WO2018230553A1 - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、折り曲げた後でも正面方向の視認と斜め方向の視認とによって色味差がなく、かつ、層剥離が生じず、さらに、低ヘイズである光学フィルムの製造方法を提供する。本発明の光学フィルムの製造方法は、単官能モノマーを含む下地層形成用組成物を用いて、基板上に下地層を形成する工程と、下地層にラビング処理を施すことなく、下地層上に、液晶化合物を含む組成物を用いて、互いに異なる可視光領域の光を反射する、コレステリック液晶相を固定してなるドットを2種以上形成する工程と、第1多官能モノマーを含む組成物を用いて、ドットを覆うように配置され、かつ、ドットとの屈折率の差が0.10以下である第1オーバーコート層を形成する工程と、第2多官能モノマーを含む組成物を用いて、第1オーバーコート層上に第2オーバーコート層を形成する工程と、を有する。

Description

光学フィルムの製造方法
 本発明は、光学フィルムの製造方法に関する。
 近年、投影型の表示装置を構成するスクリーンの一つとして、プロジェクターからの投影光を拡散および/または反射して画像を表示すると共に、表裏面からの光を透過する透明スクリーンが知られている。
 例えば、特許文献1には、コレステリック構造を有する液晶材料からなるドットを有する透明スクリーンが開示されている。
国際公開2016/133223号
 一方、近年、透明スクリーンの新たな用途展開のために、透明スクリーンを折り曲げて使用することが考えられている。そのため、透明スクリーンを折り曲げて、元に戻した後でも、正面方向の視認と斜め方向の視認とによって色味差が生じないこと、および、透明スクリーンを構成する層の剥離が生じないことが求められる。
 また、透明スクリーン自体の視認性の点から、ヘイズが低いことも求められている。
 従来のフィルムでは、上記要件を全て満たす透明スクリーンを提供することが難しかった。
 本発明は、折り曲げた後でも正面方向の視認と斜め方向の視認とによって色味差がなく、かつ、層剥離が生じず、さらに、低ヘイズである光学フィルムの製造方法を提供することを課題とする。
 本発明者らは、従来技術の問題点について鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
(1) 単官能モノマーを含む下地層形成用組成物を用いて、基板上に下地層を形成する工程と、
 下地層にラビング処理を施すことなく、下地層上に、液晶化合物を含む組成物を用いて、互いに異なる可視光領域の光を反射する、コレステリック液晶相を固定してなるドットを2種以上形成する工程と、
 第1多官能モノマーを含む組成物を用いて、ドットを覆うように配置され、かつ、ドットとの屈折率の差が0.10以下である第1オーバーコート層を形成する工程と、
 第2多官能モノマーを含む組成物を用いて、第1オーバーコート層上に第2オーバーコート層を形成する工程と、を有する光学フィルムの製造方法。
(2) 単官能モノマーが、環構造を有する、(1)に記載の光学フィルムの製造方法。
(3) 単官能モノマーが、後述する式(1)で表される化合物である、(1)または(2)に記載の光学フィルムの製造方法。
(4) 単官能モノマーの含有量が、下地層形成用組成物中の全固形分に対して、80質量%以上である、(1)~(3)のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
(5) 下地層形成用組成物が、多官能モノマーを実質的に含まない、(1)~(4)のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
(6) 第1多官能モノマーおよび第2多官能モノマーが、いずれも3~8個の重合性基を有する、(1)~(5)のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
(7) 第1オーバーコート層の平均膜厚と第2オーバーコート層の平均膜厚との合計が、ドットの平均高さの1.2倍以上である、(1)~(6)のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
(8) 第1オーバーコート層の平均膜厚に対する、第2オーバーコート層の平均膜厚の比が、0.05~1である、(1)~(7)のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
(9) ドットが、断面において、明部と暗部との縞模様を与え、かつ、
 ドットの表面から1本目の暗部が成す線の法線と、ドットの表面とが成す角度が70~90°である、(1)~(8)のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
(10) ドットが、赤色光を反射するコレステリック液晶相を固定してなるドット、緑色光を反射するコレステリック液晶相を固定してなるドット、および、青色光を反射するコレステリック液晶相を固定してなるドットからなる群から選択される少なくとも2種以上である、(1)~(9)のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
 本発明によれば、折り曲げた後でも正面方向の視認と斜め方向の視認とによって色味差がなく、かつ、層剥離が生じず、さらに、低ヘイズである光学フィルムの製造方法を提供できる。
工程1を説明するための断面図である。 工程2を説明するための断面図である。 ドットの配置パターンの一例を示す正面図である。 ドットの配置パターンの他の例を示す正面図である。 ドットの断面の一例を概念的に示す図である。 ドットを説明するための概念図である。 工程3を説明するための断面図である。 工程4を説明するための断面図である。
 以下、本発明の光学フィルムの製造方法について詳細に説明する。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
 本明細書において、例えば、「平行」または「垂直」などの角度は、特に記載がなければ、厳密な角度との差異が5°未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との差異は、4°未満であることが好ましく、3°未満であることがより好ましい。
 本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味で使用される。
 可視光は電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、380~780nmの波長域の光を示す。非可視光は、380nm未満の波長域または780nmを超える波長域の光である。
 また、可視光のうち、420~495nmの波長域の光は青色光であり、495~570nmの波長域の光は緑色光であり、620~750nmの波長域の光は赤色光である。
 本発明の製造方法によれば、折り曲げた後でも正面方向の視認と斜め方向の視認とによって色味差がなく、かつ、層剥離が生じず、さらに、低ヘイズである光学フィルムが得られる。
 上記効果が得られる理由としては、以下が推測される。
 まず、単官能モノマーを用いて下地層を形成することにより、下地層と一部が接触する第1オーバーコート層と下地層との密着性が向上し、層剥離が抑制され、色味差の発生も低減される。また、ラビング処理が施されていない下地層上に可視光を反射するドットを形成することにより、各ドット中のコレステリック液晶相の形成状態が近似し、視認角度により色味差が低減する。さらに、ドットと第1オーバーコート層との屈折率が所定範囲であり、かつ、オーバーコート層を2層形成することにより、ヘイズの低減が達成される。
 本発明の光学フィルムの製造方法は、以下の工程1~工程4を有する。
工程1:単官能モノマーを含む下地層形成用組成物を用いて、基板上に下地層を形成する工程
工程2:下地層にラビング処理を施すことなく、下地層上に、液晶化合物を含む組成物を用いて、互いに異なる可視光領域の光を反射する、コレステリック液晶相を固定してなるドットを2種以上形成する工程
工程3:第1多官能モノマーを含む組成物を用いて、ドットを覆うように配置され、かつ、ドットとの屈折率の差が0.10以下である第1オーバーコート層を形成する工程
工程4:第2多官能モノマーを含む組成物を用いて、第1オーバーコート層上に第2オーバーコート層を形成する工程
 以下、各工程の手順について詳述する。
<工程1>
 工程1は、単官能モノマーを含む下地層形成用組成物を用いて、基板上に下地層を形成する工程である。本工程を実施することにより、図1に示すように、基板10上に下地層12が形成される。
 以下では、まず、使用される下地層形成用組成物について詳述し、その後、工程の手順について詳述する。
(下地層形成用組成物)
 下地層形成用組成物は、単官能モノマーを含む。単官能モノマーとは、重合性基を1個有する化合物である。
 単官能モノマーが有する重合性基の種類は特に制限されず、ラジカル重合性基およびカチオン重合性基が挙げられ、反応性の点より、ラジカル重合性基が好ましい。
 ラジカル重合性基としては、例えば、アクリロイル基(CH=CH-CO-)、メタアクリロイル基(CH=C(CH)-CO-)、スチリル基、および、アリル基などが挙げられる。カチオン重合性基としては、例えば、エポキシ基、オキセタニル基、および、ビニルオキシ基などが挙げられる。
 単官能モノマーは、折り曲げた後の光学フィルム(折り曲げて、元に戻した光学フィルム)の正面方向と斜め方向との色味差がより低減される点、折り曲げた後の層剥離がより抑制される点、および、光学フィルムのヘイズがより低減される点、のいずれか1つ以上が得られる点(以後、単に「本発明の効果がより優れる点」ともいう)で、環構造を有することが好ましい。環構造としては、脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環、および、複素環が挙げられる。
 単官能モノマーの好適態様の一つとして、式(1)で表される化合物が挙げられる。
 式(1)  R1-L-R2
 R1は、重合性基を表す。重合性基の定義は、上述の通りである。
 Lは、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、2価の脂肪族炭化水素基(直鎖状、分岐鎖状および環状のいずれであってもよく、炭素数1~20であることが好ましい。具体的には、アルキレン基、アルケニレン基、および、アルキニレン基が挙げられる。)、2価の芳香族炭化水素基、-O-、-S-、-SO2-、-NRa-、-CO-、-N=N-、-CH=N-、および、これらを2種以上組み合わせた基が挙げられる。ここで、Raは、水素原子またはアルキル基を表す。
 R2は、脂肪族炭化水素環基、芳香族炭化水素環基、または、複素環基を表す。
 脂肪族炭化水素環基とは、脂肪族炭化水素環から水素原子を1つ取り除いて形成される1価の基である。脂肪族炭化水素環基の炭素数は特に制限されないが、3~20が好ましく、3~10がより好ましい。脂肪族炭化水素環としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、フルオロシクロヘキサン、アダマンタン、および、ノルボルナンなどが挙げられる。
 芳香族炭化水素環基とは、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ取り除いて形成される1価の基である。芳香族炭化水素環基の炭素数は特に制限されないが、5~20が好ましく、5~10がより好ましい。芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、および、フルオレン環などが挙げられる。
 複素環基とは、複素環から水素原子を1つ取り除いて形成される1価の基である。複素環としては、脂肪族複素環基および芳香族複素環基が挙げられる。複素環基に含まれるヘテロ原子の種類は特に制限されず、例えば、酸素原子、硫黄原子、および、窒素原子などが挙げられる。脂肪族複素環としては、例えば、テトラヒドロフラン、ピロリジン、および、ピペリジンなどが挙げられる。芳香族複素環としては、例えば、フラン環、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環、および、キノリン環などが挙げられる。
 下地層形成用組成物は、単官能モノマー以外の成分を含んでいてもよい。
 下地層形成用組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤としては重合形式によって最適な重合開始剤が選択され、光重合開始剤および熱重合開始剤が挙げられる。
 また、下地層形成用組成物は、溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、水および有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、および、スルホキシド系溶媒などが挙げられる。
 さらに、下地層形成用組成物は、界面活性剤を含んでいてもよい。
 下地層形成用組成物中における単官能モノマーの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、下地層形成用組成物中の全固形分に対して、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、100質量%が挙げられる。
 上記固形分とは下地層を構成し得る成分を意図し、溶媒は含まれない。なお、下地層を形成し得る成分が液状であっても、固形分として取り扱い、上記含有量の計算に用いる。
 なお、下地層形成用組成物は、本発明の効果がより優れる点で、多官能モノマーを実質的に含まないことが好ましい。多官能モノマーとは、重合性基を2個以上含む化合物を意図する。なお、多官能モノマーを実質的に含まないとは、多官能モノマーの含有量が、下地層形成用組成物中の全固形分に対して、1質量%以下であることを意図し、0.5質量%以下であることが好ましく、0質量%であることがより好ましい。
(手順)
 下地層形成用組成物を用いて基板上に下地層を形成する方法は特に制限されないが、例えば、下地層形成用組成物と基板とを接触させて塗膜を形成し、塗膜に対して硬化処理を施して、下地層を形成する方法が挙げられる。
 使用される基板の種類は特に制限されず、基板は、後述するドットが光を反射する波長において光の反射率が低いことが好ましく、ドットが光を反射する波長において光を反射する材料を含んでいないことが好ましい。
 また、基板は可視光領域において、透明であることが好ましい。また、基板は、着色していてもよいが、着色していないか、着色が少ないことが好ましい。さらに、基板は屈折率(波長550mにおける屈折率)が1.2~2.0程度であることが好ましく、1.4~1.8程度であることがより好ましい。
 なお、本明細書において透明というとき、具体的には波長380~780nmの非偏光透過率(全方位透過率)が50%以上であればよく、70%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
 基板の厚みは用途に応じて選択すればよく、特に制限されないが、5~1000μm程度であればよく、10~250μmが好ましく、15~150μmがより好ましい。
 基板は、単層であっても、多層であってもよい。
 基板を構成する材料としては、例えば、ガラス、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル、および、ポリオレフィンなどが挙げられる。
 下地層形成用組成物と基板とを接触させる方法は特に制限されず、公知の方法が挙げられ、例えば、バーコート法、スピンコート法、および、ディップコート法などが挙げられる。
 下地層形成用組成物と基板とを接触させて、基板上に塗膜を形成した後、必要に応じて、塗膜に乾燥処理を施してもよい。乾燥処理の方法としては、加熱処理が挙げられる。
 基板上に形成された塗膜に対して施される硬化処理は特に制限されず、例えば、光照射処理および加熱処理が挙げられ、生産性の点から、光照射処理が好ましい。光照射処理の際の光の種類は特に制限されず、例えば、紫外光、および、可視光が挙げられる。
 光照射処理の条件は特に制限されず、使用される材料に応じて最適な条件が選択される。
<工程2>
 工程2は、下地層にラビング処理を施すことなく、下地層上に、液晶化合物を含む組成物を用いて、互いに異なる可視光領域の光を反射する、コレステリック液晶相を固定してなるドットを2種以上形成する工程である。
 本工程を実施することにより、例えば、図2に示すように、基板10上に赤色光を反射するドット20R(以下、「赤色ドット20R」ともいう。)、緑色光を反射するドット20G(以下、「緑色ドット20G」ともいう。)、および、青色光を反射するドット20B(以下、「青色ドット20B」ともいう。)が複数配置される。なお、赤色ドット20R、緑色ドット20G、および、青色ドット20Bはいずれもコレステリック液晶相を固定してなるドットである。
 赤色ドット20R、緑色ドット20G、および、青色ドット20Bを基板上に形成することで、光学フィルムの前面に入射される映像光の赤色光、緑色光、および、青色光を反射でき、光学フィルムに投影される映像をカラー表示できる。
 図2においては、赤色ドット20R、緑色ドット20G、および、青色ドット20Bの3種のドットが基板上に配置された形態について述べたが、この形態には制限されず、互いに異なる可視光領域の光を反射する、コレステリック液晶相を固定してなるドットが2種以上形成されればよい。
 例えば、赤色光を反射するドットと、青色光を反射するドットとの2種を含む構成としてもよく、または、赤色光、緑色光および青色光をそれぞれ反射するドットに加えて、他の波長域の光を反射するドットとの4種以上を含む構成としてもよい。
 なお、ドットが互いに異なる可視光領域の光を反射するとは、ドットの選択反射の中心波長λが異なることを意図し、光学フィルムを透明スクリーンとして応用する際の色調を広く調整できる点から、ドット間の選択反射の中心波長λの差が50nm以上であることが好ましい。
 選択反射の中心波長λの求め方は後段で詳述する。
 ドットの平均高さT1は特に制限されないが、1~10μmの場合が多く、2~8μmの場合がより多い。
 上記平均高さは、下地層上の10個のドットの高さを測定し、それらを算術平均して求める。なお、ドットの高さは、下地層の法線方向に沿って、下地層表面から、下地層から最も離れたドットの位置までの距離を意図する。
 また、ドットの配列の仕方は特に制限はなく、例えば、交互に配列してもよいし、ランダムに配列してもよい。
 例えば、光学フィルムの正面図の一例である図3Aに示すように、図3A中上下方向および左右方向にそれぞれ、赤色ドット20R、緑色ドット20Gおよび青色ドット20Bを順に配列してもよい。
 あるいは、図3Bに示すように、赤色ドット20R、緑色ドット20Gおよび青色ドット20Bを1つずつ、互いの間隔が同じになるように配置したものを1組として、この組を多数、図中上下方向および左右方向に配列して構成してもよい。
 ドットは、基板の主面の法線方向から見たとき円形であるのが好ましい。なお、円形は正円でなくてもよく、略円形であればよい。
 ドットの形状としては、半球状(略半球状)、球欠状(略球欠状)、球台形状、円錐状、および、円錐台状などが挙げられる。
 ドットは、コレステリック液晶相を固定してなるドットである。
 ドットが選択反射性を示す光の波長は、ドットを形成するコレステリック液晶相の螺旋ピッチを調節することにより調節(選択)できる。
 なお、通常、コレステリック液晶相は、右円偏光および左円偏光の一方を選択的に反射し、他方を透過する。したがって、複数形成されるドットは、全てが同じ円偏光を反射する構成であってもよいし、または、右円偏光を反射する右偏光ドットと、左円偏光を反射する左偏光ドットとを含む構成としてもよい。なお、コレステリック液晶相の旋回の方向は、ドットを形成する液晶化合物の種類または添加されるキラル剤の種類によって調節できる。
 また、ドットが右円偏光および左円偏光の一方を選択的に反射し、他方を透過する場合には、プロジェクターなどの映像装置から出射される映像光を右円偏光および左円偏光のいずれか一方とし、その映像光に対応した円偏光を反射させるドットを用いた透明スクリーンと組み合わせることで、映像光のみを効率良く反射し、映像光に含まれない円偏光を透過させることができ、より透明性を高めることができる。
 コレステリック液晶相は、特定の波長において選択反射性を示すことが知られている。選択反射の中心波長λは、コレステリック液晶相における螺旋構造のピッチP(=螺旋の周期)に依存し、コレステリック液晶相の平均屈折率nとλ=n×Pの関係に従う。そのため、この螺旋構造のピッチを調節することによって、ドットの選択反射波長(選択反射中心波長)を調節できる。コレステリック液晶相のピッチは、ドットの形成の際、キラル剤の種類、および、その添加濃度に依存するため、これらを調節することによって所望のピッチを得ることができる。
 なお、ピッチの調節については富士フイルム研究報告No.50(2005年)p.60-63に詳細な記載がある。螺旋のセンスおよびピッチの測定法については「液晶化学実験入門」日本液晶学会編 シグマ出版2007年出版、46頁、および「液晶便覧」液晶便覧編集委員会 丸善 196頁に記載の方法を用いることができる。
 なお、本明細書において、選択反射中心波長とは、ドットの透過率の極小値をTmin(%)とした場合、下記の式で表される半値透過率:T1/2(%)を示す2つの波長の平均値のことを言う。
 半値透過率を求める式: T1/2=100-(100-Tmin)÷2
 走査型電子顕微鏡(SEM)によって観測されるドットの断面図において、コレステリック液晶相由来の明部と暗部との縞模様が観察される。この明部と暗部の繰り返しの、明部3つおよびその間にある暗部2が、螺旋1ピッチに相当する。このことから、ピッチは、SEM断面図から測定できる。ドットにおいては、上記縞模様の各線の法線がコレステリック液晶相の螺旋軸方向となる。
 コレステリック液晶相を固定してなるドットは、断面において、明部と暗部との縞模様を与える。このようなコレステリック液晶相を固定してなるドットは、走査型電子顕微鏡で観察される断面図で確認した際、基板と反対側のドットの表面から1本目の暗部が成す線の法線と、基板と反対側のドットの表面とが成す角度が70~90°の範囲であるのが好ましい。
 以下の説明では、『基板と反対側のドットの表面』を、単に『ドットの表面』とも言う。
 図4にドット20の断面の概略図を示す。図4では、暗部が成す線を太線で示す。図4に示すように、1本目の暗部が成す線Ld1の法線(破線)と、ドット20の表面とが成す角度θ1が、70~90°であるのが好ましい。
 ここで、ドット20の表面の位置を、ドット20の中心を通る基板表面の垂線(一点鎖線)に対する角度α1で表したとき、角度α1が30°の位置および60°の位置において、ドット20の表面から1本目の暗部が成す線Ld1の法線とドット20の表面とが成す角度が70~90°の範囲であるのが好ましく、ドット20の表面の全ての位置において、ドット20の表面から1本目の暗部が成す線Ld1の法線とドット20の表面とが成す角度が70~90°の範囲であるのがより好ましい。
 すなわち、ドット20は、ドット20の表面の一部において上記角度を満たすもの、例えば、ドット20の表面の一部において断続的に上記角度を満たすものではなく、連続的に上記角度を満たすものであるのが好ましい。なお、断面図において、ドット20の表面が曲線であるときは、暗部が成す線の法線とドット20の表面とが成す角度は、ドット20の表面の接線と法線とが成す角度を意味する。また、上記角度は鋭角で示されており、法線とドット20の表面とが成す角度を0~180°の角度で表すときの、70~110°の範囲を意味する。
 ドット20は、断面図において、ドット20の表面から2本目の暗部が成す線Ld2の法線とドット20の表面とが成す角度θ2が70~90°の範囲であるのが好ましく、ドット20の表面から3~4本目までの暗部が成す線が、いずれも、その法線とドット20の表面とが成す角度が70~90°の範囲であるのがより好ましく、ドット20の表面から5~12本目以上の暗部が成す線が、いずれも、その法線とドット20とが成す角度が70~90°の範囲であるのがさらに好ましい。
 さらに、この暗部が成す線の法線と、ドット20の表面とが成す角度は、80~90°であるのがより好ましく、85~90°であるのがさらに好ましい。
 ドット20はコレステリック液晶相の螺旋軸を基準として、入射光を正反射させる。そのため、図5に概念的に示すように、下地層12の法線方向から入射する光Inに対して、ドット20の中心付近で反射される反射光Irは下地層12の法線方向に平行に反射される。一方、ドット20の中心からずれた位置(コレステリック液晶相の螺旋軸が下地層12の法線方向に対して傾いている位置)では、反射光Irは下地層12の法線方向とは異なる方向に反射される。したがって、ドット20に入射する光を様々な方向に反射させることができ、広視野角化できる。また、ドット20を透過する光Ipは、光Inと同方向に透過するので、透過光が散乱されることを抑制してヘイズを小さくすることができ、透明性を高くすることができる。
 コレステリック液晶相の螺旋軸が、ドット20の表面と70~90°の範囲の角度を成すことにより、表面から1本目の暗部が成す線の法線方向と下地層の法線方向との成す角度は、上記高さが連続的に増加するにしたがって連続的に減少していることが好ましい。
 なお、ドットの断面図は、ドットの端部から中心に向かう方向で最大高さまで連続的に増加する高さを有する部位を含む任意の方向の断面図であり、典型的にはドットの中心を含み下地層に垂直な任意の面の断面図であればよい。
(手順)
 上記下地層上にドットを形成する際、下地層にはラビング処理を施さない。上述したようにラビング処理を施していない下地層上のドットを形成することにより、各ドット中のコレステリック液晶相の形成状態が近似し、視認角度による色味差が低減する。
 ラビング処理としては、公知の方法が挙げられる。
 ドットは、コレステリック液晶相をドット状に固定して得ることができる。
 コレステリック液晶相を固定した構造は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持されている構造であればよく、典型的には、重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の配向状態としたうえで、紫外線照射または加熱によって硬化し、流動性が無い層を形成して、同時に、外場または外力によって配向形態に変化を生じさせることない状態に変化した構造であればよい。
 なお、コレステリック液晶相を固定した構造においては、コレステリック液晶相の光学的性質が保持されていれば十分であり、液晶化合物は、液晶性を示さなくてもよい。例えば、重合性液晶化合物は、硬化反応により高分子量化して、液晶性を失っていてもよい。
 コレステリック液晶相を固定してなるドットの形成に用いる材料としては、一例として、液晶化合物を含む液晶組成物が挙げられる。液晶化合物としては、重合性液晶化合物が好ましい。
 ドットの形成に用いる液晶化合物を含む液晶組成物は、さらに界面活性剤を含むのが好ましい。また、ドットの形成に用いる液晶組成物は、さらに、キラル剤および重合開始剤を含んでいてもよい。
 重合性液晶化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶化合物であってもよいが、棒状液晶化合物が好ましい。
 コレステリック液晶相を形成する棒状の重合性液晶化合物としては、棒状ネマチック液晶化合物が挙げられる。棒状ネマチック液晶化合物としては、例えば、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、および、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が挙げられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
 重合性液晶化合物は、重合性基を液晶化合物に導入することで得られる。重合性基の定義は、上述した単官能モノマーに含まれる重合性基の定義と同じである。重合性液晶化合物が有する重合性基の個数は、1~6個が好ましく、1~3個がより好ましい。
 また、液晶組成物中の重合性液晶化合物の含有量は、液晶組成物の全固形分質量(液晶組成物から溶媒を除いた成分の合計質量)に対して、75~99.9質量%が好ましく、80~99質量%がより好ましく、85~90質量%がさらに好ましい。
 界面活性剤は、安定的にまたは迅速にプレーナー配向のコレステリック液晶相とするために寄与する配向制御剤として機能できる化合物が好ましい。界面活性剤としては、例えば、シリコ-ン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤が挙げられ、フッ素系界面活性剤が好ましい。
 界面活性剤の具体例としては、特開2014-119605号公報の段落[0082]~[0090]に記載の化合物、特開2012-203237号公報の段落[0031]~[0034]に記載の化合物、特開2005-99248号公報の段落[0092]および[0093]中に例示されている化合物、特開2002-129162号公報の段落[0076]~[0078]および段落[0082]~[0085]中に例示されている化合物、特開2007-272185号公報の段落[0018]~[0043]に記載のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、などが挙げられる。
 フッ素系界面活性剤として、特開2014-119605号公報の段落[0082]~[0090]に記載の化合物が好ましい。
 液晶組成物中における、界面活性剤の含有量は、重合性液晶化合物の全質量に対して、0.01~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましい。
 キラル剤はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル剤は、化合物によって誘起する螺旋の捩れ方向または螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
 キラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4-3項、TN(twisted nematic)、STN(Super Twisted Nematic)用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)が挙げられる。
 キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物または面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物としては、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が挙げられる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
 キラル剤が光異性化基を有する場合には、液晶化合物の配向後に活性光線などのフォトマスク照射によって、発光波長に対応した所望の選択反射中心波長のパターンを形成することができるので好ましい。光異性化基としては、フォトクロッミック性を示す化合物の異性化部位、アゾ基、アゾキシ基、または、シンナモイル基が好ましい。具体的な化合物として、特開2002-80478号公報、特開2002-80851号公報、特開2002-179668号公報、特開2002-179669号公報、特開2002-179670号公報、特開2002-179681号公報、特開2002-179682号公報、特開2002-338575号公報、特開2002-338668号公報、特開2003-313189号公報、および、特開2003-313292号公報に記載の化合物が挙げられる。
 液晶組成物における、キラル剤の含有量は、重合性液晶化合物の全質量に対して、0.01~200モル%が好ましく、1~30モル%がより好ましい。
 液晶組成物が重合性化合物を含む場合は、液晶組成物は重合開始剤を含むことが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であるのが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、α-カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60-105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)などが挙げられる。
 液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の全質量に対して、0.1~20質量%が好ましく、0.5~12質量%がより好ましい。
 液晶組成物は、ドットの強度向上および耐久性向上のため、架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、および、湿気などで硬化する化合物が好ましい。
 架橋剤の含有量は、液晶組成物の全固形分質量に対して、3~20質量%が好ましく、5~15質量%がより好ましい。
 また、液晶組成物は、必要に応じて、さらに重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、および、金属酸化物微粒子などを、光学的性能などの性能を低下させない範囲で含んでいてもよい。
 液晶組成物は、ドットを形成する際には、液体として用いられることが好ましい。
 液晶組成物は溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては特に制限はなく、有機溶媒が好ましい。
 有機溶媒としては特に制限はなく、例えば、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、アルキルハライド系溶媒、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒、ヘテロ環化合物、炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、並びに、エーテル系溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン系溶媒が好ましい。
 液晶組成物は、基板上にドット状に塗布されて、その後、硬化されドットを形成する。
 ドットを形成する際、下地層上への液晶組成物の塗布は、公知の方法で行えばよく、インクジェット法(液晶組成物の打滴)および印刷法が挙げられる。印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、フレキソ印刷法およびスクリーン印刷法が挙げられる。
 基板上に塗布された液晶組成物は、必要に応じて乾燥または加熱され、その後、硬化され、ドットを形成する。この乾燥および/または加熱の工程で、液晶組成物中の重合性液晶化合物が配向していればよい。加熱を行う場合、加熱温度は、200℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。
 配向させた液晶化合物は、さらに重合させればよい。重合は、熱重合、および、光照射による光重合のいずれでもよいが、光重合が好ましい。光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2~50J/cm2が好ましく、100~1,500mJ/cm2がより好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下または窒素雰囲気下で光照射を実施してもよい。照射紫外線波長は250~430nmが好ましい。
<工程3>
 工程3は、第1多官能モノマーを含む組成物(以下、「第1OC層形成用組成物」ともいう)を用いて、ドットを覆うように配置され、かつ、ドットとの屈折率の差が0.10以下である第1オーバーコート層(以後、「第1OC層」ともいう)を形成する工程である。本工程を実施することにより、図6に示すように、各種ドット(赤色ドット20R、緑色ドット20G、青色ドット20B)を覆うように、第1OC層22が配置される。
 第1OC層と、ドットとの屈折率との差は、0.10以下であり、ヘイズがより低減される点で、0.05以下が好ましい。下限は特に制限されないが、0である。
 なお、ドットが複数種ある場合は、いずれのドットも第1OC層との間で上記屈折率差の関係を満たす。
 なお、上記屈折率は、波長589nmにおける屈折率を意図する。
 第1OC層の平均膜厚T2は特に制限されないが、上記ドットの平均高さT1よりも厚いことが好ましく、ドットの平均高さT1の1倍以上が好ましく、1.2倍以上がより好ましい。第1OC層の平均膜厚T2の上限は特に制限されないが、ドットの平均高さT1の10倍以下としてもよい。
 具体的には、平均膜厚T2は5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、20μm以下の場合が多い。
 第1OC層の平均膜厚とは、下地層表面から第1OC層の表面(下地層側とは反対側の表面)までの膜厚の平均値であり、少なくとも10点での膜厚を算術平均して求める。
 第1OC層は、後述するように、第1多官能モノマーを含む組成物を用いて形成される。
 第1多官能モノマーは、複数の重合性基を有する化合物であれば、その種類は特に制限されない。第1多官能モノマーが有する重合性基の種類は、上述した単官能モノマーが有する重合性基で説明した基が挙げられる。
 第1多官能モノマーに含まれる重合性基の数は、第1OC層の硬化性の点から、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、15個以下の場合が多く、8個以下が好ましく、6個以下がより好ましい。
 第1多官能モノマーとしては、式(2)で表される化合物が好ましい。
 式(2)  A-(L-R1
 Aは、n価の有機基を表す。後述するように、nは2~10の整数を表し、Aは2~10価の有機基を表す。n価の有機基の種類は特に制限されないが、例えば、以下が挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
 式(2)中のLおよびR1の定義は、式(1)中のLおよびR1の定義と同義である。
 nは2~10の整数を表し、3~8が好ましい。
 第1オーバーコート層の屈折率を調整するために、第1多官能モノマーとして、屈折率が1.45以上(好ましくは、1.55~1.65)である多官能モノマーを使用してもよい。
 上記屈折率は、波長589nmでの屈折率を意図する。
 第1OC層形成用組成物中における第1多官能モノマーの含有量は特に制限されないが、第1OC層形成用組成物中の全固形分に対して、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、99質量%以下の場合が多い。
 第1多官能モノマーは、1種のみを用いても、2種以上を用いてもよい。
 なお、上記全固形分とは、第1OC層を構成し得る成分を意図し、溶媒は含まれない。第1OC層を構成し得る成分が液状であっても、固形分として取り扱い、上記含有量の計算に用いる。
 第1OC層形成用組成物は、第1多官能モノマー以外の成分を含んでいてもよい。
 第1OC層形成用組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤としては重合形式によって最適な重合開始剤が選択され、光重合開始剤および熱重合開始剤が挙げられる。
 また、第1OC層形成用組成物は、溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、水および有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、および、スルホキシド系溶媒などが挙げられる。
(手順)
 第1OC層形成用組成物を用いて第1OC層を形成する方法は特に制限されないが、例えば、第1OC層形成用組成物とドットが配置された基板とを接触させて、ドットを覆う塗膜を形成し、塗膜に対して硬化処理を施して、第1OC層を形成する方法が挙げられる。
 第1OC層形成用組成物とドットが配置された基板とを接触させる方法は特に制限されず、例えば、バーコート法、スピンコート法、および、ディップコート法などが挙げられる。
 第1OC層形成用組成物とドットが配置された基板とを接触させて、下地層上およびドット上に塗膜を形成した後、必要に応じて、塗膜に乾燥処理を施してもよい。乾燥処理の方法としては、加熱処理が挙げられる。
 下地層上およびドット上に形成された塗膜に対して施される硬化処理は特に制限されず、例えば、光照射処理および加熱処理が挙げられ、生産性の点から、光照射処理が好ましい。光照射処理の際の光の種類は特に制限されず、例えば、紫外光、および、可視光が挙げられる。
 光照射処理の条件は特に制限されず、使用される材料に応じて最適な条件が選択される。
<工程4>
 工程3は、第2多官能モノマーを含む組成物(以下、「第2OC層形成用組成物」ともいう)を用いて、第1OC層上に第2オーバーコート層(以下、「第2OC層」ともいう)を形成する工程である。本工程を実施することにより、図7に示すように、第1OC層22上に、第2OC層24が配置される。第2OC層24を設けることにより、光学フィルムの平坦性が向上し、ヘイズが低減される。
 第2OC層の平均膜厚T3は特に制限されないが、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、5μm以下の場合が多い。
 第2OC層の平均膜厚とは、第1OC層表面から第2OC層の表面(下地層側とは反対側の表面)までの膜厚の平均値であり、少なくとも10点での膜厚を算術平均して求める。
 なかでも、第1OC層の平均膜厚と第2OC層の平均膜厚との合計は、ドットの平均高さの1.2倍以上であることが好ましく、1.5倍以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、ドットの平均高さの10倍以下の場合が多い。
 また、第1OC層の平均膜厚に対する、第2OC層の平均膜厚の比は、0.05~1が好ましく、0.1~0.5がより好ましい。
 第2OC層は、後述するように、第2多官能モノマーを含む組成物を用いて形成される。
 第2多官能モノマーは、複数の重合性基を有する化合物であり、その定義および好適態様は第1多官能モノマーで説明した通りである。なお、第1多官能モノマーと第2多官能モノマーとは同じ種類のモノマーであっても、異なる種類のモノマーであってもよい。
 第2OC層形成用組成物中における第2多官能モノマーの含有量は特に制限されないが、第2OC層形成用組成物中の全固形分に対して、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、99質量%以下の場合が多い。
 第2多官能モノマーは、1種のみを用いても、2種以上を用いてもよい。
 なお、上記全固形分とは、第2OC層を構成し得る成分を意図し、溶媒は含まれない。第2OC層を構成し得る成分が液状であっても、固形分として取り扱い、上記含有量の計算に用いる。
 また、第2OC層形成用組成物は、第1OC層形成用組成物と同様に、重合開始剤または溶媒を含んでいてもよい。重合開始剤および溶媒の例示は、上述した通りである。
(手順)
 第2OC層形成用組成物を用いて第2OC層を形成する方法は特に制限されないが、例えば、第2OC層形成用組成物と第1OC層が配置された基板とを接触させて、第1OC層上に塗膜を形成し、塗膜に対して硬化処理を施して、第2OC層を形成する方法が挙げられる。
 第2OC層形成用組成物と第1OC層が配置された基板とを接触させる方法は特に制限されず、例えば、バーコート法、スピンコート法、および、ディップコート法などが挙げられる。
 第2OC層形成用組成物と第1OC層が配置された基板とを接触させて、第1OC層上に塗膜を形成した後、必要に応じて、塗膜に乾燥処理を施してもよい。乾燥処理の方法としては、加熱処理が挙げられる。
 第1OC層上に形成された塗膜に対して施される硬化処理は特に制限されず、例えば、光照射処理および加熱処理が挙げられ、生産性の点から、光照射処理が好ましい。光照射処理の際の光の種類は特に制限されず、例えば、紫外光、および、可視光が挙げられる。
 光照射処理の条件は特に制限されず、使用される材料に応じて最適な条件が選択される。
<光学フィルム>
 上記工程を経ることにより、光学フィルムが製造される。
 光学フィルムは、基板と、基板上に配置された下地層と、下地層上に配置された、互いに異なる可視光領域の光を反射する、コレステリック液晶相を固定してなるドットを2種以上と、ドットを覆うように配置された第1OC層と、第1OC層上に配置された第2OC層とを有する。なお、ドットとの屈折率と第1OC層の屈折率との差は0.10以下である。また、下地層のドットが形成される側の表面にはラビング処理が施されていない。
 上記光学フィルムは、種々の用途に適用でき、例えば、サイネージ、および、プロジェクションマッピングなどが挙げられ、なかでも、透明スクリーンに好適に適用できる。透明スクリーンは、プロジェクターなどが投影した投影画像を表示するためのスクリーンであって、画像を表示していない状態(画像の非投影時)には、スクリーンを介して、背景(透明スクリーンの向こう側)が好適に観察できる。
 なお、プロジェクターは、DLP(Digital Light Processing)プロジェクター、LCOS(Liquid crystal on silicon)プロジェクターおよびレーザープロジェクターなどの各種のプロジェクターが利用可能である。
 以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、および、処理手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更できる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により制限的に解釈されるべきものではない。
<実施例1>
(下地層の形成)
 25℃に保温された容器中にて、下記に示す成分を混合して、下地層形成用組成物を調製した。
----------------------------------
下地層形成用組成物
----------------------------------
ビスコート#160(大阪有機化学工業株式会社製)  100.0質量部
下記の界面活性剤A                   0.6質量部
IRGACURE 907 (BASF社製)       3.0質量部
メチルエチルケトン                 900.0質量部
----------------------------------
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
 上記で調製した下地層形成用組成物を、100μm厚の透明なPET(ポリエチレンテレフタレート、東洋紡株式会社製、コスモシャインA4300)基板上に、#2.6のバーコーターを用いて塗布した。その後、形成された塗膜を膜面温度が50℃になるように加熱し、60秒間乾燥した後に、紫外線照射装置により、500mJ/cm2の紫外線を塗膜に照射し、架橋反応を進行させ、下地層を形成した。
(ドット(コレステリック液晶相を固定してなるドット)の形成)
 25℃に保温された容器にて、下記に示す成分を混合して、インク液G(液晶組成物)を調製した。
----------------------------------
インク液G
----------------------------------
γ-ブチロラクトン                 139.6質量部
下記の棒状液晶化合物の混合物            100.0質量部
IRGACURE 907(BASF社製)        3.0質量部
カヤキュアーDETX(日本化薬株式会社製)       1.0質量部
下記構造のキラル剤                  5.63質量部
下記構造の界面活性剤                 0.08質量部
----------------------------------
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
 上記数値は質量%である。また、Rで表される基は右下に示す部分構造であり、この部分構造の酸素原子の箇所で結合している。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
 インク液Gmは、選択反射中心波長550nmであるドットを形成する材料である。また、インク液Gmは、右円偏光を反射するドットを形成する材料である。すなわち、インク液Gmは、右偏光緑色ドットを形成するための材料である。
 キラル剤の使用量を4.70質量部とした以外は、インク液Gの調製方法と同様にして、インク液Rを調製した。また、キラル剤の使用量を7.02質量部とした以外は、インク液Gの調製方法と同様にして、インク液Bを調製した。
 インク液Rは、選択反射中心波長650nmを示し、右円偏光を反射する右偏光赤色ドットを形成するための材料であり、インク液Bは、選択反射中心波長450nmを示し、右円偏光を反射する右偏光青色ドットを形成するための材料である。
 上記で調製したインク液G、インク液R、および、インク液Bを、インクジェットプリンター(DMP-2831、FUJIFILM Dimatix社製)にて、上記で作製したPET上に配置された下地層上に、ドット中心間距離(ピッチ)50μmで100mm×100mm領域全面に打滴し、60℃にて30秒間以上乾燥した後に、紫外線照射装置により、打滴されたインク液を室温で500mJ/cm2の紫外線を照射して、赤色光を反射するドット、緑色光を反射するドット、および、青色光を反射するドットの3種を形成した。なお、インク液G、インク液R、および、インク液Bを用いて形成される3種のドットは、図3Aに示すよう配置されていた。ドットの平均高さは、4μmであった。
(第1OC層の形成)
 25℃に保温された容器中にて、下記に示す成分を混合して、第1OC層形成用組成物を調製した。
----------------------------------
第1OC層形成用組成物
----------------------------------
メチルエチルケトン                 103.6質量部
KAYARAD DPCA-30(日本化薬株式会社製) 30.0質量部
EA-200(大阪ガスケミカル株式会社製)      25.0質量部
下記の化合物L                    45.0質量部
上記の界面活性剤A                   0.6質量部
IRGACURE 127(BASF社製)        3.0質量部
----------------------------------
化合物L
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
 上記で調製した第1OC層形成用組成物を、ドットを形成した下地層上に、#12のバーコーターを用いて塗布した。その後、塗膜を膜面温度が50℃になるように加熱し、60秒間乾燥した後に、酸素濃度100ppm以下の窒素パージ下で、紫外線照射装置により、500mJ/cm2の紫外線を塗膜に照射し、架橋反応を進行させ、第1OC層を形成した。第1OC層の平均膜厚は15μmであった。
(第2OC層の形成)
 25℃に保温された容器中にて、下記に示す成分を混合して、第2OC層形成用組成物を調製した。
---------------------------------
第2OC層形成用組成物
---------------------------------
メチルエチルケトン               103.6質量部
KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製)  30.0質量部
上記の界面活性剤A                 0.6質量部
IRGACURE 127(BASF社製)      3.0質量部
---------------------------------
 上記で調製した第2OC層形成用組成物を、第1OC層上に、#2のバーコーターを用いて塗布した。その後、塗膜の膜面温度が50℃になるように加熱し、60秒間乾燥した後に、酸素濃度100ppm以下の窒素パージ下にて、60℃で、紫外線照射装置により、500mJ/cm2の紫外線を照射し、架橋反応を進行させ第2OC層を形成し、光学フィルム1を作製した。第2OC層の平均膜厚は2μmであった。
<実施例2>
 下地層形成用組成物中のビスコート#160をビスコート#150(大阪有機化学工業株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、光学フィルム2を作製した。
<実施例3>
 下地層形成用組成物中のビスコート#160をビスコート#155(大阪有機化学工業株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、光学フィルム3を作製した。
<実施例4>
 下地層形成用組成物中のビスコート#160をIBXA(イソボルニルアクリレート)(大阪有機化学工業株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、光学フィルム4を作製した。
<比較例1>
 下地層形成用組成物中のビスコート#160をA-TMMT(新中村化学工業株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、光学フィルム11を作製した。
<比較例2>
 下地層形成用組成物中のビスコート#160をKAYARAD PET-30(日本化薬株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、光学フィルム12を作製した。
<比較例3>
 PET基板にラビング処理を施し、下地層形成用組成物中のビスコート#160をインク液Gに含まれる棒状液晶化合物の混合物に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、光学フィルム13を作製した。
<比較例4>
 第1OC層および第2OC層を設けなかった以外は、実施例1と同様の手順に従って、光学フィルム14を作製した。
<比較例5>
 第2OC層を設けなかった以外は、実施例1と同様の手順に従って、光学フィルム15を作製した。
<比較例6>
 第1OC層形成用組成物中のKAYARAD DPCA-30(30質量部)、EA-200(25質量部)および化合物L(45質量部)をビスコート#160(大阪有機化学工業株式会社製)(50質量部)および化合物L(50質量部)に変更し、第2OC層形成用組成物中のKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製)をビスコート#160(大阪有機化学工業株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、光学フィルム16を作製した。
<比較例7>
 第1OC層形成用組成物においてEA-200および化合物Lを使用しなかった以外は、実施例1と同様の手順に従って、光学フィルム17を作製した。
 なお、作製した光学フィルム1中の緑色光を反射するドットのうち、基板の中央に位置する1つのドットについて、ドット中心を含む面で、基板に垂直に切削し、断面を走査型電子顕微鏡で観察した。その結果、ドット内部に図4に示すような明部と暗部の縞模様が確認された。
 さらに、断面図から、図4に示すように、ドットの中心を通る基板の表面の垂線(一点鎖線)に対する角度α1が30°の位置および60°の位置において、ドットの暗部が成す線の法線方向と、ドットの表面とが成す角度を測定した。測定は、ドットの最も外側の暗部が成す線(図4における1本目の暗部が成す線Ld1(ドット端部))、ドットの最も内側の暗部が成す線(ドット中央)、および、ドット端部とドット中央との中間の暗部が成す線(ドット端部とドット中央の間)の、3本の暗部が成す線に対して行った。
 その結果、角度α1が30°の位置において、ドット端部、ドット端部とドット中央の間、ドット中央の順に、90°、89°および90°であった。また、角度α1が60°の位置においても、ドットの暗部が成す線の法線方向と、ドットの表面とが成す角度は、略同じであった。
 すなわち、このドットは、ドットの暗部が成す線の法線方向と、ドットの表面とが成す角度が、ドットの表面近傍でも、ドットの中央(最内部)でも、ドットの中間部でも、ほぼ同じであった。
 また、青色光を反射するドットおよび赤色光を反射するドットに関しても、上記緑色光を反射するドットと同様の結果を示した。
 上記では光学フィルム1について述べたが、光学フィルム2~4内のドットに関しても、光学フィルム1内のドットと同様の結果を示した。
 上記実施例および比較例にて得られた光学フィルムに関して、以下の評価を行った。
(折り曲げ評価)
 光学フィルムを90°折り曲げて、元に戻した際に、光学フィルムの折り曲げ部を正面方向から視認した場合と斜め方向から視認した場合とで色味差があるかどうか、および、剥がれが生じていないかどうかを観察し、以下の基準に従って評価した。
「A」:剥がれの発生がなく、色味差もない。
「B」:剥がれ、および、色味差の少なくとも一方が発生する。
(ヘイズ評価)
 日本電色工業株式会社製のヘイズメーターNDH-2000を用いて、光学フィルムのヘイズ(%)を測定し、以下の基準に従って評価した。
「A」:5%未満
「B」:5%以上
 表1中、「BzA」はビスコート#160(ベンジルアクリレート)、「THFA」はビスコート#150(テトラヒドロフルフリルアクリレート)、「CHA」はビスコート#155(シクロへキシルアクリレート)、「IBXA」はイソボルニルアクリレート、「PETA」はKAYARAD PET-30、「DPCA-30」はKAYARAD DPCA-30、「DPHA」はKAYARAD DPHAをそれぞれ意図する。
 また、「EA-200」は、多官能モノマーに該当する。
 表1中、「官能数」欄は、モノマーが単官能であるか、多官能であるかを示す。
 「ドットとの屈折率差」は、第1OC層の屈折率と、ドットの屈折率との差を表す。なお、上記青色光を反射するドット、上記緑色光を反射するドット、および、赤色光を反射するドットは略同じ屈折率を示し、いずれのドットにおいてもの第1OC層の屈折率との差は表1に示す値であった。
 なお、表1中の「折り曲げ評価」が「-」は、評価を実施していないことを意図する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
 表1に示すように、実施例1~4の光学フィルムは、所望の効果を示した。
 一方、下地層形成用組成物中に単官能モノマーが含まれない比較例1~4、第1OC層または第2OC層を設けていない比較例4および5、多官能モノマーを含まない組成物を用いて形成された第1OC層を有する比較例6、第1OC層とドットとの屈折率差が大きい比較例7においては、所望の効果が得られなかった。
 10  基板
 12  下地層
 20  ドット
 20R  赤色光を反射するドット
 20G  緑色光を反射するドット
 20B  青色光を反射するドット
 22  第1オーバーコート層
 24  第2オーバーコート層

Claims (10)

  1.  単官能モノマーを含む下地層形成用組成物を用いて、基板上に下地層を形成する工程と、
     前記下地層にラビング処理を施すことなく、前記下地層上に、液晶化合物を含む組成物を用いて、互いに異なる可視光領域の光を反射する、コレステリック液晶相を固定してなるドットを2種以上形成する工程と、
     第1多官能モノマーを含む組成物を用いて、前記ドットを覆うように配置され、かつ、前記ドットとの屈折率の差が0.10以下である第1オーバーコート層を形成する工程と、
     第2多官能モノマーを含む組成物を用いて、前記第1オーバーコート層上に第2オーバーコート層を形成する工程と、を有する光学フィルムの製造方法。
  2.  前記単官能モノマーが、環構造を有する、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3.  前記単官能モノマーが、式(1)で表される化合物である、請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
     式(1)  R-L-R
     Rは、重合性基を表す。Lは、単結合または2価の連結基を表す。Rは、脂肪族炭化水素環基、芳香族炭化水素環基、または、複素環基を表す。
  4.  前記単官能モノマーの含有量が、下地層形成用組成物中の全固形分に対して、80質量%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  5.  前記下地層形成用組成物が、多官能モノマーを実質的に含まない、請求項1~4のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  6.  前記第1多官能モノマーおよび前記第2多官能モノマーが、いずれも3~8個の重合性基を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  7.  前記第1オーバーコート層の平均膜厚と前記第2オーバーコート層の平均膜厚との合計が、前記ドットの平均高さの1.2倍以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  8.  前記第1オーバーコート層の平均膜厚に対する、前記第2オーバーコート層の平均膜厚の比が、0.05~1である、請求項1~7のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  9.  前記ドットが、断面において、明部と暗部との縞模様を与え、かつ、
     前記ドットの表面から1本目の暗部が成す線の法線と、前記ドットの表面とが成す角度が70~90°である、請求項1~8のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  10.  前記ドットが、赤色光を反射するコレステリック液晶相を固定してなるドット、緑色光を反射するコレステリック液晶相を固定してなるドット、および、青色光を反射するコレステリック液晶相を固定してなるドットからなる群から選択される少なくとも2種以上である、請求項1~9のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
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