JP7023445B2 - 成膜方法 - Google Patents

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本発明は、酸素を含有しない非酸化物(例えば、リン化物、窒化物など)の皮膜を成膜する方法に関する。
炭化物、硫化物、ホウ化物、リン化物または窒化物等のような非酸素化合物の皮膜は、耐腐食性、耐磨耗性、バリア性、絶縁性などにおいて優れた特性を示すことから、電子部品・電気機器部品、工業部材など幅広い分野での活用が期待されており、その需要が高まっている。
特許文献1では、プラズマCVD法を用いて、窒化物半導体層上に半絶縁性のシリコン窒化膜を形成することが記載されている。このように成膜することで、耐圧に優れたシリコン窒化膜を形成している。しかしながら、特許文献1に記載のプラズマCVD法は、真空装置が必要であるため、コストが増大し、工業的に有用な方法とはいえず、プラズマが基板や膜表面に悪影響を及ぼして、特性が劣化してしまう問題もあった。また、このようにして得られた膜は、酸化の影響を受けやすく、機能安定性や耐食性において満足のいくものではなかった。
一方、大気圧下においても成膜することが可能で、より簡便な成膜方法として、ミストCVD法が注目されており、例えば、酸化鉄、酸化インジウムまたは酸化ガリウム膜等の酸化物薄膜を成膜することについて、近年盛んに検討がされている(非特許文献1および特許文献2)。ミストCVD法は、大気圧下において密着性や機能安定性に優れた酸化物薄膜を容易に成膜できることが知られているが、2種以上の元素からなる多元系の非酸化物膜を成膜する場合には、基板や石英管の酸素の影響も受けることがあり、膜の一部または全部が酸化されてしまう問題があった。特に、アルミニウム、ケイ素またはチタン等の酸化されやすい元素の非酸化物を成膜する場合には、酸化膜が形成されてしまうなど、良質な非酸化物膜を安定的に成膜することが困難であった。そのため、非酸化物の皮膜を簡便且つ安定的に成膜することができる成膜方法が待ち望まれていた。
特許5306438号公報 特開2015-134717号公報
金子健太郎、「コランダム構造酸化ガリウム系混晶薄膜の成長と物性」、京都大学博士論文、平成25年3月
本発明は、簡単かつ容易に、工業的有利に、良質な非酸化物(例えば、リン化物、窒化物など)の皮膜を成膜できる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、第1の元素と、第1の元素とは異なる第2の元素とを少なくとも含有する原料と溶媒とを含む原料溶液を霧化または液滴化し、得られたミストまたは液滴をキャリアガスで搬送し、ついで該ミストまたは液滴を熱反応させて、少なくとも第1の元素と第2の元素とを含む皮膜を成膜する方法において、第1の元素として周期律表第14族又は第15族の元素を、第2の元素として、Dブロック元素又は周期律表第14族元素を用いて、不活性ガス又は還元性ガスの雰囲気下で熱反応により成膜すると、驚くべきことに、膜が酸化されることなく、良質な非酸化膜の皮膜を成膜でき、得られた皮膜が、耐腐食性等に優れていること等を種々知見し、このような成膜方法が従来の問題を一挙に解決できるものであることを見出した。
また、本発明者らは、上記知見を得た後、さらに検討を重ね、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に関する。
[1] 第1の元素と、第1の元素とは異なる第2の元素とを少なくとも含有する原料を霧化または液滴化し、得られたミストまたは液滴をキャリアガスで搬送し、ついで該ミストまたは液滴を熱反応させて、少なくとも第1の元素と第2の元素とを含む皮膜を成膜する方法であって、第1の元素が周期律表第14族又は第15族の元素であり、第2の元素が、Dブロック元素又は周期律表第14族元素であり、前記熱反応を、不活性ガス又は還元性ガスの雰囲気下で行うことを特徴とする成膜方法。
[2] 前記原料が、第1の元素と第2の元素とを含む化合物である前記[1]記載の成膜方法。
[3] 前記原料が、第1の元素の化合物および第2の元素の化合物である前記[1]記載の成膜方法。
[4] 第1の元素が周期律表第15族元素である前記[1]~[3]のいずれかに記載の成膜方法。
[5] 第1の元素が窒素である前記[1]~[4]のいずれかに記載の成膜方法。
[6] 第2の元素が、周期律表の第4周期Dブロック元素又は第14族元素である前記[1]~[5]のいずれかに記載の成膜方法。
[7] 第2の元素が、周期律表第14族元素である前記[1]~[6]のいずれかに記載の成膜方法。
[8] 前記原料溶液中の第1の元素と第2の元素との原子比が、1:2~10:1である前記[1]~[7]のいずれかに記載の成膜方法。
[9] 前記熱反応を、不活性ガスの雰囲気下で行う前記[1]~[8]のいずれかに記載の成膜方法。
[10] 前記熱反応を、500℃以上の温度で行う前記[1]~[9]のいずれかに記載の成膜方法。
本発明の成膜方法は、簡単且つ容易に、工業的有利に、良質な非酸化物(例えば、リン化物、窒化物など)の皮膜を成膜することができる。
実施例において用いられる成膜装置(ミストCVD装置)の概略構成図である。 実施例において得られた皮膜の外観写真である。 実施例において得られた皮膜の外観写真である。(a)は成膜前のハニカム基材を示し、(b)は成膜後のハニカム基材を示す。
本発明の成膜方法は、第1の元素と、第1の元素とは異なる第2の元素とを少なくとも含有する原料を霧化または液滴化し(霧化・液滴化工程)、得られたミストまたは液滴をキャリアガスで搬送し(搬送工程)、ついで該ミストまたは液滴を熱反応させて、少なくとも第1の元素と第2の元素とを含む皮膜を基体上に成膜する(成膜工程)方法であって、第1の元素が周期律表第14族又は第15族の元素であり、第2の元素が、Dブロック元素又は周期律表第14族元素であり、前記熱反応を、不活性ガス又は還元性ガスの雰囲気下で行うことを特長とする。
以下、本発明の好ましい態様について説明するが、本発明はこれら好ましい態様に限定されるものではない。
(基体)
前記基体は、前記皮膜を支持できるものであれば特に限定されない。前記基体の材料も、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、公知の基体であってよく、有機化合物であってもよいし、無機化合物であってもよい。前記基体の形状としては、例えば、平板や円板等の板状、繊維状、棒状、円柱状、角柱状、筒状、螺旋状、球状、リング状などが挙げられるが、本発明においては、基板が好ましい。また、本発明においては、前記基体が、凹凸形状を有する立体物であるのが好ましく、前記立体物としては、例えば、多孔質体などが挙げられ、より具体的には、ハニカム構造を有する多孔質体などが好適な例として挙げられる。前記基体が、このような立体物であっても、本発明によれば凹凸内部の隅々にいたるまで、良質な非酸化物を均一に成膜することができる。
また、前記基板は、板状であって、膜の支持体となるものであれば特に限定されない。絶縁体基板であってもよいし、半導体基板であってもよいし、導電性基板であってもよい。前記基板の形状は、特に限定されず、略円形状(例えば、円形、楕円形など)であってもよいし、多角形状(例えば、3角形、正方形、長方形、5角形、6角形、7角形、8角形、9角形など)であってもよく、様々な形状を好適に用いることができる。また、本発明においては、大面積の基板を用いることもでき、このような大面積の基板を用いることによって、前記単結晶膜の面積を大きくすることができる。本発明においては、前記基板が、コランダム構造を有する結晶物、β―ガリアを有する結晶物、六方晶の結晶構造を有する結晶物、正方晶の結晶構造を有する結晶物を主成分として含む基板であるのも好ましい。コランダム構造を有する結晶物を主成分として含む基板は、基板中の組成比で、コランダム構造を有する結晶物を50%以上含むものであれば、特に限定されないが、本発明においては、70%以上含むものであるのが好ましく、90%以上であるのがより好ましい。コランダム構造を有する結晶を主成分とする基板としては、例えば、サファイア基板(例:c面サファイア基板)や、α型酸化ガリウム基板などが挙げられる。β-ガリア構造を有する結晶物を主成分とする基板としては、例えばβ-Ga基板、又はGaとAlとを含みAlが0wt%より多くかつ60wt%以下である混晶体基板などが挙げられる。六方晶の結晶構造を有する結晶物を主成分とする基板としては、例えば、SiC基板、ZnO基板、GaN基板等が挙げられる。正方晶の結晶構造を有する基板としては、例えば、主面が(100)結晶面又は(200)結晶面の正方晶の結晶構造を有している基板などが挙げられる。前記基板の厚さは、本発明においては特に限定されないが、好ましくは、50~2000μmであり、より好ましくは200~800μmである。
(原料)
原料は、第1の元素と、第1の元素とは異なる第2の元素とを少なくとも含有しており、霧化または液滴化が可能なものであれば、特に限定されない。本発明においては、前記原料は、通常、溶媒とともに原料溶液として用いられる。原料溶液中の前記原料の含有量は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、好ましくは、0.001モル%~50モル%であり、より好ましくは0.01モル%~50モル%である。また、前記原料溶液中の第1の元素と第2の元素との混合割合も、特に限定されないが、本発明においては、前記原料溶液中の前記原料溶液中の第1の元素と第2の元素との原子比が、1:10~20:1であるのが、より良好に第1の元素と第2の元素との化合物を成膜できるため、好ましく、1:2~10:1であるのがより好ましい。
第1の元素は、周期律表の第14族又は第15族の元素であれば、特に限定されない。ここで、「周期律表」は、国際純正応用化学連合(International Union of Pure and Applied Chemistry)(IUPAC)にて定められた周期律表を意味する。周期律表の第14族の元素としては、例えば、炭素(C)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)または鉛(Pb)等が挙げられる。本発明においては、第14族の元素が、炭素またはケイ素であるのが、非酸化物の皮膜をより良好に成膜できるため、好ましく、ケイ素であるのがより好ましい。周期律表の第15族の元素としては、例えば、窒素(N)リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)またはビスマス(Bi)等が挙げられる。本発明においては、第15族の元素が、窒素またはリンであるのが好ましく、窒素であるのがより好ましい。
第2の元素は、Dブロック元素又は周期律表第14族元素であれば、特に限定されない。「Dブロック元素」は、3d、4d、5d、および6d軌道を満たす電子を有する元素をいう。前記Dブロック元素としては、例えば、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、ローレンシウム(Lr)、ラザホージウム(Rf)、ドブニウム(Db)、シーボーギウム(Sg)、ボーリウム(Bh)、ハッシウム(Hs)、マイトネリウム(Mt)、ダームスタチウム(Ds)、レントゲニウム(Rg)またはコペルニシウム(Cn)などが挙げられる。本発明においては、前記Dブロック元素が、周期律表の第4周期Dブロック元素(スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、または亜鉛)であるのが、第1の元素と第2の元素との化合物をより良好に成膜することができるため、好ましい。周期律表第14族元素としては、上記した周期律表第14族の元素等が挙げられる。本発明においては、第2の元素が、周期律表の第4周期Dブロック元素又は第14族元素であるのが好ましく、周期律表の第14族元素であるのがより好ましい。
本発明においては、第1の元素が周期律表第15族の元素であって、第2の元素が周期律表第14族の元素であるのが、好ましい。このような好ましい第1の元素と第2の元素との組み合わせを用いることにより、前記皮膜がより酸化されにくく、より耐食性に優れた前記皮膜を得ることができる。
前記原料は、第1の元素と、第1の元素とは異なる第2の元素とを少なくとも含有すればそれでよく、第1の元素および第2の元素以外の他の元素を含んでいてもよい。本発明においては、前記原料が第1の元素と第2の元素とを含む化合物であるのが好ましい。このような好ましい原料を用いることにより、第1の元素と第2の元素との化合物を含む皮膜を成膜することができる。また、本発明においては、前記原料が第1の元素の化合物および第2の元素の化合物であるのも好ましい。このような原料を用いることにより、第1の元素と第2の元素との化合物を含む皮膜を成膜することができる。また、本発明においては、前記皮膜が、主成分に第1の元素と第2の元素を含むのが好ましく、主成分に第1の元素と第2の元素との化合物を含むのがより好ましい。ここで、「主成分」とは、例えば、前記皮膜が主成分に窒化チタンを含む場合には、膜中の元素中の窒素およびチタンの原子比が、0.5以上の割合で窒化チタンが含まれていればそれでよい。本発明においては、前記膜中の元素中の窒素およびチタンの原子比が、0.7以上であるのが好ましく、0.8以上であるのがより好ましい。第1の元素と第2の元素とを含む化合物は、第1の元素と第2の元素とを含んでいれば、特に限定されず、無機化合物であってもよいし、有機化合物であってもよい。また、第1の元素の化合物は、第1の元素を含んでいれば、特に限定されず、無機化合物であってもよいし、有機化合物であってもよい。第2の元素の化合物は、第2の元素を含んでいれば、特に限定されず、無機化合物であってもよいし、有機化合物であってもよい。また、本発明においては、第1の元素が窒素であり、前記皮膜が、第2の元素の窒化物を含むのが、より良好により均質な成膜を行うことができるため、好ましく、第1の元素がリンであり、前記皮膜が、第2の元素のリン化物を含むのも、より良好により均質な成膜を行うことができるため好ましい。
前記溶媒は、特に限定されず、公知の溶媒であってよい。水等の無機溶媒であってもよいし、アルコールまたはエーテル等の有機溶媒であってもよい。前記水としては、具体的には、例えば、純水、超純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水、海水などが挙げられる。本発明においては、前記溶媒が、有機溶媒であるのが、少なくとも第1の元素と第2の元素とを含む多元系の皮膜をより良好に成膜できるので、好ましく、酸素原子非含有有機溶媒であるのがより好ましい。前記酸素原子非含有有機溶媒としては、例えば、炭化水素系溶媒または芳香族系溶媒等が挙げられる。前記炭化水素系溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカリン等の脂肪族炭化水素系溶媒またはシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶媒等が挙げられる。前記芳香族系溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン類、エチルベンゼン、エチルトルエン、エチルキシレン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン等のアルキルベンゼン類、あるいはメチルナフタレン、エチルナフタレン、ジメチルナフタレン等のアルキルナフタレン類、その他アルキルビフェニル類、アルキルアントラセン類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族類等が挙げられる。
また、前記原料溶液には、ドーパントが含まれていてもよい。原料溶液にドーパントを含ませることにより、イオン注入等を行わずに、結晶構造を壊すことなく、前記皮膜の導電性を容易に制御することができる。前記ドーパントとしては、特に限定されず、公知のドーパントであってよい。前記ドーパントの濃度は、通常、約1×1016/cm~1×1022/cmであってもよいし、また、ドーパントの濃度を例えば約1×1017/cm以下の低濃度にしてもよいし、ドーパントを約1×1020/cm以上の高濃度で含有させてもよい。
(霧化・液滴化工程)
霧化・液滴化工程は、原料溶液を霧化または液滴化する。原料溶液の霧化手段または液滴化手段は、原料溶液を霧化または液滴化できさえすれば特に限定されず、公知の手段であってよいが、本発明においては、超音波を用いる霧化手段または液滴化手段が好ましい。超音波を用いて得られたミストまたは液滴は、初速度がゼロであり、空中に浮遊するので好ましく、例えば、スプレーのように吹き付けるのではなく、空間に浮遊してガスとして搬送することが可能なミストであるので衝突エネルギーによる損傷がないため、非常に好適である。液滴サイズは、特に限定されず、数mm程度の液滴であってもよいが、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは0.1~10μmである。
(搬送工程)
搬送工程では、キャリアガスでもって前記ミストまたは前記液滴を成膜室内に搬送する。前記キャリアガスは、通常、不活性ガスまたは還元性ガスであり、より具体的に例えば、窒素やアルゴン等の不活性ガス、または水素ガスやフォーミングガス等の還元ガスが好適な例として挙げられる。また、キャリアガスの種類は1種類であってよいが、2種類以上であってもよく、流量を下げた希釈ガス(例えば10倍希釈ガス等)などを、第2のキャリアガスとしてさらに用いてもよい。また、キャリアガスの供給箇所も1箇所だけでなく、2箇所以上あってもよい。キャリアガスの流量は、特に限定されないが、0.01~20L/分であるのが好ましく、1~10L/分であるのがより好ましい。希釈ガスを用いる場合には、希釈ガスの流量が、0.001~10L/分であるのが好ましく、0.1~10L/分であるのがより好ましい。
(成膜工程)
成膜工程では、成膜室内で前記ミストまたは液滴を、不活性ガス又は還元性ガスの雰囲気下で熱反応させることによって、前記基体上に、皮膜を成膜する。熱反応は、熱でもって前記ミストまたは液滴が反応すればそれでよく、化学反応であってもよいし、物理反応であってもよい。その他の反応であってもよい。本発明においては、前記熱反応を不活性ガス又は還元性ガスの雰囲気下で行うことが肝要であり、通常、不活性ガス又は還元性ガスで成膜室内を置換した後、成膜室を開放せずに、その雰囲気を維持したまま、熱反応を行う。従来、ミストCVD法でも金属酸化膜の成膜に例えば窒素ガスがキャリアガスとして用いられていたが、大気圧開放系で成膜するので、成膜室に流入した酸素の影響も受けていたが、このようにすることによって、酸素の悪影響を避けることができる。反応条件等も本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。本工程においては、前記熱反応を、通常、溶媒の蒸発温度以上の温度で行うが、500℃以上がより好ましく、550℃以上が最も好ましい。また、例えば、第1の元素が窒素である場合には、前記熱反応を、750℃以上で行うのが好ましい。また、熱反応は、不活性ガス又は還元性ガスの雰囲気下で行われれば、本発明の目的を阻害しない限り、大気圧下、加圧下および減圧下のいずれの条件下で行われてもよい。本発明においては、前記熱反応を、不活性ガスの雰囲気下で行うのが好ましく、大気圧下で且つ不活性ガスの雰囲気下で行うのがより好ましい。なお、膜厚は、成膜時間を調整することにより、設定することができる。
上記のようにして成膜することにより、簡単且つ容易に、工業的有利に非酸化物(例えば、リン化物、窒化物など)の皮膜を成膜することができる。また、得られた皮膜は、耐腐食性、耐摩耗性およびバリア性に優れており、工業的に有用なものである。前記皮膜は、そのままで又は必要に応じて表面処理等が施されて、各種機器若しくは部材又はその部品等に用いられる。前記機器としては、電子機器又は光学機器などが好適な例として挙げられる。前記電子機器又は光学機器としては、例えば、光学物品、電気機器、電子部品、燃料電池、太陽電池、車両、産業用機器などが挙げられる。前記部材としては、例えば、超硬工具類又は金型類等の超硬材などが挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
1.成膜装置
図1を用いて、本実施例で用いたミストCVD装置を説明する。ミストCVD装置19は、基板20を載置するサセプタ21と、キャリアガスを供給するキャリアガス供給手段22aと、キャリアガス供給手段22aから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁23aと、キャリアガス(希釈)を供給するキャリアガス(希釈)供給手段22bと、キャリアガス(希釈)供給手段22bから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁23bと、原料溶液24aが収容されるミスト発生源24と、水25aが入れられる容器25と、容器25の底面に取り付けられた超音波振動子26と、内径40mmの石英管からなる供給管27と、供給管27の周辺部に設置されたヒーター28とを備えている。サセプタ21は、石英からなり、基板20を載置する面が水平面から傾斜している。成膜室となる供給管27とサセプタ21をどちらも石英で作製することにより、基板20上に形成される膜内に装置由来の不純物が混入することを抑制している。
2.原料溶液の作製
ポリシラザンをキシレンに混合し、これを原料溶液24aとした。なお、原料溶液中のポリシラザンと、キシレンとの体積比は、1:1とした。
3.成膜準備
上記2.で得られた原料溶液24aをミスト発生源24内に収容した。次に、基板20として、サファイア基板をサセプタ21上に設置し、ヒーター28を作動させて成膜室27内の温度を750℃にまで昇温させた。次に、流量調節弁23a、23bを開いて、キャリアガス源であるキャリアガス供給手段22a、22bからキャリアガスを成膜室27内に供給し、成膜室27の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を10L/minに、キャリアガス(希釈)の流量を10L/minに調節した。なお、キャリアガスとして窒素を用いた。
4.皮膜の形成
次に、超音波振動子26を2.4MHzで振動させ、その振動を、水25aを通じて原料溶液24aに伝播させることによって、原料溶液24aを微粒子化させて原料微粒子を生成した。この原料微粒子が、キャリアガスによって成膜室27内に導入され、大気圧下、750℃にて、供給管27内でミストが反応して、基板20上に透明な皮膜が形成された。なお、得られた膜の膜厚は350nmであった。また、得られた膜の外観写真を、図2に示す。
(評価)
上記で得られた皮膜につき、エネルギー分散型X線分析装置(EDS:Energy Dispersive X-ray Spectrometer)およびX線回折装置を用いて膜の同定を行ったところ、得られた膜は、α―Siであった。また、テスターを用いて電気伝導性を評価したところ、絶縁体であった。
(実施例2)
基板に代えて、図3(a)に示すハニカム基材を用いたこと、原料にリンを用いたこと、キャリアガスの流量を5.0L/minとしたこと、キャリアガス(希釈)を用いなかったこと、成膜温度を500℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、皮膜を成膜した。結果を図3(b)に示す。図3(b)から明らかな通り、ハニカム基材であっても凹凸内部にいたるまで均一に成膜された黒色の皮膜が得られた。
本発明の成膜方法は、電子部品・電気機器部品、光学・電子写真関連装置、工業部材など、非酸化物膜(例えば、リン化物、窒化物など)が用いられるあらゆる分野に有用である。
19 ミストCVD装置
20 基板
21 サセプタ
22a キャリアガス供給手段
22b キャリアガス(希釈)供給手段
23a 流量調節弁
23b 流量調節弁
24 ミスト発生源
24a 原料溶液
25 容器
25a 水
26 超音波振動子
27 供給管
28 ヒーター
29 排気口

Claims (10)

  1. 第1の元素と、該第1の元素とは異なる第2の元素とを少なくとも含有する原料を霧化または液滴化してミストまたは液滴を浮遊させ、該ミストまたは液滴キャリアガスを供給し、該キャリアガスでもって前記ミストまたは液滴を基体まで搬送し、ついで該ミストまたは液滴を前記基体上で熱反応させて、少なくとも前記第1の元素と前記第2の元素とを含む皮膜を成膜する方法であって、前記第1の元素が周期律表第14族又は第15族の元素であり、前記第2の元素が、Dブロック元素又は周期律表第14族元素であり、前記熱反応を、不活性ガス又は還元性ガスの雰囲気下で行うことを特徴とする成膜方法。
  2. 前記原料が、前記第1の元素と前記第2の元素とを含む化合物である請求項1記載の成膜方法。
  3. 前記原料が、前記第1の元素の化合物および前記第2の元素の化合物である請求項1記載の成膜方法。
  4. 前記第1の元素が周期律表第15族元素である請求項1~3のいずれかに記載の成膜方法。
  5. 前記第1の元素が窒素である請求項1~4のいずれかに記載の成膜方法。
  6. 前記第2の元素が、周期律表の第4周期Dブロック元素又は第14族元素である請求項1~5のいずれかに記載の成膜方法。
  7. 前記第2の元素が、周期律表第14族元素である請求項1~6のいずれかに記載の成膜方法。
  8. 前記原料中の前記第1の元素と前記第2の元素との原子比が、1:2~10:1である請求項1~7のいずれかに記載の成膜方法。
  9. 前記熱反応を、不活性ガスの雰囲気下で行う請求項1~8のいずれかに記載の成膜方法。
  10. 前記熱反応を、500℃以上の温度で行う請求項1~9のいずれかに記載の成膜方法。
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