このブリッジレスPFC回路を備えた電源装置は、整流用のダイオードD1、D2に換えて、それぞれ同期整流素子を備えることで、入力電源に流れる還流電流によるブリッジレスPFC回路の損失を減少させ、高効率な電源装置とすることができる。
以下、本発明の電源装置に係わる好適な実施形態について説明する。例として、第1実施形態から第6実施形態を説明する。第1実施形態、及び第2実施形態については、ブリッジレスPFC回路であるデュアルブースト型PFC回路を備えた電源装置であり、第3実施形態、及び第4実施形態については、ブリッジレスPFC回路である同期整流型PFC回路を備えた電源装置であり、第5実施形態、及び第6実施形態については、ブリッジレスPFC回路であるトーテムポール型PFC回路を備えた電源装置である。なお、本発明の対象は以下の実施形態に限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれると共に、その構成要素は、適宜組み合わせることが可能である。
本発明の実施の形態を各図を参照し、詳細に説明する。なお、図の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
まず、図1を参照して、本発明の好適な実施形態(第1実施形態)に係るブリッジレスPFC回路であるデュアルブースト型PFC回路を備えた電源装置の構成を例に挙げて説明する。
本第1実施形態である電源装置1は、図1に示されるように、交流電源2、入力端子部3、昇圧回路部4、同期整流部5、制御部6、電力変換部7、出力端子部8を有する。
交流電源2は、電源装置1に電圧を供給するための一端、及び他端を有し、交流電源2の一端、及び他端が入力端子部3に接続される。
入力端子部3は、第1入力端子3a、及び第2入力端子3bを有し、第1入力端子3aは、交流電源2の一端、昇圧回路部4、及び同期整流部5と接続される。また、第2入力端子3bは、交流電源2の他端、昇圧回路部4、及び同期整流部5と接続される。
昇圧回路部4は、第1のスイッチング素子11a、及び第2のスイッチング素子11bと、第1の整流素子12a、及び第2の整流素子12bと、第1インダクタLa、及び第2インダクタLbと、コンデンサ13と、昇圧電圧を出力する昇圧電圧出力端子部14a、及びグランド14bを有する。
第1のスイッチング素子11a、及び第2のスイッチング素子11bは、n型のMOSFET(以降はFET11a、FET11bと呼ぶ)であり、第1の整流素子12a、及び第2の整流素子12bはダイオード(以降はダイオード12a、ダイオード12bと呼ぶ)であり、第1インダクタLa、及び第2インダクタLbは巻線部品(コイル部品)であり、コンデンサ13は、バルクコンデンサである。
昇圧回路部4は、デュアルブースト型PFC回路であり、FET11aの一端であるドレインに、ダイオード12aの一端であるアノード、及び第1インダクタLaの一端が接続され、FET11bの一端であるドレインに、ダイオード12bの一端であるアノード、及び第2インダクタLbの一端が接続される。第1インダクタLaの他端には交流電源2の一端に接続された入力端子部3の一端である第1入力端子3aが接続され、第2インダクタLbの他端には交流電源2の他端に接続された入力端子部3の他端である第2入力端子3bが接続される。ダイオード12aの他端であるカソード、及びダイオード12bの他端であるカソードは、昇圧回路部4の昇圧電圧が出力される昇圧電圧出力端子部14aに接続され、FET11aの他端であるソース、及びFET11bの他端であるソースは昇圧回路部4のグランド14bに接続される。また、昇圧電圧出力端子部14aとグランド14bの間には、コンデンサ13が接続される。
同期整流部5は、n型のMOSFET(FIELD EFFECT TRANSISTOR)である第1の同期整流素子5a、及び第2の同期整流素子5bを備えている。第1の同期整流素子5a、及び第2の同期整流素子5bは、それぞれ入力端子部3に接続され(以降は第1の同期整流素子5aをFET5a、及び第2の同期整流素子5bをFET5bと呼ぶ)、FET5aの一端であるドレインは、入力端子部3の第1入力端子3aに接続され、FET5aの他端であるソースは、グランド14bに接続される。同様にFET5bの一端であるドレインは、入力端子部3の第2入力端子3bに接続され、FET5bの他端であるソースは、グランド14bに接続される。また、同期整流部5のFET5a、及びFET5bは、第1の過電圧保護素子9a、及び第2の過電圧保護素子9bと接続される。第1の過電圧保護素子9a、及び第2の過電圧保護素子9bは、ツェナーダイオードであり、FET5a、及びFET5bのドレイン-ソース間にそれぞれ接続されている(以降は第1の過電圧保護素子9aをツェナーダイオード9a、第2の過電圧保護素子9bをツェナーダイオード9bと呼ぶ)。FET5aの一端であるドレインにツェナーダイオード9aのカソードが接続され、FET5aの他端であるソースにツェナーダイオード9aのアノードが接続される。同様に、FET5bの一端であるドレインにツェナーダイオード9bのカソードが接続され、FET5bの他端であるソースにツェナーダイオード9bのアノードが接続される。なお、ツェナーダイオード9a、及びツェナーダイオード9bのツェナー電圧は、FET5a、及びFET5bのドレイン-ソース間の最大定格電圧(以降はドレイン-ソース間電圧Vdssと呼ぶ)よりも低い値の素子を用いる。
制御部6は、例えば、コンピュータやDSP(DIGITAL SIGNAL PROCESSOR)で構成され、FET11a、及びFET11bと、FET5a、及びFET5bのそれぞれの駆動信号入力端であるゲートに駆動信号(パルス信号)を入力し、FET11a、及びFET11bと、FET5a、及びFET5bに対するオン・オフ制御を実行する。具体的には、制御部6は、交流電源2の交流電圧Vacの極性(例えば、入力端子部3の第2入力端子3bの電位を基準として第1入力端子3aが正電圧となる正極性であるか、入力端子部3の第2入力端子3bの電位を基準として第1入力端子3aが負電圧となる負極性であるか)、及び昇圧電圧出力端子部14aとグランド14bの間の昇圧電圧(直流電圧Vdc)の電圧値を検出しつつ、交流電圧Vacが正極性の期間では、FET11b、及びFET5bに対しては、常時オン状態に維持し、かつFET11aに対しては、検出した直流電圧Vdcの電圧値に応じてデューティ比を変更しつつスイッチング動作させる制御を実行する。一方、制御部6は、交流電圧Vacが負極性の期間では、逆に、FET11a、及びFET5aに対しては、常時オン状態に維持し、かつFET11bに対しては、検出した直流電圧Vdcの電圧値に応じてデューティ比を変更しつつスイッチング動作させる制御を実行する。
電力変換部7は、昇圧回路部4の昇圧電圧出力端子部14a、及びグランド14bに接続され、入力側から昇圧電圧(直流電圧Vdc)が供給されると、所定の電圧に変換して、電力変換部7の出力側に接続された出力端子部8から負荷へと電力を出力する。ここでは電力変換部7の詳細な説明は省略するが、例えば、トランスを用いた絶縁型のフォワードコンバータ、ハーフブリッジコンバータ、フルブリッジコンバータ等が挙げられる。
次に、電源装置1の動作について説明する。
まず、交流電源2の交流電圧Vacが正極性の期間(交流電圧Vacの正極性の半周期)では、上記したように、制御部6が、FET11b、及びFET5bに対しては、常時オン状態に維持する制御を実行しつつ、FET11aに対してはスイッチング動作(オン・オフ動作)させる制御を実行する。これにより、FET11aがオン状態のときには、交流電源2の一端が接続された第1入力端子3aから、第1インダクタLa、FET11aを経て、さらに、FET11b、及びFET5bに分岐して電流が流れ、第2入力端子3bで分岐した電流が合流され、交流電源2の他端に至る経路に電流が流れ(FET11bに流れる電流は、第2インダクタLbを経由して、第2入力端子3bに流れる)、第1インダクタLa、及び第2インダクタLbにエネルギーが蓄積される。また、FET11aがオフ状態のときには、交流電源2の一端が接続された第1入力端子3aから、第1インダクタLa、ダイオード12a、コンデンサ13を経て、さらに、FET11b、及びFET5bに分岐して電流が流れ、第2入力端子3bで分岐した電流が合流され、交流電源2の他端に至る経路に電流が流れ(FET11bに流れる電流は、第2インダクタLbを経由して、第2入力端子3bに流れる)、第1インダクタLa、及び第2インダクタLbに蓄積されていたエネルギーが交流電源2からのエネルギーと共にコンデンサ13に供給される(直流電圧Vdcが生成される)。
次に、交流電圧Vacが負極性の期間(交流電圧Vacの負極性の半周期)では、上記したように、制御部6が、FET11a、及びFET5aに対しては、常時オン状態に維持する制御を実行しつつ、FET11bに対してはスイッチング動作(オン・オフ動作)させる制御を実行する。これにより、FET11bがオン状態のときには、交流電源2の他端が接続された第2入力端子3bから、第2インダクタLb、FET11bを経て、さらに、FET11a、及びFET5aに分岐して電流が流れ、第1入力端子3aで分岐した電流が合流され、交流電源2の一端に至る経路に電流が流れ(FET11aに流れる電流は、第1インダクタLaを経由して、第1入力端子3aに流れる)、第1インダクタLa、及び第2インダクタLbにエネルギーが蓄積される。また、FET11bがオフ状態のときには、交流電源2の他端が接続された第2入力端子3bから、第2インダクタLb、ダイオード12b、出力コンデンサ13を経て、さらに、FET11a、及びFET5aに分岐して電流が流れ、第1入力端子3aで分岐した電流が合流され、交流電源2の一端に至る経路に電流が流れ(FET11aに流れる電流は、第1インダクタLaを経由して、第1入力端子3aに流れる)、第1インダクタLa、及び第2インダクタLbに蓄積されていたエネルギーが交流電源2からのエネルギーと共にコンデンサ13に供給される(直流電圧Vdcが生成される)。
なお、FET5a、及びFET5bは、交流電源2とグランド14bの間に接続されることで、昇圧回路部4(デュアルブーストPFC型回路)の回路内部の電位が安定するため、ノイズを抑制することができ、さらに、交流電源2(入力電源)に流れる電流(還流電流)の損失も抑えることができる。
次に、電源装置1の過電圧印加時の過電圧保護動作について説明する。
制御部6が、これらFET11a、FET11b、FET5a、FET5bをそれぞれ動作させている中で、第1入力端子3a、及び第2入力端子3bに雷サージ等による過電圧が印加されたとき、FET5a、及びFET5bのドレイン-ソース間に過電圧が印加されても(制御上、オフとなったFET(FET5a、FET5b)のドレイン-ソース間に過電圧が印加される)、FET5a、及びFET5bのドレイン-ソース間には、ドレイン-ソース間電圧Vdssよりも低いツェナー電圧であるツェナーダイオード9a、及びツェナーダイオード9bが接続されているため、ドレイン-ソース間電圧Vdssに到達する前に、ツェナーダイオード9a、及びツェナーダイオード9bがオンする。これにより、FET5a、及びFET5bのドレイン-ソース間には、ドレイン-ソース間電圧Vdssよりも低いツェナー電圧しかかからないため、FET5a、及びFET5bを雷サージ等による過電圧から保護することができる。
このように、本第1実施形態では、交流電源2と昇圧回路部4(デュアルブースト型PFC回路)に接続されたFET5a、及びFET5bに、FET5a、及びFET5bのドレイン-ソース間にドレイン-ソース間電圧Vdssよりも低いツェナー電圧であるツェナーダイオード9a、及びツェナーダイオード9bを備えることによって、FET5a、及びFET5bの過電圧による破損を防止することができ、高効率かつ高信頼性のブリッジレスPFC回路を備えた電源装置を提供することができる。
次に、図2は、図1の電源装置1より、過電圧保護素子の接続点のみを変更したデュアルブースト型PFC回路を備えた電源装置である。図2を参照して、本発明の好適な実施形態(第2実施形態)に係るブリッジレスPFC回路であるデュアルブースト型PFC回路を備えた電源装置の構成を例に挙げて説明する。なお、図2の電源装置1Aは、図1の過電圧保護素子9a、及び9bの接続点のみを変更した電源装置であるため、同符号、及び動作については省略する。
図2では、第1の過電圧保護素子10a、及び第2の過電圧保護素子10bは、ツェナーダイオードであり、FET5a、及びFET5bのドレイン-ゲート間にそれぞれ接続されている(以降は第1の過電圧保護素子10aをツェナーダイオード10a、第2の過電圧保護素子10bをツェナーダイオード10bと呼ぶ)。FET5aの一端であるドレインにツェナーダイオード10aのカソードが接続され、FET5aの駆動信号入力端であるゲートにツェナーダイオード10aのアノードが接続される。同様に、FET5bの一端であるドレインにツェナーダイオード10bのカソードが接続され、FET5bの駆動信号入力端であるゲートにツェナーダイオード10bのアノードが接続される。なお、ツェナーダイオード10a、及びツェナーダイオード10bのツェナー電圧Vzは、FET5a、及びFET5bのドレイン-ソース間の最大定格電圧(以降はドレイン-ソース間電圧Vdssと呼ぶ)からFET5a、及びFET5bのゲート-ソース間のスレッシュ電圧(以降はスレッシュ電圧Vthと呼ぶ)を引いた電圧よりも低い値の素子を用いる(Vz<Vdss-Vth)。
次に、電源装置1Aの過電圧印加時の過電圧保護動作について説明する。
制御部6が、FET11a、FET11b、FET5a、FET5bをそれぞれ動作させている中で、第1入力端子3a、及び第2入力端子3bに雷サージ等による過電圧が印加されたとき、FET5a、及びFET5bのドレイン-ソース間に過電圧が印加されても(制御上、オフとなったFET(FET5a、FET5b)のドレイン-ソース間に過電圧が印加される)、FET5a、及びFET5bのドレイン-ゲート間には、ツェナー電圧Vzであるツェナーダイオード10a、及びツェナーダイオード10bが接続されているため、ツェナーダイオード10a、及びツェナーダイオード10bに過電圧による電流が流れ、FET5a、及びFET5bのゲート電圧が上昇し(FET5a、及びFET5bのゲート-ソース間には寄生容量によるコンデンサ成分が含まれているため)、スレッシュ電圧Vthに達すると、FET5a、及びFET5bがオンする。これにより、過電圧による電流はFET5a、及びFET5bのドレイン-ソース間に流れる。この状態が続くと、FET5a、及びFET5bのゲート電圧が低下し、スレッシュ電圧Vth以下になると、FET5a、及びFET5bがオフする。すると、再びツェナーダイオード10a、及びツェナーダイオード10bに過電圧による電流が流れ、FET5a、及びFET5bのゲート電圧が上昇し、スレッシュ電圧Vthに達すると、FET5a、及びFET5bがオンすることで、過電圧による電流はFET5a、及びFET5bのドレイン-ソース間に流れる。このように、過電圧が印加されると、ツェナーダイオード10a、及びツェナーダイオード10bによって、FET5a、及びFET5bがドレイン-ソース間電圧Vdssに達する前に、ゲート電圧をスレッシュ電圧Vthまで上昇させて、FET5a、及びFET5bをオンさせることで、FET5a、及びFET5bを過電圧から保護することができる。
さらに、Vz<Vdss-Vthの関係から、ツェナーダイオード10a、及びツェナーダイオード10bによって、FET5a、及びFET5bのドレイン-ソース間電圧Vdssを超えないため、確実にFET5a、及びFET5bを過電圧から保護することができる。
このように、本第2実施形態では、交流電源2と昇圧回路部4(デュアルブースト型PFC回路)に接続されたFET5a、及びFET5bのドレイン-ゲート間にツェナーダイオード10a、及びツェナーダイオード10bを備えることによって、FET5a、及びFET5bの過電圧による破損を防止することができ、高効率かつ高信頼性のブリッジレスPFC回路を備えた電源装置を提供することができる。
次に図3を参照して、本発明の好適な実施形態(第3実施形態)に係るブリッジレスPFC回路である同期整流型PFC回路を備えた電源装置の構成を例に挙げて説明する。
本第3実施形態である電源装置101は、図3に示されるように、交流電源102、入力端子部103、昇圧回路部104、同期整流部105、制御部106、電力変換部107、出力端子部108を有する。
交流電源102は、電源装置101に電圧を供給するための一端、及び他端を有し、交流電源102の一端、及び他端が入力端子部103に接続される。
入力端子部103は、第1入力端子103a、及び第2入力端子103bを有し、第1入力端子103aは、交流電源102の一端、及び同期整流部105を介して昇圧回路部104と接続される。また、第2入力端子103bは、交流電源102の他端、及び同期整流部105を介して昇圧回路部104と接続される。
昇圧回路部104は、スイッチング素子111と、整流素子112と、インダクタL2と、コンデンサ113と、昇圧電圧を出力する昇圧電圧出力端子部114a、及びグランド114bを有する。
スイッチング素子111は、n型のMOSFET(以降はFET111と呼ぶ)であり、整流素子112はダイオード(以降はダイオード112と呼ぶ)であり、インダクタL2は巻線部品(コイル部品)であり、コンデンサ113は、バルクコンデンサである。
昇圧回路104は、FET111の一端であるドレインに、ダイオード112の一端であるアノード、及びインダクタL2の一端が接続される。インダクタL2の他端には、交流電源102の一端に接続された入力端子部103の一端である第1入力端子103a、及び交流電源102の他端に接続された入力端子部103の他端である第2入力端子103bが、同期整流部105を介して接続される。ダイオード112の他端であるカソードは、昇圧回路部104の昇圧電圧が出力される昇圧電圧出力端子部114aに接続され、FET111の他端であるソースは昇圧回路部104のグランド114bに接続される。また、昇圧電圧出力端子部114aとグランド114bの間には、コンデンサ113が接続される。
同期整流部105は、n型のMOSFET(FIELD EFFECT TRANSISTOR)である第1の同期整流素子105a、第2の同期整流素子105b、第3の同期整流素子105c、及び第4の同期整流素子105dを備えている(以降は第1の同期整流素子105aをFET105a、第2の同期整流素子105bをFET105b、第3の同期整流素子105cをFET105c、及び第4の同期整流素子105dをFET105dと呼ぶ)。FET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dは、それぞれ入力端子部103に接続され、FET105aの一端であるドレインは、FET105cの一端であるソース、及び第1入力端子103aに接続され、FET105bの一端であるドレインは、FET105dの一端であるソース、及び第2入力端子103bに接続され、FET105a、及びFET105bの他端であるソースは、グランド114bに接続され、FET105c、及びFET105dの一端であるドレインは、インダクタL2の他端に接続される。
制御部106は、例えば、コンピュータやDSP(DIGITAL SIGNAL PROCESSOR)で構成され、FET111、FET105a、FET105b、FET105c、及び105dのそれぞれの駆動信号入力端であるゲートに駆動信号(パルス信号)を入力し、FET111、FET105a、FET105b、FET105c、及び105dに対するオン・オフ制御を実行する。具体的には、制御部106は、交流電源102の交流電圧Vacの極性(例えば、入力端子部103の第2入力端子103bの電位を基準として第1入力端子103aが正電圧となる正極性であるか、入力端子部103の第2入力端子103bの電位を基準として第1入力端子103aが負電圧となる負極性であるか)、及び昇圧電圧出力端子部114aとグランド114bの間の出力電圧(直流電圧Vdc)の電圧値を検出しつつ、交流電圧Vacが正極性の期間では、FET105b、及びFET105cに対しては、常時オン状態に維持し、かつFET111に対しては、検出した直流電圧Vdcの電圧値に応じてデューティ比を変更しつつスイッチング動作させる制御を実行する。一方、制御部106は、交流電圧Vacが負極性の期間では、逆に、FET105a、及びFET105dに対しては、常時オン状態に維持し、かつFET111に対しては、検出した直流電圧Vdcの電圧値に応じてデューティ比を変更しつつスイッチング動作させる制御を実行する。
電力変換部107は、昇圧回路部104の昇圧電圧出力端子部114a、及びグランド114bに接続され、入力側から昇圧電圧(直流電圧Vdc)が供給されると、所定の電圧に変換して、電力変換部107の出力側に接続された出力端子部108から負荷へと電力を出力する。ここでは電力変換部107の詳細な説明は省略するが、例えば、トランスを用いた絶縁型のフォワードコンバータ、ハーフブリッジコンバータ、フルブリッジコンバータ等が挙げられる。
第1の過電圧保護素子109a、第2の過電圧保護素子109b、第3の過電圧保護素子109c、及び第4の過電圧保護素子109dは、ツェナーダイオードであり、FET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dのドレイン-ソース間にそれぞれ接続されている(以降は第1の過電圧保護素子109aをツェナーダイオード109a、第2の過電圧保護素子109bをツェナーダイオード109b、第3の過電圧保護素子109cをツェナーダイオード109c、第4の過電圧保護素子109dをツェナーダイオード109dと呼ぶ)。FET105aの一端であるドレインにツェナーダイオード109aのカソードが接続され、FET105aの他端であるソースにツェナーダイオード109aのアノードが接続され、FET105bの一端であるドレインにツェナーダイオード109bのカソードが接続され、FET105bの他端であるソースにツェナーダイオード109bのアノードが接続される。同様に、FET105cの一端であるドレインにツェナーダイオード109cのカソードが接続され、FET105cの他端であるソースにツェナーダイオード109cのアノードが接続され、FET105dの一端であるドレインにツェナーダイオード109dのカソードが接続され、FET105dの他端であるソースにツェナーダイオード109dのアノードが接続される。なお、ツェナーダイオード109a、ツェナーダイオード109b、ツェナーダイオード109c、及びツェナーダイオード109dのツェナー電圧は、FET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dのドレイン-ソース間の最大定格電圧(以降はドレイン-ソース間電圧Vdssと呼ぶ)よりも低い値の素子を用いる。
次に、電源装置101の動作について説明する。
まず、交流電源102の交流電圧Vacが正極性の期間(交流電圧Vacの正極性の半周期)では、上記したように、制御部106が、FET105b、及びFET105cに対しては、常時オン状態に維持する制御を実行しつつ、FET111に対してはスイッチング動作(オン・オフ動作)させる制御を実行する。これにより、FET111がオン状態のときには、交流電源102の一端が接続された第1入力端子103aから、FET105c、インダクタL2、FET111、FET105b、第2入力端子103bを経て、交流電源102の他端に至る経路に電流が流れ、インダクタL2にエネルギーが蓄積される。また、FET111がオフ状態のときには、交流電源102の一端が接続された第1入力端子103aから、FET105c、インダクタL2、ダイオード112、コンデンサ113、FET105b、第2入力端子103bを経て、交流電源102の他端に至る経路に電流が流れ、インダクタL2に蓄積されていたエネルギーが交流電源102からのエネルギーと共にコンデンサ113に供給される(直流電圧Vdcが生成される)。
次に、交流電圧Vacが負極性の期間(交流電圧Vacの負極性の半周期)では、上記したように、制御部106が、FET105a、及びFET105dに対しては、常時オン状態に維持する制御を実行しつつ、FET111に対してはスイッチング動作(オン・オフ動作)させる制御を実行する。これにより、FET111がオン状態のときには、交流電源102の他端が接続された第2入力端子103bから、FET105d、インダクタL2、FET111、FET105a、第1入力端子103aを経て、交流電源102の一端に至る経路に電流が流れ、インダクタL2にエネルギーが蓄積される。また、FET111がオフ状態のときには、交流電源102の他端が接続された第2入力端子103bから、FET105d、インダクタL2、ダイオード112、コンデンサ113、FET105a、第1入力端子103aを経て、交流電源102の一端に至る経路に電流が流れ、インダクタL2に蓄積されていたエネルギーが交流電源102からのエネルギーと共にコンデンサ113に供給される(直流電圧Vdcが生成される)。
なお、FET105a、及びFET105bは、交流電源102とグランド114bの間に接続されることで、昇圧回路部104(PFC回路)の回路内部の電位が安定するため、ノイズを抑制することができ、さらに、FET105c、及びFET105dを含めた4つの同期整流素子によって、交流電源102(入力電源)に流れる電流(還流電流)の損失も抑えることができる。
次に、電源装置101の過電圧印加時の過電圧保護動作について説明する。
制御部106が、これらFET111、FET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dをそれぞれ動作させている中で、第1入力端子103a、及び第2入力端子103bに雷サージ等による過電圧が印加されたとき、FET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dのドレイン-ソース間に過電圧が印加されても(制御上、オフとなったFET(FET105a、FET105b、FET105c、及びFET105d)のドレイン-ソース間に過電圧が印加される)、FET105a、FET105b、FET105c、FET105dのドレイン-ソース間には、ドレイン-ソース間電圧Vdssよりも低いツェナー電圧であるツェナーダイオード109a、ツェナーダイオード109b、ツェナーダイオード109c、ツェナーダイオード109dが接続されているため、ドレイン-ソース間電圧Vdssに到達する前に、ツェナーダイオード109a、ツェナーダイオード109b、ツェナーダイオード109c、ツェナーダイオード109dがオンする。これにより、FET105a、FET105b、FET105c、FET105dのドレイン-ソース間には、ドレイン-ソース間電圧Vdssよりも低いツェナー電圧しかからないため、FET105a、FET105b、FET105c、FET105dを雷サージ等による過電圧から保護することができる。
このように、本第3実施形態では、交流電源102と昇圧回路部104の間に接続されたFET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dに、FET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dのドレイン-ソース間にドレイン-ソース間電圧Vdssよりも低いツェナー電圧であるツェナーダイオード109a、ツェナーダイオード109b、ツェナーダイオード109c、及びツェナーダイオード109dを備えることによって、FET109a、FET109b、FET109c、及びFET109dの過電圧による破損を防止することができ、通常のブリッジダイオード(ダイオード素子によるブリッジ整流素子)と比べて、損失の少ないFETによる同期整流回路を備えることができるため、高効率かつ高信頼性のブリッジレスPFC回路を備えた電源装置を提供することができる。
次に、図4は、図3の電源装置101より、過電圧保護素子の接続点のみを変更した同期整流型PFC回路を備えた電源装置である。図4を参照して、本発明の好適な実施形態(第4実施形態)に係る電源装置のブリッジレスPFC回路である同期整流型PFC回路を備えた電源装置の構成を例に挙げて説明する。なお、図4の電源装置101Aは、図3の過電圧保護素子109a、109b、109c、及び109dの接続点のみを変更した電源装置であるため、同符号、及び動作については省略する。
図4では、第1の過電圧保護素子110a、第2の過電圧保護素子110b、第3の過電圧保護素子110c、及び第4の過電圧保護素子110dは、ツェナーダイオードであり、FET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dのドレイン-ゲート間にそれぞれ接続されている(以降は第1の過電圧保護素子110aをツェナーダイオード110a、第2の過電圧保護素子110bをツェナーダイオード110b、第3の過電圧保護素子110cをツェナーダイオード110c、第4の過電圧保護素子110dをツェナーダイオード110dと呼ぶ)。FET105aの一端であるドレインにツェナーダイオード110aのカソードが接続され、FET105aの駆動信号入力端であるゲートにツェナーダイオード110aのアノードが接続され、FET105bの一端であるドレインにツェナーダイオード110bのカソードが接続され、FET105bの駆動信号入力端であるゲートにツェナーダイオード110bのアノードが接続される。同様に、FET105cの一端であるドレインにツェナーダイオード110cのカソードが接続され、FET105cの駆動信号入力端であるゲートにツェナーダイオード110cのアノードが接続され、FET105d一端であるドレインにツェナーダイオード110dのカソードが接続され、FET105dの駆動信号入力端であるゲートにツェナーダイオード110dのアノードが接続される。なお、ツェナーダイオード110a、ツェナーダイオード110b、ツェナーダイオード110c、及びツェナーダイオード110dのツェナー電圧Vzは、FET105a、FET105b、FET105c、及び105dのドレイン-ソース間の最大定格電圧(以降はドレイン-ソース間電圧Vdssと呼ぶ)からFET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dのゲート-ソース間のスレッシュ電圧(以降はスレッシュ電圧Vthと呼ぶ)を引いた電圧よりも低い値の素子を用いる(Vz<Vdss-Vth)。
次に、電源装置101Aの過電圧印加時の過電圧保護動作について説明する。
制御部106が、FET111、FET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dをそれぞれ動作させている中で、第1入力端子103a、及び第2入力端子103bに雷サージ等による過電圧が印加されたとき、FET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dのドレイン-ソース間に過電圧が印加されても(制御上、オフとなったFET(FET105a、FET105b、FET105c、及びFET105d)のドレイン-ソース間に過電圧が印加される)、FET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dのドレイン-ゲート間には、ツェナー電圧Vzであるツェナーダイオード110a、ツェナーダイオード110b、ツェナーダイオード110c、及びツェナーダイオード110dが接続されているため、ツェナーダイオード110a、ツェナーダイオード110b、ツェナーダイオード110c、及びツェナーダイオード110dに過電圧による電流が流れ、FET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dのゲート電圧が上昇し(FET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dのゲート-ソース間には寄生容量によるコンデンサ成分が含まれているため)、スレッシュ電圧Vthに達すると、FET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dがオンする。これにより、過電圧による電流はFET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dのドレイン-ソース間に流れる。この状態が続くと、FET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dのゲート電圧が低下し、スレッシュ電圧Vth以下になると、FET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dがオフする。すると、再び、ツェナーダイオード110a、ツェナーダイオード110b、ツェナーダイオード110c、及びツェナーダイオード110dに過電圧による電流が流れ、FET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dのゲート電圧が上昇し、スレッシュ電圧Vthに達すると、FET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dがオンすることで、過電圧による電流はFET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dのドレイン-ソース間に流れる。このように、過電圧が印加されると、ツェナーダイオード110a、ツェナーダイオード110b、ツェナーダイオード110c、及びツェナーダイオード110dによって、FET105a、FET105b、FET105c、FET105dがドレイン-ソース間電圧Vdssに達する前に、ゲート電圧をスレッシュ電圧Vthまで上昇させて、FET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dをオンさせることで、FET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dを過電圧から保護することができる。
さらに、Vz<Vdss-Vthの関係から、ツェナーダイオード110a、ツェナーダイオード110b、ツェナーダイオード110c、及びツェナーダイオード110dによって、FET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dのドレイン-ソース間電圧Vdssを超えないため、確実にFET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dを過電圧から保護することができる。
このように、本第4実施形態では、交流電源102と昇圧回路部104の間に接続されたFET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dのドレイン-ゲート間にツェナーダイオード110a、ツェナーダイオード110b、ツェナーダイオード110c、及びツェナーダイオード110dを備えることによって、FET105a、FET105b、FET105c、及びFET105dの過電圧による破損を防止することができ、通常のブリッジダイオード(ダイオード素子によるブリッジ整流素子)と比べて、損失の少ないFETによる同期整流回路を備えることができるため、高効率かつ高信頼性のブリッジレスPFC回路を備えた電源装置を提供することができる。
次に図5を参照して、本発明の好適な実施形態(第5実施形態)に係るブリッジレスPFC回路であるトーテムポール型PFC回路を備えた電源装置の構成を例に挙げて説明する。
本第5実施形態である電源装置201は、図5に示されるように、交流電源202、入力端子部203、昇圧回路部204、同期整流部205、制御部206、電力変換部207、出力端子部208を有する。
交流電源202は、電源装置201に電圧を供給するための一端、及び他端を有し、交流電源202の一端、及び他端が入力端子部203に接続される。
入力端子部203は、第1入力端子203a、及び第2入力端子203bを有し、第1入力端子203aは、交流電源202の一端、及び昇圧回路部204と接続される。また、第2入力端子203bは、交流電源202の他端、及び同期整流部205と接続される。
昇圧回路部204は、第1のスイッチング素子211a、及び第2のスイッチング素子211bと、インダクタL3と、コンデンサ212と、昇圧電圧が出力される昇圧電圧出力端子部213a、及びグランド213bを有する。
第1のスイッチング素子211a、及び第2のスイッチング素子211bは、n型のMOSFET(以降はFET211a、FET211bと呼ぶ)であり、インダクタL3は、巻線部品(コイル部品)であり、コンデンサ212は、バルクコンデンサである。
昇圧回路204は、FET211aの一端であるドレインに、FET211bの一端であるソース、及びインダクタL3の一端が接続され、インダクタL3の他端には交流電源202の一端に接続された入力端子部203の一端である第1入力端子203aが接続される。FET211bの他端であるドレインは、昇圧回路部204の昇圧電圧が出力される昇圧電圧出力端子部213aに接続される。FET211aの他端であるソースは、昇圧回路部204のグランド213bに接続され、昇圧電圧出力端子部213aとグランド213bの間には、コンデンサ212が接続される。
同期整流部205は、n型のMOSFET(FIELD EFFECT TRANSISTOR)である第1の同期整流素子205a、及び第2の同期整流素子205bを備えている(以降は第1の同期整流素子205aをFET205a、及び第2の同期整流素子205bをFET205bと呼ぶ)。FET205a、及びFET205bは、それぞれ入力端子部203に接続され、FET205aの一端であるドレインは、第2入力端子203bに接続され、FET205aの他端であるソースは、グランド213bに接続される。一方、FET205bの一端であるソースは、第2入力端子203bに接続され、FET205bの他端であるドレインは、昇圧電圧出力端子部213aに接続される。
制御部206は、例えば、コンピュータやDSP(DIGITAL SIGNAL PROCESSOR)で構成され、FET211a、FET211bと、FET205a、及び205bのそれぞれの駆動信号入力端であるゲートに駆動信号(パルス信号)を入力し、FET211a、FET211b、FET205a、及び205bに対するオン・オフ制御を実行する。具体的には、制御部206は、交流電源202の交流電圧Vacの極性(例えば、入力端子部203の第2入力端子203bの電位を基準として第1入力端子203aが正電圧となる正極性であるか、入力端子部203の第2入力端子203bの電位を基準として第1入力端子203aが負電圧となる負極性であるか)、及び昇圧電圧出力端子部213aとグランド213bの間の出力電圧(直流電圧Vdc)の電圧値を検出しつつ、交流電圧Vacが正極性の期間では、FET205aに対しては、常時オン状態に維持し、かつFET211a、及びFET211bに対しては、検出した直流電圧Vdcの電圧値に応じてデューティ比を変更しつつスイッチング動作させる制御を実行する。一方、制御部206は、交流電圧Vacが負極性の期間では、逆に、FET205bに対しては、常時オン状態に維持し、かつFET211a、及びFET211bに対しては、検出した直流電圧Vdcの電圧値に応じてデューティ比を変更しつつスイッチング動作させる制御を実行する。
電力変換部207は、昇圧回路部204の昇圧電圧出力端子部213a、及びグランド213bに接続され、入力側から昇圧電圧(直流電圧Vdc)が供給されると、所定の電圧に変換して、電力変換部107の出力側に接続された出力端子部108から負荷へと電力を出力する。ここでは電力変換部107の詳細な説明は省略するが、例えば、トランスを用いた絶縁型のフォワードコンバータ、ハーフブリッジコンバータ、フルブリッジコンバータ等が挙げられる。
第1の過電圧保護素子209a、及び第2の過電圧保護素子209bは、ツェナーダイオードであり、FET205a、及びFET205bのドレイン-ソース間にそれぞれ接続されている(以降は第1の過電圧保護素子209aをツェナーダイオード209a、及び第2の過電圧保護素子209bをツェナーダイオード209bと呼ぶ)。FET205aの一端であるドレインにツェナーダイオード209aのカソードが接続され、FET205aの他端であるソースにツェナーダイオード209aのアノードが接続される。同様に、FET205bの一端であるソースにツェナーダイオード209bのアノードが接続され、FET205bの他端であるドレインにツェナーダイオード209bのカソードが接続される。なお、ツェナーダイオード209a、及びツェナーダイオード209bのツェナー電圧は、FET205a、及びFET205bのドレイン-ソース間の最大定格電圧(以降はドレイン-ソース間電圧Vdssと呼ぶ)よりも低い値の素子を用いる。
次に、電源装置201の動作について説明する。
まず、交流電源202の交流電圧Vacが正極性の期間(交流電圧Vacの正極性の半周期)では、上記したように、制御部206が、FET205aに対しては、常時オン状態に維持する制御を実行しつつ、FET211a、及びFET211bに対してはスイッチング動作(オン・オフ動作)させる制御を実行する。これにより、FET211aがオン状態のときには、FET211bはオフの状態となり、交流電源202の一端が接続された第1入力端子203aから、インダクタL3、FET211a、FET205aを経て、交流電源202の他端に至る経路に電流が流れ、インダクタL3にエネルギーが蓄積される。また、FET211bがオン状態のときには、FET211aはオフの状態となり、交流電源202の一端が接続された第1入力端子203aから、インダクタL3、FFT211b、コンデンサ212、FET205aを経て、交流電源202の他端に至る経路に電流が流れ、インダクタL3に蓄積されていたエネルギーが交流電源202からのエネルギーと共にコンデンサ212に供給される(直流電圧Vdcが生成される)。
次に、交流電圧Vacが負極性の期間(交流電圧Vacの負極性の半周期)では、上記したように、制御部206が、FET205bに対しては、常時オン状態に維持する制御を実行しつつ、FET211a、及びFET211bに対してはスイッチング動作(オン・オフ動作)させる制御を実行する。これにより、FET211bがオン状態のときには、FET211aはオフの状態となり、交流電源202の他端が接続された第2入力端子203bから、FET205b、FET211b、インダクタL3を経て、交流電源202の一端に至る経路に電流が流れ、インダクタL3にエネルギーが蓄積される。また、FET211bがオフ状態のときには、FET211aはオンの状態となり、交流電源202の他端が接続された第2入力端子203bから、FFT205b、コンデンサ212、FET211a、インダクタL3を経て、交流電源202の一端に至る経路に電流が流れ、インダクタL3に蓄積されていたエネルギーが交流電源202からのエネルギーと共にコンデンサ212に供給される(直流電圧Vdcが生成される)。
次に、電源装置201の過電圧印加時の過電圧保護動作について説明する。
制御部206が、これらFET211a、FET211b、FET205a、FET205bをそれぞれ動作させている中で、第1入力端子203a、及び第2入力端子203bに雷サージ等による過電圧が印加されたとき、FET205a、及びFET205bのドレイン-ソース間に過電圧が印加されても(制御上、オフとなったFET(FET205a、FET205b)のドレイン-ソース間に過電圧が印加される)、FET205a、及びFET205bのドレイン-ソース間には、ドレイン-ソース間電圧Vdssよりも低いツェナー電圧であるツェナーダイオード209a、及びツェナーダイオード209bが接続されているため、ドレイン-ソース間電圧Vdssに到達する前に、ツェナーダイオード209a、及びツェナーダイオード209bがオンする。これにより、FET209a、及びFET209bのドレイン-ソース間には、ドレイン-ソース間電圧Vdssよりも低いツェナー電圧しかからないため、FET205a、及びFET205bを雷サージ等による過電圧から保護することができる。
このように、本第5実施形態では、入力端子部203と昇圧回路部204に接続されたFET205a、及びFET205bのドレイン-ソース間にドレイン-ソース間電圧Vdssよりも低いツェナー電圧であるツェナーダイオード209a、及びツェナーダイオード209bを備えることによって、FET205a、及びFET205bの過電圧による破損を防止することができ、特許文献1で使用されているダイオードD1、及びダイオードD2に替えて、損失の少ないFET(本実施例のFET205a、及び205b)を採用することができるため、さらに高効率かつ高信頼性のブリッジレスPFC回路を備えた電源装置を提供することができる。
次に、図6は、図5の電源装置201より、過電圧保護素子の接続点のみを変更したトーテムポール型PFC回路を備えた電源装置である。図6を参照して、本発明の好適な実施形態(第6実施形態)に係るブリッジレスPFC回路であるトーテムポール型PFC回路を備えた電源装置の構成を例に挙げて説明する。なお、図6の電源装置201Aは、図5の過電圧保護素子209a、及び過電圧保護素子209bの接続点のみを変更した電源装置であるため、同符号、及び動作については省略する。
図6では、第1の過電圧保護素子210a、及び第2の過電圧保護素子210bは、ツェナーダイオードであり、FET205a、及びFET205bのドレイン-ゲート間にそれぞれ接続されている(以降は第1の過電圧保護素子210aをツェナーダイオード210a、第2の過電圧保護素子210bをツェナーダイオード210bと呼ぶ)。FET205aの一端であるドレインにツェナーダイオード210aのカソードが接続され、FET205aの駆動信号入力端であるゲートにツェナーダイオード210aのアノードが接続される。同様に、FET205bの他端であるドレインにツェナーダイオード210bのカソードが接続され、FET205bの駆動信号入力端であるゲートにツェナーダイオード210bのアノードが接続される。なお、ツェナーダイオード210a、及びツェナーダイオード210bのツェナー電圧Vzは、FET205a、及びFET205bのドレイン-ソース間の最大定格電圧(以降はドレイン-ソース間電圧Vdssと呼ぶ)からFET205a、及びFET205bのゲート-ソース間のスレッシュ電圧(以降はスレッシュ電圧Vthと呼ぶ)を引いた電圧よりも低い値の素子を用いる(Vz<Vdss-Vth)。
次に、電源装置201Aの過電圧印加時の過電圧保護動作について説明する。
制御部206が、FET211a、FET211b、FET205a、FET205bをそれぞれ動作させている中で、第1入力端子203a、及び第2入力端子203bに雷サージ等による過電圧が印加されたとき、FET205a、及びFET205bのドレイン-ソース間に過電圧が印加されても(制御上、オフとなったFET(FET205a、FET205b)のドレイン-ソース間に過電圧が印加される)、FET205a、及びFET205bのドレイン-ゲート間には、ツェナー電圧Vzであるツェナーダイオード210a、及びツェナーダイオード210bが接続されているため、ツェナーダイオード210a、及びツェナーダイオード210bに過電圧による電流が流れ、FET205a、及びFET205bのゲート電圧が上昇し(FET205a、及びFET205bのゲート-ソース間には寄生容量によるコンデンサ成分が含まれているため)、スレッシュ電圧Vthに達すると、FET205a、及びFET205bがオンする。これにより、過電圧による電流はFET205a、及びFET205bのドレイン-ソース間に流れる。この状態が続くと、FET205a、及びFET205bのゲート電圧が低下し、スレッシュ電圧Vth以下になると、FET205a、及びFET205bがオフする。すると、再びツェナーダイオード210a、及びツェナーダイオード210bに過電圧による電流が流れ、FET205a、及びFET205bのゲート電圧が上昇し、スレッシュ電圧Vthに達すると、FET205a、及びFET205bがオンすることで、過電圧による電流はFET205a、及びFET205bのドレイン-ソース間に流れる。このように、過電圧が印加されると、ツェナーダイオード210a、及びツェナーダイオード210bによって、FET205a、及びFET205bがドレイン-ソース間電圧Vdssに達する前に、ゲート電圧をスレッシュ電圧Vthまで上昇させて、FET205a、及びFET205bをオンさせることで、FET205a、及びFET205bを過電圧から保護することができる。
さらに、Vz<Vdss-Vthの関係から、ツェナーダイオード210a、及びツェナーダイオード210bによって、FET205a、及びFET205bのドレイン-ソース間電圧Vdssを超えないため、確実にFET205a、及びFET205bを過電圧から保護することができる。
このように、本第6実施形態では、入力端子部203と昇圧回路部204に接続されたFET205a、及びFET205bのドレイン-ゲート間にツェナーダイオード210a、及びツェナーダイオード210bを備えることによって、FET205a、及びFET205bの過電圧による破損を防止することができ、特許文献1で使用されているダイオードD1、及びダイオードD2に替えて、損失の少ないFET(本実施例のFET205a、及びFET205b)を採用することがでるため、さらに高効率かつ高信頼性のブリッジレスPFC回路を備えた電源装置を提供することができる。
以上、本発明を実施のブリッジレスPFC回路を備えた電源装置の好適な一実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施例では、同期整流素子であるFETのドレイン-ソース間に過電圧保護素子として、ツェナーダイオードを接続したブリッジレスPFC回路を備えた電源装置を例示したが、本発明はこれに限らず、同期整流素子であるFETのドレイン-ソース間には、バリスタや、サージアレスタ等を接続してもかまわない。
また、例えば、本実施例では、同期整流素子であるFETのドレイン-ゲート間に過電圧保護素子として、ツェナーダイオードを接続したブリッジレスPFC回路を備えた電源装置を例示したが、本発明はこれに限らず、同期整流素子であるFETのドレイン-ゲート間には、バリスタや、サージアレスタ等を接続してもかまわない。また、同期整流素子であるFETのドレイン-ゲート間に過電圧保護素子を接続した状態で、同期整流素子であるFETのゲート-ソース間にコンデンサ、抵抗、コンデンサと抵抗を組み合わせた並列回路または直列回路等を備えることで、同期整流素子のオン・オフ制御がより安定した高信頼性のブリッジレスPFC回路を備えた電源装置を提供することができる。