JP6908317B1 - カップ部を有する衣類 - Google Patents
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Abstract
Description
本明細書において、「バスト」と「乳房」は互換的に使用され得る。
本明細書において、「皮膚」と「肌」は互換的に使用され得る。
本明細書において、「下」とは着用者の腹部方向を意味する。
本明細書において、「上」とは着用者の肩方向を意味する。
本明細書において、「縦」とは着用者の頭と足を結ぶ垂直方向を意味する。
本明細書において、「横」とは着用者の身体の幅方向を意味する。
本明細書において、「胸前中心部」とは着用者の左右の乳房の間の領域、すなわち谷間を意味する。
本明細書において、「胸前中心側」とは着用者の胸前中心方向の領域を意味する。
本明細書において、「ふらし構造」とは、生地同士を縫い付けずに浮かしておく仕様方法を意味する。
本明細書において、「カップ台部」とは、カップ部周辺でカップ部を支える部位を意味する。
本明細書において、「アンダー」とは、カップ部を有する衣類におけるカップ台部の下端付近の領域を意味する。
本明細書において、「カップくり」とは、カップ部を有する衣類におけるカップ部とカップ台部の境界部であり、カップ部の立体が発生している一帯を意味する。
本明細書において、「バージスライン」とはバストの下側の輪郭線、つまりバストと胴部の境目を示すラインを意味する。
本明細書において、「斜め方向」とは、衣類着用者の頭と足を結び、地面と垂直方向の直線に対しての斜め方向を意味する。
本明細書において、「フローティングゴア設計」とは、カップ部を有する衣類においてカップ台部を胸前中心部で上下部に分離してふらし構造とし、上部には少なくとも横方向に伸縮性を持たない素材を用い、下部には少なくとも横方向に伸縮性を持つ素材を用いて、上下のカップ台部それぞれに独立した機能を持たせるようにした設計をいう。
一方で、従来のカップ部を有する衣類では、広がったり下がったりするバストを胸前中心側に寄せるため、胸前中心部で、三角形状や富士山型のカップ台部を用いて左右のカップ部を支える構造が多く、前中心上部からバージスラインに沿ってアンダー付近まで、一枚続きで伸びない素材が使われていることが多い。
これは、前中心に伸縮性がある素材を用いると、乳房が左右に流れ、バストの形を美しく整えるというカップ部を有する衣類の機能が損なわれるためである。
さらには、着崩れにより衣類全体がずれて、肩紐が肩から外れたり、アンダー部分が設計位置より上がって必要以上に締め付けが強くなることで、快適な着用感を損なうという問題点があった。
このことから、発明者らは、カップ部を支えるカップ台部に求められる身体にフィットする機能が十分に発揮でき、バストの形を美しく整えながら、且つ日常のからだの動きにも追随し着崩れをなくすことができるようなカップ部を有する衣類を開発すべく鋭意研究を重ね、胸前中心側にあるカップ台部を一枚続きではなく上下のパーツに分け、カップ台上部は伸縮性のない素材で固定し、カップ部を支える基点とすることで安定性を高め、カップ台下部はカップ部の立体形を支えながら伸縮性のある素材を用いることで、日常の動きに追随し着崩れを軽減する設計「フローティングゴア設計」を発明するに至った。
また、カップ台上部は、少なくとも左右のカップ部を結ぶ横方向Pには伸縮しない素材からなり、カップ台下部は、少なくとも左右のカップ部を結ぶ横方向Pに伸縮性のある素材からなることから、カップ台上部は、伸縮性を抑えることで左右のカップ部のバランスを取る基点となり、カップ部が左右に広がるのを留め、カップ部上部の立体形をキープして安定させることができる。一方で、カップ台下部は、カップ台上部とは反対に伸縮性を持たせることで、カップ台下部のアンダーに近い部分は、呼吸時の胸部の動きに合わせて常時横方向に伸縮すると同時に、日常生活の軽いひねり動作等に対しては着用者の動きに追随して斜め方向に変形、伸縮した結果、着崩れを起こしにくいという有利な効果を奏する。
さらに、カップ台上部の下端、及びカップ台下部の上端の形状は曲線であるため、直線状のものに比べ生地の動きが身体の動きに追随しやすく、カップ台下部においては、伸びた状態でも審美性を損なわないという有利な効果を奏する。
図1は、本発明に係るカップ部(1)を有するブラジャー(X)の正面図である。
図1に示す実施形態は本発明をブラジャーに適用した場合を示しており、左右のカップ部(1)の間の胸前中心部(7)にカップ台上部(2A)とカップ台下部(2B)からなるカップ台部(2)を備えている。さらに、図1に示す実施形態は左右の脇布(4)、左右の肩紐(5)、及び連結部(6)を有するが、これは実施の形態の1つに過ぎず、本発明のカップ部を有する衣類は、脇布(4)、肩紐(5)、及び連結部(6)のいずれか又は全てが備えられていない形態であってもよい。
連結部(6)の素材は、例えばホック、ピン、スナップ、面ファスナー、紐、ボタンとボタン穴等が挙げられるが、当業者に自明のものが当然採用される。
図2の(b)はカップ台上部(2A)、(c)はカップ台下部(2B)、(d)はカップ台上部(2A)とカップ台下部(2B)を接合させ、ふらし構造とした状態をそれぞれ示している。
本発明では、胸前中心側のカップ台部(2)を一枚続きではなく上下のパーツに分け、カップ台上部(2A)は伸縮性のない素材で固定し、カップ部(1)を支える基点とすることで安定性を高め、カップ台下部(2B)はカップ部(1)の立体形を支えながら伸縮性のある素材を用いることで、日常の動きに追随し着崩れを軽減する設計「フローティングゴア設計」を実現している。
伸び率が80〜220%とは、例えば10cmの生地が18〜32cmの範囲まで伸縮可能であることを表す。
カップ台下部(2B)の素材は、少なくとも横方向(P)に伸縮するものであれば特に限定されないが、パワーネット、サテンネット、ツーウェイトリコット、ベア天竺等の素材が好適に用いられる。さらに、縦方向や斜め方向にも伸縮可能な素材であれば、日常生活における腕の上げ下ろし、ひねり、反り、及び屈む等といった動作における着用者の身体の動きに追随する際に伸縮方向の自由度も高くなるため、より望ましい。
カップ台上部(2A)とカップ台下部(2B)を重ね合わせてふらし構造とする範囲(Q)は、カップ台上部(2A)の胸前中心部(7)上端(8)から、左右のカップ部(1)それぞれのカップくり(3)沿線上において、カップくり(3)の最下端(9)迄の間に設定されている。さらに、そのふらし構造において、カップ台上部(2A)とカップ台下部(2B)を重ね合わせる位置は、カップくり(3)の最下端(9)を起点にし、カップ台上部(2A)とカップ台下部(2B)を重ね合わせてふらし構造とする範囲(Q)の3分の1から3分の2迄の範囲であることが望ましい。
乳房の下方から半分以上を覆うサイズであれば、カップ部(1)とカップ台部(2)の連接範囲やカップ台上部(2A)とカップ台下部(2B)を重ね合わせてふらし構造とする範囲(Q)をより広範囲に取ることが可能になり、日常の動きに追随し着崩れを軽減する「フローティングゴア設計」の機能が十分に発揮されるため好適である。さらに、カップ部(1)が乳房全体を包み込んで形状を美しく保つ効果を奏し易いことからも好ましい。
ふらし構造の重ね位置におけるカップ台上部(2A)とカップ台下部(2B)それぞれの端部同士の重なり方は特に限定されず、一部が開口していても良く、完全に重ならずに突き合わせでも良い。
開口部(10)が曲線形状であることで直線状のものに比べ生地の動きが身体の動きに追随しやすく、カップ台下部(2B)においては、伸びた状態でも審美性を損なわないという効果を奏するため、曲線形状が望ましい。
本発明のカップ部(1)を有する衣類は、カップ部(1)を有する衣類であれば特に限定されず、ブラジャーの他、ロングブラジャー、ボディスーツ、ボディシェーパー、またはカップ付インナーであってもよい。
1 カップ部
1A 左カップ部
1B 右カップ部
2 カップ台部
2A カップ台上部
2B カップ台下部
3 カップくり
4 脇布
5 肩紐
6 連結部
7 胸前中心部
8 カップ台上部の胸前中心部上端
9 カップくりの最下端
10 開口部
P 左右のカップ部を結ぶ横方向P
Q カップ台上部とカップ台下部を重ね合わせてふらし構造とする範囲Q
Claims (3)
- 左右一対のカップ部、カップ部を支えるカップ台部を少なくとも備えたカップ部を有する衣類であって、
前記カップ部を支える前中心のカップ台部は、カップ台上部とカップ台下部からなり、
前記カップ台上部は、少なくとも左右のカップ部を結ぶ横方向Pには伸縮しない素材からなり、
前記カップ台下部は、少なくとも左右のカップ部を結ぶ横方向Pに伸縮性のある素材からなり、
前記カップ台上部と前記カップ台下部は、それぞれが左右のカップくりに連接され、胸前中心部において接合されずにふらし構造とし、
前記カップ台上部の下端、及び前記カップ台下部の上端の形状は曲線であることを特徴とする、カップ部を有する衣類。 - 前記カップ台上部及び前記カップ台下部は、カップくりの沿線上における、前記カップ台上部の胸前中心上端からカップくり下端部迄の間で分離された構造を有する、請求項1に記載のカップ部を有する衣類。
- 前記カップ台下部は、伸び率が80%〜220%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のカップ部を有する衣類。
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