JP7017703B2 - エプロン - Google Patents

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Description

本発明は、着用者の下半身の前面を覆う前掛け部と、前掛け部の上方に延設されて腰から上の胴体を覆う胸当て部と、を備えたエプロンに関する。
調理業務時等に着用されるエプロンにおいて、下半身を覆う前掛け部と、腰から上の胴体を覆う胸当て部を備える種類のものでは、胸当て部の胴体への係合状態を維持する手段が必要であり、胸当て部の上縁付近から延びる肩紐等をその手段として、胸当て部を首や肩から吊って支持するものがあった。ところが、胸当て部を肩紐等により首や肩から吊って支持する構成のエプロンは、着用者に肩凝りを生じさせる場合があった。特に、エプロンを構成する基材に防水等を目的としたコーティング加工が施されていたり、丈を長く形成されていたりする業務用のエプロンは、重量が大きく、また着用時間も長いため、肩凝りを生じさせる懸念が高かった。
このような問題に対処するために、下記の特許文献1では、エプロンの胸当て部を首や肩から吊って支持するための肩紐等の代わりに、胸当て部の左右方向の中央から左寄り及び右寄りの二箇所、すなわち着用時にちょうど乳頭付近となる二箇所、に、上下方向に沿って硬質合成樹脂からなる細幅板状の芯材を配置させることにより胸当て部を起立させて、胴体への係合状態を維持させるものが提案されている。
また、下記の特許文献2では、胸当て部の左右方向の中央から左寄り及び右寄りの二箇所に、上下方向に沿って、外力付与時に変形可能でかつ変形後の形状を維持可能に構成される形状保持ワイヤを芯材として配置させて、着用時に着用者の胸の起伏形状に合わせて各芯材を変形させることにより、肩紐等によらず、胸当て部を胴体に密着させて係合させるエプロンが提案されている。この特許文献2では、胴体に胸当て部をより密着させるため、上下方向に沿って配置される芯材の他、胸当て部の周縁にも、外力付与時に変形可能でかつ変形後の形状を維持可能に構成される形状保持ワイヤを配置することも提案されている。
実開昭59-103712号公報 国際公開第2017/039065号
上記の特許文献1の構成では、胸当て部における、着用時に胸部の左側と右側とにあたる二箇所に、縦方向に沿って硬質合成樹脂からなる細幅板状の芯材が配置されるため、該芯材が若干可撓性を有するとしても、例えば胸部の起伏の大きい体型の着用者が着用する場合や、着用者が前屈等した際には、胸部の起伏や、屈曲した状態の胴体に芯材が追随せず、圧迫感や異物感を与えることになり、着心地の点で問題があった。
特許文献2のエプロンでは、胸当て部の左寄り及び右寄りの二箇所に上下方向に沿って配置される芯材と、胸当て部の周縁に配置される芯材とが、共に、外力付与時に変形可能でかつ変形後の形状を維持可能に構成される形状保持ワイヤからなるため、着用時、胸当て部を着用者の胴体の形状に合わせて曲げ変形させる必要がある。このエプロンでは、作業後にエプロンを脱いだ後にも、形状保持ワイヤの変形した状態は維持されるため、エプロンを保管のために吊るす等するためには芯材を、今度は、保管に適した別の形状に変形させる必要があり、着用と保管の度に複数の芯材を変形させる作業を繰り返す手間が要ることになり、業務用等の実用に適さない。
そこで本発明は、胸当て部を首や肩から吊って支持するための肩紐等を用いずに、胸当て部の身体への係合状態を安定して維持でき、様々な体型の着用者が着心地よく着用できて、さらに着用時と着用後の取り扱いが容易な実用性の高いエプロンを提供することを目的とする。
本発明に係るエプロンは、着用者の下半身の前面を覆う前掛け部及び前掛け部の上縁側から上方に延設されて着用者の腰から上の胴体を覆う胸当て部を有するエプロン本体と、前掛け部の上縁側に設けられて、前掛け部を着用者の胴体に係止させる前掛け係止手段と、を備えるエプロンにおいて、
胸当て部が、
前掛け部からの高さを最も高くし、上縁を水平方向に延ばした略四角形状とする前面部と、
前面部の左側と右側とに連接されて、それぞれ上縁を前面部の上縁から左右の下方に延ばすように配置させた左側サイド部及び右側サイド部と、
を備え、
前面部、左側サイド部及び右側サイド部それぞれの上縁側に沿って管状の空隙部が相互に区画されて設けられ、その内部に、剛性、可撓性及びばね状弾性を有するワイヤ状芯材がそれぞれ挿通され、
それぞれがワイヤ状芯材からなる、前面部の空隙部に挿通される上横芯材と、左側サイド部及び右側サイド部それぞれの空隙部に挿通される一対の側縁芯材とが、着用時に胸当て部を起立状態にならしめる上縁側芯材を構成し、
エプロン本体の背面側における、少なくとも胸当て部の領域に裏地が配置され、該裏地における、前面部の左縁近傍と右縁近傍とに対応する位置に、さらなるワイヤ状芯材が、一対の中央側芯材として、それぞれ上下方向に沿って配置され、
裏地が、エプロン本体に対する、中央側芯材各々の下端側部位のずれ移動を許容するように、少なくとも下縁側の領域をエプロン本体から分離された状態でエプロン本体に連結されている
ことを特徴とする。
本発明に係るエプロンは、胴体の前面に当てた後、前掛け係止手段を利用して、前掛け部を胴体に係止させて着用する。その際、胸当て部においては、前面部が胴体の前面に、左側サイド部と右側サイド部が、断面略楕円形の胴体の側面から背面側にかけて沿う態様となり、前面部の上縁側に設けられた管状の空隙に挿通された上横芯材は、胴体前面に水平方向に沿って配置される。そして左側サイド部及び右側サイド部それぞれの上縁側に配置された側縁芯材は、上横芯材の挿通された空隙部とは区画された管状の空隙部に挿通されており上横芯材とは別体とされているから、上横芯材と各側縁芯材とがヒンジ結合されたかのような態様となって、側縁芯材が、上横芯材の左右両端近傍を中心に、上横芯材に対して角度を付けて後方に回り込み、胴体の背面側にかけて漸次下方に向かって略楕円形の胴体回りに巻き付けられる態様となる。これにより、上縁側芯材になんの力を加えなくても、上縁側芯材全体が立体的な枠状形状をなすような態様となる。またこの時、胸当て部の前面部と左右のサイド部は胴体周りに係合して胴体に支持されており、下方から、上縁側芯材の枠状形状を維持するように支持することになる。これにより、胸当て部を胴体前面に当てて、前掛け係止手段を係止状態とするだけで胸当て部全体が起立し、胸当て部を首や肩から吊るような肩紐等がなくても、胸当て部を胴体に係合させた状態でエプロンを着用できる。
エプロンを着用中は、上縁側芯材における上横芯材は、胴体前面の上方において水平に配置され、側縁芯材も、上横芯材の左右両端近傍から後下がりに配置されるため、エプロンの着用時に、着用者の前屈等の動作により屈曲する胴体の上下方向に沿ってではなく、屈曲等の変形の起こり難い胴体の左右方向に沿って配置されることになる。このため、芯材が上下方向に沿って配置される場合と比較して、前屈動作した場合や、胸部の起伏の大きい体型の着用者が着用する場合等において違和感を生じさせる虞が少なく、様々な体型の着用者が着心地よくエプロンを着用できる。また、ワイヤ状芯材は可撓性を有する素材からなるため、着用者の胴体の外形に自然に沿い、違和感を生じさせない。さらにまた、上縁側芯材を構成する上横芯材と一対の側縁芯材とは、それぞれ、前面部と、左右のサイド部それぞれの上縁側に設けられた、相互に区画された管状の空隙部に挿通される構成としているため、着用中に、3つのうちの1の芯材が周囲の物体と干渉したような場合にも、干渉の影響が他の芯材には伝播しにくい。このため、上縁側芯材全体が干渉の影響により即座に倒れてしまうということが起こりにくく、胸当て部の胴体への係合状態を長時間に亘って維持することができる。
そして作業後、前掛け係止手段の係止状態を解除してエプロンを脱いだ際には、胴体回りに沿って湾曲されていた側縁芯材は、ばね状弾性により元の形状に戻り、また上横芯材に対しても、上横芯材の左右両端近傍を中心に再び容易に回って着用前の状態に戻る。このため、上縁側芯材になんの力を加えなくてもエプロンは着用前の状態に戻り、そのまま吊るす等して保管すればよく、着用後の取り扱いが容易である。
したがって、本願発明に係るエプロンは、胸当て部を首や肩から吊って支持するための肩紐等を用いずに、胸当て部の胴体への係合状態を安定して維持でき、様々な体型の着用者が着心地よく着用できて、着用時と着用後の取り扱いが容易で実用性が高い。
上述した本発明に係るエプロンにおいては、エプロン本体の背面側における、少なくとも胸当て部の領域に裏地を配置させ、該裏地における、前面部の左縁近傍と右縁近傍とに対応する位置に、さらなるワイヤ状芯材を、一対の中央側芯材として、それぞれ上下方向に沿って配置させている
このような中央側芯材は、エプロンの着用時に、胸当て部を起立状態にならしめる上縁側芯材から離れた胸当て部の中央側部位を、左右方向における2箇所において支持して張りを付与することにより、その領域に弛みが発生することを防止し、弛みに起因する胸当て部の起立状態の崩れを防止して、胸当て部の起立状態の維持に一層寄与する。またエプロン本体自体ではなく、裏地に中央側芯材を設けているため、エプロン本体に直接中央側芯材を取り付ける場合に起こりうる問題、例えば、中央側芯材を支持するための別途の部材を縫製によりエプロン本体に取り付けることにより、水分が進入可能な針孔がエプロン本体に多数形成され、防水加工を施されていることが多い業務用のエプロンの防水性を低下させる、といった問題を回避することができる。中央側芯材は、上下方向に沿って配置されるものではあるものの、ワイヤ状芯材は可撓性を有する素材からなるため、胴体の外形及び動きに自然に追随して、着用時に異物感を与える虞が少ないから着心地を低下させない。
さらに、本発明に係るエプロンにおいては、エプロン本体に対する中央側芯材各々の下端側部位のずれ移動を許容するように、裏地が、少なくとも下縁側の領域をエプロン本体から分離された状態でエプロン本体に連結されている
この構成によれば、エプロンが平板状に折り畳みやすくなり、出荷時等の流通時や着用後のエプロンの取り扱いがさらに容易になる。具体的に説明すると、エプロンを折り畳むということは、エプロン本体を、上下方向と左右方向の両方向に折って、両方向における寸法を小さくすることであるが、概して剛性を有する芯材を配した衣料品では、その芯材が折り畳みの妨げになる。本願発明に係るエプロンを折り畳む際には、上述した上縁側芯材は、一対の側縁芯材が、上横芯材の左右両端近傍から左右外側の斜め下方に向かって延設されているから、エプロンを平たく展開した状態から、可撓性を有するワイヤ状芯材からなる各側縁芯材における、左右方向における外側半分程度の部位を、エプロンの左右方向の中央側に向かって湾曲させつつ、まず左右方向においてエプロン本体を折り畳むことができる。そして、中央側芯材は少なくとも胸当て部の領域に上下方向に沿って配置されているため、もし中央側芯材が設けられた裏地が、下縁側をエプロン本体に対して固定され、各中央側芯材の下端側のエプロン本体に対するずれ移動を許容しない態様でエプロン本体に連結されているとするならば、中央側芯材の上下方向の長さ以下に、エプロンを折り畳んで上下方向に縮小することはできないことになる。しかしながら上述の構成によれば、中央側芯材の設けられた裏地は、下縁側がエプロン本体に対して固定されておらず、左右の中央側芯材各々の下端側部位が、通常の配置位置である、胸当て部の前面部の左縁と右縁近傍の位置を外れて移動可能な状態でエプロン本体に連結されているから、左右の中央側芯材の下端側部位を、裏地の下縁側を引っ張りつつ、エプロン本体の左右方向の中央側に向かって湾曲させることができる。このため、中央側芯材を湾曲した分、各中央側芯材がエプロン本体において上下方向に占める実質的長さを小さくすることができるので、エプロンを、左右方向のみならず上下方向にも小さく折り畳むことができ、出荷時等の流通時の運搬や着用後の持ち運び時等を容易にし、さらに実用性の高いものにすることができる。勿論、湾曲された側縁芯材と中央側芯材のそれぞれは、塑性変形されたわけではないため、折り畳みを展開すれば、通常の着用前のエプロンの形状に戻り、すぐに着用することができる。
また、本発明に係るエプロンにおいて、エプロン本体を構成する基材が防水コーティングを有するため通気性に欠ける場合等には、中央側芯材が配置される裏地を、メッシュ状の素材から構成すれば、エプロンの通気性を向上させることができる。
また、本発明に係るエプロンにおいては、上縁側芯材と中央側芯材とを構成するワイヤ状芯材を、合成樹脂製とすることが望ましい。合成樹脂製のワイヤ状芯材は、金属製のものと異なり安全性が高く、胴体の湾曲形状にも容易に追随してエプロンの着心地を損なわない。また、錆の発生等について留意する必要がないため洗濯ができ、エプロンの取り扱いを容易にし、実用に適したものにする。また合成樹脂は軽量であるためエプロンの軽量化にも寄与し、長時間着用する際の身体への負担を軽減することができる。
本発明の一実施形態であるエプロンの正面図である。 図1のエプロンにおける胸当て部の拡大背面図である。 図1のエプロンに使用する裏地を構成する基材の正面図である。 図2のIV-IV部位における拡大端面図である。 図2のV-V部位における拡大断面図である。 図2のVI-VI部位における拡大端面図である。 図2のVII-VII部位における拡大断面図である。 図1のエプロンの使用状態図である。 図1のエプロンが折り畳まれる過程を示す図である。 裏地部分が折り畳まれる状態を示す図である。
以下に本発明の望ましい実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示す本発明に係るエプロンAは、着用者の下半身の前面を覆う前掛け部3と、前掛け部3の上縁側から延設され、着用者の腰から上の胴体を覆う胸当て部5と、を備えて、図1に示すように略左右対称形に形成される。
なお、本明細書における上下左右は、図1に示すエプロンAの正面視における上下左右というものとする。
本実施形態のエプロンAでは、前掛け部3と胸当て部5とは、一体に構成されてエプロン本体1を構成する。エプロン本体1は、基布の表面に防水コーティングを施した防水性シート材を所定形状に裁断した基材10からなる。詳しくは、本実施形態では、基材10として、例えばナイロン6、ナイロン66等のポリアミド繊維製織布からなる基布に、エステル系ポリウレタン等の防水塗料を塗布したものが使用されている。なお、該防水塗料には防かび材を添加して、基布に生じやすいかびの発生を防止することもできる。
前掛け部3は、着用者の腰から下の下半身を覆う部位であり、本実施形態では、上下方向の幅寸法(下縁3eと上縁3aとの間の寸法)を約90cm、左右方向の幅寸法を、上下に亘って約88cmの略均一幅とする略矩形状に形成される。すなわち、本実施形態のエプロンAにおける前掛け部3は、上下方向では、着用時、着用者の膝より下方の領域までを覆い、左右方向では、着用者の体格にもよるが、大抵の着用者の前面側のみならず背面側の一部までを覆うこと、言い換えれば、左右の両縁3d,3d側が着用者の背面側に配置されること、を想定した寸法に形成されている。なお、本明細書でいう胴体の前面側/背面側とは、着用者の胴体を前半身と後半身とに分けた場合の前半身/後半身をいうものであって、それぞれが、側面にあたる領域も含む概念である。
この前掛け部3の上縁3a側には、前掛け部3を着用者の胴体に係止させる前掛け係止手段4が設けられている。本実施形態では、前掛け係止手段4は、前掛け部3の上縁3a側における右端部3cと左端部3bとからそれぞれ延設される一対の腰紐65,67と、腰紐65,67に取り付けられるバックル60と、により構成される。腰紐65,67は、エプロン本体1を構成する基材10と同じ素材からなるもので、元部65a,67aを、エプロン本体1の正面1a側における、前掛け部3の上縁3a側における右端部3cと左端部3bとにそれぞれ縫着される。腰紐65は短く、腰紐67は長く構成されている。バックル60は、雌部60bと、雌部60bに対して着脱可能とされて、アジャスター63を備える雄部60aと、からなる。雌部60bが短い方の腰紐65の先端側(図符号省略)に取付固定され、長い方の腰紐67が雄部60aのアジャスター63に挿通されており、雄部60aを雌部60bに連結して、アジャスター63を介し、腰紐67の長さを着用者の胴回り寸法に合わせて調節することにより、前掛け部3を胴体に係止させる構成としている。
前掛け部3の上縁3a側を除く三方の縁部、すなわち、左右の縁部3d,3dと下縁部3eとは、詳細な図示を省略するが、エプロン本体1を構成する基材10の端末を背面1b側に三つ折りにして縫合部25により縫合する態様で端末処理がなされている。前掛け部3における、左右の縁3d,3dと下縁3eが交差する角部は、それぞれ背面1b側において略三角形状の補強布73で補強されている。また、上述の腰紐65,67の元部65a,67aが縫着される前掛け部3の上縁3a側の左右両端部3b,3cと、後述する胸当て部5における左サイド部9Lの左端部9Lbと右サイド部9Rの右端部9Rbと、にまたがる領域も、それぞれエプロン本体1の背面1b側において補強布71により補強されている(図2参照)。
胸当て部5は、前掛け部3の上縁3a側から上方に延設されて、主に着用者の腰から上の胴体の前面を覆う部位である。本実施形態の胸当て部5は、基材10からなり胴体を覆う胸当て本体部6と、胸当て部5を、エプロンAの着用時に起立状態とするために、剛性、可撓性及びばね状弾性を有するワイヤ状芯材Wからなり、胸当て本体部6の上縁6a側に配置される上縁側芯材30と、を備える。
胸当て本体部6は、上縁6aにおける左右の両端部6b,6cが、前掛け部3の上縁3a側における左右両端部3b,3cと連なるような、頂部を平坦とする左右対称形の山型状、言い換えれば、上方にかけて左右方向の幅を狭めつつ盛り上がるような左右対称形の略台形状、に形成されて、着用者の胴体の前面から背面側の一部まで覆うような形状としている。胸当て本体部6は、左右方向の中央付近に配置され、前掛け部3からの上下方向の幅(高さ)を最も高くし、上縁7aを水平(左右)方向に延ばした略四角形の領域を、着用者の胴体の前面を覆う前面部7とし、前面部7の左右両側において、それぞれ上縁9a(9La,9Ra)を前面部7の上縁7aから漸次左右方向に下がるように配置させた一対の略三角形の領域を、サイド部9(左サイド部9Lと右サイド部9R)としている。上述したように、前掛け部3が、左右の両縁3d,3d側がエプロン着用時に着用者の背面に配置されるような左右方向の幅寸法としているから、前掛け部3の左右の両縁3d,3d側の上部に隣接する左サイド部9Lの左端部9Lbと右サイド部9Rの右端部9Rbとは、着用時に着用者の胴体の背面側を覆うと想定される部位となる。
図1及び図2に示すように、前面部7は、上縁7aを左右方向に沿って延びる直線状とし、前掛け部3の上縁3a側からの高さを約25cmとしている。この高さは、着用時に上縁7aが、着用者の胸部上方、言い換えれば、乳房を上方に超えた位置、に配置されるような高さである。この上縁7a側には、左右方向に沿って、剛性、可撓性及びばね状弾性を有するワイヤ状芯材Wからなる上横芯材33が配置されている。具体的には、本実施形態における胸当て本体部6の上縁6a側には、図2及び図4に示すように、基材10を折り返して形成された見返し部6eが設けられており、見返し部6eにより二重とされた基材10を縫合する縫合部29が、前面部7の上縁7aに沿って上縁7a近傍に直線状に設けられている。これにより前面部7の上縁7aに沿って管状の空隙部17が形成され、上横芯材33は、空隙部17に挿通されることにより、前面部7の上縁7aに沿って、上縁7aの略全域に配置されている。なお、上横芯材33が挿通される空隙部17は、後述する側縁芯材35,35が挿通される空隙部15,15とは、後述する縫合部23,23により区画されており、連通していない。なお、本実施形態の管状の空隙部17は、図4に示すように、断面円形状に広げられた際の内径D1を、約5.5mmとしている。
左右のサイド部9L,9Rは、前面部7の左側と右側とに連接し、各々の上縁9a(9La,9Ra)を、前面部7の上縁7aの左右両端側から左右の下方に向かって延ばすような左右対称の略三角形状に形成されている。上述の前面部7と同様に、左右のサイド部9L,9Rも、各々の上縁9a(9La,9Ra)側に、剛性、可撓性及びばね状弾性を有するワイヤ状芯材Wからなる側縁芯材35,35を配置させている。具体的には、本実施形態では、各サイド部9L,9Rの上縁9a,9aの端末は、図2,図5及び6に示すように、エプロン本体1の基材10とは別体の帯状のパイピング基材13,13を、上縁9a(9La,9Ra)の全域に亘って表側と裏側から挟んでくるむように配置させた上で、縫合部23,23を設けて閉じるパイピング処理により端末処理を施されている。なお、本実施形態では、このパイピング基材13,13を縫合する縫合部23は、補強布71と後述する裏地80とを共縫いして、エプロン本体1に対して連結している。このパイピング処理によって、左サイド部9Lと右サイド部9Rとの上縁9La,9Raには、全域に亘って、管状の空隙部15,15が設けられる。本実施形態の各空隙部15は、図5に示すように、断面円形状に広げられた際の内径D2を、約5.5mmとしている。そしてこの空隙部15,15に、上述の空隙部17と同様、略全域に亘って、それぞれ、剛性、可撓性及びばね状弾性を有するワイヤ状芯材Wが挿通されており、これにより、胸当て部5における左右のサイド部9L,9Rの上縁9a(9La,9Ra)側に、剛性、可撓性及びばね状弾性を有するワイヤ状芯材Wからなる側縁芯材35,35が配置される。なお、図5に示すように、空隙部15,15は、パイピング基材13,13を縫合する縫合部23,23により、前面部7の上縁7aに設けられる上述した上横芯材33を収容する空隙部17から区画されており連通していないが、側縁芯材35,35それぞれの内側端部35b,35bは、上横芯材33の左右の端部33a,33aと近接して配置される。また、パイピング基材13は、エプロン本体1を構成する基材10と同じ素材から構成されている。
左右のサイド部9L,9Rの上縁9a(9La,9Ra)側に配置される側縁芯材35,35と、上述した、前面部7の上縁7a側に配置される上横芯材33とは、胸当て本体部6の上縁6a側に配置される上縁側芯材30を構成する。上縁側芯材30は、エプロン着用時に胸当て部5を起立させて着用者の胴体への係止状態を維持するために設けられるもので、それぞれが、適度な剛性、可撓性及びばね状弾性を有したワイヤ状芯材Wからなる。上縁側芯材30(すなわち上横芯材33と側縁芯材35,35)は、図8に示すように、エプロンAを胴回りに巻き付けるように着用した際、着用者の胴体に支持された胸当て部5、すなわち前面部7と左右のサイド部9L,9Rに支持されて胴回りに立体的な枠を形成するような態様となって起立し、胸当て本体部6を含む胸当て部5全体を起立させるような態様となる。このため、胸当て部5を首や肩から吊るような肩紐等がなくても、胸当て部5を起立させ、着用者の胴体への係合状態を維持することができる。
上縁側芯材30(すなわち上横芯材33と側縁芯材35,35)を構成するワイヤ状芯材Wの素材としては、適度な剛性、可撓性及びばね状弾性を有するものであればよいが、着用時に体型の如何に関わらず着用者の胴体に追随して、圧迫感や異物感を与えないのが望ましいことと、平板状に折り畳んで出荷できることに対応できる程度の可撓性を有すること、の観点からいえば、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂等の、合成樹脂製の素材が望ましい。本実施形態では、室温の高い場所での作業に使用されることを想定して、ワイヤ状芯材Wとして、耐熱性の高いポリエステルモノフィラメントからなるコード状の芯材を使用している。このような合成樹脂製のコード状芯材は、金属製のワイヤ状芯材と異なり安全性が高い上に、軽量であるためエプロンAの軽量化にも寄与し、その上廉価で入手でき、エプロンAを低廉なコストで製造できるため本実施形態のワイヤ状芯材Wの素材として望ましい。ワイヤ状芯材Wの断面形状としては、円形の他、三角形や四角形等多角形のもの、また、ねじり形状に形成されたもの、はたまた平板帯状のもの等、種々のものが考えられるところ、着用時に身体に痛み等を生じさせない観点からは、断面が円形のものが望ましい。なお、本実施形態では、断面が径約2mmの円形のものを使用している。
また図2,図4および図6に示すように、本実施形態のエプロンAは、エプロン本体1の背面1b側に、裏地80を配置させている。裏地80は、本実施形態の場合、胸当て部5と前掛け部3の上縁3a側領域とにまたがる、着用時に胸部から腹部までを覆う領域に、エプロン本体1から浮く態様で配置されており、上縁80cを、胸当て本体部6の見返し部6eの下縁6euと左右のサイド部9L,9Rの上縁9a(9La,9Ra)とに縫合部27及び縫合部23,23により連結され、左縁80dと右縁80eとを、前掛け部3の左右両縁3d,3dに、それぞれ上述の縫合部25により連結されている。言い換えれば、裏地80は、上縁80c,左縁80d及び右縁80eにおいてのみ、エプロン本体1に連結されており、下縁80b側を含む略全域に亘ってエプロン本体1に固定されず、エプロン本体1から分離した状態で設けられている。裏地80はエプロン本体1を構成する基材10とは別体の基材90(図3)からなるもので、本実施形態では、エプロンAが室温の高い場所での作業に使用されることを想定して、通気性向上のため、裏地80を構成する基材90は、ポリエステルのメッシュ状素材から構成されている。
裏地80には、胸当て部5における前面部7の右縁7c近傍と左縁7b近傍とに対応する位置の2箇所に、上述の上縁側芯材30を構成するワイヤ状芯材Wと同素材からなる中央側芯材50,50が上下方向に沿って配置されている。具体的には、本実施形態では、裏地80を構成する基材90は、図3及び図7に示すように、左右方向に併設される3片の、それぞれがメッシュ素材からなる基材片90a,90b及び90cを縫合により連結させてなる。そして基材片90aと90bとの連結部91と、基材片90bと90cとの連結部93に、それぞれパイピング基材95,95を共縫いして管状の空隙部97,97を形成し、その空隙部97,97の上下の略全域に、中央側芯材50,50を挿通させている。すなわち、本実施形態では、中央側芯材50,50は、胸当て本体部6の上縁6a側に設けられる見返し部6eの下縁6euの下方から、前掛け部3の上縁3a側の領域(すなわち、腹部を覆う領域)までに亘る領域に延設される。各中央側芯材50,50の長さ(言い換えれば、裏地80の上下方向の寸法)は、着用者の脚部の曲げ伸ばし等の動作に支障がない程度の長さとしている。中央側芯材50,50は、胸当て本体部6において上縁側芯材30が設けられる上縁6a側から離れた領域及び腹部を覆う前掛け部3の上縁3a側の領域に張りを与え、着用時の弛みを防止するために設けられるものである。なお、本実施形態では、中央側芯材50,50を挿通させるためのパイピング基材95,95は、図7に示すように、裏地80における、着用時に着用者の胴体を向く側の面80a上に突出するように設けられている。管状の空隙部97,97のそれぞれは、図7に示すように、断面円形状に広げられた際の内径D3を、約5.5mmとしている。
以上のように構成されたエプロンAは、胴体の前面に当てた後、前掛け係止手段4を構成するバックル60の雌部60bを雄部60aに係合させつつ、アジャスター63に挿通された腰紐67を胴回りに合わせて調節すれば、前掛け部3を胴体に係止させて、着用することができる。その際、図8に示すように、胸当て部5においては、前面部7が胴体の前面に、左側サイド部9Lと右側サイド部9Rが、断面略楕円形の胴体の側面から背面側にかけて沿う態様となり、前面部7の上縁7a側に設けられた管状の空隙17に挿通された上横芯材33は、胴体前面に水平方向に沿って配置される。そして左側サイド部9L及び右側サイド部9Rそれぞれの上縁9La,9Ra側に配置された側縁芯材35,35は、上横芯材33の挿通された空隙部17とは区画された管状の空隙部15,15に挿通されており上横芯材33とは別体とされているから、上横芯材33と各側縁芯材35とがヒンジ結合されたかのような態様となって、側縁芯材35,35が上横芯材33の左右両端33a,33a近傍を中心に、上横芯材33に対して角度を付けて後方に回り込み、胴体の背面側にかけて漸次下方に向かって略楕円形の胴体回りに巻き付けられる態様となる。このため、上縁側芯材30になんの力を加えなくても、上縁側芯材30全体が立体的な枠状形状をなすような態様となる。またこの時、胸当て部5の前面部7と左右のサイド部9L,9R(すなわち、胸当て本体部6)は胴体周りに係合して胴体に支持されており、逆に下方から、上縁側芯材30の枠状形状を維持するように支持することになる。これにより、胸当て部5を胴体前面に当てて、前掛け係止手段4を係止状態とするだけで胸当て部5全体が起立し、胸当て部5を首や肩から吊るような肩紐等がなくても、胸当て部5を胴体に係合させた状態でエプロンAを着用できる。
実施形態に係るエプロンAを着用中は、上横芯材33は、胴体前面の上方に沿って水平に配置され、側縁芯材35,35も、上横芯材33の左右両端33a,33a近傍から後下がりに配置されるため、エプロンAの着用時に、着用者の前屈等の動作により屈曲する胴体の上下方向に沿ってではなく、屈曲等の変形の起こり難い胴体の左右方向に沿って配置されることになる。このため、上縁側芯材のそれぞれが上下方向に沿って配置される場合と比較して、前屈動作した場合や、胸部の起伏の大きい体型の着用者が着用する場合等において違和感を生じさせる虞が少なく、様々な体型の着用者が着心地よくエプロンAを着用できる。また、ワイヤ状芯材Wは可撓性を有する素材からなるため、何らの力を加えなくても着用者の胴体の外形に自然に沿い、違和感を生じさせない。さらにまた、上縁側芯材30を構成する上横芯材33と一対の側縁芯材35,35とは、それぞれが、前面部7と、左右のサイド部9L,9Rそれぞれの上縁7a,9La,9Ra側に設けられた、相互に区画された管状の空隙部17,15,15に挿通される構成としているため、着用中に、3つのうちの1の芯材が周囲の物体と干渉したような場合にも、干渉の影響が他の芯材には伝播しにくい。このため、上縁側芯材30全体が干渉の影響により即座に倒れてしまうということが起こり難く、胸当て部5の胴体への係合状態を長時間に亘って維持することができる。特に本実施形態では、上縁側芯材30を構成するワイヤ状芯材Wは断面略円形としているから、各芯材30,35が周囲の物体と干渉したような場合には、芯材30,35が、空隙部の内周側で周方向に回転することでその衝撃をある程度吸収できるため、より一層、干渉の影響が他の芯材には伝播しにくく、上縁側芯材30全体が干渉の影響により即座に倒れてしまうということが起こり難く、より一層胸当て部5の胴体への係合状態を長時間に亘って維持することができる。
そして作業後、前掛け係止手段4を構成するバックル60の雌部60bと雄部60aとの係止状態を解除してエプロンAを脱いだ際には、胴体回りに沿って湾曲されていた側縁芯材35,35は、ばね状弾性により元の形状に戻り、また上横芯材33に対しても、上横芯材33の左右両端33a,33a近傍を中心に再び容易に回って着用前の状態に戻る。このため、上縁側芯材30になんの力を加えなくても、エプロンは着用前の状態に戻り、そのまま吊るす等して保管すればよく、着用後の取り扱いが容易である。
したがって、本実施形態のエプロンAは、胸当て部5を首や肩から吊って支持するための肩紐等を用いずに、胸当て部5の胴体への係合状態を安定して維持でき、様々な体型の着用者が着心地よく着用できて、着用時と着用後の取り扱いが容易で実用性が高い。
なお、本実施形態のエプロンAのように、上縁側芯材30を、胸当て部5の上縁6aに沿って設けた空隙部15,17に挿通させて設ける構成では、肩紐等なしで胸当て部5を胴体に係合させることのできるエプロンAを、穴あけ加工や、接着、溶着作業等を要せず、ほとんど縫製作業によってのみ製造できる。
本実施形態のエプロンAでは、エプロン本体1の背面1b側における胸当て部5と前掛け部3の上縁3a側とにまたがる領域に裏地80が配置され、裏地80における、胸当て部5の前面部7の左縁7b近傍と右縁7c近傍に対応する位置に、さらなるワイヤ状芯材Wが、中央側芯材50,50として、それぞれ上下方向に沿って配置されている。
このような中央側芯材50,50は、エプロンの着用時に、胸当て部5を起立状態にならしめる上縁側芯材30(すなわち、上横芯材33と、左右の側縁芯材35,35)が配置された上縁6aから離れた、エプロン本体1における胸当て部5の中央側部位と前掛け部3の上縁3a側の部位とを、左右方向における2箇所において支持して張りを付与することにより、その領域に弛みが発生することを防止し、弛みに起因する胸当て部5の起立状態の崩れを防止して、胸当て部の起立状態の維持に一層寄与する。またエプロン本体1自体ではなく、裏地80に中央側芯材50,50を設けているため、エプロン本体1に直接中央側芯材50,50を取り付ける場合に起こりうる問題、例えば、中央側芯材50,50を支持するための別途の部材を、縫製によりエプロン本体1に取り付けることにより水分が進入可能な針孔が多数形成され、防水加工を施されているエプロン本体1の防水性が低下する、といった問題を回避することができる。中央側芯材50,50は、上下方向に沿って配置されるものではあるものの、ワイヤ状芯材Wはごく細いものであって可撓性を有する素材からなるため、胴体の外形及び動きに自然に追随して、着用時に異物感を与える虞が少ないから着心地を低下させることはない。
本実施形態では、中央側芯材50,50が腹部を覆う領域にまで延設されるように、裏地80は、エプロン本体1の背面1b側における胸当て部5と前掛け部3の上縁3a側とにまたがる領域に配置されているが、このような裏地80は、中央側芯材50,50が、少なくとも胸当て部5において上下方向に配置されるように、エプロン本体1の背面1b側における胸当て部5の領域に配置されれば、胸当て5部の中央側部位を支持して張りを付与することにより、胸当て部5に弛みが発生することを防止し、弛みに起因する胸当て部5の起立状態の崩れを防止することができる。
以上のような効果を考慮しないのであれば、中央側芯材を必ずしも設ける必要はなく、胸当て部5における前面部7の上縁7a側と左右のサイド部9L,9Rの上縁9La,9Ra側に配置される上縁側芯材30のみで、着用時に胸当て部5を起立状態に維持することができる。
また本実施形態のエプロンAでは、中央側芯材50,50を設けた裏地80が、上縁80c,左縁80d及び右縁80eにおいてのみエプロン本体1に連結され、下縁80b側を含む略全域に亘ってエプロン本体1から分離した状態で設けられており、中央側芯材50,50のそれぞれの下端側部位50a,50aがエプロン本体1に対してずれ移動可能な構成としている。
この構成によれば、中央側芯材50,50を設けたエプロンAが平板状に折り畳みやすくなり、出荷時等の流通時や着用後のエプロンの取り扱いがさらに容易になる。具体的に説明すると、エプロンAを折り畳むということは、エプロン本体1を、上下方向及び左右方向の両方向に折って、両方向における寸法を小さくすることであるが、概して剛性を有する芯材を配した衣料品では、その芯材が折り畳みの妨げになる。本実施形態のエプロンAを折り畳む際には、胸当て部5の上縁6aに沿って配置された上縁側芯材30は、一対の側縁芯材35,35が、上横芯材33の左右両端33a,33a近傍から左右外側の斜め下方に向かって延設されているから、エプロンAを平たく展開した状態から、可撓性を有するワイヤ状芯材Wからなる各側縁芯材35における、左右方向における外側半分程度の部位を、図9に示すようにエプロン本体1の左右方向の中央側に向かって湾曲させつつ、まず左右方向においてエプロン本体1を折り畳むことができる。次に上下方向の折り畳みについて説明すると、特に本実施形態のエプロンAでは、中央側芯材50,50は、胸当て部5と前掛け部3の上縁3a側領域とにまたがる上下方向に幅広の領域に上下方向に沿って配置されているため、仮に裏地80が、下縁80b側をエプロン本体1に対して固定され、中央側芯材50,50の下端側部位50a,50aのエプロン本体1に対するずれ移動を許容しない態様でエプロン本体1に連結されているとするならば、中央側芯材50,50の上下方向の長さ以下に、エプロンAを上下方向に折り畳んで縮小することはできないことになる。しかしながら本実施形態の構成によれば、中央側芯材50,50の設けられた裏地80は、下縁80b側がエプロン本体に対して固定されておらず、左右の中央側芯材50,50の下端側部位50a,50aが、通常の配置位置である、胸当て部5の前面部7の左縁7bと右縁7c近傍の位置を外れて移動可能な状態でエプロン本体1に連結されているから、図10に示すように、左右の中央側芯材50,50の下端側部位50a,50aを、裏地80の下縁80b側を引っ張りつつ、エプロン本体1の左右方向の中央側に向かって湾曲させることができる。このため、中央側芯材50,50を湾曲させた分、各中央側芯材50がエプロン本体1において上下方向に占める実質的長さを小さくすることができるので、エプロンAを、図9に示すような、左右方向のみならず上下方向にも縮小した平板状に折り畳むことができ、出荷時等の流通時の運搬や着用後の持ち運び時等を容易にし、さらに実用性の高いものにすることができる。勿論、湾曲された側縁芯材35,35と中央側芯材50,50のそれぞれは、塑性変形されたわけではないため、折り畳み状態から展開すれば、通常の着用前のエプロンAの形状に戻り、すぐに着用することができる。
本実施形態のエプロンAでは、裏地80が、上縁80c,左縁80d及び右縁80eにおいてのみエプロン本体1に連結され、下縁80b側を含む略全域に亘ってエプロン本体1から分離した状態で設けられているが、中央側芯材50,50のそれぞれの下端側部位50a,50aがエプロン本体1に対してずれ移動可能に、少なくとも裏地80の下縁80b側の領域がエプロン本体1から分離していれば、上述したのと同様な効果を奏することができる。
なお、エプロンAに中央側芯材50,50の設けられない場合では、上下方向の折り畳みを考慮する必要はないので、平板状にする折り畳みが容易にできることは言うまでもない。
また本実施形態では、中央側芯材50,50が配置される裏地80が、メッシュ状の素材から構成されている。この構成では、本実施形態のように、エプロン本体1を構成する基材10が防水加工を施されて通気性に欠ける場合等に、エプロンAの通気性を向上させることができる。特に、裏地80に取り付けられた中央側芯材50,50を構成するワイヤ状芯材Wのばね状弾性により、エプロン本体1と裏地80との間、および裏地80と胴体との間に隙間ができやすくなるため、通気性がより向上する。
また本実施形態では、上縁側芯材30を構成する上横芯材33,側縁芯材35,35及び中央側芯材50,50を構成するワイヤ状芯材Wが、合成樹脂(本実施形態では、ポリエステルモノフィラメント)から構成されている。合成樹脂製のワイヤ状芯材Wは、金属製のものと異なり安全性が高く、胴体の湾曲形状にも容易に追随してエプロンAの着心地を損なわない。また、錆の発生等について留意する必要がないため洗濯を可能とし、エプロンAの取り扱いを容易にし、実用に適したものする。また合成樹脂は軽量であるためエプロンAの軽量化にも寄与し、長時間着用する際の身体への負担を軽減することができる。
上述した実施形態では、前掛け部3を胴体に係止させるための前掛け係止手段4を、サイズ調節可能なアジャスター63を備えたバックル60により構成したが、前掛け係止手段4はこれに限らず、前掛け部3の上縁3a側における左右両端部3b,3cから延設される一対の長尺の腰紐から構成してもよい。
上述した実施形態では、上縁側芯材30を構成する一対の側縁芯材35,35のそれぞれが、胸当て本体部6における左右のサイド部9L,9Rの上縁9La,9Raの略全域に亘って設けられる構成としたが、側縁芯材の配置領域はこれに限定されない。側縁芯材は、上横芯材33の左右両端部33a,33aの近傍から、着用時に胴体の背面側となる位置までの領域に延設されれば、エプロン着用時に上縁側芯材が、胴体に支持された胸当て本体部6に支持されて胴回りに立体的な枠を形成して胸当て部5を起立せることができる。
1…エプロン本体、1b…背面、3…前掛け部、3a…上縁、4…前掛け係止手段、5…胸当て部、5a…上縁、7…前面部、7a…上縁、7b…左縁、7c…右縁、9L(9)…左サイド部(サイド部)、9La…上縁、9R(9)…右サイド部(サイド部)、9Ra…上縁、15…空隙部、17…空隙部、30…上縁側芯材、33…上横芯材、35…側縁芯材、50…中央側芯材、50a…下端側部位、80…裏地、80b…下縁、A…エプロン、W…ワイヤ状芯材

Claims (3)

  1. 着用者の下半身の前面を覆う前掛け部及び前記前掛け部の上縁側から上方に延設されて着用者の腰から上の胴体を覆う胸当て部を有するエプロン本体と、前記前掛け部の上縁側に設けられて、前記前掛け部を着用者の胴体に係止させる前掛け係止手段と、
    を備えるエプロンにおいて、
    前記胸当て部が、
    前記前掛け部からの高さを最も高くし、上縁を水平方向に延ばした略四角形状とする前面部と、
    前記前面部の左側と右側とに連接されて、それぞれ上縁を前記前面部の上縁から左右の下方に延ばすように配置させた左側サイド部及び右側サイド部と、
    を備え、
    前記前面部、前記左側サイド部及び前記右側サイド部それぞれの上縁側に沿って管状の空隙部が相互に区画されて設けられ、その内部に、剛性、可撓性及びばね状弾性を有するワイヤ状芯材がそれぞれ挿通され、
    それぞれが前記ワイヤ状芯材からなる、前記前面部の空隙部に挿通される上横芯材と、前記左側サイド部及び右側サイド部それぞれの空隙部に挿通される一対の側縁芯材とが、着用時に前記胸当て部を起立状態にならしめる上縁側芯材を構成し、
    前記エプロン本体の背面側における、少なくとも前記胸当て部の領域に裏地が配置され、該裏地における、前記前面部の左縁近傍と右縁近傍とに対応する位置に、さらなる前記ワイヤ状芯材が、一対の中央側芯材として、それぞれ上下方向に沿って配置され、
    前記裏地が、前記エプロン本体に対する、前記中央側芯材各々の下端側部位のずれ移動を許容するように、少なくとも下縁側の領域を前記エプロン本体から分離された状態でエプロン本体に連結されている
    ことを特徴とするエプロン。
  2. 前記裏地が、メッシュ状の素材からなることを特徴とする請求項に記載のエプロン。
  3. 前記ワイヤ状芯材が合成樹脂からなることを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれかに記載のエプロン。
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