JP2019188763A - インク吐出装置及び印刷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヘッドの移動方向の制限によるデメリットを解消し、布を高画質、高濃度、かつ、ムラなく印刷する。【解決手段】インク吐出装置は、ヘッド、移動部、制御部を含む。ヘッドは、画像データに基づき、ノズルから搬送される記録媒体の印刷面にインクを吐出して画像を印刷する。移動部は、記録媒体の印刷面を正面としたときの記録媒体の搬送方向であるY軸方向でヘッドを移動させ、少なくとも2つの軸方向でヘッドを移動させる。制御部は、移動部を制御し、Y軸方向でヘッドを移動させつつ、記録媒体に印刷する。【選択図】図13

Description

本発明は、記録媒体に印刷を行うインク吐出装置、及び、インク吐出装置と版を用いて印刷する印刷装置に関する。
布や衣類のような布素材に印刷を行うことがある。布や衣類のような布素材を印刷する場合、インクが布素材に塗布される。布素材へのインクの塗布後、インクの定着が行われる。インクジェット式の印刷機を用いて、布素材の印刷を行うことがある。インクジェット式の印刷機により布素材に印刷を行う技術の一例が特許文献1に記載されている。
具体的に、特許文献1には、剛性フレームと、フレームに装着された第一直線運動X 軸ステージと、第一直線運動X軸ステージと平行にフレームに装着されかつ第一直線運動X軸ステージとは独立して動作する第二直線運動X軸ステージと、各直線X軸ステージ上で運動可能な印刷テーブルアセンブリと、印刷テーブルアセンブリより上で直線X軸ステージと直角にフレームに装着された直線運動Y軸ステージと、X軸ステージに対し直角に直線運動するように直線Y軸ステージに装着されたインクジェットノズルの配列を含むデジタル印刷機が記載されている。この構成により、印刷テーブルアセンブリの移動方向に対して、垂直な方向でインクジェット印刷機を移動させ、衣類を印刷しようとする(特許文献1:請求項1、段落[0041]、[0042])。
特表2007−525339号公報
上述のように、布素材を印刷するとき、インクジェット印刷機を用いることがある。インクジェット印刷機は布素材にインクが吹き付ける。版を用いる場合に比べ、詳細な画像を印刷しやすいというメリットがある。また、色数が多くても、多数の版を用意しなくてもすむ。一方で、インクジェット印刷機にも不利な部分がある。例えば、インクジェット印刷機は、微小なインク(液滴)を吹き付けるので、濃度が出にくい傾向がある。また、同じ濃度で一定の領域を印刷する場合、色ムラがでることがある。
また、インクジェット印刷機は、ヘッドを含む。ヘッドは複数のノズルを含む。インクジェット印刷機のヘッドは、布素材の搬送方向に対して垂直な方向で往復移動される。布の移動にあわせてインクを吐出することにより、印刷がなされる。しかし、ヘッドの移動方向は、搬送方向と垂直な方向で固定されている。つまり、ヘッドの移動方向が限られているという問題がある。
特許文献1記載のデジタル印刷機は、インクジェットノズルの移動方向が直線Y軸ステージの方向(搬送方向と垂直な方向)に限られている。また、特許文献1記載のデジタル印刷機では、濃度が出にくい、色ムラが出ることがあり得る。従って、特許文献1記載の技術では、上記の問題を解決することはできない。
本発明は、上記の課題に鑑み、ヘッドの移動方向の制限によるデメリットを解消し、布を高画質、高濃度、かつ、ムラなく印刷する。
本発明に係るインク吐出装置は、版を用いて印刷する版装置が設けられ、搬送装置により搬送される記録媒体の搬送ラインに対して追加と取り外しが可能である。インク吐出装置は、版を用いて印刷する版装置が設けられ、搬送装置により搬送される記録媒体の搬送ラインに対して固定されていてもよい。前記インク吐出装置は、ヘッド、移動部、制御部を含む。前記ヘッドは、画像データに基づき、前記ノズルから前記搬送装置に搬送される前記記録媒体の印刷面にインクを吐出して画像を印刷する。前記移動部は、前記記録媒体の印刷面を正面としたときの前記記録媒体の搬送方向であるY軸方向で前記ヘッドを移動させ、少なくとも2つの軸方向で前記ヘッドを移動させる。前記制御部は、前記移動部を制御し、前記Y軸方向で前記ヘッドを移動させつつ、前記記録媒体への印刷を前記ヘッドに行わせる。
本発明によれば、ヘッドの移動方向の制限によるデメリットを解消することができる。また、布を高画質、高濃度、かつ、ムラなく印刷することができる。
実施形態に係る印刷装置又は印刷装置の一例を示す図である。 実施形態に係る印刷装置又は印刷装置の一例を示す図である。 実施形態に係る印刷装置又は印刷装置の一例を示す図である。 実施形態に係るインク吐出装置の設置位置の一例を示す図である。 実施形態に係るインク吐出装置の一例を示す図である。 実施形態に係るヘッドの一例を示す図である。 実施形態に係るヘッドの一例を示す図である。 実施形態に係る移動部の一例を示す。 実施形態に係る印刷装置でのヘッドの退避の流れの一例を示す図である。 実施形態に係る印刷装置のヘッドのワイプの流れの一例を示す図である。 実施形態に係るヘッドのフラッシングの流れの一例を示す図である。 実施形態に係る印刷用データの入力の流れの一例を示す。 実施形態に係る停止印刷モードでの印刷の一例を示す図である。 実施形態に係る搬送印刷モードでの印刷の一例を示す図である。 実施形態に係る各印刷モードでのヘッドの移動の一例を示す図である。 実施形態に係る定義データの一例を示す。 実施形態に係る画像種類選択画面の一例を示す。 実施形態に係る平滑レベル選択画面の一例を示す。 実施形態に係るヘッドのZ軸方向の移動の流れの一例を示す図である。 実施形態に係るインク吐出量データの一例を示す図である。 実施形態に係る印刷装置での印刷面の撮影に関連する部分の一例を示す図である。 実施形態に係る画像自動付加モードの流れの一例を示す図である。 実施形態に係るコピーモードの流れの一例を示す図である。 変形例に係るヘッドの一例を示す図である。 変形例に係るインク吐出装置の一例を示す図である。 変形例に係るヘッドの印刷面に対してZ軸方向の移動の流れの一例を示す図である。
以下、図1〜図26を用い、実施形態及び変形例に係るインク吐出装置1及び印刷装置100の一例を説明する。インク吐出装置1及び印刷装置100は記録媒体に印刷を行う
。以下の説明では、記録媒体として布7を例に挙げて説明する。但し、記録媒体は、布7に限られない。記録媒体は、例えば、紙でもよい。インク吐出装置1と版装置2で印刷可能なものが記録媒体となり得る。図1〜図3は、実施形態に係る印刷装置100の一例を示す図である。
以下の説明では、記録媒体の印刷面を正面としたときの記録媒体の搬送方向と垂直な方向をX軸方向と称する。記録媒体の印刷面を正面としたときの記録媒体の搬送方向をY軸方向と称する。記録媒体の印刷面を正面としたときの高さ方向(前後方向)をZ軸方向と称する。
印刷装置100は、例えば、布7を印刷する。印刷装置100は、少なくとも、インク吐出装置1と版装置2、搬送装置3を含む。印刷装置100は、版による印刷と、インクジェットによる印刷の両方を行えるハイブリッド型の印刷システムである。更に、印刷装置100は、制御装置4、給布装置5、定着装置6a、洗浄装置6bを含んでもよい。
搬送装置3は、記録媒体(布)を搬送する。搬送装置により搬送される記録媒体の搬送ライン上に版装置2が設けられる。搬送ラインには、版を用いて印刷する版装置2が設けられる。インク吐出装置1は、この搬送ラインに対して追加と取り外しが可能である。例えば、既に設置済の搬送ラインと版装置2にインク吐出装置1を追加することができる。また、既に設置済の搬送ラインと版装置2のうち、一部の版装置2を取り外し、代わりにインク吐出装置1を設けてもよい。また、設置したインク吐出装置1を搬送ラインから取り外すこともできる。版装置2と搬送ラインに対し、インク吐出装置1は着脱可能である。このように、ディジタル印刷を行うインク吐出装置1のみを市場に供給することができる。
また、インク吐出装置1は、この搬送ラインに対して固定されていてもよい。インク吐出装置1は、版装置2や搬送装置3に対して取り外せないようにしてもよい。この場合、版装置2や搬送装置3とともに、インク吐出装置1が販売される。ディジタル印刷を行うインク吐出装置1とアナログ印刷を行う版装置2などを含む印刷装置100の一式を市場に供給することもできる。
制御装置4は、インク吐出装置1、版装置2、搬送装置3、給布装置5、定着装置6a、洗浄装置6bを制御する。給布装置5には、筒状に巻かれた布7がセットされる。給布装置5は、印刷時、印刷する布7を供給する。給布装置5は、給布ローラー51と給布モーター52を含む。給布ローラー51は、布7を送り出す。給布ローラー51は複数設けられてもよい。印刷時、制御装置4は給布モーター52を回転させる。給布モーター52は各給布ローラー51を回転させる。
搬送装置3は、搬送ベルト31、駆動ローラー32、従動ローラー33、搬送モーター34を含む。搬送ベルト31は、駆動ローラー32と従動ローラー33にかけ回される。搬送モーター34は、駆動ローラー32を回転させる。駆動ローラー32の回転にあわせ、搬送ベルト31が周回する。搬送ベルト31と布7が接する。搬送ベルト31上に布7が張られる。搬送ベルト31の周回にあわせて布7が搬送される。印刷時、制御装置4は搬送モーター34を回転させる。そして、制御装置4は搬送ベルト31を周回させる。
版装置2は、版により印刷を行う部分である。版装置2の下側を布7が通過する。例えば、版装置2は、布7にスクリーン印刷を行う。1つの版装置2で、1色の画像(図柄)を印刷できる。版装置2は、版で印刷する色数分必要となる。図3に示すように、版装置2は、1つに限られない。版装置2を複数設けることができる。
それぞれの版装置2は型枠21、スクリーン版22、スキージ23、スキージ移動装置24、昇降装置25を含む。また、昇降装置25は、型枠21を昇降させる。型枠21内にスクリーン版22が設けられる。型枠21にスキージ23とスキージ移動装置24が取り付けられる。スクリーン版22は、例えば、繊維、樹脂、又は、金属製である。スクリーン版22のうち、布7にインクを付す部分は、彫刻等により、インクを透過するようになっている。そして、スキージ23は、ヘラ状であり、スクリーン版22上に位置する。スキージ23の下端部分(ヘラ部分)はスクリーン版22と接する。
スクリーン版22には、色糊がのせられる。色糊の色は1色である。各版装置2には、スクリーン版22により布7に印刷しようとする色の色糊がのせられる。移動装置は、型枠21内でスキージ23を往復移動させる。移動方向は、型枠21の長手方向(Y軸方向に対し垂直方向、X軸方向)である。往復移動のとき、スキージ23は、スクリーン版22の上面を擦る。スキージ移動装置24は、例えば、モーターを含む。スキージ23を往復移動させることにより、色糊がスクリーン版22のインク透過部から押し出される。布7に色糊が押し出される。これにより、布7が捺染印刷される。本印刷装置100では、ベタ部分の印刷に版装置2が用いられる。
版装置2により印刷する場合、制御装置4は、布7の搬送と停止を搬送装置3に繰り返させる。制御装置4は、規定距離F1だけY軸方向に布7を搬送するごとに、布7の搬送を停止させる。停止時に、制御装置4は、布7と接するまで型枠21、スクリーン版22を昇降装置25に下降させる。その後、制御装置4は、スキージ23を移動装置に往復移動させる。これにより、布7の捺染印刷がなされる。捺染印刷後、制御装置4は、布7と離れるまで、型枠21、スクリーン版22を上昇させる。型枠21、スクリーン版22の上昇完了後、制御装置4は、布7の規定距離F1の搬送を再開する。このように、一連の処理(搬送停止、型枠21等の下降、スキージ23の往復、型枠21等の上昇、搬送再開)を繰り返すことにより、布7への版による捺染印刷が繰り返される。
規定距離F1は、例えば、スクリーン版22のY軸方向の長さと同じである。言い換えると、スクリーン版22で印刷可能なY軸方向の長さを規定距離F1とできる。版装置2が複数設けられる場合、上流側の版装置2のスクリーン版22と下流側の版装置2の間隔を規定距離F1とすることができる。これにより、隙間無く布7を印刷できる。
布7のうち、Y軸方向での規定距離F1分の短冊状の領域が1つの印刷単位となる。以下、この印刷単位を単位印刷範囲E1と称する(図15参照)。単位印刷範囲E1のY軸方向の長さは規定距離F1である。単位印刷範囲E1の垂直方向の長さは、布7の垂直方向での幅である。
なお、版装置2は、型枠21を用いるものに限られない。版装置2は、円筒形の筒を用いて印刷するもの(ロータリースクリーン印刷)でもよい。また、版装置2は、凹版銅製のロールの凹部に色糊を付けて印刷(捺染)するもの(ローラープリント)でもよい。
インク吐出装置1は、搬送される布7をインクにより印刷する。インク吐出装置1は、インクを吐出するヘッド8を含む。インク吐出装置1は、インクジェット型のプリンターの一種である。従来、シリアル型の印刷用ヘッドを用いる場合、印刷用ヘッドの移動方向は、1方向(垂直方向)に限定されている。このような印刷用ヘッドを用いて布7を印刷する場合、布7を搬送させつつ、印刷用ヘッドを往復移動させていた。一方、インク吐出装置1はヘッド8を3次元的に移動できる(詳細は後述)。そのため、インク吐出装置1は、停止状態の布7に印刷を行うことができるし、搬送中の布7を印刷することもできる。印刷時、制御装置4は、インク吐出装置1に布7の印刷を行わせる。
インク吐出装置1の1回の印刷範囲は単位印刷範囲E1である。スクリーン版22の印刷範囲(面積)と同様である。布7は連続して供給されるので、インク吐出装置1は、単位印刷範囲E1の印刷を繰り返す。インク吐出装置1は、例えば、版装置2で印刷しない部分にインクを吐出する。例えば、布7のうち、複数色を用いる図柄やグラデーションを含む図柄をインク吐出装置1に印刷させることができる。
搬送ベルト31を通過した布7は、定着装置6aに搬入される。定着装置6aは、例えば、定着搬送ローラー61、定着搬送モーター62、ヒーター63を含む。印刷時、制御装置4は、搬送装置3の布7の搬送にあわせて、定着搬送モーター62を回転させる。これにより、制御装置4は、定着装置6a内で布7を搬送させる。また、印刷時、制御装置4は、ヒーター63に電力を供給する。ヒーター63よる加熱により、布7にインクが定着する。
定着後の布7は、洗浄装置6bに搬入される。洗浄装置6bは、例えば、洗浄搬送ローラー64、洗浄搬送モーター65、洗浄機66を含む。印刷時、制御装置4は、搬送装置3、定着装置6aの布7の搬送にあわせて、洗浄搬送モーター65を回転させる。これにより、制御装置4は、洗浄装置6b内で布7を搬送させる。印刷時、制御装置4は、洗浄装置6bに布7の洗浄を行わせる。洗浄装置6bは、水を布7に吹き付ける。洗浄装置6bは、余分な(未定着の)インクと色糊を洗い流す。洗浄された布7は、機外に排出される。排出された布7は、収容容器67に収容される。
(インク吐出装置1の設置位置)
次に、図4を用いて、実施形態に係るインク吐出装置1の設置位置の一例を説明する。図4は、実施形態に係るインク吐出装置1の設置位置の一例を示す図である。
図4は、搬送装置3(搬送ベルト31)及び版装置2を上方から見た模式図である。インク吐出装置1と各版装置2は、搬送ベルト31上に設けられる。図4の最上段の図に示すように、インク吐出装置1は、Y軸方向において、各版装置2の上流側に設けられてもよい。また、図4の中段の図に示すように、インク吐出装置1は、Y軸方向において、全版装置2の下流側に設けられてもよい。さらに、図4の最下段の図に示すように、インク吐出装置1は、Y軸方向において、複数の版装置2の間に設けられてもよい。
既存のスクリーン印刷システムにインク吐出装置1を増設するだけで、版装置2とインク吐出装置1の利点を兼ね備えた印刷装置100を実現することができる。インク吐出装置1の設置場所は、特に制限はない。そのため、既存の印刷設備を大きく改造せずに、実施形態に係る印刷装置100を設置することができる。
(インク吐出装置1)
次に、図5を用いて、実施形態に係るインク吐出装置1の一例を説明する。図5は、実施形態に係るインク吐出装置1の一例を示す図である。
インク吐出装置1は制御部10を含む。制御部10はインク吐出装置1の動作を制御する。制御部10は基板である。制御部10は制御回路10aと画像処理回路10bを含む。制御回路10aは、例えば、CPUである。画像処理回路10bは、印刷に用いる画像データD2に対し、画像処理を行う。制御回路10aは、記憶部11に記憶される制御プログラムや制御データに基づき処理を行う。記憶部11は、ROM、HDD、フラッシュROMのような不揮発性の記憶装置を含む。また、記憶部11はRAMのような揮発性の記憶装置を含む。
インク吐出装置1はヘッド8を含む。ヘッド8は列状に並べられたノズル81を含む。以下の説明では、ヘッド8は複数色のインクを吐出する。ヘッド8により、カラー印刷することができる。例えば、ヘッド8は、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクを吐出する。また、インク吐出装置1は複数のインクタンク13を含む。インクタンク13は色ごとに設けられる。図5では、インクタンク13を便宜上、1つのみ図示している。インクタンク13内にはインクが充填される。各インクタンク13からヘッド8に各色のインクが供給される。水頭差を利用して、ヘッド8にインクが供給される。
制御部10はヘッド8に画像を印刷させる。制御部10は、画像データD2に基づき、ヘッド8の各ノズル81から布7の印刷面71にインクを吐出させる。また、インク吐出装置1は移動部12を含む。移動部12は、少なくとも2つの軸方向でヘッド8を移動させる。具体的に、移動部12は3軸方向でヘッド8を移動させる。移動部12は、第1移動機構A、第2移動機構B、第3移動機構Cを含む。第1移動機構Aは、印刷面71(布7、搬送ベルト31)に対してZ軸方向でヘッド8を移動させる。第2移動機構Bは、布7のY軸方向でヘッド8を移動させる。第3移動機構Cは布7のY軸方向でヘッド8を移動させる。Z軸方向は、印刷面71を正面とした場合の前後方向である。垂直方向は、Y軸方向と垂直な方向である。Y軸方向は布7のY軸方向である。各色のノズル列80がY軸方向に沿って並ぶように(Y軸方向と平行に)、ヘッド8が移動部12に取り付けられる。制御部10は、移動部12を制御する。つまり、制御部10は、ヘッド8の位置を制御する。
速度センサー14は、布7の搬送速度(Y軸方向での移動速度)を検知するためのセンサーである。例えば、速度センサー14は、レーザー光、マイクロ波、超音波などを布7に照射する。速度センサー14は、布7の反射波の周波数変化から速度を測定する。速度センサー14は、測定した速度を示す信号を制御部10に入力する。制御部10は、速度センサー14の出力に基づき、布7の搬送速度を認識する。停止した布7にのみ印刷する場合、速度センサー14を設けなくてもよい。
インク吐出装置1はメンテナンス装置9を含む。メンテナンス装置9は、ノズル81の詰まりの防止、解消のための装置である。メンテナンス装置9はキャップ91を含む。キャップ91はヘッド8に被せられる。インクの乾燥を防ぐとき、制御部10は、キャップ91の位置までヘッド8を移動部12に移動させる。キャップ91は、板金をゴムで被膜した部材である。例えば、キャップ91は、凹型の形状である。凹んでいる部分にヘッド8のうち、露出面側の端部(下側の端部)が嵌め込まれる。露出面は、ヘッド8のうち、ノズル81が露出する面である。キャップ91はノズル81の露出面を密封する。キャップ91はノズル81からのインクの蒸発を防ぐ。
メンテナンス装置9は清掃部材92と洗浄部93を含む。清掃部材92は、板状(ブレード)である。清掃部材92はY軸方向で移動可能である。清掃部材92は、例えば、ゴム製である。ワイプ時、ブレードの先端がノズル81に当てられる。制御部10は、ノズル81のワイプのため、ヘッド8を移動部12に移動させる。制御部10は、ノズル81の先端をブレードで擦られるように、ヘッド8を移動させる。制御部10は、ノズル81とブレードが接する位置でヘッド8を固定したまま、清掃部材92を移動させてもよい。これにより、清掃部材92は、ゴミ、ホコリ、粘度が高くなったインクを掻き取る。
洗浄部93は、ノズル81を擦る前の清掃部材92に洗浄液を流す(吹き付ける)。清掃部材92の摩擦が軽減される。清掃部材92でノズル81を擦っても、ノズル81のダメージが生じない。また、洗浄部93は、ワイプ後の清掃部材92を洗浄液で洗う。洗浄部93は、清掃部材92に付着したインクを洗い落とす。メンテナンス装置9は、廃液タンク94を含む。洗浄液や、洗浄液で洗い流されたインクは、廃液タンク94に流れ込む。
メンテナンス装置9は、開口部95を含む(図3参照)。開口部95は、ヘッド8の露出面よりも広い。開口部95は廃液タンク94とつながっている。制御部10は、インクを吐き捨てるとき、開口部95の上部までヘッド8を移動部12に移動させる。開口部95に吐き捨てられたインクは、廃液タンク94に流れ込む。
インク吐出装置1は操作パネル15を含む。操作パネル15は、表示パネル15a、タッチパネル15bを含む。表示パネル15aは設定画面や情報を表示する。表示パネル15aは、キー、ボタン、タブのような操作用画像を表示する。タッチパネル15bは、表示パネル15aへのタッチ操作を検知する。タッチパネル15bの出力に基づき、制御部10は、操作された操作用画像を認識する。制御部10は、使用者が行った設定操作を認識する。
また、インク吐出装置1は、タイミングセンサー16を含む。タイミングセンサー16は、印刷開始時点を定めるためのセンサーである。タイミングセンサー16は、布7の搬送方向(Y軸方向)の下流側の先頭部分が、予め定められた地点に到達したことを検知する。制御部10は、タイミングセンサー16による先頭到達検知に基づき印刷開始タイミングを定める。
通信部19は、コンピューター200と通信する。コンピューター200は、例えば、PCやサーバーである。通信部19は、コンピューター200から印刷用データD1を受信する。制御部10は、印刷用データD1に基づき、ヘッド8を移動させる。また、制御部10は、印刷用データD1に基づき、ヘッド8にインクを吐出させる。
(ヘッド8)
次に、図6、図7を用いて、実施形態に係るヘッド8の一例を説明する。図6、図7は、実施形態に係るヘッド8の一例を示す図である。
ヘッド8は布7を印刷する。布7の印刷面71にインクを吹き付ける。ヘッド8は複数のノズル列80を含む。ノズル列80は複数のノズル81を列状に並べたものである。各ノズル列80に含まれるノズル81の数は同じである。ノズル列80はインクの色ごとに設けられる。吐出されるインクの色は、ノズル列80ごと異なる(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタ)。ノズル列80は、布7のY軸方向と平行である。つまり、ノズル列80に含まれる各ノズル81は、Y軸方向に沿って並ぶ(図7参照)。
Y軸方向での間隔が均等になるようにノズル81が形成される。ノズル81の開口からインクが吐出される。Y軸方向(搬送方向)の上流端のノズル81から下流端のノズル81までの長さが、1回のインク吐出での描画範囲となる。図6に示すように、各ノズル81に対し、駆動素子83が設けられる。駆動素子83は、圧電素子である。駆動素子83は、例えば、ピエゾ素子である。
図6に示すように、ヘッド8は複数のドライバー回路82を含む。ドライバー回路82は各駆動素子83への電圧印加のON/OFFを行う。制御部10は1ラインごとに、画像データD2(インクを吐出すべきノズル81を示すデータ)を各ドライバー回路82に与える。ドライバー回路82は、インクを吐出すべきノズル81の駆動素子83にパルス状の電圧を印加する。駆動素子83は、電圧印加により変形する。変形の圧力がノズル81にインクを供給する流路(不図示)に加わる。流路への圧力により、ノズル81からインクが吐出される。一方、ドライバー回路82は、インクを吐出させない画素に対応する駆動素子83に電圧を印加しない。ドライバー回路82はインク吐出を実際に制御する。
また、ヘッド8には、複数種の大きさの異なる電圧を生成する電圧生成回路84を含む。ドライバー回路82は、電圧生成回路84が生成する電圧のうち、何れか1つを駆動素子83に印加する。印加される電圧が大きいほど、駆動素子83の変形が大きくなる。その結果、吐出されるインクの液滴の量が多くなる。印加される電圧が小さいほど、駆動素子83の変形が小さくなる。その結果、吐出されるインクの液滴の量が少なくなる。ドライバー回路82は、吐出されるインクの液滴の量を調整することができる。
また、制御部10は駆動信号生成回路10cを含む。駆動信号生成回路10cは駆動信号S1を生成する。駆動信号S1は、ヘッド8を駆動するための信号である。駆動信号生成回路10cは、例えば、クロック信号を生成する。ヘッド8(ドライバー回路82)は、駆動信号S1が1回立ち上がるごとに、インクを吐出させる。インク吐出の基準周期が予め定められる。制御部10は、基準周期でインクが吐出される周波数の駆動信号S1を駆動信号生成回路10cに生成させる。
(移動部12)
次に、図3、図8を用いて、実施形態に係る移動部12の一例を説明する。図8は、実施形態に係る移動部12の一例を示す。
第1移動機構AはZ軸方向でヘッド8を移動させる。第1移動機構Aは、第1アームA1を含む。第1アームA1は四角柱状の部材である。第1アームA1は、第1モーターA2、第1移動部材A3、第1移動体A4を内蔵する。第1モーターA2は、例えば、ステッピングモーターである。第1モーターA2は正方向と逆方向の両方で回転できる。制御部10は第1モーターA2の回転を制御する。第1モーターA2は第1移動部材A3を回転させる。第1移動部材A3は、例えば、ボールねじである。第1移動体A4はボールねじに取り付けられたナットと一体化している。第1モーターA2が第1移動部材A3を回転させる。これにより、第1モーターA2の回転運動が直線運動に変換される。その結果、第1移動体A4がZ軸方向で移動する。第1アームA1は第1移動体A4の移動をガイドする。
第2移動機構BはX軸方向でヘッド8を移動させる。第2移動機構Bは第2アームB1を含む。第2アームB1は四角柱状の部材である。第2アームB1は、第2モーターB2、第2移動部材B3、第2移動体B4を内蔵する。第2モーターB2は、例えば、ステッピングモーターである。第2モーターB2は正方向と逆方向の両方で回転できる。制御部10は第2モーターB2の回転を制御する。第2モーターB2は第2移動部材B3を回転させる。第2移動部材B3は、例えば、ボールねじである。第2移動体B4は、ボールねじに取り付けられたナットと一体化している。第2モーターB2が第2移動部材B3を回転させる。これにより、第2モーターB2の回転運動が直線運動に変換される。その結果、第2移動体B4が移動する。第2アームB1は第2移動体B4の移動をガイドする。
第3移動機構CはY軸方向でヘッド8を移動させる。図5に示すように、第3移動機構Cは第3アームC1を含む。第3アームC1は四角柱状の部材である。第3アームC1は、第3モーターC2、第3移動部材C3、第3移動体C4を内蔵する。第3モーターC2は、例えば、ステッピングモーターである。第3モーターC2は正方向と逆方向の両方で回転できる。制御部10は第3モーターC2の回転を制御する。第3モーターC2は第3移動部材C3を回転させる。第3移動部材C3は、例えば、ボールねじである。第3移動体C4は、ボールねじに取り付けられたナットと一体化している。第3モーターC2が第3移動部材C3を回転させる。これにより、第3モーターC2の回転運動が直線運動に変換される。その結果、第3移動体C4が移動する。第3アームC1は第3移動体C4の移動をガイドする。
第1移動体A4は、第2移動機構Bの一部と接続される。例えば、第2アームB1の端部と第1移動体A4が接続される。第1移動体A4の移動にあわせて、ヘッド8がZ軸方向で移動する。布7に対して、ヘッド8を近づけたり遠ざけたりすることができる。第1モーターA2を回転させることにより、制御部10は、ヘッド8(ノズル81)の高さ(Z軸方向の位置)を変化させられる。
第2移動体B4は、第3移動機構Cの一部と接続される。例えば、第3アームC1の一部と第2移動体B4が接続される。第2移動体B4の移動にあわせて、ヘッド8が垂直方向で移動する。布7に対するヘッド8の垂直方向の位置を変えることができる。第2モーターB2を回転させることにより、制御部10は、垂直方向でのヘッド8(ノズル81)によるインク吐出位置(印刷位置)を、移動させられる。
ヘッド8は、ノズル列80がY軸方向(搬送方向)と平行になるように、第3移動体C4に取り付けられる。第3移動体C4の移動にあわせて、ヘッド8が布7のY軸方向で移動する。布7に対するヘッド8のY軸方向での位置を変えることができる。第3モーターC2を回転させることにより、制御部10は、Y軸方向でのヘッド8(ノズル81)によるインク吐出位置(印刷位置)を移動させられる。
(ヘッド8の退避)
次に、図3、図9を用いて、実施形態に係る印刷装置100でのヘッド8の退避の一例を説明する。図9は、実施形態に係る印刷装置100でのヘッド8の退避の流れの一例を示す図である。
ノズル81が露出している状態では、ノズル81からインク中の揮発性成分が蒸発する。蒸発が進むと、インクの粘度が高くなる。さらに乾燥が進むとインクの成分が固まる。インクの乾燥により、ノズル81の目詰まりが生ずることがある。例えば、ノズル81を露出したまま放置した場合、目詰まりが生ずる。目詰まりは、駆動素子83に電圧を印加してもインクが吐出されない状態である。画質を保つには、目詰まりの発生を防ぐ必要がある。
メンテナンス装置9は、ヘッド8の移動範囲内、かつ、布7の上面外に設けられる(図3参照)。メンテナンス装置9はキャップ91を含む。キャップ91はヘッド8のノズル81の露出面に被せられる。キャップ91を被せることにより、インクの乾燥が進まない。ヘッド8とキャップ91の長手方向は、Y軸方向と平行となる。また、キャップ91は、X軸方向において、布7(搬送ライン)よりも外側に設けられる。言い換えると、インク吐出のためにヘッド8が移動する範囲外にメンテナンス装置9が設けられる。なお、キャップ91の設置位置に特に制限はない。印刷の妨げにならない位置にキャップ91を設けることができる。
図9は、キャップ91へのヘッド8の退避の流れの一例を示す。図9のスタートは退避条件が満たされた時点である。制御部10は、退避条件が満たされたか否かを判定する。退避条件は予め定められる。例えば、制御部10は、操作パネル15がヘッド8の退避指示を受け付けたとき、退避条件が満たされたと判定する。つまり、使用者がヘッド8の退避を指示する入力を操作パネル15に行ったことを退避条件としてもよい。例えば、搬送ラインの故障により、長時間の印刷停止が予想されるとき、使用者は、退避指示を操作パネル15に入力する。
また、制御部10は、予め定められた退避時刻になったとき、退避条件が満たされたと判定してもよい。退避時刻は布7への印刷を停止する時間とできる。例えば、退避時刻は、昼休みの開始時刻としてもよい。また、退避時刻は終業時刻としてもよい。操作パネル15は、退避時刻の設定を受け付ける。記憶部11は、設定された退避時刻を記憶する。また、制御部10は、1ロール(布7の搬送ラインでの処理単位)の布7の印刷が完了したとき、退避条件が満たされたと判定してもよい。
制御部10は、退避位置を確認する(ステップ♯11)。記憶部11は、3軸の各方向での退避位置の座標を記憶する(図10参照)。制御部10は、記憶部11の退避位置の座標を確認する。制御部10は、退避位置に向けて、ヘッド8を移動部12に移動させる(ステップ♯12)。これにより、ヘッド8のキャップ91への嵌め込みが行われる(ステップ♯13)。ヘッド8は、インクが乾燥しない状態で維持される。そして、本フローは終了する(エンド)。なお、印刷を開始するとき、制御部10は、退避位置から印刷位置に向けて、移動部12にヘッド8を移動させる。印刷を開始するとき、ヘッド8の退避が解除される。
(ヘッド8のワイプ)
次に、図3、図10を用いて、実施形態に係る印刷装置100でのヘッド8のワイプの流れの一例を説明する。図10は、実施形態に係る印刷装置100のヘッド8のワイプの流れの一例を示す図である。
使用しているうちに、一部のノズル81のインクの粘度が高くなることがある。吐出回数が少ないノズル81ほど、インクの粘度が上昇しやすい。また、使用しているうちに、空気中のホコリ、粉塵がノズル81に付着することがある。これらの要因により、目詰まりが生ずることがある。目詰まりの解消と防止のため、印刷装置100は、ヘッド8(ノズル81)のワイプ機能を有する。
印刷装置100は清掃部材92を含む。図3は、布7のY軸方向と垂直な方向かつ布7の外側に、清掃部材92を設ける例を示す。清掃部材92はキャップ91の横に設けられる。ノズル81の並び方向はY軸方向と平行とされる。そのため、清掃部材92(ブレード)の刃の方向がY軸方向に対して垂直方向となるように、清掃部材92が設置される。なお、ブレードの刃の方向は垂直方向に対し、傾いていてもよい。なお、清掃部材92の設置位置に特に制限はない。印刷の妨げにならない位置に清掃部材92を設けることができる。
図10は、ヘッド8のワイプの流れの一例を示す。図10のスタートは、予め定められたワイプ条件が満たされた時点である。制御部10は、ワイプ条件が満たされたか否かを判定する。ワイプ条件は予め定められる。例えば、制御部10は、操作パネル15がノズル81のワイプ指示を受け付けたとき、ワイプ条件が満たされたと判定する。つまり、使用者がヘッド8のワイプを指示する入力を操作パネル15に行ったことをワイプ条件としてもよい。
また、制御部10は、予め定められたワイプ時刻になったとき、ワイプ条件が満たされたと判定してもよい。例えば、ワイプ時刻は、昼休みの開始時刻としてもよい。また、ワイプ時刻は、終業時刻としてもよい。なお、操作パネル15は、ワイプ時刻の設定を受け付ける。記憶部11は、設定されたワイプ時刻を記憶する。また、制御部10は、1ロール(布7の搬送単位)分の布7の印刷が完了したとき、制御部10はワイプ条件が満たされたと判定してもよい。
キャップ91からヘッド8が離れてから、又は、直前のワイプから所定時間経過したとき、制御部10は、ワイプ条件が満たされたと判定してもよい。これにより、インクの粘度が高くなる前に、ヘッド8をワイプすることができる。また、ヘッド8を退避位置に移動する前に、必ずヘッド8のワイプを行うようにしてもよい。この場合、制御部10は、退避条件が満たされたとき、ワイプ条件も満たされたと判定する。そして、ヘッド8にキャップ91を被せる前に、制御部10は、ヘッド8をワイプする。
ワイプ条件が満たされたとき(スタート)、制御部10は、ヘッド8を開口部95の上方に移動させる(ステップ♯21)。そして、制御部10は、パージ処理を行わせる(ステップ♯22)。パージ処理は、ノズル81からインクを吐き出させる(しみ出させる)処理である。インクの流路に圧力をかける圧力印加部85が設けられる(図6参照)。圧力印加部85は、例えば、ポンプである。ポンプは、インクタンク13からヘッド8へのインク供給経路に設けられる。制御部10は、パージ処理のとき、ポンプを動作させる。ポンプはヘッド8内のインクの流路に圧力をかける。圧力により、目詰まりの原因(ホコリや高粘度状態のインク)をノズル81から吐き出させることができる。次に、制御部10は、清掃部材92への洗浄液の塗布7を洗浄部93に行わせる(ステップ♯22)。制御部10は清掃部材92の表面のすべりをよくする。
次に、制御部10は、ワイプ開始位置を確認する(ステップ♯23)。ワイプ開始位置は、ヘッド8と清掃部材92のブレードの先端が接するヘッド8の位置である。記憶部11は、3軸の各方向でのワイプ開始位置の座標を記憶する。制御部10は、記憶部11のワイプ開始位置の座標を確認する。そして、制御部10は、ワイプ開始位置に向けて、ヘッド8を移動部12に移動させる(ステップ♯24)。
続いて、制御部10は、移動部12にワイプ処理を行わせる(ステップ♯25)。ワイプ処理のとき、制御部10は、ヘッド8を移動部12に移動させる。具体的に、制御部10は、清掃部材92(ブレード)とノズル81が接した状態で、Y軸方向でヘッド8を往復させる。全ノズル81が1又は複数回、清掃部材92と接するように、制御部10はヘッド8を移動させる。これにより、ノズル81が清掃部材92で擦られる。清掃部材92はノズル81の汚れや余分なインクをかき取る。そして、本フローは終了する(エンド)。なお、制御部10は、ワイプ処理のとき、ヘッド8を固定したまま清掃部材92を移動させてもよい。
ヘッド8のワイプ後、印刷を再開するとき、制御部10は、印刷位置に向けて、移動部12にヘッド8を移動させる。ヘッド8のワイプ後、キャップ91をヘッド8に被せるとき、制御部10は、退避位置に向けて、移動部12にヘッド8を移動させる。
(フラッシング)
次に、図3、図11を用いて、実施形態に係る印刷装置100でのヘッド8のフラッシングの流れの一例を説明する。図11は、実施形態に係る印刷装置100のヘッド8のフラッシングの流れの一例を示す図である。
ノズル81の目詰まりを防ぐには、ノズル81のインクの粘度を小さい状態で保つことが好ましい。また、付着したホコリ、粉塵はできるだけ早く吹き飛ばすことが好ましい。そこで、インク吐出装置1は、ヘッド8(ノズル81)のフラッシング機能を有する。
図11は、ヘッド8のフラッシングの流れの一例を示す。図11のスタートは、予め定められたフラッシング条件が満たされた時点である。制御部10は、フラッシング条件が満たされたか否かを判定する。フラッシング条件は予め定められる。例えば、制御部10は、規定距離F1だけY軸方向(搬送方向)に布7を搬送することにより、布7の搬送が一時停止したとき、フラッシング条件が満たされたと判定してもよい。また、制御部10は、単位印刷範囲E1(規定距離F1の領域)の印刷が完了したとき、フラッシング条件が満たされたと判定してもよい。また、制御部10は、印刷開始又は先のフラッシングから所定時間経過したとき、フラッシング条件が満たされたと判定してもよい。
フラッシング条件が満たされたとき(スタート)、制御部10は、フラッシング開始位置を確認する(ステップ♯31)。フラッシング開始位置は、ヘッド8の全てのノズル81が開口部95と向かい合う位置である。言い換えると、フラッシング開始位置は、開口部95の上方である。制御部10は、ヘッド8を開口部95の上方に移動させる(ステップ♯31)。そして、制御部10は、フラッシング処理を行わせる(ステップ♯32)。フラッシング処理は、開口部95に向けて、全てのノズル81にインクを吐出させる処理である。制御部10は、例えば、数滴のインクを全てのノズル81に吐出させる。そして、本フローは終了する(エンド)。フラッシング処理後、印刷を再開するとき、制御部10は、印刷位置に向けて、移動部12にヘッド8を移動させる。ヘッド8のフラッシング後、キャップ91をヘッド8に被せるとき、制御部10は、退避位置に向けて、移動部12にヘッド8を移動させる。
(印刷用データD1)
図12を用いて、印刷用データD1について説明する。図12は、実施形態に係るインク吐出装置1への印刷用データD1の入力の流れの一例を示す。
コンピューター200は、インク吐出装置1の通信部19に印刷用データD1を入力する。コンピューター200は、印刷装置100の一部と考えることもできる。コンピューター200は、処理部201、コンピューター記憶部202、入力デバイス205、表示デバイス206、コンピューター通信部207を含む。処理部201は、CPUのような処理回路を含む基板である。コンピューター記憶部202は、ROM、RAM、HDDを含む。コンピューター記憶部202は、印刷用データD1を生成するためのドライバーソフトウェア203を含む。また、コンピューター記憶部202は、印刷に用いる画像データD2を編集するための画像編集ソフトウェア204を含む。入力デバイス205は、キーボードやマウスのような入力機器である。使用者は入力デバイス205を用いて、画像データD2を編集し、印刷コマンドを入力する。表示デバイス206はディスプレイである。コンピューター通信部207は、印刷装置100やその他の装置と通信するインターフェイスである。
使用者は、画像編集ソフトウェア204を用いて、布7に印刷する画像の画像データD2を作成、編集する。例えば、バーコードを印刷する場合、使用者はバーコードの画像を含む画像データD2を作成する。記号列(文字列)を印刷する場合、使用者は、記号列の画像を含む画像データD2を作成する。図柄(図形、模様、写真など)を印刷する場合、使用者は、図柄を含む画像データD2を作成する。外部からコンピューター200に取り込んだ画像データD2を布7の印刷に用いてもよい。1つの単位印刷範囲E1(規定距離F1×布7の垂直方向の長さ)に複数種類の画像をインク吐出装置1で印刷する場合、複数の画像を含む画像データD2が生成される。
画像編集ソフトウェア204で印刷コマンドが実行されたとき、処理部201は、ドライバーソフトウェア203を起動させる。処理部201は、ドライバーソフトウェア203に基づき、印刷の設定用の画面を表示デバイス206に表示させる。入力デバイス205は、印刷の設定を受け付ける。例えば、入力デバイス205は、単位印刷範囲E1内の画像の印刷位置、印刷解像度、画像の種類、吐出時間隔(詳細は後述)の設定を受け付ける。例えば、ヘッド8が印刷可能な複数の解像度のうち、何れか1つを選択できる。
処理部201は、ドライバーソフトウェア203に基づき、印刷用データD1を生成する。印刷用データD1は画像データD2と印刷設定情報D3を含む。処理部201は、選択された解像度の画像データD2を生成する。処理部201は設定された情報を印刷設定情報D3に含める。例えば、処理部201は、印刷位置、印刷解像度、画像の種類、吐出時間隔(詳細は後述)といった情報を含める。1つの単位印刷範囲E1内に複数種類の画像をインク吐出装置1で印刷する場合、処理部201は、複数の画像を印刷用データD1に含める。
そして、処理部201は、インク吐出装置1の通信部19に向けて、生成した印刷用データD1を送信する。その結果、インク吐出装置1に印刷用データD1が入力される。記憶部11は、受信した印刷用データD1を記憶する。インク吐出装置1は、印刷用データD1に含まれる画像データD2に基づき、単位印刷範囲E1を印刷する。インク吐出装置1は、規定距離F1分布7が搬送されるごとに、単位印刷範囲E1の印刷を繰り返す。例えば、印刷装置100は、布7の単位印刷範囲E1に、コード、記号列、図柄といった画像を印刷できる。
なお、コンピューター200から画像データD2のみを入力するようにしてもよい。この場合、インク吐出装置1の操作パネル15が印刷の設定を受け付ける。インク吐出装置1の制御部10が印刷用データD1を生成する。
(インク吐出装置1による印刷)
次に、図13〜図15を用いて、実施形態に係るヘッド8を用いた印刷の一例を説明する。図13は、実施形態に係る停止印刷モードでの印刷の一例を示す図である。図14は、実施形態に係る搬送印刷モードでの印刷の一例を示す図である。図15は、実施形態に係る各印刷モードでのヘッド8の移動の一例を示す図である。図15では、各移動機構と搬送装置3の図示を省略している。
印刷装置100では、布7の搬送と一時停止が繰り返される。一方、インク吐出装置1は、布7のY軸方向(搬送方向)でヘッド8を動かすことができる。従って、インク吐出装置1は、停止している布7に印刷できる。また、インク吐出装置1は、搬送されている布7にも印刷できる。以下、インク吐出装置1が停止している布7に印刷するモードを停止印刷モードと称する。また、インク吐出装置1が搬送されている布7を印刷するモードを搬送印刷モードと称する。
停止印刷モードで印刷するか、搬送印刷モードで印刷するかを操作パネル15で選択することができる。操作パネル15は、停止印刷モードで印刷するか、搬送印刷モードで印刷するかの選択を受け付ける。何れのモードでも、制御部10は、Y軸方向にヘッド8を移動させつつ、布7に印刷させる。
1.停止印刷モード
布7の停止にあわせてインク吐出装置1に印刷を開始させるとき、停止印刷モードが選択される。
図13を用いて、停止印刷モードでの1つの規定距離F1の領域(単位印刷範囲E1)での印刷の流れの一例を説明する。布7は複数の単位印刷範囲E1で区切られる。インク吐出装置1は、単位印刷範囲E1ごとに同じ画像の印刷を繰り返す。言い換えると、1つの単位印刷範囲E1ごとに、図13の処理が繰り返される。
図13のスタートは、停止印刷モードでの印刷を開始する時点である。停止印刷モードでは、スタートは、搬送装置3が布7の搬送を停止した時点である。搬送装置3からの搬送停止の通知に基づき、制御部10は、布7の搬送停止を認識してもよい。また、速度センサー14の出力に基づき、制御部10は、布7の搬送が停止したことを認識してもよい。
まず、制御部10は、ヘッド8を印刷開始位置に移動させる(ステップ♯41)。印刷開始位置は、予め定められる。例えば、印刷開始位置は、単位印刷範囲E1の下流側の隅と、ノズル列80の最も下流側にあるノズル81が正対する位置である。なお、画像データD2に対応する印刷設定情報D3に基づき、制御部10は、印刷開始位置を認識してもよい。この場合、制御部10は認識した印刷開始位置にヘッド8を移動させる。
次に、制御部10は走査を開始させる(ステップ♯42)。走査は、ヘッド8をX軸方向(Y軸方向に対して垂直方向)で移動させる動作である。走査は、単位印刷範囲E1の垂直方向の一端から他端に向けてヘッド8を移動させる動作である。ノズル列80の方向がY軸方向と平行であるためである。制御部10は、1回の走査の開始から終了まで、ヘッド8のY軸方向の位置を固定する。1回の走査の開始位置は、布7のY軸方向と平行な辺のうち、一方の辺と最も他方側に位置するノズル列80が向かい合う位置である。1回の走査の終了位置は、布7のY軸方向と平行な辺のうち、他方の辺と最も一方側に位置するノズル列80が向かい合う位置である。制御部10は、第2移動機構Bにヘッド8を移動させる。ヘッド8のインクの吐出周期は決まっている。移動速度は、インクの1吐出周期に、印刷解像度における1ドット分の距離だけ移動する速度である。
ヘッド8のX軸方向での走査の開始にあわせ、制御部10は、印刷用データD1に基づき、インクを吐出して印刷する(ステップ♯43)。言い換えると、印刷用データD1に基づき、制御部10は、インクをのせるべき画素(スクリーン版22で印刷されない部分)にインクの液滴を着弾させる。走査終了にあわせ、制御部10は、単位印刷範囲E1の印刷が完了したか否かを確認する(ステップ♯44)。単位印刷範囲E1の印刷が完了したとき(ステップ♯44のYes)、本フローは終了する(エンド)。単位印刷範囲E1の印刷終了にあわせ、制御部10は、フラッシング処理を行ってもよい。
単位印刷範囲E1の印刷が完了していないとき(ステップ♯44のNo)、制御部10は、ヘッド8をY軸方向で所定幅G1だけ移動させる(ステップ♯45)。制御部10は、第3移動機構Cにヘッド8を移動させる。ヘッド8のノズル列80のY軸方向の長さは、単位印刷範囲E1のY軸方向の長さよりも短い。単位印刷範囲E1の全体を印刷するため、ヘッド8のY軸方向の位置をずらす。単位印刷範囲E1のうち、搬送方向(Y軸方向)の下流側から印刷する場合、制御部10は、ヘッド8を搬送方向(Y軸方向)の上流側にずらす。単位印刷範囲E1のうち、搬送方向(Y軸方向)の上流側から印刷する場合、制御部10は、ヘッド8を搬送方向(Y軸方向)の下流側にずらす。
ヘッド8のY軸方向への移動後、制御部10は、次の走査を移動部12(第2移動機構B)に開始させる(ステップ♯42に戻る)。このように、停止している布7に印刷する停止印刷モードのとき、制御装置4は、規定距離F1、布7を搬送するごとに、布7の搬送を搬送装置3に停止させる。そして、インク吐出装置1は、停止している布7に印刷する。ヘッド8による印刷が完了したとき、制御装置4は、布7の搬送を搬送装置3に再開させる。さらに、停止印刷モードのとき、制御部10は、ヘッド8をY軸方向、及び、X軸方向で移動部12に移動させる。
2.搬送印刷モード
搬送される布7に印刷するとき、搬送印刷モードが選択される。搬送印刷モードでは、ヘッド8をY軸方向で移動させつつ印刷することができる。
図14を用いて、搬送印刷モードでの1つの規定距離F1の領域(単位印刷範囲E1)での印刷の流れの一例を説明する。ロールの布7は複数の単位印刷範囲E1で区分される。インク吐出装置1は、単位印刷範囲E1ごとに同じ画像の印刷を繰り返す。1つの単位印刷範囲E1ごとに、図14の処理が繰り返される。
図14のスタートは、搬送印刷モードでの印刷を開始する時点である。搬送印刷モードのスタートは、布7の先端がヘッド8の移動範囲内に入った時点、又は、直前の単位印刷範囲E1の印刷が完了した時点である。
まず、制御部10は、ヘッド8を印刷開始位置に移動させる(ステップ♯51)。印刷開始位置は、予め定められる。例えば、印刷開始位置は、ヘッド8を最も搬送方向(Y軸方向)の上流側に移動している位置とできる。X軸方向においては、Y軸方向と平行な布7の辺とノズル列80が正対する位置である。なお、画像データD2に対応する印刷設定情報D3に基づき、制御部10は、印刷開始位置を認識してもよい。この場合、認識した印刷開始位置にヘッド8を移動させる。
次に、制御部10は走査を開始させる(ステップ♯52)。搬送印刷モードでは、制御部10は、X軸方向でヘッド8を第2移動機構Bに移動させる(ステップ♯52)。走査でのY軸方向でのヘッド8の移動は、停止印刷モードと同様である。
さらに、Y軸方向でのドットの位置がずれないようにする必要がある。そこで、制御部10は、Y軸方向でもヘッド8を第3移動機構Cに移動させる(ステップ♯52)。制御部10は、搬送される布7にあわせて、走査中、Y軸方向での布7とヘッド8の相対速度がゼロとなるように、ヘッド8を第3移動機構Cに移動させる。走査中、Y軸方向での布7に対するヘッド8(ノズル81)の位置が固定される。速度センサー14の出力に基づき、制御部10は、布7の搬送速度を認識する。制御部10は、ヘッド8のY軸方向の移動速度と布7の搬送速度を一致させる。
ヘッド8の走査開始にあわせ、制御部10は、印刷用データD1に基づき、インクを吐出して印刷する(ステップ♯53)。言い換えると、印刷用データD1に基づき、制御部10は、インクをのせるべき画素にインクの液滴を着弾させる。
走査の終了にあわせ、制御部10は、単位印刷範囲E1の印刷が完了したか否かを確認する(ステップ♯54)。単位印刷範囲E1の印刷が完了したとき(ステップ♯54のYes)、本フローは終了する(エンド)。単位印刷範囲E1の印刷終了にあわせ、制御部10は、フラッシングを行ってもよい。
単位印刷範囲E1の印刷が完了していないとき(ステップ♯54のNo)、制御部10は、所定幅G1分、Y軸方向でヘッド8を第3移動機構Cに移動させる(ステップ♯55)。制御部10は、第3移動機構Cにヘッド8を移動させる。単位印刷範囲E1の全体を印刷するため、ヘッド8のY軸方向の位置をずらす。搬送される布7に印刷するため、単位印刷範囲E1のうち、制御部10は、ヘッド8を搬送方向(Y軸方向)の下流側にずらす。
1回の走査の完了後、制御部10は、搬送される布7に対するY軸方向での移動量が所定幅G1になるように、Y軸方向でヘッド8を第3移動機構Cに移動させる。布7は搬送され、移動している。搬送による移動を加味して、ヘッド8の位置(同じノズル81のインク着弾位置)が所定幅G1分ずれるように、制御部10は、ヘッド8を移動させる。
ヘッド8のY軸方向への移動後、制御部10は、次の走査を移動部12(第2移動機構B)に開始させる(ステップ♯52に戻る)。このように、搬送中の布7に印刷する搬送印刷モードのとき、制御部10は、X軸方向及びY軸方向でヘッド8の位置を移動させる。
次に、図15を用いて所定幅G1を説明する。図15のうち、2点鎖線で囲う領域が単位印刷範囲E1である。また、図15では、実線で示すヘッド8は、所定幅G1の移動前の状態(位置)の一例を示す。また、破線で示すヘッド8は、所定幅G1の移動後の状態(位置)の一例を示す。
インク吐出装置1のヘッド8は、単位長さ(1インチ)のノズル列80に含まれるノズル数が設定できる印刷解像度の単位長さ(1インチ)あたりのドット数以下である。また、所定幅G1は、ノズル列80のY軸方向の長さよりも短い。そこで、ノズル列80の長さをA、印刷解像度をB、ノズル列80に含まれる単位長さ当たりのノズル数をCとする場合、所定幅G1は、(A÷(B÷C))+1ドットとする。
例えば、1本のノズル列80に600本のノズル81が含まれているとする。また、印刷解像度が600dpi、ノズル列80に含まれる単位長さ当たりのノズル数を150とする(150dpi)。単位長さは、解像度にあわせて1インチである。この場合、ノズル列80の長さをAは、約4インチ(600÷150)となる。上記式に当てはめると、(A÷(B÷C))=4÷(600÷150)=1となる。従って、600dpiで印刷する場合、所定幅G1は、1インチ1ドットとなる。
また、1本のノズル列80に600本のノズル81が含まれているとする。また、印刷解像度が300dpi、ノズル列80に含まれる単位長さ当たりのノズル数を150とする。この場合も単位長さは、解像度にあわせて1インチである。また、ノズル列80の長さAは、約4インチ(600÷150)となる。上記式に当てはめると、(A÷(B÷C))=4÷(300÷150)=2となる。従って、300dpiで印刷する場合、所定幅G1は、2インチ1ドットとなる。
ノズル列80に含まれる単位長さあたりのノズル数が印刷解像度より少なくても、単位面積(1インチ四方)でのインク着弾数を、印刷解像度に基づく単位面積での画素数と同数とすることができる。擬似的に印刷解像度を実現することができる。インク吐出装置1では、あるドットに対して、4回又は2回、インクが吐出される。また、1ドット分、位置がずらされるので、インクを吐出するノズル81の位置がばらつかせることができる。ノズル81の詰まりが生じにくくなる。
なお、布7の搬送速度に応じて、インク吐出の基準周期とヘッド8の垂直方向の移動速度を変えてもよい。布7の搬送速度が速いほど、規定距離F1の搬送時間が短くなる。布7の搬送が停止する前に単位印刷範囲E1の印刷を終えるため、制御部10は、駆動信号S1の周期を短くしてもよい。また、制御部10は、垂直方向でのヘッド8の移動速度を早くしてもよい。つまり、ヘッド8が布7が1ドット分移動するごとに、1回インク吐出されるように、制御部10は、駆動信号S1とヘッド8の垂直方向の移動速度を調整してもよい。
駆動信号S1の周期が短く、ヘッド8の垂直方向の移動速度が速いほど、ノズル81からの単位時間におけるインク吐出量が多くなる。駆動信号S1の周期が長く、ヘッド8の垂直方向の移動速度が遅いほど、ノズル81からの単位時間におけるインク吐出量が少なくなる。単位時間におけるインク吐出量少ないほど、制御部10は、布7に印刷される画像の濃度を高めるため、インク吐出量を増やしてもよい。
なお、搬送印刷モードと停止印刷モードを組み合わせてもよい。例えば、制御部10は、搬送印刷モードで単位印刷範囲E1の印刷を開始する。そして、単位印刷範囲E1のうち、制御部10は、布7の搬送停止までに印刷できなかった部分を停止印刷モードで印刷してもよい。
(ノズル81と印刷面71の間隔の設定)
次に、図16〜図18を用いて、実施形態に係るノズル81と印刷面71の間隔の設定の一例を説明する。図16は、実施形態に係る定義データD4の一例を示す。図17は、実施形態に係る画像種類選択画面151の一例を示す。図18は、実施形態に係る平滑レベル選択画面152の一例を示す。
インク吐出装置1は、印刷面71に対してZ軸方向(布7の平面に対して垂直な方向)でヘッド8を動かすことができる。従って、インク吐出装置1は、布7の印刷面71とノズル81の間隔を調整できる。制御部10は、印刷する画像又は布7に応じて、吐出時間隔を設定する。吐出時間隔は、インク吐出中(単位印刷範囲E1の印刷中)のノズル81と印刷面71との間隔である。制御部10は、設定した吐出時間隔となるように、印刷面71に対してZ軸方向でヘッド8を移動部12に移動させる。吐出時間隔の設定手法は複数用意される。
1.印刷設定情報D3に基づく間隔の設定
制御部10は、印刷設定情報D3に基づき、吐出時間隔を設定することができる。印刷設定情報D3は、印刷用データD1に含まれる。印刷設定情報D3は画像の印刷に用いる画像データD2と関連付けられている。
印刷設定情報D3は、コンピューター200のドライバーソフトウェア203上で設定された情報を含む。印刷設定情報D3が画像の種類を示す情報を含む場合、制御部10は、印刷設定情報D3で定義された画像の種類に基づき、吐出時間隔を設定できる。
画像の種類に応じて吐出時間隔を設定するため、記憶部11に定義データD4を不揮発的に記憶させてもよい(図12参照)。定義データD4は、画像の種類ごとに、吐出時間隔を定義したデータである。図16は定義データD4の一例を示す。図16の定義データD4では、画像の種類が記号列のとき、吐出時間隔を5mmとする定義がなされている。なお、記号には、文字、数字が含まれる。記号列としては、例えば、社名、メールアドレス、電話番号、日時が含まれる。記号列は、文字、数字を主体とし、文字、数字を並べたものである。
また、図16の定義データD4では、画像の種類が2次元コードや図柄(模様)のとき、吐出時間隔を1mmとする定義がなされている。2次元コードは、例えば、QRコード(登録商標)である。また、図16の定義データD4では、画像の種類が1次元コードのとき、吐出時間隔を3mmとする定義がなされている。1次元コードは、例えば、バーコードである。なお、定義データD4は、2次元コード、1次元コード、記号列以外の画像の種類とその吐出時間隔の定義を含んでもよい。
印刷面71とノズル81の間隔が広いほど、吐出から着弾までの時間が長くなる。吐出から着弾までの時間が長いほど、インクの液滴が重力や空気の流れから受ける影響が大きくなる。そのため、印刷面71とノズル81の間隔が広いほど、インクの着弾位置が狙いの位置からずれやすい。一方、印刷面71とノズル81の間隔が狭いほど、精密な画像を印刷することができる。
そこで、精密に印刷すべき画像ほど、吐出時間隔が狭くなるように、定義データD4は定義されてもよい。例えば、2次元コードはドットを含む。ドット(ブロック)の大きさに基づき、コードに含まれる情報が得られる。ドットの境界が不鮮明なとき、あるいは、ドットの大きさが不適切なとき、2次元コードから情報を正しく読み取れないことがある。そこで、画像の種類が2次元コードの場合、最小レベルの吐出時間隔となるように、定義データD4を定義する。また、図柄も詳細、精密に印刷されることが好ましい。そこで、画像の種類が図柄の場合、最小レベルの吐出時間隔となるように、定義データD4を定義する。
印刷面71とノズル81の間隔が狭い場合、ノズル81に布7が衝突しやすくなる。布7の印刷面71は平担とは限らない。凹凸がある布7もある。布7とノズル81が接触する可能性はゼロではない。印刷面71のノズル81への接触が繰り返されると、ノズル81(ヘッド8)が故障するおそれがある。接触防止の観点からみれば、印刷面71とノズル81の距離は離れているほうが好ましい。
そこで、定義データD4では、精密な印刷の必要性が少ない画像ほど、吐出時間隔が広く設定されてよい。例えば、記号列(文字列)は、ベタ部分が多い。インクの着弾位置が多少ずれても、問題はない。また、着弾位置の適度なばらつきにより、色ムラが生じにくくなる場合がある。図16は、画像の種類が記号列の場合、吐出時間隔を広めにする定義データD4の一例を示す。1次元コードはスキャンされる。そのため、1次元コードは、ある程度、精密な印刷が必要である。一方、1次コードでは、2次元コードほど精密な印刷は不要である。図16は、画像の種類が1次元コードの場合、記号列よりも吐出時間隔を狭く、かつ、2次元コードよりも吐出時間隔を広くする定義データD4の一例を示す。
なお、印刷設定情報D3は、吐出時間隔を示す情報(値)を含んでもよい。この場合、コンピューター200の入力デバイス205は、吐出時間隔の数値入力を受け付ける。ドライバーソフトウェア203に基づき、処理部201は、数値入力された吐出時間隔を含む印刷設定情報D3(印刷用データD1)を生成する。画像データD2に関連付けられた印刷設定情報D3が吐出時間隔の値を示す情報を含むとき、制御部10は、印刷設定情報D3に含まれる値に基づき、吐出時間隔を設定する。
2.画像データD2に基づく吐出時間隔の設定
制御部10は、画像データD2に基づき、吐出時間隔を設定してもよい。この場合、制御部10は、画像データD2を解析する。そして、制御部10は、画像データD2に含まれる画像の種類を判定する。そして、制御部10は、判定した画像の種類と定義データD4に基づき吐出時間隔を設定してもよい。なお、1つの布7の印刷に複数の画像データD2を用いる場合、制御部10は、画像データD2ごとに、画像の種類を判定する。制御部10は、画像データD2ごとに吐出時間隔を設定する。
例えば、制御部10は、画像データD2に含まれる画像が2次元コードの画像であるか否かを確認する。例えば、制御部10は、2次元コードの規格で必須の図形が画像データD2に含まれているか否かを確認する。必須図形が含まれているとき、制御部10は、画像の種類は、2次元コードであると判定する。また、制御部10は、画像データD2に含まれる画像が1次元コードの画像であるか否かを確認する。例えば、制御部10は、1次元コードの規格上で定められた本数の平行な直線が画像データD2に含まれているか否かを確認する。規格で定められた本数の平行な直線が含まれているとき、制御部10は、画像の種類は、1次元コードであると判定する。また、制御部10は、画像データD2に含まれる画像が記号列(文字列)であるか否かを確認する。例えば、制御部10は、画像データD2がアルファベットを含むか否かを確認する。アルファベットが含まれているとき、制御部10は、画像の種類は、記号列と判定してもよい。画像データD2に2次元コード、1次元コード、記号列の何れもが含まれないとき、制御部10は、画像の種類が図柄と判定してもよい。制御部10は、判定した画像の種類と定義データD4に基づき吐出時間隔を設定する。
なお、2次元コード、図柄、1次元コード、記号列のうち、複数が画像データD2に含まれるとき、制御部10は、画像の種類に応じた吐出時間隔のうち、最小又は最大の吐出時間隔を適用する。
3.操作パネル15による吐出時間隔の設定
操作パネル15が印刷する画像の種類の選択を受け付けてもよい。所定の操作がなされたとき、制御部10は、画像種類選択画面151を表示パネル15aに表示させる。使用者は、画面をタッチして、画像の種類を選択する。
図17は、画像種類選択画面151の一例を示す。図17に示す画像種類選択画面151では、4種類の中から1つを選択することができる。第1選択ボタンB1、第2選択ボタンB2、第3選択ボタンB3、第4選択ボタンB4が画像種類選択画面151内に表示される。画像が記号列のとき、使用者は第1選択ボタンB1を操作する。画像が1次元コードのとき、使用者は第2選択ボタンB2を操作する。画像が2次元コードのとき、使用者は、第3選択ボタンB3を操作する。画像が図柄のとき、使用者は、第4選択ボタンB4を操作する。
定義データD4では、選択可能な画像の種類ごとに、吐出時間隔が定められている。例えば、記号列の画像の吐出時間隔は5mmとされる。1次元コードの画像の吐出時間隔は3mmとされる。2次元コードと図柄の画像の吐出時間隔は1mmとされる。制御部10は、操作パネル15で選択された画像の種類と定義データD4に基づき、吐出時間隔を設定する。記号列、1次元コード、2次元コード、図柄以外の画像の種類を選択できるようにしてもよい。制御部10は、記号列が選択されたとき、吐出時間隔を第1間隔に設定する。1次元コードが選択されたとき、制御部10は、吐出時間隔を第1間隔よりも狭い第2間隔に設定する。2次元コードと図柄が選択されたとき、吐出時間隔を第2間隔よりも狭い第3間隔に設定する。第1間隔>第2間隔>第3間隔の関係が維持されれば、第1間隔は5mm以外でもよい。同様に、第2間隔は3mm以外でもよい。第3間隔は1mm以外でもよい。
4.布7の表面の平滑レベルに基づく吐出時間隔の設定
ライン(搬送装置3)で搬送される布7は、変わることがある。つまり、インク吐出装置1が印刷する布7が変わることがある。例えば、布7のロール単位で印刷対象が変わることがある。そして、ロールごとに、印刷する布7の材質、大きさ、表面の滑らかさが変わることがある。
表面が粗いほどインクが滲む。一方、表面が粗い場合、インクの着弾位置を意図的にずらす方が、ムラの少ない画像を印刷できる場合がある。布7の表面の細かな凹みにもインクをしみこませられるためである。また、布7表面が滑らかなほど、インクの着弾位置のずれが目立ちやすい傾向がある。
そこで、操作パネル15は、布7の表面の平滑レベルの設定を受け付けてもよい。所定の操作がなされたとき、制御部10は、平滑レベル選択画面152を表示パネル15aに表示させる。使用者は、画面をタッチして、布7の印刷面71の状態を選択する。
図18は、平滑レベル選択画面152の一例を示す。図18に示す平滑レベル選択画面152では、3種類の中から1つを選択することができる。第5選択ボタンB5、第6選択ボタンB6、第7選択ボタンB7が平滑レベル選択画面152内に表示される。布7の表面の平滑レベルが高い(滑らかである)布7を印刷する場合、第5選択ボタンB5が操作される。布7の表面の平滑レベルが通常の布7を印刷する場合、第6選択ボタンB6が操作される。布7の表面の平滑レベルが低い(粗い)布7を印刷する場合、第7選択ボタンB7が操作される。
選択される平滑レベルごとに、吐出時間隔が予め定められている。言い換えると、選択ボタンに対応する吐出時間隔が予め定められている。例えば、第7選択ボタンB7に対応する吐出時間隔は5mmとされる。第6選択ボタンB6に対応する吐出時間隔は3mmとされる。第5選択ボタンB5に対応する吐出時間隔は1mmとされる。制御部10は、操作パネル15で選択された平滑レベルに応じて、吐出時間隔を設定する。制御部10は、設定された平滑レベルが高いほど、吐出時間隔を狭くする。制御部10は、設定された平滑レベルが低いほど、吐出時間隔を狭くする。
(Z軸方向のヘッド8の移動制御)
次に、図19を用いて、実施形態に係るヘッド8のZ軸方向の移動制御の一例を説明する。図19は、実施形態に係るヘッド8のZ軸方向の移動の流れの一例を示す図である。
図19のスタートは、インク吐出装置1を用いて印刷を開始する時点である。布7に連続して印刷する場合、単位印刷範囲E1への印刷を開始する時点である。
まず、制御部10は、ヘッド8のZ軸方向の位置を衝突回避位置とする(ステップ♯61)。制御部10は、ヘッド8を第1移動機構Aに移動させ、衝突回避位置とする。衝突回避位置は、印刷面71からノズル81が十分離れた位置である。布7が揺れても、布7とノズル81とが接しない位置である。衝突回避位置は、適宜定めることができる。衝突回避位置は、Z軸方向でのノズル81と印刷面71の間隔が吐出時間隔の最大値の2倍〜数倍程度となる位置としてもよい。衝突回避位置は、ヘッド8と布7が十分離れていればよく、Y軸方向と垂直方向の位置に特に制限は無い。
続いて、制御部10は、印刷に用いる画像データD2を認識する(ステップ♯62)。印刷設定情報D3、画像データD2、操作パネル15での選択により、吐出時間隔を設定することができる。制御部10は、印刷設定情報D3で画像の種類が選択されていても、操作パネル15での選択を優先する。
具体的に使用者は、画像種類選択画面151、又は、平滑レベル選択画面152で選択を行い、吐出時間隔を設定する。コンピューター200からインク吐出装置1への印刷用データD1の送信と、各選択画面での設定は、搬送装置3が布7の搬送を開始する前に行われる。画像種類選択画面151と平滑レベル選択画面152の両方で選択が行われた場合、制御部10は、画像種類選択画面151での選択を優先してもよい。この場合、制御部10は、画像種類選択画面151で選択されたボタンに対応する吐出時間隔を設定する。また、平滑レベル選択画面152での選択を優先してもよい。この場合、制御部10は、平滑レベル選択画面152で選択されたボタンに対応する吐出時間隔を設定する。
各選択画面での選択がなかった場合、制御部10は、印刷設定情報D3に基づき、吐出時間隔を設定する。操作パネル15で選択しなくても、制御部10は、自動的に吐出時間隔を設定する。印刷設定情報D3に画像の種類を示す情報や、吐出時間隔を示す値が含まれていないとき、制御部10は、画像データD2を解析し、吐出時間隔を設定する。
間隔センサー17の出力に基づき、制御部10は、ノズル81と印刷面71の間隔の認識を開始する(ステップ♯63)。最初の単位印刷範囲E1への印刷の場合、間隔センサー17(ヘッド8)の前面に布7の印刷面71が来た時点から、制御部10は間隔の認識を開始する。
そして、制御部10は、単位印刷範囲E1の印刷開始前に位置合わせ処理を行う(ステップ♯64)。位置合わせ処理のとき、制御部10は、ヘッド8をZ軸方向で移動部12に移動させる。そして、制御部10は、ノズル81と印刷面71の間隔を設定した吐出時間隔とする。具体的に、制御部10は、間隔センサー17で検知される間隔が吐出時間隔となるように、ヘッド8を移動部12に移動させる。制御部10はヘッド8を布7に近づける。
やがて、ヘッド8による印刷(走査)が開始される(ステップ♯65)。単位印刷範囲E1での印刷中(走査中)、間隔が一定に保たれるように、制御部10は、必要に応じて、Z軸方向でヘッド8を移動部12(第1移動機構A)に移動させる(ステップ♯66)。制御部10は間隔を吐出時間隔で保つ。印刷中、制御部10は、間隔センサー17の出力の監視を続ける。認識した間隔が吐出時間隔からずれたとき、制御部10は、印刷面71に対してZ軸方向で移動部12にヘッド8を移動させる。言い換えると、間隔が吐出時間隔で保たれるように、間隔センサー17の出力に基づき、制御部10はフィードバック制御を行う。制御部10は、ヘッド8のZ軸方向の位置を布7の印刷面71の凹凸に追随させる。布7の印刷面71に凹凸があっても、ノズル81と布7が衝突しない。やがて、単位印刷範囲E1の印刷が完了する(ステップ♯67)。
単位印刷範囲E1の印刷が完了したとき、制御部10は、ヘッド8のZ軸方向の位置を衝突回避位置とする(ステップ♯68)。そして、制御部10は、全ての布7を印刷したか否かを確認する(ステップ♯69)。言い換えると、制御部10は、1ロール分の布7の印刷が完了したか否かを確認する。印刷を完了していないとき(ステップ♯69のNo)、フローはステップ♯64に戻る。次の単位印刷範囲E1の印刷に備え、制御部10は、ヘッド8のZ軸方向の位置を調整する。衝突回避位置への退避前や、衝突回避位置への退避から位置合わせ処理の間に、ヘッド8のフラッシング処理やワイプ処理が行われてもよい。
印刷が完了したとき(ステップ♯69のYes)、制御部10は、間隔の認識を停止する(ステップ♯610)。そして、本フローは終了する(エンド)。
(吐出時間隔に応じたインク吐出量の調整)
次に、図20を用いて、実施形態に係る印刷装置100でのインク吐出量の調整の一例を説明する。図20は、実施形態に係るインク吐出量データD5の一例を示す図である。
印刷装置100は、印刷面71に対してZ軸方向でヘッド8を移動できる。そのため、ノズル81と布7の印刷面71の間隔を自由に変えることができる。この点、従来の搬送ラインに設置される印刷装置100とは異なる。ここで、吐出時間隔が狭いほど、インクは狙いの位置に着弾しやすくなる。一方、吐出時間隔が広いほど、実際のインクの着弾位置は、狙いの位置からずれやすくなる。例えば、画像データD2上では着色されないドットにインクが着弾する場合がある。ずれにより、印刷される画像の濃度がうすく見える場合がある。
そこで、制御部10は、吐出時間隔が狭いほど、1ドットあたりのインク吐出量をヘッド8に少なくさせる。制御部10は、吐出時間隔が広いほど、1ドットあたりのインク吐出量をヘッド8に多くさせる。
ヘッド8は電圧生成回路84を含む(図6参照)。電圧生成回路84は、複数種の電圧を生成する。電圧生成回路84は予め設定された大きさの電圧を生成する。電圧生成回路84が生成する複数種の電圧のうち、駆動素子83に印加する電圧を選択できる。つまり、駆動素子83に印加する電圧を変化させることができる。
駆動素子83に印加する電圧の大きさにより、駆動素子83の変形量は変わる。駆動素子83の変形量に応じて、インクの流路に加わる圧力が変わる。変形量が大きいほど、圧力が大きくなる。従って、制御部10(ドライバー回路82)は、駆動素子83に印加する電圧の大きさを選択することにより、吐出されるインク(液滴)の量を変化させることができる。
図20は、実施形態に係るインク吐出量データD5の一例を示す図である。記憶部11はインク吐出量データD5を不揮発的に記憶する。インク吐出量データD5は、吐出時間隔が狭いほど、1ドットあたりのインク吐出量が少なくなるように定義される。また、吐出時間隔が広いほど、1ドットあたりのインク吐出量が多くなるように定義される。
図20は、吐出時間隔を3つの範囲に分類する例を示す。また、電圧生成回路84は、少なくとも3種類の電圧を生成できる例を示す。図20において、電圧V1<電圧V2<電圧V3の関係がある。そのため、インク吐出量(液滴の量)は、第1吐出量a1<第2吐出量a2<第3吐出量a3の関係がある。
図20のインク吐出量データD5によれば、吐出時間隔が1mmのとき、制御部10は、駆動素子83に電圧V1を印加させる。そして、制御部10は、ノズル81から吐出されるインクの量を第1吐出量a1とする。また、吐出時間隔が3mmのとき、制御部10は、駆動素子83に電圧V2を印加させる。制御部10は、ノズル81から吐出されるインクの量を第2吐出量a2とする。また、吐出時間隔が5mmのとき、制御部10は、駆動素子83に電圧V3を印加させる。そして、制御部10は、ノズル81から吐出されるインクの量を第3吐出量a3とする。制御部10はインク吐出量データD5を参照する。そして、設定した吐出時間隔に応じて、制御部10は、ヘッド8にインクを吐出させる。
なお、他の手法により、1ドット当たりのインク吐出量を調整するようにしてもよい。例えば、制御部10は、吐出時間隔に応じて、1ドットにインクを吐出するタイミング(回数)を変化させてもよい。例えば、吐出時間隔が0<W≦2mmのとき、制御部10は、1ドットに2回インクを吐出してもよい。また、吐出時間隔が2mm<W≦4mmのとき、制御部10は、1ドットに3回インクを吐出してもよい。また、吐出時間隔が4mm<Wのとき、制御部10は1ドットに4回インクを吐出してもよい。高速にインクを吐出するため、制御部10は吐出時間隔が広いほど、駆動信号S1の周波数を高くしてもよい
(印刷面71の撮影に基づく印刷)
次に、図21〜図23を用いて、実施形態に係る印刷装置100での印刷面71の撮影に基づく印刷の一例を説明する。図21は、実施形態に係る印刷装置100での印刷面71の撮影に関連する部分の一例を示す図である。図22は、実施形態に係る画像自動付加モードの流れの一例を示す図である。図23は、実施形態に係るコピーモードの流れの一例を示す図である。
インク吐出装置1は、布7の印刷面71を読み取る読取装置18を含む(図1参照)。読取装置18は、インク吐出装置1と別に設けられてもよい。読取装置18はカメラを含む。読取装置18は、搬送ライン上の布7を撮影する。例えば、読取装置18は印刷装置100が印刷可能な範囲を撮影する。
図21に示すように、読取装置18は、レンズ18a、イメージセンサー18b、カメラモジュール18cを含む。カメラモジュール18cはイメージセンサー18bが出力する画像信号に基づき、撮影データD7(画像データD2)を生成する。読取装置18は撮影で得られた撮影データD7を記憶部11に送信する。記憶部11は撮影データD7を記憶する。
インク吐出装置1は、撮影に基づく印刷モードとして、画像自動付加モードと、コピーモードを有する。画像自動付加モードで印刷するか、コピーモードで印刷するかを操作パネル15で選択することができる。操作パネル15は、画像自動付加モードで印刷するか、コピーモードで印刷するかの選択を受け付ける。
1.画像自動付加モード
画像自動付加モードは、布7に付された特定画像に基づき、特定画像に対応付けられた画像をインク吐出装置1を用いて布7に印刷するモードである。また、画像自動付加モードは、布7に付された特定マークに基づき、特定マークに対応付けられた画像をインク吐出装置1を用いて布7に印刷するモードである。画像自動付加モードは、布7に特定画像、特定マークが付されているとき、制御部10は、紐付けられた画像を印刷面71に自動的にヘッド8に印刷させる。特定画像、特定マークは、布7に印刷されたものに限られない。特定画像、特定マークは、例えば、シールでもよい。
例えば、使用言語を示す画像が特定画像として付されているとき、インク吐出装置1は、対応する言語の文字列を自動的に印刷する。印刷装置100を用いて仕向地が異なる布7を印刷する場合でも、仕向地に適合する文字列を自動的に印刷することができる。コンピューター200や操作パネル15で、逐一、使用言語や、使用する文字列の画像データD2を指定しなくてすむ。
例えば、ヨーロッパ向けを示す三角形のマークが特定マークとして付されているとき、インク吐出装置1はヨーロッパ向け製品であることを示す画像を自動的に印刷する。インク吐出装置1を用いて、適切な画像を自動的に印刷することができる。コンピューター200や印刷装置100で、逐一、仕向地を示す画像を指定しなくてすむ。
図22を用いて、画像自動付加モードでの印刷の流れの一例を示す図である。図22のスタートは、例えば、操作パネル15で画像自動付加モードでの印刷を指示した時点である。まず、制御部10は、読取装置18に撮像を開始させる(ステップ♯71)。読取装置18は、停止している又は通過していく布7を撮影する。
ここで、記憶部11は、判定用データD8を記憶する。判定用データD8は、特定画像、特定マークが布7に付されているか否かを判定するためのデータである(図21参照)。判定用データD8は、特定画像、特定マークごとに用意される。制御部10は、判定用データD8に基づき、布7に特定画像、特定マークが付されているか否かを確認する。
判定用データD8は、特定画像、又は、特定マークを示す画像データD2として、判定用画像データD9を含む。例えば、特定画像が型番を示す数字のとき、判定用画像データD9は、型番を示し、数字を含む画像データD2である。
判定用データD8は自動印刷用画像データD10を含む。自動印刷用画像データD10は、特定画像、特定マークに対応して印刷する画像の画像データD2である。また、判定用データD8は、自動印刷情報D11を含む。自動印刷情報D11は、自動印刷用画像データD10について、単位印刷範囲E1における印刷開始位置、印刷解像度、吐出時間隔の情報を含む。特定画像、特定マーク中の特徴点からのX軸方向とY軸方向の距離を印刷開始位置として設定することができる。特徴点は、例えば、特定画像、特定マークの右上隅、右下隅、左上隅、左下隅とできる。自動印刷情報D11は、コンピューター200、又は、操作パネル15で設定することができる。
制御部10は、撮影データD7に特定画像、特定マークが含まれているか否かを判定する(ステップ♯72)。例えば、制御部10は、判定用画像データD9と撮影データD7のパターンマッチングを行う。そして、制御部10は、撮影データD7に特定画像、特定マークが含まれているか否かを判定する。
撮影データD7に特定画像及び特定マークが含まれていないと判定したとき(ステップ♯72のNo)、フローは、ステップ♯71に戻る。撮影データD7に特定画像、特定マークが含まれていると判定したとき(ステップ♯72のYes)、制御部10は、ヘッド8の位置合わせを移動部12に行わせる(ステップ♯73)。制御部10は、ヘッド8の位置を、特定画像、特定マークから自動印刷情報D11で定義された距離だけ離れた位置にあわせる。
ヘッド8の位置合わせができたとき、制御部10は、特定画像に対応する画像、又は、特定マークに対応する画像をヘッド8に印刷させる(ステップ♯74)。制御部10は、特定画像に対応する自動印刷用画像データD10に基づき、印刷を行わせる。あるいは、制御部10は、特定マークに対応する自動印刷用画像データD10に基づき、印刷を行わせる。これにより、特定画像に紐付けられた画像、又は、特定マークに紐付けられた画像を自動的に印刷することができる。印刷後、フローは、ステップ♯71に戻る。
2.コピーモード
コピーモードは、見本の布7を撮像し、見本と同様の画像を自動的に印刷面71に印刷するモードである。コピーモードを用いることにより、コンピューター200で画像データD2を編集しなくても、見本と同様の印刷を無地の布7に付すことができる。
図23を用いて、コピーモードでの印刷の流れの一例を示す図である。図28のスタートは、例えば、操作パネル15でコピーモードでの印刷を指示した時点である。まず、制御部10は、読取装置18に見本の撮像を行わせる(ステップ♯81)。使用者は、読取装置18の撮像範囲に見本を置く。使用者は、全体が撮像されるように見本をセットする。セット後、使用者は、操作パネル15で撮像ボタンを操作する。言い換えると、使用者は、見本を撮影するためのシャッターをきる。
読取装置18は見本の撮影データD7を生成する(ステップ♯82)。記憶部11は見本の撮影データD7を記憶する(ステップ♯83)。制御部10は、見本の布7の撮影データD7に基づき、印刷に用いる画像データD2を生成する(ステップ♯84)。制御部10は、単位印刷範囲E1のサイズの画像データD2を生成する。さらに、制御部10は、生成した画像データD2ごとに、印刷設定情報D3を生成する(ステップ♯85)。制御部10は、画像データD2の種類に応じて、吐出時間隔を自動的に判定してもよい。
そして、見本の布7が撮影範囲から撤去される。制御装置4は、見本と同様の画像を印刷する布7の搬送を搬送装置3に開始させる(ステップ♯86)。制御部10は、生成した画像データD2と印刷設定情報D3に基づき、布7に印刷を行う(ステップ♯87)。以後、制御部10は、搬送される布7に見本と同様の印刷をヘッド8、移動部12に行わせる(エンド)。布7の後端が通過するまで、制御部10は、見本と同様の画像の布7への印刷をヘッド8に行わせる。
(変形例)
次に、図24〜図26を用いて、実施形態に係る印刷装置100の変形例を説明する。図24は変形例に係るヘッド8の一例を示す図である。図25は、変形例に係るインク吐出装置1の一例を示す図である。図26は、変形例に係るヘッド8の印刷面71に対してZ軸方向の移動の流れの一例を示す図である。
実施形態に係るインク吐出装置1として、画像データD2の画像の種類や操作パネル15での設定に応じて、吐出時間隔を設定する例を説明した。そして、設定された吐出時間隔に応じて、間隔センサー17を用いて、ノズル81と印刷面71の間隔を調整する例を説明した。しかし、画像の種類に応じて吐出時間隔を変える必要が無い場合もある。このような場合、間隔センサー17を用いる必要はない。
変形例は、間隔センサー17を設けない例である。変形例は、間隔規制部材110を用いる。間隔規制部材110はノズル81と印刷面71の距離を安定させる。インク吐出中、間隔規制部材110の布7側の先端が布7と接する。間隔規制部材110は、ノズル81と印刷面71の間隔が基準間隔以下になることを防ぐ。基準間隔は適宜定められる。基準間隔は、例えば、1mm〜5mmの範囲のうち、何れかの長さとされる。
間隔規制部材110は、Z軸方向において、ノズル81(ヘッド8下面)よりも布7の印刷面側に突出する。間隔規制部材110は、基準間隔の長さ分、突出する。ノズル81と布7が近づくように、ヘッド8又は布7が揺れても、間隔規制部材110はノズル81と布7の接触を防ぐ。間隔規制部材110はヘッド8の下面、又は、側面に取り付けられる。図24は、間隔規制部材110をヘッド8の側面に取り付ける例を示す。間隔規制部材110は布7と接する。一方、布7は搬送される。布7の表面を傷付けず、かつ、布7搬送の妨げ(摩擦)とならないように、間隔規制部材110はローラー又はボールとできる。間隔規制部材110は布7又はヘッド8のY軸方向の移動にあわせて回転する。
図25に示すように、間隔規制部材110は、間隔規制部材110と布7が接したことを検知するための接触センサー111を含む。例えば、接触センサー111は感圧式のセンサーである。間隔規制部材110と布7が接しているとき、接触センサー111は、接触時レベルの電圧を出力する。一方、間隔規制部材110と布7が接していないとき、接触センサー111は、非接触時レベルの電圧を出力する。制御部10は、接触センサー111の出力に基づき、間隔規制部材110と布7が接しているか否かを認識する。
次に、図26を用いて、変形例に係るインク吐出装置1のヘッド8のZ軸方向での移動制御の一例を説明する。図26のスタートは、単位印刷範囲E1の印刷を開始する時点である。まず、制御部10は、Z軸方向におけるヘッド8の位置を衝突回避位置とする(ステップ♯91)。続いて、制御部10は、印刷に用いる画像データD2を認識する(ステップ♯92)。
そして、制御部10は、印刷開始前に、押し当て処理を行う(ステップ♯93)。押し当て処理のとき、制御部10は、接触センサー111の出力が非接触時レベルから接触時レベルに変化するまで、Z軸方向でヘッド8を移動部12(第1移動機構A)に移動させる。言い換えると、制御部10は、ヘッド8を布7に近づける。制御部10は、ノズル81と印刷面71の間隔が基準間隔となるまでヘッド8を移動させる。
やがて、ヘッド8による印刷が開始される(ステップ♯94)。間隔規制部材110は、画像の印刷中、間隔が基準間隔未満とならないようにする。やがて、単位印刷範囲E1の印刷が完了する(ステップ♯95)。
そして、制御部10は、制御部10は、ヘッド8の印刷面71に対してZ軸方向の位置を衝突回避位置に戻す(ステップ♯96)。フラッシングやワイプのため、制御部10は、メンテナンス装置9までヘッド8を移動させてもよい。次に、制御部10は、全ての布7の印刷が完了したか否かを確認する(ステップ♯97)。言い換えると、制御部10は、1ロール分の布7の印刷が完了したか否かを確認する。印刷が完了していないとき(ステップ♯97のNo)、フローは、ステップ♯93に戻る。次の単位印刷範囲E1の印刷時、再度、押し当て処理がなされる。印刷が完了したとき(ステップ♯97のYes)、本フローは、終了する(エンド)。本フローが終了したとき、制御部10は、フラッシング、ワイプを行った後、ヘッド8にキャップ91を被せてもよい。
このようにして、実施形態及び変形例に係るインク吐出装置1は、版を用いて印刷する版装置2が設けられ、搬送装置3により搬送される記録媒体(例えば、布7)の搬送ラインに対して追加と取り外しが可能である。インク吐出装置1は、版を用いて印刷する版装置2が設けられ、搬送装置3により搬送される記録媒体(例えば、布7)の搬送ラインに対して固定されていてもよい。インク吐出装置1は、ヘッド8、移動部12、制御部10を含む。ヘッド8は、画像データD2に基づき、ノズル81から搬送装置3に搬送される記録媒体の印刷面71にインクを吐出して画像を印刷する。移動部12は、少なくとも2つの軸方向でヘッド8を移動させる。制御部10は、移動部12を制御する。2つの軸方向のうち1つは記録媒体の印刷面71を正面としたときの記録媒体の搬送方向であるY軸方向である。
この構成によれば、少なくとも2つの軸方向でヘッド8の位置を移動させることができる。布7のY軸方向でヘッド8の位置を移動させることができる。平面的にヘッド8の位置を自由に変えることができる。従って、ヘッド8の位置を容易に調整することができる。また、ヘッド8の位置を自由に移動できるので、ワイプや交換のようなメンテナンス作業がしやすい位置に、ヘッド8を移動させることができる。ヘッド8のメンテナンスが容易である。使用者の作業負担を減らすことができる。さらに、布7のY軸方向でヘッド8を移動させつつ、画像を印刷することができる。
また、実施形態及び変形例に係る印刷装置100は、実施形態に係るインク吐出装置1と、布7を搬送する搬送装置3と、搬送装置3により搬送される布7を、版を用いて印刷する版装置2と、を少なくとも備える。版を用いて印刷する版装置2を含むので、インクジェットによる印刷の利点と、版による印刷による利点を併せ持つ印刷装置100を提供することができる。例えば、複数色を含む細かい図柄やグラデーションをインクジェット吐出装置で印刷する印刷装置100を提供することができる。通常、1つの版で1色のみ印刷できるところ、版のみを用いて同様の印刷を行う場合に比べ、版の枚数を減らすことができる。一方、インクジェットのみで布7を印刷する場合、濃度が出にくい場合や、色ムラがでる場合がある。ベタ部分のように色ムラを避けるべき部分には、版を用いて印刷することができる。高画質な印刷装置100を提供することができる。
また、ヘッド8は、Y軸方向に沿って並べられた複数のノズル81を含むノズル列80を備える。ノズル列80は、搬送方向と平行である。移動部12は、第1移動機構A、第2移動機構B、第3移動機構Cを含む。制御部10は、記録媒体の印刷面71を正面としたときの高さ方向であるZ軸方向で、ヘッド8を第1移動機構Aに移動させる。制御部10は、記録媒体の印刷面71を正面としたときの記録媒体の搬送方向と垂直な方向であるX軸方向で、ヘッド8を第2移動機構Bに移動させる。Y軸方向でヘッド8を第3移動機構Cに移動させる。布7に対し、立体的にヘッド8を移動させることができる。布7のY軸方向と垂直な方向(垂直方向)、Y軸方向、奥行の3方向でヘッド8を移動させることができる。ヘッド8を所望の位置に移動させることができる。メンテナンス作業がしやすい位置に、自由にヘッド8を移動させることができる。使用者の作業負担を減らすことができる。また、布7を停止させつつ画像を印刷することができる。
また、インク吐出装置1の設置位置が、Y軸方向において、版装置2の上流側でもよい。インクジェット吐出装置が印刷した布7を捺染することができる。既設の版装置2の上流にインク吐出装置1を付加するだけで、インクジェット印刷と捺染印刷の両方を行える印刷装置100を実現することができる。
あるいは、インク吐出装置1の設置位置が、Y軸方向において、版装置2の下流側又は複数の版装置2の間でもよい。捺染印刷がなされた布7にインクジェット吐出装置による印刷を行うことができる。既設の版装置2の中流、又は、下流にインク吐出装置1を付加するだけで、インクジェット印刷と捺染印刷の両方を行える印刷装置100を実現することができる。
また、印刷装置100(インク吐出装置1)は、ヘッド8の移動範囲内であって、記録媒体の上面外に設けられたメンテナンス装置9を備える。メンテナンス装置9は、キャップ91を含む。キャップ91は、ヘッド8のうち、ノズル81が露出する露出面が嵌め込まれたとき、露出面を覆ってインクの乾燥を防ぐ。予め定められた退避条件が満たされたとき、制御部10は、退避位置に向けてヘッド8を移動部12に移動させる。退避位置は、ヘッド8がキャップ91に嵌め込まれる位置である。これにより、ヘッド8の乾燥防止用キャップ91の装着を自動化することができる。乾燥防止用キャップ91を手作業でヘッド8に装着をしなくてすむ。また、印刷用ヘッドが固定されている場合やY軸方向と垂直な方向にのみ移動可能な場合、乾燥防止用キャップ91の装着を自動化するには、インクジェット印刷機の設備、機構の改造が必要であった。印刷装置100によれば、このような改造が不要である。メンテナンスが容易な印刷装置100を提供することができる。
また、印刷装置100(インク吐出装置1)は、操作を受け付ける操作パネル15を含む。退避条件は、操作パネル15がヘッド8の退避指示を受け付けたこと、予め定められた退避時刻になったこと、及び、印刷が完了したことのうち、何れか1つ又は複数である。所定のトリガーに基づき、自動的にキャップ91をヘッド8に取り付けることができる。ヘッド8への自動的なキャップ91の取り付けのトリガーを設定することができる。また、昼休みのような、ラインの停止時点にあわせて、自動的にキャップ91をヘッド8に取り付けることもできる。また、印刷完了時点で自動的にキャップ91をヘッド8に取り付けることもできる。
ヘッド8(ノズル81)のワイプを手作業で行うことがあった。例えば、作業者は、ノズル81にたまった粘度の高いインクや、ゴミをブレードで取り除く作業を行う。そこで、メンテナンス装置9は、ノズル81をワイプするための清掃部材92を含む。予め定められたワイプ条件が満たされたとき、制御部10は、ノズル81が清掃部材92で擦られるようにヘッド8を移動部12に移動させる。ヘッド8のワイプ(ワイプ作業)を自動化することができる。自動でノズル81の詰まりの原因物を取り除くことができる。原因物は、乾燥により流動性が低下したインク(高濃度のインク)、ホコリ、ゴミである。手作業でヘッド8のノズル81表面をかき取らずにすむ。ヘッド8のワイプ作業を自動化するとき、設備、機構の改造が必要であった。自動化のために、印刷に関する装置(例えば、布7を搬送する装置)の改造は必要ない。従って、メンテナンスが容易な印刷装置100を提供することができる。
ワイプ条件は、操作パネル15がノズル81のワイプ指示を受け付けたこと、予め定められたワイプ時刻になったこと、印刷開始後又は直前のワイプ後、所定時間続けてキャップ91が嵌められていないこと、記録媒体を印刷したこと、及び、印刷が完了したことのうち、何れか1つ又は複数である。所定のトリガーに基づき、自動的にワイプ作業を開始することができる。自動的なワイプ開始のトリガーを設定することができる。また、昼休みのような、ラインの停止時点にあわせて、自動的にヘッド8をワイプすることもできる。また、布7を続けて印刷した場合、自動的にヘッド8をワイプすることもできる。また、印刷完了時点で自動的にヘッド8のワイプを行わせることもできる。
印刷装置100(インク吐出装置1)は、ノズル81を擦る前の清掃部材92に洗浄液を流し、ワイプ後の清掃部材92を洗浄液で洗う洗浄部93を含む。ノズル81を擦る前の清掃部材92に洗浄液を塗布7することができる。清掃部材92の摩擦係数を低下させ、ノズル81を傷付けないようにすることができる。また、清掃部材92を常にきれいな状態で保つことができる。ワイプ時に付着した汚れを、次のワイプ時にノズル81(ヘッド8)になすりつけることがない。
印刷装置100(インク吐出装置1)は、ヘッド8内のインクに圧力をかける圧力印加部85を含む。メンテナンス装置9は、露出面よりも広く、廃液タンク94に繋がる開口部95を含む。予め定められたパージ条件が満たされたとき、制御部10は、露出面全体が開口部95に向かい合うように、ヘッド8を移動部12に移動させる。制御部10は、圧力印加部85にヘッド8内のインクに圧力をかけさせる。ヘッド8のワイプ(パージ)を自動化することができる。バージの際には、圧力印加部85により、インクがノズル81から押し出される。ノズル81に詰まった物をノズル81から吐き出す(押し出す)ことができる。乾燥したインクの固形物、ホコリ、ゴミを吐き出すことができる。容易にノズル81の詰まりの異常を解消することができる。従って、メンテナンスが容易な印刷装置100を提供することができる。
予め定められたフラッシング条件が満たされたとき、制御部10は、露出面全体が開口部95に向かい合うように、ヘッド8を移動部12に移動させる。制御部10は、開口部95に向けて、全てのノズル81にインクを吐出させる。ヘッド8のフラッシング処理を自動化することができる。自動でノズル81の詰まりの原因物を吐き出す(吹き飛ばす)ことができる。原因物は、乾燥により流動性が低下したインク(高濃度のインク)、ホコリ、ゴミである。手作業でヘッド8のノズル81表面をかき取らずにすむ。従って、容易にノズル81の詰まりを防ぐことができる。メンテナンスが容易な印刷装置100を提供することができる。
フラッシング条件は、記録媒体の搬送が停止したこと、印刷が完了したこと、又は、印刷開始又は先のフラッシング処理から所定時間経過したことのうち、何れか1つ又は複数である。所定のトリガーに基づき、自動的にフラッシング処理を開始することができる。自動的なフラッシング処理のトリガーを設定することができる。また、布7の搬送ラインの停止時点にあわせて、自動的にヘッド8をワイプすることもできる。
また、実施形態に係るインク吐出装置1は、版を用いて印刷する版装置2が設けられ、搬送装置3により搬送される記録媒体の搬送ラインに対して追加と取り外しが可能である。インク吐出装置1は、ヘッド8、移動部12、制御部10を含む。ヘッド8は、画像データD2に基づき、ノズル81から搬送装置3に搬送される記録媒体の印刷面71にインクを吐出して画像を印刷する。移動部12は、記録媒体の印刷面71を正面としたときの高さ方向であるZ軸方向でヘッド8を移動させる。少なくとも2つの軸方向でヘッド8を移動させる。制御部10は、印刷する画像又は記録媒体に応じて、インク吐出中のノズル81と印刷面71との間隔である吐出時間隔を設定し、設定した吐出時間隔となるようにZ軸方向でヘッド8を移動部12に移動させる。
この構成によれば、ヘッド8(ノズル81)と布7(印刷面71)の間隔を、自動的に調整することができる。例えば、印刷する画像や布7に応じて、Z軸方向で自動的にヘッド8を適切な位置にすることができる。しかも、版を用いて印刷する版装置2を含むので、インクジェットによる印刷の利点と、版による印刷による利点を併せ持つ印刷装置100を提供することができる。
制御部10は、画像の印刷に用いる画像データD2に関連付けられた印刷設定情報D3に基づき、吐出時間隔を設定する。これにより、印刷装置100に画像データD2と印刷設定情報D3に基づき、ノズル81と印刷面71の間隔を自動的に適切な間隔とすることができる。
インク吐出装置11は、それぞれの画像の種類ごとに、吐出時間隔を定義した定義データD4を記憶する記憶部11を含む。印刷設定情報D3が画像の種類を示す情報を含むとき、制御部10は、印刷設定情報D3に含まれる画像の種類と定義データD4に基づき吐出時間隔を設定する。定義データD4に基づき、印刷しようとする画像の種類を認識することができる。印刷しようとする画像の種類に応じて、ノズル81と印刷面71の間隔を自動的に適切な間隔とすることができる。精密、高画質が求められる画像の種類のとき、ノズル81と印刷面71の間隔を自動的に近めに設定することができる。精密、高画質が求められない画像の種類のとき、ノズル81と印刷面71の間隔を自動的に遠めに設定することができる。
印刷設定情報D3が、吐出時間隔の値を示す情報を含むとき、制御部10は、印刷設定情報D3に含まれる値に基づき吐出時間隔を設定する。ノズル81と印刷面71の間隔を印刷設定情報D3で直接的に定義された値に合わせることができる。ノズル81と印刷面71の間隔を予め定義された値に基づき、調整することができる。
印刷装置100(インク吐出装置1)は、画像の種類に応じて距離を定義した定義データD4を記憶する記憶部11を含む。制御部10は、画像データD2を解析して、画像データD2の画像の種類を判定する。制御部10は、判定した画像の種類と定義データD4に基づき吐出時間隔を設定する。画像データD2を解析し、印刷しようとする画像の種類を認識することができる。印刷しようとする画像の種類に応じて、ノズル81と印刷面71の間隔を自動的に適切な間隔とすることができる。精密、高画質が求められる画像の種類のとき、ノズル81と印刷面71の間隔を自動的に近めに設定することができる。精密、高画質が求められない画像の種類のとき、ノズル81と印刷面71の間隔を自動的に遠めに設定することができる。
印刷装置100(インク吐出装置1)は、画像の種類ごとに、吐出時間隔を定義した定義データD4を記憶する記憶部11を含む。印刷装置100(インク吐出装置1)は、印刷する画像の種類の選択を受け付ける操作パネル15を含む。制御部10は、操作パネル15で選択された画像の種類と定義データD4に基づき、吐出時間隔を設定する。使用者は、操作パネル15で印刷しようとする画像の精密さを設定できる。できるだけインクの着弾位置がずれないようにしたい場合、間隔を狭めに設定することができる。インクの着弾位置がずれても問題がない場合、間隔を広めに設定することができる。従って、使用者はノズル81と印刷面71の間隔を所望の間隔に設定できる。
選択可能な画像の種類として、記号列とコード画像がある。記号列が選択されたとき、制御部10は、吐出時間隔を第1間隔に設定する。コード画像が選択されたとき、制御部10は、吐出時間隔を第1間隔よりも狭い第2間隔に設定する。使用者は、印刷する画像に応じた吐出時間隔を選択できる。画像の種類を選択するだけで、所望の印刷結果が得られるように、ノズル81と印刷面71の間隔を設定することができる。
布7の表面が平滑のとき、ノズル81と印刷面71の間隔が狭いほど、印刷された画像の画質は高くなりやすい。インクの着弾位置がずれず、均等に布7の表面にインクがのるためである。一方、表面が粗いとき、ノズル81と印刷面71の間隔を一定以上とることが好ましい場合がある。ノズル81と印刷面71の間隔を広げると、インクの着弾位置がばらつきやすくなる。このばらつきによって、表面の凹凸になじむようにインクがのる場合があるためである。そこで、印刷装置100(インク吐出装置1)は、記録媒体の表面の平滑レベルの設定を受け付ける操作パネル15を含む。制御部10は、設定された平滑レベルが高いほど、吐出時間隔を狭くする。制御部10は、設定された平滑レベルが低いほど、吐出時間隔を広くする。布7の表面の滑らかさに応じて、ノズル81と印刷面71の間隔を設定することができる。表面が滑らかな場合、間隔を狭めにすることができる。一方、表面が粗い場合、間隔を広めにすることができる。布7の印刷面71の状態に応じて画質が向上するように、間隔を調整することができる。
ノズル81と印刷面71の間隔が広いほど、インクの着弾位置は狙いの位置からずれる。そのため、同じ量のインクを吐出しても、間隔が広いほど印刷される画像の濃度は薄くなる傾向がある。そこで、制御部10は、吐出時間隔が狭いほど、1ドットあたりのインク吐出量が少なくなるように、ヘッド8にインクを吐出させる。制御部10は、吐出時間隔が広いほど、1ドットあたりのインク吐出量が多くなるように、ヘッド8にインクを吐出させる。ノズル81と印刷面71の間隔にあわせて、ノズル81から吐出されるインクの量を調整することができる。濃すぎず、薄すぎない画像を印刷面71に印刷することができる。
インク吐出装置1は、版を用いて印刷する版装置2が設けられ、搬送装置3により搬送される記録媒体の搬送ラインに対して追加と取り外しが可能である。インク吐出装置1は、ヘッド8、移動部12、制御部10を含む。ヘッド8は、画像データD2に基づき、ノズル81から搬送装置3に搬送される記録媒体の印刷面71にインクを吐出して画像を印刷する。移動部12は、記録媒体の印刷面71を正面としたときの記録媒体の搬送方向であるY軸方向でヘッド8を移動させる。少なくとも2つの軸方向でヘッド8を移動させる。制御部10は、移動部12を制御し、Y軸方向でヘッド8を移動させつつ、記録媒体に印刷する。
この構成によれば、布7のY軸方向でヘッド8の位置を移動させることができる。平面的にヘッド8の位置を自由に変えることができる。従って、ヘッド8の位置を容易に調整することができる。また、ヘッド8の位置を自由に移動できるので、ワイプや交換のようなメンテナンス作業がしやすい位置に、ヘッド8を移動させることができる。ヘッド8のメンテナンスが容易である。
さらに、版を用いる場合、捺染のため、布7の搬送が一時停止される。布7のY軸方向にヘッド8を移動できるので、版により印刷している間でもインク吐出装置1を用いて印刷することができる。また、ヘッド8をY軸方向に移動できるので、搬送中の布7にも印刷することもできる。印刷速度、生産性が高い印刷装置100を提供することができる。しかも、版を用いて印刷する版装置2を含むので、インクジェットによる印刷の利点と、版による印刷による利点を併せ持つ印刷装置100を提供することができる。
搬送装置3は、規定距離F1、記録媒体を搬送するごとに記録媒体の搬送を停止する。インク吐出装置1は、停止している記録媒体に印刷する。ヘッド8による印刷が完了したとき、搬送装置3は、記録媒体の搬送を再開する。インク吐出装置1による停止している布7への印刷(単位印刷範囲E1の印刷)の完了にあわせて、布7の搬送を再開することができる。
停止している記録媒体に印刷するとき、制御部10は、Y軸方向、及び、記録媒体の印刷面71を正面としたときの記録媒体の搬送方向と垂直な方向であるX軸方向でヘッド8を移動部12に移動させる。Y軸方向とY軸方向と垂直な方向の両方でヘッド8を移動させつつ、布7を印刷することができる。従来のように、ヘッド8の移動方向がY軸方向と垂直な方向だけではないので、印刷の自由度を高めることができる。
ヘッド8は、Y軸方向に沿って並べられた複数のノズル81を含むノズル列80を備える。停止している記録媒体に印刷するとき、制御部10は、ヘッド8をX軸方向で移動させる走査を繰り返させる。制御部10は、走査中にヘッド8にインクを吐出させる。1回の走査の完了後、制御部10は、ヘッド8をY軸方向に所定幅G1移動させる。Y軸方向での所定幅G1の移動完了後、制御部10は、次の走査を移動部12に開始させる。ノズル列80はY軸方向と平行であり、印刷のとき、ヘッド8をX軸方向で移動させる走査を繰り返すので、1走査ごとにインクを吐出するノズル81の位置が変わる。インクを吐出しないノズル81を減らすことができる。インクの乾燥及び乾燥したインクに起因する不吐出ノズル81の発生を無くすことができる。
インク吐出装置1は、搬送中の布7に印刷する。搬送中の記録媒体に印刷するとき、制御部10は、Y軸方向及び記録媒体の印刷面71を正面としたときの記録媒体の搬送方向と垂直な方向であるX軸方向でヘッド8の位置を移動させる。インク吐出装置1を用いて、搬送される布7に印刷を行うことができる。ヘッド8をX軸方向及びY軸方向で移動させつつ、布7を印刷することができる。
ヘッド8は、Y軸方向に沿って並べられた複数のノズル81を含むノズル列80を備える。搬送中の記録媒体に印刷するとき、制御部10は、ヘッド8をX軸方向で移動させる走査を繰り返させる。制御部10は、走査中にヘッド8にインクを吐出させる。走査中、Y軸方向での記録媒体とヘッド8の相対速度がゼロとなるように制御部10は、ヘッド8を移動部12にY軸方向で移動させる。1回の走査の完了後、搬送される記録媒体に対するY軸方向での移動量が所定幅G1になるように、Y軸方向でヘッド8を移動部12に移動させる。所定幅G1の移動完了後、次の走査を移動部12に開始させる。1回の走査中、布7とヘッド8のY軸方向での相対位置を固定しつつインクを吐出することができる。布7の搬送中にインク吐出装置1で印刷しても、印刷位置のずれが生じない。また、布7とヘッド8のY軸方向での相対位置を所定幅G1ずつずらして印刷することができる。
印刷装置100(インク吐出装置1)は、記録媒体のY軸方向での移動速度を検知するための速度センサー14を含む。制御部10は、速度センサー14の出力に基づき、移動速度を認識する。走査中、Y軸方向では、制御部10は、認識した移動速度で、ヘッド8を移動部12に移動させる。布7とヘッド8を同じ速度で移動させることができる。布7を搬送しつつ印刷しても、印刷位置のずれを防ぐことができる。
ノズル列80の長さをA、印刷解像度をB、ノズル列80に含まれる単位長さ当たりのノズル数をCとする場合、所定幅G1は、(A÷(B÷C))+1ドットである。印刷解像度での単位長さ(1インチ)あたりのドット数よりも、単位長さあたりのノズル数が少なくても、単位面積あたりのインク吐出回数(インクの液滴数)を印刷解像度と同等にすることができる。
印刷装置100(インク吐出装置1)は、印刷面71を読み取り、撮影データD7を生成する読取装置18を含む。制御部10は、撮影データD7に特定画像が含まれているか否かを判定する。特定画像が含まれていると判定したとき、制御部10は、特定画像に対応する画像をヘッド8に印刷させる。布7に予め特定画像を付しておけば、特定画像に対応する画像を自動的に布7に印刷することができる。布7の印刷に関する設定作業を減らすことができる。
制御部10は、撮影データD7に特定マークが含まれているか否かを判定する。制御部10は、特定マークが含まれていると判定したとき、特定マークに対応する画像をヘッド8に印刷させる。布7に予め特定マークを付しておけば、特定画像に対応する画像を自動的に布7に印刷することができる。マークは認識できれば手書きでもよい。マークはシールでもよい。布7の印刷に関する設定作業を減らすことができる。
制御部10は、見本の記録媒体が撮影された撮影データに基づき印刷に用いる画像データD2を生成する。撮影データに基づき生成した画像データD2に基づき、制御部10は、記録媒体への印刷をヘッド8に行わせる。見本のコピーを布7に印刷することができる。見本に付された記号、コードのコピー印刷を行うことができる。布7の印刷に関する設定作業を減らすことができる。
インク吐出装置1は、版を用いて印刷する版装置2が設けられ、搬送装置3により搬送される記録媒体の搬送ラインに対して追加と取り外しが可能である。インク吐出装置1は、ヘッド8、移動部12、制御部10を含む。ヘッド8は、画像データD2に基づき、ノズル81から搬送装置3に搬送される記録媒体の印刷面71にインクを吐出して画像を印刷する。移動部12は、記録媒体の印刷面71を正面としたときの高さ方向であるZ軸方向でヘッド8を移動させる。少なくとも2軸方向でヘッド8を移動させる。制御部10は移動部12を制御する。制御部10は、ノズル81と記録媒体の印刷面71との間隔である吐出時間隔を設定する。制御部10は、Z軸方向でヘッド8を移動部12に移動させる。ノズル81と印刷面71の距離を設定した吐出時間隔で維持する。
この構成によれば、印刷面71に対してZ軸方向でヘッド8を移動させることができる。ヘッド8の移動により、印刷中のヘッド8(ノズル81)と布7(印刷面71)との間隔を一定とすることができる。従って、印刷される画像の品質のばらつきを無くすことができる。例えば、色むらのある画像や、ぼけた画像の印刷を防ぐことができる。しかも、版を用いて印刷する版装置2を含むので、インクジェットによる印刷の利点と、版による印刷による利点を併せ持つ印刷装置100を提供することができる。
印刷装置100(インク吐出装置1)は、ノズル81と印刷面71の距離を測るための間隔センサー17を含む。制御部10は、距離センサーの出力に基づき、距離を認識する。画像の印刷開始前、制御部10は、位置合わせ処理を行う。位置合わせ処理のとき、制御部10は、Z軸方向でヘッド8を移動部12に移動させる。制御部10は、距離を設定した吐出時間隔とする。印刷中、距離センサーの出力に基づき、制御部10は、距離が吐出時間隔で保たれるように、Z軸方向でヘッド8を移動部12に移動させる。センサーを用いて、印刷中、ノズル81と印刷面71の間隔(距離)を自動的に一定で保つことができる。印刷される画像の品質のばらつきを無くすことができる。
制御部10は、予め定められた単位印刷範囲E1の印刷完了後、距離が広がる方向に、ヘッド8をZ軸方向に移動部12に移動させる。制御部10は、ヘッド8を衝突回避位置とする。次の単位印刷範囲E1への印刷開始前、制御部10は、距離が狭まる方向に、ヘッド8をZ軸方向で移動部12に移動させる。布7への印刷完了後、ヘッド8を安全な位置に退避することができる。搬送される布7に印刷を開始するとき、ヘッド8を布7に近づけることができる。ヘッド8と布7が衝突することを無くすことができる。
インク吐出装置1は、距離が基準間隔以下になることを防ぐための間隔規制部材110を含む。間隔規制部材110は、ノズル81よりもZ軸方向かつ記録媒体が位置する方向に突出している。間隔規制部材110により、ノズル81と印刷面71の間隔が基準間隔以下になることを防ぐことができる。ヘッド8と布7の衝突により、ヘッド8(ノズル81)にダメージが入ることを防ぐことができる。
間隔規制部材は、ヘッド8に取り付けられる。ヘッド8とともに、間隔規制部材110を移動させることができる。ヘッド8の位置によらず、ノズル81と印刷面71の間隔を基準間隔以下となることを防ぐことができる。
間隔規制部材は、ローラー又はボールである。ヘッド8の移動に伴い、布7と接したまま、間隔規制部材110を滑らかに移動させることができる。布7の形状に沿って、布7を壊さないように間隔規制部材110を移動させることができる。
間隔規制部材110は、間隔規制部材110と記録媒体が接したことを検知するための接触センサー111を含む。接触センサー111は、間隔規制部材110と記録媒体が接しているとき、第1レベルを出力する。接触センサー111は、間隔規制部材110と記録媒体が接していないとき、第2レベルを出力する。制御部10は、画像の印刷開始前、押し当て処理を行う。押し当て処理のとき、制御部10は、接触センサー111の出力が第2レベルから第1レベルに変化するまで、Z軸方向でヘッド8を移動部12に移動させる。間隔規制部材110と布7が接する圧力が強くなりすぎることを防ぐことができる。間隔規制部材110を布7に押し当てすぎることがなくなる。押し当てすぎることがないので、ノズル81と印刷面71の間隔が基準間隔以下になることを防ぐことができる。間隔規制部材110は布7と強く接触しないので、布7の破損が生じない。
制御部10は、予め定められた単位印刷範囲E1の印刷完了後、距離が広がる方向に、ヘッド8をZ軸方向で移動部12に移動させる。制御部10は、ヘッド8を衝突回避位置とする。次の単位印刷範囲E1への印刷開始前、接触センサー111の出力が第2レベルから第1レベルに変化するまで、制御部10は、距離が狭まる方向にZ軸方向で移動部12にヘッド8を移動させる。布7への印刷完了後、ヘッド8と間隔規制部材110を布7と接しえない位置に退避することができる。ヘッド8と間隔規制部材110を安全な位置に退避することができる。単位印刷範囲E1の印刷を開始するとき、再び、間隔規制部材110を布7に当てることができる。ヘッド8と布7が衝突することを無くすことができる。
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
本発明は、布や用紙をインク吐出装置と版装置で印刷する印刷装置に利用可能である。
100 印刷装置 1 インク吐出装置
10 制御部 11 記憶部
12 移動部 14 速度センサー
15 操作パネル 17 間隔センサー
18 読取装置 110 間隔規制部材
111 接触センサー 2 版装置
22 スクリーン版 3 搬送装置
7 布 71 印刷面
8 ヘッド 80 ノズル列
81 ノズル 85 圧力印加部
9 メンテナンス装置 91 キャップ
92 清掃部材 93 洗浄部
94 廃液タンク 95 開口部
A 第1移動機構 B 第2移動機構
C 第3移動機構 D2 画像データ
D3 印刷設定情報 D4 定義データ
E1 単位印刷範囲 F1 規定距離
G1 所定幅

Claims (13)

  1. 版を用いて印刷する版装置が設けられ、搬送装置により搬送される記録媒体の搬送ラインに対して追加と取り外しが可能であり、
    画像データに基づき、前記ノズルから前記搬送装置に搬送される前記記録媒体の印刷面にインクを吐出して画像を印刷するヘッドと、
    前記記録媒体の印刷面を正面としたときの前記記録媒体の搬送方向であるY軸方向で前記ヘッドを移動させ、少なくとも2つの軸方向で前記ヘッドを移動させる移動部と、
    前記移動部を制御し、前記Y軸方向で前記ヘッドを移動させつつ、前記記録媒体への印刷を前記ヘッドに行わせる制御部と、を含むことを特徴とするインク吐出装置。
  2. 版を用いて印刷する版装置が設けられ、搬送装置により搬送される記録媒体の搬送ラインに対して固定されており、
    画像データに基づき、前記ノズルから前記搬送装置に搬送される前記記録媒体の印刷面にインクを吐出して画像を印刷するヘッドと、
    前記記録媒体の印刷面を正面としたときの前記記録媒体の搬送方向であるY軸方向で前記ヘッドを移動させ、少なくとも2つの軸方向で前記ヘッドを移動させる移動部と、
    前記移動部を制御し、前記Y軸方向で前記ヘッドを移動させつつ、前記記録媒体への印刷を前記ヘッドに行わせる制御部と、を含むことを特徴とするインク吐出装置。
  3. 停止している前記記録媒体に印刷するとき、
    前記制御部は、前記Y軸方向、及び、前記記録媒体の印刷面を正面としたときの前記記録媒体の搬送方向と垂直な方向であるX軸方向で、前記ヘッドを前記移動部に移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載のインク吐出装置。
  4. 前記ヘッドは、前記Y軸方向に沿って並べられた複数のノズルを含むノズル列を備え、
    停止している前記記録媒体に印刷するとき、
    前記制御部は、
    前記ヘッドを前記X軸方向で移動させる走査を繰り返させ、
    前記走査中に前記ヘッドにインクを吐出させ、
    1回の前記走査の完了後、前記ヘッドを前記Y軸方向に所定幅移動させ、
    前記Y軸方向での前記所定幅の移動完了後、次の前記走査を前記移動部に開始させることを特徴とする請求項3に記載のインク吐出装置。
  5. 搬送中の前記記録媒体に印刷するとき、
    前記制御部は、前記Y軸方向及び前記記録媒体の印刷面を正面としたときの前記記録媒体の前記搬送方向と垂直な方向であるX軸方向で前記ヘッドの位置を移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載のインク吐出装置。
  6. 前記ヘッドは、前記Y軸方向に沿って並べられた複数のノズルを含むノズル列を備え、
    搬送中の前記記録媒体に印刷するとき、
    前記制御部は、
    前記ヘッドを前記X軸方向で移動させる走査を繰り返させ、
    前記走査中に前記ヘッドにインクを吐出させ、
    前記走査中、前記Y軸方向での前記記録媒体と前記ヘッドの相対速度がゼロとなるように前記ヘッドを前記移動部に前記Y軸方向で移動させ、
    1回の前記走査の完了後、搬送される前記記録媒体に対する前記Y軸方向での移動量が所定幅になるように、前記Y軸方向で前記ヘッドを前記移動部に移動させ、
    前記所定幅の移動完了後、次の前記走査を前記移動部に開始させることを特徴とする請求項5に記載のインク吐出装置。
  7. 前記記録媒体の前記Y軸方向での移動速度を検知するための速度センサーを含み、
    前記制御部は、
    前記速度センサーの出力に基づき、前記移動速度を認識し、
    前記走査中、前記Y軸方向では、認識した前記移動速度で、前記ヘッドを前記移動部に移動させることを特徴とする請求項5又は6に記載のインク吐出装置。
  8. 前記ノズル列の長さをA、
    印刷解像度をB、
    前記ノズル列に含まれる単位長さ当たりのノズル数をCとする場合、
    前記所定幅は、(A÷(B÷C))+1ドットであることを特徴とする請求項4又は6に記載のインク吐出装置。
  9. 前記印刷面を読み取り、撮影データを生成する読取装置を含み、
    前記制御部は、
    前記撮影データに特定画像が含まれているか否かを判定し、
    前記特定画像が含まれていると判定したとき、前記特定画像に対応する画像をヘッドに印刷させることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のインク吐出装置。
  10. 前記印刷面を読み取り、撮影データを生成する読取装置を含み、
    前記制御部は、
    前記撮影データに特定マークが含まれているか否かを判定し、
    前記特定マークが含まれていると判定したとき、前記特定マークに対応する画像をヘッドに印刷させることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載のインク吐出装置。
  11. 前記印刷面を読み取り、撮影データを生成する読取装置を含み、
    前記制御部は、
    見本の前記記録媒体が撮影された前記撮影データに基づき印刷に用いる画像データを生成し、
    前記撮影データに基づき生成した画像データに基づき、前記記録媒体への印刷を前記ヘッドに行わせることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載のインク吐出装置。
  12. 請求項1乃至11の何れか1項に記載のインク吐出装置と、
    布を搬送する搬送装置と、
    前記搬送装置により搬送される布を、版を用いて印刷する版装置と、を備えることを特徴とする印刷装置。
  13. 前記搬送装置は、規定距離、前記記録媒体を搬送するごとに前記記録媒体の搬送を停止し、
    前記インク吐出装置は、停止している前記記録媒体に印刷し、
    前記ヘッドによる印刷が完了したとき、前記搬送装置は、前記記録媒体の搬送を再開することを特徴とする請求項12に記載の印刷装置。
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