JP7010017B2 - キチンナノファイバーを含む魚肉練製品 - Google Patents
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Description
(項目1)
魚肉すり身およびキチンナノファイバーを含む魚肉練製品。
(項目2)
項目1に記載の魚肉練製品であって、キチンナノファイバーを0.2重量%以上含む、魚肉練製品。
(項目3)
項目1に記載の魚肉練製品であって、原料として使用するキチンナノファイバーのpHが6~11である、魚肉練製品。
(項目4)
項目1に記載の魚肉練製品であって、原料として使用するキチンナノファイバーのpHが8~10である、魚肉練製品。
(項目5)
項目1に記載の魚肉練製品であって、原料として使用するキチンナノファイバーが石臼式磨砕機を用いて製造されたキチンナノファイバーである、魚肉練製品。
本発明の魚肉練製品に使用されるキチンナノファイバーは、ファイバーの長さが0.1μ~50μm、好ましくは1μm~20μmであり、平均脱アセチル化度が約5%以下、幅(または径)が比較的揃っており、通常は、幅(または径)が約2nm~約200nm、好ましくは約2nm~約100nm、より好ましくは約2nm~約50nm、例えば、約2nm~約20nm、約5nm~約20nm等である。好ましくは、その繊維は伸びきり鎖微結晶である。本明細書において、例えば、「キチンナノファイバーの幅(または径)は約2nm~約20nm」とは、電子顕微鏡観察にて観察した場合に、幅(または径)が約2nm~約20nm以下であるファイバーが全体の約50%以上、好ましくは約60%以上、さらに好ましくは約70%以上を占める状態をいう。本発明に用いることのできるキチンナノファイバーの一例として、カニ殻ならびにエビ殻由来のキチンナノファイバーが挙げられる。
キチンナノファイバーを魚肉練製品に用いた場合には、その好ましい性質、例えば、色調に影響を与えない、破断強度を増強する、圧縮距離を増加するなどにより、魚肉練製品中のすり身の割合を低減しつつ、かつ、物性を損なうことなく、必要に応じて好ましい食感を提供するという様々な好ましい効果がもたらされる。
キチンナノファイバーを添加した魚肉練り製品は、冷凍すり身に食塩、澱粉、調味料、キチンナノファイバーを加え高速回転カッターや擂潰機などで撹拌して製造した。キチンナノファイバーを入れるタイミングは撹拌の前や途中どちらでもよい。摺りあがった塩ずり肉は粘ちょうなゾル状となり、これを板付蒲鉾なら板に盛り付け、竹輪なら串に巻きつけ、カニカマのならシート状に形成し加熱後、細い繊維になるよう細断してから束ねるなど、製品に応じて成形した。これを蒸し、焼成、油揚げ、湯煮などの方法で加熱してキチンナノファイバー入りの魚肉練り製品を製造した。
キチンナノファイバーの製造
新鮮なブラックタイガーの殻(10g)を5% KOH水溶液に加え、6時間還流し、エビ殻中のタンパク質を除去した。処理したエビ殻を濾過した後、中性になるまで水でよく洗浄した。エビ殻を7% HCl水溶液で室温下、2日間撹拌し、エビ殻中の灰分を除いた。再びエビ殻を濾過して中性になるまで水でよく洗浄した。95%エタノールに処理カニ殻を加え、6時間還流し、エビ殻に含まれる色素分および脂質分を除去した。再びエビ殻を濾過して中性になるまで水でよく洗浄した。エビ殻にアスコルビン酸を添加してpHを約5に調製した水に分散させ、分散液を家庭用ミキサーで砕いた後、エビ殻を石臼式摩砕機(スーパーマスコロイダー(MKCA 6-2))に供し、キチンナノファイバーに解繊させた。キチンナノファイバーの収率は16.7%であった。得られたキチンナノファイバーを走査電子顕微鏡(FE-SEM)(JSM-6700F、JEOL)にて観察した。繊維の大部分は幅約約2nm~約20nmで、幅10nm程度の非常に細くて長い均質なナノファイバーが多く認められた(結果示さず)。得られたキチンナノファイバーの平均脱アセチル化度は5%以下であった。
実施例1で製造したキチンナノファイバーについて、分光色彩計を用いてL*a*b*値を測定し、白色度とΔEを算出した。結果を以下の表1に示す。
魚肉すり身およびキチンナノファイバーを含む魚肉練製品を製造し、破断強度試験、破断ひずみ試験、および、水分保持力試験を以下のとおり行った。
紅ズワイガニの殻由来のキチン粉末に蒸留水を加水し、粉砕装置で所定回数、処理を行い、キチンナノファイバー分散液を得た。濃度は1wt%になるよう調整した。粉砕装置は石臼式摩砕機(スーパーマスコロイダー(増幸産業))で2回処理したものならびに高圧湿式粉砕装置(スターバーストシステム(スギノマシン))で20回処理したものを用いた。
・すり身400グラム、食塩12グラム、キチンナノファイバー分散液、および水を配合しフードプロセッサーですり身を擂潰した。なお、全体の重量が662グラム、キチンナノファイバーの濃度が0wt%、0.1wt%、0.2wt%、および0.4wt%になるよう、キチンナノファイバー分散液および水の量を調整した。
・擂潰したすり身をケーシングに充填した。
・90℃、20分蒸気加熱した。
・流水で冷却後、一晩冷蔵庫で保管した。
キチンナノファイバー配合魚肉練り製品を直径3cm、高さ3cmの円柱形となるようにカットした。この試料に対して先端に5mmの球体を有するプランジャーで練り製品を押し込み、破断した際の強度(破断強度)ならびに距離(破断距離)を測定した。押し込み速度は6mm/minとし、小型卓上試験機(EZ-SX(島津製作所))を使用した。
キチンナノファイバー配合魚肉練り製品を3gにカットして、キムワイプで上下を挟み、遠沈管に入れた。卓上高速遠心分離機を使用して、10000xgで5分間遠心を行った。遠心後の重量を測定し、遠心前後の重量差から水分保持率を算出した。各試料の試験回数は6であり、その平均値を水分保持率とした。
キチンナノファイバー配合魚肉練製品の製造方法は、以下のとおりである。
・下記表2に記載の割合で各成分を配合しフードプロセッサーですり身を擂潰した。
A=キチンナノファイバー配合率0.378wt%、すり身削減率0%、
B=キチンナノファイバー配合率0.415wt%、すり身削減率6.25%、
C=キチンナノファイバー配合率0.453wt%、すり身削減率12.5%
・擂潰したすり身をケーシングに充填した。
・90℃、20分蒸気加熱した。
・流水で冷却後、一晩冷蔵庫で保管した。
魚肉練製品の原料として使用するキチンナノファイバーとして、種々の異なるpHを有するキチンナノファイバーを用いて魚肉練製品の製造を行い、破断強度と圧縮強度を測定した。具体的には、以下のとおりである。
(1)上記配合に従い、フードプロセッサーですり身を擂潰した。
(2)擂潰したすり身をケーシングに充填した。
(3)90℃、20分蒸気加熱した。
(4)流水で冷却後、一晩冷蔵庫で保管した。
(A)物性測定
・ケーシングフィルムを剥ぎ、円柱状になるよう3cm幅にカットした。
・5mm球プランジャーを用いて60mm/分の速度で破断荷重と圧縮距離を測定した。
(B)離水率の測定
・検体を約3gの断片にカットし重量を記録した。
・検体を遠沈管にキムワイプで上下を挟むように入れた。
・2000xgで遠心した。
・遠心分離後の重量を記録し、遠心前後の重量から離水率を算出した。
カニカマにキチンナノファイバーを添加し、どのような効果があるかを試験した。具体的には、以下の試験方法を用いた。
1)検体
キチンナノファイバー1%液(pH未調整品)
2)添加製品
ロイヤルカリブ
3)添加量
キチンとして0.35wt%
4)物性測定
・レオメータにピアノ線プランジャーを取り付け、60mm/分の速度で破断荷重と圧縮距離を測定した。
5)離水率の測定
・検体を約3gの断片にカットし重量を記録した。
・検体を遠沈管にキムワイプで上下を挟むように入れた。
・2000xgで遠心した。
・遠心分離後の重量を記録し、遠心前後の重量から離水率を算出した。
6)官能試験
・CNFの無添加・添加サンプルをそれぞれAおよびBと標識した。
・検食を実施後、AおよびBのいずれがカニの食感に近いとして投票してもらった。その結果を、以下の表4に示す。*はp<0.05を示す。
Claims (4)
- 魚肉すり身およびキチンナノファイバーを含む魚肉練製品であって、
ここで、原料として使用するキチンナノファイバーが石臼式磨砕機を用いて製造されたキチンナノファイバーであり、
ここで、前記原料として使用するキチンナノファイバーのpHが6~11である、魚肉練製品。 - 請求項1に記載の魚肉練製品であって、キチンナノファイバーを0.2重量%以上含む、魚肉練製品。
- 請求項1に記載の魚肉練製品であって、原料として使用するキチンナノファイバーのpHが8~10である、魚肉練製品。
- 請求項1に記載の魚肉練製品であって、前記石臼式磨砕機を用いて製造されたキチンナノファイバーが、石臼式摩砕機で2回処理したキチンナノファイバーである、魚肉練製品。
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