視認面側の光源(外部の蛍光灯や太陽光)からの光を反射させて画像表示を行う形式のものもある。半透過型の液晶パネルは、上記透過型と反射型の両方を併せ持つものである。半透過型の液晶パネルは、暗い場所ではバックライトの光源を利用して画像表示を行い、明るい場所では太陽光を反射して画像表示を行う形式のものである。
図1では、バックライト10が設けられた透過型の液晶表示装置100を図示したが、本発明は、透過型に限られず、(特に図示しないが)上記反射型または半透過型の液晶表示装置でもよい。
次に、図2に、本発明の液晶パネル1の構成例を示す。
図2(a)に於いて、1は、液晶パネルを示す。2は、液晶セルを示す。3は、液晶セル2の視認面側に設けられた第1の偏光板を示す。この第1の偏光板3は、第1の偏光子31(視認側に設けられた偏光子)と、その両面に積層された保護フィルム32とを備える。4は、液晶セル2の反対面側に設けられた第2の偏光板を示す。この第2の偏光板4は、第2の偏光子41(反視認側に設けられた偏光子)と、その両面に積層された保護フィルム42とを備える。5は、第1の偏光板3及び液晶セル2の層間に設けられた第1の光学補償層を示す。6は、第2の偏光板4及び液晶セル2の層間に設けられた第2の光学補償層を示す。
ただし、本発明に於いて、偏光板(偏光子)や光学補償層等の部材を区別するために、これらに「第1」及び「第2」という用語を記すが、この「第1」及び「第2」という用語は、部材の優劣や順序などを意味するものではない。
なお、本発明の液晶パネル1は、図2(a)に示す構成に限定されず、様々に変更できる。例えば、図2(a)に示した第1の偏光子31を含む第1の偏光板3が、液晶セル2の反視認面側に設けられ、該第1の偏光板3及び液晶セル2の層間に、第1の光学補償層5が設けられていてもよい。この場合、第2の偏光板4と第2の光学補償層6とは、液晶セル2の視認面側に設けられる。
また、図2(b)に示すように、第1の光学補償層5と第2の光学補償層6が、視認面側に配された第1の偏光板3及び液晶セル2の層間に設けられていてもよい。さらに、特に図示しないが、第1の光学補償層5と第2の光学補償層6が、反視認面側に配された第2の偏光板4及び液晶セル2の層間に設けられていてもよい。
第1の光学補償層5と第2の光学補償層6は、第1の偏光板3及び第2の偏光板4の層間に設けられていれば、本発明の効果を奏し得る。
以下、液晶パネル1の各構成部材について順次説明する。
ただし、下記の用語は、次のように定義される。
(1)nx、ny、nz:
nxは、面内に於けるX軸方向(面内に於いて屈折率が最大となる軸方向)の屈折率を、nyは、同面内に於けるY軸方向(面内に於いてX軸方向に直交する方向)の屈折率を、nzは、前記X軸方向及びY軸方向に直交する方向の屈折率である。
(2)Nz係数:
Nz係数=(nx−nz)/(nx−ny)で求められる。ただし、nx、ny、nzは、23℃で波長550nmの光で測定したものであり、nx、ny、nzは、上記(1)の通りである。
(3)Re[λ]:
Re[λ]は、23℃で波長λnmに於ける面内の位相差を示し、Re[λ]=(nx−ny)・dで求められる。ただし、nx及びnyは、上記(1)の通りであり、dは、厚み(nm)を示す。
(4)Rth[λ]:
Rth[λ]は、23℃で波長λnmに於ける厚み方向の位相差を示し、Rth[λ]=(nx−nz)・dで求められる。ただし、nx、ny、nzは、上記(1)の通りであり、dは、厚み(nm)を示す。
<液晶セルについて>
液晶セルは、その視認面形状は特に限定されないが、通常、その視認面(視認面とは画像表示面である)が正面視長方形状に形成される。長方形状に形成した場合の液晶セルの横縦長さ比は、特に限定されないが、一般的には、横長さ:縦長さ=4:3、或いは横長さ:縦長さ=16:9などである。
液晶セルの視認面(つまり、液晶パネルの視認面)の大きさについても特に限定されず、本発明は、比較的小さい視認面のものから比較的大きい視認面のものまで適用できる。
液晶セルの構造は、従来公知のものを用いることができる。例えば、液晶セルは、一対の液晶セル基板と、該液晶セル基板の間に介在されたスペーサーと、一対の液晶セル基板の間に形成され、且つ液晶材料が注入された液晶層と、視認側の液晶セル基板の内面に設けられたカラーフィルターと、他方の液晶セル基板の内面に設けられた駆動用のTFT基板などの電極素子と、を有する。カラーフィルターは、例えば、ブラックマトリクスの間に赤、緑、青の3原色の色素領域を液晶セル基板に点状に設けたものが例示できる。本発明の液晶セルのカラー表示機構については、従来公知のものを採用し得る。
液晶セル基板は、透明性に優れるものであれば特に限定されない。液晶セル基板は、例えば、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどの透明ガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート、エポキシ樹脂などの光学用樹脂板等のような可撓性を有する透明フレキシブル材などを用いることができる。
液晶層に注入される液晶材料は特に限定されず、液晶モードに応じて適宜なものを選択し得る。液晶モードとしては、例えば、VA(Vertical Alignment)モード、IPS(In-Plane Switching)モード、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード 、OCB(Optically Aligned Birefringence)モード 、HAN(Hybrid Aligned Nematic)モード およびASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードなどが挙げられる。中でもVAモードの液晶セルは、非常に高いコントラストを実現できるので好ましい。
VAモードの液晶セルは、通常、液晶材料の長軸が液晶セル基板に対して略垂直状に配向されたものである。具体的には、VAモードの液晶セルは、電圧制御複屈折効果を利用し、電界が存在しない状態で、ホメオトロピック配列に配向させた液晶分子を、基板に対して法線方向の電界で応答させる。VAモードの液晶セルに於いて、ノーマリブラック方式の場合、電界が存在しない状態では、液晶分子が基板に対して法線方向に配向しているために、上下の偏光板を直交配置させると、黒表示が得られる。一方、電界が存在する状態では、液晶分子が偏光板の吸収軸に対して、45度方位に倒れるように動作することによって、透過率が大きくなり、白表示が得られる。なお、VAモードには、MVA(Multi-Domain Vertical Alignment)も含まれる。VAモードの液晶セルに於いて、「液晶材料の長軸が液晶セル基板に対して略垂直状に配向」とは、表示画素部に於ける液晶材料の長軸と液晶セル基板の面との成す角度の平均値が、略垂直であることを意味する。この略垂直とは、前記成す角が80度以上であり、好ましくは85度以上であり、より好ましくは87度以上である。
VAモードの液晶セルは、屈折率楕円体がnx=ny<nzの関係を満たす。ただし、「nx=ny」とは、nxとnyが完全に同一である場合だけでなく、実質的に同一である場合も含まれる。
本発明の液晶セルは、可視光域に於いて短波長側になるに従って位相差が実質的に小さくなる波長分散を示す(逆波長分散特性)ものが用いられる。このような液晶セルの波長分散は、0.8<Re[450]/Re[550]<1の関係を満足するものである。好ましくは、液晶セルは、0.81<Re[450]/Re[550]<0.99の関係を満たし、さらに好ましくは、0.82<Re[450]/Re[550]<0.98の関係を満たすものが用いられる。
上記液晶セルのRe[550]は、好ましくは0nm〜10nmであり、より好ましくは0nm〜5nmである。また、液晶セルの|Rth[550]|は、好ましくは150nm〜500nmであり、より好ましくは250nm〜450nmであり、特に好ましくは、280nm〜420nmである。
<偏光板(偏光子)について>
第1の偏光板は、特定の直線偏光を通過させる機能を有する第1の偏光子を含み、好ましくは、第1の偏光子の一面に保護フィルムが積層されているものであり、さらに好ましくは図2に示すように、第1の偏光子の両面に保護フィルムが積層されているものである。
第2の偏光板は、特定の直線偏光を通過させる機能を有する第2の偏光子を含み、好ましくは、第2の偏光子の一面に保護フィルムが積層されているものであり、さらに好ましくは図2に示すように、第2の偏光子の両面に保護フィルムが積層されているものである。
何れの偏光子についても、その材質は特に限定されないが、好ましくはヨウ素を吸着させた延伸フィルムが偏光子として用いられる。
第1の偏光板及び第2の偏光板は、第1の偏光子及び第2の偏光子の吸収軸方向が直交するように、液晶セルに配置されている。例えば、第1の偏光子は、その吸収軸方向が液晶セルの長辺方向に平行に配置され、一方、第2の偏光子は、その吸収軸方向が液晶セルの短辺方向に平行に配置されている。
上記偏光子の材質は特に限定されないが、好ましくは二色性物質を吸着させたフィルムが用いられる。該二色性フィルムとしては、たとえば、親水性高分子フィルム(ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等)に、二色性物質(ヨウ素や二色性染料等)を吸着させて一軸延伸したフィルム;ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム;などがあげられる。これらの中でも、偏光子は、親水性高分子フィルム(好ましくはポリビニルアルコール系フィルム)にヨウ素などの二色性物質を吸着させた延伸フィルムが好適である。これらの偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に5〜80μm程度である。
偏光子に設けられる保護フィルムは、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるフィルムが好ましい。保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー;ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー;ポリカーボネート系ポリマー;などのフィルムがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフイン、エチレン・プロピレン共重合体などのポリオレフイン系ポリマー;塩化ビニル系ポリマー;ナイロン、芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー;イミド系ポリマー;スルホン系ポリマー;ポリエーテルスルホン系ポリマー;ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー;ポリフェニレンスルフィド系ポリマー;ビニルアルコール系ポリマー;塩化ビニリデン系ポリマー;ビニルブチラール系ポリマー;アリレート系ポリマー;ポリオキシメチレン系ポリマー;エポキシ系ポリマー;これら前記ポリマーのブレンド物;などのポリマーフィルムがあげられる。保護フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。保護フィルムとしては、偏光特性や耐久性などの点から、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーが好ましい。
保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄膜性などの点から、1〜500μm程度であり、特に5〜200μmが好ましい。
また、保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。また、可視光に於けるフィルムの厚み方向の位相差値(Rth)が、−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。該厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
特に、保護フィルムは、トリアセチルセルロースを用いることが好ましい。尚、偏光子の両側に保護フィルムを設ける場合、両保護フィルムは、同じ材質のポリマーフィルムを用いることが好ましいが、異なるポリマーフィルムを用いてもよい。
偏光子と保護フィルムは、通常、水系粘着剤等を介して接着される。水系粘着剤としては、イソシアネート系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ゼラチン系粘着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。
前記保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層、反射防止処理、スティッキング防止処理、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理などを施してもよい。
<第1の光学補償層について>
第1の光学補償層は、所定の位相差を示す複屈折層で構成され、位相差板とも呼ばれる。
第1の光学補償層は、可視光域に於いて短波長側になるに従って位相差が実質的に小さくなる波長分散(逆波長分散特性)を示すものが用いられる。かかる第1の光学補償層を用いることにより、液晶パネルのカラーシフトの発生を防止することができる。
第1の光学補償層は、逆波長分散特性を示す中でも、0.8<Re[450]/Re[550]<1の関係を満足するものが用いられる。好ましくは、第1の光学補償層は、0.81<Re[450]/Re[550]<0.99の関係を満たし、さらに好ましくは、0.82<Re[450]/Re[550]<0.98の関係を満たすものが用いられる。
第1の光学補償層のRe[550]は、好ましくは100nm〜180nmであり、より好ましくは110nm〜160nmであり、特に好ましくは130nm〜150nmである。
第1の光学補償層のRth[550]は、好ましくは100nm〜200nmであり、より好ましくは110nm〜190nmであり、特に好ましくは130nm〜180nmである。
第1の光学補償層のRth[650](波長650nmに於ける厚み方向位相差値)は、第2の光学補償層のRth[650]よりも小さいことが好ましい。第1の光学補償層のRth[650](Rth[650]と記す)と第2の光学補償層のRth[650](Rth[650]と記す)の差(Rth[650]−Rth[650])は、好ましくは10nm〜200nmであり、より好ましくは20nm〜190nmである。
第1の光学補償層は、屈折率楕円体がnx>ny≧nz(nx>ny>nz又はnx>ny=nz)の関係を満たすものを用いることが好ましく、特に、nx>ny=nzの関係を満たすものが好ましい。なお、この「ny=nz」とは、nyとnzが完全に同一である場合だけでなく、実質的に同一である場合も含まれる。ただし、nx>ny=nzの関係を満足する第1の光学補償層のRth[λ]は、Re[λ]と略等しくなる。
第1の光学補償層のNz係数は、0.8〜1.4の範囲であり、好ましくは0.85〜1.15であり、更に好ましくは0.95〜1.05である。かかる第1の光学補償層を用いることにより、カラーシフトの発生を防止することができる。
なお、第1の光学補償層のNz係数が1.15や1.05の場合には、nx>ny=nzの関係を満たすポジティブAプレートに分類できる。
第1の光学補償層の厚みは、その位相差などを考慮して適宜設定されるが、通常、30〜150μm程度、好ましくは35〜130μm、より好ましくは40〜110μmである。
また、第1の光学補償層は、単層でもよいし、必要に応じて2層以上で構成することもできる。
第1の光学補償層は、上記偏光子の接着で例示したような公知の粘着剤を用いて接着される。
上記第1の光学補償層は、上記光学特性を示すものであれば、その材質は特に限定されず、様々な好適な材料を選択できる。第1の光学補償層の形成材料の選択の基準としては、例えば、光学補償層を形成した際の複屈折率が、相対的に高い値になるものを選択することが好ましい。
第1の光学補償層を形成する材料としては、例えば、非液晶性材料、液晶性材料などが挙げられ、特に非液晶性ポリマーであることが好ましい。このような非液晶性材料は、例えば、液晶性材料とは異なり、それ自身の性質によりnx>nyという光学的一軸性を示す膜を形成し、延伸処理などによってnx>ny>nzの光学的二軸性を示し得る。このため、例えば、第1の光学補償層を作製する際に使用する基材として、配向基材に限定されることがなく、未配向基材を使用するこも可能である。
上記非液晶性ポリマーの具体例としては、変性されたセルロース系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマーなどが挙げられる。該ポリマーを含むフィルムは、それ自体逆波長分散特性を示すので好ましい。
上記セルロース系ポリマーとしては、例えば、特開2002−82225号公報の段落[0106]〜[0112]などに記載されたような低級脂肪酸エステルを主成分としたセルロース系ポリマーなどが例示できる。
また、アセチル基およびプロピオニル基で置換されているセルロース系ポリマーを用いることもできる。該セルロース系ポリマーにおいて、アセチル基の置換程度は、セルロースの繰り返し単位中に存在する3個の水酸基が、アセチル基で平均してどれだけ置換されているかを示す「アセチル置換度(DSac)」で示され得る。上記セルロース系ポリマーにおいて、プロピオニル基による置換の程度は、セルロースの繰り返し単位中に存在する3個の水酸基が、プロピオニル基で平均してどれだけ置換されているかを示す「プロピオニル置換度(DSpr)」で示され得る。アセチル置換度(DSac)およびプロピオニル置換度(DSpr)は、特開2003−315538号公報の[0016]〜[0019]に記載の方法(A. Blumstein, J. Asrar, R. B. Blumstein Liq. Cryst.Ordered Fluids 4. 311(1984)に記載の1H−NMRによるセルロースアセテートの置換度の測定方法を応用した測定法)により求めることができる。
本発明において用い得るセルロース系ポリマーは、アセチル置換度(DSac)およびプロピオニル置換度(DSpr)が、2.0≦(DSac+DSpr)≦3.0なる関係式を満たす。DSac+DSprの下限値は、好ましくは2.3以上、より好ましくは2.6以上である。DSac+DSprの上限値は、好ましくは2.9以下、より好ましくは2.8以下である。上記セルロース系フィルムのDSac+DSprをこの範囲とすることにより、当該セルロース系ポリマーを用いた場合に所望の光学特性を有する第1の光学補償層を効率良く得ることができる。
上記セルロース系ポリマーは、プロピオニル置換度(DSpr)が、1.0≦DSpr≦3.0なる関係式を満たす。DSprの下限値は、好ましくは2以上、より好ましくは2.5以上である。DSprの上限値は、好ましくは2.9以下、より好ましくは2.8以下である。
上記セルロース系ポリマーは、アセチル基およびプロピオニル基以外のその他の置換基を有し得る。その他の置換基としては、例えば、プチレート等のエステル基;アルキルエーテル基、アラアルキレンエーテル基等のエーテル基;等が挙げられる。
上記セルロース系ポリマーの数平均分子量は、好ましくは5千〜10万、より好ましくは1万〜7万である。上記範囲とすることにより、生産性に優れ、かつ、良好な機械的強度が得られる。
アセチル基およびプロピオニル基への置換方法としては、任意の適切な方法が採用される。例えば、セルロースを強苛性ソーダ溶液で処理してアルカリセルロースとし、これを所定量の無水酢酸とプロピオン酸無水物との混合物によりアシル化する。アシル基を部分的に加水分解することにより、置換度(DSac+DSpr)を調整する。
上記セルロース系ポリマーと、必要に応じて、その他任意の適切な高分子材料、及び可塑剤、熱安定剤、紫外線安定剤等の添加剤とを含む樹脂組成物を、製膜することによりフィルム状に形成できる。
このような高分子材料としては、例えば、セルロースブチレート等のセルロースエステル;メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロースエーテル;等が挙げられる。
上記セルロース系ポリマーを用いる場合、そのフィルムの厚みは、好ましくは50〜150μm、より好ましくは60〜140μm、さらに好ましくは70〜130μmである。
また、変性されたビニルアルコール系ポリマーとしては、繰り返し単位として下記一般式(I)又は一般式(II)で表される構造のうち少なくとも何れかを有する鎖状ポリマーが挙げられる。
Figure 0005252615
一般式(I)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分枝状のアルコキシル基、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分枝状のチオアルコキシル基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、水酸基又はチオール基を示す(但し、R及びRは同時に水素原子ではない)。R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を示す。
Figure 0005252615

一般式(II)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。Aは、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいアントラニル基、又は置換基を有していてもよいフェナントレニル基を示す。ナフチル基、アントラニル基、又はフェナントレニル基を構成する炭素原子のうち1以上の炭素原子は窒素原子で置換されていてもよい。
上記繰り返し単位を有するポリマー(変性ビニルアルコール系ポリマー)を含むフィルムは、逆波長分散特性を示し、厚み方向に延伸処理などにより光学的二軸性を示し得る。
上記変性ビニルアルコール系ポリマーは、一般式(I)及び(II)のRが水素原子のものが好ましい。また、一般式(II)のR及びRの何れも(水素原子でなく)、上記置換基で置換されているものも好ましい。中でも、一般式(I)のR、R及びRのそれぞれが水素原子で、R及びRのそれぞれがメチル基などのアルキル基又はアルコキシ基である繰り返し単位を有するポリマーが好ましい。
変性ビニルアルコール系ポリマーは、上記一般式(I)または(II)で表される繰り返し単位以外に、水酸基を有する繰り返し単位、炭素数1〜12のアルキル基(アルキル基は、直鎖状、分鎖状または環状)を有する繰り返し単位、などの他の繰り返し単位を有するものが好ましい。
上記変性ビニルアルコール系ポリマーは、例えば、ポリビニルアルコールに、特定の芳香族アルデヒド又は芳香族ケトンを反応させ、アセタール化(ケタール化を含む)することにより、得ることができる。なお、脂肪族アルデヒドなどを併用することにより、他の繰り返し単位を導入することができる。また、芳香族アルデヒド等の反応物質の添加量を調整することにより、ポリビニルアルコールの水酸基を残すことができる。これにより、水酸基を有する繰り返し単位を有するポリマーを形成できる。
ビニルアルコール系ポリマーの重合度は、例えば、100〜20000程度、好ましくは500〜10000程度の重合度のものである。
なお、上記繰り返し単位を有するビニルアルコール系ポリマーを用いた光学フィルムの具体例については、特開2006−65258号公報の段落[0060]〜[0084]に詳細に記載されているので、それを参照されたい(ただし、本明細書に於ける一般式(I)は、同公報記載の一般式(V)に対応し、同一般式(II)は、同公報記載の一般式(VI)に対応している)。
第1の光学補償層は、上記セルロース系ポリマー、変性ビニルアルコール系ポリマーなどを製膜し延伸処理を行うことにより、得ることができる。その製膜法は、例えば、圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、粉末成形法、FRP成形法、ソルベントキャスティング法等が挙げられる。好ましくは、上記成形加工法は、ソルベントキャスティング法または押出成形法である。上記ソルベントキャスティング法は、例えば、主成分となるポリマーや添加剤を含む組成物が溶剤に溶解された濃厚溶液(ドープ)を、脱泡した後、エンドレスステンレスベルトまたは回転ドラムの表面に流延し、溶剤を蒸発させてフィルムを成形する方法である。また、上記押出成形法は、例えば、主成分となるポリマーや添加剤を含む組成物を加熱溶融し、Tダイ等を用いて、キャスティングロールの表面に押出して、冷却させてフィルムを形成する方法である。上記の方法を採用することによって、厚み均一性に優れたフィルムを得ることができる。
上記フィルムを延伸する方法としては、目的に応じて、任意の適切な延伸方法が採用され得る。上記延伸方法としては、例えば、縦一軸延伸法、横一軸延伸法、縦横同時二軸延伸法、縦横逐次二軸延伸法等が挙げられる。上記フィルムを延伸する手段としては、ロール延伸機、テンター延伸機、および二軸延伸機等の任意の適切な延伸機が用いられ得る。好ましくは、上記延伸機は、温度制御手段を備える。加熱して延伸を行なう場合には、延伸機の内部温度は連続的に変化させてもよく段階的に変化させてもよい。延伸工程は、1回でもよいし、2回以上に分割してもよい。延伸方向は、フィルムの長手方向(MD方向)であってもよいし、幅方向(TD方向)であってもよい。また、特開2003−262721号公報の図1に記載の延伸法を用いて、斜め方向に延伸(斜め延伸)してもよい。
上記フィルムを延伸する温度(延伸温度)は、フィルムの種類に応じて、適宜設定される。好ましくは、延伸は、フィルムのガラス転移温度(Tg)±30℃の範囲で行なうことが好ましい。このような条件を選択することによって、位相差値が均一になり易く、かつ、得られるフィルムが結晶化(白濁)しにくくなる。具体的には、上記延伸温度は、好ましくは100℃〜180℃であり、さらに好ましくは120℃〜160℃である。なお、ガラス転移温度は、JIS K 7121(1987)に準じたDSC法によって求めることができる。
上記延伸温度を制御する手段としては、特に限定されず、例えば、熱風または冷風が循環する空気循環式恒温オーブン、マイクロ波または遠赤外線を利用したヒーター、温度調節用に加熱されたロール、ヒートパイプロール、金属ベルト等が挙げられる。
上記フィルムの延伸倍率は、目的に応じて、適宜設定される。該延伸倍率は、好ましくは1を超え3倍以下であり、さらに好ましくは1を超え2.5倍以下であり、特に好ましくは1.1倍〜2.0倍である。
変性ポリビニルアルコール系ポリマーを含むフィルムを用いる場合、延伸処理としては、自由端縦延伸や固定端横延伸が好ましい。該フィルムに於いて自由端縦延伸の場合の温度条件としては、好ましくは130℃〜170℃であり、より好ましくは140℃〜160℃である。同延伸倍率としては、好ましくは1.5倍〜1.9倍であり、より好ましくは1.6倍〜1.8倍である。また、該フィルムに於いて固定端横延伸の場合の温度条件としては、好ましくは120℃〜160℃であり、より好ましくは130℃〜150℃である。同延伸倍率としては、好ましくは1.6倍〜2.2倍であり、より好ましくは1.7倍〜2.0倍である。
また、延伸時の送り速度は、特に制限はないが、機械精度、安定性等から好ましくは0.5m/分〜30m/分である。上記の延伸条件であれば、目的とする光学特性が得られるのみならず、均一性に優れたフィルムを得ることができる。
例えば、上記アセチル基及びプロピオニル基で置換されたセルロース系フィルムに於いては、逐次二軸延伸法で行うことが好ましい。かかるセルロース系フィルムは、二軸延伸を行うことにより、nx>ny>nzの光学的二軸性を示すフィルムとなる。逐次二軸延伸法は、フィルムを長手方向(又は幅方向)に延伸した後、幅方向(又は長手方向)に延伸する。延伸温度は、該セルロース系フィルムのガラス転移温度±30℃の範囲で行うことが好ましい。
<第2の光学補償層について>
第2の光学補償層は、所定の位相差を示す複屈折層で構成され、位相差板とも呼ばれる。
第2の光学補償層は、可視光域に於いて各波長で位相差が実質的に略一定となる波長分散(フラット分散特性)を示すものが用いられる。上記第1の光学補償層と該第2の光学補償層を用いることにより、カラーシフトの発生を防止することができる。
ここで、フラット分散特性を示す第2の光学補償層は、0.98<Re[450]/Re[550]<1.04の関係を満足するものを言い、0.985<Re[450]/Re[550]<1.035の関係を満たし、さらに好ましくは、0.99<Re[450]/Re[550]<1.03の関係を満たすものである。
第2の光学補償層のRe[550]は、好ましくは0nm〜10nmであり、より好ましくは0nm〜5nmであり、特に好ましくは0nm〜3nmである。
第2の光学補償層のRth[550]は、好ましくは150nm〜250nmであり、より好ましくは170nm〜230nmであり、特に好ましくは180nm〜220nmである。
第2の光学補償層は、屈折率楕円体がnx=ny>nzの関係を満たすものを用いることが好ましい。なお、この「nx=ny」とは、nxとnyが完全に同一である場合だけでなく、実質的に同一である場合も含まれる。
第2の光学補償層の厚みは、その位相差などを考慮して適宜設定されるが、通常、2〜200μm程度、好ましくは3〜190μm、より好ましくは4〜180μmである。
また、第2の光学補償層は、単層でもよいし、必要に応じて2層以上で構成することもできる。第2の光学補償層は、上記偏光子の接着で例示したような公知の粘着剤を用いて接着される。
上記第2の光学補償層は、フラット分散特性を示すものであれば、その材質は特に限定されず、種々の好適な材料を選択できる。本発明では、フラット分散特性を示すフィルムとして、例えば、ノルボルネン系ポリマーを主成分とするフィルムを用いることができる。
上記第2の光学補償層は、例えば、未延伸のノルボルネン系ポリマーフィルムを延伸することによって得ることができる。未延伸のノルボルネン系ポリマーフィルムのガラス転移温度(Tg)は、例えば、100〜150℃であり、好ましくは110〜145℃であり、より好ましくは120〜140℃である。
このようなノルボルネン系ポリマーフィルムは、例えば、従来公知の方法に基づいて製造することができる。また、ノルボルネン系ポリマーフィルムは、市販品を使用することもできる。例えば、商品名:ARTON FILM(JSR(株)製)等が挙げられる。
<液晶表示装置について>
本発明の液晶パネルは、液晶表示装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は、一般に、液晶パネルと、照明システム等の構成部品と、を適宜に組み立てることなどにより形成される。本発明の液晶表示装置は、上記液晶パネルを用いる点を除いて特に限定は無く、従来に準じて作製できる。
本発明の液晶表示装置は、任意の用途に使用される。その用途は、例えば、パソコンモニター、ノートパソコン、コピー機などのOA機器、携帯電話、時計、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機などの携帯機器、ビデオカメラ、テレビ、電子レンジなどの家庭用電気機器、バックモニター、カーナビゲーションシステム用モニター、カーオーディオなどの車載用機器、商業店舗用インフオメーション用モニターなどの展示機器、監視用モニターなどの警備機器、介護用モニター、医療用モニターなどの介護・医療機器等である。
以下、本発明の実施例を示し、本発明を更に詳述する。ただし、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
<各種測定方法>
(a)屈折率の測定:
アッベ屈折率計[アタゴ(株)製 製品名「DR−M4」]を用いて、23℃における波長550nmの光で測定した屈折率より求めた。
(b)位相差値(Re、Rth)の測定方法:
平行ニコル回転法を原理とする位相差計[王子計測機器(株)製 製品名「KOBRA21−ADH」]を用いて23℃の室内で測定した。
(c)厚みの測定:
厚みが10μm未満の場合、薄膜用分光光度計[大塚電子(株)製 製品名「瞬間マルチ測光システム MCPD−2000」]を用いて測定した。厚みが10μm以上の場合、アンリツ製デジタルマイクロメーター「KC−351C型」を使用して測定した。
(d)XY色度の測定:
ELDIM社製[製品名「EZ Contrast 160D」]を用いてプロットした。
<使用した光学材料>
(a)偏光板:
日東電工(株)製、商品名:SIG1423をそのまま使用した。この偏光板は、厚み20μmの偏光子(ヨウ素染色ポリビニルアルコール延伸フィルム)の両面に厚み80μmの保護フィルム(トリアセチルセルロースフィルム)が積層されたものである。
(b)光学補償層(1):
(株)カネカ製、商品名:KAフィルムをそのまま使用した。このフィルムは、厚み100μmのセルロース系フィルム(アセチル置換度(DSac)=0.04、プロピオニル置換度(DSpr)=2.76)であり、その光学特性は、nx>ny=nz、Nz係数=1.0、Re[550]=140nm、Rth[550]=140nm、Re[450]/Re[550]=0.963である。
(c)光学補償層(2):
JSR(株)製、商品名:ARTONフィルム。このフィルムは、ノルボルネン系フィルムである。該ARTONフィルム(厚み100μm)を、長手方向に175℃で1.15倍乾式延伸した後、幅方向(長手方向に直交する方向)に175℃で1.335倍乾式延伸し、延伸処理後の幅方向長さに対して、長手方向長さが0.975倍となるように緩和した。この処理により、厚み75μmのフィルムを得、これを光学補償層(2)として使用した。その光学特性は、nx=ny>nz、Re[550]≒0nm、Rth[550]=90nm、Re[450]/Re[550]=1.005である。なお、Re[550]≒0とは、完全に零ではないが、零に極めて近い数値という意味である。
(d)光学補償層(3):
テイジン社製、商品名:URフィルムをそのまま使用した。このフィルムは、厚み20μmのポリカーボネート系フィルムであり、その光学特性は、nx>ny=nz、Nz係数=1.0、Re[550]=140nm、Rth[550]=140nm、Re[450]/Re[550]=1.059である。
(e)光学補償層(4):
(株)カネカ製、商品名:KAフィルムをそのまま使用した。このフィルムは、厚み100μmのセルロース系フィルムであり、その光学特性は、nx=ny>nz、Re[550]≒0nm、Rth[550]=110nm、Re[450]/Re[550]=0.963である。なお、Re[550]≒0とは、完全に零ではないが、零に極めて近い数値という意味である。
(f)液晶セル:
市販の液晶テレビ(ソニー(株)製、商品名:ブラビアV2000)を入手し、これを分解して液晶セルを取り出した。この液晶セルは、nx=ny<nzを示すVAモードであり、Re[550]≒0nm、Rth[550]=−320nm、Re[450]/Re[550]=0.967であった。なお、Re[550]≒0とは、完全に零ではないが、零に極めて近い数値という意味である。
[実施例1]
上記液晶セルの視認面側に、アクリル系粘着剤(厚み5μm)を介して、光学補償層(1)を貼り、その光学補償層(1)の一面(液晶セルと接着した面と反対側の未接着面)に、偏光板を同粘着剤を介して貼り合わせた。また、この液晶セルの反視認面側に、同粘着剤を介して、光学補償層(2)を2枚積層させて貼り合わせ、そのうちの下方の光学補償層(2)の未接着面に、偏光板を同粘着剤を介して貼り合わせた。
得られた液層パネルについて、XY色度の測定を行ったところ、図3及び図4に示すような結果となった。この結果から明らかな通り、実施例1の液晶パネルは、全方位及び全極角に於いて最も好ましい値である0.3付近を示し、カラーシフトが極めて小さいことが確認された。
なお、図3は、極角を60度に固定し、方位角を0度〜360度に変化させた際のX、Y値の結果を示す(比較例の図5及び図7も同様)。図4は、方位角30度、方位角45度、方位角60度にそれぞれ固定し、極角を0度〜90度に変化させた際のX、Y値のそれぞれの測定結果を示す(比較例の図6及び図8も同様)。
[比較例1]
光学補償層(1)に代えて、光学補償層(3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、液晶パネルを作成した。
得られた液晶パネルについて、XY色度の測定を行ったところ、図5及び図6に示す結果となった。この結果から、光学補償層として逆波長分散特性のフィルム(光学補償層(2)及び正波長分散特性のフィルム(光学補償層(3))を使用した場合には、カラーシフトが大きいことが確認された。
[比較例2]
2枚の光学補償層(2)に代えて、2枚の光学補償層(4)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、液晶パネルを作成した。
得られた液晶パネルについて、XY色度の測定を行ったところ、図7及び図8に示す結果となった。この結果から、光学補償層として波長分散特性のフィルム(光学補償層(1)及び(4))のみを使用した場合には、カラーシフトが大きいことが確認された。
本発明の液晶表示装置の一実施形態を示す概略縦断面図。 液晶パネルの層構成の一実施形態を示す縦断面図。 実施例1の液晶パネルについて、方位角色変化の測定結果を示すグラフ図。 実施例1の液晶パネルについて、極角色変化の測定結果を示すグラフ図。 比較例1の液晶パネルについて、方位角色変化の測定結果を示すグラフ図。 比較例1の液晶パネルについて、極角色変化の測定結果を示すグラフ図。 比較例2の液晶パネルについて、方位角色変化の測定結果を示すグラフ図。 比較例2の液晶パネルについて、極角色変化の測定結果を示すグラフ図。
符号の説明
1…液晶パネル、2…液晶セル、3…第1の偏光板、31…第1の偏光子、32…保護フィルム、4…第2の偏光板、41…第2の偏光子、42…保護フィルム、5…第1の光学補償層、6…第2の光学補償層

Claims (6)

  1. 液晶セルと、液晶セルの一面側に設けられた第1の偏光子と、液晶セルの他面側に設けられた第2の偏光子と、第1の偏光子及び第2の偏光子の間に設けられた第1の光学補償層及び第2の光学補償層と、を備え、
    液晶セルが、VAモードであり、無電圧状態で0.8<Re[450]/Re[550]<1の関係を満たし、
    第1の光学補償層が、nx>ny≧nzであり、Nz係数0.8〜1.4であり、0.8<Re[450]/Re[550]<1の関係を満たし、
    第2の光学補償層が、nx=ny>nzで且つ0.98<Re[450]/Re[550]<1.04の関係を満たすことを特徴とする液晶パネル。
    ただし、Nz係数=(nx−nz)/(nx−ny)で求められ、Re[λ]=(nx−ny)・dで求められる。nxは、面内に於けるX軸方向(面内に於いて屈折率が最大となる軸方向)の屈折率を、nyは、同面内に於けるY軸方向(面内に於いてX軸方向に直交する方向)の屈折率を、nzは、前記X軸方向及びY軸方向に直交する方向の屈折率を示す。dは、厚み(nm)を示し、λは、波長を示す。
  2. 第1の光学補償層が、第1の偏光子及び液晶セルの間に設けられ、第2の光学補償層が、第2の偏光子と液晶セルの間に設けられている請求項1に記載の液晶パネル。
  3. 前記第1の偏光子が、液晶セルの視認側に設けられている請求項1または2に記載の液晶パネル。
  4. 第1の光学補償層が、セルロース系ポリマーまたは変性ビニルアルコール系ポリマーを含む請求項1〜3のいずれかに記載の液晶パネル。
  5. 第2の光学補償層が、ノルボルネン系ポリマーを含む請求項1〜4のいずれかに記載の液晶パネル。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の液晶パネルを備える液晶表示装置。
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