JP2017179243A - カーボンブラック含有複合樹脂粒子、発泡性粒子、発泡粒子および発泡成形体 - Google Patents

カーボンブラック含有複合樹脂粒子、発泡性粒子、発泡粒子および発泡成形体 Download PDF

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宏佳 田中
皓樹 大脇
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Abstract

【課題】良好な成形加工性と優れた耐熱性とを併せもちかつ高い黒色度を有する発泡成形体を与え得るカーボンブラック含有複合樹脂粒子、それにより得られた発泡性粒子、発泡粒子および発泡成形体を提供することを課題とする。【解決手段】ポリプロピレン系樹脂とスチレン−アクリル系共重合体樹脂とポリスチレン系樹脂とを含有する複合樹脂と、カーボンブラックとから構成されるカーボンブラック含有複合樹脂粒子であり、前記スチレン−アクリル系共重合体樹脂と前記ポリスチレン系樹脂との合計含有量が、前記ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して100〜250質量部であり、前記スチレン−アクリル系共重合体樹脂の含有量が、前記ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して5〜60質量部であり、前記カーボンブラックが、前記複合樹脂粒子中に0.3〜3質量%含まれかつ前記複合樹脂粒子の表面に多くかつその粒子中心に少なく存在する傾斜構造を有することを特徴とするカーボンブラック含有複合樹脂粒子により、上記の課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、カーボンブラック含有複合樹脂粒子、それにより得られた発泡性粒子、発泡粒子および発泡成形体に関する。さらに詳しくは、本発明は、良好な成形加工性と優れた耐熱性とを併せもちかつ高い黒色度を有する発泡成形体を与え得るカーボンブラック含有複合樹脂粒子、それにより得られた発泡性粒子、発泡粒子および発泡成形体に関する。
ポリスチレン系樹脂からなる発泡成形体は、優れた緩衝性および断熱性を有しかつ成形が容易であることから、包装材や断熱材として多用されている。しかしながら、耐衝撃性や柔軟性が不十分であるため、割れや欠けが発生し易く、例えば精密機器製品の包装などには適していない。
一方、ポリオレフィン系樹脂からなる発泡成形体は、耐衝撃性や柔軟性に優れているが、その成形時に大掛かりな設備を必要とする。また、樹脂の性質上、予備発泡粒子(「発泡粒子」ともいう)の形態で原料メーカーから成形加工メーカーに輸送しなければならない。そのため、嵩高い発泡粒子を輸送することになり、製造コストが上昇するという問題がある。
そこで、上記2つの異なる樹脂の特長を併せもつ、様々なスチレン改質ポリオレフィン系樹脂粒子(「複合樹脂粒子」、「改質樹脂粒子」ともいう)およびそれらを用いた発泡成形体が提案されている。
例えば、特開2015−189921号公報(特許文献1)には、ポリプロピレン系樹脂とスチレン−アクリル系共重合体樹脂とポリスチレン系樹脂とを含有し、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、スチレン−アクリル系共重合体樹脂とポリスチレン系樹脂との合計の含有量が100質量部以上300質量部以下であり、スチレン−アクリル系共重合体樹脂の含有量が1質量部以上250質量部以下であり、ポリスチレン系樹脂の含有量が50質量部以上299質量部以下である、複合樹脂粒子が開示されている。
また、その用途によっては、黒色の発泡成形体が望まれることがあり、着色剤としては主としてカーボンブラックが用いられている。
特開2015−189921号公報
しかしながら、上記の特許文献1の先行技術においても、すべての条件を満足し得る複合樹脂粒子および発泡成形体は得られていない。
例えば、複合樹脂粒子および発泡成形体の耐熱性の向上は従来からの課題であり、例えば、ポリプロピレン系樹脂の高耐熱化、気泡調整、成形条件の調整、ポリプロピレン/ポリスチレン比率の変更などの施策が試みられてきた。また、一般に発泡成形体の黒色化には、カーボンブラックの添加が行われてきた。
これらの方法では、耐熱性の向上や黒色化には確かに効果があったが、反面、樹脂成分以外の添加剤の含有による成形加工性や機械的特性の低下などのデメリットがあった。
そこで、本発明は、良好な成形加工性と優れた耐熱性とを併せもちかつ高い黒色度を有する発泡成形体を与え得るカーボンブラック含有複合樹脂粒子、それにより得られた発泡性粒子、発泡粒子および発泡成形体を提供することを課題とする。
本発明の発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意検討の結果、30〜50質量%のカーボンブラックを含有する120〜140℃の融点を有するポリオレフィン系樹脂と、130〜145℃の融点を有するポリプロピレン系樹脂と、ポリプロピレン系樹脂の融点をT℃としたときに(T−15)〜(T+5)℃のガラス転移点Tgを有する特定量のスチレン−アクリル系共重合体樹脂とからなる種粒子に、前記ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して100〜200質量部のポリスチレン系樹脂の単量体をシード重合することにより、成形加工性の悪化がなく、優れた耐熱性と高い黒色度を有する発泡成形体が得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
かくして、本発明によれば、ポリプロピレン系樹脂とスチレン−アクリル系共重合体樹脂とポリスチレン系樹脂とを含有する複合樹脂と、カーボンブラックとから構成されるカーボンブラック含有複合樹脂粒子であり、
前記スチレン−アクリル系共重合体樹脂と前記ポリスチレン系樹脂との合計含有量が、前記ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して100〜250質量部であり、
前記スチレン−アクリル系共重合体樹脂の含有量が、前記ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して5〜60質量部であり、
前記カーボンブラックが、前記複合樹脂粒子中に0.3〜3質量%含まれかつ前記複合樹脂粒子の表面に多くかつその粒子中心に少なく存在する傾斜構造を有する
ことを特徴とするカーボンブラック含有複合樹脂粒子が提供される。
また、本発明によれば、上記のカーボンブラック含有複合樹脂粒子と、発泡剤とを含む発泡性粒子が提供される。
さらに、本発明によれば、上記の発泡性粒子を予備発泡させて得られた発泡粒子が提供される。
さらにまた、本発明によれば、上記の発泡粒子を発泡成形させて得られた発泡成形体が提供される。
本発明によれば、良好な成形加工性と優れた耐熱性とを併せもちかつ高い黒色度を有する発泡成形体を与え得るカーボンブラック含有複合樹脂粒子、それにより得られた発泡性粒子、発泡粒子および発泡成形体を提供することができる。
(1)カーボンブラック含有複合樹脂粒子
本発明のカーボンブラック含有複合樹脂粒子(以下「複合樹脂粒子」ともいう)は、ポリプロピレン系樹脂とスチレン−アクリル系共重合体樹脂とポリスチレン系樹脂とを含有する複合樹脂と、カーボンブラックとから構成されるカーボンブラック含有複合樹脂粒子であり、
前記スチレン−アクリル系共重合体樹脂と前記ポリスチレン系樹脂との合計含有量が、前記ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して100〜250質量部であり、
前記スチレン−アクリル系共重合体樹脂の含有量が、前記ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して5〜60質量部であり、
前記カーボンブラックが、前記複合樹脂粒子中に0.3〜3質量%含まれかつ前記複合樹脂粒子の表面に多くかつその粒子中心に少なく存在する傾斜構造を有する
ことを特徴とする。
特に、本発明の複合樹脂粒子は、改質された樹脂成分の特徴と共に、カーボンブラックが複合樹脂粒子中に0.3〜3質量%含まれ、複合樹脂粒子の表面に多くかつその粒子中心に少なく存在する傾斜構造を有することにより、それにより得られた発泡成形体は、良好な成形加工性と優れた耐熱性とを併せもつと共に、高い黒色度を有し、黒色発泡体の用途に利用できる。
カーボンブラックが傾斜構造を有する理由は明らかではないが、本発明者らは、次のように後述するシード重合法に由来するものと考えている。
本発明の複合樹脂粒子は、複合樹脂粒子の製造方法で説明するように、カーボンブラックを含有するポリオレフィン系樹脂と、ポリプロピレン系樹脂とスチレン−アクリル系共重合体からなる種粒子に含浸させたスチレン系単量体を重合させるシード重合により得ることができる。このシード重合においては、疎水性のスチレン単量体が水性媒体を避けて種粒子の中心部に含浸・重合され、さらにスチレン単量体が逐次吸収されながら重合していくので、種粒子は、ポリスチレン系樹脂の生成に伴って、中心部に近づけば近づく程、ポリスチレン系樹脂が豊富な状態になりながら大きな径に成長する。
一方、表面近傍部では、種粒子のカーボンブラックを含有するポリオレフィン系樹脂とポリプロピレン系複合樹脂が高比率で含まれかつポリスチレン系樹脂がその割合を粒子表面に近づくにつれて徐々に減少させつつ小さくなりながらポリオレフィン系樹脂とポリプロピレン系複合樹脂中に微分散した状態になり、粒子表面は、ポリスチレン系樹脂がより低くかつカーボンブラックを含有するポリオレフィン系樹脂とポリプロピレン系複合樹脂がより高い比率で存在した状態となる。
その結果、最終的に得られる複合樹脂粒子は、カーボンブラックを含有するポリオレフィン系樹脂とポリプロピレン系複合樹脂がその表面に多くかつその粒子中心に少なく存在する状態になる。
このような課程で、種粒子に含まれるカーボンブラックは、ポリオレフィン系樹脂とポリプロピレン系複合樹脂に練り込まれているため、ポリオレフィン系樹脂とポリプロピレン系複合樹脂と連動することによりポリスチレンを含む複合樹脂粒子の表面にカーボンブラックが豊富な状態の傾斜構造になり、その結果、より少ない量の添加でも高い黒色度を有する複合樹脂粒子が得られるものと考えられる。
複合樹脂粒子表層と内部のカーボンブラックの存在比率は、表層側の複合樹脂粒子中で0.15〜2.4質量%であり、中心の複合樹脂粒子中で0.06〜1.5質量%であることが望ましい。表層側のカーボンブラックの存在比率が上記範囲より低いと少ない添加量で高い黒色度が得られないことがある。
また、このようなカーボンブラックの傾斜構造、すなわち複合樹脂粒子中におけるカーボンブラックの分散状態は、透過型電子顕微鏡や顕微ラマン分光装置などによる分析で確認することができる。
(カーボンブラック含有ポリオレフィン系樹脂)
本発明で用いられるカーボンブラックとしては、当該技術分野で用いられるカーボンブラックであれば特に限定されず、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、黒鉛、炭素繊維などが挙げられ、具体的には、実施例において用いているような市販品が挙げられる。
本発明の複合樹脂粒子は、後述するように、ポリプロピレン系樹脂と、スチレン−アクリル系共重合体とからなる種粒子を用いたポリスチレン系樹脂の単量体のシード重合により製造することができ、種粒子へのカーボンブラックの添加にポリオレフィン系樹脂のマスターバッチを用いてもよい。
このようなマスターバッチのポリオレフィン系樹脂としては、当該技術分野で用いられるポリオレフィン系樹脂であれば特に限定されず、公知の重合方法で得られた樹脂が挙げられ、それは架橋されていてもよい。例えば、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、これら重合体の架橋体などのポリエチレン系樹脂、プロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体などのポリプロピレン系樹脂が挙げられる。これらの低密度ポリエチレンは、0.90〜0.94g/cm3の密度を有することが好ましく、0.91〜0.94g/cm3の密度を有することがより好ましく、0.91〜0.93g/cm3の密度を有することが最も好ましい。具体的には、実施例において用いているような市販品が挙げられる。
マスターバッチのMFRとしては、0.4〜10g/10分を有することが望ましい。また、融点としては120℃以上であり、軟化温度としては110℃以上が望ましい。
カーボンブラックは、本発明の複合樹脂粒子中に0.3〜3質量%含まれる。
カーボンブラックの含有量が0.3質量%未満では、発泡成形体に十分な黒色度を付与できないことがある。一方、カーボンブラック含有量が3質量%を超えると、発泡成形体の難燃性の確保が困難になることがある。好ましいカーボンブラック含有量は、0.5〜3質量%である。
(ポリプロピレン系樹脂)
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂は、当該技術分野で用いられるプロピレン系単量体を主成分(単量体中50質量%以上)とする樹脂であれば特に限定されず、プロピレンの単独または共重合体が挙げられ、それは架橋されていてもよい。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体等のポリプロピレン系樹脂が挙げられる。具体的には、実施例において用いているような市販品が挙げられる。
本発明では、上記のようなポリプロピレン系樹脂の1種を単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。
ポリプロピレン系樹脂としては、スチレンの吸収性および発泡性の観点でポリプロピレン樹脂が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂は、130〜145℃の融点を有することが好ましい。
融点は、示差走査熱量計(DSC)の分析により測定できる。
ポリプロピレン系樹脂の融点が上記の範囲であれば、良好な成形加工性と優れた耐熱性とを併せもった発泡成形体を与え得る複合樹脂粒子が得られる。
ポリプロピレン系樹脂の融点が130℃未満では、発泡成形体の耐熱性が不足することがある。一方、ポリプロピレン系樹脂の融点が145℃を超えると、発泡性粒子の発泡力が低くなり、低密度な発泡成形体を製造できなくなり軽量化効果を十分に発揮できないことがある。好ましいポリポリプロピレン系樹脂の融点は、130〜140℃である。
(ポリスチレン系樹脂)
ポリスチレン系樹脂としては、当該技術分野で用いられるスチレン系単量体を主成分(単量体中50質量%以上)とする樹脂であれば特に限定されず、スチレンまたはスチレン誘導体の単独または共重合体が挙げられる。
スチレン誘導体としては、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレンなどが挙げられる。これらは、単独で用いられても、併用されてもよい。
本発明では、上記のようなポリスチレン系樹脂の1種を単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。
ポリスチレン系樹脂としては、発泡性といった成形加工性と共に成形品の強度といった機械物性の観点で、ポリスチレン樹脂が好ましい。
(スチレン−アクリル系共重合体樹脂)
本発明で用いられるスチレン−アクリル系共重合体樹脂は、当該技術分野で用いられるスチレン系単量体とアクリル系単量体とを主成分(単量体中の2種の合計量が50質量%以上)とする共重合体であれば特に限定されない。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、t−ブチルスチレン、およびジメチルスチレンが挙げられる。また、スチレン系単量体は、芳香族部分に置換基を有するスチレン系単量体であってもよい。
アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび(メタ)アクリル酸等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピルおよび(メタ)アクリル酸ブチルが挙げられる。(メタ)アクリル酸は、アクリル酸とメタクリル酸とを意味する。
スチレン−アクリル系共重合体樹脂は、ポリプロピレン系樹脂の融点をT℃としたときに(T−15)〜(T+15)℃のガラス転移点Tgを有することが望ましい。
また、他の単量体として、ジビニルベンゼンなどの多官能性単量体が挙げられる。
本発明では、上記のようなスチレン−アクリル系共重合体樹脂の1種を単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。
(樹脂成分の含有割合)
スチレン−アクリル系共重合体樹脂とポリスチレン系樹脂との合計含有量は、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して100〜200質量部である。
スチレン−アクリル系共重合体樹脂とポリスチレン系樹脂との合計含有量が100質量部未満では、発泡性粒子の発泡力が低くなることがある。一方、その合計含有量が200質量部を超えると、耐熱性が低くなることがある。
また、スチレン−アクリル系共重合体樹脂の含有量は、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して15〜60質量部である。
スチレン−アクリル系共重合体樹脂含有量が15質量部未満では、所望の耐熱性が得られないことがある。一方、その合計含有量が60質量部を超えると、発泡性粒子の発泡力が低くなることがある。
(2)複合樹脂粒子の製造方法
本発明の複合樹脂粒子は、例えば、
(A)分散剤を含む水性媒体中にカーボンブラックを含むポリオレフィン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とスチレン−アクリル系共重合体からなる種粒子を分散させ、該種粒子にスチレン系単量体を吸収させた後、昇温し該スチレン系単量体を重合させる第1の重合工程と、
(B)次いで、スチレン系単量体を吸収させながら該スチレン系単量体を重合させる第2の重合工程と
を含むか、前記工程(A)および(B)に
(C)次いで、前記工程(B)を繰り返す工程
をさらに含むシード重合法により製造することができる。
上記のシード重合法は、一般に、種粒子に単量体を吸収させ、吸収させた後または吸収させつつ単量体の重合を行うことにより複合樹脂粒子を得ることができる。また、重合させた後または重合させつつ複合樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得ることもできる。
本発明の複合樹脂粒子の製造では、カーボンブラックを含むポリオレフィン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とスチレン−アクリル系共重合体からなる種粒子にスチレン系樹脂の単量体を含浸・重合させる重合工程を少なくとも2回繰り返すのが好ましい。
重合工程を2回以上に繰り返すことにより、複合樹脂粒子の形状を真球化することができ、ポリプロピレン系樹脂からなる種粒子中に含浸されたスチレン系樹脂の単量体の重合が進行し易い。
[工程(A):第1の重合工程]
分散剤を含む水性媒体中にカーボンブラックを含むポリオレフィン系樹脂(マスターバッチ)とポリプロピレン系樹脂とスチレン−アクリル系共重合体からなる種粒子を分散させ、該種粒子にスチレン系樹脂の単量体を吸収させた後、昇温し該スチレン系樹脂の単量体を重合させる。
(種粒子)
種粒子(「核樹脂粒子」ともいう)は、例えば、上記のカーボンブラックを含むポリオレフィン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とスチレン−アクリル系共重合体を押出機で溶融混練後、ストランド状に押し出し、所望の粒子径でカットすることにより得ることができる。
所定の大きさの種粒子を得るためのダイスは、その樹脂吐出孔の直径は0.2〜1.0mmが好ましく、樹脂流路のランド長はポリスチレン系樹脂の高分散性を維持するために10〜20MPaでダイスの樹脂流路入口の圧力が保持できるよう2.0〜6.0mmに、押出機から押出されてくる樹脂のダイス入口での樹脂温度は200〜270℃に調整されることが好ましい。
前記スクリュー構造を有する押出機やダイス、押出条件、水中カット条件を組み合わせることで所望の種粒子が得られる。
また、上記種粒子は本発明の効果を損なわない限り、ポリプロピレン系樹脂の相溶化剤、気泡調整剤、帯電防止剤などの添加剤を含有することができる。
種粒子の粒子径は、複合樹脂粒子の平均粒子径などに応じて適宜調整でき、好ましい粒子径は、0.4〜1.5mmの範囲であり、より好ましくは0.4〜1.0mmの範囲であり、その平均質量は30〜90mg/100粒である。また、その形状は、真球状、楕円球状(卵状)、円柱状、角柱状等が挙げられる。
(水性媒体)
水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、メチルアルコールやエチルアルコールなどの低級アルコール)との混合媒体が挙げられる。
(分散剤)
水性媒体には、スチレン系単量体の液滴および種粒子の分散性を安定させるために分散剤を用いてもよい。このような分散剤としては、例えば、部分けん化ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの有機系分散剤;ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムなどの無機系分散剤が挙げられる。これらの中でも、より安定な分散状態を維持することができることがあるため、無機系分散剤が好ましい。
無機系分散剤を用いる場合には、界面活性剤を併用することが好ましい。このような界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
(重合開始剤)
スチレン系単量体は、通常重合開始剤の存在下で重合する。重合開始剤は、通常スチレン系単量体と同時に種粒子に含浸させる。
重合開始剤としては、従来からスチレン系単量体の重合に用いられているものであれば、特に限定されない。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタン、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。これら重合開始剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。重合開始剤の使用量は、スチレン系単量体100質量部に対して、例えば0.1〜5質量部の範囲である。
重合開始剤を種粒子または種粒子から成長途上の粒子に均一に吸収させるために、重合開始剤を水性媒体中に添加するにあたって、重合開始剤を水性媒体中に予め懸濁または乳化分散させた上で分散液中に添加するか、あるいは重合開始剤をスチレン系単量体に予め溶解させた上で水性媒体中に添加することが好ましい。
重合開始剤の添加量は、スチレン系単量体100質量部あたり0.1〜0.9質量部である。
重合開始剤の添加量が0.1質量部未満では、分子量が高くなりすぎて発泡性が低下することがある。一方、重合開始剤の添加量が0.9質量部を超えると、重合速度が速くなりすぎて、ポリスチレン系樹脂の粒子がポリプロピレン系樹脂中の分散状況を制御しきれないことがある。好ましい重合開始剤の添加量は、0.2〜0.5質量部である。
スチレン系樹脂の単量体の重合温度は、種粒子に含まれるカーボン含有ポリオレフィン系樹脂の融点をT℃とした場合、(T−10)〜(T+10)℃が望ましい。この温度より低いと、スチレン系単量体の種粒子への吸収が悪くなり、傾斜構造を持たない複合粒子となってしまう。一方、この温度より高いと、種粒子への吸収よりもスチレン系単量体の重合速度が勝るため、得られるポリマー表面が白くなり、外観不良になる恐れがある。
また、種粒子に含まれるスチレン−アクリル系共重合体の含有割合が増えるに伴い、スチレン系樹脂の単量体の滴下速度を下げることが望ましい。滴下速度としては、種粒子中のスチレン−アクリル系共重合体の割合をX質量%とした場合、(10×1/X)〜(40×1/X)g/分の範囲が好ましい。滴下速度が上記範囲より速い場合、種粒子に吸収される前に、単量体の重合が開始するため、得られるポリマー表面が白くなり外観不良になる恐れがある。一方、滴下速度が上記範囲より遅いと生産性が極端に下がるため、コストアップに繋がることがある。
重合工程では、重合温度もしくは重合温度よりも高温で長時間保持する、すなわちアニールするのが好ましい。
アニール工程に至るそれまでの工程において、種粒子に吸収させたスチレン系単量体および重合開始剤は完全には反応を完了しておらず、複合樹脂粒子内部には未反応物も少なからず存在している。そのため、アニールせずに得た複合樹脂粒子を用いて発泡成形体を得た場合、スチレン系単量体等低分子量の未反応物の影響により、発泡成形体の機械的物性や耐熱性の低下や揮発性の未反応物を原因とした臭気が問題となる。そこで、アニール工程を導入することによって未反応物が重合反応を起こす時間を確保し、発泡成形体の物性に影響しないように残存する未反応物を除去することができる。
(他の成分)
なお、複合樹脂粒子には、物性を損なわない範囲内において、着色剤としてのカーボンブラック以外に、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、結合防止剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、滑剤、融着促進剤、帯電防止剤、展着剤等の添加剤を添加してもよい。
難燃剤としては、トリ(2,3−ジブロモプロピル)イソシアネート、ビス[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル]スルホン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、トリスジブロモプロピルホスフェート、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)等が挙げられる。
難燃助剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、ジクミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられる。
好ましい複合樹脂粒子の難燃剤および難燃助剤の含有量は、それぞれ1.0〜5.0質量%および0.1〜2.0質量%である。
可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリントリステアレート、グリセリンジアセトモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ジイソブチルアジペート等のアジピン酸エステル、ヤシ油等の可塑剤が挙げられる。
好ましい複合樹脂粒子の可塑剤の含有量は、0.1〜3.0質量%である。
結合防止剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、ステアリン酸亜鉛、水酸化アルミニウム、エチレンビスステアリン酸アミド、第三リン酸カルシウム、ジメチルシリコン等が挙げられる。
気泡調整剤としては、エチレンビスステアリン酸アミド、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
架橋剤としては、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン等の有機過酸化物等が挙げられる。
充填材としては、合成または天然に産出される二酸化ケイ素等が挙げられる。
滑剤としては、パラフィンワックス、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
融着促進剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸トリグリセリド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸ソルビタンエステル、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ステアリン酸モノグリセリド、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
展着剤としては、ポリブテン、ポリエチレングリコール、シリコンオイル等が挙げられる。
[工程(B):第2の重合工程]
次いで、スチレン系樹脂の単量体を吸収させながら該スチレン系単量体重合させる。
使用する重合開始剤としては、ポリプロピレン系樹脂の融点をT℃とした場合、10時間半減期温度(R1℃)が(T−40)〜(T−10)の範囲であるのが好ましい。
[工程(C):繰り返しの重合工程]
次いで、任意に、工程(B)を繰り返す。
その条件などは、工程(B)に準ずる。
(平均粒子径)
複合樹脂粒子は、0.1〜5mmの平均粒子径を有するのが好ましい。
複合樹脂粒子の平均粒子径が0.1mm未満では、高い発泡性を得られないことがある。一方、複合樹脂粒子の平均粒子径が5mmを超えると、成形加工時の発泡粒子の充填性が不十分になることがある。より好ましい複合樹脂粒子の平均粒子径は、0.5〜3mmである。
(質量平均分子量)
本発明の複合樹脂粒子は、5万〜40万のポリスチレン換算の質量平均分子量を有するのが好ましい。
(3)発泡性粒子
本発明の発泡性粒子は、本発明の複合樹脂粒子に、公知の方法により発泡剤を含浸させて得られる。
複合樹脂粒子に発泡剤を含浸させる温度としては、低いと、含浸に時間を要し、発泡性粒子の製造効率が低下することがある一方、高いと、発泡性粒子同士の合着が多量に発生することがあるので、50〜130℃が好ましく、60〜100℃がより好ましい。
(発泡剤)
発泡剤としては揮発性発泡剤が好ましく、従来からポリスチレン系樹脂の発泡に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、イソブタン、n−ブタン、イソペンタン、n−ペンタン、ネオペンタン等炭素数5以下の脂肪族炭化水素等の揮発性発泡剤が挙げられ、特にブタン系発泡剤、ペンタン系発泡剤が好ましい。なお、ペンタンは可塑剤としての作用も期待できる。
発泡剤の発泡性粒子中における含有量は、通常2〜10質量%の範囲とされ、3〜10質量%の範囲が好ましく、3〜8質量%の範囲が特に好ましい。
発泡剤の含有量が少なく、例えば2質量%未満では、発泡性粒子から低密度の発泡成形体を得ることができないことがあると共に、型内発泡成形時の二次発泡力を高める効果が得られないために、発泡成形体の外観が低下することがある。一方、発泡剤の含有量が多く、例えば10質量%を超えると、発泡性粒子を用いた発泡成形体の製造工程における冷却工程に要する時間が長くなり生産性が低下することがある。
(発泡助剤)
発泡性粒子には、発泡剤と共に発泡助剤を含有させることができる。
発泡助剤としては、従来からポリスチレン系樹脂の発泡に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、スチレン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族有機化合物、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等の1気圧下における沸点が200℃以下の溶剤が挙げられる。
発泡助剤の発泡性粒子中における含有量は、通常0.3〜2.5質量%の範囲とされ、0.5〜2質量%の範囲が好ましい。
発泡助剤の含有量が少なく、例えば0.3質量%未満では、ポリスチレン系樹脂の可塑化効果が発現しないことがある。一方、また、発泡助剤の含有量が多く、2.5質量%を超えると、発泡性粒子を発泡させて得られる発泡成形体に収縮や融けが発生して外観が低下する、あるいは発泡性粒子を用いた発泡成形体の製造工程における冷却工程に要する時間が長くなることがある。
(4)発泡粒子
本発明の発泡粒子は、本発明の発泡性粒子を予備発泡させて、例えば、密閉容器内で、導入したゲージ圧力0.004〜0.2MPaの水蒸気(スチーム)で加熱し、所定の嵩密度に予備発泡させて得られる。
その方式は、蒸気を導入するバッチ式発泡や連続発泡、加圧下からの放出発泡が挙げられ、必要に応じて発泡する際に水蒸気と同時に空気を導入してもよい。
(嵩密度)
本発明の発泡粒子は、0.01〜0.2g/cm3の嵩密度を有するのが好ましい。
発泡粒子の嵩密度が0.01g/cm3未満では、発泡成形体が収縮しやすく外観を損なうことがあり、機械的強度も十分ではなくなることがある。一方、発泡粒子の嵩密度が0.2g/cm3を超えると、発泡成形体として軽量化のメリットが損なわれることがある。好ましい発泡粒子の嵩密度は、0.02〜0.15g/cm3である。
(平均粒子径)
本発明の発泡粒子は、0.5〜10mmの平均粒径を有するのが好ましい。
発泡粒子の平均粒子径が0.5mm未満では、発泡成形時の発泡性が低く、成形体表面の伸びが悪くなることがある。一方、発泡粒子の平均粒子径が10mmを超えると、成形加工時の発泡粒子の充填性が不十分になることがある。より好ましい発泡粒子の平均粒子径は、1〜7mmである。
(5)発泡成形体
本発明の発泡成形体は、本発明の発泡粒子を発泡成形させて、例えば、発泡粒子を発泡成形機の金型(キャビティ)内に充填し、再度加熱して発泡粒子を発泡させながら、発泡粒同士を熱融着させて得られる。
(密度および発泡倍数)
本発明の発泡成形体は、0.01〜0.2g/cm3の密度を有するのが好ましい。発泡成形体の密度が0.01g/cm3未満では、耐衝撃性が十分でないことがある。一方、発泡成形体の密度が0.2g/cm3を超えると、発泡成形体の軽量化効果が限定的になってしまう。好ましい発泡成形体の密度は、0.02〜0.1g/cm3である。
また、本発明の発泡成形体は、30倍以上の発泡倍数を有するのが好ましい。
それらの測定方法については実施例で説明する。
(加熱寸法変化)
本発明の発泡成形体は、加熱寸法変化が少ない、すなわち良好な成形加工性と優れた耐熱性とを併せもつ。具体的には、本発明の発泡成形体は、95℃での168時間に亘る加熱試験後の寸法変化が2.5mm以下である。
その測定方法については実施例で説明する。
(用途)
本発明の発泡成形体は、種々の用途に使用できる。その用途としては、例えば、バンパーの芯材、自動車内装部材、自動車外装部材、電子部品、ガラスを含む各種工業資材、食品の緩衝材や搬送容器、部品梱包材などが挙げられ、部品梱包材、自動車部材または緩衝材として好適に用いられる。特に、本発明の発泡成形体は、高い耐熱性を有することから、上記の用途の中でも、特にエンジンやラジエーターに近い位置に取付けられ、外気温や内燃機関の熱の影響を受け易い部位である自動車外装部材(バンパー芯材)に好適に使用できる。
ここで「自動車」とは、原動機、かじ取り装置などを備え、それらを用い乗車して地上を走行できる車両を意味する。トロリーバスのような架線に接続された車両をも含む。
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の例示にすぎず、本発明は以下の実施例のみに限定されない。
実施例および比較例においては、発泡成形体を次のようにして評価した。
<発泡成形体の発泡倍数>
JIS A9511:1995「発泡プラスチック保温板」記載の方法で発泡成形体の密度を測定し、その逆数を発泡成形体の発泡倍数とする。
具体的には、得られた発泡成形体から10cm×10cm×3cm(体積V)の試験片を切り出し、その質量W(g)を小数以下2位で秤量する。
得られた発泡成形体の質量Wおよびその体積Vから、次式により発泡倍数(倍)を算出する。
発泡成形体の発泡倍数(倍)=1/(発泡成形体の密度)=1/(W/V)=V/W
<発泡成形体の加熱寸法変化>
JIS K 6767:1999「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」記載のB法に準拠して発泡成形体の加熱寸法変化率(%)を測定し、その結果に基づいて加熱寸法変化を想定する。
具体的には、発泡成形体から縦150mm×横150mm×高さ20mmの試験片を切り出す。そして、試験片の表面に、縦方向に指向する長さ50mmの直線を3本、互いに平行に50mm間隔毎に記入すると共に、横方向に指向する長さ50mmの直線を3本、互いに平行に50mm間隔毎に記入する。しかる後、試験片を温度95℃の熱風循環式乾燥機の中に168時間に亘って放置した後に取出し、標準状態(温度20±2℃、湿度65±5%)の条件下に1時間に亘って放置する。
次に、試験片の表面に記入した6本の直線の長さをそれぞれ測定し、6本の直線の長さの相加平均値L1を算出する。そして、次式により変化度Sを算出し、変化度S絶対値を加熱寸法変化率(%)とする。
S(%)=100×(L1−50)/50
得られた加熱寸法変化率に基づいて、長さ1,000mmの構造物の加熱寸法変化量(mm)を想定する。
<融点(DSC測定)>
JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載されている方法で測定する。但し、サンプリング方法・温度条件に関しては以下のように行う。
示差走査熱量計装置 DSC6220型(エスアイアイナノテクノロジー社製)を用いアルミニウム製測定容器の底にすきまのないよう試料を約6mg充填する。充填後、窒素ガス流量20mL/分のもと、30℃から−40℃まで降温した後10分間保持する。保持後、−40℃から220℃まで昇温し(1st Heating)、10分間保持する。次いで、220℃から−40℃まで降温し(Cooling)、10分間保持後−40℃から220℃まで昇温(2nd Heating)した時のDSC曲線を得る。なお、全ての昇温・降温は速度10℃/分で行い、基準物質としてアルミナを用いる。本明細書において、融点とは、装置付属の解析ソフトを用いて、2nd Heating過程にみられる融解ピークのトップの温度を読みとった値である。
<ガラス転移点(Tg)
JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載の方法により測定する。即ち、示差走査熱量計装置DSC200型(セイコー電子工業社製)を用いる。測定容器に試料10mgを充填する。窒素ガス流量30ml/分の条件で、20℃/分の昇温速度で220℃まで昇温して、10分間保持する。その後、試料を取り出し室温にて急冷する熱処理を行う。次に、窒素ガス流量30ml/分の条件で、10℃/分の昇温速度で220℃まで昇温し、ガラス転移温度を測定し、得られる中間点ガラス転移温度をガラス転移点とする。
[実施例1]
(種粒子の作製)
ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製「プライムポリプロ F−744NP」、融点:140℃)70.4質量部とスチレン−アクリル系樹脂共重合体樹脂(PSジャパン社製「MM290」、Tg:130℃、樹脂D)20質量部とカーボンマスターバッチ(大日精化社製「10H381」、Tg:123℃、カーボンA)9.6質量部を押出機に供給して、溶融混練し、ストランドカットにて造粒して、楕円球状(卵状)の種粒子を得た。このとき、種粒子1個当たりの平均質量は約0.6mgであった。
(第1の重合)
次に、攪拌機付5Lオートクレーブに、得られた種粒子940gと、水性媒体である純水900gと、ピロリン酸ナトリウム20gと、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの25質量%水溶液0.5gとを熱水700gに溶解させた溶液を入れ、70℃まで攪拌しながら昇温した。その後、塩化マグネシウム・六水和物36gを熱水200gに溶解させた溶液を添加し、15分間保持することにより、水性懸濁液を得た。
次に、この懸濁液中に、スチレン単量体280gにジクミルパーオキサイド0.6gを溶解させた溶液を30分で滴下した。滴下後30分保持し、120℃まで50分間掛けて昇温した。
次に、120℃にて1時間保持し、143℃に23分間掛けて昇温し、143℃にて2時間保持することにより、段階的にスチレン単量体を種粒子に吸収させ、スチレン単量体を重合させて、反応溶液を得た。
(第2の重合)
次に、得られた反応溶液を常温(25℃)まで冷却し、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの25質量%水溶液2.4gを熱水50gに溶解させた溶液を添加した。その後、反応溶液を125℃まで昇温し、スチレン単量体777gにジクミルパーオキサイド3.2gを溶解させた溶液を6時間50分で滴下し、1時間半保持し、第2の反応溶液を得た。
次に、得られた第2の反応溶液を143℃まで18分間掛けて昇温し、3時間保持することにより樹脂中の残存したスチレン単量体を除去し、常温まで冷却して5Lオートクレーブから粒子を取り出し、脱水乾燥して、複合樹脂粒子を得た。
得られた複合樹脂粒子は、カーボンブラックの傾斜構造を有していた。
(発泡粒子の作製)
次に、攪拌機付5Lオートクレーブに、複合樹脂粒子1000gと、純水3000gと、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの25質量%水溶液2.0gと、ブタンガス260mLを入れて、常温で攪拌した。その後、70℃まで昇温し、2時間保持した。これを常温まで冷却した後、オートクレーブから発泡性粒子を取り出し、脱水乾燥した。その後、発泡性粒子を予備発泡させて、嵩密度(上記の方法により測定)が0.026g/cm3である予備発泡粒子を得た。
(発泡成形体の作製)
得られた予備発泡粒子を2日間室温に放置した。その後、400×300×30mmの大きさのキャビティを有する成形型の該キャビティ内に予備発泡粒子を充填し、成形型に0.24MPaの水蒸気を60秒間導入して加熱した。その後、発泡成形体の最高面圧が0.005MPaに低下するまで冷却して、発泡成形体を得た。この成形条件により、外観及び融着がともに良好である発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の密度(上記の方法により測定)は0.025g/cm3であった。
得られた発泡成形体の発泡倍数および成形加工性(加熱寸法変化)を評価した。
それらの結果を、使用した原料と共に表1に示す。
[実施例2]
(種粒子の作製)
ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製「プライムポリプロ F−744NP」、融点:140℃)61.6量部とスチレン−アクリル系樹脂共重合体樹脂(PSジャパン社製「MM290」、Tg:130℃、樹脂D)30質量部とカーボンマスターバッチ(大日精化社製「10H381」、Tg:123℃、カーボンA)8.4質量部を押出機に供給して、溶融混練し、ストランドカットにて造粒して、楕円球状(卵状)の種粒子を得た。このとき、種粒子1個当たりの平均質量は約0.6mgであった。
(第1の重合)
次に、攪拌機付5Lオートクレーブに、得られた種粒子918gと、水性媒体である純水900gと、ピロリン酸ナトリウム20gと、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの25質量%水溶液0.5gとを熱水700gに溶解させた溶液を入れ、70℃まで攪拌しながら昇温した。その後、塩化マグネシウム・六水和物36gを熱水200gに溶解させた溶液を添加し、15分間保持することにより、水性懸濁液を得た。
次に、この懸濁液中に、スチレン単量体276gにジクミルパーオキサイド0.7gを溶解させた溶液を30分で滴下した。滴下後30分保持し、120℃まで50分間掛けて昇温した。
次に、120℃にて1時間保持し、143℃に23分間掛けて昇温し、143℃にて2時間保持することにより、段階的にスチレン単量体を種粒子に吸収させ、スチレン単量体を重合させて、反応溶液を得た。
(第2の重合)
次に、得られた反応溶液を常温(25℃)まで冷却し、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの25質量%水溶液2.4gを熱水50gに溶解させた溶液を添加した。その後、反応溶液を125℃まで昇温し、スチレン単量体606gにジクミルパーオキサイド2.6gを溶解させた溶液を4時間40分で滴下し、1時間半保持し、第2の反応溶液を得た。
次に、得られた第2の反応溶液を143℃まで18分間掛けて昇温し、3時間保持することにより樹脂中の残存したスチレン単量体を除去し、常温まで冷却して5Lオートクレーブから粒子を取り出し、脱水乾燥して、複合樹脂粒子を得た。
得られた複合樹脂粒子は、カーボンブラックの傾斜構造を有していた。
(発泡粒子の作製)
次に、攪拌機付5Lオートクレーブに、複合樹脂粒子1000gと、純水3000gと、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの25質量%水溶液2.0gと、ブタンガス260mLを入れて、常温で攪拌した。その後、70℃まで昇温し、2時間保持した。これを常温まで冷却した後、オートクレーブから発泡性粒子を取り出し、脱水乾燥した。その後、発泡性粒子を予備発泡させて、嵩密度(上記の方法により測定)が0.026g/cm3である予備発泡粒子を得た。
(発泡成形体の作製)
得られた予備発泡粒子を2日間室温に放置した。その後、400×300×30mmの大きさのキャビティを有する成形型の該キャビティ内に予備発泡粒子を充填し、成形型に0.24MPaの水蒸気を60秒間導入して加熱した。その後、発泡成形体の最高面圧が0.005MPaに低下するまで冷却して、発泡成形体を得た。この成形条件により、外観及び融着がともに良好である発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の密度(上記の方法により測定)は0.025g/cm3であった。
得られた発泡成形体の発泡倍数および成形加工性(加熱寸法変化)を評価した。
それらの結果を、使用した原料と共に表1に示す。
[実施例3]
(種粒子の作製)
ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製「プライムポリプロ F−744NP」、融点:140℃)79.2量部とスチレン−アクリル系樹脂共重合体樹脂(PSジャパン社製「MM290」、Tg:130℃、樹脂D)10質量部とカーボンマスターバッチ(大日精化社製「10H381」、Tg:123℃、カーボンA)10.8質量部を押出機に供給して、溶融混練し、ストランドカットにて造粒して、楕円球状(卵状)の種粒子を得た。このとき、種粒子1個当たりの平均質量は約0.6mgであった。
(第1の重合)
次に、攪拌機付5Lオートクレーブに、得られた種粒子900gと、水性媒体である純水900gと、ピロリン酸ナトリウム20gと、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの25質量%水溶液0.5gとを熱水700gに溶解させた溶液を入れ、70℃まで攪拌しながら昇温した。その後、塩化マグネシウム・六水和物36gを熱水200gに溶解させた溶液を添加し、15分間保持することにより、水性懸濁液を得た。
次に、この懸濁液中に、スチレン単量体271gにジクミルパーオキサイド0.5gを溶解させた溶液を30分で滴下した。滴下後30分保持し、120℃まで50分間掛けて昇温した。
次に、120℃にて1時間保持し、143℃に23分間掛けて昇温し、143℃にて2時間保持することにより、段階的にスチレン単量体を種粒子に吸収させ、スチレン単量体を重合させて、反応溶液を得た。
(第2の重合)
次に、得られた反応溶液を常温(25℃)まで冷却し、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの25質量%水溶液2.4gを熱水50gに溶解させた溶液を添加した。その後、反応溶液を125℃まで昇温し、スチレン単量体629gにジクミルパーオキサイド2.7gを溶解させた溶液を4時間50分で滴下し、1時間半保持し、第2の反応溶液を得た。
次に、得られた第2の反応溶液を143℃まで18分間掛けて昇温し、3時間保持することにより樹脂中の残存したスチレン単量体を除去し、常温まで冷却して5Lオートクレーブから粒子を取り出し、脱水乾燥して、複合樹脂粒子を得た。
得られた複合樹脂粒子は、カーボンブラックの傾斜構造を有していた。
(発泡粒子の作製)
次に、攪拌機付5Lオートクレーブに、複合樹脂粒子1000gと、純水3000gと、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの25質量%水溶液2.0gと、ブタンガス260mLを入れて、常温で攪拌した。その後、70℃まで昇温し、2時間保持した。これを常温まで冷却した後、オートクレーブから発泡性粒子を取り出し、脱水乾燥した。その後、発泡性粒子を予備発泡させて、嵩密度(上記の方法により測定)が0.026g/cm3である予備発泡粒子を得た。
(発泡成形体の作製)
得られた予備発泡粒子を2日間室温に放置した。その後、400×300×30mmの大きさのキャビティを有する成形型の該キャビティ内に予備発泡粒子を充填し、成形型に0.24MPaの水蒸気を60秒間導入して加熱した。その後、発泡成形体の最高面圧が0.005MPaに低下するまで冷却して、発泡成形体を得た。この成形条件により、外観及び融着がともに良好である発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の密度(上記の方法により測定)は0.025g/cm3であった。
得られた発泡成形体の発泡倍数および成形加工性(加熱寸法変化)を評価した。
それらの結果を、使用した原料と共に表1に示す。
[実施例4]
(種粒子の作製)
ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製「プライムポリプロ F−744NP」、融点:140℃)70.4量部とスチレン−アクリル系樹脂共重合体樹脂(PSジャパン社製「MM290」、Tg:130℃、樹脂D)20質量部とカーボンマスターバッチ(大日精化社製「10H381」、Tg:123℃、カーボンA)9.6質量部を押出機に供給して、溶融混練し、ストランドカットにて造粒して、楕円球状(卵状)の種粒子を得た。このとき、種粒子1個当たりの平均質量は約0.6mgであった。
(第1の重合)
次に、攪拌機付5Lオートクレーブに、得られた種粒子1013gと、水性媒体である純水900gと、ピロリン酸ナトリウム20gと、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの25質量%水溶液0.6gとを熱水700gに溶解させた溶液を入れ、70℃まで攪拌しながら昇温した。その後、塩化マグネシウム・六水和物36gを熱水200gに溶解させた溶液を添加し、15分間保持することにより、水性懸濁液を得た。
次に、この懸濁液中に、スチレン単量体305gにジクミルパーオキサイド0.5gを溶解させた溶液を30分で滴下した。滴下後30分保持し、120℃まで50分間掛けて昇温した。
次に、120℃にて1時間保持し、143℃に23分間掛けて昇温し、143℃にて2時間保持することにより、段階的にスチレン単量体を種粒子に吸収させ、スチレン単量体を重合させて、反応溶液を得た。
(第2の重合)
次に、得られた反応溶液を常温(25℃)まで冷却し、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの25質量%水溶液2.4gを熱水50gに溶解させた溶液を添加した。その後、反応溶液を125℃まで昇温し、スチレン単量体482gにジクミルパーオキサイド2.4gを溶解させた溶液を3時間40分で滴下し、1時間半保持し、第2の反応溶液を得た。
次に、得られた第2の反応溶液を143℃まで18分間掛けて昇温し、3時間保持することにより樹脂中の残存したスチレン単量体を除去し、常温まで冷却して5Lオートクレーブから粒子を取り出し、脱水乾燥して、複合樹脂粒子を得た。
得られた複合樹脂粒子は、カーボンブラックの傾斜構造を有していた。
(発泡粒子の作製)
次に、攪拌機付5Lオートクレーブに、複合樹脂粒子1000gと、純水3000gと、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの25質量%水溶液2.0gと、ブタンガス260mLを入れて、常温で攪拌した。その後、70℃まで昇温し、2時間保持した。これを常温まで冷却した後、オートクレーブから発泡性粒子を取り出し、脱水乾燥した。その後、発泡性粒子を予備発泡させて、嵩密度(上記の方法により測定)が0.028g/cm3である予備発泡粒子を得た。
(発泡成形体の作製)
得られた予備発泡粒子を2日間室温に放置した。その後、400×300×30mmの大きさのキャビティを有する成形型の該キャビティ内に予備発泡粒子を充填し、成形型に0.24MPaの水蒸気を60秒間導入して加熱した。その後、発泡成形体の最高面圧が0.005MPaに低下するまで冷却して、発泡成形体を得た。この成形条件により、外観及び融着がともに良好である発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の密度(上記の方法により測定)は0.025g/cm3であった。
得られた発泡成形体の発泡倍数および成形加工性(加熱寸法変化)を評価した。
それらの結果を、使用した原料と共に表1に示す。
[比較例1]
(種粒子の作製)
ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製「プライムポリプロ F−744NP」、融点:140℃)79.2量部とスチレン−アクリル系樹脂共重合体樹脂(PSジャパン社製「MM290」、Tg:130℃、樹脂D)10質量部とカーボンマスターバッチ(大日精化社製「10H381」、Tg:123℃、カーボンA)10.8質量部を押出機に供給して、溶融混練し、ストランドカットにて造粒して、楕円球状(卵状)の種粒子を得た。このとき、種粒子1個当たりの平均質量は約0.6mgであった。
(第1の重合)
次に、攪拌機付5Lオートクレーブに、得られた種粒子1440gと、水性媒体である純水900gと、ピロリン酸ナトリウム20gと、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの25質量%水溶液0.5gとを熱水700gに溶解させた溶液を入れ、70℃まで攪拌しながら昇温した。その後、塩化マグネシウム・六水和物36gを熱水200gに溶解させた溶液を添加し、15分間保持することにより、水性懸濁液を得た。
次に、この懸濁液中に、スチレン単量体150gにジクミルパーオキサイド0.3gを溶解させた溶液を30分で滴下した。滴下後30分保持し、120℃まで50分間掛けて昇温した。
次に、120℃にて1時間保持し、143℃に23分間掛けて昇温し、143℃にて2時間保持することにより、段階的にスチレン単量体を種粒子に吸収させ、スチレン単量体を重合させて、反応溶液を得た。
(第2の重合)
次に、得られた反応溶液を常温(25℃)まで冷却し、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの25質量%水溶液2.4gを熱水50gに溶解させた溶液を添加した。その後、反応溶液を125℃まで昇温し、スチレン単量体210gにジクミルパーオキサイド1.1gを溶解させた溶液を1時間40分で滴下し、1時間半保持し、第2の反応溶液を得た。
次に、得られた第2の反応溶液を143℃まで18分間掛けて昇温し、3時間保持することにより樹脂中の残存したスチレン単量体を除去し、常温まで冷却して5Lオートクレーブから粒子を取り出し、脱水乾燥して、複合樹脂粒子を得た。
得られた複合樹脂粒子は、カーボンブラックの傾斜構造を有していた。
(発泡粒子の作製)
次に、攪拌機付5Lオートクレーブに、複合樹脂粒子1000gと、純水3000gと、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの25質量%水溶液2.0gと、ブタンガス260mLを入れて、常温で攪拌した。その後、70℃まで昇温し、2時間保持した。これを常温まで冷却した後、オートクレーブから発泡性粒子を取り出し、脱水乾燥した。その後、発泡性粒子を予備発泡させて、嵩密度(上記の方法により測定)が0.05g/cm3である予備発泡粒子を得た。
(発泡成形体の作製)
得られた予備発泡粒子を2日間室温に放置した。その後、400×300×30mmの大きさのキャビティを有する成形型の該キャビティ内に予備発泡粒子を充填し、成形型に0.24MPaの水蒸気を60秒間導入して加熱した。その後、発泡成形体の最高面圧が0.005MPaに低下するまで冷却して、発泡成形体を得た。この成形条件により、外観及び融着がともに良好である発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の密度(上記の方法により測定)は0.055g/cm3であった。
得られた発泡成形体の発泡倍数および成形加工性(加熱寸法変化)を評価した。
それらの結果を、使用した原料と共に表2に示す。
[比較例2]
(種粒子の作製)
ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製「プライムポリプロ F−744NP」、融点:140℃)52.8量部とスチレン−アクリル系樹脂共重合体樹脂(PSジャパン社製「MM290」、Tg:130℃、樹脂D)40質量部とカーボンマスターバッチ(大日精化社製「10H381」、Tg:123℃、カーボンA)7.2質量部を押出機に供給して、溶融混練し、ストランドカットにて造粒して、楕円球状(卵状)の種粒子を得た。このとき、種粒子1個当たりの平均質量は約0.6mgであった。
(第1の重合)
次に、攪拌機付5Lオートクレーブに、得られた種粒子1080gと、水性媒体である純水900gと、ピロリン酸ナトリウム20gと、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの25質量%水溶液0.5gとを熱水700gに溶解させた溶液を入れ、70℃まで攪拌しながら昇温した。その後、塩化マグネシウム・六水和物36gを熱水200gに溶解させた溶液を添加し、15分間保持することにより、水性懸濁液を得た。
次に、この懸濁液中に、スチレン単量体325gにジクミルパーオキサイド0.7gを溶解させた溶液を30分で滴下した。滴下後30分保持し、120℃まで50分間掛けて昇温した。
次に、120℃にて1時間保持し、143℃に23分間掛けて昇温し、143℃にて2時間保持することにより、段階的にスチレン単量体を種粒子に吸収させ、スチレン単量体を重合させて、反応溶液を得た。
(第2の重合)
次に、得られた反応溶液を常温(25℃)まで冷却し、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの25質量%水溶液2.4gを熱水50gに溶解させた溶液を添加した。その後、反応溶液を125℃まで昇温し、スチレン単量体395gにジクミルパーオキサイド2.2gを溶解させた溶液を3時間で滴下し、1時間半保持し、第2の反応溶液を得た。
次に、得られた第2の反応溶液を143℃まで18分間掛けて昇温し、3時間保持することにより樹脂中の残存したスチレン単量体を除去し、常温まで冷却して5Lオートクレーブから粒子を取り出し、脱水乾燥して、複合樹脂粒子を得た。
得られた複合樹脂粒子は、カーボンブラックの傾斜構造を有していた。
(発泡粒子の作製)
次に、攪拌機付5Lオートクレーブに、複合樹脂粒子1000gと、純水3000gと、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの25質量%水溶液2.0gと、ブタンガス260mLを入れて、常温で攪拌した。その後、70℃まで昇温し、2時間保持した。これを常温まで冷却した後、オートクレーブから発泡性粒子を取り出し、脱水乾燥した。その後、発泡性粒子を予備発泡させたが、発泡しなかった。
[比較例3]
(種粒子の作製)
ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製「プライムポリプロ F−744NP」、融点:140℃)70.4質量部とスチレン−アクリル系樹脂共重合体樹脂(PSジャパン社製「MM290」、Tg:130℃、樹脂D)20質量部とカーボンマスターバッチ(ユニカー社製「28E−40」、Tg:104℃、カーボンB)9.6質量部を押出機に供給して、溶融混練し、ストランドカットにて造粒して、楕円球状(卵状)の種粒子を得た。このとき、種粒子1個当たりの平均質量は約0.6mgであった。
それ以降の工程については、実施例1と同様の作業で発泡成形体を作成した。
得られた複合樹脂粒子は、カーボンブラックの傾斜構造を有さなかった。
得られた発泡成形体の発泡倍数および成形加工性(加熱寸法変化)を評価した。
それらの結果を、使用した原料と共に表2に示す。
[比較例4]
(種粒子の作製)
ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製「プライムポリプロ F−744NP」、融点:140℃)70.4質量部とスチレン−アクリル系樹脂共重合体樹脂(PSジャパン社製「MM290」、Tg:130℃、樹脂D)20質量部とカーボンマスターバッチ(ユニカー社製「MHRB−013」、Tg:107℃、カーボンC)9.6質量部を押出機に供給して、溶融混練し、ストランドカットにて造粒して、楕円球状(卵状)の種粒子を得た。このとき、種粒子1個当たりの平均質量は約0.6mgであった。
それ以降の工程については、実施例1と同様の作業で発泡成形体を作成した。
得られた複合樹脂粒子は、カーボンブラックの傾斜構造を有さなかった。
得られた発泡成形体の発泡倍数および成形加工性(加熱寸法変化)を評価した。
それらの結果を、使用した原料と共に表2に示す。
[比較例5]
(種粒子の作製)
ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製「プライムポリプロ F−744NP」、融点:140℃)70.4質量部とアクリル−メチルメタクリル系樹脂共重合体樹脂(住友化学社製「スミペックMG5」、Tg:108℃、樹脂E)20質量部とカーボンマスターバッチ(大日精化社製「10H381」、Tg:123℃、カーボンA)9.6質量部を押出機に供給して、溶融混練し、ストランドカットにて造粒して、楕円球状(卵状)の種粒子を得た。このとき、種粒子1個当たりの平均質量は約0.6mgであった。
(第1の重合)
次に、攪拌機付5Lオートクレーブに、上記種粒子940gと、水性媒体である純水900gと、ピロリン酸ナトリウム20gと、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの25質量%水溶液0.5gとを熱水700gに溶解させた溶液を入れ、70℃まで攪拌しながら昇温した。その後、塩化マグネシウム・六水和物36gを熱水200gに溶解させた溶液を添加し、15分間保持することにより、水性懸濁液を得た。
次に、この懸濁液中に、スチレン単量体280gにジクミルパーオキサイド0.6gを溶解させた溶液を30分で滴下した。滴下後30分保持し、120℃まで50分間掛けて昇温した。
次に、120℃にて1時間保持し、143℃に23分間掛けて昇温し、143℃にて2時間保持することにより、段階的にスチレン単量体を種粒子に吸収させ、スチレン単量体を重合させて、反応溶液を得た。
(第2の重合)
次に、得られた反応溶液を常温(25℃)まで冷却し、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの25質量%水溶液2.4gを熱水50gに溶解させた溶液を添加した。その後、反応溶液を125℃まで昇温し、スチレン単量体777gにジクミルパーオキサイド3.2gを溶解させた溶液を6時間50分で滴下し、1時間半保持し、第2の反応溶液を得た。
次に、得られた第2の反応溶液を143℃まで18分間掛けて昇温し、3時間保持することにより樹脂中の残存したスチレン単量体を除去し、常温まで冷却して5Lオートクレーブから粒子を取り出す際、粒子同士が合着しており、良好な複合樹脂粒子が得られなかった。
Figure 2017179243
Figure 2017179243
表1の結果から、次のことがわかる。
実施例1〜4の発泡成形体は、比較例1〜5の発泡成形体に比べて、良好な発泡性と優れた耐熱性とを併せ持ち、かつ高い黒色度を有することがわかる。

Claims (5)

  1. ポリプロピレン系樹脂とスチレン−アクリル系共重合体樹脂とポリスチレン系樹脂とを含有する複合樹脂と、カーボンブラックとから構成されるカーボンブラック含有複合樹脂粒子であり、
    前記スチレン−アクリル系共重合体樹脂と前記ポリスチレン系樹脂との合計含有量が、前記ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して100〜250質量部であり、
    前記スチレン−アクリル系共重合体樹脂の含有量が、前記ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して5〜60質量部であり、
    前記カーボンブラックが、前記複合樹脂粒子中に0.3〜3質量%含まれかつ前記複合樹脂粒子の表面に多くかつその粒子中心に少なく存在する傾斜構造を有する
    ことを特徴とするカーボンブラック含有複合樹脂粒子。
  2. 請求項1に記載のカーボンブラック含有複合樹脂粒子と、発泡剤とを含む発泡性粒子。
  3. 請求項2に記載の発泡性粒子を予備発泡させて得られた発泡粒子。
  4. 請求項3に記載の発泡粒子を発泡成形させて得られた発泡成形体。
  5. 前記発泡成形体が、部品梱包材、自動車部材または緩衝材である請求項4に記載の発泡成形体。
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WO2024181351A1 (ja) * 2023-02-27 2024-09-06 積水化成品工業株式会社 カーボン成分含有複合樹脂粒子、発泡粒子、発泡成形体、及び当該複合樹脂粒子の製造方法

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