JP7005888B2 - 滑性、耐ブロッキング性、ヒートシール性の良好なフィルム、及び、これを用いた包装材、包装体 - Google Patents

滑性、耐ブロッキング性、ヒートシール性の良好なフィルム、及び、これを用いた包装材、包装体 Download PDF

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本発明は、滑性、耐ブロッキング性、ヒートシール性の良好なフィルム、及び、これを用いた包装材、包装体に関する。
包装材は、食料品や医薬品等を包装する包装袋に使用されており、包装袋の内容物は、液状、粉末状、ペースト状、固形状等、様々な状態を有している。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリエステル等のフィルムを利用したプラスチックフィルム製包装体がよく利用されている。
こうした包装袋には、内容物充填時の充填適性や、包装材料に外力が加わった際の袋の破損が無いこと、気密性、包装袋を開封する際の開封性などの特性が求められる。こうした包装袋を得るために、包装材料には、良好な衝撃耐性、ヒートシール性、引裂き性、剛性、バリア性などのほか、加工工程での良好な滑性、耐ブロッキング性、巻取性などの特性も求められている。
例えば、低密度ポリエチレンなどを用いることで、良好な衝撃耐性、低温ヒートシール性を有することができるが、加工工程での滑性が悪く、ブロッキングしやすいといった問題が生じる。すなわち、滑性が悪いことでシワの発生やフィルムの巻取性が悪くなる。
また、ブロッキングによるブロッキング跡の顕在化、印刷やラミネート工程におけるフィルム破断やテンション変動による収率低下が発生することがある。
これら滑性やブロッキング性の問題を解決するため、低密度ポリエチレンなどに、滑剤やアンチブロッキング剤を混合させる対応がとられている。例えば特許文献1では、各2種類の滑剤とアンチブロッキング剤を添加することで問題の解決を図っている。
特許第5628132号公報
しかし、特許文献1の手法では、多くの添加剤を混合させることによる管理項目の増大やそれに伴うコストが発生してしまう。この他、滑剤量が多いことによる滑性の経時変化が発生するといった問題がある。
熱可塑性樹脂の種類、接着剤の有無や種類、温度条件などによって状況は異なるものの、一般的に、滑剤はフィルム成形後や温度変更後の経時変化によって、フィルム表面へ移行する傾向がある。つまり、ブリードアウト現象が発生する。そのため、保管条件や製品加工条件によっては、フィルムの滑性が変化することになる。さらに、滑剤のブリードアウトした表面に、同じフィルムの裏面や別のフィルムが接触すると、裏面や別のフィルムにも滑剤が転移し、その転移した面の滑性も変化させてしまうことになる。そのため、安定した滑性を得るためには、滑剤量はなるべく少量であることが望まれている。
そこで、本発明は、添加剤の種類や特に滑剤量を増加させることなく、ヒートシール性が良好で、かつ、加工工程での良好な滑性、耐ブロッキング性を有する包装材に適したフィルム、及び、該フィルムを用いた包装材、包装体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、代表的な本発明のフィルムの一つは、少なくとも一方の面にランダムに配置された凸形状部を有し、
凸形状部の高さはランダム、かつ各凸形状部の最大の高さがそれぞれ4μm~8μmであり、
高さが0.5μm以上の凸形状部の数は50個/mm~500個/mmであるフィルムである。
また、他の代表的な本発明の包装材は、前記フィルムの凸形状部が形成されていない側の面に、少なくとも基材層が積層されている。
さらに、他の代表的な本発明の包装体は、上記包装材を用いたものである。
本発明は、フィルムの一方の表面に、適切な凸形状部を形成することで、添加剤の種類や滑剤量を増加させることなく、ヒートシール性が良好で、加工工程での良好な滑性、耐ブロッキング性を有することができる。
本発明の実施形態の一例を示した斜視図である。 本発明の実施形態の一例を示した断面図である。 本発明の実施形態の一例を示した上面図である。 本発明の実施形態の一例を示した断面図である。 本発明の実施形態の一例を示した斜視図である。 本発明の実施形態の一例を示した斜視図である。 本発明の実施形態の一例を示した斜視図である。 本発明の有機滑材存在量測定方法の概要を示した図である。 本発明のフィルムを用いたスタンディングパウチの断面図である。 本発明のフィルムを用いたスタンディングパウチの製造過程を示す模式図である。
以下に、本発明の包装材に適したフィルム、つまり包装材用フィルムの実施形態について説明する。なお、各図は模式的に示した図であり、各部の大きさや形状等は理解を容易にするために適宜誇張して示している。また、説明を簡単にするため、各図の対応する部位には同じ符号を付している。
本発明のフィルムは、図1、2、3に示されるように、熱可塑性樹脂で形成されたフィルム1の一方の表面2上に、凸形状部4(以下、「凸形状4」ということがある。)が複数形成されている。この凸形状4は表面2の平面内に位置的にランダムに存在し、個々の高さHもランダムである。ただし、個々の凸形状4の最大の高さHmaxはそれぞれ4μm~8μmの範囲内である。
ここで、凸形状4とは、表面2の平坦部からその法線方向に突出した部分を示すものとし、凸形状4の高さHとは、図2に示すように、表面2の平坦部から凸形状4の最高点までの法線方向における距離を示すものとする。また、凸形状4の最大の高さHmaxとは、任意の位置における1mmあたりに含まれる凸形状4の高さHの中で、最も高さの高いものを示す。例えば、図2、3の場合、1mmに含まれる3つの凸形状4の高さH1、H2、H3とHmaxの関係は、Hmax=H1>H3>H2となる。
さらに、高さHが0.5μm以上の凸形状4の数は50個/mm~500個/mmである。200個/mm~500個/mmであると、さらに好ましい。
凸形状4の最大高さHmaxが4μmよりも小さい場合、または、単位面積当たりの凸形状4の個数が50個/mmよりも少ない場合には、フィルム表面の摩擦係数が大きくなり、滑りにくくなる。その結果、例えば、フィルムの搬送中やフィルムが重なったときに、フィルムにシワが入ったり、引取テンションが増大することによるフィルムの伸びが発生することがある。
さらに、フィルムの耐ブロッキング性も低下し、巻取り後のフィルム同士が密着し、外観のムラ、テンションの変動、フィルム破断などの問題が生じることがある。
凸形状4の最大高さHmaxが4μmよりも小さい場合、または、単位面積当たりの凸形状4の個数が50個/mmよりも少ない場合には、いずれの場合でも、凸形状4を形成した効果が発揮されない。これは、フィルム同士が接触する際に、凸形状4のない部分で接触してしまうことが原因であると考えられる。
一方、凸形状4の最大高さHmaxが8μmよりも高い場合、または、単位面積当たりの凸形状4の個数が500個/mmよりも多い場合には、加工工程やその後の保存状態によって、隣り合う凸形状4が重なる頻度が高まり、見かけ上の凸形状4のサイズが過大となって、外観不良となることがある。また、包装材用フィルム同士を重ね熱溶着させる際に、空隙が多くなり過ぎ、ヒートシール性が低下してしまうという問題も生じる。
また、凸形状4は、上述した範囲内で、大きさや高さ、平面的な位置がランダムに存在すれば、凸形状の無い場合と比較して外観を損ねることが無い。しかし、平面的な位置が規則的に配置されると、凸形状4を透過した光が干渉し、外観ムラが発生することがある。
つまり、本発明のように適切な凸形状部の大きさと配置を設定することが重要であり、フィルム1の適正な表面2上の凹凸を形成することが可能になる。その結果、滑剤量を抑えることが可能になり、様々な保管条件や製品加工条件下であっても安定した良好な滑性を保つことができる。つまりは、フィルム同士やフィルムと搬送ロールとの摩擦係数を適度な値にすることができ、かつ、耐ブロッキング性も十分もたせることができる。さらに、このようなフィルムは、同時に、ヒートシール性の低下も防ぐことが可能であり、包装用に最適のフィルムとなる。
以下では、本実施形態における各構成の詳細を説明する。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂の材料は、適度な柔軟性を有するとともに、例えば押出機による加工適性を有する等、良好な加工性を備えることが好ましい。こうした材料としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、及び、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーを持つポリプロピレン、上記オレフィンと酢酸ビニルを共重合して得られるエチレン酢酸ビニルコポリマーやオレフィンの側鎖を変性して得られるエチレン-メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン-ブチルアクリレート共重合体(EBA)、あるいは、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)等が挙げられる。これらの材料は単独で用いてもよいし、これらのうちの複数の材料を組み合わせて用いてもよい。
剛性、衝撃耐性、ヒートシール性、引裂き性を考慮した場合、熱可塑性樹脂は、主に、ポリエチレンもしくはその誘導体から構成されていると良い。さらに、例えば図5に示すように、包装材用のフィルム1は、少なくとも2層からなり、凸形状4のある表面2から順に、第一層5、第二層6としたとき、第一層5の平均密度は0.910g/cm~0.930g/cmで、第一層5の厚みは5μm~30μmであり、第二層6の平均密度は0.920g/cm~0.940g/cm、かつ、前記第一層の平均密度よりも高く、第二層6の厚みは30μm~100μmであるとなお良い。
なお、本発明における樹脂の組成について、「主に」とは、包装材用フィルム1に用いる樹脂のうち、重量割合で70%以上であることを表すものとする。
また、平均密度は、JISK7112:1999に準拠した測定方法、もしくは、これと比較できる測定方法により測定する。
一般に、熱可塑性樹脂に低密度樹脂を用いると衝撃耐性およびヒートシール性を良好にすることができるが、その反面、剛性や引裂き性、加工時の滑性、耐ブロッキング性が悪化してしまう。
しかし、フィルム1を、図5に示すように2層構成とし、第一層5を低密度樹脂、第二層6を中~高密度樹脂とすることで、衝撃耐性、ヒートシール性を良好にしたまま、曲げ剛性、引裂き性を良好にすることができる。
さらに、本発明の凸形状4を有することで、滑性、耐ブロッキング性も良好にできる。
第一層5、第二層6はともに直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)を混合していることが望ましい。LLDPEにLDPEを混合させることで、上記各種物性とネックインやフィッシュアイなどの加工性を両立させることができる。
さらに好ましくは、LLDPE:LDPEの重量比を99:1~70:30の割合で混合させると良い。
さらに、例えば図6に示すように、2層以上に複数の層を重ねて積層することで所望の物性を補完した多層構造としても良い。多層構造の例として、フィルム1の剛性をより高めるため、第一層5、第二層6に使用する樹脂よりも高密度な樹脂層を第三層7に使用しても良い。また、第三層7としては、フィルムの熱収縮によるカールを抑えるため、第一層5と同程度の密度の樹脂層を使用しても良い。
(凸形状部の材料)
凸形状4は、フィルム1の主樹脂となる熱可塑性樹脂とは異なる有機系粒子もしくは無機系粒子からなると良い。有機系粒子もしくは無機系粒子としては、例えば、アクリル系粒子、スチレン粒子、スチレンアクリル粒子およびその架橋体、ポリウレタン系粒子、ポリエステル系粒子、シリコン系粒子、フッ素系粒子、これらの共重合体、ゼオライト、パイロフィライト、タルク、スメクタイト、バーミキュライト、雲母、緑泥岩、カオリン鉱物、セピオライトなどの粘土化合物粒子、シリカ、酸化チタン、アルミナ、シリカアルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化ストロンチウム、水酸化アルミニウム、炭酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、ガラス粒子等が挙げられる。
さらに、有機系粒子もしくは無機系粒子は、熱可塑性樹脂よりも硬いとさらに望ましい。凸形状部4として、熱可塑性樹脂よりも硬い材料を用いることにより、フィルムに圧力が付加された際に、凸形状4が潰されてしまうことを防ぐことができる。凸形状4が潰されてしまうと、積層した際にフィルム同士の接触面積が増大してしまい、滑りにくくなる問題や、ブロッキングする問題が発生する可能性がある。つまり、熱可塑性樹脂よりも硬い材料を用いることにより、フィルム間の接触面積を増大させることを防ぐことができ、滑り性や耐ブロッキング性を向上させることができる。
また、熱可塑性樹脂に比べて、硬い材料で凸形状4を作製することで、フィルム同士が接触した際の摩擦力による凸形状4の変形も抑えることができる。凸形状4が変形してしまうと、接触面積が増大してしまったり、元に戻ろうとする力つまり復元力が生じてしまったりする。どちらも、摩擦力が増大し、上述と同様に滑りにくくなってしまう問題を生じる。硬い材料を用いることで、これらの問題を解決することができる。
(凸形状部の形成)
凸形状部を形成するためには、フィルム1の第一層5に、有機系粒子または無機系粒子30を添加することで、フィルムの平面内に位置的にも高さHもランダムな凸形状4を容易に作製することができる。
有機系粒子は、適切な粒径の選択が容易であるが、熱分解してしまうことがあるので注意が必要である。有機系微粒子の場合には、300℃の温度での重量変化が10%以下であるものが好ましい。包装材用のフィルムの場合には、加熱成形加工を伴うため、重量変化が大きい場合には、分解による臭気発生やヤケ発生の原因、装置劣化の促進などの問題を生じてしまう虞がある。
凸形状部4の断面形状は、例えば図4に示すように、有機系粒子もしくは無機系粒子30そのものがフィルム表面に露出して凸形状4を形成していても良いし、粒子の周囲に熱可塑性樹脂が覆うことで凸形状4を形成していても良い。もちろん、有機系粒子もしくは無機系粒子30が熱可塑性樹脂にほぼ埋もれており、一部分のみが突出しているものでも良い。
凸形状4の形状は、球形であることが望ましい。形状を球形にすることで、効果的に滑性を良好にすることができる。また、圧力がかかった際に球形であると圧力が均等に分散し凹みにくくなるため、耐ブロッキング性にも効果が期待できる。
フィルム1に添加する有機系粒子もしくは無機系粒子30は1種類で十分であり、平均粒径は7~15μmであると良い。有機系粒子もしくは無機系粒子を1種類のみ使用することで、製造工程を簡略にできる。凸形状4の最大高さHmaxを4μm~8μmにするため、平均粒径は7~15μmであることが好ましい。
凸形状4の単位面積当たりの個数を制御するには、熱可塑性樹脂に対する有機系粒子もしくは無機系粒子30の含有割合を変更すれば良く、第一層5の全体に適正な量の有機系粒子もしくは無機系粒子30を均一に添加すれば、容易に所望の個数を制御できる。一方、第一層5を第一上層と第一下層の2層に分離し、第一上層に有機系粒子または無機系粒子30を適切に添加し、厚みを薄くし、かつ、第一下層に添加する有機系粒子または無機系粒子30を第一上層より少量に抑え、第一下層を第一層5の厚みが不足している分の厚みで形成してもよい。このようにすることで、第一層全体としての有機系粒子または無機系粒子30の全体的な添加量を減らすことが可能となる。
フィルム1の表面2における凸形状4の占める面積は、表面2全体に対して2%~20%であると良い。更に好ましくは、9~20%である。ここで、凸形状4の占める面積とは、図3で示すようにフィルム1を上面から観察した際に、表面2の全面積に対する凸形状4の面積の割合を示すものとする。面積の算出には、例えば、表面2から0.5μm以上突出した部分を凸形状4として面積割合を算出する。
表面2の算術平均粗さRa(JISB0601-2001)は0.5μm~2.0μmであると良い。さらに好ましくは、1.2μm~2.0μmである。
表面2のうち凸形状4が形成されていない部分は、略平坦であると良い。ここで、略平坦とは、1mmあたりの凹凸の最大高さ差が、凸形状4の最大高さHmaxの1/5以下であることを意味する。このように平坦部が存在することにより、全面的に凹凸がある場合に比べて、製膜速度を向上させることができ、さらには、フィルムの透明度を増すこともできる。
(フィルム裏面)
フィルム1において、凸形状4の形成されている表面2とは反対の面である裏面3には、本発明の凸形状4を形成する必要はなく、裏面3の粗さは特段の制限はない。
一方、本発明の包装材9や包装体を得るためには、裏面3に、後述する基材層8や機能層10を形成する必要がある。その場合、フィルム1と基材層8や機能層10との密着性を向上させるためには、裏面3の凹凸はあまり大きくないことが望ましい。
具体的には、第二層6には、平均粒径が2μm~8μmの有機系粒子もしくは無機系粒子が重量比で1000ppm~10000ppm含まれている程度が良好である。
(滑剤)
より適度な滑性を得るために、熱可塑性樹脂には有機滑剤が含まれていると良いが、凸形状4のある表面2に存在している有機滑剤量は5mg/m以下であると良い。さらに好ましくは、3mg/m以下であると良い。
(本フィルムの特長)
熱可塑性樹脂に有機滑剤を添加すると、ブリードアウト現象が発生し、フィルムの滑性が不安定になることから、フィルムに含まれる有機滑剤は少ない方が好ましいことは前述のとおりである。
本発明によれば、凸形状4を適切に形成することで、滑性を適度に制御することが可能になるとともに、フィルム1や包装材9のいずれにおいても、表面2に存在している有機滑剤量を5mg/m以下という少ない量に抑えることができる。これにより、熱可塑性樹脂の種類、接着剤の有無・種類、温度条件などの様々な条件下で、適切な滑性を安定して維持できるフィルムとなる。
また、有機滑剤の添加量も、フィルムに対し30ppm~200ppm程度で十分であることから低コストでの製造が可能となる。
さらに、フィルムの外観としても、凸形状4を有しないフィルムと遜色のない美観に仕上げることができる。
表面2に存在している有機滑剤量の評価は、例えば、図8に示すような方法で行う。まず、表面2に有機滑剤表面抽出用治具41を固定し、その中に有機滑剤の溶け込む有機溶媒42を注入する。注入後数秒~数分ほど経過後に有機溶媒42を取出し、取出した有機溶媒を例えばガスクロマトグラフやFTIRなどの装置を用いて評価する。有機溶媒には表面2に存在した有機滑剤が溶け込んでいるため、この有機溶媒42を評価分析することで、表面2に存在している有機滑剤量を測定することができる。
有機滑剤表面抽出用治具41は有機溶媒42をとどめておくための筒であり、有機溶媒42の蒸発を防ぐため、上部はあまり開口がないほうが好ましい。有機溶媒42としては、例えば、クロロホルム、アセトン、エタノール、メタノールなどが挙げられる。
また、表面2に存在している有機滑剤量の測定方法は、上記方法に限定させるものではなく、有機溶媒42でフィルム表面を洗浄することができれば測定が可能である。例えば、フィルムを有機溶媒42に数秒~数分浸漬する方法などでも、表面2に存在している有機滑剤量の測定が可能である。
有機滑剤の種類としては、例えばショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、合成樹脂系としては流動パラフィン、パラフィンワックス、合成ポリエチレンワックスなどの炭化水素系、ステアリン酸、ベヘン酸、ステアリルアルコールなどの脂肪酸系、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミドなどの脂肪酸アミド、などが挙げられる。
なかでも、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミドなどの分子量250~350の脂肪酸アミドが適している。これらの有機滑剤は、フィルム表面へのブリードアウトが早く、成形直後から効果を発揮することができるためである。
また、フィルム1には、その他の各種の添加剤を含んでいてもよい。例えば、加工安定性を付与するための酸化防止剤などを適宜添加することが可能である。
(製造方法)
本発明のフィルム1を作製する方法は特に制限されるものではなく、公知の方法を使用することが可能である。例えば、熱可塑性樹脂に、有機系粒子もしくは無機系粒子30及び有機滑剤を添加し、押出機を用いてフィルム製膜することで、フィルム1を作製することができる。フィルム製膜方法としても、公知の方法である、Tダイ押出機を用い、エアチャンバーやエアナイフ、バキュームチャンバー、それらを複数組み合わせた方法などで製膜することが可能である。
(包装材)
図7に示すように、フィルム1に対して、凸形状4の形成されている表面2とは反対の裏面3に、基材層8や、さらには、印刷層やバリア層といった機能層10を形成することで、本発明の効果を備えた包装材9を得ることができる。図7では基材層8、機能層10、フィルム1の三層構成が示されているが、これに限らず、基材層8、フィルム1の二層構成や、4層以上の多層構成としてもよい。
(基材層)
基材層8は、包装材9の支持体として機能する層であり、一般的には、プラスチックを主とするフィルムが用いられるが、内容物の種類や充填後の加熱処理の有無など使用条件によって基材層を構成する材料は適宜選択される。基材層8の材料としては、プラスチックを主とするフィルム以外にも、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどが使用されることがあり、特に限定されない。
さらに、上記材料のうちの1つの材料からなる単層であってもよいし、こうした単層の積層によって上記材料のうちの複数の材料が組み合わされた層であってもよい。
(機能層)
機能層10としては、例えば印刷層やバリア層が挙げられる。バリア層は、空気中に含まれる酸素等の気体や水蒸気、封入した内容物等から包装材を保護するためのバリア性を高める機能を有する層であり、材料としては、例えば、EVOHやアルミニウム等の金属などが挙げられ、適宜使用することができる。
(包装体)
本発明の包装材9を用いて、互いに向かい合うフィルム1同士の周縁をヒートシール等により溶着することで、上述した本発明の効果を備えた包装体を得ることができる。
本発明の包装体としては、スタンディングパウチや、包装袋、口栓付きパウチ、ラミチューブ、バックインボックス等が挙げられるが、この他に様々な用途に使用できる。
(スタンディングパウチ)
包装体の一例として、本発明の包装材9をスタンディングパウチに採用した場合の構造並びに製造方法を、図9、図10を参照して説明する。スタンディングパウチとは、液体洗剤、柔軟剤、シャンプー、リンスなどのトイレタリー用品や、食用油、インスタントコーヒー、酒などの食品等、液体、粉体、固体を問わず収納可能な容器の一種である。上述の包装体と同様の製袋方法に加え、シーラントフィルムを底テープとし、本体表面と本体裏面の間に挿入して周縁をシールすることで、容易に自立可能であることを特徴とする。図9はスタンディングパウチ12の断面図を、図10はスタンディングパウチ12形成前のウェブ搬送時の状態を示した模式図である。
以下、本発明で得られるスタンディングパウチ12について詳細に説明する。図9に示すように、スタンディングパウチ12では、本発明の包装材9のフィルム1を内側にして折り曲げることで、パウチ表面13、パウチ裏面14を有する。その際に、図9中の網掛けで表示した左右のサイドシール部22とボトムシール部23からなる周縁シール部をヒ―トシールして包装体を形成する。
さらに、底テープ20を別途形成し、パウチ表面13とパウチ裏面14の間に挿入して周縁をシールすることで自立性を備えることができる。
また、スタンディングパウチ12の上部(底テープ20と反対側)には、パウチ表面13及びパウチ裏面14及び注出ノズルシール部24により、内容物を注ぎ出すための注出ノズル16が形成されている。注出ノズルシール部24は、サイドシール部22に連続して設けられたシール部であり、注出ノズル16の下側に設けられる。
注出ノズル16には、先端をヒートシールした注出ノズル先端シール部25が形成されており、注出ノズルシール部24に設けられた開封用切目線17によって分離形成された開封つまみ18として機能する。即ち、使用者は、開封つまみ18を持ち、予め形成されたハーフカット線19に沿って切り離すことにより注出口(図示せず)を形成することができる。なお、本方法に限らず、樹脂等で形成された口栓付キャップを別途設けておき、口栓を開閉することで注出口の機能を付与してもかまわない。
ハーフカット線19は、パウチ表面13及びパウチ裏面14の表面それぞれに設けられている。ハーフカット線の形成方法は、刃物によって形成する方法や、レーザー加工によって形成する方法が一般に用いられているが、レーザー加工による方法の方が均一で安定した切れ目を形成できるので好ましい。レーザーの種類としては、炭酸ガスレーザーがさらに好ましい。
スタンディングパウチ12の製造方法の一例としては、図10に示すように、スタンディングパウチ12を自立させた際の高さの約2倍強の幅を持った包装材9をウェブ状に繰り出し、ハーフカット線19を形成する。その後、積層体を折り曲げ部稜線21で折り曲げて、パウチ表面13とパウチ裏面14を形成すると共に底テープ20を挿入して周縁部のヒートシールを行い、所定の形状に打ち抜くことにより、スタンディングパウチ12を構成することができる。
なお、その他にも、注出ノズル16に、折り曲げ部稜線21を経由してパウチ表面13からパウチ裏面14に至る一繋がりのエンボス加工部26を形成する等の他の特徴を備えていてもよい。即ち、本発明の包装材9を使用することで、上述した効果を備えたスタンディングパウチ12を得ることができる。
以上、本発明の実施形態を例示したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本実施形態の技術的思想を逸脱しない限り、包材としての用途を考慮し、要求されるその他の物性である剛性、強度、衝撃性等を向上する目的で、他の層や構造を任意に形成できることはいうまでもない。
以下、本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
まず、実施例1~5および比較例1,2について、表1に基づいて説明する。
フィルム1は二層積層フィルムとし、第一層5の熱可塑性樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度0.918g/cm、MFR3.8)及び低密度ポリエチレン樹脂(密度0.924g/cm、MFR1.0)を80:20の割合でブレンドし、さらに、表1のように、平均粒径10μmサイズの有機系粒子(アクリル架橋体)を3000ppm~70000ppm、有機滑剤としてエルカ酸アミドを100ppm添加した。また、第二層6の熱可塑性樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度0.931g/cm、MFR3.2)及び低密度ポリエチレン樹脂(密度0.924g/cm、MFR1.0)を80:20の割合でブレンドし、さらに、平均粒径5μmサイズの無機系粒子(ゼオライト)を3000ppm、有機滑剤としてエルカ酸アミドを100ppm添加した。なお、表中には、エルカ酸アミドを略して「EA」と記述している。
これら第一層5、第二層6を単軸共押出機により、それぞれ260℃に加熱溶融し、Tダイキャスト法にて、第一層5の厚みを15μm、第二層6の厚みを85μmし、トータル100μm厚みのフィルム1を製膜した。
Figure 0007005888000001
別の実施例として、第一層5に添加する粒子の平均粒径を変更した実施例を表2に、第一層5及び第二層6に添加する有機滑剤の添加量を変更した実施例を表3に示す。粒子の種類や平均粒径、添加量などは表2、3に記載したとおりである。
なお、表2、表3に記載された実施例および比較例においては、有機系粒子はアクリル架橋体、無機系粒子はゼオライトを使用した。
Figure 0007005888000002
Figure 0007005888000003
さらに別の比較例として、凸形状4を粒子ではなく賦形により作製した比較例を表4に示す。まず、冷却ロールに凸形状4に対応するドット状凹形状を切削により形成し、この冷却ロールを用い、押出製膜時にニップロールにより冷却ロールに十分密着するよう圧力を付加し直接賦形することで、凸形状4を作製した。凸形状4の形状は、球状であり、表面2に接触する部分の幅は20μm、高さは6μm(つまり、アスペクト比0.3)とし、正方形配置に規則的に配置した。凸形状4の配置はランダムにすることは難しいため、規則的な配置のみを比較例として実施している。
フィルム1は二層積層フィルムとし、第一層5の熱可塑性樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度0.918g/cm、MFR3.8)及び低密度ポリエチレン樹脂(密度0.924g/cm、MFR1.0)を80:20の割合でブレンドし、さらに、有機滑剤としてエルカ酸アミドを100ppm添加した。また、第二層6の熱可塑性樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度0.931g/cm、MFR3.2)及び低密度ポリエチレン樹脂(密度0.924g/cm、MFR1.0)を80:20の割合でブレンドし、さらに、平均粒径5μmサイズの無機系粒子(ゼオライト)を3000ppm、有機滑剤としてエルカ酸アミドを100ppm添加した。
これら第一層5、第二層6を単軸共押出機により、それぞれ260℃に加熱溶融し、Tダイニップ加圧法にて、第一層5の厚みを15μm、第二層6の厚みを85μmし、トータル100μm厚みのフィルム1を製膜した。
Figure 0007005888000004
上記実施例及び比較例で得られたフィルム1を、厚み12μmの二軸延伸ナイロンフィルムと厚み15μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとをドライラミネートにより貼り合せた基材層8と、ドライラミネートにより貼り合わせ、包装材9を得た。接着剤にはポリエステル系を使用し、ドライラミネート後50℃にて2日間エージング保管した。
(作製フィルム形態測定)
上記実施例及び比較例で得られたフィルム1、包装材9の形態を評価するため、フィルム1の表面観察測定、フィルム1及び包装材9の有機滑剤の表面存在量測定を行った。測定結果は表1~4に示した通りである。
(表面観察測定)
キーエンス製のレーザーマイクロスコープ(型番VK-X200)を用いて、対物レンズの倍率を10倍にし、表面2の測定を行い、凸形状4の配置、最大高さHmax、単位面積当たりの凸形状4の個数、凸形状4の面積率、凸形状4のある表面2の算術平均粗さRaを算出した。
凸形状4の配置は、測定画像から凸形状4に規則性があるかランダムかを観察した。
最大高さHmaxは、1mmの測定範囲内での明らかな測定ノイズを取り除いた部分での最大の高さを読み取った。
凸形状4の個数は、1mmの測定範囲内において、高さHが0.5μm以上突出している凸形状4の数を、観察画像から数えることで得た。
凸形状4の面積率は、1mmの測定範囲内において、高さHが0.5μm以上突出している部分の面積割合を算出した。
表面2の算術平均粗さRaは、1mmの測定範囲内においてJISB0601‘2001に準拠し、算出した。
(有機滑剤表面存在量測定)
図8で示したように、表面2に有機滑剤表面抽出用治具41を固定し、その中に有機溶媒42としてクロロホルムを注入した。注入後1分経過したところでクロロホルムを取り出し、アジレントテクノロジー(株)製のガスクロマトグラフ/水素炎イオン化検出器にて、有機滑剤の表面2に存在していた量を測定した。カラムはHP-5MSを使用した。なお、事前にいくつかの濃度の異なるエルカ酸アミドの溶けたクロロホルム溶液を標準液とし測定を行い、ピーク面積と濃度の検量線を引くことで、表面存在量に換算している。
上述したように、有機滑剤の表面存在量は、熱可塑性樹脂の種類、接着剤の有無・種類、温度条件などによって変化するため、上記有機滑剤表面存在量測定は、フィルム1及び包装材9に対して実施した。それぞれ製膜後もしくはエージングから取り出し後、および、十分な時間経過後の測定結果をそれぞれ表1~4に記入した。なお、表面存在量は、接着剤のないフィルム1の方が多く、接着剤の存在する包装材9の方が少なくなる。
(性能評価)
各実施例及び各比較例によって得られたフィルム1、包装材9の性能を評価するため、フィルム1に関して、フィルム外観評価、ヒートシール性評価、滑性評価、耐ブロッキング性評価、さらに、包装材9に関して、滑性評価、耐ブロッキング性評価を実施した。各評価結果を表1~4に示す。
(フィルム外観評価)
目視観察により、干渉のような面状のムラや、輝点のような点状のムラが目立つものは×、目立たないが存在するものを△、見えなかったものを〇とした。ここで、点状のムラに関しては、フィッシュアイと区別するため、キーエンス製のレーザーマイクロスコープ(型番VK-X200)を用いて観察し、異物、ヤケ、未溶融、ゲル状の点欠陥は無視することとし、凸形状4に関わるもののみピックアップした。
(ヒートシール性評価)
ヒートシール性評価は、テスター産業製のヒートシーラー(型番TP-701-B)を用いてシール圧力0.2MPa、シール時間を1秒、シール幅を10mmとし、シール温度を130℃、フィルム1の凸形状4のある表面2側の面同士を重ねてシールをした。シールしたフィルムを15mm幅×100mmに切出し、チャック間距離を50mm、引張り速度を300mm/minとして島津製作所株式会社製引張試験機(型番AGS-500NX)を用いて、T字剥離強度を測定し、シール強度とした。シール強度が17[N/15mm]以上のものを〇、15[N/15mm]~17[N/15mm]のものを△、15[N/15mm]以下のものを×とした。
(滑性評価)
滑性評価は、東洋精機製作所製の滑り傾斜角測定装置を用いて、傾斜角度を徐々に上げていった際の錘の滑り始める角度から静摩擦係数を算出する傾斜法により、フィルム1の凸形状4のある表面2側の面同士の静摩擦係数を評価した。錘は30mm幅×40mm長さ×30mm高さで重量197gの金属性ブロックを使用した。
フィルム1に関する滑性評価は、製膜後から経時により有機滑剤のブリードアウトが発生するため、製膜直後から経時で同サンプルを測定し、表中には、その最大値と最小値を記している。製膜直後が最大値を示し、その後、数日程度のオーダーで、摩擦係数は低下していく。また、包装材9に関する滑性評価は、ドライラミネート後のエージングから取出してからの経時により、同様に、有機滑剤のブリードアウトが発生するため、同サンプルを経時測定し、表中には、その最大値と最小値を記している。エージング取出し直後が最大値を示し、その後、数日~数十日のオーダーで徐々に摩擦係数は低下していく。
評価結果は、静摩擦係数がいつでも0.15~0.90の範囲内に入っているものは〇、〇にはならないがいつでも0.1~1.2の範囲内に入っているものは△、それ以外のものを×とした。なお、静摩擦係数が1.2を超えるものは測定できていないため、「1.2>」と表記している。
(耐ブロッキング性評価)
フィルム1に関する耐ブロッキング性評価は、フィルム1を10枚重ね、テスター産業製の圧縮試験装置にて0.3MPaの荷重をかけた状態で2日保持した後に、ブロッキング強度の測定をした。ブロッキング強度の測定は、ブロッキングしたフィルムを30mm×30mmの範囲のみブロッキングされているように30mm幅×100mm長に切出し、チャック間距離を50mm、引張り速度を300mm/minとして島津製作所株式会社製引張試験機(型番AGS-500NX)を用いて、せん断剥離強度を測定し、ブロッキング強度とした。ブロッキング強度が20[N/30mm]以下のものを〇、20[N/15mm]~30[N/15mm]のものを△、30[N/15mm]以上のものを×とした
包装材9に関する耐ブロッキング性評価は、包装材9を10枚重ね、テスター産業製の圧縮試験装置にて0.3MPaの荷重をかけた状態で、50℃環境で2日保持した後に、ブロッキング強度の測定をした。ブロッキング強度の測定方法は同上である。全くブロッキングが観測されなかったものは表中0と記載し、〇判定とした。ブロッキングが観測はされたがブロッキング強度が45[N/15mm]以下のものは△、45[N/15mm]を超えるものを×とした。
(総合評価)
総合判定として、上記の包装材9に関するフィルム外観評価、ヒートシール性評価、滑性評価、耐ブロッキング性評価、及び、包装材9に関する滑性評価、耐ブロッキング性評価、の6つが全て〇のものを〇とし、一つでも△があったものを△、一つでも×があったものを×とした。
(評価結果)
各実施例、各比較例のフィルム1及び包装材9の評価結果を表1~4に記載する。
表1より、総合判定で△以上になるのは、粒子添加量が6000ppm~50000ppm、そのときの凸形状4の個数は凡そ50個/mm~500個/mm、面積率としては2%~20%、算術平均粗さRaとしては0.5μm~2.0μmであることが分かる。さらに好ましく総合判定で〇になるのは、粒子添加量20000ppm~50000ppm、そのときの凸形状4の個数は凡そ200個/mm~500個/mm、面積率としては9%~20%、算術平均粗さRaとしては1.2μm~2.0μmである。
なお、何れの数値も小さくなると滑性や耐ブロッキング性に問題が生じ、大きくなると外観やヒートシール性に問題が生じてしまう。比較例2の外観がNGなのは、粒子が多くなりすぎることで、いくつかの粒子がくっついてしまうものがあり、それが点状のムラに観測されたたためである。
表2より、総合判定で△以上になるのは、平均粒径が7μm~15μm、そのときの凸形状4最大高さHmaxは4μm~8μmであることが分かる。凸形状4個数も50個/mm~500個/mmの範囲内に収まっている。
表3より、有機滑剤の添加量は200ppm以下で十分であり、そのときのフィルムの表面に存在している有機滑剤の量は、フィルム1では5mg/m、包装材9では3mg/mである。より少ない実施例3でも良好な滑性、耐ブロッキング性などが得られている。
表4より、賦形により作製したフィルム1は外観に問題があることが判明した。これは、凸形状4が規則的に配置されていることによって、面状のムラが発生したためと考えられる。このため、外観を保持するためには、凸形状4の配置はランダムであることが好ましい。
また、比較例5と実施例4を比べると、凸形状4はほぼ同等の数、サイズ存在しているが、賦形による比較例5は、熱可塑性樹脂よりも硬い有機微粒子を添加した実施例4に比べてブロッキング性が低下している。これは、賦形による凸形状4は、有機微粒子よりも柔らかいことから、凸形状4の潰れが発生してしまったためであると考えられる。
1…フィルム
2…表面
3…裏面
4…凸形状
5…第一層
6…第二層
7…第三層
8…基材層
9…包装材
10…機能層
12…スタンディングパウチ
13…パウチ表面
14…パウチ裏面
16…注出ノズル
17…開封用切目線
18…開封つまみ
19…ハーフカット線
20…底テープ
21…折り曲げ部稜線
22…サイドシール部
23…ボトムシール部
24…注出ノズルシール部
25…注出ノズル先端シール部
26…エンボス加工部
30…有機系粒子もしくは無機系粒子
41…有機滑剤表面抽出用治具
42…有機溶媒

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂で形成されたフィルムの少なくとも一方の面にランダムに配置された凸形状部を有し、
    前記凸形状部が占める面積の総合計は、前記一方の面全体に対して2%~20%であり、
    前記凸形状部は、前記熱可塑性樹脂とは異なる有機系粒子によって形成されたものであり、
    前記有機系粒子は1種類から成り、平均粒径は7~15μmであり、
    前記凸形状部の高さはランダムかつ各前記凸形状部の最大の高さがそれぞれ4μm~8μmであり、
    高さが0.5μm以上の前記凸形状部の密度は50個/mm~500個/mmであり、
    前記熱可塑性樹脂は、重量割合の70%以上がポリエチレンもしくはその誘導体によって構成され、
    前記フィルムは、少なくとも2層からなる積層フィルムであって、
    第一層フィルムの平均密度は0.910g/cm ~0.930g/cm で、前記第一層フィルムの厚みは5μm~30μmであり、
    第二層フィルムの平均密度は0.920g/cm ~0.940g/cm であって、前記第一層フィルムの平均密度よりも高く、前記第二層フィルムの厚みは30μm~100μmであり、
    前記第一層に6,000ppm~50,000ppmの有機系粒子を含み、フィルムに対し有機滑剤を30~300ppm添加して該有機滑剤の表面存在量が8.3mg/m 以下である
    ことを特徴とするフィルム。
  2. 前記フィルムの表面に存在している前記有機滑剤の量は5mg/m以下であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
  3. 前記一方の面の算術平均粗さRa(JISB0601-2001)が0.5μm~2.0μmであることを特徴とする請求項2に記載のフィルム。
  4. 前記一方の面において、前記凸形状部が形成されていない面は、1mmあたりの凹凸の最大高さ差が、凸形状の最大高さHmaxの1/5以下であることを特徴とする請求項2または3に記載のフィルム。
  5. 前記凸形状部の形状は、球形であることを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載のフィルム。
  6. 前記有機滑剤は、分子量250~350の脂肪酸アミドであることを特徴とする請求項2~5のいずれか一項に記載のフィルム。
  7. 請求項2乃至6のいずれか一項に記載のフィルムの前記凸形状部が形成されていない側の面に、少なくとも基材層が積層されていることを特徴とする包装材。
  8. 前記包装材には、有機滑剤が含まれており、前記包装材のフィルムの表面に存在している前記有機滑剤の量は3mg/m以下であることを特徴とする請求項7に記載の包装材。
  9. 請求項7又は8に記載の包装材を用いたことを特徴とする包装体。


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