以下、図1~図28を用い、実施形態に係る画像形成システム100を説明する。画像形成システム100は、画像形成装置1と物品2を搬送する搬送装置3を含む。本実施形態の説明に記載されている構成、配置等の各要素は発明の範囲を限定せず単なる説明例にすぎない。
(画像形成システム100)
図1を用いて、実施形態に係る画像形成システム100の一例を説明する。図1は、実施形態に係る画像形成システム100の一例を示す図である。
搬送装置3は物品2を搬送する装置である。搬送装置3は、複数本の搬送用のローラーを含む。ローラーの上に物品2が置かれる。搬送用のローラーが回転する。搬送装置3は、一定の速度で物品2を搬送する。搬送装置3は、物品2の印刷面21を正面とした場合の幅方向であるX軸方向で物品2を搬送する。
図1では、商品が収められた梱包箱(組み立て済のダンボール箱)を物品2の一例として図示している。例えば、梱包箱には、印刷用容器が収められる。印刷用容器はトナーやインクのような色材を収容容器である。例えば、トナーの収容容器はトナーコンテナと称されることもある。なお、梱包箱に収める商品に特に限定されない。また、物品2は梱包箱に限られない。
画像形成装置1は搬送される物品2に印刷を行う。図1に示すように、画像形成装置1は基礎台1aの上に設けられる。言い換えると、画像形成装置1は基礎台1aを含む。基礎台1aの下面、かつ、基礎台1aの4隅にコロ1bが設けられる。画像形成装置1の全体を押して移動させることができる。つまり、搬送ライン(搬送装置3)に後付的に画像形成装置1を設置することができる。例えば、既存の搬送ラインに画像形成装置1を追加することができる。既存の搬送装置3と画像形成装置1を組み合わせて、画像形成システム100とすることができる。また、画像形成装置1と画像形成装置1専用の搬送装置3を組み合わせて、画像形成システム100を構築してもよい。
画像形成装置1は搬送されている(移動している)物品2に印刷を行える。例えば、搬送装置3は、一定速度で物品2を搬送する。画像形成装置1のヘッド5は搬送されている物品2に印刷する。物品2のライン搬送を止めずに印刷することができる。
従来、印刷用ヘッドは固定される。この場合、2次元的に画像を印刷するには、印字対象物を移動させる必要がある。一方、画像形成装置1はヘッド5を3次元的に移動できる(詳細は後述)。そのため、画像形成装置1は、停止状態の物品2に印刷を行うことができる。図1では、画像形成装置1の前面で物品2の搬送方向を90度切り替える搬送装置3を図示している。図1の例では、搬送装置3は、画像形成装置1の前で物品2を一度停止させる。つまり、搬送装置3は、ヘッド5の印刷開始前(インク吐出前)に物品2を停止させる。画像形成装置1のヘッド5は、停止状態の物品2に印刷する。ヘッド5による印刷完了後、搬送装置3は物品2の搬送を再開する。搬送装置3は、次の物品2(未印刷の物品2)を画像形成装置1の前面まで搬送し、停止させる。
(画像形成装置1)
次に、図1、図2を用いて、実施形態に係る画像形成装置1の一例を説明する。図2は、実施形態に係る画像形成装置1の一例を示す図である。
画像形成装置1は制御部4を含む。制御部4は画像形成装置1の動作を制御する。制御部4は基板である。図1に示す制御装置10の内部に制御部4が設けられる。制御部4はCPU41と画像処理部42を含む。画像処理部42は、印刷に用いる画像データD2に対し、画像処理を行う。CPU41は、記憶部43に記憶される制御プログラムや制御データに基づき処理を行う。記憶部43は、ROM、HDD、フラッシュROMのような不揮発性の記憶装置を含む。また、記憶部43はRAMのような揮発性の記憶装置を含む。
画像形成装置1は、ヘッド5を含む。ヘッド5は、列状に並べられたノズル51を含む。以下の説明では、ヘッド5は黒インクを吐出する例を説明する。図1、図2に示すように、画像形成装置1には複数のインクタンク11が設けられる。インクタンク11内に、インクが充填される。インクタンク11からヘッド5にインクが供給される。なお、図1には、3つのタンクが図示されている。図1のインクタンク11のうち、左端のインクタンク11は、サブタンクである。サブタンクは、ヘッド5にインクを供給する。ヘッド5とサブタンク内のインク上面との水頭差を生成するため、サブタンクが設けられる。サブタンクはインク漏れや吐出不良が生じず、水頭差が適切となる位置に設けられる。右端のインクタンク11は、メインタンクである。メインタンクはサブタンクにインクを供給する。中央のインクタンク11は、不要なインクを回収するためのタンクである。
なお、ヘッド5は、カラー印刷対応のものでもよい。例えば、ヘッド5は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインクを吐出してもよい。カラー対応のヘッド5の場合、各色のノズル51が列状に並べられる。
制御部4はヘッド5に画像を印刷させる。制御部4は、画像データD2に基づき、ヘッド5の各ノズル51から物品2の印刷面21にインクを吐出させる。そして、画像形成装置1は移動部6を含む。移動部6は、少なくとも2つの軸方向でヘッド5を移動させる。具体的に、移動部6は3軸方向でヘッド5を移動させる。移動部6は、第1移動機構61、第2移動機構62、第3移動機構63を含む。第1移動機構61は、Z軸方向でヘッド5を移動させる。第2移動機構62は、Y軸方向でヘッド5を移動させる。第3移動機構63はX軸方向でヘッド5を移動させる。Z軸方向は、印刷面21を正面とした場合の奥行方向である。Y軸方向は、印刷面21を正面とした場合の高さ方向である。X軸方向は、印刷面21を正面とした場合の横(幅)方向である。X軸方向は物品2の搬送方向でもある。ノズル51がY軸方向に沿って並ぶように、ヘッド5が移動部6に取り付けられる。制御部4は、移動部6を制御する。つまり、制御部4は、ヘッド5の位置を制御する。
速度センサー44は、物品2のX軸方向での移動速度を検知するためのセンサーである。例えば、速度センサー44は、レーザー光、マイクロ波、超音波などを物品2に照射する。速度センサー44は、物品2の反射波の周波数変化から速度を測定する。速度センサー44は、測定した速度を示す信号を制御部4に入力する。制御部4は、速度センサー44の出力に基づき、物品2の搬送速度を認識する。停止した物品2にのみ印刷する場合、速度センサー44は不要である。
画像形成装置1はキャップ部7を含む。キャップ部7はヘッド5に被せられる。インクの乾燥を防ぐとき、制御部4は、キャップ部7の位置までヘッド5を移動部6に移動させる。キャップ部7は、板金をゴムで被膜した部材である。例えば、キャップ部7は、凹型の形状である。凹んでいる部分にヘッド5の露出面側の端部が嵌め込まれる。露出面は、ヘッド5のうち、ノズル51が露出する面である。キャップ部7はノズル51の露出面を密封する。キャップ部7はノズル51からのインクの蒸発を防ぐ。
画像形成装置1はクリーニング部8を含む。クリーニング部8は、清掃部材81と洗浄部82を含む。清掃部材81は、板状(ブレード)である。清掃部材81は、例えば、ゴム製である。クリーニング時、ブレードの先端がノズル51に当てられる。制御部4は、ノズル51のクリーニングのため、ヘッド5を移動部6に移動させる。ヘッド5は、ノズル51の先端がブレードで擦られるように、ヘッド5を移動させる。これにより、清掃部材81は、ゴミ、ホコリ、粘度が高くなったインクを掻き取る。
洗浄部82は、ノズル51を擦る前の清掃部材81にクリーニング液を流す(吹き付ける)。清掃部材81の摩擦が軽減される。ノズル51を擦ったときに、ノズル51でダメージが生じないようにする。また、洗浄部82は、クリーニング後の清掃部材81をクリーニング液で洗う。洗浄部82は、清掃部材81に付着したインクを洗い落とす。
画像形成装置1は操作パネル9を含む。操作パネル9は、表示パネル91、タッチパネル92を含む。操作パネル9は制御装置10に設けられる(図6参照)。表示パネル91は設定画面や情報を表示する。表示パネル91は、キー、ボタン、タブのような操作用画像を表示する。タッチパネル92は、表示パネル91へのタッチ操作を検知する。タッチパネル92の出力に基づき、制御部4は、操作された操作用画像を認識する。制御部4は、使用者が行った設定操作を認識する。
また、画像形成装置1は、タイミングセンサー45を含む。タイミングセンサー45は、印刷開始時点を定めるためのセンサーである。タイミングセンサー45は、物品2の搬送方向下流側の先頭部分が、予め定められた地点に到達したことを検知する。制御部4は、タイミングセンサー45による先頭到達検知に基づき、印刷開始タイミングを定める。
通信部48は、コンピューター200と通信する。コンピューター200は、例えば、PCやサーバーである。通信部48は、コンピューター200から印刷用データD1を受信する。制御部4は、印刷用データD1に基づき、ヘッド5を移動させる。また、制御部4は、印刷用データD1に基づき、ヘッド5にインクを吐出させる。
(ヘッド5)
次に、図3、図4を用いて、実施形態に係るヘッド5の一例を説明する。図3、図4は、実施形態に係るヘッド5の一例を示す図である。
ヘッド5は物品2を印刷する。物品2の印刷面21にインクを吹き付ける。ヘッド5はY軸方向に沿って並べられた複数のノズル51を含む。ヘッド5は数千個のノズル51を含む。Y軸方向の上端のノズル51から下端のノズル51までの長さがヘッド5のY軸方向の描画幅となる。主走査方向の間隔が均等になるようにノズル51が形成される。ノズル51の開口からインクが吐出される。各ノズル51に対し、駆動素子53が設けられる。駆動素子53は、例えば、ピエゾ素子のような圧電素子である。
図3に示すように、ヘッド5は複数のドライバー回路52を含む。ドライバー回路52は各駆動素子53への電圧印加のON/OFFを行う。制御部4は、1ラインごとに、画像データD2(インクを吐出すべきノズル51を示すデータ)を各ドライバー回路52に与える。ドライバー回路52は、インクを吐出すべきノズル51の駆動素子53にパルス状の電圧を印加する。駆動素子53は、電圧印加により変形する。変形の圧力がノズル51にインクを供給する流路(不図示)に加わる。流路への圧力により、ノズル51からインクが吐出される。一方、ドライバー回路52は、インクを吐出させない画素に対応する駆動素子53に電圧を印加しない。ドライバー回路52はインク吐出を実際に制御する。
また、ヘッド5には、複数種の大きさの異なる電圧を生成する電圧生成回路55を含む。ドライバー回路52は、電圧生成回路55が生成する電圧のうち、何れか1つを駆動素子53に印加する。印加される電圧が大きいほど、駆動素子53の変形が大きくなる。その結果、吐出されるインクの液滴の量が多くなる。印加される電圧が小さいほど、駆動素子53の変形が小さくなる。その結果、吐出されるインクの液滴の量が少なくなる。ドライバー回路52は、吐出されるインクの液滴の量を調整することができる。
図4に示すように、ヘッド5のノズル51は、複数のノズルブロック5Bに分割される。図4は、列状のノズル51を4つのブロックに分割する例を示す。ドライバー回路52は、1つのノズルブロック5Bに含まれるノズル51からのインク吐出を制御する。
また、制御部4は、駆動信号生成回路4aを含む。駆動信号生成回路4aは駆動信号S1を生成する。駆動信号S1は、ヘッド5を駆動するための信号である。駆動信号生成回路4aは、例えば、クロック信号を生成する。ヘッド5(ドライバー回路52)は、駆動信号S1が1回立ち上がるごとに、インクを吐出させる。インク吐出の基準周期が予め定められる。制御部4は、基準周期でインクが吐出される周波数の駆動信号S1を駆動信号生成回路4aに生成させる。
(移動部6)
次に、図5~図7を用いて、実施形態に係る移動部6の一例を説明する。図5は、実施形態に係る移動部6の一例を示す。図6は、画像形成装置1を上面から見た図の一例を示す。図7は、画像形成装置1の斜視図の一例を示す図である。
第1移動機構61はZ軸方向でヘッド5を移動させる。第1移動機構61は、第1アーム61aを含む。第1アーム61aは四角柱状の部材である。第1アーム61aは、第1モーター61b、第1移動部材61c、第1移動体61dを内蔵する。第1モーター61bは、例えば、ステッピングモーターである。第1モーター61bは正方向と逆方向の両方で回転できる。制御部4は第1モーター61bの回転を制御する。第1モーター61bは第1移動部材61cを回転させる。第1移動部材61cは、例えば、ボールねじである。第1移動体61dはボールねじに取り付けられたナットと一体化している。第1モーター61bが第1移動部材61cを回転させる。これにより、第1モーター61bの回転運動が直線運動に変換される。その結果、第1移動体61dがZ軸方向で移動する。第1アーム61aは第1移動体61dの移動をガイドする。
第1移動体61dにヘッド5が取り付けられる(接続される)。ヘッド5は、ノズル51がY軸方向(上下方向)に沿って並ぶように、第1移動体61dに取り付けられる。第1移動体61dの移動にあわせて、ヘッド5がZ軸方向で移動する。第1モーター61bを回転させることにより、制御部4は、ヘッド5(ノズル51)と物品2(印刷面21)との距離を変化させる。
第2移動機構62はY軸方向(上下方向)でヘッド5を移動させる。第2移動機構62は第2アーム62aを含む。第2アーム62aは四角柱状の部材である。第2アーム62aは、第2モーター62b、第2移動部材62c、第2移動体62dを内蔵する。第2モーター62bは、例えば、ステッピングモーターである。第2モーター62bは正方向と逆方向の両方で回転できる。制御部4は第2モーター62bの回転を制御する。第2モーター62bは第2移動部材62cを回転させる。第2移動部材62cは、例えば、ボールねじである。第2移動体62dは、ボールねじに取り付けられたナットと一体化している。第2モーター62bが第2移動部材62cを回転させる。これにより、第2モーター62bの回転運動が直線運動に変換される。その結果、第2移動体62dが移動する。第2アーム62aは第2移動体62dの移動をガイドする。
第2移動体62dは、第1移動機構61の一部と接続される。例えば、第1アーム61aのZ軸方向の端部と第2移動体62dが接続される。第1アーム61aのZ軸方向の端部のうち、物品2から遠い方の端部が第2移動体62dと接続される。第2移動体62dの移動にあわせて、ヘッド5がY軸方向(高さ)で移動する。第2モーター62bを回転させることにより、制御部4は、ヘッド5(ノズル51)の高さを変化させられる。
第3移動機構63はX軸方向(上下方向)でヘッド5を移動させる。図5に示すように、第3移動機構63は第3アーム63aを含む。第3アーム63aは四角柱状の部材である。第3アーム63aは、第3モーター63b、第3移動部材63c、第3移動体63dを内蔵する。第3モーター63bは、例えば、ステッピングモーターである。第3モーター63bは正方向と逆方向の両方で回転できる。制御部4は第3モーター63bの回転を制御する。第3モーター63bは第3移動部材63cを回転させる。第3移動部材63cは、例えば、ボールねじである。第3移動体63dは、ボールねじに取り付けられたナットと一体化している。第3モーター63bが第3移動部材63cを回転させる。これにより、第3モーター63bの回転運動が直線運動に変換される。その結果、第3移動体63dが移動する。第3アーム63aは第3移動体63dの移動をガイドする。
第3移動体63dは、第2移動機構62の一部と接続される。例えば、第2移動機構62の第2アーム62aのY軸方向の下端部と第3移動体63dが接続される。第3移動体63dの移動にあわせて、ヘッド5がX軸方向で移動する。X軸方向は、物品2の左右方向、物品2の搬送方向でもある。第3モーター63bを回転させることにより、制御部4は、ヘッド5のX軸方向での位置を変化させられる。
制御部4は、第1モーター61b、第2モーター62b、第3モーター63bの回転数、回転角度、回転方向を管理、把握する。これにより、制御部4は、Z軸方向、Y軸方向、X軸方向でのヘッド5の位置を管理し、認識する。
(ヘッド5の退避)
次に、図6、図8を用いて、実施形態に係る画像形成装置1でのヘッド5の退避の一例を説明する。図8は、実施形態に係る画像形成装置1でのヘッド5の退避の流れの一例を示す図である。
ノズル51が露出している状態では、ノズル51からインク中の一部の成分が蒸発(揮発)する。蒸発が進むと、インクの粘度が高くなる。インクの粘度が高くなると、ノズル51の目詰まりが生ずることがある。例えば、ノズル51を露出したまま放置した場合、目詰まりが生ずる。目詰まりは、駆動素子53に電圧を印加してもインクが吐出されない状態である。画質を保つには、目詰まりの発生を防ぐ必要がある。
そこで、画像形成装置1はキャップ部7を含む。キャップ部7はヘッド5のノズル51露出面に被せられる。キャップ部7はインクの乾燥を防ぐ。図6では、物品2の搬送方向下流側にキャップ部7を設ける例を示している。ヘッド5に合わせ、キャップ部7の長手方向がY軸方向とされる。また、画像形成装置1では、キャップ部7は、搬送ラインを構成するローラーの下方に設けられる。なお、キャップ部7の設置位置に特に制限はない。印刷の妨げにならない位置にキャップ部7を設けることができる。
図8は、キャップ部7へのヘッド5の退避の流れの一例を示す。図8のスタートは退避条件が満たされた時点である。制御部4は、退避条件が満たされたか否かを判定する。退避条件は予め定められる。例えば、制御部4は、操作パネル9がヘッド5の退避指示を受け付けたとき、退避条件が満たされたと判定する。つまり、使用者がヘッド5の退避を指示する入力を操作パネル9に行ったことを退避条件としてもよい。例えば、搬送ラインの故障により、長時間の印刷停止が予想されるとき、使用者は、退避指示を操作パネル9に入力する。
また、制御部4は、予め定められた退避時刻になったとき、退避条件が満たされたと判定してもよい。退避時刻は物品2への印刷を停止する時間とできる。例えば、退避時刻は、昼休みの開始時刻としてもよい。また、退避時刻は終業時刻としてもよい。操作パネル9は、退避時刻の設定を受け付ける。記憶部43は、設定された退避時刻を記憶する。また、制御部4は、所定個数の印刷が完了したとき、退避条件が満たされたと判定してもよい。例えば、1ロット(搬送ラインでの処理単位)の物品2の印刷が完了したとき、制御部4は退避条件が満たされたと判定する。
まず、制御部4は、退避位置を確認する(ステップ♯11)。記憶部43は、X軸、Y軸、Z軸の各方向での退避位置の座標を記憶する(図10参照)。制御部4は、記憶部43の退避位置の座標を確認する。制御部4は、退避位置に向けて、ヘッド5を移動部6に移動させる(ステップ♯12)。これにより、ヘッド5のキャップ部7への嵌め込みが行われる(ステップ♯13)。そして、インクが乾燥しない状態でヘッド5が維持される。そして、本フローは終了する。なお、印刷を開始するとき、制御部4は、退避位置から印刷位置に向けて、移動部6にヘッド5を移動させる。印刷を開始するとき、ヘッド5の退避が解除される。
(ヘッド5のクリーニング)
次に、図6、図9を用いて、実施形態に係る画像形成装置1でのヘッド5のクリーニングの流れの一例を説明する。図9は、実施形態に係る画像形成装置1のヘッド5のクリーニングの流れの一例を示す図である。
使用しているうちに、一部のノズル51のインクの粘度が高くなることがある。例えば、Y軸方向の描画幅の狭い画像を連続して印刷する場合、使用されないノズル51でインクの粘度が高くなることがある。また、使用しているうちに、空気中のホコリ、粉塵がノズル51に付着することがある。これらの要因により、目詰まりが生ずることがある。発生した目詰まりを解消するため、画像形成装置1は、ヘッド5(ノズル51)のクリーニング機能を有する。
画像形成装置1はクリーニング部8(清掃部材81)を含む。図6では、物品2の搬送方向下流側かつキャップ部7の上流側に清掃部材81を設ける例を示している。ノズル51の並び方向はY軸方向と平行とされる。そのため、清掃部材81(ブレード)の刃の方向がY軸方向と垂直なY軸方向(X軸方向)となるように、清掃部材81が設置される。なお、ブレードの刃の方向はY軸方向と平行でもよい。この場合、ブレードの長さはヘッドの長さと同じ以上とされる。クリーニング部8は、搬送ラインを構成するローラーの下方に設けられる。なお、クリーニング部8の設置位置に特に制限はない。印刷の妨げにならない位置にクリーニング部8を設けることができる。
図9は、ヘッド5のクリーニングの流れの一例を示す。図9のスタートは、予め定められたクリーニング条件が満たされた時点である。制御部4は、クリーニング条件が満たされたか否かを判定する。クリーニング条件は予め定められる。例えば、制御部4は、操作パネル9がノズル51のクリーニング指示を受け付けたとき、クリーニング条件が満たされたと判定する。つまり、使用者がヘッド5のクリーニングを指示する入力を操作パネル9に行ったことをクリーニング条件としてもよい。
また、制御部4は、予め定められたクリーニング時刻になったとき、クリーニング条件が満たされたと判定してもよい。例えば、クリーニング時刻は、昼休みの開始時刻としてもよい。また、クリーニング時刻は、終業時刻としてもよい。なお、操作パネル9は、クリーニング時刻の設定を受け付ける。記憶部43は、設定されたクリーニング時刻を記憶する。また、制御部4は、所定個数の物品2の印刷が完了したとき、クリーニング条件が満たされたと判定してもよい。例えば、1ロット(ラインでの処理単位)分の印刷が完了したとき、制御部4はクリーニング条件が満たされたと判定する。
印刷開始後、又は、直前のクリーニング後に所定個、物品2を印刷したとき、制御部4は、クリーニング条件が満たされたと判定してもよい。これにより、一定数印刷するごとに、ヘッド5をクリーニングすることができる。また、ヘッド5を退避位置に移動する前に、必ずヘッド5のクリーニングを行うようにしてもよい。この場合、制御部4は、退避条件が満たされたとき、クリーニング条件も満たされたと判定する。そして、ヘッド5にキャップ部7を被せる前に、制御部4は、ヘッド5をクリーニングする。
クリーニング条件が満たされたとき(スタート)、制御部4は、ヘッド5にパージ処理を行わせる(ステップ♯21)。パージ処理は、ノズル51からインクを吐き出させる(しみ出させる)処理である。インクの流路に圧力をかけるポンプ(不図示)が設けられてもよい。ポンプは、インクタンク11からヘッド5へのインク供給経路に設けられる。制御部4は、パージ処理のとき、ポンプを動作させる。ポンプはヘッド5内のインクの流路に圧力をかける。圧力により、目詰まりの原因(ホコリや高粘度状態のインク)をノズル51から吐き出させることができる。次に、制御部4は、清掃部材81へのクリーニング液の塗布を洗浄部82に行わせる(ステップ♯22)。制御部4は清掃部材81の表面のすべりをよくする。
まず、制御部4は、クリーニング開始位置を確認する(ステップ♯23)。クリーニング開始位置は、ヘッド5と清掃部材81のブレードの先端が接するヘッド5の位置である。記憶部43は、X軸、Y軸、Z軸の各方向でのクリーニング開始位置の座標を記憶する(図10参照)。制御部4は、記憶部43のクリーニング開始位置の座標を確認する。そして、制御部4は、クリーニング開始位置に向けて、ヘッド5を移動部6に移動させる(ステップ♯24)。
続いて、制御部4は、移動部6にワイプ処理を行わせる(ステップ♯25)。ワイプ処理のとき、制御部4は、ヘッド5を移動部6に移動させる。具体的に、制御部4は、清掃部材81(ブレード)とノズル51が接した状態で、Y軸方向でヘッド5を往復させる。なお、ブレードの刃の方向がY軸方向と平行な場合、制御部4は、清掃部材81(ブレード)とノズル51が接した状態で、X軸方向でヘッド5を往復させる。全ノズル51が複数回、清掃部材81と接するように、制御部4はヘッド5を移動させる。これにより、ノズル51が清掃部材81で擦られる。清掃部材81はノズル51の汚れをかき取る。そして、本フローは終了する(エンド)。ヘッド5のクリーニング後、印刷を再開するとき、制御部4は、印刷位置に向けて、移動部6にヘッド5を移動させる。ヘッド5のクリーニング後、キャップ部7をヘッド5に被せるとき、制御部4は、退避位置に向けて、移動部6にヘッド5を移動させる。
(印刷用データD1)
次に、図10を用いて、印刷用データD1について説明する。図10は、実施形態に係る画像形成装置1への印刷用データD1の入力の流れの一例を示す。
コンピューター200は、画像形成装置1の通信部48に印刷用データDを入力する。コンピューター200は、画像形成システム100の一部と考えることもできる。
コンピューター200は、処理部201、コンピューター記憶部202、入力デバイス205、表示デバイス206、コンピューター通信部207を含む。処理部201は、CPUのような処理回路を含む基板である。コンピューター記憶部202は、ROM、RAM、HDDを含む。コンピューター記憶部202は、印刷用データD1を生成するためのドライバーソフトウェア203を含む。また、コンピューター記憶部202は、印刷に用いる画像データD2を編集するための画像編集ソフトウェア204を含む。入力デバイス205は、キーボードやマウスのような入力機器である。使用者は入力デバイス205を用いて、画像データD2を編集し、印刷コマンドを入力する。表示デバイス206はディスプレイである。コンピューター通信部207は、画像形成装置1やその他の装置と通信するインターフェイスである。
使用者は、画像編集ソフトウェア204を用いて、物品2に印刷する画像の画像データD2を作成、編集する。例えば、バーコードを印刷する場合、使用者はバーコードの画像データD2を作成する。記号列(文字列)を印刷する場合、使用者は、記号列の画像データD2を作成する。外部からコンピューター200に取り込んだ画像データD2を物品2の印刷に用いてもよい。1つの物品2に複数種類の画像を印刷する場合、画像ごとに画像データD2が生成される。1つの画像データD2のY軸方向の幅は、ヘッド5の描画幅(ヘッド5がY軸方向で描画できる幅)以下とされる。
例えば、画像編集ソフトウェア204で印刷コマンドが実行されたとき、処理部201は、ドライバーソフトウェア203を起動させる。処理部201は、ドライバーソフトウェア203に基づき、印刷の設定用の画面を表示デバイス206に表示させる。入力デバイス205は、印刷の設定を受け付ける。例えば、入力デバイス205は、印刷位置(XY平面における印刷位置)、印刷解像度、画像の種類、吐出時間隔(詳細は後述)の設定を受け付ける。例えば、ヘッド5が印刷可能な複数の解像度のうち、何れか1つを選択できる。1つの物品2に複数種類の画像を印刷する場合、画像ごとに印刷の設定を行うことができる。
処理部201は、ドライバーソフトウェア203に基づき、印刷用データD1を生成する。印刷用データD1は、画像データD2と印刷設定情報D3を含む。処理部201は、選択された解像度の画像データD2を生成する。処理部201は設定された情報を印刷設定情報D3に含める。例えば、処理部201は、印刷位置、印刷解像度、画像の種類、吐出時間隔(詳細は後述)といった情報を含める。1つの物品2に複数種類の画像を印刷する場合、処理部201は、画像ごとに印刷用データD1を生成できる。
そして、処理部201は、画像形成装置1の通信部48に向けて、生成した印刷用データD1を送信する。その結果、画像形成装置1に印刷用データD1が入力される。記憶部43は、受信した印刷用データD1を記憶する。1つの物品2に複数種類の画像を印刷する場合、処理部201は、画像ごとに印刷用データD1を送信できる。そのため、画像形成装置1は、複数種類の画像データD2に基づき、1つの物品2を印刷できる。例えば、画像形成装置1は、物品2の印刷面21のうち、左上にQRコード(登録商標)、中央に記号列、右下にバーコードを印刷できる。
なお、コンピューター200から画像データD2のみを入力するようにしてもよい。この場合、画像形成装置1の操作パネル9が印刷の設定を受け付ける。画像形成装置1の制御部4が印刷用データD1を生成する。
(X軸方向、Y軸方向でのヘッド5の移動)
次に、図11~図16を用いて、実施形態に係るヘッド5のX軸方向での移動の一例を説明する。図11は、実施形態に係る停止物品印刷モードでの印刷の一例を示す図である。図12は、実施形態に係る停止物品印刷モードの印刷の流れの一例を示す図である。図13は、実施形態に係るヘッド固定モードでの印刷の一例を示す図である。図14は、実施形態に係るヘッド固定モードの印刷の流れの一例を示す図である。図15は、実施形態に係るヘッド移動モードでの印刷の一例を示す図である。図16は、実施形態に係るヘッド5移動の印刷の流れの一例を示す図である。
画像形成装置1は、X軸方向(物品2の搬送方向)でヘッド5を動かすことができる。従って、画像形成装置1は、停止している物品2を印刷することができる。また、画像形成装置1は、搬送されている物品2を印刷することもできる。以下、停止している物品2に印刷するモードを停止物品印刷モードと称する。また、搬送されている物品2を印刷するモードを搬送物品印刷モードと称する。
停止物品印刷モードで印刷するか、搬送物品印刷モードで印刷するかを操作パネル9で選択することができる。操作パネル9は、停止物品印刷モードで印刷するか、搬送物品印刷モードで印刷するかの選択を受け付ける。
1.停止物品印刷モード
印刷のために搬送装置3が物品2を停止させるとき、停止物品印刷モードが選択される。図11は、停止物品印刷モードでの印刷の一例を示す。図11では、物品2としてダンボール箱を例として示している。図11では、各移動機構と搬送装置3の図示を省略している。
図12を用いて、停止物品印刷モードでの1つの物品2の印刷の流れの一例を説明する。同じ物品2に同じ画像の印刷を繰り返す場合、1つの物品2ごとに、図12の処理が繰り返される。
図12のスタートは、停止物品印刷モードでの印刷を開始する時点である。例えば、搬送装置3は、タイミングセンサー45の物品2の到達検知後、予め定められた第1所要時間経過した時点で、物品2を停止させる。記憶部43は、第1所要時間を記憶する。操作パネル9で第1所要時間を設定することができる。制御部4は、タイミングセンサー45の物品2の到達検知後、第1所要時間を測る。図12のスタートは、タイミングセンサー45の物品2の到達検知後、第1所要時間が経過した時点である。
まず、制御部4は、印刷に用いる画像データD2を認識する(ステップ♯31)。複数の画像を印刷するとき、印刷に用いられる画像データD2は複数とされる。画像データD2に基づき印刷するとき、制御部4は、ヘッド5をX軸方向で移動させる。画像形成装置1は、画像データD2の単位で印刷する。
画像データD2に対応する印刷設定情報D3に基づき、制御部4は、開始ヘッド位置を認識する(ステップ♯32)。画像データD2が複数あるとき、制御部4は、画像データD2ごとに開始ヘッド位置を定める。開始ヘッド位置は、画像データD2に基づき1つの画像の印刷を開始するときのヘッド5の位置である。例えば、バーコードの画像を印刷するとき、開始ヘッド位置は、バーコードの印刷を開始するときのヘッド5の位置となる。
制御部4は、開始ヘッド位置として、ヘッド5のX軸とY軸上の位置(座標)を設定する。制御部4は、画像データD2に対応する印刷設定情報D3を確認する。そして、制御部4は定義された印刷位置(印刷領域)を確認する。制御部4は、印刷位置のX軸方向での端とノズル51が向かい合うように、X軸方向での開始ヘッド位置を設定する。また、ヘッド5の描画幅の範囲内に画像の上端と下端が収まるように、制御部4は、ヘッド5のY軸方向の位置を設定する。
ここで、複数種類の画像(画像データD2)を印刷する場合、印刷順は、操作パネル9で設定することができる。また、制御部4は、画像データD2の印刷順を自動で決めてもよい。制御部4は、印刷順が次の画像(画像データD2)に対応する開始ヘッド位置に向けて、ヘッド5を移動部6に移動させる(ステップ♯33)。例えば、制御部4は、最初に印刷する画像に対応する開始ヘッド位置に向けて、ヘッド5を移動部6に移動させる。1つめの画像の印刷が完了したとき、制御部4は、2つめの画像に対応する開始ヘッド位置に向けて、ヘッド5を移動部6に移動させる。
移動完了後、制御部4は、X軸方向でヘッド5を移動させつつ、ヘッド5にインクを吐出させる(ステップ♯34)。インク吐出中、制御部4は、Y軸方向でヘッド5を移動させない。これにより、画像が描画(印刷)される。具体的に、制御部4は、第3移動機構63(第3モーター63b)を動作させる。このとき、印刷の解像度に応じて、制御部4はヘッド5を移動させる。制御部4は、印刷に使用する画像データD2の解像度に基づき、1ドットの幅を認識する。そして、制御部4は、インク吐出の基準周期につき1ドット分の距離だけ、ヘッド5をX軸方向で移動させる。
制御部4は、印刷面21内の全ての画像の印刷が終わったか否かを確認する(ステップ♯35)。図11は、印刷する画像のY軸方向の間隔が、ヘッド5の描画幅よりも広い場合を示す。画像形成装置1は、「ABCDEFGH」の記号列の印刷後、制御部4はヘッド5を移動させる。そして、制御部4は、「IJKLMN」の記号列を印刷させる。
全画像の印刷が終わっていないとき(ステップ♯35)、フローはステップ♯33に戻る。その結果、制御部4は、未印刷の画像データD2に対応する開始ヘッド位置に向けて、移動部6にヘッド5を移動させる。一方、全画像の印刷が終わったとき(ステップ♯35のYes)、1つの物品2の印刷面21への印刷が完了する。印刷完了により、本フローは終了する(エンド)。搬送装置3は、印刷を完了した物品2を搬送する。
2.搬送物品印刷モード
物品2を停止せずに搬送される物品2に印刷するとき、搬送物品印刷モードが選択される。搬送物品印刷モードでは、ヘッド5を固定しつつ、または、ヘッド5をX軸方向で移動させつつ印刷することができる。以下、ヘッド5を固定しつつ、搬送される物品2に印刷するモードをヘッド固定モードと称する。また、ヘッド5をX軸方向で移動させつつ、搬送される物品2を印刷するモードをヘッド移動モードと称する。
ヘッド固定モードで印刷するか、ヘッド移動モードで印刷するかを操作パネル9で選択することができる。操作パネル9は、ヘッド固定モードで印刷するか、ヘッド移動モードで印刷するかの選択を受け付ける。
(1)ヘッド固定モード
ヘッド5を固定しつつ物品2に印刷するとき、ヘッド固定モードが選択される。図13は、ヘッド固定モードでの印刷の一例を示す。図13では、物品2としてダンボール箱を例として示している。また、図13では、各移動機構と搬送装置3の図示を省略している。ヘッド固定モードでも複数の画像データD2を用いて印刷することができる。
図14を用いて、ヘッド固定モードでの1つの物品2の印刷の流れの一例を説明する。同じ物品2に同じ画像の印刷を繰り返す場合、1つの物品2ごとに、図14の処理が繰り返される。図14のスタートは、ヘッド固定モードでの印刷を開始する時点である。
まず、制御部4は、未印刷の画像データD2のうち、1つの画像データD2を選択する(ステップ♯41)。画像データD2(画像)の印刷順は、操作パネル9で設定することができる。複数の画像データD2に基づき1つの物品2を印刷する場合、制御部4は、未印刷、かつ、印刷順が早く設定されている画像データD2を選択する。制御部4は、自動的に画像データD2の印刷順を設定してもよい。この場合、制御部4は、画像データD2のうち、X軸方向の印刷位置が物品2の搬送方向下流側のものほど先に印刷されるように順番を設定する。
選択した画像データD2に対応する印刷設定情報D3に基づき、制御部4は、初期ヘッド位置を設定する(ステップ♯42)。制御部4は、初期ヘッド位置として、ヘッド5のX軸とY軸上の位置(座標)を設定する。制御部4は、画像データD2に対応する印刷設定情報D3を確認する。Y軸方向については、制御部4は、ヘッド5の描画幅の範囲内に画像の上端と下端が収まるように、初期ヘッド位置を設定する。
図1に示すように、搬送装置3が画像形成装置1(ヘッド5)の前面で物品2の搬送方向を90度切り替える場合、物品2は画像形成装置1(ヘッド5)の前面で一時停止する。そして、搬送装置3は、X軸方向にそって物品2を搬送する。このような場合、制御部4は、選択した画像データD2に対応する印刷設定情報D3を確認する。そして、制御部4は印刷設定情報D3で定義された印刷位置を確認する。制御部4は、画像の印刷位置のうちのX軸方向での下流側の端とノズル51が向かい合うように、X軸方向での初期ヘッド位置を設定する。
また、物品2の搬送角度を画像形成装置1の前面で切り替えない場合もある。言い換えると、画像形成装置1は、一定方向で物品2が搬送され続ける区間に設けられることがある。この場合、制御部4は、ヘッド5の移動可能な範囲のうち、搬送方向で最も上流側の位置をX軸方向の初期ヘッド位置に設定してもよい。搬送方向はX軸方向と平行である。制御部4は、設定した初期ヘッド位置に向けて、ヘッド5を移動部6に移動させる(ステップ♯43)。
制御部4は、選択した画像データD2の印刷を開始する位置まで物品2が搬送されたことを認識する(ステップ♯44)。
搬送装置3が画像形成装置1(ヘッド5)の前面で物品2の搬送方向を90度切り替える場合、制御部4は、タイミングセンサー45の物品2の到達検知後、予め定められた停止待ち時間が経過したとき、印刷開始位置まで物品2が搬送されたと認識する。停止待ち時間は、物品2の一時停止後、X軸方向に物品2の搬送を開始するまでの時間である。
物品2の搬送角度を画像形成装置1の前面で切り替えない場合、制御部4は、第1距離と第1速度を認識する。第1距離はタイミングセンサー45から初期ヘッド位置までのX軸方向(搬送方向)での距離である。第1距離は固定値である。記憶部43は第1距離を記憶する。第1速度は物品2の搬送速度である。搬送装置3は、物品2を一定の速度で搬送する。そのため、第1速度は決まっている。操作パネル9で第1速度を設定することができる。記憶部43は第1速度を記憶してもよい。また、速度センサー44の出力に基づき、制御部4は、第1速度を認識してもよい。
制御部4は、印刷面21の搬送方向下流側の端部から印刷を開始する位置までの搬送方向(X軸方向)の距離(第2距離)を認識する。制御部4は画像データD2に基づき第2距離を認識する。制御部4は、第1距離と第2距離を加算した値を第1速度で除して開始待ち時間を求める。制御部4は、タイミングセンサー45の物品2到達検知から開始待ち時間が経過したとき、印刷開始位置まで物品2が搬送されたと認識する。
そして、制御部4は、画像データD2に基づき、ヘッド5を固定しつつ、インクをヘッド5に吐出させる(ステップ♯45)。物品2が1ドット分搬送されるごとに、1回インクをヘッド5に吐出させる。
なお、物品2の搬送速度が速い場合、インク吐出の基準周期中の物品2の搬送距離が1ドットの幅を超える場合がある。この場合、制御部4は、駆動信号S1の周期を短くしてもよい。つまり、物品2が1ドット搬送されるごとに、1回インク吐出されるように、制御部4は、駆動信号S1の周期を調整してもよい。具体的に、制御部4は、駆動信号S1の周期を、物品2の移動速度を1ドットの幅で除した時間とする。その結果、物品2とヘッド5の相対速度が速いほど、使用するノズル51からの単位時間におけるインク吐出量が多くなる。また、物品2とヘッド5の相対速度が遅いほど、使用するノズル51からの単位時間におけるインク吐出量が少なくなる。
また、制御部4は、駆動信号S1の周期を基準周期で維持したまま印刷してもよい。この場合、制御部4は、基準周期中の物品2の実際の移動距離を求める。実際の移動距離は、基準周期でインクを吐出する場合の実際の1ドットの幅となる。制御部4は、基準周期に実際の物品2の搬送速度を乗じる。制御部4は、実際の移動距離に基づき、印刷される画像の解像度を求める。画像データD2の解像度と印刷される画像の解像度があっていない場合、制御部4は、解像度を一致させる画像処理を画像データD2に行う。例えば、制御部4は、画像データD2からラインを間引く。例えば、基準周期中、画像データD2での2ドット分、物品2が搬送されるとする。この場合、制御部4は、画像データD2のラインの1/2を間引く。これにより、印刷される画像のサイズは、使用者が希望するサイズとなる。
ライン数が減ると、印刷される画像が薄くなることがある。そこで、制御部4は、インクの液滴の量を増やしてもよい。具体的に、画像データD2の解像度を落としたとき、制御部4は、駆動素子53に印加する電圧を画像データD2の解像度を落とさないときよりも大きくする。その結果、物品2とヘッド5の相対速度が速いほど、使用するノズル51からの単位時間におけるインク吐出量が多くなる。
このように、物品2の印刷面21に画像が描画される。そして、1つの画像データD2に基づく印刷が完了する(ステップ♯46)。続いて、制御部4は、印刷面21内の全ての画像の印刷が終わったか否かを確認する(ステップ♯47)。全画像の印刷が終わったとき(ステップ♯47のYes)、1つの物品2の印刷面21への印刷が完了する。印刷完了により、本フローは終了する(エンド)。
全画像の印刷が終わっていないとき(ステップ♯47のNo)、制御部4は、未印刷の画像データD2のうち、次の順番の画像データD2を選択する(ステップ♯48)。次に選択した画像データD2に対応する印刷設定情報D3に基づき、制御部4は、次ヘッド位置を設定する(ステップ♯49)。
制御部4は、次ヘッド位置として、ヘッド5のX軸とY軸上の位置(座標)を設定する。Y軸方向については、制御部4は、ヘッド5の描画幅の範囲内に画像の上端と下端が収まるように、次ヘッド位置を設定する。
例えば、制御部4は第3距離を求める。第3距離は、1つ前に選択した画像データD2のX軸方向の印刷終了位置と、今回選択した画像データD2におけるX軸方向の印刷開始位置の距離である。印刷終了位置は、画像の搬送方向上流側の端である。印刷開始位置は、画像の搬送方向下流側の端である。制御部4は、印刷終了位置の画素から印刷開始位置までのX軸方向の画素数に、1ドットの幅を乗じて第3距離を求める。
(1)現在選択している画像データD2の印刷開始位置が1つ前に選択した画像データD2の印刷終了位置よりも搬送方向上流側にある場合
制御部4は、X軸方向において、1つ前に選択した画像データD2の印刷終了位置から搬送方向上流側に第3距離だけ離れた位置を次ヘッド位置とする。
(2)現在選択している画像データD2の印刷開始位置が1つ前に選択した画像データD2の印刷終了位置よりも下流側にある場合
制御部4は、X軸方向において、1つ前に選択した画像データD2の印刷終了位置から搬送方向下流側に第3距離だけ離れた位置を次ヘッド位置とする。
制御部4は、設定した次ヘッド位置に向けて、ヘッド5を移動部6に移動させる(ステップ♯410)。なお、次ヘッド位置への移動には、ある程度の時間がかかる。そこで、制御部4は、ヘッド5のX軸方向の位置を調整してもよい。例えば、制御部4は、次ヘッド位置への移動開始から終了までの第1時間を測る。そして、制御部4は、第1時間と第1速度を乗じて、第4距離を求める。X軸方向の位置調整として、さらに第4距離分、ヘッド5をX軸方向で移動させる。移動後、制御部4は、画像データD2に基づき、ヘッド5を固定しつつ、インクをヘッド5に吐出させる(ステップ♯411)。やがて、1つの画像データD2に基づく印刷が完了する(ステップ♯412)。そして、フローは、ステップ♯47に戻る。最終的に、物品2の印刷面21に全ての画像が印刷される。
(2)ヘッド移動モード
ヘッド5をX軸方向で移動させつつ、搬送される物品2に印刷したいとき、ヘッド移動モードが選択される。図15は、ヘッド移動モードでの印刷の一例を示す。図15では、物品2としてダンボール箱を例として示している。また、図15では、各移動機構と搬送装置3の図示を省略している。ヘッド移動モードでも複数の画像データD2を用いて印刷することができる。
図16を用いて、ヘッド移動モードでの1つの物品2の印刷の流れの一例を説明する。同じ物品2に同じ画像の印刷を繰り返す場合、1つの物品2ごとに、図16の処理が繰り返される。図16のスタートは、ヘッド移動モードでの印刷を開始する時点である。
まず、制御部4は、未印刷の画像データD2のうち、1つの画像データD2を選択する(ステップ♯51)。画像データD2(画像)の印刷順は、操作パネル9で設定することができる。複数の画像データD2に基づき1つの物品2を印刷する場合、制御部4は、未印刷、かつ、印刷順が早く設定されている画像データD2を選択する。制御部4は、自動的に画像データD2の印刷順を設定してもよい。この場合、制御部4は、画像データD2のうち、X軸方向の印刷位置が物品2の搬送方向下流側のものほど先に印刷されるように順番を設定する。
選択した画像データD2に対応する印刷設定情報D3に基づき、制御部4は、初期ヘッド位置を設定する(ステップ♯52)。制御部4は、初期ヘッド位置として、ヘッド5のX軸とY軸上の位置(座標)を設定する。初期ヘッド位置の設定の手法は、ヘッド固定モード(ステップ♯42)と同様であるので、説明を省略する。そして、制御部4は、設定した初期ヘッド位置に向けて、ヘッド5を移動部6に移動させる(ステップ♯53)。
そして、制御部4は、選択した画像データD2の印刷を開始する位置まで物品2が搬送されたことを認識する(ステップ♯54)。ステップ♯54は、ステップ♯44と同様であるので説明を省略する。物品2が印刷を開始する位置まで搬送されたとき、制御部4は、画像データD2に基づき、ヘッド5を移動させつつ、インクをヘッド5に吐出させる(ステップ♯55)。
このとき、制御部4は、速度センサー44の出力に基づき、物品2の移動速度(第1速度)とヘッド5の移動速度の相対速度が一定となるように、ヘッド5を移動部6に移動させる。相対速度が一定でないとき、1ドットの幅が印刷中に変化することになる。
ここで、基準周期中の搬送距離が画像データD2の解像度における1ドット幅を超えている場合、制御部4は、物品2に追随する方向(搬送方向下流側)に、X軸方向でヘッド5を移動部6に移動させる。制御部4は、物品2とヘッド5の相対速度が1ドット幅をインク吐出の基準周期で除した速度となるように、X軸方向に沿ってヘッド5を移動部6に移動させる。この場合、制御部4は、第1速度(物品2のX軸方向での移動速度)を認識する。例えば、速度センサー44の出力に基づき、制御部4は第1速度を認識する。制御部4は、認識した第1速度に基づき基準周期中の物品2の移動距離を求める(基準周期×第1速度)。また、制御部4は、画像データD2の解像度(印刷解像度)に基づき1ドット幅を認識する。制御部4は、移動距離と1ドットの差の絶対値を基準周期で除して得られる速度でヘッド5をX軸方向で移動させる。制御部4は、基準周期でインクをヘッド5に吐出させる。これにより、使用者が希望する解像度、サイズの画像が印刷される。
なお、ヘッド5をX軸方向に最高速度で移動させても、物品2に対する基準周期あたりのヘッド5の遅れが、1ドットの幅を超える場合があり得る。この場合、制御部4は、駆動信号S1の周期を基準周期よりも短くしてもよい。物品2とヘッド5が1ドット分遅れるごとに、1回インク吐出されるように、制御部4は、駆動信号S1の周波数を調整してもよい。
あるいは、制御部4は、駆動信号S1の周期を基準周期で維持したまま印刷してもよい。この場合、制御部4は、基準周期中の物品2に対するヘッド5の遅れを求める。例えば、制御部4は、実際の物品2の搬送速度とヘッド5の最高移動速度の速度差に基準周期を乗じる。求めた遅れに基づき、制御部4は、実際に印刷される画像の解像度を求める。画像データD2の解像度と実際に印刷される画像の解像度があっていない場合、制御部4は、画像データD2の解像度と実際に印刷される画像の解像度を一致させる画像処理を行う。例えば、制御部4は、画像データD2からラインを間引く。
ライン数が減ると、印刷される画像が薄くなることがある。そこで、画像データD2からラインを間引いた場合、制御部4は、1滴あたりのインク量を増やしてもよい。具体的には、画像データD2の解像度を落としたとき、制御部4は、駆動素子53に印加する電圧を画像データD2の解像度を落とす前よりも大きくする。その結果、物品2とヘッド5の相対速度が速いほど、使用するノズル51からの単位時間におけるインク吐出量が多くなる。また、物品2とヘッド5の相対速度が遅いほど、使用するノズル51からの単位時間におけるインク吐出量が少なくなる。
これにより、物品2の印刷面21に画像が描画される。そして、1つの画像データD2に基づく印刷が完了する(ステップ♯56)。続いて、制御部4は、印刷面21内の全ての画像の印刷が終わったか否かを確認する(ステップ♯57)。全画像の印刷が終わったとき(ステップ♯57のYes)、1つの物品2の印刷面21への印刷が完了する。印刷完了により、本フローは終了する(エンド)。
全画像の印刷が終わっていないとき(ステップ♯57のNo)、制御部4は、未印刷の画像データD2のうち、次の順番の画像データD2を選択する(ステップ♯58)。次に選択した画像データD2に対応する印刷設定情報D3に基づき、制御部4は、次ヘッド位置を設定する(ステップ♯59)。
制御部4は、次ヘッド位置として、ヘッド5のX軸とY軸上の位置(座標)を設定する。Y軸方向については、制御部4は、ヘッド5の描画幅の範囲内に画像の上端と下端が収まるように、次ヘッド位置を設定する。
例えば、制御部4は第3距離を求める。第3距離は、1つ前に選択した画像データD2のX軸方向の印刷終了位置と、今回選択した画像データD2におけるX軸方向の印刷開始位置の距離である。ヘッド移動モードでは、印刷終了位置は、1つ前に選択した画像データD2に対応する画像のうち、搬送方向上流側の端である。印刷開始位置は、今回選択した画像データD2に基づき印刷する画像のうち、搬送方向下流側の端である。例えば、制御部4は、印刷終了位置の画素から印刷開始位置までのX軸方向の画素数に、1ドットの幅を乗じて第3距離を求める。
(1)今回選択した画像データD2の印刷開始位置が1つ前に選択した画像データD2の印刷終了位置よりも上流側にある場合
制御部4は、X軸方向において、現在位置から搬送方向上流側に第3距離だけ離れた位置を次ヘッド位置とする。
(2)今回選択した画像データD2の印刷開始位置が1つ前に選択した画像データD2の印刷終了位置よりも下流側にある場合
制御部4は、X軸方向において、現在位置から搬送方向下流側に第3距離だけ離れた位置を次ヘッド位置とする。
制御部4は、設定した次ヘッド位置に向けて、ヘッド5を移動部6に移動させる(ステップ♯510)。なお、ヘッド5の次ヘッド位置への移動には、ある程度の時間がかかる。そこで、制御部4は、ヘッド5のX軸方向の位置を調整してもよい。例えば、制御部4は、次ヘッド位置への移動開始から終了までの第1時間を測る。そして、制御部4は、第1時間と第1速度を乗じて、第4距離を求める。X軸方向の位置調整として、さらに第4距離分、ヘッド5をX軸方向で移動させる。制御部4は、画像データD2に基づき、ヘッド5をX軸方向で移動させつつ、インクをヘッド5に吐出させる(ステップ♯511)。やがて、1つの画像データD2に基づく印刷が完了する(ステップ♯512)。そして、フローは、ステップ♯57に戻る。最終的に、物品2の印刷面21に全ての画像が印刷される。
(ノズル51と印刷面21の間隔の設定)
次に、図17~図20を用いて、実施形態に係るノズル51と印刷面21の間隔の設定の一例を説明する。図17は、実施形態に係る搬送装置3の一例を示す図である。図18は、実施形態に係る定義データD4の一例を示す。図19は、実施形態に係る画像種類選択画面93の一例を示す。図20は、実施形態に係る平滑レベル選択画面94の一例を示す。
画像形成装置1は、Z軸方向(物品2の搬送方向)でヘッド5を動かすことができる。従って、画像形成装置1は、印刷面21とノズル51の間隔を調整できる。制御部4は、印刷する画像又は物品2に応じて、吐出時間隔を設定する。吐出時間隔は、インク吐出中のノズル51と印刷面21との間隔である。制御部4は、設定した吐出時間隔となるように、Z軸方向でヘッド5を移動部6に移動させる。なお、吐出時間隔の設定手法は複数用意される。
まず、図7、図17を用いて、搬送装置3による物品2の搬送を説明する。搬送装置3は、搬送制御装置30、駆動源31、搬送部材32、搬送ガイド33、位置調整装置34を含む。搬送制御装置30は、物品2の搬送に関する部材の動作を制御する。搬送制御装置30は、CPU、メモリー、インターフェイス部、その他の回路を含む。メモリーには、物品搬送に関するデータ、プログラムが記憶される。搬送制御装置30は、メモリーのデータ、プログラムに基づき、物品2を搬送する。インターフェイス部は、駆動源31、位置調整装置34と通信するための回路、コネクタである。
駆動源31は搬送部材32を回転させる動力源である。駆動源31は、例えば、モーターである。搬送部材32は、物品2を搬送する部材である。搬送部材32は回転体である。例えば、搬送部材32はローラーやベルトである。搬送部材32がローラーの場合、搬送装置3は、複数のローラーを含む。各ローラーの軸線方向は搬送方向と垂直とされる。搬送部材32は物品2と接する。図7の例では、搬送部材32の上に物品2が載せられる例を示す。搬送部材32が回転することにより、物品2が搬送される。
搬送ガイド33は、搬送する物品2を案内する部材である。図7の例では、物品2の下端と接する位置に搬送ガイド33を設ける例を示す。図7は、搬送部材32の上側に搬送ガイド33を設ける例を示している。物品2の印刷面21の下端と搬送ガイド33が接する。搬送ガイド33の長手方向は、物品2の搬送方向(X軸方向)と平行とされる。
位置調整装置34は、物品2の位置を調整するための機構である。位置調整装置34は物品2を押す。位置調整装置34は物品2の印刷面21の背面を押す。言い換えると、位置調整装置34は、印刷面21が画像形成装置1に近づく方向に物品2を移動させる。位置調整装置34は、搬送ガイド33と物品2の印刷面21の下端が接するように、物品2の位置を移動させる。搬送ガイド33のガイド方向はX軸方向と平行である。そのため、物品2が立方体、又は、直方体の場合、物品2の印刷面21とX軸とY軸の平面が平行となる。従って、ノズル51は物品2の印刷面21と正対する。また、Z軸は物品2の印刷面21に対し、垂直となる。なお、図7では、位置調整装置34は不可視である。
搬送装置3は、搬送ガイド33や位置調整装置34を含む。従って、画像形成装置1が印刷するとき、搬送装置3は、物品2の印刷面21を基準の位置とする。言い換えると、搬送装置3は、印刷前の物品2の印刷面21の位置を一定とする。印刷面21の基準の位置は、搬送ガイド33と物品2が接する位置である。
1.印刷設定情報D3に基づく間隔の設定
制御部4は、印刷設定情報D3に基づき、吐出時間隔を設定することができる。印刷設定情報D3は、印刷用データD1に含まれる。印刷設定情報D3は画像の印刷に用いる画像データD2と関連付けられている。
印刷設定情報D3は、コンピューター200のドライバーソフトウェア203上で設定された情報を含む。印刷設定情報D3が画像の種類を示す情報を含む場合、制御部4は、印刷設定情報D3で定義された画像の種類に基づき、吐出時間隔を設定できる。なお、1つの物品2の印刷に複数の画像データD2を用いる場合、制御部4は、画像データD2ごとに、吐出時間隔を設定する。
画像の種類に応じて吐出時間隔を設定するため、記憶部43に定義データD4を不揮発的に記憶させてもよい(図10参照)。定義データD4は、画像の種類ごとに、吐出時間隔を定義したデータである。図18は定義データD4の一例を示す。図18の定義データD4では、画像の種類が記号列のとき、吐出時間隔を5mmとする定義がなされている。なお、記号には、文字、数字が含まれる。記号列としては、例えば、社名、メールアドレス、電話番号、日時が含まれる。記号列は、文字、数字を主体とし、文字、数字を並べたものである。
また、図18の定義データD4では、画像の種類が2次元コードのとき、吐出時間隔を1mmとする定義がなされている。2次元コードは、例えば、QRコード(登録商標)である。また、図18の定義データD4では、画像の種類が1次元コードのとき、吐出時間隔を3mmとする定義がなされている。1次元コードは、例えば、バーコードである。なお、定義データD4は、2次元コード、1次元コード、記号列以外の画像の種類とその吐出時間隔の定義を含んでもよい。
印刷面21とノズル51の間隔が広いほど、吐出から着弾までの時間が長くなる。吐出から着弾までの時間が長いほど、重力や空気の流れがインクの液滴に与える影響が大きくなる。そのため、印刷面21とノズル51の間隔が広いほど、インクの着弾位置が狙いの位置からずれやすい。印刷面21とノズル51の間隔が狭いほど、精密な画像を印刷することができる。
そこで、精密に印刷すべき画像ほど、吐出時間隔が狭くなるように、定義データD4は定義されてもよい。例えば、2次元コードはドットを含む。ドット(ブロック)の大きさに基づき、コードに含まれる情報が得られる。ドットの境界が不鮮明なとき、あるいは、ドットの大きさが不適切なとき、2次元コードから情報を正しく読み取れないことがある。そこで、画像の種類が2次元コードの場合、最小レベルの吐出時間隔となるように、定義データD4を定義する。
印刷面21とノズル51の間隔が狭い場合、ノズル51に物品2が衝突しやすくなる。物品2の印刷面21は平担とは限らない。例えば、梱包箱でも多少の凹凸はある。物品2の位置は調整される。しかし、物品2とノズル51が接触する可能性はゼロではない。印刷面21のノズル51への接触が繰り返されると、ノズル51(ヘッド5)が故障するおそれがある。接触防止の観点からみれば、印刷面21とノズル51の距離は離れているほうが好ましい。
そこで、定義データD4では、精密な印刷の必要性が少ない画像ほど、吐出時間隔が広く設定されてよい。例えば、記号列(文字列)は、ベタ部分が多い。インクの着弾位置が多少ずれても、問題はない。図18は、画像の種類が記号列の場合、吐出時間隔を広めにする定義データD4の一例を示す。1次元コードはスキャンされる。そのため、1次元コードは、ある程度、精密な印刷が必要である。一方、1次コードでは、2次元コードほど精密な印刷は不要である。図18は、画像の種類が1次元コードの場合、記号列よりも吐出時間隔を狭く、かつ、2次元コードよりも吐出時間隔を広くする定義データD4の一例を示す。
なお、印刷設定情報D3は、吐出時間隔を示す情報(値)を含んでもよい。この場合、コンピューター200の入力デバイス205は、吐出時間隔の数値入力を受け付ける。ドライバーソフトウェア203に基づき、処理部201は、数値入力された吐出時間隔を含む印刷設定情報D3(印刷用データD1)を生成する。画像データD2に関連付けられた印刷設定情報D3が吐出時間隔の値を示す情報を含むとき、制御部4は、印刷設定情報D3に含まれる値に基づき、吐出時間隔を設定する。
2.画像データD2に基づく吐出時間隔の設定
制御部4は、画像データD2に基づき、吐出時間隔を設定してもよい。この場合、制御部4は、画像データD2を解析する。そして、制御部4は、画像データD2に含まれる画像の種類を判定する。そして、制御部4は、判定した画像の種類と定義データD4に基づき吐出時間隔を設定してもよい。なお、1つの物品2の印刷に複数の画像データD2を用いる場合、制御部4は、画像データD2ごとに、画像の種類を判定する。制御部4は、画像データD2ごとに吐出時間隔を設定する。
例えば、制御部4は、画像データD2に含まれる画像が2次元コードの画像であるか否かを確認する。例えば、制御部4は、2次元コードの規格で必須の図形が画像データD2に含まれているか否かを確認する。必須図形が含まれているとき、制御部4は、画像の種類は、2次元コードであると判定する。また、制御部4は、画像データD2に含まれる画像が1次元コードの画像であるか否かを確認する。例えば、制御部4は、1次元コードの規格上で定められた本数の平行な直線が画像データD2に含まれているか否かを確認する。規格で定められた本数の平行な直線が含まれているとき、制御部4は、画像の種類は、1次元コードであると判定する。画像データD2に2次元コードが含まれず、かつ、1次元コードが含まれないとき、制御部4は、画像の種類が記号列であると判定してもよい。制御部4は、判定した画像の種類と定義データD4に基づき吐出時間隔を設定する。
3.操作パネル9による吐出時間隔の設定
操作パネル9が印刷する画像の種類の選択を受け付けてもよい。所定の操作がなされたとき、制御部4は、画像種類選択画面93を表示パネル91に表示させる。使用者は、画面をタッチして、画像の種類を選択する。1つの物品2の印刷に複数の画像データD2を用いる場合、操作パネル9は、画像データD2ごとに画像の種類の選択を受け付ける。制御部4は、画像データD2ごとに吐出時間隔を設定する。
図19は、画像種類選択画面93の一例を示す。図19に示す画像種類選択画面93では、3種類の中から1つを選択することができる。第1選択ボタンB1、第2選択ボタンB2、第3選択ボタンB3が画像種類選択画面93内に表示される。画像が記号列のとき、使用者は第1選択ボタンB1を操作する。画像が1次元コードのとき、使用者は第2選択ボタンB2を操作する。画像が2次元コードのとき、使用者は、第3選択ボタンB3を操作する。
定義データD4では、選択可能な画像の種類ごとに、吐出時間隔が定められている。例えば、記号列の画像の吐出時間隔は5mmとされる。1次元コードの画像の吐出時間隔は3mmとされる。2次元コードの画像の吐出時間隔は1mmとされる。制御部4は、操作パネル9で選択された画像の種類と定義データD4に基づき、吐出時間隔を設定する。画像形成装置1では、選択可能な画像の種類として、記号列、1次元コード、2次元コードがある。さらに別の画像の種類が選択できてもよい。制御部4は、記号列が選択されたとき、吐出時間隔を第1間隔に設定する。1次元コードが選択されたとき、制御部4は、吐出時間隔を第1間隔よりも狭い第2間隔に設定する。2次元コードが選択されたとき、吐出時間隔を第2間隔よりも狭い第3間隔に設定する。第1間隔>第2間隔>第3間隔の関係が維持されれば、第1間隔は5mm以外でもよい。同様に、第2間隔は3mm以外でもよい。第3間隔は1mm以外でもよい。
4.物品2の表面の平滑レベルに基づく吐出時間隔の設定
ライン(搬送装置3)で搬送される物品2は、変わることがある。つまり、画像形成装置1が印刷する物品2が変わることがある。例えば、ロット単位で印刷対象が変わることがある。そして、ロットごとに、印刷するダンボール箱の紙質、大きさが変わることがある。表面が滑らかな(目が詰まっている)物品2を印刷することもあれば、表面が粗い(ざらざらの)物品2を印刷することもある。
表面が粗いほどインクが滲む。一方、表面が粗い場合、インクの着弾位置を意図的にずらす方が、ムラの少ない画像を印刷できる場合がある。物品2表面の細かな凹みにインクをしみこませられるためである。また、物品2表面が滑らかなほど、インクの着弾位置のずれが目立つことがある。
そこで、操作パネル9は、物品2の表面の平滑レベルの設定を受け付けてもよい。所定の操作がなされたとき、制御部4は、平滑レベル選択画面94を表示パネル91に表示させる。使用者は、画面をタッチして、物品2の印刷面21の状態を選択する。
図20は、平滑レベル選択画面94の一例を示す。図20に示す平滑レベル選択画面94では、3種類の中から1つを選択することができる。第4選択ボタンB4、第5選択ボタンB5、第6選択ボタンB6が平滑レベル選択画面94内に表示される。物品2の表面の平滑レベルが高い(滑らかである)と思う使用者は、第4選択ボタンB4を操作する。物品2の表面の平滑レベルが通常と思う使用者は、第5選択ボタンB5を操作する。物品2の表面の平滑レベルが低い(粗い)と思う使用者は、第6選択ボタンB6を操作する。
選択される平滑レベルごとに、吐出時間隔が予め定められている。言い換えると、選択ボタンに対応する吐出時間隔が予め定められている。例えば、第6選択ボタンB6に対応する吐出時間隔は5mmとされる。第5選択ボタンB5に対応する吐出時間隔は3mmとされる。第4選択ボタンB4に対応する吐出時間隔は1mmとされる。制御部4は、操作パネル9で選択された平滑レベルに応じて、吐出時間隔を設定する。制御部4は、設定された平滑レベルが高いほど、吐出時間隔を狭くする。制御部4は、設定された平滑レベルが低いほど、吐出時間隔を狭くする。
(Z軸方向のヘッド5の移動制御)
次に、図21を用いて、実施形態に係るヘッド5のZ軸方向の移動制御の一例を説明する。図21は、実施形態に係るヘッド5のZ軸方向の移動の流れの一例を示す図である。
図21のスタートは、印刷を開始する時点である。言い換えると、印刷を行う物品2のライン(搬送装置3)での搬送が開始された時点である。複数の物品2に連続して印刷する場合、1つ目の物品2への印刷を開始する時点である。ロット単位(最小生産単位)で、同じ画像を連続して同様の物品2に印刷を開始する場合、1個目の物品2への印刷を開始する時点である。
まず、制御部4は、ヘッド5のZ軸方向の位置を衝突回避位置とする(ステップ♯61)。制御部4は、ヘッド5を移動させ、衝突回避位置とする。衝突回避位置は、印刷面21からノズル51が十分離れた位置である。物品2が揺れても、物品2とノズル51とが接しない位置である。衝突回避位置は、適宜定めることができる。衝突回避位置は、Z軸方向でのノズル51と印刷面21の間隔が吐出時間隔の最大値の2倍~数倍程度となる位置としてもよい。
続いて、制御部4は、印刷に用いる画像データD2を認識する(ステップ♯62)。複数の画像データD2を用いて物品2を印刷する場合、制御部4は、画像データD2ごとに吐出時間隔を設定する。ここで、制御部4は、印刷設定情報D3、画像データD2、操作パネル9での選択により、吐出時間隔を設定することができる。制御部4は、印刷設定情報D3で画像の種類が選択されていても、操作パネル9での選択を優先する。
具体的に使用者は、画像種類選択画面93、又は、平滑レベル選択画面94で選択を行い、吐出時間隔を設定する。コンピューター200から画像形成装置1への印刷用データD1の送信と、各選択画面での設定は、搬送装置3が物品2の搬送を開始する前に行われる。画像種類選択画面93と平滑レベル選択画面94の両方で選択が行われた場合、制御部4は、画像種類選択画面93での選択を優先してもよい。この場合、制御部4は、画像種類選択画面93で選択されたボタンに対応する吐出時間隔を設定する。また、平滑レベル選択画面94での選択を優先してもよい。この場合、制御部4は、平滑レベル選択画面94で選択されたボタンに対応する吐出時間隔を設定する。
各選択画面での選択がなかった場合、制御部4は、印刷設定情報D3に基づき、画像データD2ごとに、吐出時間隔を設定する。操作パネル9で選択しなくても、制御部4は、画像データD2ごとに、自動的に吐出時間隔を設定する。印刷設定情報D3に画像の種類を示す情報や、吐出時間隔を示す値が含まれていないとき、制御部4は、画像データD2を解析し、吐出時間隔を設定する。
制御部4は、間隔センサー46の出力に基づき、ノズル51と印刷面21の間隔の認識を開始する(ステップ♯63)。タイミングセンサー45による物品2の到達検知後、間隔センサー46(ヘッド5)の前面に物品2の印刷面21が来た時点から、制御部4は間隔の認識を開始する。
搬送装置3が画像形成装置1(ヘッド5)の前面で物品2の搬送方向を90度切り替える場合、制御部4は、タイミングセンサー45の物品2の到達検知後、停止待ち時間が経過してから間隔の認識を開始する。
物品2の搬送角度を画像形成装置1の前面で切り替えない場合、制御部4は、タイミングセンサー45による物品2の到達検知後、到達待ち時間待った後、間隔の認識を開始する。到達待ち時間は、タイミングセンサー45から衝突回避位置のヘッド5のまでのX軸方向の距離を物品2の搬送速度で除して得られる時間である。
そして、制御部4は、1つの画像(画像データD2)の印刷開始前に位置合わせ処理を行う(ステップ♯64)。位置合わせ処理のとき、制御部4は、ヘッド5をZ軸方向で移動部6に移動させる。そして、制御部4は、ノズル51と印刷面21の間隔を設定した吐出時間隔とする。具体的に、制御部4は、間隔センサー46で検知される間隔が吐出時間隔となるように、ヘッド5を移動部6に移動させる。制御部4はヘッド5を物品2に近づける。
やがて、ヘッド5による1つの画像の印刷が開始される(ステップ♯65)。画像の印刷中、間隔が一定に保たれるように、制御部4は、Z軸方向でヘッド5を移動部6に移動させる(ステップ♯66)。制御部4は間隔を吐出時間隔で保つ。印刷中、制御部4は、間隔センサー46の出力の監視を続ける。認識した間隔が吐出時間隔からずれたとき、制御部4は、Z軸方向で移動部6にヘッド5を移動させる。言い換えると、間隔が吐出時間隔で保たれるように、間隔センサー46の出力に基づき、制御部4はフィードバック制御を行う。制御部4は、ヘッド5のZ軸方向の位置を物品2の印刷面21の凹凸に追随させる。物品2の印刷面21に凹凸があっても、ノズル51と物品2が衝突しない。やがて、1つの画像の印刷が完了する(ステップ♯67)。
そして、制御部4は、印刷面21に全ての画像を印刷したか否かを確認する(ステップ♯68)。言い換えると、制御部4は、1つの物品2の印刷が完了したか否かを確認する。印刷面21に全画像を印刷できていないとき(ステップ♯68のNo)、制御部4は、次に印刷する画像に対応する吐出時間隔と現在の間隔との差が許容範囲内であるか否かを確認する(ステップ♯69)。許容範囲は予め定められる。
許容範囲は、例えば、1~数mmとすることができる。差が許容範囲外のとき(ステップ♯69のNo)、次の画像の印刷開始前に位置合わせ処理をする必要がある。そのため、差が許容範囲外のとき(ステップ♯69のNo)、フローは、ステップ♯64に戻る。この場合、制御部4は、次に印刷する画像の画像データD2に対応する吐出時間隔を認識する。制御部4はノズル51と印刷面21の間隔を、次に印刷する画像に対応する吐出時間隔とする。
一方、差が許容範囲内のとき(ステップ♯69のYes)、次の画像の印刷開始前に位置合わせ処理をする必要性が小さい。そこで、差が許容範囲内のとき(ステップ♯69のNo)、フローは、ステップ♯65に戻る。つまり、差が許容範囲内のとき、制御部4は、Z軸方向での位置合わせ処理をスキップする。
印刷面21に全ての画像を印刷したとき(ステップ♯68のYes)、制御部4は、間隔の認識を停止する(ステップ♯610)。そして、続けて次の物品2を印刷するか否かを確認する(ステップ♯611)。言い換えると、制御部4は、1ロット分の物品2の印刷が完了したか否かを確認する(ステップ♯611)。次の物品2を印刷するとき(ステップ♯611のYes)、フローは、ステップ♯61に戻る。つまり、制御部4は、ヘッド5のZ軸方向の位置を衝突回避位置に戻す。印刷すべき次の物品2がないとき、本フローは終了する(エンド)。この後、例えば、ヘッド5のクリーニングとヘッド5のキャップ部7への移動が行われる。
(吐出時間隔に応じたインク吐出量の調整)
次に、図22を用いて、実施形態に係る画像形成装置1でのインク吐出量の調整の一例を説明する。図22は、実施形態に係るインク吐出量データD5の一例を示す図である。
画像形成装置1は、Z軸方向でヘッド5を移動できる。そのため、ノズル51と印刷面21の間隔を自由に変えることができる。この点、従来の搬送ラインに設置される印刷装置とは異なる。ここで、吐出時間隔が狭いほど、インクは狙いの位置に着弾しやすくなる。一方、吐出時間隔が広いほど、実際のインクの着弾位置は、狙いの位置からずれやすくなる。例えば、画像データD2上では着色されないドットにインクが着弾する場合がある。画像によっては、印刷される画像の濃度が低下したように見える場合がある。
そこで、制御部4は、吐出時間隔が狭いほど、1ドットあたりのインク吐出量をヘッド5に少なくさせる。制御部4は、吐出時間隔が広いほど、1ドットあたりのインク吐出量をヘッド5に多くさせる。
ヘッド5は電圧生成回路55を含む(図3参照)。電圧生成回路55は、複数種の電圧を生成する。電圧生成回路55は予め設定された大きさの電圧を生成する。電圧生成回路55が生成する複数種の電圧のうち、駆動素子53に印加する電圧を選択できる。つまり、駆動素子53に印加する電圧を変化させることができる。
駆動素子53の変形量は、駆動素子53に印加する電圧の大きさにより変わる。駆動素子53の変形量に応じて、インクの流路に加わる圧力が変わる。従って、制御部4(ドライバー回路52)は、駆動素子53に印加する電圧の大きさを選択することにより、吐出されるインク(液滴)の量を変化させることができる。
図22は、実施形態に係るインク吐出量データD5の一例を示す図である。記憶部43はインク吐出量データD5を不揮発的に記憶する。インク吐出量データD5は、吐出時間隔が狭いほど、1ドットあたりのインク吐出量が少なくなるように定義される。また、吐出時間隔が広いほど、1ドットあたりのインク吐出量が多くなるように定義される。
図22は、吐出時間隔が3つの範囲に分類される例を示す。また、電圧生成回路55は、少なくとも3種類の電圧を生成できる例を示す。図22において、電圧V1<電圧V2<電圧V3の関係がある。そのため、インク吐出量(液滴の量)は、第1吐出量a1<第2吐出量a2<第3吐出量a3の関係がある。
図22のインク吐出量データD5によれば、吐出時間隔が1mmのとき、制御部4は、駆動素子53に電圧V1を印加させる。そして、制御部4は、ノズル51から吐出されるインクの量を第1吐出量a1とする。また、吐出時間隔が3mmのとき、制御部4は、駆動素子53に電圧V2を印加させる。制御部4は、ノズル51から吐出されるインクの量を第2吐出量a2とする。また、吐出時間隔が5mmのとき、制御部4は、駆動素子53に電圧V3を印加させる。そして、制御部4は、ノズル51から吐出されるインクの量を第3吐出量a3とする。制御部4は、インク吐出量データD5を参照する。そして、設定した吐出時間隔に応じて、制御部4は、ヘッド5にインクを吐出させる。
なお、他の手法により、1ドット当たりのインク吐出量を調整するようにしてもよい。例えば、制御部4は、吐出時間隔に応じて、1ドットにインクを吐出するタイミング(回数)を変化させてもよい。例えば、吐出時間隔が0<W≦2mmのとき、制御部4は、1ドットに2回インクを吐出してもよい。また、吐出時間隔が2mm<W≦4mmのとき、制御部4は、1ドットに3回インクを吐出してもよい。また、吐出時間隔が4mm<Wのとき、制御部4は、1ドットに4回インクを吐出してもよい。高速にインクを吐出するため、制御部4は、吐出時間隔が広いほど、駆動信号S1の周波数を高くしてもよい。
(使用するノズル51の変更)
次に、図23~図24を用いて、実施形態に係るヘッド5での使用するノズル51の変更処理の一例を説明する。図23、図24は、実施形態に係る画像形成装置1での使用するノズル51の変更処理の一例を示す図である。
画像形成装置1は、搬送ラインに設置される。搬送ラインには、同じ物品2(同じ商品)が、続けて流されることがある。例えば、工場では、ロット単位で同じ仕様の物品2が搬送ラインで流される。ロットは、最小の処理(生産)単位を意味する。この場合、画像形成装置1は、同じ画像を繰り返し印刷する。以下、複数の物品2において、同じ位置に繰り返し印刷される画像を「繰り返し画像」と称する。1ロットが1000個の場合、画像形成装置1は、1000回、繰り返し画像を印刷する。
ノズル51はY軸方向(物品2の上下方向)に沿って並べられる。制御部4は、インク吐出中のヘッド5のY軸方向の位置を移動部6に固定させる。制御部4は、複数の物品において、インク吐出中のヘッド5のY軸方向の位置を一定にする。繰り返し画像を印刷する場合、制御部4は、繰り返し画像ごとにY軸固定位置を設定する。繰り返し画像を印刷するためのインク吐出中、制御部4は、Y軸方向のヘッド5の位置をY軸固定位置で固定させる。例えば、Aという繰り返し画像の印刷に、必要なノズル数が500とする。この場合、制御部4は、1~500番目のノズル51を使用して、複数の物品2に繰り返し画像を印刷する。つまり、インクを吐出するノズル51が固定される。
そうすると、長時間、インクが吐出されないノズル51が出てくる場合がある。使用されないノズル51では、長時間にわたってインクが蒸発する。その結果、使用されないノズル51が目詰まりすることがある。
そこで、複数の物品2に同じ画像を同じ位置に繰り返し印刷する場合、かつ、繰り返し画像のY軸方向の幅がヘッド5のY軸方向の描画幅よりも狭い場合、制御部4は、予め定められたタイミングで、Y軸固定位置を変更する。制御部4は、繰り返し画像の印刷に用いるノズル51を変更する。これにより、制御部4は、繰り返し画像の印刷に用いるノズル51をシフトする。繰り返し画像を印刷する間、使用されないノズル51が生ずることを防ぐ。
制御部4は、所定回数、繰り返し画像を印刷するごとに、使用するノズル51を変更する。所定回数は、予め定められる。例えば、所定回数は、数回~数十回の間の回数とされる。なお、所定回数は1回でもよい。使用するノズル51の変更周期(タイミング)は、印刷回数以外の要素を基準に定めてもよい。例えば、変更タイミングは時間に基づき定めてもよい。数分ごと、十数分ごと、数十分ごとにY軸固定位置を変更してもよい。
図23は、使用ノズルの変更の一例を示す。図23は、インク吐出時、Y軸方向でヘッド5を固定しつつ、X軸方向にヘッド5を移動させる例を示す。図23は、アルファベット2行の文字列の画像を描画する例を示す。
ヘッド5の描画幅は、Y軸方向の上端のノズル51から下端のノズル51までの長さで決まる。そして、図23に示す繰り返し画像のY軸方向の幅Y1は、ヘッド5のY軸方向の幅(描画幅)の1/2よりも長い。このような場合、まず、制御部4は、Y軸固定位置を、繰り返し画像の印刷範囲のY軸方向の上端とY軸方向で最も上にあるノズル51が重なる位置とする(上端一致位置)。使用するノズル51を変更するとき、制御部4は、Y軸固定位置を、繰り返し画像の印刷範囲のY軸方向の下端とY軸方向で最も下にあるノズル51が重なる位置に変える(下端一致位置)。図23は、Y軸固定位置を上端一致位置から下端一致位置に変える例を示す。
下端一致位置への変更後、さらに所定回数、繰り返し画像を印刷したとき、制御部4は、Y軸固定位置を、上端一致位置にする。つまり、制御部4は、Y軸固定位置を交互に切り替える。制御部4は、Y軸固定位置を上端一致位置と下端一致位置の何れかとする。これにより、使用されないノズル51を無くすことができる。
なお、繰り返し画像のY軸方向の幅Y1は、ヘッド5の描画幅の1/2よりも短い場合がある。このような場合、制御部4は、Y軸固定位置を、上端一致位置と下端一致位置で切り替えても、使用されないノズル51がでる。そこで、制御部4は、印刷に使用するノズル51を順番に切り替える。使用されないノズル51が出ないようにする。
例えば、制御部4は、ノズル51ごとに、使用されていない時間を測る。言い換えると、制御部4は、ノズル51ごとに、画像の印刷範囲と向かい合っていない時間を測る。使用ノズルを変更するとき、制御部4は、不使用の時間が最も長いノズル51と画像の印刷範囲が向かい合うように、Y軸固定位置を変更する。制御部4は、不使用の時間が最も長いノズル51ができるだけ多く印刷範囲が向かい合うように、Y軸固定位置を変更する。
また、ヘッド5のノズル51は、複数のノズルブロック5Bに分割されている(図4参照)。そこで、制御部4は、使用されていなかったノズルブロック5Bである不使用ブロックが繰り返し画像の印刷位置に向かい合うように、Y軸固定位置を変更してもよい。言い換えると、制御部4はノズルブロック5B単位で、Y軸固定位置を切り替えてもよい。
また、複数の画像データD2に基づき、1つの物品2に、複数の繰り返し画像を印刷することがある。この場合、前記制御部4は、1つの印刷面21内の繰り返し画像ごとに、使用されるノズル51が異なるように、Y軸固定位置を設定する。制御部4は、直前の繰り返し画像の印刷で使用されなかったノズル51が、次の繰り返し画像の印刷範囲と向かい合うように、Y軸固定位置を設定する。
図24は、1つの物品2に複数の繰り返し画像を印刷する例を示す。使用ノズルの変更の一例を示す。図24は、インク吐出時、Y軸方向でヘッド5を固定しつつ、X軸方向にヘッド5を移動させる例を示す。図24のうち、「ABCDEFGH」の文字列が1つ目の繰り返し画像である。また、「IJKLMNOPQ」の文字列が2つ目の繰り返し画像である。図24の例では、各文字列の間隔はヘッド5のY軸方向の長さよりも広い。
このような場合、制御部4は、1つ目の繰り返し画像の印刷のため、X軸方向でヘッド5を移動させる。1つめの繰り返し画像の印刷完了後、制御部4は、2つ目の繰り返し画像の印刷開始位置に向けて、移動部6にヘッド5を移動させる。このとき、X軸方向及びY軸方向でヘッド5を移動させる。そして、図24に示すように、制御部4は、1つめの繰り返し画像と2つ目の繰り返し画像で使用されるノズル51が異なるように、ヘッド5を移動させる。
(Y軸固定位置の変更に伴う吐出時間隔の調整)
次に、図25を用いて、実施形態に係るY軸固定位置の変更に伴う吐出時間隔の調整の一例を説明する。図25は、実施形態に係るY軸固定位置の変更に伴う吐出時間隔の調整の流れの一例を示す図である。
使用されない(インクを吐出しない)時間が長いノズル51では、インクの粘度が高くなる。粘度が高くなっているインクが固まらないうちに、インクを吐出すべきである。しかし、駆動電圧が小さいと(流路に加わる圧力が小さいと)、粘度が高くなっているインクを吐出できない場合がある。そこで、Y軸固定位置を変更した場合、予め定められた許容時間以上、インクが吐出されなかったノズル51があるとき、1ドットあたりのインク吐出量を一時的に大きくする。
そのため、制御部4は、ノズル51ごとに使用されなかった時間(インクを吐出していない時間、不使用時間)を管理する。記憶部43は、使用されなかった時間を管理するための不使用時間管理データD6を記憶する(図10参照)。制御部4は、1つの物品2の印刷がおわるごとに、制御部4は、不使用時間管理データD6を記憶部43に更新させる。なお、クリーニングが行われた場合、制御部4は、全ノズル51の不使用時間をゼロにリセットする。
図25のスタートは、Y軸固定位置を変更した時点である。まず、制御部4は、不使用時間管理データD6を参照する。そして、制御部4は、Y軸固定位置変更前に使用されていなかったノズル51であって、不使用時間が許容時間以上のノズル51がこれから印刷に使用するノズル51にあるか否かを確認する(ステップ♯71)。
不使用時間が許容時間以上のノズル51がない場合(ステップ♯71のNo)、本フローは終了する(エンド)。不使用時間が許容時間以上のノズル51がある場合(ステップ♯71のYes)、制御部4は、設定された吐出時間隔が最大間隔であるか否かを確認する(ステップ♯72)。最大間隔は、設定され得る吐出時間隔のうち、最大の吐出時間隔である。例えば、制御部4は、吐出時間隔が5mmであるか否かを確認する。
吐出時間隔が最大間隔であるとき(ステップ♯72のYes)、1ドットあたりのインク吐出量(液滴の量)は最大とされる。粘度の高いインクは吐出されるはずである。そこで、吐出時間隔が最大間隔であるとき(ステップ♯72のYes)、本フローは終了する(エンド)。一方、吐出時間隔が最大間隔でないとき(ステップ♯72のNo)、制御部4は、吐出時間隔を最大間隔に拡大する(ステップ♯73)。制御部4は、例えば、吐出時間隔を5mmとする。
高粘度のインクを吐出できればよい。最大間隔で印刷を長時間続ける必要はない。そこで、制御部4は、最大間隔で予め定められた個数の物品2を印刷する(ステップ♯74)。予め定められた個数は、例えば、1~数個でよい。予め定められた個数の物品2を印刷したとき、制御部4は、吐出時間隔を拡大前の吐出時間隔に戻す(ステップ♯75)。そして、本フローは終了する(エンド)。
(印刷面21の撮影に基づく印刷)
次に、図26、図27を用いて、実施形態に係る画像形成装置1での印刷面21の撮影に基づく印刷の一例を説明する。図26は、実施形態に係る画像形成装置1での印刷面21の撮影に関連する部分の一例を示す図である。図27は、実施形態に係る画像自動付加モードの流れの一例を示す図である。図28は、実施形態に係るコピーモードの流れの一例を示す図である。
画像形成装置1は、物品2の印刷面21を読み取る読取装置47を含む(図1参照)。読取装置47は、画像形成装置1に設けられたカメラである。読取装置47は、搬送ライン上の物品2を撮影する。例えば、読取装置47は画像形成装置1が印刷可能な範囲を撮影する。
図26に示すように、読取装置47は、レンズ47a、イメージセンサー47b、カメラモジュール47cを含む。カメラモジュール47cはイメージセンサー47bが出力する画像信号に基づき、撮影データD7(画像データ)を生成する。読取装置47は撮影で得られた撮影データD7を記憶部43に送信する。記憶部43は撮影データD7を記憶する。
画像形成装置1は、撮影に基づく印刷モードとして、画像自動付加モードと、コピーモードを有する。画像自動付加モードで印刷するか、コピーモードで印刷するかを操作パネル9で選択することができる。操作パネル9は、画像自動付加モードで印刷するか、コピーモードで印刷するかの選択を受け付ける。
1.画像自動付加モード
画像自動付加モードは、物品2に付された特定画像に基づき、特定画像に対応付けられた画像を印刷面21に付加するモードである。また、画像自動付加モードは、物品2に付された特定マークに基づき、特定マークに対応付けられた画像を印刷面21に付加するモードである。画像自動付加モードは、物品2に特定画像、特定マークが付されているとき、紐付けられた画像を印刷面21に自動的に印刷するモードともいえる。特定画像、特定マークは、物品2に印刷されたものでなくてもよい。特定画像、特定マークは、例えば、シールでもよい。
例えば、使用言語を示す画像が特定画像として付されているとき、画像形成装置1は、対応する言語の文字列を自動的に印刷する。ラインに仕向地が異なる物品2が混在していても、仕向地に適合する文字列を自動的に印刷することができる。コンピューター200や操作パネル9で、逐一、使用言語や、使用する文字列の画像データD2を指定しなくてすむ。
例えば、ヨーロッパ向けを示す三角形のマークが特定マークとして付されているとき、画像形成装置1はヨーロッパ向け製品であることを示す画像を自動的に印刷する。ラインに仕向地が異なる物品2が混在していても、適切な画像を自動的に付すことができる。コンピューター200や画像形成装置1で、逐一、仕向地を示す画像を指定しなくてすむ。
図27を用いて、画像自動付加モードでの印刷の流れの一例を示す図である。図27のスタートは、例えば、操作パネル9で画像自動付加モードでの印刷を指示した時点である。まず、制御部4は、読取装置47に撮像を開始させる(ステップ♯81)。読取装置47は、画像形成装置1の印刷可能範囲で停止している又は印刷可能範囲を通過していく物品2を撮影する。
ここで、記憶部43は、判定用データD8を記憶する。判定用データD8は、特定画像、特定マークが物品2に付されているか否かを判定するためのデータである(図26参照)。判定用データD8は、特定画像、特定マークごとに用意される。制御部4は、判定用データD8に基づき、物品2に特定画像、特定マークが付されているか否かを確認する。
判定用データD8は、特定画像、又は、特定マークを示す画像データとして、判定用画像データD9を含む。例えば、特定画像が型番を示す数字のとき、判定用画像データD9は、型番を示し、数字を含む画像データである。
判定用データD8は、特定画像、特定マークに対応して印刷する画像の画像データD2として、自動印刷用画像データD10を含む。また、判定用データD8は、自動印刷情報D11を含む。自動印刷情報D11は、自動印刷用画像データD10について、印刷開始位置、印刷解像度、吐出時間隔といった情報を含む。自動印刷情報D11では、特定画像、特定マーク中の特徴点からのX軸方向とY軸方向の距離を印刷開始位置として設定することができる。特徴点は、例えば、特定画像、特定マークの右上隅、右下隅、左上隅、左下隅とできる。自動印刷情報D11は、コンピューター200、又は、操作パネル9で設定することができる。
制御部4は、撮影データD7に特定画像、特定マークが含まれているか否かを判定する(ステップ♯82)。例えば、制御部4は、判定用画像データD9と撮影データD7のパターンマッチングを行う。そして、制御部4は、撮影データD7に特定画像、特定マークが含まれているか否かを判定する。
撮影データD7に特定画像及び特定マークが含まれていないと判定したとき(ステップ♯82のNo)、フローは、ステップ♯81に戻る。撮影データD7に特定画像、特定マークが含まれていると判定したとき(ステップ♯82のYes)、制御部4は、ヘッド5の位置合わせを移動部6に行わせる(ステップ♯83)。制御部4は、ヘッド5のX軸方向とY軸方向の位置を、特定画像、特定マークから自動印刷情報D11で定義された距離だけ離れた位置にあわせる。
なお、読取装置47の撮影範囲内に、特定画像又は特定マークと、ヘッド5が位置する。特定画像又は特定マークと、ヘッド5は撮影データD7に映り込む。そこで、制御部4は、撮影データD7上の特定画像又は特定マークと、ヘッド5の距離に基づき、ヘッド5のX軸方向の位置が印刷開始位置になったことを認識してもよい。制御部4は、Y軸方向の描画幅の範囲内に画像の上端と下端が収まるように、ヘッド5のY軸方向の位置をあわせる。制御部4は、自動印刷情報D11で定義された吐出時間隔に基づき、ヘッド5のZ軸方向の位置をあわせる。
ヘッド5の位置合わせができたとき、制御部4は、特定画像に対応する画像、又は、特定マークに対応する画像をヘッド5に印刷させる(ステップ♯84)。制御部4は、特定画像に対応する自動印刷用画像データD10に基づき、印刷を行わせる。あるいは、制御部4は、特定マークに対応する自動印刷用画像データD10に基づき、印刷を行わせる。これにより、特定画像に紐付けられた画像、又は、特定マークに紐付けられた画像を自動的に印刷することができる。印刷後、フローは、ステップ♯81に戻る。
2.コピーモード
コピーモードは、見本の物品2を撮像し、見本と同様の画像を自動的に印刷面21に印刷するモードである。コピーモードを用いることにより、コンピューター200で画像データD2を編集しなくても、見本と同様の印刷を無地の物品2に付すことができる。
図28を用いて、コピーモードでの印刷の流れの一例を示す図である。図28のスタートは、例えば、操作パネル9でコピーモードでの印刷を指示した時点である。まず、制御部4は、読取装置47に見本の撮像を行わせる(ステップ♯91)。使用者は、読取装置47の撮像範囲に見本を置く。使用者は、全体が撮像されるように見本をセットする。セット後、使用者は、操作パネル9で撮像ボタンを操作する。言い換えると、使用者は、見本を撮影するためのシャッターをきる。
読取装置47は見本の撮影データD7を生成する(ステップ♯92)。記憶部43は見本の撮影データD7を記憶する(ステップ♯93)。制御部4は、見本の物品2の撮影データD7に基づき、印刷に用いる画像データD2を生成する(ステップ♯94)。さらに、制御部4は、生成した画像データD2ごとに、印刷設定情報D3を生成する(ステップ♯95)。
例えば、制御部4は、見本の撮影データD7から2次元コード、1次元コード、記号列を抽出する。そして、制御部4は、抽出した要素のそれぞれの画像データD2を生成する。制御部4は、見本の画像データD2に基づき、生成した画像データD2の印刷範囲を決定する。また、制御部4は、画像データD2の種類に応じて、吐出時間隔を設定する。
そして、見本の物品2が撤去される。搬送装置3は、見本と同様の画像を印刷しようとする物品2の搬送を開始する(ステップ♯96)。制御部4は、生成した画像データD2と印刷設定情報D3に基づき、物品2に印刷を行う(ステップ♯97)。以後、制御部4は、搬送される物品2に見本と同様の印刷をヘッド5、移動部6に行わせる(エンド)。例えば、操作パネル9で印刷終了が入力されるまで、制御部4は、搬送される物品2に見本と同様の印刷を行わせる。
(変形例)
次に、図29~図31を用いて、実施形態に係る画像形成装置1の変形例を説明する。図29、図30は、変形例に係る画像形成装置1の一例を示す図である。図31は、変形例に係るヘッド5のZ軸方向の移動の流れの一例を示す図である。
実施形態に係る画像形成装置1として、画像データD2の画像の種類や操作パネル9での設定に応じて、吐出時間隔を設定する例を説明した。そして、設定された吐出時間隔に応じて、間隔センサー46を用いて、ノズル51と印刷面21の間隔を調整する例を説明した。しかし、画像の種類に応じて吐出時間隔を変える必要が無い場合もある。また、印刷する物品2が変わらない場合もある。このような場合、間隔センサー46を用いる必要はない。
変形例は、間隔センサー46を設けない例である。変形例は、間隔規制部材49を用いて、ノズル51と印刷面21の距離を安定させる。インク吐出中、間隔規制部材49の物品側の先端が物品2と接する。間隔規制部材49は、ノズル51と印刷面21の間隔が基準間隔以下になることを防ぐ。基準間隔は適宜定められる。基準間隔は、例えば、1mm~5mmの範囲のうち、何れかの長さとされる。
間隔規制部材49は、ノズル51よりもZ軸方向かつ物品2が位置する方向に突出している。間隔規制部材49は、基準間隔の長さ分、突出する。ノズル51に近づくように物品2が揺れても、間隔規制部材49はノズル51と物品2の接触を防ぐ。図29に示すように、間隔規制部材49は、例えば、ヘッド5の上部に取り付けられる。間隔規制部材49はヘッド5の下部、側面に取り付けられてもよい。間隔規制部材49は物品2と接する。かつ、物品2は搬送される。物品2の表面を傷付けず、かつ、物品搬送の妨げ(摩擦)とならないように、間隔規制部材49はローラー又はボールとできる。間隔規制部材49は物品2又はヘッド5のX軸方向の移動にあわせて回転する。
図30に示すように、間隔規制部材49は、間隔規制部材49と物品2が接したことを検知するための接触センサー410を含む。例えば、接触センサー410は感圧式のセンサーである。接触センサー410は、間隔規制部材49と物品2が接しているとき、接触時レベルの電圧を出力する。一方、間隔規制部材49と物品2が接していないとき、非接触時レベルの電圧を出力する。制御部4は、接触センサー410の出力に基づき、間隔規制部材49と物品2が接しているか否かを認識する。
次に、図31を用いて、変形例に係る画像形成装置1でのヘッド5のZ軸方向の移動制御の一例を説明する。図31のスタートは、印刷を開始する時点である。言い換えると、印刷を行う物品2の搬送ライン(搬送装置3)での搬送が開始された時点である。複数の物品2に連続して印刷する場合、1つ目の物品2への印刷を開始する時点である。ロット単位(最小生産単位)で、同じ画像を連続して同様の物品2に印刷を開始する場合、1個目の物品2への印刷を開始する時点である。
まず、制御部4は、ヘッド5のZ軸方向の位置を衝突回避位置とする(ステップ♯101)。続いて、制御部4は、印刷に用いる画像データD2を認識する(ステップ♯102)。複数の画像データD2を用いて物品2を印刷するときもある。複数の画像を印刷するとき、印刷に用いられる画像データD2は複数とされる。そして、制御部4は、画像データD2ごとに吐出時間隔を設定する。
そして、制御部4は、1つの画像(画像データD2)の印刷開始前に、押し当て処理を行う(ステップ♯103)。押し当て処理のとき、制御部4は、接触センサー410の出力が非接触時レベルから接触時レベルに変化するまで、Z軸方向でヘッド5を移動部6に移動させる。言い換えると、制御部4は、ノズル51と印刷面21の間隔が基準間隔となるまで、Z軸方向で物品2に向けてヘッド5を移動部6に移動させる。
やがて、ヘッド5による1つの画像の印刷が開始される(ステップ♯104)。間隔規制部材49は、画像の印刷中、間隔が基準間隔未満とならないようにする。やがて、1つの画像の印刷が完了する(ステップ♯105)。
そして、制御部4は、印刷面21に全ての画像を印刷したか否かを確認する(ステップ♯106)。言い換えると、制御部4は、1つの物品2の印刷が完了したか否かを確認する。印刷面21に全画像を印刷できていないとき(ステップ♯106のNo)、制御部4は、ヘッド5を次の印刷位置に移動させる(ステップ♯107)。制御部4は、次の画像の印刷開始位置に向けて、ヘッド5をX軸方向とY軸方向で移動させる。
印刷面21に全ての画像を印刷したとき(ステップ♯106のYes)、続けて次の物品2を印刷するか否かを確認する(ステップ♯108)。言い換えると、制御部4は、1ロット分の物品2の印刷が完了したか否かを確認する(ステップ♯108)。次の物品2を印刷するとき(ステップ♯108のYes)、フローは、ステップ♯101に戻る。制御部4は、ヘッド5のZ軸方向の位置を衝突回避位置に戻す。このように、1つの物品2への印刷完了後、制御部4は、Z軸方向かつ間隔が広がる方向に、ヘッド5を移動部6に移動させる。そして、制御部4は、ヘッド5のZ軸方向の位置を衝突回避位置とする。そして、再度、制御部4は、押し当て処理を行う。つまり、制御部4は、次の物品2への印刷開始前、Z軸方向かつ間隔が狭まる方向に、移動部6にヘッド5を移動させる。接触センサー410の出力が非接触時レベルから接触時レベルに変化するまで、移動部6はヘッド5を移動させる。
このようにして、画像形成装置1は、ヘッド5、移動部6、制御部4を含む。ヘッド5は、列状に並べられたノズル51を含む。ヘッド5は、画像データD2に基づきノズル51から物品2の印刷面21にインクを吐出して画像を印刷する。移動部6は、少なくとも2つの軸方向でヘッド5を移動させる。制御部4は、移動部6を制御する。各軸方向は直交する。2つの軸方向のうち、1つは、印刷面21を正面とした場合の奥行方向であるZ軸方向である。
これにより、移動部6と制御部4により、ヘッド5の位置を移動させることができる。少なくとも2つの軸方向でヘッド5の位置を移動させることができる。つまり、少なくとも、平面的にヘッド5の位置を変えることができる。従って、ヘッド5の位置を容易に調整することができる。クリーニングや交換のようなメンテナンス作業がしやすい位置に、ヘッド5を移動させることができる。従って、メンテナンス作業がやりやすくなる。使用者の作業負担を減らすことができる。
また、ノズル51は、印刷面21を正面とした場合の高さ方向であるY軸方向に沿って並べられる。移動部6は、第1移動機構61、第2移動機構62、第3移動機構63を含む。制御部4は、Z軸方向でヘッド5を第1移動機構61に移動させる。制御部4はY軸方向でヘッド5を第2移動機構62に移動させる。制御部4は、印刷面21を正面とした場合の幅方向であるX軸方向で第3移動機構63にヘッド5を移動させる。
これにより、物品2に対し、立体的にヘッド5を移動させることができる。物品2の高さ、幅、奥行の3方向でヘッド5を移動させることができる。ヘッド5を所望の位置に移動させることができる。メンテナンス作業がしやすい位置に、自由にヘッド5を移動させることができる。使用者の作業負担を減らすことができる。また、物品2を停止させつつ画像を印刷することができる。また、印刷用ヘッドが固定の場合、印刷用ヘッドのノズル51列よりも広い範囲に印刷するには、複数の印刷用ヘッドを並べて設ける必要があった。Y軸方向でのヘッド5の移動が可能なので、複数のヘッド5を設けずにすむ。
1つの物品2に複数の画像を印刷する場合がある。各画像の位置が、Y軸方向で離れている場合がある。従来のヘッド5固定の場合、このような印刷では、ヘッド5を複数設ける必要があった。しかし、画像形成装置1では、ヘッド5をY軸方向(高さ方向)で移動させることができる。つまり、複数の画像データD2に基づき印刷面21を印刷するとき、制御部4は、画像ごとに、Y軸方向でのヘッド5の位置を異ならせる。これにより、1つのヘッド5で、Y軸方向で離れた複数の画像を印刷することができる。複数のヘッド5を設けずに、各画像を印刷することができる。
また、停止している物品2に印刷するとき、制御部4は、インク吐出中、ヘッド5をX軸方向で移動部6に移動させる。これにより、X軸方向でヘッド5を移動部6に移動させつつ、印刷面21に2次元画像を印刷することができる。
また、X軸方向に沿って移動している物品2に印刷するとき、制御部4は、インク吐出中、X軸方向のヘッド5の位置を移動部6に固定させる。これにより、X軸方向に沿って、印刷面21に2次元画像を印刷することができる。
また、X軸方向に沿って移動している物品2に印刷する場合、制御部4は、物品2とヘッド5の相対速度が一定になるように、ヘッド5を移動部6にX軸方向で移動させる。これにより、物品2とヘッド5の相対速度を一定とすることができる。インク吐出周期の間に、ノズル51に対し物品2が進む距離を一定にすることができる。物品2の移動速度によらず、一定解像度の画像を印刷面21に印刷することができる。
また、画像形成装置1は、物品2のX軸方向での移動速度を検知するための速度センサー44を含む。制御部4は、速度センサー44の出力に基づき、移動速度を認識する。制御部4は、認識した移動速度に基づきインク吐出の基準周期中の物品2の移動距離を定める。制御部4は解像度に基づき1ドットのX軸方向の幅である1ドット幅を定める。制御部4は物品2とヘッド5の相対速度が1ドット幅を基準周期で除した速度となるように、X軸方向に沿ってヘッド5を移動部6に移動させる。制御部4は、基準周期でインクをヘッド5に吐出させる。これにより、基準周期の間に、ノズル51に対し物品2が進む距離を一定にすることができる。速度センサー44により移動速度を測るので、物品2の搬送速度の変動があっても一定にすることができる。物品2の移動速度が速くても、一定解像度の画像を印刷面21に印刷することができる。
また、制御部4は、物品2とヘッド5の相対速度が速いほど、使用するノズル51からの単位時間におけるインク吐出量が多くなるように、ヘッド5にインクを吐出させる。制御部4は、相対速度が遅いほど、使用するノズル51からの単位時間におけるインク吐出量が少なくなるように、ヘッド5にインクを吐出させる。これにより、物品2の搬送速度によらず、同じ濃度の画像を印刷することができる。
従来、ラインに設けられたヘッド5に対しては、作業者の手で乾燥防止用キャップが取り付けられていた。そこで、画像形成装置1は、ヘッド5のうちのノズル51が露出する露出面を覆い、インクの乾燥を防ぐためのキャップ部7を含む。予め定められた退避条件が満たされたとき、制御部4は、退避位置に向けてヘッド5を移動部6に移動させる。退避位置は、ヘッド5がキャップ部7に嵌め込まれ、露出面がキャップ部7で覆われる位置である。これにより、乾燥防止用キャップのヘッド5への装着を自動化することができる。乾燥防止用キャップを手作業で装着をしなくてすむ。また、印刷用ヘッドが固定されている場合、乾燥防止用キャップの装着を自動化するとき、キャップを移動する機構の追加が必要であった。つまり、物品2を搬送する機構の大きな改造が必要であった。画像形成装置1によれば、このような改造が不要である。メンテナンスが容易な画像形成装置1を提供することができる。
また、画像形成装置1は、操作を受け付ける操作パネル9を含む。退避条件は、操作パネル9がヘッド5の退避指示を受け付けたこと、予め定められた退避時刻になったこと、及び、印刷が完了したことのうち、何れか1つ又は複数であることである。これにより、所定のトリガーに基づき、自動的にキャップ部7をヘッド5に取り付けることができる。自動的にキャップ部7をヘッド5に取り付けるトリガーを設定することができる。また、昼休みのような、ラインの停止時点にあわせて、自動的にキャップ部7をヘッド5に取り付けることもできる。また、印刷が完了した時点で自動的にキャップ部7をヘッド5に取り付けることもできる。
従来、ラインに設けられたヘッド5(ノズル51)のクリーニングは、作業者の手で行われていた。例えば、作業者は、ノズル51にたまった粘度の高いインクや、ゴミをブレードで取り除く作業を行っていた。そこで、画像形成装置1は、ノズル51をクリーニングするための清掃部材81を含む。予め定められたクリーニング条件が満たされたとき、制御部4は、ノズル51が清掃部材81で擦られるようにヘッド5を移動部6に移動させる。これにより、ヘッド5のクリーニングを自動化することができる。手作業でクリーニングをしなくてすむ。印刷用ヘッドが固定されている場合、ヘッド5のクリーニングを自動化するとき、クリーニングの部材を移動する機構の追加が必要であった。つまり、物品2を搬送する機構の大きな改造が必要であった。自動化のために、物品2を搬送する機械の大きな改造は必要ない。従って、メンテナンスが容易な画像形成装置1を提供することができる。
また、画像形成装置1は、操作を受け付ける操作パネル9を含む。クリーニング条件は、操作パネル9がノズル51のクリーニング指示を受け付けたこと、予め定められたクリーニング時刻になったこと、印刷開始後又は直前のクリーニング後に所定個、物品2を印刷したこと、及び、印刷が完了したことのうち、何れか1つ又は複数であることである。これにより、所定のトリガーに基づき、自動的にクリーニングを開始させることができる。自動的なクリーニング開始のトリガーを設定することができる。また、昼休みのような、ラインの停止時点にあわせて、自動的にヘッド5をクリーニングすることもできる。また、物品2を所定個印刷するごとに、自動的にヘッド5をクリーニングすることもできる。また、印刷が完了した時点で自動的にヘッド5のクリーニングを行わせることもできる。
また、画像形成装置1は、ノズル51を擦る前の清掃部材81にクリーニング液を流し、クリーニング後の清掃部材81をクリーニング液で洗う洗浄部82を含む。これにより、ノズル51を擦る前の清掃部材81にクリーニング液を塗布するので、ノズル51を傷付けないようにすることができる。また、クリーニング開始時の清掃部材81を常にきれいな状態で保つことができる。前のクリーニング時に付着した汚れを、今回のクリーニング時にノズル51(ヘッド5)になすりつけることがない。
画像形成装置1は、ヘッド5、移動部6、制御部4を含む。ヘッド5は、列状に並べられたノズル51を含む。ヘッド5は、画像データD2に基づきノズル51から物品2の印刷面21にインクを吐出して画像を印刷する。移動部6は、印刷面21を正面とする場合の奥行方向であるZ軸方向でヘッド5を移動させる。移動部6は、少なくとも2つの軸方向でヘッド5を移動させる。制御部4は、印刷する画像又は物品2に応じて、インク吐出中のノズル51と印刷面21との間隔である吐出時間隔を設定する。制御部4は、設定した吐出時間隔となるようにZ軸方向でヘッド5を移動部6に移動させる。これにより、印刷する画像や物品2に応じて、Z軸方向で自動的にヘッド5を移動させることができる。印刷する画像又は物品2に応じて、ヘッド5(ノズル51)と物品2(印刷面21)の間隔を、自動的に調整することができる。ノズル51と印刷面21との間隔を適切な間隔とすることができる。
また、制御部4は、画像の印刷に用いる画像データD2に関連付けられた印刷設定情報D3に基づき、吐出時間隔を設定してもよい。これにより、画像形成装置1に画像データD2と印刷設定情報D3を与えるだけで、ノズル51と印刷面21の間隔を自動的に適切な間隔とすることができる。
また、画像形成装置1は、それぞれの画像の種類ごとに、吐出時間隔を定義した定義データD4を記憶する記憶部43を含む。印刷設定情報D3が画像の種類を示す情報を含むとき、制御部4は、印刷設定情報D3に含まれる画像の種類と定義データD4に基づき吐出時間隔を設定してもよい。これにより、定義データD4に基づき、印刷しようとする画像の種類を認識することができる。印刷しようとする画像の種類に応じて、ノズル51と印刷面21の間隔を自動的に適切な間隔とすることができる。精密、高画質が求められる画像の種類のとき、ノズル51と印刷面21の間隔を自動的に近めに設定することができる。精密、高画質が求められない画像の種類のとき、ノズル51と印刷面21の間隔を自動的に遠めに設定することができる。
また、印刷設定情報D3が、吐出時間隔の値を示す情報を含むとき、制御部4は、印刷設定情報D3に含まれる値に基づき吐出時間隔を設定してもよい。これにより、ノズル51と印刷面21の間隔を印刷設定情報D3で直接的に定義された値に合わせることができる。ノズル51と印刷面21の間隔を予め定義された値に基づき、調整することができる。
また、制御部4は、画像データD2を解析して、画像データD2の画像の種類を判定してもよい。制御部4は、判定した画像の種類と定義データD4に基づき吐出時間隔を設定してもよい。これにより、画像データD2を解析し、印刷しようとする画像の種類を認識することができる。印刷しようとする画像の種類に応じて、ノズル51と印刷面21の間隔を自動的に適切な間隔とすることができる。精密、高画質が求められる画像の種類のとき、ノズル51と印刷面21の間隔を自動的に近めに設定することができる。精密、高画質が求められない画像の種類のとき、ノズル51と印刷面21の間隔を自動的に遠めに設定することができる。
画像形成装置1は、印刷する画像の種類の選択を受け付ける操作パネル9を含んでもよい。制御部4は、操作パネル9で選択された画像の種類と定義データD4に基づき、吐出時間隔を設定してもよい。これにより、使用者は、操作パネル9で印刷しようとする画像の精密さを設定できる。できるだけインクの着弾位置がずれないようにしたい場合、必要レベルが高い印刷モードを選択すればよい。使用者の選択に基づき、インクの着弾位置がずれが少なくなるように、間隔を狭めに設定することができる。インクの着弾位置がずれても問題がない場合、必要レベルが低い印刷モードを選択すればよい。使用者の選択に基づき、間隔を広めに設定することができる。従って、使用者は、ノズル51と印刷面21の間隔を所望の間隔に設定できる。
選択可能な画像の種類として、記号列、1次元コード、2次元コードがある。制御部4は、記号列が選択されたとき、吐出時間隔を第1間隔に設定する。1次元コードが選択されたとき、制御部4は吐出時間隔を第1間隔よりも狭い第2間隔に設定する。2次元コードが選択されたとき、制御部4は、吐出時間隔を第2間隔よりも狭い第3間隔に設定する。これにより、使用者は、印刷する画像に応じた吐出時間隔を選択できる。画像の種類を選択するだけで、所望の印刷結果が得られるように、ノズル51と印刷面21の間隔を設定することができる。
物品2の表面が平滑な(細かい)場合がある。表面が平滑のとき、ノズル51と印刷面21の間隔が狭いほど、印刷された画像の画質は高くなりやすい。インクの着弾位置がずれず、均等に物品2の表面にインクがのるためである。一方、表面が粗いとき、ノズル51と印刷面21の間隔を一定以上とることが好ましい場合がある。ノズル51と印刷面21の間隔を広げると、インクの着弾位置がばらつきやすくなる。このばらつきによって、表面の凹凸になじむようにインクがのる場合があるためである。そこで、画像形成装置1は、物品2の表面の平滑レベルの設定を受け付ける操作パネル9を含んでもよい。制御部4は、設定された平滑レベルが高いほど、吐出時間隔を狭くする。制御部4は、設定された平滑レベルが低いほど、吐出時間隔を狭くする。これにより、物品2に応じて、ノズル51と印刷面21の間隔を設定することができる。表面が滑らかな場合、間隔を狭めにすることができる。一方、表面が粗い場合、間隔を広めにすることができる。物品2の印刷面21の状態に応じて画質が向上するように、間隔を調整することができる。
ノズル51と印刷面21の間隔が広いほど、インクの着弾位置は狙いの位置からずれる。そのため、同じ量のインクを吐出しても、間隔が広いほど印刷される画像の濃度は薄くなる傾向がある。そこで、制御部4は、吐出時間隔が狭いほど、1ドットあたりのインク吐出量が少なくなるように、ヘッド5にインクを吐出させる。制御部4は、吐出時間隔が広いほど、1ドットあたりのインク吐出量が多くなるように、ヘッド5にインクを吐出させる。これにより、ノズル51と印刷面21の間隔にあわせて、ノズル51から吐出されるインクの量を調整することができる。濃すぎず、薄すぎない画像を印刷面21に印刷することができる。
なお、本発明は、印刷用データD1のデータ構造としての側面を有する。具体的に、印刷用データD1は画像形成装置1に入力される。印刷用データD1のデータ構造は、印刷する画像に対応する画像データD2と、画像データD2と関連付けられた印刷設定情報D3を含む。印刷設定情報D3は、インクを吐出して画像を印刷するヘッド5と物品2との間隔を定め、物品2の印刷面21を正面とする場合の奥行方向であるZ軸方向でヘッド5を移動させるための情報を含む。これにより、印刷用データD1を、ヘッド5と物品2との間隔を定めるための情報を含むようなデータ構造とすることができる。画像形成装置1に画像データD2と印刷設定情報D3を与えるだけで、ヘッド5と物品2の間隔を自動的に適切な間隔に調整することができる。
画像形成装置1は、ヘッド5、移動部6、制御部4を含む。ヘッド5は、物品2の印刷面21を正面とする場合の上下方向であるY軸方向に沿って列状に並べられたノズル51を含む。ヘッド5は、画像データD2に基づきノズル51から物品2の印刷面21にインクを吐出して画像を印刷する。移動部6は、Y軸方向と、印刷面21を正面とする場合の奥行方向であるZ軸方向でヘッド5を移動させる。複数の物品2に繰り返し画像を同じ位置に繰り返し印刷する場合、制御部4は、Y軸固定位置を設定する。繰り返し画像を印刷するためのインク吐出中、制御部4は、Y軸固定位置でY軸方向のヘッド5の位置を移動部6に固定させる。繰り返し画像のY軸方向の幅がヘッド5のY軸方向の描画幅よりも狭いとき、制御部4は、予め定められたタイミングでY軸固定位置を変更する。制御部4は繰り返し画像の印刷に用いるノズル51を変更する。
ラインでは、物品2(印刷面21)の同じ位置に同じ画像の印刷を繰り返す場合がある。制御部4は、印刷位置と向かい合うノズル51にインクを吐出させる。そして、繰り返し画像と繰り返し画像の間で、ヘッド5のY軸方向の固定位置を変更することができる。つまり、印刷に使用するノズル51を変えることができる。使用しないノズル51を無くす、又は、減らすことができる。従って、ノズル51での目詰まりの発生を防ぐことができる。
また、制御部4は、所定回数、繰り返し画像を印刷するごとに、Y軸固定位置を変更する。これにより、所定回数、繰り返し画像を印刷するごとに、Y軸固定位置を変更することができる。従って、所定回数、繰り返し画像を印刷するごとに、印刷に使用するノズル51の範囲を切り替えることができる。従ってノズル51での目詰まりの発生を防ぐことができる。
また、ヘッド5のノズル51は、複数のノズルブロック5Bに分割される。Y軸固定位置を変更するとき、制御部4は、使用されていなかったノズルブロック5Bである不使用ブロックが繰り返し画像の印刷位置に向かい合うように、移動部6にヘッド5を移動させる。これにより、繰り返し画像の印刷中、不使用ブロックがなくなるようにヘッド5をY軸方向で移動させることができる。
また、Y軸固定位置を変更するとき、制御部4は、Y軸固定位置の変更前に使用されていなかったノズル51を繰り返し画像の印刷位置に向かい合うように、Y軸固定位置を変更する。また、制御部4は、1ドットあたりのインク吐出量を最大とする。これにより、不使用であったノズル51からのインク吐出量を一時的に増やすことができる。不使用であったノズル51から、乾燥で粘度が大きくなったインクを積極的に吐き出すことができる。
ヘッド5(ノズル51)と物品2(印刷面21)の間隔を広げるほど、インクの着弾位置は狙いの位置からずれやすくなる。Y軸固定位置を変更により、1ドットあたりのインク吐出量を最大とするとき、制御部4は、インク吐出中のノズル51と印刷面21との吐出時間隔を拡大させる。制御部4は、予め定められた個数の物品2を印刷したとき、吐出時間隔を拡大前の吐出時間隔に戻す。インクの吐出量を増やすとき、ノズル51と印刷面21の間隔を広げることができる。適度にインクの着弾位置をばらけさせることができる。従って、印刷された画像の濃度が濃くなりすぎることを防ぐことができる。
繰り返し画像のY軸方向の幅がヘッド5のY軸方向の描画幅よりも狭い場合、使用されないノズル51がでる。ノズル51のうち、Y軸方向の上端部分と下端部分の何れか一方、又は、両方の部分で使用されないノズル51が生ずる。制御部4は、繰り返し画像の印刷位置のY軸方向の上端とヘッド5のY軸方向の上端のノズル51が重なるようにY軸固定位置を設定する、又は、繰り返し画像の印刷位置のY軸方向の下端とヘッド5のY軸方向の下端のノズル51が重なるようにY軸固定位置を設定する。これにより、ノズル51のうち、Y軸方向の上端部分と下端部分で使用されないノズル51が使用されるように、ヘッド5を移動させることができる。
複数の画像データD2に基づき、1つの物品2に、複数の繰り返し画像を印刷するとき、制御部4は、1つの印刷面21内の繰り返し画像ごとに使用されるノズル51が異なるように、Y軸固定位置を設定する。制御部4は、直前の繰り返し画像の印刷で使用されなかったノズル51が、次の繰り返し画像の印刷範囲と向かい合うように、Y軸固定位置を設定する。これにより、1つの物品2に複数の繰り返し画像を印刷する場合、使用しないノズル51が生じないようにすることができる。1つの物品2の印刷中に使用するノズル51を切り替えることができる。目詰まりしたノズル51が生ずることを防ぐことができる。
また、画像形成装置1は、印刷面21を読み取り、撮影データD7を生成する読取装置47を含む。制御部4は、撮影データD7に特定画像が含まれているか否かを判定する。特定画像が含まれていると判定したとき、制御部4は、特定画像に対応する画像をヘッド5に印刷させる。これにより、物品2に予め特定画像を付しておくだけで、特定画像に対応する画像を自動的に物品2に印刷することができる。物品2の印刷に関する画像形成装置1やコンピューター200での設定作業を減らすことができる。
また、制御部4は、撮影データD7に特定マークが含まれているか否かを判定する。特定マークが含まれていると判定したとき、制御部4は、特定マークに対応する画像をヘッド5に印刷させる。これにより、物品2に予め特定マークを付しておくだけで、特定画像に対応する画像を自動的に物品2に印刷することができる。マークは認識できれば手書きでもよい。マークはシールでもよい。物品2の印刷に関する画像形成装置1やコンピューター200での設定作業を減らすことができる。
また、制御部4は、見本の物品2が撮影された撮影データD7に基づき印刷に用いる画像データD2を生成する。制御部4は、撮影データD7に基づき生成した画像データD2に基づき、物品2への印刷をヘッド5に行わせる。これにより、見本をコピーして、物品2に印刷を施すことができる。見本に付された記号、コードのコピー印刷を行うことができる。物品2の印刷に関する画像形成装置1やコンピューター200での設定作業を減らすことができる。
また、画像形成装置1は、ヘッド5、移動部6、制御部4を含む。ヘッド5は、列状に並べられたノズル51を含む。ヘッド5は、画像データD2に基づきノズル51から物品2の印刷面21にインクを吐出して画像を印刷する。移動部6は、印刷面21を正面とする場合の奥行方向であるZ軸方向でヘッド5を移動させる。移動部6は、少なくとも2つの軸方向でヘッド5を移動させる。制御部4は、インク吐出中のノズル51と印刷面21の間隔である吐出時間隔を設定する。制御部4は、Z軸方向でヘッド5を移動部6に移動させ、インク吐出中のノズル51と印刷面21の間隔を設定した吐出時間隔で維持する。
これにより、Z軸方向でヘッド5を移動させることができる。ヘッド5の移動により、ヘッド5(ノズル51)と物品2(印刷面21)との間隔を一定とすることができる。従って、印刷される画像の品質のばらつきを無くすことができる。例えば、色むらのある画像や、ぼけた画像の印刷を防ぐことができる。
また、画像形成装置1は、ノズル51と印刷面21の距離を測るための間隔センサー46を含む。制御部4は、間隔センサー46の出力に基づき、ノズル51と印刷面21の距離を認識する。制御部4は、画像の印刷開始前、位置合わせ処理を行う。制御部4は、位置合わせ処理のとき、Z軸方向でヘッド5を移動部6に移動させ、間隔を設定した吐出時間隔する。画像の印刷中、制御部4は、間隔が吐出時間隔で保たれるように、Z軸方向でヘッド5を移動部6に移動させる。これにより、センサーを用いて、印刷中、ノズル51と印刷面21の間隔(距離)を一定で保つことができる。印刷される画像の品質のばらつきを無くすことができる。
また、制御部4は、1つの物品2への印刷完了後、Z軸方向かつ間隔が広がる方向に、ヘッド5を移動部6に移動させ、ヘッド5を衝突回避位置とする。次の物品2への印刷開始前、制御部4は、Z軸方向かつ間隔が狭まる方向に、ヘッド5を移動部6に移動させる。これにより、物品2への印刷完了後、ヘッド5を安全な位置に退避することができる。搬送物品2の画像形成装置1への到達後、ヘッド5を物品2に近づけることができる。ヘッド5と物品2が衝突することを無くすことができる。
また、制御部4は、位置合わせ処理の前に、ノズル51と印刷面21の距離を認識する。制御部4は、認識した間隔が予め定められた許容範囲に収まるとき、位置合わせ処理を省略し、ヘッド5に印刷を開始させる。これにより、位置合わせ処理を省略する場合を設けることができる。物品2への印刷開始を早めることができる。印刷速度、印刷効率、生産性を向上することができる。
また、変形例に係る画像形成装置1は、ノズル51と印刷面21の間隔が基準間隔以下になることを防ぐための間隔規制部材49を含む。間隔規制部材49は、ノズル51よりもZ軸方向かつ物品2が位置する方向に突出している。間隔規制部材49により、ノズル51と印刷面21の間隔が基準間隔以下になることを防ぐことができる。ヘッド5と物品2の衝突により、ヘッド5(ノズル51)にダメージが入ることを防ぐことができる。
また、間隔規制部材49は、ヘッド5に取り付けられる。これにより、ヘッド5とともに、間隔規制部材49を移動させることができる。ヘッド5の位置によらず、ノズル51と印刷面21の間隔を基準間隔以下となることを防ぐことができる。
また、間隔規制部材49は、ローラー又はボールである。これにより、ヘッド5の移動に伴い、物品2と接したまま、間隔規制部材49を滑らかに移動させることができる。物品2の形状に沿って、物品2を壊さないように間隔規制部材49を移動させることができる。
また、間隔規制部材49は、間隔規制部材49と物品2が接したことを検知するための接触センサー410を含む。接触センサー410は、間隔規制部材49と物品2が接しているとき、第1レベルを出力する。接触センサー410は、間隔規制部材49と物品2が接していないとき、第2レベルを出力する。制御部4は、画像の印刷開始前、押し当て処理を行う。押し当て処理のとき、制御部4は、接触センサー410の出力が第2レベルから第1レベルに変化するまで、Z軸方向でヘッド5を移動部6に移動させる。これにより、間隔規制部材49と物品2が接する圧力が強くなりすぎることを防ぐことができる。間隔規制部材49を物品2に押し当てすぎることがなくなる。押し当てすぎることがないので、ノズル51と印刷面21の間隔が基準間隔以下になることを防ぐことができる。間隔規制部材49は物品2と強く接触しないので、物品2の破損が生じない。
制御部4は、1つの物品2への印刷完了後、Z軸方向かつ間隔が広がる方向に、ヘッド5を移動部6に移動させ、ヘッド5を衝突回避位置とする。次の物品2への印刷開始前、制御部4は、接触センサー410の出力が第2レベルから第1レベルに変化するまで、Z軸方向かつ間隔が狭まる方向に移動部6にヘッド5を移動させる。これにより、物品2への印刷完了後、ヘッド5と間隔規制部材49を物品2と接しえない位置に退避することができる。ヘッド5と間隔規制部材49を安全な位置に退避することができる。搬送物品2の画像形成装置1への到達後、間隔規制部材49を物品2に当てることができる。ヘッド5と物品2が衝突することを無くすことができる。
また、画像形成システム100は、上述の画像形成装置1と、印刷面21を正面とした場合の幅方向であるX軸方向で物品2を搬送する搬送装置3と、を含む。これにより、ラインで搬送される物品2に印刷を行うことができる。
また、画像形成システム100では、搬送装置3は、ヘッド5が印刷を開始する前に、物品2を停止させてもよい。ヘッド5は、停止している物品2に印刷する。ヘッド5による印刷が完了したとき、搬送装置3は、物品2の搬送を再開する。これにより、搬送中に停止された物品2に印刷を行うことができる。物品2を停止させるので、インクの着弾位置のずれが少なくなりやすい。
また、画像形成システム100では、搬送装置3は、一定速度で物品2を搬送してもよい。ヘッド5は、搬送されている物品2に印刷してもよい。これにより、ラインで搬送される物品2に印刷を行うことができる。