JP7010615B2 - 皮膚貼付用ゲル組成物及び積層物 - Google Patents

皮膚貼付用ゲル組成物及び積層物 Download PDF

Info

Publication number
JP7010615B2
JP7010615B2 JP2017144198A JP2017144198A JP7010615B2 JP 7010615 B2 JP7010615 B2 JP 7010615B2 JP 2017144198 A JP2017144198 A JP 2017144198A JP 2017144198 A JP2017144198 A JP 2017144198A JP 7010615 B2 JP7010615 B2 JP 7010615B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gel composition
water
present
skin
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017144198A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019026562A (ja
Inventor
英美 嶋田
匡俊 関谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kose Corp
Original Assignee
Kose Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kose Corp filed Critical Kose Corp
Priority to JP2017144198A priority Critical patent/JP7010615B2/ja
Publication of JP2019026562A publication Critical patent/JP2019026562A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7010615B2 publication Critical patent/JP7010615B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Cosmetics (AREA)

Description

本発明は、皮膚貼付用ゲル組成物及び積層物に関し、より詳しくは保湿作用を有する皮膚貼付用ゲル組成物及び当該ゲル組成物を含む積層物に関する。
スキンケア用化粧料の一つにパック化粧料がある。パック化粧料の多くは、顔に貼り付けられ、そして、所定時間の経過後に顔から剥がされ又は洗い流される。パック化粧料は、例えば皮膚の保湿のために用いられる。このような化粧料として、例えば以下が開示されている。
下記特許文献1には、パック用ゲルシートが開示されており、当該ゲルシートは、寒天及びキサンタンガムを少なくとも含み且つポリアクリル酸又はポリアクリル酸ナトリウムを含む(請求項1)。下記特許文献2には、O/Wゲル組成物が開示されており、当該組成物は、ポリマーゲル形成剤、低くとも30℃の融点を有するワックス成分、25℃で液状である油成分、及び水を含む(請求項1)。
また、下記特許文献3には、剥離型パック化粧料が開示されており、当該化粧料は、皮膜形成可能な温度感受性高分子、ゲル化能を有する水溶性高分子、グリセリン、油剤、及び水を含む(請求項1)。下記特許文献4には、O/W型エマルションを含浸させたシート状化粧料が開示されており、当該エマルションは、油相成分、油溶性N-長鎖アシル酸性アミノ酸エステル、リン脂質、コラーゲン、カルシウムイオン供給化合物、及び多価アルコールを含む水相成分を含む(請求項1)。
特開2005-008613号公報 特表2007-531776号公報 特開2007-269712号公報 特開2016-169209号公報
本発明は、新たなゲル組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、優れた保湿効果を有するゲル組成物を提供することも目的とする。
本発明者らは、特定の組成を有するゲル組成物が、保湿効果に優れていることを見出した。
すなわち、本発明は、
(A)抱水力10%以上の抱水性油剤 1~25質量%、
(B)リン脂質 0.4~6質量%、
(C)アクリル酸系ポリマー 0.1~10質量%、
(D)ゲルを形成可能な水溶性多糖類 0.1~10質量%、及び
(E)水
を含有する皮膚貼付用ゲル組成物を提供する。
本発明の一つの実施態様に従い、前記(A)成分の50℃における抱水力は50%以上でありうる。
本発明の一つの実施態様に従い、前記(A)成分の融点は25℃以上でありうる。
本発明の一つの実施態様に従い、前記(C)成分は、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム部分中和物、架橋型ポリアクリル酸、架橋型ポリアクリル酸ナトリウム、及びアクリル酸及び/又はアクリル酸塩と他の単量体との共重合体から選ばれる1つ又は2つ以上の組合せでありうる。
本発明の一つの実施態様に従い、前記(C)成分は、100万~1000万の分子量を有しうる。
本発明の一つの実施態様に従い、前記(D)成分は、45℃以上のゲル再溶融温度を有しうる。
本発明の一つの実施態様に従い、前記(D)成分は、寒天、カラギーナン、ペクチン、ジェランガム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、ローカストビーンガム、及びタマリンドガムから選ばれる1つ又は2つ以上の組合せでありうる。
本発明の一つの実施態様に従い、前記皮膚貼付用ゲル組成物は、水中油型エマルジョンのゲルでありうる。
本発明の一つの実施態様に従い、前記皮膚貼付用ゲル組成物は、30℃~50℃に温めた後に皮膚に貼付されてよく又は皮膚に貼付された後に30℃~50℃に温められてもよい。
本発明の一つの実施態様に従い、前記皮膚貼付用ゲル組成物は、目の周囲の皮膚に貼付されるものでありうる。
本発明の一つの実施態様に従い、前記(A)成分は、25℃でペースト状を呈するものでありうる。
また、本発明は、前記皮膚貼付用ゲル組成物と支持体との積層物も提供する。
本発明により、新たな皮膚貼付用ゲル組成物が提供される。本発明の皮膚貼付用ゲル組成物は保湿効果に優れている。なお、本発明の効果は、ここに記載されたものに必ずしも限定されるものでなく、本明細書内に記載されたいずれかの効果であってもよい。
本発明の実施態様の一つであるアイマスクの、ゲル組成物積層側を示す模式図である。 本発明の実施態様の一つであるアイマスクの、ゲル組成物積層側と反対側を示す模式図である。
本発明は、皮膚貼付用ゲル組成物を提供する。当該皮膚貼付用ゲル組成物は、(A)抱水性油剤1~25質量%、(B)リン脂質0.4~6質量%、(C)アクリル酸系ポリマー0.1~10質量%、(D)ゲルを形成可能な水溶性多糖類0.1~10質量%、及び(E)水 を含有する。
本発明のゲル組成物を皮膚に貼付することによって、皮膚が保湿されるという効果が奏される。本発明によって、皮膚が保湿された状態が持続するという効果も奏される。このように、本発明のゲル組成物は保湿作用に優れている。
また、本発明のゲル組成物は、肌への密着性に優れている。すなわち、本発明のゲル組成物は、皮膚への貼付後に、ゲル組成物が皮膚から剥がれにくい。当該密着性により、皮膚とゲル組成物とが接触している状態を保つことができ、上記保湿作用がより効果的に発揮されうる。
また、本発明のゲル組成物は、保型性に優れている。すなわち、本発明のゲル組成物は、皮膚から剥がす時にゲル組成物が切れたり又は欠けたりしづらい。また、本発明のゲル組成物は、皮膚から剥がした時に皮膚表面にゲル組成物の片が残存しにくい。
以上のとおり、本発明のゲル組成物は、保湿作用、密着性、及び保型性に優れている。これらの特性は、本発明のゲル組成物の上記組成によるものである。
(A)抱水性油剤
本発明のゲル組成物は、抱水性油剤を、当該ゲル組成物の質量に対して1~25質量%の割合で含む。
本発明のゲル組成物を皮膚に貼付することで、当該ゲル組成物中の抱水性油剤が、ゲル組成物内から皮膚へと移行する。その結果、皮膚に対する抱水性油剤の保湿作用が発揮されうる。このように、本発明において、抱水性油剤は、本発明のゲル組成物が保湿作用を発揮することに特に寄与する。
抱水性油剤とは、水を抱え込む性質を有する油剤をいう。本発明において、抱水力とは、50℃の油剤がどの程度の量の水を抱え込むことができるかを示す指標である。本発明において、油剤の抱水力は以下のとおりに評価される。すなわち、50℃に加熱した試料(油性成分)10gを200mLビーカーに秤り取る。ディスパーミキサーにて3000rpmで攪拌しながら、50℃の水を徐々に、水が試料から排液されるまで添加する。試料からの水の排液が始まるまでの水の添加量(質量)を測定する。当該添加量を試料の質量10gで除して商が得られる。当該商を100倍した数値が抱水力(%)である。
本発明において用いられる抱水性油剤は、好ましくは50%以上、より好ましくは75%以上、さらにより好ましくは100%以上、特に好ましくは120%以上、の抱水力を有する油剤でありうる。より高い抱水力によって、より優れた保湿効果が奏されうる。
本発明において用いられる抱水性油剤の抱水力の上限は、例えば800%、特には600%、より特には550%、さらにより特には500%でありうる。
本発明において用いられうる10%以上の抱水力を有する油剤の例として、例えばワセリン(抱水力約18%)を挙げることができる。
本発明において用いられうる100%以上の抱水力を有する油剤の例として、以下を挙げることができる:
ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル又はフィトステリル/べへニル/オクチルドデシル)、及びラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル又はフィトステリル/オクチルドデシル)等のアシルグルタミン酸エステル;
シア脂;
イソステアリン酸ポリグリセリル-6、カプリル酸ポリグリセリル-6、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/エイコサン二酸)ポリグリセリル-10、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10、デカマカデミアナッツ脂肪酸ポリグリセリル-10等のポリグリセリン脂肪酸エステル;
ペンタ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、及びヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル等のジペンタエリトリット脂肪酸エステル;
コレステロール又はコレステロール誘導体、例えばコレスタノール、デヒドロコレステロール、ラノリン脂肪酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、リシノール酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリルなど;
フィトステロール又はフィトステロール誘導体、例えばオレイン酸フィトステリル、マカデミアンナッツ油脂肪酸フィトステリルなど;
ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジ(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、及びダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスイソステアリル等のダイマー酸エステル;
(エチルへキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル、及びビスジグリセリルポリアシルアジペート-2等のアジピン酸エステル;及び
ラノリン、吸着精製ラノリン、液状ラノリン、又はラノリン誘導体、例えば還元ラノリン、酢酸液状ラノリン、ラノリンアルコール、水素添加ラノリンアルコール、及びラノリン脂肪酸、並びにこれらをポリオキシアルキレンで変性したものなど。
本発明において用いられる抱水性油剤は、好ましくは回転粘度計で測定される30℃での粘度が10,000mPa・s以上、より好ましくは20,000mPa・s以上、さらにより好ましくは30,000mPa・s以上でありうる。
本発明において用いられる抱水性油剤は、好ましくは25℃以上、より好ましくは28℃以上、さらにより好ましくは30℃以上の融点を有するものでありうる。このような融点を有する抱水性油剤は室温(25℃)では流動性が低い。そのため、このような融点を有する抱水性油剤を本発明のゲル組成物が含むことで、室温での当該ゲル組成物の保型性が向上しうる。
本発明において用いられる抱水性油剤は、好ましくは70℃以下、より好ましくは65℃、さらにより好ましくは60℃以下、さらにより好ましくは55℃以下の融点を有しうる。抱水性油剤がこのような融点を有することによって、例えば皮膚への貼付又は発熱体による加熱などによってゲル組成物が温められた場合に、抱水性油剤の流動性が増す。その結果、抱水性油剤が肌へ移行することが促進されうる。
また、本発明において用いられる抱水性油剤は、好ましくは半固形状であり、より特には25℃でペースト状を呈しうる。抱水性油剤が半固形状であることにより、ゲル組成物内から肌へ移行した抱水性油剤が流失することなく肌上に留まるため、本発明のゲル組成物がより保湿効果の持続性に優れるとともに、密着性及び保型性が優れたものとなりうる。
本発明において用いられる抱水性油剤は、好ましくは、
ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)(抱水力は470%程度である)、
ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)(抱水力は300%程度である)、
オレイン酸フィトステリル(抱水力は100%超である)、
ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル(抱水力は170%程度である)、
ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2(抱水力は190%程度である)、及び
マカデミアンナッツ油脂肪酸フィトステリル(抱水力は300%程度である)
から選ばれる1つ又は2つ以上の組み合わせでありうる。
これらの抱水性油剤は、抱水性が高く、粘度が高く、且つ融点が30℃以上であるので、本発明の組成物に特に適している。
本発明の特に好ましい実施態様において、抱水性油剤としてオレイン酸フィトステリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、又はこれらの組み合わせが用いられうる。
本発明のゲル組成物に含まれる抱水性油剤の含有割合は、当該ゲル組成物の質量に対して1~25質量%、好ましくは1~20質量%、より好ましくは2~20質量%、さらにより好ましくは5~15質量%でありうる。抱水性油剤の含有割合がこの数値範囲内にあることが、本発明のゲル組成物が保湿作用、密着性、及び保型性に優れていることに寄与する。抱水性油剤の含有割合を上記数値範囲の上限値以下とすることで、特には抱水性油剤の析出を抑制することができ保型性が向上しうる。また、抱水性油剤の含有割合を上記数値範囲の下限値以上とすることで、十分量の抱水性油剤がゲル組成物内から肌に移行し、特には保湿作用及び密着性が向上しうる。
(B)リン脂質
本発明のゲル組成物は、リン脂質を、当該ゲル組成物の質量に対して0.4~6質量%の割合で含む。リン脂質は、抱水性油剤と水との混合のために、より特には抱水性油剤と水とを混合してO/Wエマルジョンを形成するために用いられる。リン脂質は、本発明のゲル組成物が保湿作用、密着性、及び保型性を有することに、特にはその高い乳化能により抱水性油剤の析出を抑制して内油層に留めおく効果に優れることから保型性を有することに寄与する。より特には、本発明のゲル組成物がリン脂質を用いて形成されたO/Wエマルジョンのゲルであることが、本発明のゲル組成物が保湿作用、密着性、及び保型性を有することに、より特には保型性を有することに寄与する。
リン脂質は、リン酸エステル部位を有する脂質である。本発明において用いられるリン脂質は、例えば化粧料などの皮膚用組成物において通常用いられるリン脂質でありうる。
リン脂質は、グリセリン又はスフィンゴシンに脂肪酸及びリン酸が結合した構造を有し、当該リン酸には例えばアルコール又はコリンなどがエステル結合しうる。すなわち、リン脂質には、グリセリンを基本骨格とするグリセロリン脂質と、スフィンゴシンを基本骨格とするスフィンゴリン脂質とが包含される。グリセリンのC1及びC2位に脂肪酸が結合し且つC3位にリン酸がそれぞれエステル結合した分子をホスファチジン酸という。ホスファチジン酸のC2位から脂肪酸が外れた分子をリゾホスファチジン酸という。リン脂質中のリン酸には、例えばコリン、エタノールアミン、イノシトール、セリン、又はグリセリンなどが結合されうる。
グリセロリン脂質に包含される化合物として例えば、ホスファチジルコリン(即ち、レシチン。PCともいう。)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ジホスファチジルグリセロール(DPG)、リゾホスファチジルコリン(即ち、リゾレシチン。LPC)及びホスファチジン酸(PA)、並びにこれらの水素化物を挙げることができる。スフィンゴリン脂質に包含される化合物として例えば、スフィンゴミエリン(SM)を挙げることができる。本発明において用いられるリン脂質は、これらグリセロリン脂質及びスフィンゴリン脂質に包含される化合物のうちの1つ又は2つ以上の混合物でありうる。
好ましくは、本発明において用いられるリン脂質の少なくとも一部がホスファチジルコリンでありうる。本発明の好ましい実施態様において、ホスファチジルコリンがリン脂質に占める割合は、リン脂質の質量に対して好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらにより好ましくは70質量%以上、さらにより好ましくは75質量%以上でありうる。ホスファチジルコリンの割合が高いことによって、ゲル化される乳化物の安定性が向上されうる。また、ホスファチジルコリンがリン脂質に占める割合は、リン脂質の質量に対して例えば100質量%以下であってよく、又は、例えば乳化安定性の観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらにより好ましくは85質量%以下でありうる。
本発明の一つの実施態様において、リン脂質の少なくとも一部がホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンでありうる。また、本発明の一つの実施態様において、リン脂質の少なくとも一部が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、及びホスファチジン酸でありうる。
本発明において用いられるリン脂質は例えば、動物、植物、又は微生物から抽出されるリン脂質若しくは当該リン脂質の水素添加物又は合成リン脂質でありうる。好ましくは、本発明において用いられるリン脂質は、植物由来のリン脂質若しくは当該リン脂質の水素添加物でありうる。リン脂質の源は、例えば鶏卵、特には卵黄、又は大豆でありうる。好ましい実施態様において、本発明において用いられるリン脂質は、大豆由来のリン脂質又はこれらの水素化物、より好ましくは大豆由来のリン脂質の水素化物(水素添加大豆リン脂質とも呼ばれる)でありうる。リン脂質が水素添加物であることにより、本発明のゲル組成物の保存安定性が向上しうる。本発明において用いられるリン脂質として例えば、日光ケミカルズ株式会社より提供されるNIKKOLレシノールS-10E、株式会社ワイエムシィより提供されるHSL70、日清オイリオグループ株式会社より提供されるベイシスLS-60HR、及びキューピー株式会社より提供される卵黄レシチンPL-100P等が挙げられる。
本発明のゲル組成物に含まれるリン脂質の含有割合は、当該ゲル組成物の質量に対して0.4~6質量%、好ましくは0.5~5質量%、より好ましくは0.7~4質量%、さらにより好ましくは1~3質量%でありうる。リン脂質の含有割合がこの数値範囲内にあることが、本発明のゲル組成物が保湿作用、密着性、及び保型性に優れていることに寄与する。リン脂質の含有割合を上記数値範囲の上限値以下とすることで、ゲル組成物内からの抱水性油剤の染み出しを阻害することなく十分量を肌に移行させることができ、特には保湿効果の持続性が向上しうる。また、リン脂質の含有割合を上記数値範囲の下限値以上とすることで、抱水性油剤の析出を抑制して内油層に留めおくことができ、特には保型性が向上しうる。
(C)アクリル酸系ポリマー
本発明のゲル組成物は、アクリル酸系ポリマーを、当該ゲル組成物の質量に対して0.1~10質量%の割合で含む。アクリル酸系ポリマーは、本発明のゲル組成物が保湿作用、密着性、及び保型性を有することに、特には粘着性に優れる性質を有するので肌への密着性を有することに寄与する。また、アクリル酸系ポリマーと水溶性多糖類と組み合わせにより抱水性油剤、リン脂質、及び水の水中油型エマルジョンをゲル化することが、本発明のゲル組成物の保湿作用、密着性、及び保型性に寄与する。
本発明に用いられるアクリル酸系ポリマーとして例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、例えばポリアクリル酸ナトリウムなど、ポリアクリル酸塩部分中和物、例えばポリアクリル酸ナトリウム部分中和物など、架橋型ポリアクリル酸、架橋型ポリアクリル酸ナトリウム、及びアクリル酸及び/又はアクリル酸塩と他の単量体との共重合体を挙げることができる。好ましくは、本発明において用いられるアクリル酸系ポリマーは、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム部分中和物、架橋型ポリアクリル酸、架橋型ポリアクリル酸ナトリウム、及びアクリル酸及び/又はアクリル酸塩と他の単量体との共重合体から選ばれる1つ又は2つ以上の組合せでありうる。特に好ましい実施態様において、本発明において用いられるアクリル酸系ポリマーは、ポリアクリル酸ナトリウムでありうる。
本発明において、ポリアクリル酸塩部分中和物は、アクリル酸及びアクリル酸塩を含む単量体混合物の水溶液、又は、アクリル酸を含む単量体と例えば水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムなどの酸を中和させる化合物とが混合された水溶液をラジカル重合させることにより得られうる。すなわち、ポリアクリル酸塩部分中和物は、カルボキシル基の一部が中和されたポリアクリル酸である。すなわち、ポリアクリル酸塩部分中和物は、アクリル酸とアクリル酸塩との共重合体であるとも言える。
本発明において、アクリル酸系ポリマーとしてアクリル酸及び/又はアクリル酸塩と他の単量体との共重合体が用いられてもよい。当該他の単量体は例えば、α-ヒドロキシアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、及びフマル酸などの不飽和カルボン酸およびそれらの塩、又は、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸などの不飽和スルホン酸およびそれらの塩でありうる。特殊ポリアクリル酸ナトリウムとして、例えば(アクリル酸Na/アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸Na)コポリマーを挙げることができる。当該共重合体の製造において、例えば当該他の単量体の1種又は2種以上が、アクリル酸及びアクリル酸塩の合計量に対して50モル%以下、特には40モル%以下、より特には30モル%以下の割合で用いられうる。すなわち、特殊ポリアクリル酸ナトリウムは、例えば、アクリル酸及び/又はアクリル酸塩と他の単量体との共重合体であって、当該他の単量体をアクリル酸及びアクリル酸塩の合計量に対して50モル%以下の割合で用いて重合された前記共重合体でありうる。
本発明に用いられるアクリル酸系ポリマーは、好ましくは100万~1000万、より好ましくは150万~800万、さらにより好ましくは200万~600万、さらにより好ましくは300万~600万の重量平均分子量を有しうる。これらの範囲内の分子量を有するアクリル酸系ポリマーを用いることによって、皮膚への貼付により適したゲル組成物が得られうる。
本発明において用いられるアクリル酸系ポリマーとして、例えば、東亞合成株式会社より販売されているアロンビスSX(ポリアクリル酸ナトリウム、分子量400~500万)、アロンビスMX(ポリアクリル酸ナトリウム、分子量200~300万)、アロンビスAHX(ポリアクリル酸ナトリウム部分中和物、分子量400~500万)、アロンビスAH-105X(ポリアクリル酸ナトリウム部分中和物、分子量400~500万)、アロンビスAH-106X(ポリアクリル酸ナトリウム部分中和物、分子量400~500万)、及びアロンビスAH-305X(ポリアクリル酸ナトリウム共重合体部分中和物)を挙げることができる。なお、これらの分子量とは、SEC法により測定される重量平均分子量を指す。
本発明のゲル組成物に含まれるアクリル酸系ポリマーの含有割合は、当該ゲル組成物の質量に対して0.1~10質量%、好ましくは0.2~7質量%、より好ましくは0.5~5質量%、さらにより好ましくは1~3質量%でありうる。アクリル酸系ポリマーの含有割合がこの数値範囲内にあることが、本発明のゲル組成物が保湿作用、密着性、及び保型性に優れていることに寄与する。アクリル酸系ポリマーの含有割合がこの数値範囲内にあることは、特には密着性に寄与する。アクリル酸系ポリマーの含有割合を上記数値範囲の上限値以下とすることで、ゲル組成物内からの抱水性油剤の染み出しを阻害することなく十分量を肌に移行させることができ、特には保湿効果の持続性が向上しうる。また、アクリル酸系ポリマーの含有割合を上記数値範囲の下限値以上とすることで、ゲル組成物に十分な粘着性を付与することができ、特には密着性が向上しうる。
(D)ゲルを形成可能な水溶性多糖類
本発明のゲル組成物は、ゲルを形成可能な水溶性多糖類を、当該ゲル組成物の質量に対して0.1~10質量%の割合で含む。当該水溶性多糖類は、本発明のゲル組成物が保湿作用、密着性、及び保型性を有することに寄与し、特には強度に優れるゲルを形成できることから保型性を有することに寄与する。また、当該水溶性多糖類によって、本発明のゲル組成物は室温で固形でありうる。
また、当該水溶性多糖類によって、本発明のゲル組成物をより容易に皮膚から剥がすことが可能となる。特には、当該水溶性多糖類によって、本発明のゲル組成物を皮膚から剥がす際に、皮膚に当該ゲル組成物の片が残ることが抑制される。
また、当該水溶性多糖類とアクリル酸系ポリマーとの組合せによって、ゲル組成物から水分が蒸発することが抑制される。これにより、本発明のゲル組成物の使用可能期間がより長くなる。
本発明において用いられる水溶性多糖類は、化粧料などの皮膚用組成物の分野において通常用いられる水溶性多糖類でありうる。本発明において用いられる水溶性多糖類は好ましくは、室温(25℃)でゲル化するものであり、より好ましくは室温でゲル化し且つ体温付近(約40℃)でゲルが溶解しないものでありうる。このような水溶性多糖類によって、ゲル組成物により好ましい保型性がもたらされうる。
本発明において用いられる水溶性多糖類のゲル化温度は、例えば0~80℃であり、好ましくは10~70℃、より好ましくは30~60℃でありうる。本発明において、ゲル化温度とは、水溶性多糖類の溶液を当該温度以下にすることで当該溶液のゲルが形成される温度のことをいう。
本発明において用いられる水溶性多糖類のゲル再溶融温度は、好ましくは45℃以上、より好ましくは55℃以上でありうる。例えば、当該ゲル再溶融温度は好ましくは45~100℃、より好ましくは55~100℃でありうる。本発明において、ゲル再溶融温度とは、(D)成分1gを100℃の熱水99gに溶かした溶液を冷却することにより得られるゲルが再溶融する温度である。
本発明において用いられる水溶性多糖類は、例えば、寒天、カラギーナン、ペクチン、ジェランガム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、ローカストビーンガム、及びタマリンドガムから選ばれる1つ又は2つ以上の組合せであり、好ましくは寒天、カラギーナン、ジェランガム、及びタマリンドガムから選ばれる1つ又は2つ以上の組合せでありうる。本発明のゲル組成物がこれらの水溶性多糖類を含むことで、望ましい保型性がもたらされる。特に好ましい実施態様において、本発明において用いられる水溶性多糖類は、寒天、タマリンドガム、又はこれらの組合せでありうる。
本発明のゲル組成物に含まれる水溶性多糖類の含有割合は、当該ゲル組成物の質量に対して0.1~10質量%、好ましくは0.2~8質量%、より好ましくは0.5~5質量%、さらにより好ましくは2~4質量%でありうる。水溶性多糖類の含有割合がこの数値範囲内にあることが、本発明のゲル組成物が保湿作用、密着性、及び保型性に優れていることに寄与する。水溶性多糖類の含有割合を上記数値範囲の上限値以下とすることで、ゲル組成物内からの抱水性油剤の染み出しを阻害することなく十分量を肌に移行させることができ、特には保湿効果の持続性が向上しうる。また、水溶性多糖類の含有割合を上記数値範囲の下限値以上とすることで、ゲル組成物に十分なゲル強度を付与することができ、特には保型性が向上しうる。
(E)水
本発明のゲル組成物は水を含む。水と上記(A)成分とのエマルジョンを上記(C)成分及び(D)成分の組合せによりゲル化することで、保湿効果に優れ且つ密着性及び保型性に優れたゲル組成物が得られる。本発明において用いられる水は、化粧料の製造において一般的に用いられる水でありうる。
本発明のゲル組成物に含まれる水の含有割合は、当該ゲル組成物の質量に対して、好ましくは30~90質量%、より好ましくは40~80質量%、さらにより好ましくは45~75質量%、さらにより好ましくは50~70質量%でありうる。このような含有割合によって、より好ましい保湿作用、密着性、及び保型性を有するゲル組成物が得られうる。
本発明のゲル組成物には、上記(A)~(E)成分以外の成分が含まれていてよい。当該成分として例えば、油剤、酸化防止剤、保湿剤、抗菌剤、防腐剤、金属封鎖剤、香料、及び着色料を挙げることができる。これらの成分は、本発明の効果を損なわない範囲で添加されうる。
油剤としては、例えばミネラルオイル、スクワラン、及びジメチコン等を挙げることができる。酸化防止剤としては、例えばトコフェロール、アスコルビン酸、及びジブチルヒドロキシトルエン等を挙げることができる。保湿剤としては、例えばグリセリン、1,3-ブチレングリコール、及びポリエチレングリコール等を挙げることができる。抗菌剤としては、例えばエタノール及びフェノキシエタノール等を挙げることができる。防腐剤としては、例えばメチルパラベン及びサリチル酸等を挙げることができる。金属封鎖剤としては、例えばEDTA-2Na及びクエン酸等を挙げることができる。
例えば、本発明のゲル組成物はさらに、グリセリンを、ゲル組成物の質量に対して例えば5~20質量%、特には7~15質量%の含有割合で含みうる。また、本発明のゲル組成物はさらに、1,3-ブチレングリコールを、ゲル組成物の質量に対して例えば5~20質量%、特には7~15質量%の含有割合で含みうる。
本発明のゲル組成物は、例えば、上記(A)成分を含む油相と上記(C)、(D)、及び(E)成分を含む水相とを上記(B)成分によって乳化し、得られた水中油型エマルジョンを冷却することによって製造されうる。上記(B)成分は、乳化の前に、油相又は水相に添加されうる。
本発明のゲル組成物のより具体的な製造方法は、例えば以下のとおりである。まず、上記(A)成分を含む油性成分に上記(B)成分を添加しそして加熱及び混合して油相を得る。一方で、上記(C)及び(D)成分を上記(E)成分に添加しそして加熱及び混合して水相を得る。前記油相と前記水相とを混合して水中油型エマルジョンを得る。当該エマルジョンを所望の形に成形しそして冷却することで、本発明のゲル組成物が得られる。
上記油相及び上記水相を得るための加熱手段及び混合手段、並びに、上記エマルジョンを得る為の混合手段として、当業者に既知の装置が用いられてよい。
上記冷却のための温度は、例えば上記(D)成分のゲル化温度に基づき決定されうる。
本発明のゲル組成物は好ましくは水中油型エマルジョンのゲルでありうる。例えば、本発明のゲル組成物は、(B)リン脂質による乳化作用によって形成された、(A)抱水性油剤及び(E)水を含む水中油型エマルジョンが、(C)アクリル酸系ポリマー及び(D)水溶性多糖類の組合せによってゲル化されたゲル組成物でありうる。本発明のゲル組成物が上記(A)、(B)、及び(E)成分を含む水中油型エマルジョンを上記(C)及び(D)成分の組合せによってゲル化して得られたゲル組成物であることが、本発明のゲル組成物の保湿作用、密着性、及び保型性に寄与している。
また、本発明のゲル組成物は、室温で固形でありうる。これにより、肌へより容易に肌へ張り付けることが可能となる。
本発明のゲル組成物は、30~50℃の温度で使用されうる。本発明のゲル組成物は、例えば30~50℃に温めた後に皮膚に貼付され又は皮膚に貼付された後に30~50℃に温められうる。本発明のゲル組成物は、このような温度で使用されることで、保湿成分、例えば抱水性油剤などのゲル組成物内から皮膚への移行がより促進されうる。これにより、保湿効果がより向上しうる。
本発明のゲル組成物の温度を30~50℃とするために、当業者に既知の発熱体が用いられうる。当該発熱体として、例えば、化学的に発熱する材料又は電気的に発熱する装置が用いられうる。化学的に発熱する材料として例えば鉄粉を挙げることができる。電気的に発熱する装置としては充電式カイロなどを挙げることができる。
本発明のゲル組成物は皮膚貼付用であり、すなわち、皮膚に貼り付けるために用いられる。本発明のゲル組成物が貼り付けられる部位は、当業者又は使用者により適宜選択されてよく、例えば顔、腕、足、及び首などでありうる。顔は特に保湿が求められる部位であるので、好ましくは、本発明のゲル組成物は顔に貼り付けられうる。本発明のゲル組成物は、例えば、目の周囲に貼付されうる。
また、本発明のゲル組成物は皮膚の保湿に適している。すなわち、本発明のゲル組成物は、皮膚保湿用でありうる。また、本発明のゲル組成物は、化粧料として用いられてよく、特には美容のために用いられうる。
本発明のゲル組成物が皮膚に貼付される時間は、当業者又は使用者により適宜選択されうる。当該時間は、例えば1~60分、特には5~50分、より特には10~30分でありうる。当該時間はより長くてもよく、例えば1時間以上、特には1~12時間、より特には1~8時間でありうる。
本発明のゲル組成物の形状は、例えば貼付されるべき部位の形状などによって、当業者により適宜選択されうる。
取扱いの容易さの観点から、本発明のゲル組成物はシート状でありうる。当該シートの厚みは、好ましくは1~20mm、より好ましくは1.5~15mm、さらにより好ましくは2~10mmでありうる。このような厚みによって、ゲル組成物がより破れにくくなり且つより優れた保湿効果が奏されうる。
当該シートの形状は、例えば円形、楕円形、又は多角形、例えば矩形など、でありうる。本発明において、円形には略円形が包含される。
本発明はまた、本発明のゲル組成物と支持体との積層物を提供する。すなわち、本発明のゲル組成物は支持体に積層された状態で用いられうる。これにより、本発明のゲル組成物の皮膚への貼付がより容易になりうる。また、本発明のゲル組成物は、種々の支持体との密着性にも優れているので、当該支持体から剥がれにくい。
本発明において、前記支持体は当業者により適宜選択されうる。前記支持体として例えば布、不織布、紙、樹脂シート、皮革、及び合成皮革を挙げることができる。これら支持体に本発明のゲル組成物を積層するために、例えば接着剤が用いられてもよく、又は、接着剤なしで、これら支持体に本発明のゲル組成物が積層されてもよい。
本発明において、前記積層物は、例えばアイマスクでありうる。すなわち、アイマスクを顔に装着したときに目の周囲の皮膚に本発明のゲル組成物が付着するように、本発明のゲル組成物がアイマスクに積層されうる。このようなアイマスクによって、目をつぶりながら、目の周囲の皮膚の保湿がされうる。すなわち、アイマスクによってリラックスしながら、目の周囲の皮膚が保湿されうる。
本発明において、前記アイマスクに、発熱体が備えられていてもよい。当該発熱体は、例えば、支持体を挟んで、本発明のゲル組成物と反対側に設けられうる。当該発熱体によって本発明のゲル組成物を温めることで、保湿成分、例えば抱水性油剤など、の当該ゲル組成物から皮膚への移行が促進されうる。また、当該ゲル組成物が温かいことは、より心地よい感覚を使用者に与えうる。
本発明に従うアイマスクの例を、図1及び2を参照しながら説明する。図1は、アイマスクの顔に接する面の模式図である。図2は、アイマスクの前記面と反対側の面の模式図である。図1に示されるとおり、アイマスク100の支持体102のうち、アイマスク100を顔に装着したときに目の周囲の皮膚に接する部分に、本発明のゲル組成物101が積層されている。図2に示されるとおり、アイマスクの前記反対側の面には、ポケット104が設けられうる。ポケット104は、発熱体103を収容可能である。発熱体103によってゲル組成物101を温めることにより、保湿成分、特には前記(A)成分の肌への移行がより促進されうる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されるものでない。
実施例1~11及び比較例1~15:水中油型ゲル組成物
下記表1~3に示される組成を有する水中油型ゲル組成物を下記製造方法により調製した。製造された水中油型ゲル組成物それぞれの(イ)保湿効果、(ロ)保湿効果の持続、(ハ)肌への密着性、及び(ニ)保型性を、以下に記載された評価方法及び判定基準により評価及び判定した。結果も下記表1~3に示す。下記表1~3において、%は質量%である。
Figure 0007010615000001
Figure 0007010615000002
Figure 0007010615000003
*1:ニッコールレシノール S-10EZ(日光ケミカルズ社製)
*2:ニッコール HCO-20(日本サーファクタント工業社製)
*3:アロンビスSX(東亜合成社製)
*4:ウルトラ寒天 AX-100CS(伊那食品工業社製)
*5:グリロイド6C(大日本住友製薬社製)
(製造方法)
1.成分(1)~(8)を70℃にて加熱溶解する。
2.成分(9)~(19)を混合し、70℃に加熱する。
3.1.において得られた溶解物に、2.において得られた混合物を添加し、乳化物を得る。
4.3.において得られた乳化物を2mm厚となるように延展成型した後冷却し、水中油型ゲル組成物を得た。
(イ)保湿効果
(評価方法)
5人の健常人の前腕内側部に各ゲル組成物を30分間貼付しそして剥離した。剥離から5分後に、皮膚水分量の指標として皮膚の電気伝導度を皮表角層水分量測定装置(SKICON-200EX、アイ・ビイ・エス社製)により4回測定した。得られた電気伝導度(単位:μS)の平均値から、下記4段階判定基準に従って各ゲル組成物の保湿効果を評価した。
(4段階判定基準)
A :250以上
B :150以上250未満
C :50以上150未満
D :50未満
(ロ)保湿効果の持続
(評価方法)
5人の健常人の前腕内側部に各ゲル組成物を30分間貼付しそして剥離した。剥離から60分後に、皮膚水分量の指標として皮膚の電気伝導度を皮表角層水分量測定装置(SKICON-200EX、アイ・ビイ・エス社製)により4回測定した。得られた電気伝導度の平均値から、下記4段階判定基準に従って各ゲル組成物の保湿効果の持続性を評価した。
(4段階判定基準)
A :150以上
B :100以上150未満
C :50以上100未満
D :50未満
(ハ)肌への密着性
(評価方法)
5名の化粧料評価専門パネルの顔面頬部に各ゲル組成物を30分間貼付した。当該30分間の各ゲル組成物の付着状態を、下記4段階判定基準に従って評価した。
(4段階判定基準)
A :頬の曲線形状に沿ってゲル組成物が付着した状態が維持され、皮膚から剥がれている部分が生じない。
B :頬の曲線形状に沿ってゲル組成物が付着しているが、皮膚から剥がれている部分がわずかにある。
C :頬の曲線形状に沿ってゲル組成物が付着しておらず、皮膚から剥がれている部分が多数ある。
D :ゲル組成物を頬へ付着させても顔面から剥離し、落下する。
(ニ)保型性
(評価方法)
5名の化粧料評価専門パネルの顔面頬部に各ゲル組成物を30分間貼付し、そして、剥離した。剥離後の各ゲル組成物の表面及び肌表面の状態を、下記4段階判定基準に従って評価した。
(4段階判定基準)
A:ゲル組成物表面に欠け又は崩れが観察されない。剥離後の肌表面にはゲル組成物が残存しない。
B:ゲル組成物表面に微細な欠け・崩れが観察される。剥離後の肌表面にわずかにゲル組成物が残存する。
C:ゲル組成物表面に欠け・崩れが観察される。剥離後の肌表面にゲル組成物が多く残存する。
D:ゲル組成物全体に欠け・崩れが多数観察される。肌表面にゲル組成物が多量に残存する。
表1に示されるとおり、実施例1~11の水中油型ゲル組成物はいずれも、評価項目の判定結果がA又はBであった。すなわち、実施例1~11の水中油型ゲル組成物はいずれも、保湿作用、密着性、及び保型性にも優れていた。一方、表2及び3に示されるとおり、比較例1~15はいずれも、評価項目の判定結果がC又はDであった。すなわち、実施例1~11の水中油型ゲル組成物はいずれも、比較例1~15のものよりも、保湿作用、密着性、及び保型性において優れていた。
以上の結果より、本発明のゲル組成物は、抱水性油剤を1~20質量%、リン脂質を0.5~5質量%、アクリル酸系ポリマーを0.1~10質量%、及びゲルを形成可能な水溶性多糖類を0.1~10質量%含むことにより、優れた保湿作用、優れた密着性、及び優れた保型性を有することが分かる。
実施例1(A成分8質量%)と実施例2(A成分20質量%)とを比較すると、実施例1が、より優れた保型性を有することが分かる。よって、A成分の含有割合を20質量%未満とすることで、より優れた保型性が発揮される。また、実施例1と実施例3(A成分2質量%)とを比較すると、実施例1が、より優れた保湿作用及びより優れた密着性を有することが分かる。よって、A成分の含有割合を2質量%超とすることで、より優れた保湿作用及び密着性が発揮される。
また、実施例1(A成分の抱水力が100%以上)と実施例4(A成分の抱水力が18%)とを比較すると、実施例1が、より優れた保湿作用を有することが分かる。よって、A成分の抱水力がより高いほど、より優れた保湿作用が発揮される。
また、実施例1(B成分2質量%)と実施例5(B成分5質量%)とを比較すると、実施例1が、より優れた保湿効果の持続性を示す。よって、B成分の含有割合を5質量%未満とすることで、より優れた保湿効果の持続性が発揮される。また、実施例1と実施例6(B成分0.5質量%)とを比較すると、実施例1が、より優れた保型性を示す。よって、B成分の含有割合と0.5質量%超とすることで、より優れた保型性が発揮される。
また、実施例1(C成分2質量%)と実施例7(C成分7質量%)とを比較すると、実施例1が、より優れた保湿効果の持続性を示す。よって、C成分の含有割合を7質量%未満とすることで、より優れた保湿効果の持続性が発揮される。また、実施例1と実施例8(C成分0.2質量%)とを比較すると、実施例1が、より優れた密着性を示す。よって、C成分の含有割合を0.2質量%超とすることで、より優れた密着性が発揮される。
また、実施例1(D成分3質量%)と実施例9(D成分7質量%)とを比較すると、実施例1が、より優れた保湿効果の持続性を示す。よって、D成分の含有割合を7質量%未満とすることで、より優れた保湿効果の持続性が発揮される。また、実施例1と実施例10(D成分0.2質量%)とを比較すると、実施例1が、より優れた保型性を示す。よって、D成分の含有割合を0.2質量超とすることで、より優れた保型性が発揮される。
また、実施例1(D成分がカンテン及びタマリンドガム)と実施例11(D成分がペクチン)とを比較すると、実施例1がより優れた保型性を示す。よって、D成分としてカンテン及びタマリンドガムを用いることで、より優れた保型性が発揮される。
以上のとおり、実施例1のゲル組成物は、保湿作用、密着性、及び保型性に特に優れていることが分かる。
100 アイマスク
101 ゲル組成物
102 支持体
103 発熱体
104 ポケット



Claims (12)

  1. (A)抱水力10%以上の抱水性油剤 1~25質量%、
    (B)リン脂質 0.4~6質量%、
    (C)アクリル酸系ポリマー 0.1~10質量%、
    (D)ゲルを形成可能な水溶性多糖類 0.1~10質量%、及び
    (E)水
    を含有する皮膚貼付用ゲル組成物。
  2. 前記(A)成分の50℃における抱水力が50%以上である、請求項1に記載の皮膚貼付用ゲル組成物。
  3. 前記(A)成分の融点が25℃以上である、請求項1又は2に記載の皮膚貼付用ゲル組成物。
  4. 前記(C)成分が、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム部分中和物、架橋型ポリアクリル酸、架橋型ポリアクリル酸ナトリウム、及びアクリル酸及び/又はアクリル酸塩と他の単量体との共重合体から選ばれる1つ又は2つ以上の組合せである、請求項1~3のいずれか一項に記載の皮膚貼付用ゲル組成物。
  5. 前記(C)成分が、100万~1000万の分子量を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の皮膚貼付用ゲル組成物。
  6. 前記(D)成分が、45℃以上のゲル再溶融温度を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の皮膚貼付用ゲル組成物。
  7. 前記(D)成分が、寒天、カラギーナン、ペクチン、ジェランガム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、ローカストビーンガム、及びタマリンドガムから選ばれる1つ又は2つ以上の組合せである、請求項1~6のいずれか一項に記載の皮膚貼付用ゲル組成物。
  8. 水中油型エマルジョンのゲルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の皮膚貼付用ゲル組成物。
  9. 30℃~50℃に温めた後に皮膚に貼付される又は皮膚に貼付された後に30℃~50℃に温められる、請求項1~8のいずれか一項に記載の皮膚貼付用ゲル組成物。
  10. 目の周囲の皮膚に貼付されるものである、請求項1~9のいずれか一項に記載の皮膚貼付用ゲル組成物。
  11. 前記(A)成分は、25℃でペースト状を呈するものである、請求項1~10のいずれか一項に記載の皮膚貼付用ゲル組成物。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載された皮膚貼付用ゲル組成物と支持体との積層物。
JP2017144198A 2017-07-26 2017-07-26 皮膚貼付用ゲル組成物及び積層物 Active JP7010615B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017144198A JP7010615B2 (ja) 2017-07-26 2017-07-26 皮膚貼付用ゲル組成物及び積層物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017144198A JP7010615B2 (ja) 2017-07-26 2017-07-26 皮膚貼付用ゲル組成物及び積層物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019026562A JP2019026562A (ja) 2019-02-21
JP7010615B2 true JP7010615B2 (ja) 2022-01-26

Family

ID=65477734

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017144198A Active JP7010615B2 (ja) 2017-07-26 2017-07-26 皮膚貼付用ゲル組成物及び積層物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7010615B2 (ja)

Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001031556A (ja) 1999-07-23 2001-02-06 Kanae Co Ltd 保湿用ゲルシート
JP2002000636A (ja) 2000-06-19 2002-01-08 Lion Corp 含水ゲル組成物を有する粘着性アイマスク
JP2003286126A (ja) 2002-03-26 2003-10-07 Kose Corp 水中油型乳化化粧料
JP2003334212A (ja) 2002-05-20 2003-11-25 Maikooru Kk 美顔用発熱体
JP2004143063A (ja) 2002-10-23 2004-05-20 Kose Corp 乳化化粧料
JP2005008613A (ja) 2003-05-28 2005-01-13 Kanae Technos:Kk パック用ゲルシート
JP2007269712A (ja) 2006-03-31 2007-10-18 Kanebo Cosmetics Inc 剥離型パック化粧料
JP2007531776A (ja) 2004-04-05 2007-11-08 コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング ペンタエリスリトールエステルまたはそのオリゴマーを含むo/wゲル組成物
JP2009073764A (ja) 2007-09-20 2009-04-09 Fujifilm Corp 生体用粘着ゲルシートおよびそれを用いたシート状化粧料
JP2009108007A (ja) 2007-10-31 2009-05-21 Fujifilm Corp ゲルシートおよびそれを用いたシート状化粧料
JP2011026261A (ja) 2009-07-28 2011-02-10 Kracie Home Products Ltd パック化粧料
JP2016169209A (ja) 2015-03-11 2016-09-23 御木本製薬株式会社 シート状化粧料

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5449334A (en) * 1977-09-27 1979-04-18 Riido Kemikaru Kk Pack agent
JPS5993012A (ja) * 1982-11-17 1984-05-29 Watanabe Yakuhin Kogyo Kk パツク用基剤

Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001031556A (ja) 1999-07-23 2001-02-06 Kanae Co Ltd 保湿用ゲルシート
JP2002000636A (ja) 2000-06-19 2002-01-08 Lion Corp 含水ゲル組成物を有する粘着性アイマスク
JP2003286126A (ja) 2002-03-26 2003-10-07 Kose Corp 水中油型乳化化粧料
JP2003334212A (ja) 2002-05-20 2003-11-25 Maikooru Kk 美顔用発熱体
JP2004143063A (ja) 2002-10-23 2004-05-20 Kose Corp 乳化化粧料
JP2005008613A (ja) 2003-05-28 2005-01-13 Kanae Technos:Kk パック用ゲルシート
JP2007531776A (ja) 2004-04-05 2007-11-08 コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング ペンタエリスリトールエステルまたはそのオリゴマーを含むo/wゲル組成物
JP2007269712A (ja) 2006-03-31 2007-10-18 Kanebo Cosmetics Inc 剥離型パック化粧料
JP2009073764A (ja) 2007-09-20 2009-04-09 Fujifilm Corp 生体用粘着ゲルシートおよびそれを用いたシート状化粧料
JP2009108007A (ja) 2007-10-31 2009-05-21 Fujifilm Corp ゲルシートおよびそれを用いたシート状化粧料
JP2011026261A (ja) 2009-07-28 2011-02-10 Kracie Home Products Ltd パック化粧料
JP2016169209A (ja) 2015-03-11 2016-09-23 御木本製薬株式会社 シート状化粧料

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019026562A (ja) 2019-02-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI451877B (zh) Emulsion composition
JP5489206B2 (ja) パック化粧料
JP5961071B2 (ja) 乳化組成物
JP6588568B2 (ja) バイセル構造体を含有する組成物
JP6139206B2 (ja) 半透明性乃至透明性組成物
TW200413020A (en) Vesicle dispersion and cosmetic containing the same
JP2013006790A (ja) O/w型エマルジョン
JP3729789B2 (ja) 水中油型乳化化粧料
TW200922631A (en) Vesicle composition and external preparation for skin
TWI646976B (zh) 油中水型乳化組成物
JP7010615B2 (ja) 皮膚貼付用ゲル組成物及び積層物
JP2015157874A (ja) アデニン化合物を含有するゲル状外用組成物
JPH08208420A (ja) 付着を引き起こす脂質系を含有する化粧乳濁液
JP6174449B2 (ja) 水中油型乳化化粧料
JP6185477B2 (ja) ベシクル組成物及びそれを配合した皮膚外用剤及び化粧料
JP2017153871A (ja) 超音波伝達効率向上組成物、超音波診断用ゲル組成物及び超音波撮影方法
JP2009234972A (ja) 乳化化粧料
JP6984394B2 (ja) 水中油型乳化化粧料
TW201002357A (en) Oily solid-form cosmetic
JP2004352643A (ja) ゲル状化粧料
JPH0669532B2 (ja) 水中油型乳化組成物
JP6018482B2 (ja) W/o/w型エマルジョン組成物
JP2009062493A (ja) 油類除放用ゴム質部材
JP2008081426A (ja) 液体入浴剤
JP2008231056A (ja) 乳化化粧料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200602

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210520

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210601

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210730

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211221

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220113

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7010615

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150