JP7040025B2 - 紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム、包装材、及び包装体 - Google Patents
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Description
しかしながら、内面が金属薄膜でコーティングされた包装体は、X線検査ができないし、被包装物を可視化することもできないため、異物検査を十分に行うことができないおそれがあった。したがって、包装体としては、紫外線を遮蔽する紫外線遮蔽性と可視光を透過する透明性とを併せ持つものが求められていた。
また、特許文献3には、プラスチックフィルムに平均一次粒径0.03μm以下の酸化亜鉛微粒子を練り込むことにより、透明性を担保したまま紫外線遮蔽性を付与する技術が開示されている。
本発明は、生産性が良好で且つ紫外線遮蔽性及び可視光透過性を有する紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム、包装材、及び包装体を提供することを課題とする。
本発明のさらに他の態様に係る包装体は、上記他の態様に係る包装材を備えることを要旨とする。
第一実施形態の紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム1は、図1に示すように、複数の層(図1の例では2層)が積層された積層フィルムからなり、熱可塑性樹脂を含有し且つヒートシール性を有するシール層5と、熱可塑性樹脂を含有し且つ紫外線を遮蔽する紫外線遮蔽層4と、を備えている。そして、紫外線遮蔽層4は、熱可塑性樹脂と酸化亜鉛粒子とを含有する樹脂組成物で形成されている。
第一実施形態の紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム1を用いて製造した本実施形態の包装体10は、優れた紫外線遮蔽性を有しているので、紫外線の影響を受けやすい食品、医薬品、機密機器等が被包装物である場合でも、包装体10により紫外線が遮蔽されて被包装物に変質、変色、劣化等が生じにくい。
[熱可塑性樹脂について]
第一実施形態の紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム1の紫外線遮蔽層4やシール層5に含有される熱可塑性樹脂は、適度な柔軟性を有するとともに、例えば押出機による加工適性を有する等、良好な加工性を備えることが好ましい。押出機による加工適性を有していれば、上記樹脂組成物を押出成形により製膜して紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム1を製造することができる。
つまり、紫外線遮蔽層4とシール層5とにおいて平均密度に適切な差をつけることで、紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム1の透明性、低温ヒートシール性等の物性を良好に保つことが可能となる。
紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム1が透明性と紫外線遮蔽性を兼ね備えるために、紫外線遮蔽層4は無機系の紫外線遮蔽剤を含有している必要がある。無機系の紫外線遮蔽剤としては酸化亜鉛粒子、酸化チタン粒子等が挙げられるが、コスト面、衛生面から酸化亜鉛粒子を選択することが好ましい。なお、酸化亜鉛粒子をはじめとする紫外線を遮蔽又は吸収する特性を有する材料は、紫外線遮蔽剤又は紫外線吸収剤とも呼ばれるが、本発明においては紫外線遮蔽剤と記す。
紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム1の表面に適度な滑性を付与するために、シール層5及び紫外線遮蔽層4に有機滑剤を含有させてもよい。表面に適度な滑性を有していれば、紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム1を用いて包装材6を製造する工程や、包装材6を加工して包装体10を製造する工程において、良好な滑性、巻取り性などの特性が発現されるため、包装体10の生産性が良好となる。シール層5の表面2に存在する有機滑剤の量は特に限定されるものではないが、5mg/m2以下であることが好ましく、3mg/m2以下であることがより好ましい。
シール層5の表面2に存在する有機滑剤の量は、例えば図4に示す方法により評価することができる。すなわち、シール層5の表面2に、例えば円筒状の有機滑剤表面抽出用治具241を固定し、有機滑剤が可溶の有機溶媒242を有機滑剤表面抽出用治具241の中に注入する。
なお、紫外線遮蔽層4やシール層5は、各種特性を付与するために、その他の各種添加剤を含有していてもよい。例えば、加工安定性を付与するために酸化防止剤等を適宜添加することが可能である。
本実施形態の紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム1を作製する方法は特に制限されるものではなく、公知の方法を使用することが可能である。例えば、熱可塑性樹脂に有機系粒子又は無機系粒子及び有機滑剤を添加し、例えば340℃まで加温可能な押出機を用いてフィルム製膜することで、紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム1を作製することができる。フィルム製膜方法としても、公知の方法を用いることができる。例えば、エアチャンバー、エアナイフ、バキュームチャンバー、又は、それらのうち複数を組み合わせて用いて製膜することが可能である。
図3に示すように、紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム1と基材7を積層することにより、包装材6を得ることができる。その際には、ヒートシールされるシール層5の表面2とは反対側の面である裏面3(図1、3の例では、紫外線遮蔽層4の表面側)に、基材7を積層する。
図3の包装材6は、紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム1、基材7、機能層8の三層構造であるが、包装材6を構成する層の数は特に限定されるものではなく、二層としてもよいし四層以上としてもよい。例えば、包装材6は、紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム1と基材7の二層構造でもよいし、図3の包装材6の基材7上にさらに紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム1を積層した四層構造でもよい。
基材7は、包装材6の支持体として機能する層である。基材7の種類は、被包装物の種類や充填後の加熱処理の有無など使用条件によって適宜選択される。例えば、プラスチック等の樹脂を主とするフィルムが挙げられる。樹脂の種類は特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド(6ナイロン、66ナイロン等)などが使用される。さらに、基材7は、上記材料のうちの1つの材料からなる単層であってもよいし、こうした単層の積層によって上記材料の複数の材料が組み合わされた層であってもよい。
機能層8としては、例えば印刷層やバリア層が挙げられる。バリア層は、空気中に含まれる酸素等の気体や水蒸気、封入した被包装物等から包装材6を保護するためのバリア性を高める機能を有する層である。バリア層の材料としては、例えば、EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂)やフィラーなどが挙げられる。
本実施形態の包装材6の互いに向かい合う紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム1同士の周縁部をヒートシール等によって溶着することで、上述した本発明の効果を備えた包装体10を得ることができる。
本実施形態の包装体10としては、スタンディングパウチ、包装袋、口栓付きパウチ、ラミチューブ、バックインボックス等が挙げられるが、この他にも様々な用途に適用可能である。
包装体10の一例として、図5、図6を参照し、本実施形態の包装材6をスタンディングパウチ11に加工した場合の構造及び製造方法を説明する。スタンディングパウチとは、液体洗剤、柔軟剤、シャンプー、リンスなどのトイレタリー用品や、食用油、インスタントコーヒー、酒などの食品等、液体、粉体、固体を問わず収納可能な容器の一種である。
さらに、底テープ20を別途形成し、パウチ表面12とパウチ裏面13の間に挿入して周縁部をシールすることで、自立性を付与することができる。
以下、第一実施形態の実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1の包装材用シーラントフィルムの構成は、第一実施形態の紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム1とほぼ同様であるが、二層積層フィルムとした。
紫外線遮蔽層の熱可塑性樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度0.931g/cm3、MFR(メルトフローレイト)3.2)と低密度ポリエチレン樹脂(密度0.924g/cm3、MFR1.0)を質量比で8:2の割合で混合したものを用いた。
シール層には、アンチブロッキング(AB)剤として平均粒径10μmの有機系粒子(アクリル架橋体)を35000ppm、滑剤としてエルカ酸アミドを100ppm添加した。
紫外線遮蔽層に添加する酸化亜鉛粒子の平均粒径が0.06μmである点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。なお、この酸化亜鉛粒子については、走査型電子顕微鏡による観察画像の二値化処理によって直径が0.4μm以下とされる粒子の割合は80個数%である。
紫外線遮蔽層に添加する酸化亜鉛粒子を、平均粒径0.04μmの酸化亜鉛粒子と平均粒径0.06μmの酸化亜鉛粒子を1:1で混合したものとした点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。なお、これら酸化亜鉛粒子を1:1で混合したものについては、走査型電子顕微鏡による観察画像の二値化処理によって直径が0.4μm以下とされる粒子の割合は85個数%である。
紫外線遮蔽層の厚さを70μm、シール層の厚さを30μmとした点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。
(実施例5)
紫外線遮蔽層の厚さを95μm、シール層の厚さを5μmとした点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。
紫外線遮蔽層の主樹脂である直鎖状低密度ポリエチレンの密度を0.920g/cm3とした点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。
(実施例7)
紫外線遮蔽層の主樹脂である直鎖状低密度ポリエチレンの密度を0.940g/cm3とした点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。
シール層の主樹脂である直鎖状低密度ポリエチレンの密度を0.920g/cm3とした点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。
(実施例9)
紫外線遮蔽層の熱可塑性樹脂を、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と低密度ポリエチレン樹脂を質量比で9:1の割合で混合したものとした点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。
シール層の熱可塑性樹脂を、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と低密度ポリエチレン樹脂を質量比で9:1の割合で混合したものとした点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。
紫外線遮蔽層の熱可塑性樹脂を、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と低密度ポリエチレン樹脂を質量比で9:1の割合で混合したものとした点と、シール層の熱可塑性樹脂を、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と低密度ポリエチレン樹脂を質量比で9:1の割合で混合したものとした点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。
紫外線遮蔽層に添加する滑剤の添加量を500ppmとした点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。
(実施例13)
シール層に添加する滑剤の添加量を500ppmとした点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。
紫外線遮蔽層に添加する酸化亜鉛粒子の平均粒径を2.0μmとした点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。なお、この酸化亜鉛粒子については、走査型電子顕微鏡による観察画像の二値化処理によって直径が0.4μm以下とされる粒子の割合は5個数%である。
紫外線遮蔽層の厚さを10μm、シール層の厚さを90μmとした点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。
(比較例3)
紫外線遮蔽層の厚さを100μm、シール層の厚さを0μmとした点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。
シール層の主樹脂である直鎖状低密度ポリエチレンの密度を0.931g/cm3とした点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。
(比較例5)
シール層の主樹脂である直鎖状低密度ポリエチレンの密度を0.940g/cm3とした点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。
紫外線遮蔽層の熱可塑性樹脂における直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と低密度ポリエチレン樹脂との質量比を10:0とした点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。
紫外線遮蔽層の熱可塑性樹脂における直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と低密度ポリエチレン樹脂との質量比を0:10とした点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。
シール層の熱可塑性樹脂における直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と低密度ポリエチレン樹脂との質量比を10:0とした点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。
シール層の熱可塑性樹脂における直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と低密度ポリエチレン樹脂との質量比を0:10とした点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。
シール層に添加する滑剤の添加量を0ppmとした点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。
(比較例11)
紫外線遮蔽層に添加する滑剤の添加量を0ppmとした点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。
シール層に添加する滑剤の添加量を2000ppmとした点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。
(比較例13)
紫外線遮蔽層に添加する滑剤の添加量を2000ppmとした点以外は実施例1と同様にして、包装材用シーラントフィルムを作製した。
フィルム成形性は、厚さ100μmを狙いとして成形した包装材用シーラントフィルムの幅を測定し、Tダイの幅と比較することにより評価した。具体的には、Tダイの幅と包装材用シーラントフィルムの幅が同じ場合を100%としたときに、包装材用シーラントフィルムの幅がTダイの幅の75%以上の場合はフィルム成形性が非常に良好と評価し、表1、2においては「○」印で示した。また、包装材用シーラントフィルムの幅がTダイの幅の70%以上75%未満の場合はフィルム成形性が良好と評価し、表1、2においては「△」印で示した。さらに、包装材用シーラントフィルムの幅がTダイの幅の70%未満の場合はフィルム成形性が不十分と評価し、表1、2においては「×」印で示した。
曲げ剛性評価は、株式会社東洋精機製作所製のループステフネステスタを用いて、曲げ応力を測定することにより行った。このとき、曲げ応力は、包装材用シーラントフィルムのMD(Machine Direction)方向に対してそれぞれ3回測定し、それらの平均値を測定結果とした。曲げ応力の測定条件は、圧縮速度3.3mm/sec、サンプル幅15mm、ループ長85mmである。
引裂き性評価は、JIS K7128-2に規定されているエルメンドルフによる引裂法により行った。このとき、引裂き性は、包装材用シーラントフィルムのMD方向に対してそれぞれ3回測定し、それらの平均値を測定結果とした。
引裂き性の測定結果が5N以下であった場合は、引裂き性が非常に良好と評価し、表1、2においては「○」印で示した。また、引裂き性の測定結果が5N超過10N以下であった場合は引裂き性が良好と評価し、表1、2においては「△」印で示した。さらに、引裂き性の測定結果が10N超過の場合は引裂き性が不十分と評価し、表1、2においては「×」印で示した。
ヒートシール性評価は、テスター産業株式会社製のヒートシーラー(型番TP-701-B)を用いて、2枚の包装材用シーラントフィルムをシールすることにより行った。具体的には、シール層同士が接するように2枚の包装材用シーラントフィルムを重ね、シール圧力0.2MPa、シール時間1sec、シール幅10mm、シール温度100℃以上としてシールを行った。シール温度については、100℃から10℃間隔で上昇させながら複数の温度においてシールを行った。
耐衝撃性は、テスター産業株式会社製のダートインパクトテスター(型番IM-302)を用いて、JIS K7124-1に規定の自由落下のダート法、第1部ステアケース法のA法による衝撃試験方法により評価した。
測定された50%破壊重量が350g以上であった場合は、耐衝撃性が非常に良好と評価し、表1、2においては「○」印で示した。また、50%破壊重量が250g以上350g未満であった場合は耐衝撃性が良好と評価し、表1、2においては「△」印で示した。さらに、50%破壊重量が250g未満であった場合は耐衝撃性が不十分と評価し、表1、2においては「×」印で示した。
滑性は、株式会社東洋精機製作所製の滑り傾斜角測定装置を用い、傾斜角測定法で静摩擦係数を測定することにより評価した。
実施例及び比較例の包装材用シーラントフィルムを幅100mm、長さ240mmの長方形状、及び、幅30mm、長さ80mmの長方形状に切出した。
静摩擦係数をそれぞれ3回測定し、それらの平均値を測定結果とした。なお、静摩擦係数が1.2を超えるものは測定不可であった。
包装材用シーラントフィルムのシール層の表面に存在する有機滑剤の量を、有機滑剤表面抽出用治具を用いる前述の方法により測定した(図4を参照)。有機溶媒としてはクロロホルムを用いた。
クロロホルムを有機滑剤表面抽出用治具に注入後1分間経過したところで、有機滑剤表面抽出用治具からクロロホルムを取り出し、アジレントテクノロジー株式会社製のガスクロマトグラフ/水素炎イオン化検出器を用いてクロロホルムの分析を行い、シール層の表面に存在する有機滑剤の量を測定した。ガスクロマトグラフのカラムはHP-5MSを使用した。
酸化亜鉛粒子の存在状態観察は、包装材用シーラントフィルムの紫外線遮蔽層の表面をO2プラズマ処理することにより酸化亜鉛粒子を露出させた後に、株式会社日立ハイテクノロジーズ製の走査型電子顕微鏡(型番S-4800)を用いて10000倍に拡大して表面観察することにより行った。得られた形態画像を、画像処理ソフトを用いて二値化処理し、酸化亜鉛粒子のアウトラインを引いた。そして、面積値によって、全ての酸化亜鉛粒子のうち直径が0.4μm以下の粒子の割合を算出した。
包装材用シーラントフィルムの透明性は、JIS K7136:2000に規定されているヘイズ値の測定方法に則り、株式会社村上色彩技術研究所製のヘイズメーター(型番HM-150)を用いて測定したヘイズ値によって評価した。
測定されたヘイズ値が20%以下であった場合は、透明性が非常に良好と評価し、表1、2においては「○」印で示した。また、ヘイズ値が20%超過25%以下であった場合は、透明性が良好と評価し、表1、2においては「△」印で示した。さらに、ヘイズ値が25%超過であった場合は、透明性が不十分と評価し、表1、2においては「×」印で示した。
包装材用シーラントフィルムのUV遮蔽率は、株式会社島津製作所製の分光光度計(型番UV-2450)を用いて評価した。
実施例及び比較例の包装材用シーラントフィルムを幅50mm、長さ100mmの長方形状に切出した。切出した包装材用シーラントフィルムを分光光度計に撓みがないように固定して、800nm~200nmの測定波長領域でUV透過率の測定を行った。そして、400nm~200nmの領域のUV透過率(%)を100(%)から差し引くことにより、UV遮蔽率(%)に変換した。
上記の各評価の結果、以下の6つ全てを満たす包装材用シーラントフィルムを、特性が総合的に非常に優れていると評価し、表1、2においては「○」印で示した。すなわち、フィルム成形性が「○」であること、ヒートシール性が「△」又は「○」であること、滑性が「△」又は「○」であること、酸化亜鉛粒子の存在状態が「△」又は「○」であること、透明性が「△」又は「○」であること、UV遮蔽率が「△」又は「○」であること、である。
また、これら6つの評価項目のうち1つでも×であった場合は、特性が総合的に不良であると評価し、表1、2においては「×」印で示した。
各実施例、各比較例について上述の評価試験を実施した結果を、表1から表7に示す。なお、表3、4、5、6、7は、表1、2の評価結果を比較しやすいように一部の結果を抜き出して示したものである。すなわち、表3は酸化亜鉛粒子のサイズを変化させたものを示しており、表4は紫外線遮蔽層及びシール層の厚さを変化させたものを示しており、表5は紫外線遮蔽層及びシール層の樹脂(LLDPE)の密度を変化させたものを示している。また、表6は紫外線遮蔽層及びシール層のLLDPE:LDPEの混合比を変化させたものを示しており、表7は紫外線遮蔽層及びシール層の滑剤の添加量を変化させたものを示している。
ここで、紫外線遮蔽層の厚さが10~100μmの範囲であって、シール層の厚さが1μm~30μmの範囲にあり、さらにシール層の厚さが紫外線遮蔽層の厚さよりも小さい場合は、本発明の効果が奏され、評価したそれぞれの物性が良好になることが分かる。
第二実施形態の紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム、包装材、及び包装体の構成及び効果は、第一実施形態の場合とほぼ同様であるので、異なる部分のみ説明し、同様の部分については説明を省略する。
第二実施形態の紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム(図示せず)は、第一実施形態の場合と同様に、複数の層が積層された積層フィルムからなり、熱可塑性樹脂を含有し且つヒートシール性を有するシール層と、熱可塑性樹脂を含有し且つ紫外線を遮蔽する紫外線遮蔽層と、を備えている。そして、紫外線遮蔽層は、熱可塑性樹脂と酸化亜鉛粒子とを含有する樹脂組成物で形成されている。
シール層、紫外線遮蔽層、基材に使用される樹脂の種類は特に限定されるものではなく、前述した樹脂から適宜選択して組み合わせることが可能であるが、より好ましい組み合わせ例を以下に示す。
シール層 :直鎖状低密度ポリエチレン、密度0.92g/cm3以下
紫外線遮蔽層:直鎖状低密度ポリエチレン、密度0.92g/cm3以上
基材 :直鎖状低密度ポリエチレン、密度0.92g/cm3以上
シール層 :直鎖状低密度ポリエチレン、密度0.92g/cm3以下
紫外線遮蔽層:高密度ポリエチレン、密度0.95g/cm3以上
基材 :高密度ポリエチレン、密度0.95g/cm3以上
シール層 :ランダムコポリマーポリプロピレン、密度0.91g/cm3以下
紫外線遮蔽層:ランダムコポリマーポリプロピレン、密度0.90g/cm3以上
基材 :ランダムコポリマーポリプロピレン、密度0.90g/cm3以上
以下、第二実施形態の実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例21)
実施例21の包装材用シーラントフィルムは3層構造であり、基材の上に紫外線遮蔽層が積層され、さらにその上にシール層が積層された構造を有している。
また、基材は、上記紫外線遮蔽層と同様のポリエチレン樹脂からなる。さらに、シール層は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(平均密度0.913g/cm3、MFR3.8)及び低密度ポリエチレン樹脂(平均密度0.924g/cm3、MFR1.0)を80:20の質量比で混合した樹脂からなる。
そして、シール層の厚さが15μm、紫外線遮蔽層の厚さが20μm、基材の厚さが65μmとなるように調整して、実施例21の包装材用シーラントフィルムを得た。
樹脂組成物中の酸化亜鉛粒子の含有量を、熱可塑性樹脂を含む樹脂成分100質量部に対して2質量部とした点以外は、実施例21と同様にして、実施例22の包装材用シーラントフィルムを作製した。
樹脂組成物中の酸化亜鉛粒子の含有量を、熱可塑性樹脂を含む樹脂成分100質量部に対して3質量部とした点以外は、実施例21と同様にして、実施例23の包装材用シーラントフィルムを作製した。
樹脂組成物中の酸化亜鉛粒子の含有量を、熱可塑性樹脂を含む樹脂成分100質量部に対して4質量部とした点以外は、実施例21と同様にして、実施例24の包装材用シーラントフィルムを作製した。
樹脂組成物中の酸化亜鉛粒子の含有量を、熱可塑性樹脂を含む樹脂成分100質量部に対して5質量部とした点以外は、実施例21と同様にして、実施例25の包装材用シーラントフィルムを作製した。
樹脂組成物中の酸化亜鉛粒子の含有量を、熱可塑性樹脂を含む樹脂成分100質量部に対して0質量部とした点以外は、実施例21と同様にして、比較例21の包装材用シーラントフィルムを作製した。
樹脂組成物中の酸化亜鉛粒子の含有量を、熱可塑性樹脂を含む樹脂成分100質量部に対して0.5質量部とした点以外は、実施例21と同様にして、比較例22の包装材用シーラントフィルムを作製した。
(比較例23)
樹脂組成物中の酸化亜鉛粒子の含有量を、熱可塑性樹脂を含む樹脂成分100質量部に対して10質量部とした点以外は、実施例21と同様にして、比較例23の包装材用シーラントフィルムを作製した。
紫外線遮蔽層を第一層、シール層を第二層、基材を第三層とした点以外は、実施例21と同様にして、比較例24の包装材用シーラントフィルムを作製した。
(比較例25)
シール層を第一層、基材を第二層、紫外線遮蔽層を第三層とした点以外は、実施例21と同様にして、比較例25の包装材用シーラントフィルムを作製した。
紫外線透過率は、株式会社島津製作所製の分光光度計(型番UV-2450)を用いて測定した、波長250~380nmの帯域の光の透過率である。なお、測定は5点行い、それらの平均値を測定値とした。
ヘイズは、JIS K7136:2000に規定の方法に準じ、日本電色工業株式会社製のNDH2000を用いて測定した。なお、測定は3点行い、それらの平均値を測定値とした。
ヒートシール強度は、以下のようにして評価した。まず、2枚の包装材用シーラントフィルムを用意し、それらの第一層同士が対向するように重ね合わせた。そして、テスター産業株式会社製のヒートシーラー(型番TP-701-B)を用いて、それらの第一層同士をヒートシールした。ヒートシールの条件は、シール圧力0.2MPa、シール時間1sec、シール幅10mm、シール温度150℃である。
2 ・・・表面
3 ・・・裏面
4 ・・・紫外線遮蔽層
5 ・・・シール層
6 ・・・包装材
7 ・・・基材
8 ・・・機能層
10 ・・・包装体
11 ・・・スタンディングパウチ
12 ・・・パウチ表面
13 ・・・パウチ裏面
16 ・・・注出ノズル
17 ・・・開封用切目線
18 ・・・開封つまみ
19 ・・・ハーフカット線
20 ・・・底テープ
21 ・・・折り曲げ部稜線
22 ・・・サイドシール部
23 ・・・ボトムシール部
24 ・・・注出ノズルシール部
25 ・・・注出ノズル先端シール部
26 ・・・エンボス加工部
241 ・・・有機滑剤表面抽出用治具
242 ・・・有機溶媒
Claims (7)
- 複数の層が積層された積層フィルムからなる包装材用シーラントフィルムであって、
熱可塑性樹脂を含有し且つヒートシール性を有するシール層と、熱可塑性樹脂を含有し且つ紫外線を遮蔽する紫外線遮蔽層と、を備え、
前記紫外線遮蔽層は、前記熱可塑性樹脂と酸化亜鉛粒子とを含有する樹脂組成物で形成されており、
ヘイズ値が25%以下であり、
前記酸化亜鉛粒子は、走査型電子顕微鏡による観察画像の二値化処理によって直径が0.4μm以下とされる粒子の割合が80個数%以上であり、
前記シール層の熱可塑性樹脂と前記紫外線遮蔽層の熱可塑性樹脂は、いずれもポリエチレン又はその誘導体を含有し、
前記紫外線遮蔽層の平均密度は0.910g/cm 3 以上0.940g/cm 3 以下であり、前記シール層の平均密度は0.890g/cm 3 以上0.930g/cm 3 以下で且つ前記紫外線遮蔽層の平均密度よりも低い紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム。 - 複数の層が積層された積層フィルムからなる包装材用シーラントフィルムであって、
熱可塑性樹脂を含有し且つヒートシール性を有するシール層と、熱可塑性樹脂を含有し且つ紫外線を遮蔽する紫外線遮蔽層と、を備え、
前記紫外線遮蔽層は、前記熱可塑性樹脂と酸化亜鉛粒子とを含有する樹脂組成物で形成されており、
ヘイズ値が25%以下であり、
前記酸化亜鉛粒子は、走査型電子顕微鏡による観察画像の二値化処理によって直径が0.4μm以下とされる粒子の割合が80個数%以上であり、
前記シール層の熱可塑性樹脂と前記紫外線遮蔽層の熱可塑性樹脂は、いずれも直鎖状低密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンを質量比で99:1~70:30の割合で混合したものであり、
前記紫外線遮蔽層の厚さは10μm以上100μm以下であり、前記シール層の厚さは1μm以上30μm以下で且つ前記紫外線遮蔽層の厚さよりも小さい紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム。 - 前記シール層の熱可塑性樹脂と前記紫外線遮蔽層の熱可塑性樹脂は、いずれも直鎖状低密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンを質量比で99:1~70:30の割合で混合したものであり、
前記紫外線遮蔽層の厚さは10μm以上100μm以下であり、前記シール層の厚さは1μm以上30μm以下で且つ前記紫外線遮蔽層の厚さよりも小さい請求項1に記載の紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム。 - 前記シール層及び前記紫外線遮蔽層は有機滑剤を含有し、前記シール層の表面に存在する前記有機滑剤の量は5mg/m2以下である請求項1~3のいずれか一項に記載の紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム。
- 前記有機滑剤は分子量250以上350以下の脂肪酸アミドであり、前記シール層及び前記紫外線遮蔽層中の前記有機滑剤の含有量は、いずれも100ppm以上500ppm以下である請求項4に記載の紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載の紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルムの一方の面に、基材を積層した包装材。
- 請求項6に記載の包装材を備える包装体。
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