JP7016425B2 - ポリマーフィルム、及び表示装置 - Google Patents
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Description
ポリマーフィルムの脆性を改良する方法としては、上記のようなエラストマーを用いる方法が考えられる。しかしながら、特許第3327481号公報に記載された方法では、重合可能な二重結合を有するエラストマーとオレフィンとを共重合させているため、得られるポリマーフィルムのガラス転移温度が低下し、耐熱性が低下するということが考えられる。また、国際公開第2014/034200号に記載された方法では、高いガラス転移温度(Tg)を有する環状オレフィン樹脂とエラストマーとを混合し、フィルム成形において平面内に異方性を有するミクロドメイン構造を形成している。このため、国際公開第2014/034200号に記載された方法においても、透明性、耐熱性、及び耐屈曲性を両立するという点では十分とは言い難い。
本開示の一実施形態は、透明性、耐熱性、及び耐屈曲性に優れるポリマーフィルムを提供することを目的とする。
本開示の他の一実施形態は、透明性、耐熱性、及び耐屈曲性に優れるポリマーフィルムを有する表示装置を提供することを目的とする。
<1> 第1の樹脂を含む樹脂相と、上記第1の樹脂を含む樹脂相中に分散され、ガラス転移温度が30℃以下の第2の樹脂を含む複数の粒子と、を含む層を有し、上記第1の樹脂は、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリメチルペンテン、及びポリ乳酸からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であって、上記粒子の表面間距離が、1nm~100nmであって、上記粒子の最大径が、200nm以下である、
ポリマーフィルム。
<2> 少なくとも一方の面の表面粗さRzが、100nm以下である<1>に記載のポリマーフィルム。
<3> 曲率半径Rを1.0mm、折り曲げ角度を180°、折り曲げ回数を100,000回とする条件で折り曲げ操作を行った後の、上記粒子の周囲に形成される空洞の幅が、上記空洞の起点となる上記粒子の直径の50%以下である<1>又は<2>に記載のポリマーフィルム。
<4> 曲率半径Rを1.0mm、折り曲げ角度を180°、折り曲げ回数を100,000回とする条件で折り曲げ操作を行った後の破断伸度が、上記折り曲げ操作前の破断伸度に対して80%~120%である<1>~<3>のいずれか1つに記載のポリマーフィルム。
<5> 上記第2の樹脂の含有量が、ポリマーフィルムの全体積に対して、1体積%~20体積%である<1>~<4>のいずれか1つに記載のポリマーフィルム。
<6> 上記第1の樹脂が、環状ポリオレフィンである<1>~<5>のいずれか1つに記載のポリマーフィルム。
<7> 上記第2の樹脂が、スチレン骨格を有する単量体由来の構成単位を有する共重合体である<1>~<6>のいずれか1つに記載のポリマーフィルム。
<8> 上記粒子の表面間距離が、1nm~40nmである<1>~<7>のいずれか1つに記載のポリマーフィルム。
<9> 上記粒子の最大径が、80nm以下である<1>~<8>のいずれか1つに記載のポリマーフィルム。
<10> 厚みが5μm~100μmである<1>~<9>のいずれか1つに記載のポリマーフィルム。
<11> 上記ポリマーフィルムのガラス転移温度TgAと上記第2の樹脂のガラス転移温度Tg2との関係が、TgA-Tg2>30℃を満たす<1>~<10>のいずれか1つに記載のポリマーフィルム。
<12> 光学用ポリマーフィルムである、<1>~<11>のいずれか1つに記載のポリマーフィルム。
<13> <1>~<12>のいずれか1つに記載のポリマーフィルムを有する表示装置。
本開示の他の一実施形態によれば、透明性、耐熱性、及び耐屈曲性に優れるポリマーフィルムを有する表示装置を提供することができる。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、「工程」との用語には、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有しないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
本開示に係るポリマーフィルムは、第1の樹脂を含む樹脂相と、上記第1の樹脂を含む樹脂相中に分散され、ガラス転移温度が30℃以下の第2の樹脂を含む複数の粒子と、を含む層(以下、「分散粒子層」ということがある。)を有し、上記第1の樹脂は、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリメチルペンテン、及びポリ乳酸からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であって、上記粒子の表面間距離が、1nm~100nmであって、上記粒子の最大径が、200nm以下である。
上記のとおり、エラストマーを用いる従来の技術では、ポリマーフィルムの透明性及び耐熱性の低下を招くため、透明性、耐熱性、及び耐屈曲性を両立することは困難であると考えられる。
本開示に係るポリマーフィルムは、第1の樹脂を含む樹脂相中に、ガラス転移温度の低い第2の樹脂を含む微細な粒子を、特定の間隔で分散させた層を有するため、耐熱性及び透明性の低下を防ぐことができ、さらに、折り曲げられた際に生じるポリマーフィルム内の応力集中を緩和できると考えられる。このため、本開示に係るポリマーフィルムは、透明性、耐熱性、及び耐屈曲性を両立できると考えられる。
本開示に係るポリマーフィルムは、第1の樹脂を含む樹脂相と、上記第1の樹脂を含む樹脂相中に分散され、ガラス転移温度が30℃以下の第2の樹脂を含む複数の粒子と、を含む層を有する。上記層を有することで、耐熱性及び透明性の低下を防ぐことができ、さらに、折り曲げられた際に生じるポリマーフィルム内の応力集中を緩和できる。
分散粒子層は、第1の樹脂を含む樹脂相を含む。分散粒子層において樹脂相は、後述する第2の樹脂を含む各粒子の間に存在している。樹脂相は、必要に応じて、例えば、第1の樹脂以外の樹脂、後述する添加剤等の他の成分を含んでいてもよい。
第1の樹脂は、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリメチルペンテン、及びポリ乳酸からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂である。第1の樹脂が上記樹脂であることで、ポリマーフィルムの透明性を向上させるとともに、光学用ポリマーフィルムとして用いられる場合に好適な性能を得ることができる。
なお、本開示におけるノルボルネン重合体とは、ノルボルネン構造を有する構成単位を含む単独重合体、及び共重合体を含む意味で用いられ、ノルボルネン構造は、開環であってもよい。
また、環状ポリオレフィンとしては、一般式(III)で表される構成単位を少なくとも1種含む開環重合体も好適に使用することができる。
分極性の大きい官能基とは、電気陰性度の異なる2種以上の原子を含み、双極子モーメントを有する官能基を意味する。分極性の大きい官能基としては、例えば、カルボキシ基、カルボニル基、エポキシ基、エーテル基、ヒドロキシ基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、アミド基、イミド基、エステル基、スルホン基等を挙げることができる。
ノルボルネン付加重合体は、市販品を用いてもよい。ノルボルネン付加重合体は、三井化学(株)よりアペル(登録商標)の商品名で市販されており、ガラス転移温度(Tg)の異なる、例えばAPL8008T(Tg:70℃)、APL6013T(Tg:125℃)、APL6015T(Tg:145℃)などのグレードがある。ポリプラスチックス(株)よりTOPAS8007、TOPAS6013、TOPAS6015などのノルボルネン付加重合体がペレットとして市販されている。更に、Ferrania社よりノルボルネン付加重合体として、Appear3000が市販されている。
ノルボルネン重合体は、JSR(株)からアートン(ARTON:登録商標)G、アートンF等の商品名で市販されており、日本ゼオン(株)からゼオネックス(ZEONEX:登録商標)250、ゼオネックス280等の商品名で市販されており、これらを使用することができる。
分散粒子層は、上記第1の樹脂を含む樹脂相中に分散され、ガラス転移温度が30℃以下の第2の樹脂を含む複数の粒子を含む。上記粒子の表面間距離は、1nm~100nmであって、上記粒子の最大径は、200nm以下である。上記粒子を含むことで、耐熱性及び透明性の低下を防ぐことができ、折り曲げられた際に生じるポリマーフィルム内の応力集中を緩和できる。また、上記粒子は、必要に応じて、例えば、後述する添加剤等の他の成分を含んでいてもよい。
第2の樹脂のガラス転移温度は、30℃以下である。ガラス転移温度は、粒子中に含まれる第2の樹脂として適用可能な樹脂の範囲を定める指標であり、「ガラス転移温度が30℃以下である」とはガラス転移温度が低いことを意味する。第2の樹脂のガラス転移温度は、耐屈曲性の観点から、20℃以下であることが好ましく、10℃以下であることがより好ましく、0℃以下であることがさらに好ましく、-10℃以下であることが特に好ましい。ガラス転移温度の測定は、示差走査熱量計(例えば、(株)島津製作所製DSC-60A等)を用いて測定することができる。
まず、任意の大きさのポリマーフィルムの中心領域から、試験片1cm3を採取する。試験片1cm3から第2の樹脂を分離し、第2の樹脂の体積を測定する。そして、第2の樹脂の体積を試験片の体積1cm3で除して得られる値に100を乗じ、得られる値をポリマーフィルム中の第2の樹脂の含有量とする。
第2の樹脂を分離する方法としては、例えば、第1の樹脂を溶解する一方で第2の樹脂を溶解しない溶媒に試験片を浸漬し、次いで、溶け残った第2の樹脂を濾過によって収集することで、単体の第2の樹脂を得る方法が挙げられる。試験片の浸漬の際に使用する溶媒の量は、試験片の体積の1000倍以上の量とする。
粒子の表面間距離は、1nm~100nmであり、1nm~40nmであることが好ましく、1nm~20nmであることがより好ましく、1nm~15nmであることが特に好ましい。粒子の表面間距離を上記数値範囲に調節することで、屈曲された際に生じるポリマーフィルム内の応力集中を緩和し、耐屈曲性を向上させることができる。また、耐屈曲性の向上と透明性低下の抑制とを両立することができる。
ポリマーフィルムにおいて任意に選択した10箇所における断面XZ及び断面YZをそれぞれ、走査型電子顕微鏡を用いて観察し、合計20枚の観察像を得る。断面XZとは、ポリマーフィルム面に対して平行な任意の方向X(例えば、ポリマーフィルムの幅方向)に対して平行であって、ポリマーフィルムの厚み方向Z(すなわち、ポリマーフィルム面に対して直交する方向)に対して平行な平面XZに沿ってポリマーフィルムを切断した断面をいう。断面YZとは、上記断面XZに直交する断面をいう。観察像の撮影は、観察倍率を100倍~100,000倍の範囲で調節し、各断面の厚み方向Zに存在する粒子の分散状態を確認可能な視野範囲で行う。次に、各観察像について、任意に選択した10μm×10μmの領域内に存在する粒子の外周をトレースし、画像解析装置を用いてトレース像から各粒子の表面間距離の平均値を測定する。各観察像から得られる合計20点の測定値を平均して算出される値を、粒子の「表面間距離」とする。
粒子の最大径は、200nm以下であり、80nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、20nm以下であることが特に好ましい。粒子の最大径を上記数値範囲に調節することで、屈曲された際に生じるポリマーフィルム内の応力集中を緩和し、耐屈曲性を向上させることができる。また、透明性の低下を防ぐことができる。
上記粒子の表面間距離を測定する際に得られる20枚の各観察像について、任意に選択される200個の粒子の外周をトレースし、画像解析装置を用いてトレース像から粒子の円相当径を測定することによって、円相当径の最大値を求める。各観察像から得られる合計20点の測定値を平均して算出される値を、粒子の「最大径」とする。
本開示に係るポリマーフィルムは、必要に応じて、種々の添加剤、例えば、劣化防止剤、紫外線防止剤、レターデーション(光学異方性)調節剤、無機微粒子、剥離促進剤、赤外線吸収剤等を含んでいてもよい。
本開示に係るポリマーフィルムの少なくとも一方の面の表面粗さRzは、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、40nm以下であることが特に好ましい。ポリマーフィルムの少なくとも一方の面の表面粗さRzを上記上限値以下に調節することで、ポリマーフィルム表面の凹凸に起因する破断を低減し、耐屈曲性を向上させることができる。本開示においては、ポリマーフィルムの少なくとも一方の面の表面粗さRzが上記上限値以下であることが好ましく、ポリマーフィルムの両面の表面粗さRzが上記上限値以下であることがより好ましい。
本開示に係るポリマーフィルムにおいては、耐屈曲性の観点から、曲率半径Rを1.0mm、折り曲げ角度を180°、折り曲げ回数を100,000回とする条件で折り曲げ操作を行った後の、粒子の周囲に形成される空洞の幅が、上記空洞の起点となる粒子の直径の50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、25%以下であることがさらに好ましく、20%以下であることが特に好ましい。上記折り曲げ操作には、例えば、面状体無負荷U字伸縮試験機(DLDMLH-FS、ユアサシステム機器社製)を用いることができる。
本開示において、「空洞の起点となる粒子」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて得られる観察像において、空洞に内包される粒子である。
折り曲げ角度が180℃の際に形成されるポリマーフィルムの湾曲部の頂点を通る仮想線(以下、「折り曲げ中心線」ということがある。)に沿って、上記折り曲げ操作後のポリマーフィルムを厚み方向(すなわち、ポリマーフィルム面に対して直交する方向)に切断する。得られる断面から任意に選択した10箇所を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、合計10枚の観察像を得る。観察像の撮影は、観察倍率を100倍~100,000倍の範囲で調節し、断面の厚み方向に存在する粒子の分散状態を確認可能な視野範囲で行う。次に、各観察像において、空洞の起点となる粒子を200個任意に選択する。ただし、各観察像の少なくとも1つにおいて選択される空洞の起点となる粒子の数が200個を下回る場合には、各観察像において観察される空洞の起点となる粒子の数のうち最も小さな数を、各画像において任意に選択する粒子の数とする。各観察像について、任意に選択した空洞の起点となる粒子及び上記粒子の周囲に形成される空洞の外周をトレースし、画像解析装置を用いてトレース像から粒子の円相当径の平均値及び空洞の円相当径の平均値をそれぞれ測定する。粒子の円相当径に関し、各観察像から得られる合計10点の測定値(粒子の円相当径の平均値)を平均して算出される値を、「空洞の起点となる粒子の直径」とする。また、各観察像について空洞の円相当径の平均値と粒子の円相当径の平均値との差(「空洞の円相当径の平均値」-「粒子の円相当径の平均値」)を2で除する。次いで、得られる合計10点の計算値を平均して算出される値を、「粒子の周囲に形成される空洞の幅」とする。
本開示に係るポリマーフィルムにおいては、耐屈曲性の観点から、曲率半径Rを1.0mm、折り曲げ角度を180°、折り曲げ回数を100,000回とする条件で折り曲げ操作を行った後の破断伸度は、折り曲げ操作前の破断伸度に対して80%~120%であることが好ましく、90%~120%であることがより好ましく、90%~100%であることが特に好ましい。
同一の試験片を2つ用意し、1つの試験片に対して上記条件で折り曲げ操作を行う。次に、チャック間の中心に折り曲げ中心線の位置を合わせて、引張試験機に折り曲げ操作を行った試験片を取り付ける。折り曲げ操作を行った試験片を、折り曲げ中心線に対して直交する方向に引っ張り、以下の式より破断伸度を求める。
同様の手順により、折り曲げ操作を行っていない試験片の破断伸度を求める。ただし、試験片の引張方向は、折り曲げ操作を行った試験片の引張方向と同一とする。折り曲げ操作を行っていない試験片の破断伸度を、折り曲げ操作前の破断伸度とする。
式:破断伸度(%)=100×(破断の際のチャック間距離-チャック間距離)/(チャック間距離)
本開示に係るポリマーフィルムの厚みは、5μm~100μmであることが好ましく、10μm~100μmであることがより好ましく、20μm~60μmであることが特に好ましい。ポリマーフィルムの厚みを5μm以上に調節することで、衝撃強度を向上させることができる。ポリマーフィルムの厚みを100μm以下に調節することで、屈曲された際に生じるポリマーフィルム内の応力集中を緩和し、耐屈曲性を向上させることができる。
触式膜厚測定機(Mitutoyo ID-C112X)を用い、ポリマーフィルム面に対して平行な任意の方向X(例えば、ポリマーフィルムの幅方向)に50mm間隔で厚みを測定する。この操作を、ポリマーフィルム面において上記方向Xに直交する方向Yに沿って1m間隔で合計5セット行い、測定される値の平均値を、ポリマーフィルムの「厚み」とする。
本開示に係るポリマーフィルムのガラス転移温度は、130℃以上であることが好ましく、140℃以上であることがより好ましく、143℃以上であることが特に好ましい。ポリマーフィルムのガラス転移温度を上記下限値以上に調節することで、耐熱性を向上させ、また、光学用ポリマーフィルムとして用いる場合に好適な製造適性を得ることができる。
本開示に係るポリマーフィルムのヘイズは、透明性の観点から、2%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることが特に好ましい。ヘイズメーターを用い、JIS K7136:2000に準ずる方法により測定することができる。
本開示に係るポリマーフィルムは、透明性、耐熱性、及び耐屈曲性に優れるため、光学用途等の種々の用途に適用することができる。上記の中でも、本開示に係るポリマーフィルムは、光学用ポリマーフィルムとして好適に用いることができる。
本開示に係るポリマーフィルムの製造方法としては、制限されず、例えば、以下の製造方法を適用することができる。
W:供給部におけるスクリュフライト間隔(mm)
Hf:供給部における溝深さ(mm)
D:シリンダーの内径(mm)
Ψ:供給部におけるスクリュフライト角(°)
Q:溶融樹脂の押出量(kg/h)
ρ:原料樹脂の比重(g/cm3)
N:1分間当たりのスクリュ回転数(rpm)
圧縮比:供給部におけるスクリュフライト1ピッチあたりの容積/計量部におけるスクリュフライト1ピッチあたりの容積
図1は、本開示のポリマーフィルムの製造方法を実施するための製膜装置の全体構成の一例を概略的に示している。
図1に示す製膜装置10は、原料樹脂が投入されるホッパー12と、ホッパー12から供給された原料樹脂を溶融する押出機14と、溶融した原料樹脂(以下、「溶融樹脂」ということがある。)の押出量を安定化させるギアポンプ16と、溶融樹脂を濾過するフィルター18と、溶融樹脂をフィルム状に溶融押出するダイ20と、ダイ20から吐出された高温の樹脂を多段冷却する複数の冷却ロール(以下、「キャスティングロール」ということがある。)22、24及び26と、ダイ20から吐出されたフィルム状の樹脂100を第1冷却ロール22との間で挟み込む接触ロール(以下、「タッチロール」ということがある。)28と、を備えている。なお、図示されていないが、製膜装置10には、通常、最後の第3冷却ロール26からフィルム状の樹脂100を剥離する剥離ロールと、冷却されたフィルムを巻き取る巻取機と、が設けられる。
図2に示すように、押出機14は、シリンダー44と、シリンダー内に配置されたスクリュ50と、を備えている。
シリンダー44は、原料樹脂が供給される供給口52及び溶融樹脂が押出される押出口54を有する。シリンダー44内は、スクリュ軸46に沿って、供給口52側から順に、供給口52から供給された原料樹脂を予熱しながら輸送する供給部(図2においてAで示す領域)と、原料樹脂を圧縮しながら混練して溶融する圧縮部(図2においてBで示す領域)と、溶融された原料樹脂を計量し、押出量を安定化する計量部(図2においてCで示す領域)と、を有する。また、図2に示すシリンダー44の供給口52には、図1に示すホッパー12が取り付けられている。
原料樹脂の形状は、ホッパーに投入可能であり、押出機で溶融可能であれば特に限定されず、フレークであってもよく、ペレットであってもよい。原料樹脂は、必要に応じて、後述する他の添加剤をさらに含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、劣化防止剤、紫外線防止剤、レターデーション(光学異方性)調節剤、無機微粒子、剥離促進剤、赤外線吸収剤等が挙げられる。添加剤は、固体でもよく、油状物でもよい。上記添加剤は、第1の樹脂及び第2の樹脂から選択される少なくとも一方の樹脂を含むマスターペレット中に混合してもよい。添加剤が流動性を有する油状物等である場合には、そのまま、押出し機に投入し、押出し機中で第1の樹脂及び第2の樹脂と混合すればよい。添加剤をマスターペレット中に混合する方法としては、国際公開第2017/126572号の段落0043~0047等を参照することができる。
原料樹脂をホッパー12に投入し、シリンダー44の供給口52からシリンダー44内に供給する。シリンダー44に供給する原料樹脂の熱酸化を抑制する観点から、供給口52における酸素濃度は低いことが好ましく、具体的には体積基準で0.1%以下であることが好ましい。供給口52における酸素濃度を低くする方法としては、原料樹脂を、真空ホッパーを通じて供給口52からシリンダー44内に供給する方法、シリンダー44の供給口52に窒素ガスを供給する方法等が挙げられる。供給口52における酸素濃度は、供給口52に配管(図示せず)を設けて酸素濃度計(図示せず)を接続することによって測定することができる。
供給口52からシリンダー44内に供給された原料樹脂は、スクリュ50の回転により、供給部Aにおいて予熱されながら押出口54に向けて輸送される。
上記の供給部樹脂輸送効率の算出式において、Wは、シリンダー内の供給部におけるスクリュ50のフライト間隔(mm)を示している。スクリュフライト間隔Wは、供給部樹脂輸送効率を0.75以上1.0以下に制御して溶融押出しを実施する観点から、10mm~300mmが好ましく、20mm~250mmがより好ましい。
上記の供給部樹脂輸送効率の算出式において、Nは、スクリュ回転数(rpm:回転/分)を示している。本開示に係るポリマーフィルムの製造方法では、供給部において原料樹脂が密な状態でスクリュを回転させることになるため、通常は、高いトルク、かつ、比較的低速でスクリュを回転させることになる。そのような観点から、スクリュ回転数(rpm)は、3rpm~150rpmが好ましく、5rpm~100rpmがより好ましい。
ポリマーフィルムの厚み精度を向上させるために、押出機14から押出される溶融樹脂の吐出量の変動を低く抑えることが重要である。吐出量の変動をより低減させるという観点からは、押出機14とダイ20との間にギアポンプ16を設けて、ギアポンプ16から一定量の溶融樹脂を供給することが好ましい。ギアポンプ16には、ドライブギアとドリブンギアとからなる一対のギアが互いに噛み合った状態で収容されている。ドライブギアを駆動して両ギアを噛み合い回転させることにより、ハウジングに形成されている吸引口から溶融樹脂をキャビティ内に吸引し、同じくハウジングに形成されている吐出口から溶融樹脂を一定量吐出する。押出機の先端部分の樹脂圧力に若干の変動があっても、ギアポンプを用いることにより、製膜装置下流の樹脂圧力の変動を小さくできるため、厚み変動を改善できる。ギアポンプを用いることにより、ダイ部分の樹脂圧力の変動幅を±1%以内にすることが可能である。
より高い精度で異物の混入を防ぐために、ギアポンプ16の後にフィルター18を設けることが好ましい。フィルター18としては、いわゆるリーフ型ディスクフィルターを組み込んだ濾過装置が好ましい。押出機から吐出される原料樹脂の濾過は、濾過部を1箇所に設けて行う濾過であってもよく、また、濾過部を複数箇所に設けて行う多段濾過でもよい。フィルター濾材の濾過精度は高い方が好ましい。濾材の耐圧を考慮したり、濾材の目詰まりによる濾圧上昇を抑制したりするという観点から、濾過精度は15μm~3μmが好ましく、10μm~3μmがより好ましい。特に最終的に異物濾過を行うリーフ型ディスクフィルター装置を使用する場合には、品質の上で濾過精度の高い濾材を使用することが好ましく、耐圧、フィルター寿命の適性を確保するために、濾過部に装填する濾材の枚数にて耐圧、フィルターの寿命等を調整することが可能である。
押出機14、ギアポンプ16及びフィルター18を経てダイ20に連続的に送られた溶融樹脂は、ダイ20からフィルム状に溶融押出しされる。
上記条件にて、ダイよりフィルム状に押し出された溶融樹脂をキャスティングロール上において冷却固化し、ポリマーフィルムを得る。なお、溶融樹脂がキャスティングロールに接触する前に、溶融押出された溶融樹脂を遠赤外線ヒーターで加熱することにより、ドラム上でレベリング効果が発現して、溶融押出された溶融樹脂の表面がより均一となり、得られるポリマーフィルムの膜厚分布を小さくし、ダイスジの発生を抑制することができる。
冷却されたポリマーフィルム(未延伸フィルム)をキャスティングロールから剥ぎ取った後、ニップロール(不図示)を経て巻き取る。
製膜して得られるポリマーフィルムは、目的に応じて延伸を行うことができる。延伸を行う場合、ポリマーフィルムをそのまま延伸するオンライン延伸を施してもよく、一度ポリマーフィルムを巻き取った後、再度ポリマーフィルムを送り出して延伸するオフライン延伸を施してもよい。
ポリマーフィルムの延伸後に緩和処理を行うことでポリマーフィルムの寸法安定性を改良できる。緩和処理は、延伸フィルムの縦方向及び横方向のうち少なくとも一方の寸法を、例えば、1%~8%程度緩和した状態で、熱固定する熱緩和処理が好ましい。熱緩和処理における温度は、ポリマーフィルムに用いられる樹脂の種類により適宜選択されるが、一般的には、130℃~240℃であることが好ましい。熱緩和は、縦延伸後若しくは横延伸後、又は縦延伸後及び横延伸後に行うことが好ましく、横延伸後に行うことがより好ましい。緩和処理は、ポリマーフィルムの延伸後に連続してオンラインで行ってもよく、延伸後、巻き取ったポリマーフィルムに対し、オフラインで行ってもよい。
本開示に係る表示装置は、本開示に係るポリマーフィルムを有する。本開示に係るポリマーフィルムは、透明性、耐熱性、及び耐屈曲性に優れるため、種々の表示装置において、例えば光学用ポリマーフィルムとして好適に用いることができる。表示装置としては、例えば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、液晶表示装置等が挙げられる。
以下の手順に準じて、実施例1~18及び比較例1~10のポリマーフィルムをそれぞれ製造した。なお、以下の「製膜」においては、供給部樹脂輸送効率を適宜調節してポリマーフィルムを製膜した。供給部樹脂輸送効率の計算に用いる原料樹脂の密度ρとしては、表1に記載の「フィルム全体の比重」の値を使用した。
表1の「マトリクス材料」の欄に記載の樹脂(以下、単に「マトリクス材料」ということがある。)を、100℃で5時間予備乾燥した。なお、実施例1~18で用いたマトリックス材料が第1の樹脂であり、実施例1~18で用いたフィラー材料が第2の樹脂である。
表1の「フィラー材料」の欄に記載の樹脂(以下、単に「フィラー材料」ということがある。)を、80℃で5時間予備乾燥した。
押出機に、マトリクス材料、及びフィラー材料を投入し、次いで、285℃で溶融押出することによって、フィラー材料を30質量%含むマスターペレットを得た。
マトリクス材料と、上記の方法で得たマスターペレットとを、100℃で5時間予備乾燥した。
予備乾燥後、押出機に設けたホッパーに、マトリクス材料、及びマスターペレットを投入し、押出機により285℃で溶融した。なお、上記温度は、圧縮部以降のシリンダーの温度である。また、マトリクス材料、及びマスターペレットの投入量をそれぞれ調節することで、ポリマーフィルムに含まれるフィラー材料の含有量を調節した。
押出機から押出され、配管を通じてギアポンプに輸送された溶融樹脂は、さらにギアポンプから送り出され、濾過精度5μmのリーフ型ディスクフィルターにて濾過された。
濾過後、スリット間隔1.0mm、285℃のコートハンガーダイから、137℃に設定したキャスティングロール1上に溶融樹脂を押出し、これにタッチロール(金属製、133℃に設定)を接触させた。次いで、キャスティングロール2、キャスティングロール3を通過させることで、実施例1~18及び比較例1~10のポリマーフィルムをそれぞれ得た。
実施例1~18及び比較例1~10の各ポリマーフィルムについて、以下の測定を行った。測定結果をまとめて表1に示す。
まず、ポリマーフィルムの幅方向の中心領域から、試験片1cm3を採取した。試験片をメチルイソブチルケトン(MIBK)(1000cm3)に浸漬し、次いで、溶け残ったフィラー材料を濾過によって収集した。得られたフィラー材料の体積を試験片の体積1cm3で除して得られる値に100を乗じた。得られた値をポリマーフィルム中のフィラー材料の含有量とした。
ポリマーフィルム中のフィラー材料の状態を、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。観察像において、フィラー材料の粒子の外周を確認できる場合を「分散」とし、フィラー材料の粒子の外周を確認できない場合を「相溶」とした。
ポリマーフィルムにおいて任意に選択した10箇所における断面XZ及び断面YZをそれぞれ、走査型電子顕微鏡を用いて観察し、合計20枚の観察像を得た。断面XZとは、ポリマーフィルムの幅方向Xに対して平行であって、ポリマーフィルムの厚み方向Zに対して平行な平面XZに沿ってポリマーフィルムを切断した断面をいう。断面YZとは、上記断面XZに直交する断面をいう。観察像の撮影は、観察倍率を100~100,000倍の範囲で調節し、各断面の厚み方向Zに存在する粒子の分散状態を確認可能な視野範囲で行った。次に、各観察像について、任意に選択した10μm×10μmの領域内に存在する粒子の外周をトレースし、画像解析装置を用いてトレース像から各粒子の表面間距離の平均値を測定した。各観察像から得られる合計20点の測定値を平均して算出される値を、粒子の表面間距離とした。
上記粒子の表面間距離を測定する際に得られた20枚の各観察像について、任意に選択される200個の粒子の外周をトレースし、画像解析装置を用いてトレース像から粒子の円相当径を測定することによって、円相当径の最大値を求めた。各観察像から得られる合計20点の測定値を平均して算出される値を、粒子の最大径とした。
ポリマーフィルムの幅方向の中心領域から採取した試験片を用いて、示差走査熱量計(DSC-60A、株式会社島津製作所製)を用いてガラス転移温度(Tg)を測定した。
触式膜厚測定機(Mitutoyo ID-C112X)を用い、ポリマーフィルムの幅方向に50mm間隔で厚みを測定した。この操作を、ポリマーフィルム面において長さ方向に沿って1m間隔で合計5セット行い、測定される値の平均値を、ポリマーフィルムの厚みとした。測定結果を表1に示す。
ポリマーフィルムの表面粗さRzを、JIS B 0601:2013に準じて、触針式粗さ計を用いて測定した。具体的には、ポリマーフィルムの中心領域の10cm×10cmの範囲において、任意に選択した5箇所で表面粗さRzを測定した。合計5点の測定値を平均して算出される値を、ポリマーフィルムの表面粗さRzとした。測定結果を表1に示す。
ポリマーフィルムについて、折り曲げ操作前の破断伸度に対する、折り曲げ操作を行った後の破断伸度の比率(%)を、以下の方法にしたがって測定した。
長さ75mm、幅20mmの試験片を2枚用意した。一方の試験片に対して、曲率半径Rを1.0mm、折り曲げ角度を180°、折り曲げ回数を100,000回とする条件で折り曲げ操作を行った。折り曲げ操作には、面状体無負荷U字伸縮試験機(DLDMLH-FS、ユアサシステム機器社製)を用いた。
チャック間の中心に折り曲げ中心線の位置を合わせて、引張試験機(東洋精機製ストログラフ)に折り曲げ操作を行った試験片を取り付けた。折り曲げ操作を行った試験片を、折り曲げ中心線に対して直交する方向に引っ張り、以下の式より破断伸度を求めた。同様の手順により、折り曲げ操作を行っていない試験片の破断伸度を求めた。折り曲げ操作を行っていない試験片の破断伸度を、折り曲げ操作を行う前の破断伸度とした。得られた測定値から、折り曲げ操作前の破断伸度に対する、折り曲げ操作を行った後の破断伸度の比率(%)を求めた。測定結果を表1に示す。
式:破断伸度(%)=100×(破断の際のチャック間距離-チャック間距離)/(チャック間距離)
ポリマーフィルムについて、折り曲げ操作を行った後の、空洞の起点となる粒子の直径に対する、粒子の周囲に形成される空洞の幅の比率(%)を、以下の方法にしたがって測定した。
長さ75mm、幅20mmの試験片を1枚用意した。試験片に対して、曲率半径Rを1.0mm、折り曲げ角度を180°、折り曲げ回数を100,000回とする条件で折り曲げ操作を行った。折り曲げ操作には、面状体無負荷U字伸縮試験機(DLDMLH-FS、ユアサシステム機器社製)を用いた。
折り曲げ中心線に沿って、折り曲げ操作後の試験片を厚み方向に切断する。得られる断面から任意に選択した10箇所を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、合計10枚の観察像を得た。観察像の撮影は、観察倍率を100倍~100,000倍の範囲で調節し、断面の厚み方向に存在する粒子の分散状態を確認可能な視野範囲で行った。次に、各観察像において、空洞の起点となる粒子を200個任意に選択した。各観察像について、任意に選択した空洞の起点となる粒子及び上記粒子の周囲に形成される空洞の外周をトレースし、画像解析装置を用いてトレース像から粒子の円相当径の平均値及び空洞の円相当径の平均値をそれぞれ測定した。粒子の円相当径に関し、各観察像から得られる合計10点の測定値(粒子の円相当径の平均値)を平均して算出される値を、「空洞の起点となる粒子の直径」とした。また、各観察像について空洞の円相当径の平均値と粒子の円相当径の平均値との差(「空洞の円相当径の平均値」-「粒子の円相当径の平均値」)を2で除し、次いで、得られる合計10点の計算値を平均して算出される値を、「粒子の周囲に形成される空洞の幅」とした。
以上の手順によって得られた「空洞の起点となる粒子の直径」及び「粒子の周囲に形成される空洞の幅」に基づいて、折り曲げ操作を行った後の、空洞の起点となる粒子の直径に対する、粒子の周囲に形成される空洞の幅の比率(%)を測定した。測定結果を表1に示す。
実施例1~18及び比較例1~10の各ポリマーフィルムについて、以下の評価を行った。評価結果をまとめて表1に示す。
表1に記載の「破断伸度(折曲後)/破断伸度(折曲前)(%)」に基づいて、以下の基準にしたがって、各ポリマーフィルムの耐屈曲性を評価した。なお、下記基準のA、B、及びCが実用範囲である。
(基準)
A:折り曲げ操作前の破断伸度に対する、折り曲げ操作を行った後の破断伸度の比率(%)≧90%
B:80%≦折り曲げ操作前の破断伸度に対する、折り曲げ操作を行った後の破断伸度の比率(%)<90%
C:70%≦折り曲げ操作前の破断伸度に対する、折り曲げ操作を行った後の破断伸度の比率(%)<80%
D:折り曲げ操作前の破断伸度に対する、折り曲げ操作を行った後の破断伸度の比率(%)<70%
ヘイズメーター(HZ-V3、スガ試験機株式会社製)を用いて、各ポリマーフィルムのヘイズを測定した。下記基準にしたがって、各ポリマーフィルムの透明性を評価した。なお、下記基準のA、B、及びCが実用範囲である。
(基準)
A:0.5%>ポリマーフィルムのヘイズ(%)
B:0.5%≦ポリマーフィルムのヘイズ(%)<1%
C:1%≦ポリマーフィルムのヘイズ(%)<2%
D:ポリマーフィルムのヘイズ(%)≧2%
表1に記載の「ポリマーフィルムのTg」及び「マトリックス材料のTg」に基づいて、下記基準にしたがって、各ポリマーフィルムの耐熱性(耐熱性低下率)を評価した。なお、下記基準のA、B、及びCが実用範囲である。
(基準)
A:0℃≦[ポリマーフィルムのTg(℃)]-[マトリックス材料のTg(℃)]<4℃
B:4℃≦[ポリマーフィルムのTg(℃)]-[マトリックス材料のTg(℃)]<7℃
C:7℃≦[ポリマーフィルムのTg(℃)]-[マトリックス材料のTg(℃)]<10℃
D:10℃≦[ポリマーフィルムのTg(℃)]-[マトリックス材料のTg(℃)]
COP:環状オレフィンポリマー(ARTON(登録商標)、JSR株式会社製、ガラス転移温度:151℃)
PC:ポリカーボネート(SDポリカ(登録商標)、住化ポリカーボネート株式会社製、ガラス転移温度:148℃)
PMMA:ポリメタクリル酸メチル(デルペット(登録商標)、旭化成株式会社製、ガラス転移温度:91℃)
PS:ポリスチレン(GPPS、PSジャパン株式会社製、ガラス転移温度:102℃)
PMP:ポリメチルペンテン(TPX(登録商標)、三井化学株式会社製、ガラス転移温度:25℃)
PLA:ポリ乳酸(テラマック(登録商標)、ユニチカ製、ガラス転移温度:64℃)
共重合COP:特許第3327481号公報の段落0171~0179の記載を参考に合成した共重合体(ガラス転移温度:151℃)
PVC:ポリ塩化ビニル(信越PVC、信越化学工業株式会社製、ガラス転移温度Tg:81℃)
PP:ポリプロピレン(ノバテック(登録商標)PP、日本ポリプロ株式会社製、ガラス転移温度:0℃)
SEBS1:スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(タフテック(登録商標)、旭化成株式会社製、ガラス転移温度:-13℃)
SEBS2:スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(タフテック(登録商標)、旭化成株式会社製、ガラス転移温度:9℃)
SEBS3:スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(タフテック(登録商標)、旭化成株式会社製、ガラス転移温度:19℃)
SEBS4:スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(タフテック(登録商標)、旭化成株式会社製、ガラス転移温度:18℃)
SEBS5:スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(タフテック(登録商標)、旭化成株式会社製、ガラス転移温度:-35℃)
MBS:メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(THポリマー、デンカ株式会社製、ガラス転移温度:-50℃)
Claims (12)
- 第1の樹脂を含む樹脂相と、前記第1の樹脂を含む樹脂相中に分散され、ガラス転移温度が30℃以下の第2の樹脂を含む複数の粒子と、を含む層を有し、
前記第1の樹脂は、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリメチルペンテン、及びポリ乳酸からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であって、
前記第2の樹脂が、スチレン骨格を有する単量体由来の構成単位を有する共重合体であって、
前記粒子の表面間距離が、1nm~100nmであって、
前記粒子の最大径が、200nm以下である、
ポリマーフィルム。 - 少なくとも一方の面の表面粗さRzが、100nm以下である請求項1に記載のポリマーフィルム。
- 曲率半径Rを1.0mm、折り曲げ角度を180°、折り曲げ回数を100,000回とする条件で折り曲げ操作を行った後の、前記粒子の周囲に形成される空洞の幅が、前記空洞の起点となる前記粒子の直径の50%以下である請求項1又は請求項2に記載のポリマーフィルム。
- 曲率半径Rを1.0mm、折り曲げ角度を180°、折り曲げ回数を100,000回とする条件で折り曲げ操作を行った後の破断伸度が、前記折り曲げ操作前の破断伸度に対して80%~120%である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
- 前記第2の樹脂の含有量が、ポリマーフィルムの全体積に対して、1体積%~20体積%である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
- 前記第1の樹脂が、環状ポリオレフィンである請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
- 前記粒子の表面間距離が、1nm~40nmである請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
- 前記粒子の最大径が、80nm以下である請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
- 厚みが5μm~100μmである請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
- 前記ポリマーフィルムのガラス転移温度TgAと前記第2の樹脂のガラス転移温度Tg2との関係が、TgA-Tg2>30℃を満たす請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
- 光学用ポリマーフィルムである、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
- 請求項1~請求項11のいずれか1項に記載のポリマーフィルムを有する表示装置。
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