JP7015226B2 - スチレン複合ポリエチレン系樹脂発泡粒子、その製造方法及び発泡成形体 - Google Patents
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特許第6298624号公報(特許文献3)及び特許第5453923号公報(特許文献4)では、有機系発泡剤に代えて、環境負荷の少ない無機ガスを用いたスチレン複合ポリエチレン系樹脂発泡粒子の製造方法が記載されている。
そのため、十分な強度や外観美麗性を有する発泡成形体を与え得るスチレン複合ポリエチレン系樹脂発泡粒子の提供が望まれていた。
(i)前記スチレン複合ポリエチレン系樹脂発泡粒子の約50~200倍の中心付近の断面写真により前記中心付近の平均気泡径を求め、約20倍の断面写真により粒子全体の大気泡を確認した際に、前記中心付近の平均気泡径の3倍以上の気泡径を有する大気泡の存在数の上限が2個であり、
(ii)揮発性成分の含有量の上限が1質量%である、
構成を有し、
前記ポリエチレン系樹脂が、121~130℃の融点及び1.0~5.0g/10分のメルトフローレートを有し、
前記ポリスチレン系樹脂が、前記ポリエチレン系樹脂100質量部に対して、120~1000質量部含まれ、
前記発泡粒子は、中心付近の平均気泡径が100~400μmである
スチレン複合ポリエチレン系樹脂発泡粒子が提供される。
スチレン複合ポリエチレン系樹脂粒子に無機ガスを圧入することで発泡性粒子を得る工程と、前記発泡性粒子を水蒸気で発泡させることでスチレン複合ポリエチレン系樹脂発泡粒子を得る工程とを含むことを特徴とするスチレン複合ポリエチレン系樹脂発泡粒子の製造方法が提供される。
(i)前記スチレン複合ポリエチレン系樹脂発泡粒子の約50~200倍の中心付近の断面写真により前記中心付近の平均気泡径を求め、約20倍の断面写真により粒子全体の大気泡を確認した際に、前記中心付近の平均気泡径の3倍以上の気泡径を有する大気泡の存在数の上限が2個であり、
(ii)揮発性成分の含有量の上限が1質量%である、
構成を有し、
前記ポリエチレン系樹脂が、121~130℃の融点及び1.0~5.0g/10分のメルトフローレートを有し、
前記ポリスチレン系樹脂が、前記ポリエチレン系樹脂100質量部に対して、120~1000質量部含まれ、
前記発泡成形体は、中心付近の平均気泡径が100~400μmである
発泡成形体が提供される。
(1)ポリエチレン系樹脂が、121~130℃の融点を有する。
(2)中心付近の平均気泡径が、100~400μmの範囲内である。
(3)ポリスチレン系樹脂が、ポリエチレン系樹脂100質量部に対して、120~1000質量部含まれる。
スチレン複合ポリエチレン系樹脂発泡粒子(発泡粒子)は、ポリエチレン系樹脂とポリスチレン系樹脂とを基材樹脂として含む。
ポリエチレン系樹脂としては、特に限定されず、公知の樹脂が使用できる。また、ポリエチレン系樹脂は、架橋していてもよい。
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-プロピレンランダム共重合体、エチレン-プロピレン-ブテンランダム共重合体、これら重合体の架橋体等が挙げられる。
ポリエチレン系樹脂は、0.910~0.940g/cm3の密度を有することが好ましい。密度が0.910g/cm3未満の場合、スチレン含浸重合時に樹脂の変形がおこりやすくなることがある。0.940g/cm3より大きい場合、成形性が悪化することがある。密度は、0.910~0.920g/cm3であることがより好ましい。
ポリエチレン系樹脂は、10g/10分以下のメルトフローレート(以降、「MFR」と略す場合がある)を有することが好ましい。MFRが10g/10分より大きい場合、発泡成形体の機械的強度を確保しづらくなる傾向がある。MFRは、1.0~5.0g/10分であることがより好ましい。
ポリスチレン系樹脂としては、スチレン系単量体を主成分とする樹脂であれば特に限定されず、スチレン又はスチレン誘導体の単独又は共重合体が挙げられる。
スチレン誘導体としては、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、t-ブチルスチレン、クロルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。これらのスチレン系単量体は、単独で用いられても、併用されてもよい。
ビニル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル等のアクリル酸の炭素数が1~10のアルキルエステル等を用いることができる。また、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル等のメタクリル酸の炭素数が1~10のアルキルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有不飽和化合物等、o-ジビニルベンゼン、m-ジビニルベンゼン、p-ジビニルベンゼン等のジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能性単量体等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸の炭素数が1~10のアルキルエステルがより好ましく、アクリル酸ブチルが特に好ましい。なお、単量体は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、アクリル酸ブチルの含有量は、発泡粒子100質量部に対して、0.5~10質量部であることが好ましい。アクリル酸ブチルの含有量が上記範囲内であることにより、発泡性の良好な発泡粒子を得ることができる。含有量は、0.5~8質量部がより好ましく、0.5~5質量部が更に好ましい。
ポリスチレン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂100質量部に対して、120~1000質量部含まれることが好ましい。ポリスチレン系樹脂の含有量が120質量部未満の場合、十分な圧縮強度が得られにくいことがある。1000質量部より多い場合、成形加工性が低下することがある。ポリスチレン系樹脂の含有量は、150~800質量部であることがより好ましい。なお、ポリスチレン系樹脂の含有量は、発泡粒子製造時のスチレン系単量体の添加量と実質的に同じである。
発泡粒子には、物性を損なわない範囲内において、可塑剤、結合防止剤、充填剤、滑剤、着色剤、融着促進剤、展着剤、難燃剤、難燃助剤及び帯電防止剤等の添加剤を添加してもよい。
可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリントリステアレート、グリセリンジアセトモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ジイソブチルアジペート等のアジピン酸エステル、ヤシ油等の可塑剤が挙げられる。
発泡粒子中における可塑剤の含有量は、0.1~3.0質量%が好ましい。
充填剤としては、合成又は天然に産出される二酸化ケイ素等が挙げられる。
滑剤としては、パラフィンワックス、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
展着剤としては、ポリブテン、ポリエチレングリコール、シリコンオイル等が挙げられる。
難燃助剤としては、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、3,4-ジメチル-3,4-ジフェニルヘキサン、ジクミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられる。
発泡粒子中における難燃剤及び難燃助剤の含有量は、それぞれ1.0~5.0質量%及び0.1~2.0質量%が好ましい。
発泡粒子は、その中心付近(発泡粒子の中心点から半径方向に30%の範囲)の約50~200倍の中心付近の断面写真により中心付近の平均気泡径を求め、約20倍の断面写真により粒子全体の大気泡を確認した際に、中心付近の平均気泡径の3倍以上の気泡径を有する大気泡の存在数の上限が2個である。上限がこの個数以下であることで、気泡径の揃った発泡粒子を提供できる。上限は、1個であることが好ましく、0個であることがより好ましい。
発泡粒子の平均気泡径は、100~400μmであることが好ましい。平均気泡径が100μm未満の場合、気泡膜が薄くなり2次発泡時に気泡膜が破れ、連続気泡の割合が増え、発泡成形体としての強度劣化に繋がることがある。400μmより大きい場合、気泡膜が厚くなり2次発泡性が低下することがある。
発泡粒子の形状は特に限定されない。例えば、球状、略球状、円柱状等が挙げられる。この内、できるだけ球状に近いことが好ましい。即ち、発泡粒子の短径と長径との比ができるだけ1に近いことが好ましい。
発泡粒子は、1~20mmの平均粒子径を有していることが好ましい。
基材樹脂の質量平均分子量:Mwは、250,000~450,000程度である。質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定できる。
発泡粒子は、特に限定されないが、スチレン複合ポリエチレン系樹脂粒子(複合樹脂粒子)に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得、発泡性粒子を発泡させて発泡粒子を得ることにより製造できる。
また、複合樹脂粒子は、特に限定されないが、例えば、シード重合法により製造できる。シード重合法により製造した複合樹脂粒子は、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子(改質樹脂粒子)ともいう。
なお、発泡粒子の欄で挙げた可塑剤等の他の成分や、気泡調整剤、架橋剤は、重合時、発泡剤含浸時に添加するのみならず、予めポリエチレン系樹脂粒子に混ぜ込むことで使用することもできる。
架橋剤としては、2,2-ジ-t-ブチルパーオキシブタン、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチルパーオキシヘキサン等の有機過酸化物等が挙げられる。
シード重合法は、水性懸濁液下で行うことができる。水性懸濁液とは、撹拌等を用いて、種粒子及び単量体の液滴を、水性媒体に分散させた状態を指す。水性媒体中には水溶性の界面活性剤や単量体が溶解していてもよく、水に不溶の分散剤、開始剤、架橋剤、気泡調整剤、難燃剤、可塑剤等が分散していてもよい。複合樹脂粒子/水性媒体の質量比は、1/0.6~1/3が好ましい。
シード重合法では、一般に、撹拌機を具備した容器内に仕込んだ水性懸濁液に、単量体(スチレン系単量体、及び任意にスチレン系重合体と共重合可能な単量体)を、連続的又は断続的に添加することにより、種粒子に吸収させ、吸収させた後又は吸収させつつ単量体の重合を行うことにより複合樹脂粒子を得ることができる。また、重合させた後又は重合させつつ複合樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得ることもできる。
スチレン系単量体は、これを構成する単量体を全て同時に水性懸濁液中に供給する必要はなく、単量体の全部あるいは一部を別々のタイミングで水性懸濁液中に供給してもよい。複合樹脂粒子中に添加剤を含有させる場合には、添加剤をスチレン系単量体や水性懸濁液中に添加しても、あるいは、種粒子中に含有させてもよい。
スチレン系単量体の添加速度を任意に選択することにより、複合樹脂粒子の質量平均分子量を調整することが可能である。
なお、複合樹脂粒子を製造するための単量体の量と複合樹脂粒子を構成する樹脂成分の量はほぼ同一である。
重合工程では、重合温度で長時間保持する、すなわちアニールするのが好ましい。
アニール工程に至るそれまでの工程において、種粒子に吸収させたスチレン系単量体及び重合開始剤は完全には反応を完了しておらず、複合樹脂粒子内部には未反応物も少なからず存在している。そのため、アニールせずに得た複合樹脂粒子を用いて発泡成形体を得た場合、スチレン系単量体等の低分子量の未反応物の影響により、発泡成形体の機械的物性や耐熱性の低下や揮発性の未反応物を原因とした臭気が問題となる。そこで、アニール工程を導入することによって未反応物が重合反応を起こす時間を確保し、発泡成形体の物性に影響しないように残存する未反応物を除去できる。
スチレン系単量体の含浸及び重合は、次の態様で行うことが好ましい。即ち、添加すべきスチレン系単量体の一部、例えば、ポリエチレン系樹脂粒子100質量部に対してスチレン系単量体30~150質量部を、本質的に重合が進まない温度下で添加して含浸させ、残りのスチレン系単量体を重合が進む温度下で連続添加する態様である。ここで、「本質的に重合が進まない温度」とは、使用する主たる重合開始剤(例えば、10時間半減期温度の低い側の重合開始剤)の10時間半減期温度以下の温度であることを意味する。この態様では、重合に際して、添加するスチレン系単量体の一部を本質的に重合が進まない温度下で添加、含浸させることにより、重合場であるポリエチレン系樹脂粒子の粘度を変化させることができるため、複合樹脂粒子の質量平均分子量を調整し易いという利点がある。
種粒子は、ポリエチレン系樹脂を含む。種粒子は、例えば、ポリエチレン系樹脂を押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等を用いて混合・溶融混錬後、ストランド状に押し出し、所望の粒子径でカットする方法により得ることができる。
種粒子の粒子径は、複合樹脂粒子の平均粒子径に応じて適宜調整できる。好ましい平均粒質量は0.1~3mg/粒である。平均粒質量が0.1mg/粒未満の場合、発泡剤の逸散が激しく高倍率化させにくくなることがある。3mg/粒より大きい場合、成形時の充填性が悪くなることがある。
種粒子の形状は、パウダー状、ペレット状等であることが好ましい。より具体的な形状としては、真球状、楕円球状(卵状)、円柱状、角柱状等が挙げられる。
水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、メチルアルコールやエチルアルコール等の低級アルコール)との混合媒体が挙げられる。
水性媒体には、複合樹脂粒子同士の合着の防止、スチレン系単量体の液滴及び種粒子の分散性を安定させるために分散剤を用いてもよい。このような分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリルアミド等の高分子分散剤;ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、カオリン等の難水溶性の無機系分散剤が挙げられる。これらの中でも、より安定な分散状態を維持できることがあるため、無機系分散剤が好ましい。分散剤は、重合前に添加しても、重合中に添加しても、重合前及び重合中に添加してもよい。
難水溶性の無機系分散剤を用いる場合には、分散安定性を向上させるために、アニオン性界面活性剤を併用することが好ましい。このようなアニオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
スチレン系単量体は、通常重合開始剤の存在下で重合する。重合開始剤は、通常スチレン系単量体と同時に種粒子に含浸させる。
重合開始剤としては、一般に熱可塑性重合体の製造に用いられるラジカル発生型重合開始剤を用いることができる。代表的なものとしては、例えば、過酸化ベンゾイル、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーピバレート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。これら重合開始剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤を種粒子又は種粒子から成長途上の粒子に均一に吸収させるために、重合開始剤を水性媒体中に添加するにあたって、重合開始剤を水性媒体中に予め懸濁又は乳化分散させた上で分散液中に添加するか、あるいは重合開始剤をスチレン系単量体に予め溶解させた上で水性媒体中に添加することが好ましい。
スチレン系単量体の重合においては、n-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン等のメルカプタン系の連鎖移動剤や、アクリロニトリル-スチレン系樹脂の重合に一般的に用いられる連鎖移動剤であるα-メチルスチレンダイマーを用いてもよい。
複合樹脂粒子同士の合着防止の為に、水溶性の重合禁止剤を使用してもよい。水溶性の重合禁止剤としては、例えば、亜硝酸ナトリウム、3,5-ジブチル-4-ヒドロキシトルエン(BHT)等が挙げられる。水溶性の重合禁止剤は、水中濃度として150ppm以下となるように使用することが好ましい。重合禁止剤の水中濃度が150ppmより多い場合、重合阻害を起こすことがある。
複合樹脂粒子は、1.0~2.0mmの平均粒子径を有することが好ましい。平均粒子径は、1.2~1.6mmであることがより好ましい。
発泡性粒子は、複合樹脂粒子と、発泡剤としての無機ガスとを含み、公知の方法により、複合樹脂粒子に発泡剤を含浸させることにより製造できる。
発泡剤としては、従来からポリスチレン系樹脂の発泡に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、空気、窒素、炭酸ガス、水等の無機ガスが挙げられる。これらの発泡剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これら発泡剤の中でも、炭酸ガスが、発泡性とセルの安定性がよいため、特に好ましい。
複合樹脂粒子に発泡剤を含浸する方法としては、複合樹脂粒子を水系に分散させ撹拌させながら発泡剤を圧入することで含浸させる湿式含浸法や、密閉可能な容器に樹脂粒子を投入し、発泡剤を圧入して含浸させる実質的に水を使用しない乾式含浸法(気相含浸法)等が挙げられる。また、耐圧容器中で複合樹脂粒子を水性分散媒に分散させ、耐圧容器内に発泡剤を入れて複合系樹脂粒子の軟化点以上の温度に加熱し、発泡剤の蒸気圧以上の加圧下で複合樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、耐圧容器内の温度及び圧力を一定に保ちながら複合樹脂粒子と水性分散媒との混合物を耐圧容器内よりも低圧域に放出する、いわゆる除圧発泡法も挙げられる。これら方法の内、水を使用せずに含浸できる乾式含浸法が好ましい。複合樹脂粒子に発泡剤を含浸させる際の含浸圧、含浸時間及び含浸温度は特に限定されない。
含浸を効率的に行い、より一層良好な発泡粒子及び発泡成形体を得る観点からは、含浸圧は0.1~4.0MPa(大気圧基準のゲージ圧)であることが好ましい。
含浸温度は、0~60℃であることが好ましい。0℃未満の場合、所望の時間内に十分な含浸量を確保できないため、十分な発泡力(1次発泡力)が得られ難いことがある。60℃より高い場合、生産性が悪くなることがある。より好ましい含浸温度は、5~50℃である。
発泡性粒子を発泡させて発泡粒子を得る方法としては、発泡性粒子をスチーム(水蒸気)等により加熱して発泡させる方法が好適に使用される。発泡させるための発泡機には密閉耐圧の発泡容器を使用することが好ましい。また、スチームの圧力は0.004~0.2MPa(ゲージ圧)であることが好ましく、0.01~0.15MPaであることがより好ましい。発泡時間は所望の発泡倍数を得るのに必要な時間であればよい。好ましい発泡時間は、5~180秒である。180秒を超えると発泡粒子の収縮が始まることがある。
発泡においては、必要に応じて発泡する際にスチームと同時に空気を導入してもよい。
発泡粒子作製時、所望の発泡倍率まで到達しなかった場合、未到達発泡粒子を密閉容器内で空気により加圧することにより、未到達発泡粒子に内圧を付加し、その後に水蒸気等により加熱することにより、更に発泡(二段発泡)させることで所望の発泡倍率に到達させてもよい。
発泡粒子は、無機ガス(例えば、炭酸ガス等)による発泡においても発泡性がよく、生産工程上安全性が高い。また、成形性に優れ、発泡成形体は十分な強度を有する。
また、発泡粒子は、炭化水素系発泡剤を使用しない為、揮発性成分を1質量%以下とし得る。
発泡成形体は、ポリエチレン系樹脂とポリスチレン系樹脂とを基材樹脂として含む複数の発泡粒子の融着体から構成される。また、発泡粒子は、
(i)スチレン複合ポリエチレン系樹脂発泡粒子の中心付近の約20倍の断面写真約50~200倍の中心付近の断面写真により中心付近の平均気泡径を求め、約20倍の断面写真により粒子全体の大気泡を確認した際に、中心付近の平均気泡径の3倍以上の気泡径を有する大気泡の存在数の上限が2個であり、
(ii)揮発性成分の含有量の上限が1質量%である、
構成を有している。
発泡成形体を構成する発泡粒子は、上記本発明の発泡粒子である。複数の発泡粒子の融着体から構成される発泡成形体は、複雑な形状の製品を提供できるという利点を有する。
上記本発明の発泡粒子と同様に、
(i)発泡粒子の気泡径が揃っているので、機械的強度のバラツキがなく、外観の良好な発泡成形体を提供できる
(ii)揮発性成分による安全性(発泡成形体の燃焼速度の抑制)や環境面に与える課題を解消できる発泡成形体を提供できる
(iii)発泡粒子中の揮発性成分の含有量が少ないため、成形時の面圧が過剰に上昇しないことから、冷却時間が短縮できるため、成形サイクルを短縮できる
という効果を奏する。
水蒸気の圧力は、0.02~0.2MPa(ゲージ圧)であることが好ましい。また、加熱時間は、10~90秒であることが好ましく、20~80秒であることがより好ましい。
実施例及び比較例における各種値の測定法を下記する。
融点は、JIS K7122:1987「プラスチックの転移熱測定方法」に記載の方法により測定した。
すなわち、示差走査熱量計装置DSC6220型(エスアイアイナノテクノロジー社製)を用い、アルミニウム製測定容器の底にすきまのないよう試料を約6mg充てんした。次いで、窒素ガス流量20mL/minのもと、30℃から-40℃まで降温した後10分間保持し、-40℃から220℃まで昇温(1st Heating)、10分間保持後220℃から-40℃まで降温(Cooling)、10分間保持後-40℃から220℃まで昇温(2nd Heating)した時のDSC曲線を得た。なお、全ての昇温・降温は速度10℃/minで行い、基準物質としてアルミナを用いた。
装置付属の解析ソフトを用いて、2nd Heating過程にみられる融解ピークのトップの温度を読みとった値を融点とした。融解ピークが2つ以上ある場合、最も低い側を融点(℃)とした。
JIS K7196:1991「熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法」記載の方法に準拠し測定した。
すなわち、試料を180℃で5分間熱プレスして、厚み1mm、直径10mmの円盤プレート状試験片を作製した。熱・応力・歪み測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、商品名「EXSTRAR TMA/SS6100」)を用い、窒素雰囲気下で針入試験モード(針の先端 φ1mm、石英製プローブ)、荷重500mNで、試験片に針を当てて、30℃から昇温速度5℃/分で温度を上げていきTMA曲線を得た。得られたTMA曲線を装置付属の解析ソフトで石英係数設定による補正を行い、TMA曲線の圧子(針)が侵入を始めるよりも低温側に認められる直線部分を高温側に延長し、侵入速度が最大となる部分の接線の低温側への延長との交点を針入温度とし、その針入温度をこの試料の軟化温度とした。
MFRは、JIS K6922-1:1998に準拠して、190℃、2.16Kg荷重で測定した。
密度は、JIS K7112:1999に準拠して測定した。
含浸前に複合樹脂粒子の重さ(W(1)g)を測定し、更に発泡剤含浸後に発泡性粒子の重さ(W(2)g)を測定した。そして、下記式により含浸量を求めた。
含浸量(質量部)=(W(2)-W(1))×100/W(1)
発泡粒子の嵩密度は、下記の要領で測定した。
まず、発泡粒子をメスシリンダに500cm3の目盛りまで充填した。但し、メスシリンダを水平方向から目視し、発泡粒子が一粒でも500cm3の目盛りに達していれば、充填を終了する。次に、メスシリンダ内に充填した発泡粒子の質量を小数点以下2位の有効数字で秤量し、その質量をW(g)とした。次式により発泡粒子の嵩密度を算出した。
嵩密度(g/cm3)=W÷500
嵩倍数は、次式により算出した。
嵩倍数=1/嵩密度(g/cm3)
発泡粒子の中心部平均気泡径は、次の試験方法にて測定した。
発泡粒子製造工程で得られた任意の発泡粒子を抜き取った。この発泡粒子をその表面から中心を通って切断し、切り出した断面の中心部(粒子中心点から半径方向に30%の範囲)を走査型電子顕微鏡(日本電子社製JSM-6360LV)にて約50~200倍に拡大して撮影した。撮影した画像を、その1画像がA4用紙上に用紙全体の4分の1の大きさとなるように印刷した。印刷された画像について、タテ方向3本、ヨコ方向3本の計6本の任意の直線を引いた。それぞれの直線上(長さ60mm)にある6個の気泡数の平均(平均気泡数)から気泡の平均弦長(t)を次式により算出した。なお、画像の撮影倍率は60mmの直線状に存在する気泡の数が10~20個程度となる様、50~200倍の間で調整した。
平均弦長t(mm)=60/(平均気泡数×画像の倍率)
ただし、60mm長さ分の気泡数を数えられない場合は、30mm又は20mm分の気泡数を数えて60mm分の気泡数に換算した。任意の直線はできる限り気泡が接点でのみ接しないようにした。接してしまう場合は気泡数に含めた。
画像の倍率は画像上のスケールバーをミツトヨ社製「デジマチックキャリパ」にて1/100mmまで計測し、次式により求めた。
画像倍率=スケールバー実測値(mm)/スケールバーの表示値(mm)
そして次式により任意の発泡粒子1個の中心部平均気泡径dを算出した。
d (μm)=1000t/0.616
上記の方法で、任意の10個分の発泡粒子の中心部平均気泡径dを算出し、10個分の中心部平均気泡径dの平均値を、発泡粒子の中心部平均気泡径Dとした。
発泡粒子の中心部平均気泡径算出と同様にして得られたSEM画像(ただし倍率約20倍)において、発泡粒子の、中心部平均気泡径の3倍以上の気泡径を有する大気泡を数えた。10個分の発泡粒子について、大気泡の存在数を数え、その平均値を大気泡の存在数とした。
また、発泡粒子中の最大気泡の気泡径を測定し、10個分の発泡粒子の平均値を大気泡径とした。
発泡粒子又は発泡成形体を発泡又は成形後、30日間室温で静置した。静置後、約2g計量し、150℃の乾燥機の中で30分加熱し、揮発性成分を逸散させた。冷却後、揮発性成分逸散後の発泡粒子又は発泡成形体の質量を測定し、その質量変化から揮発性成分の含有量を求めた。
揮発性成分(質量%)=(W1-W2)×100/W1
W1(g):乾燥前の発泡粒子又は発泡成形体の重さ
W2(g):乾燥後の発泡粒子又は発泡成形体の重さ
発泡成形体の密度は、JIS K7222:1999「発泡プラスチック及びゴム-見掛け密度の測定」記載の方法で測定した。
得られた発泡成形体から50cm3以上(半硬質及び軟質材料の場合は100cm3以上)の試験片を元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定した。密度は、次式により算出した。
密度(g/cm3)=試験片質量(g)/試験片体積(cm3)
測定用試験片は、成形後72時間以上経過した試料から切り取り、23℃±2℃×50%±5%又は27℃±2℃×65%±5%の雰囲気条件に16時間以上放置することで、試験片の状態を調節した。
発泡成形体の発泡倍数は、次式により算出した。
発泡倍数=1/密度(g/cm3)
発泡成形体の中心部平均気泡径は、次の試験方法にて測定した。
発泡成形体を切断し、切り出した断面において、できるだけ大きな面積の発泡粒子を10個選択した。選択した発泡粒子の中心部(最小直径における中心点から半径方向に30%の範囲)を走査型電子顕微鏡(日本電子社製JSM-6360LV)にて約20倍に拡大して撮影したSEM画像を使用すること以外は、発泡粒子と同様にして中心部平均気泡径を算出した。
発泡成形体の中心部平均気泡径算出と同様にして得られたSEM画像(ただし倍率約20倍)において、発泡粒子の、中心部平均気泡径の3倍以上の気泡径を有する大気泡を数え、その平均値を大気泡の存在数とした。
得られた発泡成形体に、カッターナイフで約3mmの切り込みを入れた後、この切り込み部から発泡成形体を破断して、破断面を観察した。
破断面を構成する発泡粒子数に対する、破壊された(粒子表面でなく粒子内部で破断している)発泡粒子数の割合を融着率(%)とした。
JIS K7220:2006に準拠して測定した。
発泡成形体を縦50mm×横50mm×厚み25mmに切断加工した試験片を、圧縮速度10mm/分の条件で圧縮し、10%圧縮時の強度(MPa)を測定した。
発泡成形体の外観は、下記の基準によって目視にて評価した。
○:表面のキメが細かく、平滑な面となっている(外観良好)
△:表面のキメは細かいが、表面にボイドによる凹凸がみられる
×:表面のキメが粗く、表面の凹凸が著しい
成形サイクルは、発泡成形機(発泡ビーズ自動成形機)の自動運転により発泡成形体を製造するのに必要な時間(秒)とした。具体的には、発泡成形機内の開状態の型を閉状態とする時点を始点とし、型内に発泡粒子を充填し、型を加熱し、面圧値が0.02MPa以下になるまで冷却し、型を開いて発泡成形体を取り出す時間を終点とする時間とした。
[複合樹脂粒子の作製]
ポリエチレン系樹脂(PE系樹脂)として低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、品番NF444A、密度0.912g/cm3、MFR2g/10分、融点121℃、軟化温度93℃)を押出機に供給して230~250℃で溶融混練し、水中カット方式により造粒して楕円球状(卵状)に切断し、ポリエチレン樹脂粒子(種粒子)を得た。種粒子の質量は0.4mg/粒であった。
次に、撹拌機付の100リットルのオートクレーブに、ピロリン酸マグネシウム345g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム4.6gを純水40kgに分散させて水性媒体を得た。水性媒体に30℃で種粒子8kgを分散させて10分間保持し、次いで70℃に昇温して水性懸濁液を得た。更に、この水性懸濁液に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(10時間半減期温度73.6℃)8gとアクリル酸ブチル2kgを水3kgに分散した分散液を一度に添加した。添加後、90℃に昇温し、3時間保持することで、種粒子中にアクリル酸ブチルを含浸させた。アクリル酸ブチルを含浸後、70℃にした反応系に重合開始剤としてジクミルパーオキサイド(10時間半減期温度116.4℃)10gを溶解させたスチレン4kgを30分かけて滴下し、同温度を30分保持し、種粒子中にスチレンを含浸させた。スチレン含浸後、135℃に昇温し、この温度で2時間重合(第1重合)させた。
次に、115℃に下げた懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム53gを純水500gに分散させ10分かけて滴下した後、t-ブチルパーオキシベンゾエート(10時間半減期温度104.3℃)105gを溶解させたスチレン26kgを4時間かけて滴下した。滴下後、115℃で4時間保持することで、種粒子中にスチレンを含浸させた。含浸後、115℃で60gのエチレンビスステアリン酸アミドを水4kgの水に分散した分散液を30分かけて滴下し、この温度で30分保持した。次いで、140℃に昇温し、この温度で2時間保持して重合(第2重合)させた。冷却後、洗浄・脱水・乾燥することにより、複合樹脂粒子(改質樹脂粒子)を得た(ポリエチレン系樹脂とポリスチレン(PS)系樹脂とアクリル酸ブチルとの質量比20/75/5)。
5Lオートクレーブに、複合樹脂粒子を入れ、炭酸ガスボンベからオートクレーブ内に炭酸ガスを導入し、1.8MPa(ゲージ圧)にて20℃下で24時間保持することで発泡性粒子を得た。含浸終了後、圧力容器内を除圧し内部の発泡性粒子を取り出した。炭酸ガスの発泡性粒子への含浸量は、樹脂100質量部に対し3.4質量部だった。得られた発泡性粒子に結合防止剤として0.1質量部の炭酸カルシウムを添加し、撹拌機付きの発泡機に発泡性粒子を投入した。投入後、撹拌しながら0.10MPa(ゲージ圧)の水蒸気を50秒用いて発泡させることで、嵩密度0.05g/cm3の発泡粒子を得た。得られた発泡粒子の表面を0.01N-塩酸を用いて洗浄し、炭酸カルシウムを除去することで、成形用の発泡粒子を得た。発泡粒子の断面写真を図1に示す。
得られた発泡粒子を30日間室温で静置したのち、内圧付与することなく、長さ400mm×幅300mm×厚み30mmの金型を備えた発泡ビーズ自動成形機(DABOジャパン社製、DPM-7454)に充填し、その後、圧力0.10MPaの蒸気を、金型加熱5秒、一方加熱10秒、逆一方加熱5秒、両面加熱15秒の加熱条件で導入して発泡粒子を発泡させ、水冷20秒後に真空放冷により発泡成形体の面圧値が0.02MPaまで降下した時に型内から取り出し、密度0.05g/cm3(20倍)の発泡成形体を得た。この時、成形機の自動運転が開始され、型が閉となる動作が始まり、発泡粒子が型内に充填され、所望の条件で、加熱、冷却が行われ、所定の面圧値になって型が開いて発泡成形体が取出されるまでの時間を成形サイクル(秒)とした。発泡成形体の断面写真を図2に示す。
複合樹脂粒子の基材樹脂を構成するポリエチレン系樹脂とポリスチレン系樹脂とアクリル酸ブチルの割合を30/65/5(質量比)に変更したこと以外は実施例1と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子及び発泡成形体を得た。
ポリエチレン系樹脂を日本ポリエチレン社製の品番NF464A(密度918kg/m3、MFR2g/10分、融点124℃、軟化温度98℃)に変更したこと以外は実施例1と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子及び発泡成形体を得た。
ポリエチレン系樹脂を日本ポリエチレン社製の品番NF464A(密度918kg/m3、MFR2g/10分、融点124℃、軟化温度98℃)に変更し、複合樹脂粒子の基材樹脂を構成するポリエチレン系樹脂とポリスチレン系樹脂とアクリル酸ブチルの割合を30/65/5(質量比)に変更したこと以外は実施例1と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子及び発泡成形体を得た。
ポリエチレン系樹脂をプライムポリマー社製の品番SP4020(密度937kg/m3、MFR1.8g/10分、融点127℃、軟化温度117℃)に変更したこと以外は実施例1と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子及び発泡成形体を得た。
ポリエチレン系樹脂をプライムポリマー社製の品番SP4020(密度937kg/m3、MFR1.8g/10分、融点127℃、軟化温度117℃)に変更し、複合樹脂粒子の基材樹脂を構成するポリエチレン系樹脂とポリスチレン系樹脂とアクリル酸ブチルの割合を30/65/5(質量比)に変更したこと以外は実施例1と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子及び発泡成形体を得た。
[複合樹脂粒子の作製]
実施例1と同様にして複合樹脂粒子を得た。
複合樹脂粒子1000gを分散媒である水3000gと共に撹拌機を備えた5Lの圧力容器内に仕込んだ。続いて、容器内の分散媒中に分散剤としてのカオリン(ピロリン酸マグネシウム)3.0g、界面活性剤としてのアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.0g、硫酸アルミニウム0.1gを添加した。次いで、回転速度300rpmで容器内を撹拌しながら発泡温度160℃まで昇温させた。その後、無機物理発泡剤である二酸化炭酸(CO2)を容器内の圧力が4MPa(ゲージ圧)になるように容器内に圧入し、4MPa(ゲージ圧)を維持しつつ同温度(すなわち、160℃)で15分間保持した。これにより複合樹脂粒子中に二酸化炭素を含浸させた。次いで、発泡剤を含む複合樹脂粒子を分散媒と共に容器から大気圧下に放出することにより、嵩密度が0.05g/cm3の発泡粒子を得た。発泡粒子の断面写真を図3に示す。
実施例1と同様にして発泡成形体を得た。発泡成形体の断面写真を図4に示す。
複合樹脂粒子の基材樹脂を構成するポリエチレン系樹脂とポリスチレン系樹脂とアクリル酸ブチルの割合を30/65/5(質量比)に変更したこと以外は比較例1と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子及び発泡成形体を得た。
ポリエチレン系樹脂を日本ポリエチレン社製の品番NF464A(密度918kg/m3、MFR2g/10分、融点124℃、軟化温度98℃)に変更したこと以外は比較例1と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子及び発泡成形体を得た。
複合樹脂粒子の基材樹脂を構成するポリエチレン系樹脂とポリスチレン系樹脂とアクリル酸ブチルの割合を30/65/5(質量比)に変更したこと以外は比較例3と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子及び発泡成形体を得た。
ポリエチレン系樹脂をプライムポリマー社製の品番SP4020(密度937kg/m3、MFR1.8g/10分、融点127℃、軟化温度117℃)に変更したこと以外は比較例1と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子及び発泡成形体を得た。
複合樹脂粒子の基材樹脂を構成するポリエチレン系樹脂とポリスチレン系樹脂とアクリル酸ブチルの割合を30/65/5(質量比)に変更したこと以外は比較例5と同様にして複合樹脂粒子、発泡粒子及び発泡成形体を得た。
[複合樹脂粒子の作製]
実施例1と同様にして複合樹脂粒子を得た。
複合樹脂粒子2000gと水2000gとを、再び撹拌機付きの容量5リットルのオートクレーブに投入し、更に発泡剤としてのブタン(ノルマルブタン:イソブタン=7:3)300gを注入した。注入後、その混合物を70℃に昇温し、同温度、撹拌下で3時間保持した。
その後、混合物を25℃まで冷却し、オートクレーブから発泡性粒子を取り出し、脱水乾燥した後に発泡性粒子2200gを得た。
得られた発泡性粒子を撹拌機付きの発泡機に投入した。投入後、撹拌しながら0.02MPa(ゲージ圧)の水蒸気を150秒用いて発泡させることで、嵩密度0.05g/cm3の発泡粒子を得た。
発泡粒子作製後、室温で30日間発泡粒子を静置した。静置後、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
Claims (4)
- ポリエチレン系樹脂とポリスチレン系樹脂とを基材樹脂として含むスチレン複合ポリエチレン系樹脂発泡粒子であって、前記スチレン複合ポリエチレン系樹脂発泡粒子は、
(i)前記スチレン複合ポリエチレン系樹脂発泡粒子の約50~200倍の中心付近の断面写真により前記中心付近の平均気泡径を求め、約20倍の断面写真により粒子全体の大気泡を確認した際に、前記中心付近の平均気泡径の3倍以上の気泡径を有する大気泡の存在数の上限が2個であり、
(ii)揮発性成分の含有量の上限が1質量%である、
構成を有し、
前記ポリエチレン系樹脂が、121~130℃の融点及び1.0~5.0g/10分のメルトフローレートを有し、
前記ポリスチレン系樹脂が、前記ポリエチレン系樹脂100質量部に対して、120~1000質量部含まれ、
前記発泡粒子は、中心付近の平均気泡径が100~400μmである
スチレン複合ポリエチレン系樹脂発泡粒子。 - 請求項1に記載のスチレン複合ポリエチレン系樹脂発泡粒子の製造方法であって、
スチレン複合ポリエチレン系樹脂粒子に無機ガスを圧入することで発泡性粒子を得る工程と、前記発泡性粒子を水蒸気で発泡させることでスチレン複合ポリエチレン系樹脂発泡粒子を得る工程とを含むことを特徴とするスチレン複合ポリエチレン系樹脂発泡粒子の製造方法。 - ポリエチレン系樹脂とポリスチレン系樹脂とを基材樹脂として含む複数のスチレン複合ポリエチレン系樹脂発泡粒子の融着体から構成される発泡成形体であって、前記スチレン複合ポリエチレン系樹脂発泡粒子は、
(i)前記スチレン複合ポリエチレン系樹脂発泡粒子の約50~200倍の中心付近の断面写真により前記中心付近の平均気泡径を求め、約20倍の断面写真により粒子全体の大気泡を確認した際に、前記中心付近の平均気泡径の3倍以上の気泡径を有する大気泡の存在数の上限が2個であり、
(ii)揮発性成分の含有量の上限が1質量%である、
構成を有し、
前記ポリエチレン系樹脂が、121~130℃の融点及び1.0~5.0g/10分のメルトフローレートを有し、
前記ポリスチレン系樹脂が、前記ポリエチレン系樹脂100質量部に対して、120~1000質量部含まれ、
前記発泡成形体は、中心付近の平均気泡径が100~400μmである
発泡成形体。 - 前記発泡成形体が、車両用の緩衝材である請求項3に記載の発泡成形体。
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