JP7019032B2 - ポリフェニレンエーテル、その組成物及び製造方法 - Google Patents

ポリフェニレンエーテル、その組成物及び製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規なポリフェニレンエーテル、その組成物及び製造方法に関する。
電気・電子用途の材料には、高度情報化社会での大量データを高速で処理するための低誘電特性を有する材料が求められている。中でもポリフェニレンエーテルは、誘電率や誘電正接等の誘電特性が優れ、MHz帯からGHz帯という高周波数帯(高周波領域)においても誘電特性が優れていることが知られているため、ポリフェニレンエーテル系樹脂は、高周波用成形材料として、高周波数帯を利用する電子機器に備えられるプリント配線板の基材を構成するための基板材料等として使用されている。
一方、基板材料等の成形材料として利用する際には、誘電特性に優れるだけではなく、耐熱性や成形性等に優れていることも求められる。この点、従来のポリフェニレンエーテルは、熱可塑性であり、充分な耐熱性を得ることができない場合があった。このため、ポリフェニレンエーテルに、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を添加したものを用いることや、ポリフェニレンエーテルを変性させたものを用いること等が提案されてきた(特許文献1)。
特許文献1には、所定のポリフェニレンエーテル部分を分子構造内に有し、かつ、この分子末端に、p-エテニルベンジル基やm-エテニルベンジル基等を少なくとも1つ以上有してなる変性ポリフェニレンエーテル化合物が記載されている。
また、ポリフェニレンエーテルを変性させたものを含有する樹脂組成物としては、例えば、特許文献2に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物が挙げられる。
特許文献2には、ポリフェニレンエーテル部分を分子構造内に有し、かつ、この分子末端に、p-エテニルベンジル基やm-エテニルベンジル基等を有し、且つ数平均分子量が1000~7000であるポリフェニレンエーテルと架橋型硬化剤とを含むポリフェニレンエーテル樹脂組成物が記載されている。
また、特許文献3にはポリフェニレンエーテル部分を分子構造内に有し、かつ、この分子末端に、メタクリル基を有した変性ポリマーについて記載されている。
ポリフェニレンエーテルの有するもう一つの問題として、一般的に比較的高分子量であり、軟化点が高いため、粘度が高く、流動性が低いという傾向があるということがある。このようなポリフェニレンエーテルを用いて、多層プリント配線板等を製造するために使用されるプリプレグを形成し、形成されたプリプレグを用いてプリント配線板を製造すると、製造時、例えば、多層成形時にボイドが発生する等の成形不良が発生し、信頼性の高いプリント配線板が得られにくいという成形性の問題が生じるおそれがある。
そこで、このような問題の発生を抑制するためには、比較的低分子量のポリフェニレンエーテルを用いることが考えられるが、このような単に分子量を低下させたポリフェニレンエーテルを用いた場合には、熱硬化性樹脂等と併用した場合であっても、その樹脂組成物の硬化が不充分となり、硬化物の耐熱性を充分に高めることができないという傾向がある。また、硬化後の架橋間距離が短くなるため、一般にポリマーがもろくなる傾向があり、脆性改良のため、ゴム成分を添加する必要が生ずる。
これらの諸問題を解決する手法として、価数が3以上の多官能フェノール化合物存在下に、重合することにより得られる低分子の分岐ポリフェニレンエーテルが提案されている(特許文献4,5,6)。これら分岐ポリフェニレンエーテルは、分岐構造を有するため、同じ分子量において、直鎖状のポリマーよりも溶液粘度が低く、同じ分子量でも直鎖状ポリマーに対して高い流動性を有するため、硬化時により高い分子量のポリマーを用いることができ、硬化物の物性向上が期待できる。また、架橋反応点が多くなることから、上記の物性向上に寄与するほかに、架橋反応コントロールが行いやすくなることも期待できる。
特開2004-339328号公報 国際公開第2004/067634号パンフレット 特許第5147397号公報 米国特許第09012572号明細書 特許第5176336号公報 特許第5439700号公報
しかしながら、これら分岐ポリフェニレンエーテルに関しても、溶液粘度を更に小さくする観点から、なお改良の余地を有する。また、一般に多官能フェノール類を用いて重合反応を行う場合、重合中にポリマー同士が架橋し、ゲル化等の副反応が生ずることがある。このような反応を防止するためには、モノマー濃度を低く抑えながら重合する必要がある(特許文献4,5)。
この問題を解決する方法の一つとして、多官能フェノール化合物存在下でモノマーを重合させる(重合法)のではなく、分子量の高いポリフェニレンエーテルを多官能フェノール化合物とラジカル開始剤存在下、再分配反応により低分子量化させ、分岐ポリフェニレンエーテルを得る方法(再分配法)が考えられる。
しかし、再分配反応による方法は、あらかじめ高分子量のポリフェニレンエーテルをトルエン等の非極性溶媒に溶解させておく必要があるところ、一般に多官能フェノール化合物の多くはトルエン等の非極性溶媒に対して難溶である。実際、特許文献5,6に開示された重合法においても、多官能フェノール化合物をメタノール等の極性溶媒に溶解させ、非常に低い濃度で重合を実施している。そのような難溶な多官能フェノール化合物を用いて再分配反応を実施することはできない。
また、特許文献5の重合法において採用されているように多官能フェノール化合物をメタノール等の極性溶媒に溶解させ、ポリフェニレンエーテル溶液に滴下した場合、溶解しているポリフェニレンエーテルが析出してしまう。従って、既存の多官能フェノール化合物を用いた系で再分配反応により分岐ポリフェニレンエーテルを得ることは実際には極めて困難であり,ゲル化等のない高い分岐ポリフェニレンエーテルは得られていない。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、液体と混合した時に流動性の高い溶液を与えることのできるポリフェニレンエーテル及びその組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、液体と混合した時に流動性の高い溶液を与えることのできるポリフェニレンエーテルをゲル化等の副反応を伴うことなく、高い生産性で製造することができるポリフェニレンエーテルの製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕
下記式(1a)、下記式(1b)、下記式(1c)、又は下記式(1d)で表される構造を有する、
ポリフェニレンエーテル。
Figure 0007019032000001
式(1a)、式(1b)、式(1c)、又は式(1d)中、
Xは、a価の任意の連結基であり、aは3~6の整数であり、R5は、各々独立に任意の置換基であり、kは、各々独立に1~4の整数であり、k個あるR5のうちの少なくとも1つは下記式(2)で表される基を含み、Yは、各々独立に下記式(3)で表される2価の連結基であり、nは、Yの繰り返し数を表し、各々独立に1~200の整数であり、Lは、各々独立に任意の2価の連結基であり、Aは、各々独立に、炭素-炭素2重結合及び/又はエポキシ結合を含有する置換基を示す。
Figure 0007019032000002
式(2)中、
11は、各々独立にC1-8のアルキル基であり、R12は、各々独立にC1-8のアルキレン基であり、bは、各々独立に0又は1であり、R13は、水素原子、C1-8のアルキル基、フェニル基のいずれかを示し、前記アルキル基、アルキレン基及びフェニル基は、C1-8の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
Figure 0007019032000003
式(3)中、
21は、各々独立にC1-6の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、R22は、各々独立に水素原子又はC1-6の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、前記飽和又は不飽和の炭化水素基はC1-6の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
〔2〕
式(2)で表される基が、R5が結合しているベンゼン環と直接結合している、
〔1〕に記載のポリフェニレンエーテル。
〔3〕
式(2)で表される基におけるR11及びR13がメチル基である、
〔1〕又は〔2〕に記載のポリフェニレンエーテル。
〔4〕
式(2)で表される基が、t-Bu基である、
〔1〕から〔3〕のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル。
〔5〕
式(2)で表される基が、R5が結合しているベンゼン環の2位及び/又は6位に結合している、
〔1〕から〔4〕のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル。
〔6〕
式(3)で表される基におけるR21がメチル基である、
〔1〕から〔5〕のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル。
〔7〕
ポリスチレン換算の数平均分子量が、500~30000である、
〔1〕から〔6〕のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル。
〔8〕
〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテルを0.5~95質量%含む、
ポリフェニレンエーテル組成物。
〔9〕
プリプレグ用途である、
〔8〕に記載のポリフェニレンエーテル組成物。
〔10〕
任意のポリフェニレンエーテルと、下記式(2)で表される基を有する価数aのフェノール類(ただし、a=3~6)と、を反応させる工程と、
得られたポリフェニレンエーテルの末端に、炭素-炭素2重結合及び/又はエポキシ結合を含有する置換基を導入する工程と、を含む、
ポリフェニレンエーテルの製造方法。
Figure 0007019032000004
式(2)中、
11は、各々独立にC1-8のアルキル基であり、R12は、各々独立にC1-8のアルキレン基であり、bは、各々独立に0又は1であり、R13は、水素原子、C1-8のアルキル基、フェニル基のいずれかを示し、前記アルキル基、アルキレン基及びフェニル基は、C1-8の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕
下記式(1a)、下記式(1b)、下記式(1c)、又は下記式(1d)で表される構造を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が500~10000である、
ポリフェニレンエーテル。
Figure 0007019032000005
式(1a)、式(1b)、式(1c)、又は式(1d)中、
Xは、a価の任意の連結基であり、aは3~6の整数であり、R5は、各々独立に任意の置換基であり、kは、各々独立に1~4の整数であり、k個あるR5のうちの少なくとも1つは下記式(2)で表される基を含み、Yは、各々独立に下記式(3)で表される2価の連結基であり、nは、Yの繰り返し数を表し、各々独立に1~200の整数であり、Lは、各々独立に任意の2価の連結基であり、Aは、各々独立に、炭素-炭素2重結合及び/又はエポキシ結合を含有する置換基を示す。
ただし、式(1a)、式(1b)、式(1c)、又は式(1d)の構造のうち、-Y n -H、-Y n -A、-Y n -L-H、又は-Y n -L-Aで表される構造を除いた部分は、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]から、末端のフェノール性水酸基の水素原子を全て取り除いた基を除く。
Figure 0007019032000006

式(2)中、
11は、各々独立にC1-8のアルキル基であり、R12は、各々独立にC1-8のアルキレン基であり、bは、各々独立に0又は1であり、R13は、水素原子、C1-8のアルキル基、フェニル基のいずれかを示し、前記アルキル基、アルキレン基及びフェニル基は、C1-8の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
Figure 0007019032000007

式(3)中、
21は、各々独立にC1-6の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、R22は、各々独立に水素原子又はC1-6の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、前記飽和又は不飽和の炭化水素基はC1-6の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
〔2〕
式(2)で表される基が、R5が結合しているベンゼン環と直接結合している、
〔1〕に記載のポリフェニレンエーテル。
〔3〕
式(2)で表される基におけるR11及びR13がメチル基である、
〔1〕又は〔2〕に記載のポリフェニレンエーテル。
〔4〕
式(2)で表される基が、t-Bu基である、
〔1〕から〔3〕のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル。
〔5〕
式(2)で表される基が、R5が結合しているベンゼン環の2位及び/又は6位に結合している、
〔1〕から〔4〕のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル。
〔6〕
式(3)で表される基におけるR21がメチル基である、
〔1〕から〔5〕のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル。
〔7〕
〔1〕から〔6〕のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテルを0.5~95質量%含む、
ポリフェニレンエーテル組成物。
〔8〕
プリプレグ用途である、
〔7〕に記載のポリフェニレンエーテル組成物。
〔9〕
任意のポリフェニレンエーテルと、下記式(2)で表される基を有する価数aのフェノール類(ただし、a=3~6)と、を反応させる工程と、
得られたポリフェニレンエーテルの末端に、炭素-炭素2重結合及び/又はエポキシ結合を含有する置換基を導入する工程と、を含み、
前記ポリフェニレンエーテルのポリスチレン換算の数平均分子量が500~10000である
ポリフェニレンエーテルの製造方法。
Figure 0007019032000008

式(2)中、
11は、各々独立にC1-8のアルキル基であり、R12は、各々独立にC1-8のアルキレン基であり、bは、各々独立に0又は1であり、R13は、水素原子、C1-8のアルキル基、フェニル基のいずれかを示し、前記アルキル基、アルキレン基及びフェニル基は、C1-8の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
但し、前記フェノール類はペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]を除く。
実施例7で得られたポリフェニレンエーテル7の1H-NMR測定結果である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔ポリフェニレンエーテル〕
本実施形態のポリフェニレンエーテルは、式(1a)、下記式(1b)、下記式(1c)、又は下記式(1d)で表される構造を有する。
Figure 0007019032000009
式(1a)、式(1b)、式(1c)、又は式(1d)中、Xは、a価の任意の連結基であり、aは3~6の整数である。
Xで表されるa価の任意の連結基としては、特に制限されないが、例えば、炭化水素基;窒素、リン、ケイ素又は酸素から選ばれる、一つ又は複数の元素を含有する炭化水素基;若しくは、窒素、リン、ケイ素等の元素又はこれらを含む基が挙げられる。
このようなXの具体例としては、単結合又はエステル結合等を介して、R5が結合しているベンゼン環に結合するa価のアルキル骨格、単結合又はエステル結合等を介して、R5が結合しているベンゼン環に結合するa価のアリール骨格、単結合又はエステル結合等を介して、R5が結合しているベンゼン環に結合するa価の複素環骨格が挙げられる。ここで、アルキル骨格としては、特に制限されないが、例えば、ペンタエリトリトールがエステル結合を介して、R5が結合しているベンゼン環に結合するものが挙げられる。また、アリール骨格としては、特に制限されないが、例えば、ベンゼン環、メシチレン基、又は2-ヒドロキシ-5-メチル-1,3-フェニレン基が、単結合又はアルキル鎖を介して、R5が結合しているベンゼン環に結合するものが挙げられる。さらに、複素環骨格としては、特に制限されないが、例えば、トリアジン環が単結合又はアルキル鎖を介して、R5が結合しているベンゼン環に結合するものが挙げられる。
また、Xのより具体的な構造としては、後述するZの具体例を挙げることができる。
また、R5は、各々独立に任意の置換基であり、kは各々独立に1~4の整数であり、kが2以上である場合に2個のR5が連結して環を形成していてもよい。k個あるR5のうちの少なくとも1つは以下の式(2)で表される基を含む。
Figure 0007019032000010
式(2)中、
11は、各々独立にC1-8のアルキル基であり、
12は、各々独立にC1-8のアルキレン基であり、bは独立に0又は1であり、
13は、水素原子、C1-8のアルキル基又はフェニル基のいずれかを示し、
前記アルキル基、アルキレン基及びフェニル基は、C1-8の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
式(2)は、好ましくは、2級及び/又は3級炭素を含む基であり、例えばイソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、tert-アミル基、2,2-ジメチルプロピル基や、これらの末端にフェニル基を有する構造などが挙げられる。
式(2)で表される基は、式(1a)、式(1b)、式(1c)、又は式(1d)中のRが結合しているベンゼン環に直接結合していることが好ましい。
また、式(2)で表される基は、式(1a)、式(1b)、式(1c)、又は式(1d)中のR5が結合しているベンゼン環の2位及び/又は6位(-O-に対してオルト位)に結合していることが好ましい。
式(2)で表される基以外のR5で表される基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数1~8の鎖状もしくは環状構造を有する炭化水素基が挙げられる。炭素数1~8の鎖状もしくは環状構造を有する炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、フェニル基、ベンジル基、2-エチルヘキシル基が挙げられる。このなかでも、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(1a)、式(1b)、式(1c)、又は式(1d)の構造のうち、-Y-H、-Y-A、-Y-L-H、又は-Y-L-Aで表される構造を除いた部分は、下記式(1’)で表すことができる。
Figure 0007019032000011
式(1’)で表される基としては、以下のいずれかの構造を有する基が好ましい。
Figure 0007019032000012
式(1’)で表される基の具体例としては、特に制限されないが、例えば、以下のような化合物から、末端のフェノール性水酸基の水素原子を全て取り除いた基が挙げられる:
4,6-ジtert-ブチルベンゼン1,2,3-トリオール、2,6-ビス(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェノール、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、2,4,6-トリス(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)メシチレン、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、1,3,5-トリス[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス[[4-(1,1-ジメチルエチル)-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルフェニル]メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン。
式(1a)、式(1b)、式(1c)、又は式(1d)におけるYは、各々独立に式(3)で表される2価の連結基(置換基を持つフェノールユニット)であり、nはYの繰り返し数を表し、各々独立に1~200の整数である。
Figure 0007019032000013
21は、各々独立にC1-6の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、プロパルギル基などであり、より好ましくはメチル基、エチル基であり、さらに好ましくはメチル基である。
22は、各々独立に水素原子又はC1-6の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基などであり、より好ましくは水素原子、メチル基であり、さらに好ましくは水素原子である。
ここで、飽和又は不飽和の炭化水素基はC1-6の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
式(1b)又は式(1d)におけるAは、炭素-炭素2重結合及び/又はエポキシ結合を含有する置換基である。Aで表される置換基としては、特に制限されないが、例えば、下記の式(4)~(8)表される基が挙げられる。
Figure 0007019032000014
上記式中、R31は、各々独立に、水素原子、水酸基又はC1~30の炭化水素基、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基である。R32は、各々独立にC1~30の炭化水素基である。R33は、各々独立に、水素原子、水酸基又はC1~30の炭化水素基、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、イソプロペニル基であり、R33のうち少なくとも一つは、ビニル基又はイソプロペニル基である。sとtは、0~5の整数である。
31の炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n―ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、1-エチルプロピル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、アミル、シクロペンチル、2,2-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、n-へキシル、シクロヘキシル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、3-エチルブチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチレン、4-メチルペンチレン、1,1-ジメチルブチレン、2,2-ジメチルブチレン、3,3-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、n-ヘプチル、1-メチルへキシル、2-メチルへキシル、3-メチルへキシル、4-メチルへキシル、5-メチルへキシル、1-エチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、1,1-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルペンチル、4,4-ジメチルペンチル、1,2-ジメチルペンチル、1,3-ジメチルペンチル、1,4-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、3,4-ジメチルペンチル、2-メチル―3,3-ジメチルブチル、1-メチル―3,3-ジメチルブチル、1,2,3-トリメチルブチル、1,3-ジメチル―2-ペンチル、2-イソプロピルブチル、2-メチルシクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、1-シクロヘキシルメチル、2-エチルシクロペンチル、3-エチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、2,4-ジメチルシクロペンチル、2-メチルシクロペンチルメチル、2-シクロペンチルエチル、1-シクロペンチルエチル、n-オクチル、2-オクチル、3-オクチル、4-オクチル、2-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、4-メチルヘプチル、5-メチルヘプチル、6-メチルヘプチル、2-エチルへキシル、3-エチルへキシル、4-エチルへキシル、5-エチルへキシル、1,1-ジメチルへキシル、2,2-ジメチルへキシル、3,3-ジメチルへキシル、4,4-ジメチルへキシル、5,5-ジメチルへキシル、1,2-ジメチルへキシル、1,3-ジメチルへキシル、1,4-ジメチルへキシル、1,5-ジメチルへキシル、2,3-ジメチルへキシル、2,4-ジメチルへキシル、2,5-ジメチルへキシル、1,1-エチルメチルペンチル、2,2-エチルメチルペンチル、3,3-エチルメチルペンチル、4,4-エチルメチルペンチル、1-エチル―2-メチルペンチル、1-エチル―3-メチルペンチル、1-エチル―4-メチルペンチル、2-エチル―1-メチルペンチル、3-エチル―1-メチルペンチル、4-エチル―1-メチルペンチル、2-エチル―3-メチルペンチル、2-エチル―4-メチルペンチル、3-エチル―2-メチルペンチル、4-エチル―3-メチルペンチル、3-エチル―4-メチルペンチル、4-エチル―3-メチルペンチル、1-(2-メチルプロピル)ブチル、1-(2-メチルプロピル)―2-メチルブチル、1,1-(2-メチルプロピル)エチル、1,1-(2-メチルプロピル)エチルプロピル、1,1-ジエチルプロピル、2,2-ジエチルプロピル、1,1-エチルメチル―2,2-ジメチルプロピル、2,2-エチルメチル―1,1-ジメチルプロピル、2-エチル―1,1-ジメチルブチル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、2,5-ジメチルシクロヘキシル、2,6-ジメチルシクロヘキシル、3,5-ジメチルシクロヘキシル、2-メチルシクロヘキシルメチル、3-メチルシクロヘキシルメチル、4-メチルシクロヘキシルメチル、2-エチルシクロヘキシル、3-エチルシクロヘキシル、4-エチルシクロヘキシル、2-シクロヘキシルエチル、1-シクロヘキシルエチル、1-シクロヘキシル-2-エチレン、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル’、ベンジル、2-フェニルエチル等が挙げられる。
このなかでも、R31の炭化水素基として好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n―ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、1-エチルプロピル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、アミル、シクロペンチル、n-へキシルル、シクロヘキシル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、3-エチルブチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、n-ヘプチル、1-メチルへキシル、2-メチルへキシル、3-メチルへキシル、4-メチルへキシル、5-メチルへキシル、1-エチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、2-メチルシクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、n-オクチル、2-オクチル、3-オクチル、4-オクチル、2-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、4-メチルヘプチル、5-メチルヘプチル、6-メチルヘプチル、2-エチルへキシル、3-エチルへキシル、4-エチルへキシル、5-エチルへキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、ベンジル等である。
このなかでも、R31の炭化水素基としてより好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n―ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、1-エチルプロピル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、アミル、シクロペンチル、n-へキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-オクチル、3-オクチル、4-オクチル、2-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、4-メチルヘプチル、5-メチルヘプチル、6-メチルヘプチル、2-エチルへキシル、3-エチルへキシル、4-エチルへキシル、5-エチルへキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、ベンジル等である。
このなかでも、R31の炭化水素基としてさらに好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n―ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、アミル、シクロペンチル、n-へキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-オクチル、3-オクチル、4-オクチル、2-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、4-メチルヘプチル、5-メチルヘプチル、6-メチルヘプチル、2-エチルへキシル、3-エチルへキシル、4-エチルへキシル、5-エチルへキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、ベンジル等である。
32の炭化水素基の具体例としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、1,2-プロピレン、テトラメチレン、2-メチル-1,3-トリメチレン、1,1-ジメチルエチレン、ペンタメチレン、1-エチル-1,3-プロピレン、1-メチル―1,4-ブチレン、2-メチル-1,4-ブチルレン、3-メチル-1,4-ブチレン、2,2-ジメチル-1,3-プロピレン、1,2-シクロペンチレン、1,3-シクロペンチレン、2,2-ジメチル-1,3-プロピレン、1,1-ジメチル-1,3-プロピレン、3,3-ジメチル-1,3-プロピレン、ヘキサメチレン、1,2-シクロヘキシレン、1,3-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレン、1-エチル―1,4-ブチレン、2-エチル-1,4-ブチレン、3-エチル-1,4-ブチレン、1-メチル-1,5-ペンチレン、2-メチル-1,5-ペンチレン、3-メチル-1,5-ペンチレン、4-メチルペンチレン、1,1-ジメチル-1,4-ブチレン、2,2-ジメチル-1,4-ブチレン、3,3-ジメチル-1,4-ブチレン、1,2-ジメチル-1,4-ブチレン、1,3-ジメチル-1,4-ブチレン、2,3-ジメチル-1,4-ブチレン、ヘプタメチレン、1-メチル-1,6-へキシレン、2-メチル-1,6-ヘキシレン、3-メチル-1,6-ヘキシレン、4-メチル-1,6-ヘキシレン、5-メチル-1,6-ヘキシレン、1-エチル-1,5-ペンチレン、2-エチル-1,5-ペンチレン、3-エチル-1,5-ペンチレン、1,1-ジメチル-1,5-ペンチレン、2,2-ジメチル-1,5-ペンチレン、3,3-ジメチル-1,5-ペンチレン、4,4-ジメチル-1,5-ペンチレン、1,2-ジメチル-1,5-ペンチレン、1,3-ジメチル-1,5-ペンチレン、1,4-ジメチル-1,5-ペンチレン、2,3-ジメチル-1,5-ペンチレン、2,4-ジメチル-1,5-ペンチレン、3,4-ジメチル-1,5-ペンチレン、2-メチル―3,3-ジメチル-1,4-ブチレン、1-メチル―3,3-ジメチル-1,4-ブチレン、1,2,3-トリメチルー1,4-ブチレン、1,3-ジメチル-1,4-ペンチレン、2-イソプロピル-1,4-ブチレン、2-メチル-1,4-シクロヘキシレン、3-メチル-1,4-シクロヘキシレン、4-メチル-1,4-シクロヘキシレン、1-シクロヘキシルメチレン、2-エチル―1,3-シクロペンチレン、3-エチル―1,3-シクロペンチレン、2,3-ジメチル―1,3-シクロペンチレン、2,4-ジメチル―1,3-シクロペンチレン、2-メチル―1,3-シクロペンチルメチレン、2-シクロペンチルエチレン、1-シクロペンチルエチレン、オクタメチレン、1メチル-1,7-ヘプチレン、1-エチル1,6-へキシレン、1-プロピル―1,5-ペンチレン、2-メチル-1,7-ヘプチレン、3-メチル-1,7-ヘプチレン、4-メチル-1,7-ヘプチレン、5-メチル-1,7-ヘプチレン、6-メチル-1,7-ヘプチレン、2-エチル-1,6-ヘキシレン、3-エチル-1,6-ヘキシレン、4-エチル-1,6-ヘキシレン、5-エチル-1,6-ヘキシレン、1,1-ジメチル-1,6-ヘキシレン、2,2-ジメチル-1,6-ヘキシレン、3,3-ジメチル-1,6-ヘキシレン、4,4-ジメチル-1,6-ヘキシレン、5,5-ジメチル-1,6-ヘキシレン、1,2-ジメチル-1,6-ヘキシレン、1,3-ジメチル-1,6-ヘキシレン、1,4-ジメチル-1,6-ヘキシレン、1,5-ジメチル-1,6-ヘキシレン、2,3-ジメチル-1,6-ヘキシレン、2,4-ジメチル-1,6-ヘキシレン、2,5-ジメチル-1,6-ヘキシレン、1,1-エチルメチル―1,5-ペンチレン、2,2-エチルメチル―1,5-ペンチレン、3,3-エチルメチル―1,5-ペンチレン、4,4-エチルメチル―1,5-ペンチレン、1-エチル―2-メチル―1,5-ペンチレン、1-エチル―3-メチル―1,5-ペンチレン、1-エチル―4-メチル―1,5-ペンチレン、2-エチル―1-メチル―1,5-ペンチレン、3-エチル―1-メチル―1,5-ペンチレン、4-エチル―1-メチル―1,5-ペンチレン、2-エチル―3-メチル―1,5-ペンチレン、2-エチル―4-メチル―1,5-ペンチレン、3-エチル―2-メチル―1,5-ペンチレン、4-エチル―3-メチル―1,5-ペンチレン、3-エチル―4-メチル―1,5-ペンチレン、4-エチル―3-メチル―1,5-ペンチレン、1-(2-メチルプロピル)―1,4-ブチレン、1-(2-メチルプロピル)―2-メチル―1,4-ブチレン、1,1-(2-メチルプロピル)エチレン、1,1-(2-メチルプロピル)エチル―1,3-プロピレン、1,1-ジエチル―1,3-プロピレン、2,2-ジエチル―1,3-プロピレン、1,1-エチルメチル―2,2-ジメチル―1,3-プロピレン、2,2-エチルメチル―1,1-ジメチル―1,3-プロピレン、2-エチル―1,1-ジメチル―1,4-ブチレン、2,3-ジメチル―1,4-シクロヘキシレン、2,3-ジメチル―1,4-シクロヘキシレン、2,5-ジメチル―1,4-シクロヘキシレン、2,6-ジメチル―1,4-シクロヘキシレン、3,5-ジメチル―1,4-シクロヘキシレン、2-メチル―1,4-シクロヘキシル-1-メチレン、3-メチル―1,4-シクロヘキシル-1-メチレン、4-メチル―1,4-シクロヘキシル-1-メチレン、2-エチル―1,4-シクロヘキシレン、3-エチル―1,4-シクロヘキシレン、4-エチル―1,4-シクロヘキシレン、2-シクロヘキシルエチレン、1-シクロヘキシルエチレン、1-シクロヘキシル-2-エチレン、ノニルメチレン、1-メチル-1,8-オクチレン、デシルメチレン、1-メチル-1,8-ノニレン、ウンデシルメチレン、ドデシルメチレン、1,4-フェニレン、1,3-フェニレン、1,2-フェニレン、メチレン-1,4-フェニレン-メチレン、エチレン-1,4-フェニレン-エチレン等が挙げられる。
このなかでも、R32の炭化水素基として好ましくは、メチレン、エチレン、トリメチレン、1,2-プロピレン、テトラメチレン、2-メチル-1,2-プロピレン、1,1-ジメチルエチレン、ペンタメチレン、1-エチル-1,3-プロピレン、1-メチル-1,4-ブチレン、2-メチル―1,4-ブチレン、3-メチル―1,4-ブチレン、―2,2-ジメチル―1,3-プロピレン、1,3-シクロペンチレン、1,6-へキサメチレン、1,4-シクロヘキシレン、1-エチル―1,4-ブチレン、2-エチル―1,4-ブチレン、3-エチル―1,4-ブチレン、1-メチル―1,5-ペンチレン、2-メチル―1,5-ペンチレン、3-メチル―1,5-ペンチレン、4-メチル―1,5-ペンチレン、ヘプタメチチレン、1-メチル-1,6-ヘキシレン、2-メチル-1,6-ヘキシレン、3-メチル-1,6-ヘキシレン、4-メチル-1,6-ヘキシレン、5-メチル-1,6-ヘキシレン、1-エチル―1,5-ペンチレン、2-エチル―1,5-ペンチレン、3-エチル―1,5-ペンチレン、2-メチル―1,4-シクロヘキシレン、3-メチル―1,4-シクロヘキシレン、4-メチル―1,4-シクロヘキシレン、オクタメチレン、1-メチル―1,7-ヘプチレン、3-メチル―1,7-ヘプチレン、4-メチル―1,7-ヘプチレン、2-メチル―1,7-ヘプチレン、5-メチル―1,7-ヘプチレン、6-メチル―1,7-ヘプチレン、2-エチル-1,6-ヘキシレン、3-エチル-1,6-ヘキシレン、4-エチル-1,6-ヘキシレン、5-エチル-1,6-ヘキシレン、ノニルメチレン、デシルメチレン、ウンデシルメチレン、ドデシルメチレン等である。
このなかでも、R32の炭化水素基として、より好ましくは、メチレン、エチレン、トリメチレン、1,2-プロピレン、テトラメチレン、2-メチル-1,2-プロピレン、1,1-ジメチルエチレン、ペンタメチレン、1-エチル-1,3-プロピレン、1-メチル-1,4-ブチレン、2-メチル―1,4-ブチレン、3-メチル―1,4-ブチレン、2,2-ジメチル―1,3-プロピレン、1,3-シクロペンチレン、1,6-へキサメチレン、1,4-シクロヘキシレン、ヘプタメチチレン、オクタメチレン、1-メチル―1,7-ヘプチレン、3-メチル―1,7-ヘプチレン、4-メチル―1,7-ヘプチレン、2-メチル―1,7-ヘプチレン、5-メチル―1,7-ヘプチレン、6-メチル―1,7-ヘプチレン、2-エチル-1,6-ヘキシレン、3-エチル-1,6-ヘキシレン、4-エチル-1,6-ヘキシレン、5-エチル-1,6-ヘキシレン、ノニルメチレン、デシルメチレン、ウンデシルメチレン、ドデシルメチレン等である。
このなかでも、R32の炭化水素基として、さらに好ましくは、メチレン、エチレン、トリメチレン、1,2-プロピレン、テトラメチレン、2-メチル-1,2-プロピレン、1,1-ジメチルエチレン、ペンタメチレン、2,2-ジメチル―1,3-プロピレン、1,3-シクロペンチレン、1,6-へキサメチレン、1,4-シクロヘキシレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、1-メチル―1,7-ヘプチレン、3-メチル―1,7-ヘプチレン、4-メチル―1,7-ヘプチレン、2-メチル―1,7-ヘプチレン、5-メチル―1,7-ヘプチレン、6-メチル―1,7-ヘプチレン、2-エチル-1,6-ヘキシレン、3-エチル-1,6-ヘキシレン、4-エチル-1,6-ヘキシレン、5-エチル-1,6-ヘキシレン、ノニルメチレン、デシルメチレン、ウンデシルメチレン、ドデシルメチレン等である。
Aの炭素-炭素2重結合を含有する官能基の具体例としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、1-ペンテニル基、p-ビニルフェニル基、p-イソプロペニルフェニル基、m-ビニルフェニル基、m-イソプロペニルフェニル基、o-ビニルフェニル基、o-イソプロペニルフェニル基、p-ビニルベンジル基、p-イソプロペニルベンジル基、m-ビニルベンジル基、m-イソプロペニルベンジル基、o-ビニルベンジル基、o-イソプロペニルベンジル基、p-ビニルフェニルエテニル基、p-ビニルフェニルプロペニル基、p-ビニルフェニルブテニル基、m-ビニルフェニルエテニル基、m-ビニルフェニルプロペニル基、m-ビニルフェニルブテニル基、o-ビニルフェニルエテニル基、o-ビニルフェニルプロペニル基、o-ビニルフェニルブテニル基、メタクリル基、アクリル基、2―エチルアクリル基、2-ヒドロキシメチルアクリル基等が挙げられる。
式(1c)、又は式(1d)におけるLは、任意の2価の連結基である。Lの具体例としては、以下の式で表される構造を有する連結基が挙げられる。ここで、a、R5、k、X、Y及びnは、式(1a)、式(1b)、式(1c)、又は式(1d)の説明において定義したとおりである。
Figure 0007019032000015
式(1a)、式(1b)、式(1c)、又は式(1d)の構造は、Xの価数aの値に応じて様々な分岐構造をとりうる。例えばa=3の場合、例えば以下の式で表される構造などが挙げられる。
Figure 0007019032000016
Figure 0007019032000017
上記式中、nはYの繰り返し数を表し、0~200の整数である。
式(1c)又は式(1d)で表される化合物の構造としては、特に制限されないが、例えば、下記に示すような構造が挙げられる。
Figure 0007019032000018
Figure 0007019032000019
上記の式中、Zは、式(1c)又は式(1d)におけるXに相当する任意の連結基である。
は、各々独立して、式(2)で表される置換基であり、bは1~4の整数である。なお、ベンゼン環上のRの結合位置は特に限定されず、任意の位置に結合することができる。また、bが2以上の場合は、複数あるRそれぞれが同じ構造でも、異なった構造を取っていてもよい。Rとしては、例えばイソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、tert-アミル基、2、2-ジメチルプロピル基や、これらの末端にフェニル基を有する構造などが挙げられる。
Aは、炭素-炭素2重結合及び/又はエポキシ結合を含有する置換基である。具体例としては、式(4)~(8)表されるものが挙げられる。
は、各々独立して、水素原子もしくは炭素数1~8の鎖状もしくは環状構造を有する炭化水素基である。Rの具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、フェニル基、ベンジル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。このなかでも、合成時の反応性等の観点から、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基が好ましい。もっとも、合成時の反応性が、Rの位置や合成時の反応条件を適切に設定することによってもコントロールできる場合には、Rの構造に制限はなくC1~8の範囲であればどのような構造でも構わない。但し、Rが式(2)で表される置換基と同様の基となることはないものとする。
Zは、炭化水素基;窒素、リン、ケイ素、酸素から選ばれる、一つ又は複数の元素を含有する炭化水素基;もしくは窒素、リン、ケイ素等の元素又はこれらを含む基である。
Zが炭化水素基である場合の具体例としては、例えば、下記の構造が挙げられる。
Figure 0007019032000020
上記式において、Rは、各々独立して、水素原子又はC1~C8の炭化水素基を示す。また、Rは、各々独立して、水素原子又はC1~C6の炭化水素基を示す。j、k、l、mは、各々独立して、0~4の整数である。
の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピルn-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、2-ヘプチル基、3-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。
の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピルn-ブチル基、イソブチル基、n-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
また、Zの窒素、リン、ケイ素、酸素から選ばれる、一つ又は複数の元素を含有する炭化水素基の具体例としては、例えば以下に示す構造が挙げられる。
Figure 0007019032000021
上記式において、Rは、各々独立して、水素原子又はC1~C8の炭化水素基を示す。j、k、l、mは、各々独立して、0~4の整数である。
の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピルn-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、2-ヘプチル基、3-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基が挙げられる。
また、Zが窒素、リン、ケイ素等の元素又はこれらを含む基の場合の例としては以下のような構造が挙げられる。
Figure 0007019032000022
上記具体例のうち、一つ目のものについてAの構造を具体的にすると以下のような構造になる。なお、4~6分岐の場合も同様である。
なお、以下の中のR31、R32、s及びtは、Aの具体例において定義したとおりである。
Figure 0007019032000023
Figure 0007019032000024

Figure 0007019032000025
本実施形態におけるポリフェニレンエーテルの分子量範囲は、特に制限されない。そのなかでも、ポリフェニレンエーテルの数平均分子量(Mn)は、好ましくは500~30000であり、より好ましくは700~15000であり、さらに好ましくは700~10000である。ポリフェニレンエーテルの数平均分子量(Mn)が上記範囲内であることにより、溶媒に溶解させた際の流動性がより向上する傾向にある。
また、ポリフェニレンエーテルのMw(重量平均分子量)/Mnで表される分子量分布は、好ましくは1.1~5であり、より好ましくは、1.4~4であり、さらに好ましくは1.5~3である。なお、上記において、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、GPCを用いたポリスチレン換算分子量を意味する。
〔ポリフェニレンエーテルの製造方法〕
本実施形態における式(1a)又は式(1c)で表されるポリフェニレンエーテルは、例えば、より高分子のポリフェニレンエーテルポリマー(以下、「原料ポリフェニレンエーテル」ともいう。)を用いた再分配反応法により調製することができる。また、式(1b)又は式(1d)で表されるポリフェニレンエーテルは、上記のようにして得られた式(1a)又は式(1c)で表されるポリフェニレンエーテルの末端にAで表される置換基を導入することにより製造することができる。
なお、以下において、再分配反応法において得られる、式(1b)又は式(1d)で表されるポリフェニレンエーテルを、「H型ポリフェニレンエーテル」といい、Aで表される置換基を導入して得られるポリフェニレンエーテルを「A型ポリフェニレンエーテル」という。
再分配反応法によるH型ポリフェニレンエーテルの製造は、公知の反応条件に従い実施することができる。この場合、得られるH型ポリフェニレンエーテルは、原料ポリフェニレンエーテルよりも分子量が低くなる。そのため、目的の分子量に合わせ、原料ポリフェニレンエーテルと、式(2)で表される基を含む価数a(a=3~6)のフェノール化合物(以下、「多官能フェノール化合物」ということがある。)の比率を調整する必要がある。
本実施形態の製造方法(再分配反応法)は、任意の原料ポリフェニレンエーテルと、多官能フェノール化合物とを反応させる工程を含む。
具体的には、不活性ガス雰囲気下、式(1a)、式(1b)、式(1c)、又は式(1d)の構造の一部を誘導できる、下記の式(9)で表される価数aの多官能フェノール化合物と、原料ポリフェニレンエーテルを溶媒に所定の比率で添加し、反応温度に昇温した後、溶媒に希釈したラジカル開始剤を反応系内にフィードするなどして、再分配反応を進行させることができる。
Figure 0007019032000026
式(9)
式中、X、R5、k及びaは、式(1a)、式(1b)、式(1c)、又は式(1d)における定義と同じである。
式(9)で表される価数aの多官能フェノール化合物は、以下のいずれかの構造を有する化合物がより好ましい。
Figure 0007019032000027
再分配反応に使用する溶媒は、原料を溶解可能で、ラジカル開始剤との反応性が低く、ラジカル開始剤を分解しうる温度まで加熱可能な沸点を有することが好ましい。特に、多官能フェノール化合物を用いる本実施形態の製造方法においては、溶媒として非極性溶媒を使用することができる。
反応は、特に制限されず、常圧下沸点以下の温度で行ってもよいし、還流条件下で行ってもよい。また、用いる溶媒の沸点が低すぎる場合は、オートクレーブ等の加圧反応器中で行うこともできる。
溶媒の具体例としては、例えば、ベンゼン、m-キシレン、o-キシレン、p-キシレン、トルエン、クメン、エチルベンゼン、n-プロピルベンゼン、アニソール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ジエチルケトン、メチル-n-ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、オクタン、ヘキサン、シクロペンタン、酢酸エチル、酢酸ブチル、クロロホルム等が挙げられる。
このなかでも、溶媒として、好ましくは、ベンゼン、m-キシレン、o-キシレン、p-キシレン、トルエン、エチルベンゼン、n-プロピルベンゼン、アニソール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、メチル-n-ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、オクタン、酢酸エチル、酢酸ブチル、クロロホルム等が挙げられる。
また、溶媒として、より好ましくは、ベンゼン、m-キシレン、o-キシレン、p-キシレン、トルエン、エチルベンゼン、n-プロピルベンゼン、アニソール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、メチル-n-ブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチル、クロロホルム等とこれらの混合溶媒系が挙げられる。
原料ポリフェニレンエーテルの数平均分子量は、好ましくは5000~100000であり、より好ましくは5000~50000であり、さらに好ましくは5000~30000である。原料ポリフェニレンエーテルの数平均分子量は上記に限定されることなく、目的に応じて適宜調整することができる。
反応時の原料ポリフェニレンエーテルの濃度は、反応液の総量に対して、好ましくは0.5~70質量%であり、より好ましくは5~65質量%であり、さらに好ましくは10~60質量%である。原料ポリフェニレンエーテルの濃度は上記に限定されることなく、目的に応じて適宜調整することができる。特に、原料ポリフェニレンエーテルが全て溶解し、かつ、反応液が撹拌可能な範囲に調整することが好ましい。
多官能フェノール化合物と原料ポリフェニレンエーテルの比は、目的とするH型ポリフェニレンエーテルの分子量によって決定されるため、目的分子量に応じて任意の比に設定することができる。
本実施形態において、反応時の仕込み比率は、例えば、多官能フェノール化合物と原料ポリフェニレンエーテルの水酸基の比率で示すことができる。多官能フェノール化合物の1モルあたりの水酸基量は、その分子構造から算出することができ、原料ポリフェニレンエーテルの1モルあたりの水酸基量は、その数平均分子量に基づいて算出できる。また、重合方法により、原料ポリフェニレンエーテルに片末端水酸基のポリマーと、両末端水酸基のポリマーが混在する場合は、NMR等の測定により、水酸基量を補正してもよい。
反応時において、原料ポリフェニレンエーテルの水酸基量に対する多官能フェノール化合物の水酸基量の比率(多官能フェノール化合物の水酸基量/原料フェノールの水酸基量)は、好ましくは0.5/100~80/100であり、より好ましくは1/100~50/100であり、さらに好ましくは5/100~30/100である。原料ポリフェニレンエーテルの水酸基量に対する多官能フェノール化合物の水酸基量の比率は、上記に限定されず、適宜調整することができる。
多官能フェノール化合物と原料ポリフェニレンエーテルの仕込み方法は、特に限定されない。例えば、予め、双方の全量を反応開始前に反応器に仕込んでもよいし、目的に応じて、仕込み量を分割して反応系に添加してもよい。また、予め溶媒に溶解させた多官能フェノール化合物又は原料ポリフェニレンエーテル溶液を、反応開始後も反応系中に添加し続けてもよい。
反応に用いるラジカル開始剤としては、例えば、ラジカルを発生することができる任意の過酸化物を用いることができる。
上記過酸化物としては、特に制限されないが、例えば、p-メンタンハイドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化ジラウロイル、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、過酸化ジスクシニック酸、ジイソブチリルペルオキシド、ジ-n-プロピルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルペルオキシジカーボネート、t-ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルペルオキシネオデカノエート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシベンゾエート、t-ブチルペルオキシ-3―メチルベンゾエート、t-ブチルペルオキシ-2―エチルヘキシルモノカーボネート、t-ブチルペルオキシ-3,5,5―トリメチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシラウレート、t-ブチルペルオキシアセテート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、ベンゾイルm-メチルベンゾイルペルオキシド、m-トルイルペルオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオキシネオデカノエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、キュメンハイドロペルオキシド、クミルペルオキシネオデカノエート、ジイソブチルベンゼンハイドロペルオキシド、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、t-ブチルクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、2,2-ジ(t-ブチルペルオキシ)ブタン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンジルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヒドロキシペルオキシ)ヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t―ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル4,4-ジ(t-ブチルペルオキシ)バレレート、ジ-t-ヘキシルペルオキシド、t-ヘキシルペルオキシイソブチルモノカーボネート、t-ヘキシルペルオキシネオダカノエート、t-ヘキシルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルペルオキシピバレート、t-ヘキシルペルオキシベンゾエート等とこれらの混合物が挙げられる。
このなかでも、過酸化物として、より好ましくは、p-メンタンハイドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化ジラウロイル、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、過酸化ジスクシニック酸、t-ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシベンゾエート、t-ブチルペルオキシ-3―メチルベンゾエート、t-ブチルペルオキシ-2―エチルヘキシルモノカーボネート、t-ブチルペルオキシ-3,5,5―トリメチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシラウレート、t-ブチルペルオキシアセテート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、ベンゾイルm-メチルベンゾイルペルオキシド、m-トルイルペルオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、t-ブチルクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,2-ジ(t-ブチルペルオキシ)ブタン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンジルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヒドロキシペルオキシ)ヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t―ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル4,4-ジ(t-ブチルペルオキシ)バレレート、ジ-t-ヘキシルペルオキシド、t-ヘキシルペルオキシイソブチルモノカーボネート、t-ヘキシルペルオキシネオデカノエート、t-ヘキシルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルペルオキシピバレート、t-ヘキシルペルオキシベンゾエートが挙げられる。
また、反応時にナフテン酸コバルト等の金属触媒を共存させてもよい。
反応温度は、特に限定されないが、原料ポリフェニレンエーテルと多官能フェノール化合物が溶解する温度で、かつ、反応時において開始剤がラジカルを発生できる温度が好ましい。反応温度の目安としては、使用するラジカル開始剤の一時間半減期温度の±20℃の範囲とすることが好ましい。また、ラジカル開始剤の添加後、反応を完結させる目的で、所定の加熱条件で撹拌を継続し、反応を継続してもよい。
ラジカル開始剤の添加方法としては、反応開始時に一括で添加する方法;反応途中に数回分割して添加する方法;反応開始時から連続でもしくは断続的に添加する方法;予め、多官能フェノール化合物の全部又は一部とラジカル開始剤を反応させ、これを原料ポリフェニレンエーテル又は原料ポリフェニレンエーテルと多官能フェノール化合物を含む反応系中に添加する方法;予め、原料ポリフェニレンエーテルの全部又は一部とラジカル開始剤を反応させ、これを多官能フェノール化合物又は原料ポリフェニレンエーテルと多官能フェノール化合物を含む反応系中に添加する方法等が挙げられる。
これらラジカル開始剤の添加方法は、目的とするA型ポリフェニレンエーテル、ラジカル開始剤の性質、反応条件のコントロール等の目的に応じて、適宜選択することができる。
反応時間は、例えば、0.5~6時間とすることができる。反応時間は、これに限定されず、反応温度、基質、原料濃度に応じて適宜調整することができる。
反応後のH型ポリフェニレンエーテルを含む溶液(以下、「ポリマー溶液」ともいう。)からH型ポリフェニレンエーテルを回収する方法は、特に限定されない。例えば、ポリマー溶液を、アルコール等の貧溶媒中に添加し、再沈殿によりH型ポリフェニレンエーテルを析出させ、その後溶媒との分別後乾燥させる方法が挙げられる。再沈殿に、用いることができる貧溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、n-ヘキサン等が挙げられ、好ましくはメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール等が挙げられる。
また、その他の方法としては、反応後、減圧下で溶媒を留去する方法が挙げられる。この場合、必要に応じて溶媒留去前に重合禁止剤等のラジカル安定化剤を添加してもよい。
また、H型ポリフェニレンエーテル回収前に、ポリマー溶液中の開始剤由来化合物、反応副生物を除く目的で、ポリマー溶液を洗浄することもできる。ポリマー溶液の洗浄時は、水、もしくは水/アルコール混合溶媒系が好適に用いることができる。また必要に応じて、洗浄溶媒に水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリを添加してもよい。
同様に必要に応じて、反応後に、未反応の原料ポリフェニレンエーテルや、溶媒に不溶な副生物等が生じた場合は、濾過等の操作を実施後、上記操作を行ってもよい。
得られたH型ポリフェニレンエーテルの同定は、NMR、IR、GPC等によって行うことができる。
上記のようにして得られたH型ポリフェニレンエーテルの末端に、Aで表される置換基を導入することにより、式(1b)又は式(1d)で表されるポリフェニレンエーテルを得ることができる。Aで表される置換基(例えば、式(4)~(7)で表される官能基)を得られたH型ポリフェニレンエーテルの末端に導入する方法は、特に限定されず、官能基の種類に応じて公知の様々な方法を用いることができる。
例えば、式(4)、(6)、又は(7)で表される官能基は、一般的には、Williamson合成法によるエーテル結合の形成により、H型ポリフェニレンエーテルの末端に導入することができる。具体的には、H型ポリフェニレンエーテルの末端の水酸基を、塩基等によりアルカリ金属塩にしたのち、ハロゲン化アルキル末端と反応させる。水酸基のアルカリ金属塩への置換は、例えば、アルカリ金属、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属アミド、アルカリ金属水酸化物等とH型ポリフェニレンエーテルの末端の水酸基とを反応させることにより行うことができる。
反応に用いる溶媒としては、反応に対して不活性であり、H型ポリフェニレンエーテルを溶解させることができる溶媒を選択することが一般的である。この他に、例えば、アルカリ金属塩の合成時にアルカリ金属水酸化物等を用いる場合は、H型ポリフェニレンエーテルを溶解させた有機相とアルカリ金属水酸化物等を溶解させた水相の2層系で反応を行ってもよい。また、このような反応系の場合には、反応時に、必要に応じて、4級アミン塩のような塩を共存させて、相間移動触媒として利用してもよい。反応後は、副生物のアルカリ塩や、反応に用いたアミン塩等を除くために、水、酸性、もしくはアルカリ性の水溶液で洗浄してもよいし、ポリマー溶液をアルコール類のような貧溶媒中に滴下し、再沈殿により、目的物を回収してもよい。またポリマー溶液を洗浄後、減圧下に溶媒を留去し、ポリマーを回収してもよい。
また、式(6)で表される官能基の場合は、あらかじめ、上記の方法でヒドロキシアルキル基をH型ポリフェニレンエーテルの末端に導入した後、下記の方法でエステル結合を形成させてもよい。
(5)で表される官能基は、H型ポリフェニレンエーテルの末端の水酸基と、炭素-炭素2重結合を有するカルボン酸(以下、単に「不飽和カルボン酸」ともいう。)のカルボキシル基とのエステル結合により導入することができる。エステル結合の形成方法としては、公知の様々な方法を利用することができる。たとえば、方法a.不飽和カルボン酸ハロゲン化物とポリマー末端の水酸基との反応;方法b.不飽和カルボン酸無水物との反応によるエステル結合の形成;方法c.不飽和カルボン酸との直接反応;方法d.エステル交換反応による方法等が挙げられる。
方法aの不飽和カルボン酸ハロゲン化物との反応は最も一般的な方法の一つである。カルボン酸ハロゲン化物としては、塩化物、臭化物が一般的に用いられるが、他のハロゲンを利用してもよい。反応は、水酸基との直接反応、水酸基のアルカリ金属塩との反応いずれでもよい。不飽和カルボン酸ハロゲン化物と水酸基との直接反応ではハロゲン化水素等の酸が発生するため、発生した酸をトラップする目的でアミン等の弱塩基を反応系に共存させてもよい。
方法bの不飽和カルボン酸無水物との反応や、方法cの不飽和カルボン酸との直接反応では、反応点を活性化し、エステル反応を促進するために、例えばカルボジイミド類やジメチルアミノピリジン等の化合物を反応系に共存させてもよい。
方法dのエステル交換反応の場合は、必要に応じて、生成したアルコール類の除去やを行うことが望ましい。また、エステル交換反応を促進させるために公知の金属触媒類を共存させてもよい。反応後の副生物の除去は、エーテル反応合成時の方法と同様の方法を用いることができる。
上記のようにして得られたA型ポリフェニレンエーテルの同定は、NMR、IR、GPC等によって行うことができる。
本実施形態のポリフェニレンエーテルは、低誘電特性を有し、耐熱性に優れるので、各種電気・電子機器用の材料として好適に使用できる。特に、本実施形態のポリフェニレンエーテルは、良好な流動性・成形性も兼ね備えているので、電気・電子部品(プリント配線板基材等)用のプリプレグの製造に好適に使用できる。
このように良好な流動性を有する理由は必ずしも明らかではないが、本実施形態のポリフェニレンエーテルのように分子内に多官能フェノール化合物の部分構造を有し、さらに当該多官能フェノール化合物の部分構造として嵩高い部位を持つことにより、ポリフェニレンエーテル分子同士のパッキングが抑えられ、分子間の相互作用が弱まることが寄与している推察される。
〔ポリフェニレンエーテル組成物〕
本実施形態のポリフェニレンエーテルは、単独で熱可塑性樹脂として使用してもよいし、他の構造を有するポリフェニレンエーテルと組み合わせて組成物として使用してもよいし、公知の各種添加剤と組み合わせて組成物として使用することもできる。この場合、ポリフェニレンエーテル組成物中の本実施形態のポリフェニレンエーテルの含有量は、例えば、0.5~95質量%とすることができる。
さらに、本実施形態のポリフェニレンエーテルは、必要に応じて、該ポリフェニレンエーテルと反応しうる多官能硬化剤、硬化促進剤、エポキシ樹脂、重合可能な不飽和基を有する化合物等と組み合わせ、硬化剤組成物として使用することもできる。このような硬化剤組成物中のポリフェニレンエーテルの含有量に限定はないが、例えば、0.5~95質量%とすることができる。硬化剤組成物には、その他、難燃剤、エラストマー、無機フィラー等の公知の添加剤を添加することもできる。
本実施形態のポリフェニレンエーテルは高い硬化反応性を有するので、耐熱性の高い硬化物を得ることができる。
以下に、実施例を挙げて、本実施形態を詳細に説明していくが、本実施形態は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(ポリフェニレンエーテルの合成反応)
反応に使用する溶媒は、市販の試薬をそのまま利用した。使用した原料、試薬類は以下のとおりである。
1.溶媒
トルエン:和光純薬製試薬特級品をそのまま使用した。
メチルイソブチルケトン:和光純薬製試薬特級品をそのまま使用した。
メチルエチルケトン:和光純薬製試薬特級品をそのまま使用した。
メタノール:和光純薬製試薬特級品をそのまま使用した。
イソプロパノール:和光純薬製試薬特級品をそのまま使用した。
エタノール:和光純薬製試薬特級品をそのまま使用した。
2.開始剤:
ナイパーBMT:日本油脂製品をそのまま使用した。
3.原料ポリフェニレンエーテル
S202A(ポリスチレン換算数平均分子量16000):旭化成株式会社製製品をそのまま使用した。
S203A(ポリスチレン換算数平均分子量10000):旭化成株式会社製製品をそのまま使用した。
S202A及びS203Aは、いずれも下記の構造を有する。
Figure 0007019032000028
4.原料フェノール(多官能/二官能フェノール)
4-1.式(2)で表される基を含む価数a(a=3~6)のフェノール類
1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン:株式会社ADEKA製品(アデカスタブAO-30)をそのまま使用した。
2,4,6-トリス(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)メシチレン:株式会社ADEKA製品(アデカスタブAO-330)をそのまま使用した。
ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]:株式会社ADEKA製品(アデカスタブAO-60)をそのまま使用した。
1,3,5-トリス[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン:株式会社ADEKA製品(アデカスタブAO-20)をそのまま使用した。
4-2.式(2)で表される基を含まない価数3のフェノール類
トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン:旭有機材製品をそのまま使用した。
4-3.式(2)で表される基を含まない価数2のフェノール類
ビスフェノールA:アルドリッチ試薬品をそのまま使用した。
5.変性基原料
無水メタクリル酸:アルドリッチ試薬品をそのまま使用した。
ジメチルアミノピリジン:アルドリッチ試薬品をそのまま使用した。
塩化メタクロイル:アルドリッチ試薬品をそのまま使用した。
トリエチルアミン:アルドリッチ試薬品をそのまま使用した。
クロロメチルスチレン(p-クロロメチルスチレンとm-クロロメチルスチレンとの比が50/50):東京化成工業品をそのまま使用した。
テトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド:アルドリッチ試薬品をそのまま使用した。
アリルブロマイド:アルドリッチ試薬品をそのまま使用した。
(ポリフェニレンエーテルの同定、分析)
1.数平均分子量測定
分子量は、クロロホルム溶媒下、GPCにて測定を行った。分子量は、標準ポリスチレンを用いた検量線をベースにポリスチレン換算法で求めた。
2.1H-NMR測定
重クロロホルムに、5質量%濃度となるように試料を溶解し、1H-NMR測定を実施した。反応の進行は、多官能フェノールユニットの芳香族基由来のピークと、水酸基由来のピークの比率から、水酸基由来のピークが減少することを確認することにより確認した。
3.溶液粘度測定
各サンプルの20質量%メチルエチルケトン溶液200mLをビーカーに入れ、B型回転粘度計を用いて25℃で回転数30rpmで粘度を測定した。さらに、50質量%トルエン溶液1.1mLを用いコーンプレート型粘度計を用いて25℃で粘度を測定した。
(実施例1)
ポリフェニレンエーテル1の合成
500mLの3つ口フラスコに、3方コックをつけた、ジムロート、等圧滴下ロートを設置した。フラスコ内を窒素に置換した後、原料ポリフェニレンエーテルS202A 100g、トルエン200g、多官能フェノールとして1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン12.8gを加えた。フラスコに温度計を設置し、マグネチックスターラーにて撹拌しながら、オイルバスにてフラスコを90℃に加熱し、原料ポリフェニレンエーテルを溶解させた。開始剤として、ベンゾイルペルオキシド、ベンゾイルm-メチルベンゾイルペルオキシド、m-トルイルペルオキシドの混合物の40%メタキシレン溶液(日本油脂製:ナイパーBMT)の37.5gをトルエン87.5gに希釈し、等圧滴下ロートに仕込んだ。フラスコ内の温度を80℃まで降温させたのち、開始剤溶液を、フラスコ内へ滴下開始し、反応を開始した。開始剤を2時間かけて滴下し、滴下後、再び90℃に昇温し、4時間撹拌を継続した。反応後、ポリマー溶液をメタノール中に滴下し、再沈させた後、溶液と濾別し、ポリマーを回収した。その後、これを真空下100℃で3時間乾燥させた。1H-NMRにより、低分子フェノールがポリマー中に取り込まれ、水酸基由来のピークが消失していることを確認した。この1H-NMR測定結果から、得られたポリマーは以下のような構造を有するポリフェニレンエーテルであると確認できた。
Figure 0007019032000029
GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=1500であった。また、20%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は125cPoisであった。さらに、50%トルエン溶液のコーンプレート型粘度計により測定した溶液粘度は159mPa・sであった。なお、上記式中、l、m、及びnは、分子量と構造式から推定可能な繰り返し数を表す。
(実施例2)
ポリフェニレンエーテル1’の合成
反応器底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた1.5Lのジャケット付き反応器に、0.10gの塩化第二銅2水和物、0.59gの35%塩酸、3.05gのN,N,N’,N’-テトラメチルプロパンジアミン、215.0gのn-ブタノール及び501.0gのメタノール、132.7gの2,6-ジメチルフェノール、47.3gの1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタンを入れた。使用した溶剤の組成重量比はn-ブタノール:メタノール=30:70であった。次いで激しく攪拌しながら反応器へ120mL/分の速度で酸素をスパージャーより導入し始めると同時に、重合温度は45℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調節した。重合液は次第にスラリーの様態を呈した。
酸素を導入し始めてから190分後、酸素含有ガスの通気をやめ、この重合混合物に0.52gのエチレンジアミン四酢酸3カリウム塩(同仁化学研究所製試薬)を溶かした50%水溶液を添加し、60℃で3時間反応させた。反応終了後、濾過して、メタノール洗浄液(b)と、洗浄されるポリフェニレンエーテル(a)との質量比(b/a)が4となる量の洗浄液(b)で3回洗浄し、湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。次いで120℃で1時間、真空乾燥し乾燥ポリフェニレンエーテルを得た。1H-NMRにより、低分子フェノールがポリマー中に取り込まれ、水酸基由来のピークが消失していることを確認した。この1H-NMR測定結果から、得られたポリマーは下記構造を有するポリフェニレンエーテルであると確認できた。
Figure 0007019032000030
GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=1500であった。また、20%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は125cPoisであった。さらに、50%トルエン溶液のコーンプレート型粘度計により測定した溶液粘度は158mPa・sであった。
(実施例3)
ポリフェニレンエーテル2の合成
1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタンに代えて、多官能フェノールとして、2,4,6-トリス(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)メシチレン18.1gを用いた以外は実施例1と同様の方法で反応を行った。1H-NMRにより、多官能フェノールがポリマー中に取り込まれ、水酸基由来のピークが消失していることを確認した。この結果から、得られたポリマーは以下のような構造を有するポリフェニレンエーテルであると確認できた。
GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=1600であった。また、20%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は127cPoisであった。さらに、50%トルエン溶液のコーンプレート型粘度計により測定した溶液粘度は187mPa・sであった。なお、下記式中、l、m、及びnは、分子量と構造式から推定可能な繰り返し数を表す。
Figure 0007019032000031
(実施例4)
ポリフェニレンエーテル3の合成
1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタンに代えて、多官能フェノールとして、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]20.7gを用いた以外は実施例1と同様の方法で反応を行った。1H-NMRにより、多官能フェノールがポリマー中に取り込まれ、水酸基由来のピークが消失していることを確認した。この結果から、得られたポリマーは以下のような構造を有するポリフェニレンエーテルであると確認できた。
GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=2000であった。また、20%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は130cPoisであった。さらに、50%トルエン溶液のコーンプレート型粘度計により測定した溶液粘度は180mPa・sであった。なお、下記式中、k、l、m、及びnは、分子量と構造式から推定可能な繰り返し数を表す。
Figure 0007019032000032
(実施例5)
ポリフェニレンエーテル4の合成
1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタンに代えて、多官能フェノールとして、1,3,5-トリス[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン18.3gを用いた以外は実施例1と同様の方法で反応を行った。1H-NMRにより、多官能フェノールがポリマー中に取り込まれ、水酸基由来のピークが消失していることを確認した。この結果から、得られたポリマーは以下のような構造を有するポリフェニレンエーテルであると確認できた。
GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=1800であった。また、20%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は128cPoisであった。さらに、50%トルエン溶液のコーンプレート型粘度計により測定した溶液粘度は175mPa・sであった。なお、下記式中、l、m、及びnは、分子量と構造式から推定可能な繰り返し数を表す。
Figure 0007019032000033
(比較例1)
ポリフェニレンエーテル5の合成
多官能フェノールの代わりにビスフェノールA8.0gを使用した以外は実施例1と同様の方法で合成を行った。1H-NMRにより、多官能フェノールがポリマー中に取り込まれ、水酸基由来のピークが消失していることを確認した。
GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=1800であった。また、20%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は254cPoisであり、多官能フェノールを用いた場合にくらべ高い溶液粘度となった。さらに、50%トルエン溶液のコーンプレート型粘度計により測定した溶液粘度は280mPa・sであり、多官能フェノールを用いた場合に比べ、高い溶液粘度となった。
(比較例2)
1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタンに代えて、多官能フェノールとして、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン7.2gを用いた以外は実施例1と同様の方法で反応を行ったものの、多官能フェノールが溶解せず、反応後も未反応の低分子量フェノールが残存していた。
また、得られた化合物の20%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は254cPoisであり、式(2)で表される基を有する多官能フェノールを用いた場合にくらべ高い溶液粘度となった。さらに、50%トルエン溶液のコーンプレート型粘度計により測定した溶液粘度は392mPa・sであり、式(2)で表される基を有する多官能フェノールを用いた場合に比べ、高い溶液粘度となった。
(実施例6)
ポリフェニレンエーテル6の合成
原料ポリフェニレンエーテルとしてS203A 100gを用いた以外は実施例1と同様の方法で反応を行った。1H-NMRにより、多官能フェノールがポリマー中に取り込まれ、水酸基由来のピークが消失していることを確認した。この結果から、得られたポリマーは実施例1に記載の構造と同じ構造を有するポリフェニレンエーテルであると確認できた。
GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=1500であった。また、20%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は138cPoisであった。さらに、50%トルエン溶液のコーンプレート型粘度計により測定した溶液粘度は170mPa・sであった。
(実施例7)
ポリフェニレンエーテル7の合成
トルエン80g及び合成したポリフェニレンエーテル1を26g混合して約85℃に加熱した。ジメチルアミノピリジン0.55gを添加した。固体がすべて溶解したと思われる時点で、無水メタクリル酸4.9gを徐々に添加した。得られた溶液を連続混合しながら85℃に3時間維持した。次いで、溶液を室温に冷却して、メタクリレート変性ポリフェニレンエーテルのトルエン溶液を得た。
溶液の一部を採取し、乾燥後1H-NMR測定を実施した。ポリフェニレンエーテルの水酸基由来のピークが消失していたことから、反応が進行しているものと判断し、精製操作に移った。上記メタクリレート変性ポリフェニレンエーテルのトルエン溶液120gを、1Lビーカー中マグネチックスターラーで激しく撹拌したメタノール360g中に30分かけて滴下した。得られた沈殿物を、メンブランフィルターで減圧濾過後乾燥し、38gのポリマーを得た。
乾燥させたポリマーの1H-NMR測定結果を図1に示す。4.5ppm付近のポリフェニレンエーテルの水酸基由来のピークが消失したこと、及び、5.75ppm付近にメタクリル基のオレフィン由来のピークの発現を確認した。また、GC測定により、ジメチルアミノピリジン、無水メタクリル酸、メタクリル酸由来のピークがほぼ消失していることから、NMRのオレフィン由来のピークは、ポリフェニレンエーテル末端に結合しているメタクリル基のものと判断した。この結果から、得られたポリマーは以下のような構造を有する変性ポリフェニレンエーテルであると確認できた。
また、GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=1600であった。また、20%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は131cPoisであった。さらに、50%トルエン溶液のコーンプレート型粘度計により測定した溶液粘度は140mPa・sであった。なお、下記式中、l、m、及びnは、分子量と構造式から推定可能な繰り返し数を表す。
Figure 0007019032000034
(実施例8)
ポリフェニレンエーテル8の合成
ポリフェニレンエーテル1の代わりにポリフェニレンエーテル1’を26g用いたこと以外は実施例7と同様な方法で合成を行った。1H-NMR測定を行い、ポリフェニレンエーテル由来の水酸基由来のピークの消失と、メタクリル基のオレフィン由来のピークを確認した。また、GC測定により、ジメチルアミノピリジン、無水メタクリル酸、メタクリル酸由来のピークがほぼ消失していることから、NMRのオレフィン由来のピークは、ポリフェニレンエーテル末端に結合しているメタクリル基のものと判断した。この結果から、得られたポリマーは以下のような構造を有する変性ポリフェニレンエーテルであると確認できた。
GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=1600であった。また、20%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は131cPoisであった。さらに、50%トルエン溶液のコーンプレート型粘度計により測定した溶液粘度は142mPa・sであった。なお、下記式中、l、m、及びnは、分子量と構造式から推定可能な繰り返し数を表す。
Figure 0007019032000035
(実施例9)
ポリフェニレンエーテル9の合成
ポリフェニレンエーテル1の代わりにポリフェニレンエーテル2を25g用いたこと以外は実施例7と同様な方法で合成を行った。1H-NMR測定を行い、ポリフェニレンエーテル由来の水酸基由来のピークの消失と、メタクリル基のオレフィン由来のピークを確認した。また、GC測定により、ジメチルアミノピリジン、無水メタクリル酸、メタクリル酸由来のピークがほぼ消失していることから、NMRのオレフィン由来のピークは、ポリフェニレンエーテル末端に結合しているメタクリル基のものと判断した。この結果から、得られたポリマーは以下のような構造を有する変性ポリフェニレンエーテルであると確認できた。
また、GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=1720であった。また、20%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は132cPoisであった。さらに、50%トルエン溶液のコーンプレート型粘度計により測定した溶液粘度は149mPa・sであった。なお、下記式中、l、m、及びnは、分子量と構造式から推定可能な繰り返し数を表す。
Figure 0007019032000036
(実施例10)
ポリフェニレンエーテル10の合成
ポリフェニレンエーテル1の代わりにポリフェニレンエーテル3を20g用いたこと以外は実施例7と同様な方法で合成を行った。1H-NMR測定を行い、ポリフェニレンエーテル由来の水酸基由来のピークの消失と、メタクリル基のオレフィン由来のピークを確認した。また、GC測定により、ジメチルアミノピリジン、無水メタクリル酸、メタクリル酸由来のピークがほぼ消失していることから、NMRのオレフィン由来のピークは、ポリフェニレンエーテル末端に結合しているメタクリル基のものと判断した。この結果から、得られたポリマーは以下のような構造を有する変性ポリフェニレンエーテルであると確認できた。
また、GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=2100であった。また、20%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は135cPoisであった。さらに、50%トルエン溶液のコーンプレート型粘度計により測定した溶液粘度は150mPa・sであった。なお、下記式中、k、l、m、及びnは、分子量と構造式から推定可能な繰り返し数を表す。
Figure 0007019032000037
(実施例11)
ポリフェニレンエーテル11の合成
ポリフェニレンエーテル1の代わりにポリフェニレンエーテル4を25g用いたこと以外は実施例7と同様な方法で合成を行った。1H-NMR測定を行い、ポリフェニレンエーテル由来の水酸基由来のピークの消失と、メタクリル基のオレフィン由来のピークを確認した。また、GC測定により、ジメチルアミノピリジン、無水メタクリル酸、メタクリル酸由来のピークがほぼ消失していることから、NMRのオレフィン由来のピークは、ポリフェニレンエーテル末端に結合しているメタクリル基のものと判断した。この結果から、得られたポリマーは以下のような構造を有する変性ポリフェニレンエーテルであると確認できた。
また、GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=1900であった。また、20%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は135cPoisであった。さらに、50%トルエン溶液のコーンプレート型粘度計により測定した溶液粘度は149mPa・sであった。なお、下記式中、l、m、及びnは、分子量と構造式から推定可能な繰り返し数を表す。
Figure 0007019032000038
(実施例12)
ポリフェニレンエーテル12の合成
トルエン80g及びポリフェニレンエーテル1を26g混合して混合した。トリエチルアミン4gを添加し固体がすべて溶解したと思われる時点で、塩化メタクロイル3.9gを徐々に添加した。得られた溶液を連続混合しながら85℃に3時間維持した。次いで、溶液を室温に冷却して、メタクリレート変性ポリフェニレンエーテルのトルエン溶液を得た。トルエン溶液を水120gで水洗後、実施例7と同様の方法で精製した。1H-NMR測定を行い、ポリフェニレンエーテル由来の水酸基由来のピークの消失と、メタクリル基のオレフィン由来のピークを確認した。また、GC測定により、メタクリル酸由来のピークがほぼ消失していることから、NMRのオレフィン由来のピークは、ポリフェニレンエーテル末端に結合しているメタクリル基のものと判断した。この結果から、得られたポリマーは実施例7で得られた変性ポリフェニレンエーテルと同様であると確認できた。
また、GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=1600であった。また、20%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は130cPoisであった。さらに、50%トルエン溶液のコーンプレート型粘度計により測定した溶液粘度は140mPa・sであった。
(実施例13)
ポリフェニレンエーテル13の合成
温度調節器、撹拌装置、冷却設備及び滴下ロートを備えた300mLの3つ口フラスコに、実施例1で合成したポリフェニレンエーテル1を26g、クロロメチルスチレン(p-クロロメチルスチレンとm-クロロメチルスチレンとの比が50/50、東京化成工業社製)4.4g、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド0.2g、トルエン80gを投入した。混合物を撹拌溶解し、液温を75℃とした。当該混合液に、水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム2.2g/水3g)を20分間で滴下し、さらに75℃で4時間撹拌を続けた。次に、10%塩酸水溶液でフラスコ内容物を中和した後、ポリマー溶液120gを、1Lビーカー中マグネチックスターラーで激しく撹拌したメタノール360g中に30分かけて滴下した。得られた沈殿物を、メンブランフィルターで減圧濾過後乾燥し、39gのポリマーを得た。1H-NMR測定を行い、ポリフェニレンエーテル由来の水酸基由来のピークの消失と、スチリル基のオレフィン由来のピークを確認した。また、GC測定により、クロロメチルスチレン類のピークがほぼ消失していることから、NMRのオレフィン由来のピークは、ポリフェニレンエーテル末端に結合しているスチリル基のものと判断した。この結果から、得られたポリマーは以下のような構造を有する変性ポリフェニレンエーテルであると確認できた。
また、GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=1590であった。また、20%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は130cPoisであった。さらに、50%トルエン溶液のコーンプレート型粘度計により測定した溶液粘度は144mPa・sであった。なお、下記式中、l、m、及びnは、分子量と構造式から推定可能な繰り返し数を表す。
Figure 0007019032000039
(実施例14)
ポリフェニレンエーテル14の合成
ポリフェニレンエーテル1の代わりにポリフェニレンエーテル6を26g用いたこと以外は実施例7と同様な方法で合成を行った。1H-NMR測定を行い、ポリフェニレンエーテル由来の水酸基由来のピークの消失と、メタクリル基のオレフィン由来のピークを確認した。また、GC測定により、ジメチルアミノピリジン、無水メタクリル酸、メタクリル酸由来のピークがほぼ消失していることから、NMRのオレフィン由来のピークは、ポリフェニレンエーテル末端に結合しているメタクリル基のものと判断した。この結果から、得られたポリマーは実施例7で得られた変性ポリフェニレンエーテルと同様であると確認できた。
また、GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=1600であった。また、20%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は130cPoisであった。さらに、50%トルエン溶液のコーンプレート型粘度計により測定した溶液粘度は140mPa・sであった。
(比較例3)
比較例1で合成したポリフェニレンエーテル5を使用した以外は実施例7と同様の方法で合成した。1H-NMR測定を行い、ポリフェニレンエーテル由来の水酸基由来のピークの消失と、メタクリル基のオレフィン由来のピークを確認した。また、GC測定により、ジメチルアミノピリジン、無水メタクリル酸、メタクリル酸由来のピークがほぼ消失していることから、NMRのオレフィン由来のピークは、ポリフェニレンエーテル末端に結合しているものと判断した。
また、GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=1900であった。また、20%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は290cPoisであり、多官能フェノールを用いた場合にくらべ高い溶液粘度となった。さらに、50%トルエン溶液のコーンプレート型粘度計により測定した溶液粘度は282mPa・sであり、多官能フェノールを用いた場合にくらべ高い溶液粘度となった。
本発明のポリフェニレンエーテルは流動性に優れるので、各種用途に利用することができる。とりわけ、本発明のポリフェニレンエーテルは、ボイド等の少ないプリプレグを形成することができるので、電気・電子機器等の部品用の材料(具体的には、高度情報化社会での大量データを高速で処理するための低誘電特性を有する材料等)として有用である。

Claims (9)

  1. 下記式(1a)、下記式(1b)、下記式(1c)、又は下記式(1d)で表される構造を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が500~10000である、
    ポリフェニレンエーテル。
    Figure 0007019032000040
    式(1a)、式(1b)、式(1c)、又は式(1d)中、
    Xは、a価の任意の連結基であり、aは3~6の整数であり、R5は、各々独立に任意の置換基であり、kは、各々独立に1~4の整数であり、k個あるR5のうちの少なくとも1つは下記式(2)で表される基を含み、Yは、各々独立に下記式(3)で表される2価の連結基であり、nは、Yの繰り返し数を表し、各々独立に1~200の整数であり、Lは、各々独立に任意の2価の連結基であり、Aは、各々独立に、炭素-炭素2重結合及び/又はエポキシ結合を含有する置換基を示す。
    ただし、式(1a)、式(1b)、式(1c)、又は式(1d)の構造のうち、-Y n -H、-Y n -A、-Y n -L-H、又は-Y n -L-Aで表される構造を除いた部分は、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]から、末端のフェノール性水酸基の水素原子を全て取り除いた基を除く。
    Figure 0007019032000041

    式(2)中、
    11は、各々独立にC1-8のアルキル基であり、R12は、各々独立にC1-8のアルキレン基であり、bは、各々独立に0又は1であり、R13は、水素原子、C1-8のアルキル基、フェニル基のいずれかを示し、前記アルキル基、アルキレン基及びフェニル基は、C1-8の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
    Figure 0007019032000042

    式(3)中、
    21は、各々独立にC1-6の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、R22は、各々独立に水素原子又はC1-6の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、前記飽和又は不飽和の炭化水素基はC1-6の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
  2. 式(2)で表される基が、R5が結合しているベンゼン環と直接結合している、
    請求項1に記載のポリフェニレンエーテル。
  3. 式(2)で表される基におけるR11及びR13がメチル基である、
    請求項1又は2に記載のポリフェニレンエーテル。
  4. 式(2)で表される基が、t-Bu基である、
    請求項1から3のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル。
  5. 式(2)で表される基が、R5が結合しているベンゼン環の2位及び/又は6位に結合している、
    請求項1から4のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル。
  6. 式(3)で表される基におけるR21がメチル基である、
    請求項1から5のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル。
  7. 請求項1からのいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテルを0.5~95質量%含む、
    ポリフェニレンエーテル組成物。
  8. プリプレグ用途である、
    請求項に記載のポリフェニレンエーテル組成物。
  9. 任意のポリフェニレンエーテルと、下記式(2)で表される基を有する価数aのフェノール類(ただし、a=3~6)と、を反応させる工程と、
    得られたポリフェニレンエーテルの末端に、炭素-炭素2重結合及び/又はエポキシ結合を含有する置換基を導入する工程と、を含み、
    前記ポリフェニレンエーテルのポリスチレン換算の数平均分子量が500~10000である
    ポリフェニレンエーテルの製造方法。
    Figure 0007019032000043

    式(2)中、
    11は、各々独立にC1-8のアルキル基であり、R12は、各々独立にC1-8のアルキレン基であり、bは、各々独立に0又は1であり、R13は、水素原子、C1-8のアルキル基、フェニル基のいずれかを示し、前記アルキル基、アルキレン基及びフェニル基は、C1-8の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
    但し、前記フェノール類はペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]を除く。
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