JP2003096202A - 紫外線遮蔽樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

紫外線遮蔽樹脂フィルムの製造方法

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JP2003096202A
JP2003096202A JP2001292741A JP2001292741A JP2003096202A JP 2003096202 A JP2003096202 A JP 2003096202A JP 2001292741 A JP2001292741 A JP 2001292741A JP 2001292741 A JP2001292741 A JP 2001292741A JP 2003096202 A JP2003096202 A JP 2003096202A
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resin
polyester resin
ultraviolet
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Takao Tanaka
隆夫 田中
Takeshi Takagi
健 高木
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Hakusui Tech Co Ltd
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Hakusui Tech Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化亜鉛微粒子をポリエステル系樹脂中
に高分散させることができ、酸化亜鉛粒子を配合するこ
とにより樹脂の成形性が損なわれない透明性が高く紫外
線遮蔽能の優れたポリエステル系樹脂フィルムの製造方
法を提供する。 【解決手段】 酸化亜鉛微粒子を、極性又は非極性の
ビニル系樹脂と混練して酸化亜鉛微粒子が高濃度に分散
されたマスター樹脂組成物とし、このマスター樹脂組成
物をポリエステル系樹脂に添加混練し、フィルムに成形
する。ビニル系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が好ま
しく使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化亜鉛微粒子を
配合し、耐候性や透明性に優れ、紫外線遮蔽効果が高い
ポリエステル系樹脂フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート等のポリエ
ステル系樹脂フィルムは、耐熱性、耐薬品性、機械的強
度、延伸特性、成形性、耐摩耗性、安全性等の特性に優
れており、フィルムに成形して包装用フィルム、保護フ
ィルム、農業用フィルム等として従来から、好適に使用
されている。
【0003】ただ、ポリエステル系樹脂フィルムは、そ
れ自身それほど紫外線遮蔽能が優れたフィルムではな
い。しかして、紫外線により、食品、医薬品、化粧品等
の変質や劣化、並びに色彩を帯びた衣服、精密機器、書
籍、文房具等の退色が促進されることが知られており、
したがって、当該ポリエステル系樹脂フィルムに紫外線
吸収剤を配合することにより高い紫外線遮蔽効果を付与
することができれば、これら物品の包装用フィルムや保
護フィルム等としてより好適に使用されることが期待さ
れる。
【0004】ポリエステル系樹脂フィルムを包装材料等
として使用する場合は、紫外線吸収剤を添加することに
より、当該フィルムが、紫外光は遮蔽するが、可視光の
透過率は阻害されることのない内容物が確認できるフィ
ルムであることが要請される。
【0005】紫外線吸収剤としては、従来、ベンゾトリ
アゾール系、ベンゾフェノン系等の有機系紫外線吸収剤
が知られており、当該有機系の紫外線吸収剤を添加配合
したポリエステル系樹脂フィルムは、その透明性があま
り阻害されることが無く、初期段階では、優れた紫外線
遮蔽効果を奏するが、当該添加した紫外線吸収剤が時間
経過と共に経時劣化したり、また当該フィルム表面にブ
リードアウトするため、紫外線吸収能が低下するという
問題があった。特に、有機系の紫外線吸収剤が当該フィ
ルム表面にブリードアウトすると、安全性・衛生上の問
題が生じ、とりわけ、食品包装用には使用しにくいとい
う大きな問題があった。
【0006】これに対し、酸化亜鉛粒子、酸化チタン粒
子等の無機系紫外線吸収剤は、経時劣化やブリードアウ
トの問題はなく、安全性等の観点からは、極めて好まし
いものである。しかしながら、酸化亜鉛粒子等の無機粒
子は、基材フィルムを構成する熱可塑性樹脂との相溶性
がないため、粒子を配合すると、フィルムの透明性が低
下するという大きな問題があり、これを防ぐために、粒
子径が可視光線の波長より短い、例えば0.1μm程度
以下に微細化した無機粒子を用いる多くの提案がなされ
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】紫外線は、基本的に、
波長290〜320nmのB紫外線(以下、UV−Bと
称する。)と、320〜400nmのA紫外線(以下、
UV−Aと称する。)とに大別される。従来は、これら
の紫外線の内、主としてより有害なUV−Bのみを遮蔽
すればよいとされていたが、近年、皮膚の弾力性を弱め
老化皮膚を呈する等UV−Aの有害性が認識されるよう
になったこともあり、一般的に紫外線遮蔽のためには、
UV−Aをも遮蔽することが強く望まれるようになっ
た。かかる状況において、従来から用いられている酸化
チタンでは、このUV−Aの遮蔽には十分対応できない
ことから、UV−A遮蔽能の高い酸化亜鉛が注目され、
特にこれを添加・含有した透明フィルムが望まれてい
る。
【0008】しかしながら、微粒子状の酸化亜鉛は、そ
の比表面積が極めて大きいことから、その凝集力も非常
に大きく、従って、このような微粒子状の酸化亜鉛をフ
ィルム等に練り込む場合には、当該微粒子状の酸化亜鉛
がポリマーに十分に分散せずポリエステル系樹脂中に均
一に分散させることが困難である。このため、紫外線や
可視光線透過率のばらつき、透明性の低下、フィルム表
面の凸凹、さらに極端な場合は、粒子がフィルム表面か
ら剥離して包装されている内容物に混入するという問題
があった。
【0009】又、さらに本発明者らは、酸化亜鉛微粒子
をポリエステル系樹脂中に配合し、射出成形機等の中で
溶融混練した場合、酸化亜鉛微粒子の配合量や溶融混練
の条件によっては樹脂が分解して、その粘性が低下し、
成形が困難になる場合があるという予想されざる問題が
あることを見いだした。かかる現象は、従来全く知られ
ていなかったものであるが、おそらくこれは、酸化亜鉛
微粒子が、空気中の水分及び/又は樹脂中に吸着されて
いる微量の水分により、ポリエステルのエステル結合を
加水分解し、樹脂を分解せしめる触媒として作用するた
めではないかと推察される。
【0010】かくして本発明の目的は、酸化亜鉛微粒子
をポリエステル系樹脂中に高分散させることができると
ともに、かつ、酸化亜鉛粒子を配合することにより、当
該樹脂の成形性が損なわれることのない透明性の高い紫
外線遮蔽能の高いポリエステル系樹脂フィルムの製造方
法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、まず、酸化亜鉛微
粒子を特定のビニル系樹脂と混練してから、さらにポリ
エステル系樹脂と混練することによりこれらの問題が解
決しうることを見出し本発明を完成した。
【0012】すなわち本発明に従えば、以下の発明が提
供される。 (1) 酸化亜鉛微粒子が配合された紫外線遮蔽ポリエ
ステル系樹脂フィルムの製造方法において、当該酸化亜
鉛微粒子を、極性又は非極性のビニル系樹脂と混練して
酸化亜鉛微粒子が高濃度に分散されたマスター樹脂組成
物とし、当該マスター樹脂組成物を、ポリエステル系樹
脂に添加混練した樹脂組成物をフィルムに成形すること
を特徴とする紫外線遮蔽ポリエステル系樹脂フィルムの
製造方法。
【0013】(2)極性又は非極性のビニル系樹脂が、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポブテン、ポリ塩化ビ
ニル及びポリ塩化ビニリデンからなる群より選択される
少なくとも一つの樹脂である(1)に記載のフィルムの
製造方法。
【0014】(3)前記マスター樹脂組成物をペレット
としてポリエステル系樹脂に添加混練する(1)又は
(2)に記載のフィルムの製造方法。
【0015】(4)前記フィルムの厚み30μmにおけ
る紫外線の透過率が10%以下、及び可視光線の透過率
が80%以上である(1)〜(3)のいずれかに記載の
フィルムの製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】本発明の酸化亜鉛微粒子が配合された紫外
線遮蔽ポリエステル系樹脂フィルムの製造方法において
は、まず最初に、酸化亜鉛微粒子を、極性又は非極性の
ビニル系樹脂と混練して酸化亜鉛微粒子が高濃度に分散
されたマスター樹脂組成物とする。
【0018】本発明で使用する酸化亜鉛微粒子として
は、その平均粒径(BET法による。)が0.01〜5
μm、好ましくは0.01〜1μm、さらに好ましく
0.01〜0.1μm程度のものであれば特に限定はな
い。また、当該酸化亜鉛は、亜鉛を主体としたものであ
ればよく、他の金属成分、例えばSi、Al、Sn、I
n、Fe、Pb、Cd等を30質量%以下、好ましくは
20質量%以下を含有していてもかまわない。
【0019】このような酸化亜鉛微粒子は、例えば原料
酸化亜鉛を含む水スラリーに二酸化炭素ガスを吹込み、
まず塩基性炭酸亜鉛を合成し、得られた当該塩基性炭酸
亜鉛スラリーを、造粒乾燥もしくは噴霧乾燥した後、加
熱分解することにより得られる。
【0020】原料として用いられる酸化亜鉛としては、
所謂酸化亜鉛であればどのようなものであってもよく、
例えば、亜鉛を溶融・蒸発させ気相で酸化するフランス
法、亜鉛鉱石を仮焼・コークス還元・酸化するアメリカ
法、亜鉛塩溶液にソーダ灰を加えて塩基性炭酸亜鉛を沈
殿させ、乾燥・焼成する湿式法(加熱分解法)等のいず
れで製造したものでもよい。
【0021】二酸化炭素ガスの導入方法としては、スラ
リーとガスが効果的に接触しうるものであれば、特に限
定するものではないが、例えば反応槽底部に散気管等を
設置し、この散気管を通じて二酸化炭素ガスを液中に吹
き込み、さらに好ましくは撹拌機の撹拌羽根によりこれ
を細分化して導入する方法等が好ましい。
【0022】塩基性炭酸亜鉛生成反応は、種々の方式に
よって実施することができ、例えば、反応槽にまず酸化
亜鉛スラリーを仕込んでおき、これに二酸化炭素ガスを
連続的に供給して塩基性炭酸亜鉛スラリーを生成させる
半連続法(半回分法)、酸化亜鉛スラリーと二酸化炭素
ガスの両者を連続的に反応槽に供給して塩基性炭酸亜鉛
スラリーを生成させ、当該生成した塩基性炭酸亜鉛スラ
リーを連続的に反応槽から連続的に抜き出す連続法等の
方法が好ましく採用される。
【0023】反応温度としては、特に限定するものでは
ないが、10〜80℃、好ましくは20〜60℃であ
る。 また、反応時間は、反応温度等により変わりうる
が、通常10分〜10時間、好ましくは30分〜5時間
程度である。
【0024】以上のごとくして得られた塩基性炭酸亜鉛
を含むスラリーは、そのまま流動層乾燥、媒体流動層乾
燥、気流乾燥及又は噴霧乾燥し、水分を除去して塩基性
炭酸亜鉛の乾燥粉末とすることが好ましい。
【0025】得られた塩基性炭酸亜鉛粒子は、ボックス
炉やバッチ式や連続式のロータリーキルン、ベルトキル
ン等の加熱炉内において200〜500℃程度で通常3
0分〜20時間加熱分解され、酸化亜鉛微粒子とする。
【0026】本発明においては、酸化亜鉛微粒子を極性
のビニル系樹脂と混練してマスター樹脂組成物とする。
【0027】酸化亜鉛微粒子を混練する極性のビニル系
樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリ
デン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ
酢酸ビニル、ポリメチル(メタ)アクリレート、エチレ
ンテトラフルオロエチレン共重合体、エチレン酢酸ビニ
ル共重合体等が挙げられ、また非極性のビニル系樹脂と
しては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、
ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、
ポリメチルスチレン、スチレンブタジエン共重合体、エ
チレンプロピレン共重合体等が挙げられる。なかでも、
極性又は非極性のビニル系樹脂としては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル及び
ポリ塩化ビニリデンからなる群より選択されるものが好
ましい。なお、これらの一部が塩素等でハロゲン化され
たものや、これらの共重合体であってもよい。例えば、
塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポ
リブテン、エチレン−塩化ビニル共重合体等であっても
よい。
【0028】酸化亜鉛微粒子をビニル系樹脂に混練する
装置としては、特に限定するものではなく、通常の混練
機、押出機又は射出成形機が使用される。混練機として
は、バンバリーミキサーやニーダーが使用され、押出機
若しくは射出成形機としては、単軸、二軸、多軸の押出
機等が使用される。これらの混練機等は、回分式であっ
ても連続式であってもいずれでもかまわない。好ましく
は、ビニル系樹脂を押出機等の中でその溶融温度以上に
加熱し、溶融樹脂として酸化亜鉛微粒子と充分混練する
ことである。かくして酸化亜鉛微粒子が高濃度に分散さ
れたマスター樹脂組成物が得られるが、好ましくは、こ
れを一旦冷却固化し、ペレット、顆粒、粉体とするもの
である。そのうち、取扱いの容易性から最も好ましく
は、ペレット(マスターペレット)の形状に賦形するこ
とである。その場合、ペレット化は、ストランドカット
方式、ホットカット方式、ウォーターリングカット方
式、アンダーウォーターカット方式のいずれで行っても
かまわない。
【0029】マスター樹脂組成物中の酸化亜鉛微粒子の
ビニル系樹脂に対する混合比率は、できるだけ高濃度で
あることが好ましく、例えば質量部の比で、1〜50/
99〜50、好ましくは2〜40/98〜60、さらに
好ましくは5〜30/95〜70である。
【0030】以上のごとくして得られた酸化亜鉛微粒子
が高濃度に分散されたマスター樹脂組成物は、次にポリ
エステル系樹脂に添加混練される。
【0031】本発明において使用するポリエステル系樹
脂は、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とジ
オール又はそのエステル形成性誘導体を重縮合せしめて
得られる。ジカルボン酸成分としては、例えばテレフタ
ル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シ
クロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等
が挙げられ、ジオール成分としては、例えばエチレング
リコール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール、テトラメチレングリコール、ビ
スフェノールA、ポリエチレングリコール、ポリテトラ
メチレングリコール等が挙げられる。かかるポリエステ
ル系樹脂の例としては、例えばポリエチレンテレフタレ
ート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレ
ート、ポリヘキシレンテレフタレート、ポリエチレンイ
ソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカ
ルボンキシレート等が好ましいものとして挙げられる。
【0032】酸化亜鉛微粒子を含むマスター樹脂組成物
は、上記したポリエステル系樹脂に添加混練される。使
用する混練装置としては、特に限定するものではない
が、通常、単軸、二軸、多軸のいずれかの押出機が使用
される。好ましくは、ポリエステル系樹脂を押出機等の
中でその溶融温度以上に加熱し、またマスター樹脂組成
物をペレットとして供給・溶融し、両者を充分混練す
る。混練中に当該ビニル系樹脂のペレットは、溶融し、
剪断力により多数の微小部分に分割されてポリエステル
系樹脂中に分散するが、この際、常に当該ビニル系樹脂
からなる微小部分中には酸化亜鉛微粒子が高濃度に分散
された状態に保持されていると考えられる。
【0033】従って、本発明によれば、酸化亜鉛微粒子
をポリエステル系樹脂中に配合し、射出成形機等の中で
溶融混練する場合、樹脂の粘度が大幅に低下して、以下
に述べるフィルムへの成形が困難になるようなことは起
こり得ない。この理由は、当該酸化亜鉛微粒子の大部分
は、常にビニル系樹脂中に分散された状態にあり、直接
ポリエステル系樹脂に接触することは実質的に防止され
るので、ポリエステルのエステル結合を加水分解し、樹
脂を分解せしめる触媒として作用することは無くなるた
めと推定される。
【0034】このようにして、当該ビニル系樹脂中に酸
化亜鉛微粒子が保持されたまま、ポリエステル系樹脂中
に均一に分散された樹脂組成物が得られる。
【0035】酸化亜鉛微粒子を含むマスターペレット等
のマスター樹脂組成物とポリエステル系樹脂との混合比
率は、最終的なフィルム中にさせるべき酸化亜鉛微粒子
の配合量によって異なりうるが、例えば質量部の比で、
5〜60/95〜40、好ましくは10〜50/90〜
50、さらに好ましくは15〜40/85〜60であ
る。
【0036】当該マスター樹脂組成物をポリエステル系
樹脂に添加混練した溶融樹脂組成物は、最後にフィルム
に成形される。
【0037】ポリエステル系樹脂のフィルム成形は、流
延法などによってもよいが、通常、Tダイ法またはイン
フレーション法により行われることが好ましい。
【0038】Tダイ法による場合は、上記混練する押出
機の先端にTダイを装着する。押出機で加熱溶融された
酸化亜鉛微粒子を含むポリエステル系樹脂組成物は、T
ダイで広幅化され、先端の狭いすきま(スリット)から
溶融フィルムとして押出され冷却ロールで冷却・固化さ
れて製品であるポリエステル系樹脂フィルムが得られ
る。
【0039】インフレーション法による場合は、上記押
出機に円形ダイ(環状ダイ)を組み合わせる。押出機で
加熱溶融された酸化亜鉛微粒子を含むポリエステル系樹
脂組成物は、円形ダイから円筒状に押出され、当該円筒
状のフィルム内に一定量の空気を装入し、空気圧で膨張
・冷却固化させて円筒状のポリエステル系樹脂フィルム
が得られる。なお、上記の方法によって得られる樹脂フ
ィルムは、引張り強さや引き裂き強さ等の機械的強度等
を向上させるため、さらに逐次2軸延伸、同時2軸延伸
などの手段により延伸したポリエステル系樹脂フィルム
としてもよい。
【0040】本発明における酸化亜鉛微粒子が配合され
たポリエステル系樹脂フィルムの厚みは、特に限定する
ものではないが、通常、通常10〜100μm、好まし
くは15〜80μm、さらに好ましくは20〜60μm
程度である。また、当該ポリエステル系樹脂フィルム中
の酸化亜鉛微粒子のポリエステル系樹脂に対する質量比
は、0.1〜30/99.9〜70、好ましくは0.5
〜25/95.5〜75、さらに好ましくは1〜20/
99〜80である。
【0041】本発明の方法によって得られる、酸化亜鉛
微粒子が配合された紫外線遮蔽ポリエステル系樹脂フィ
ルムは、厚み30μmにおいて、その紫外線の透過率が
10%以下、及び可視光線の透過率が80%以上である
光線透過特性を有する。このように、本発明における紫
外線遮蔽フィルムによれば、可視光線の透過率を80%
未満に低下させることなく、紫外線を10%以下と充分
に遮蔽することができるので、食品、医薬品、化粧品、
精密機器等の包装用フィルムや保護フィルムとして好適
に使用することができる。
【0042】すなわち、本発明における紫外線遮蔽フィ
ルムは、本来の目的である内容物の紫外線による劣化を
充分に防止するとともに、かつ可視光線を充分に透過さ
せて実質的に透明なフィルムと同等の透視性が得られる
ため、消費者等は、内容物である食品や精密機器等を自
然に近い状態で見て、その新鮮さ、品質、表面状態を正
確に把握し、判断することが可能になる。
【0043】なお、本発明で使用する酸化亜鉛微粒子
は、分散性をより向上させるため、あらかじめジメチル
ポリシロキサン、ジメチルシリコーン、ジメチル・ジメ
トキシシラン等の表面処理剤で表面処理してもよい。
【0044】本発明において、フィルム厚みが30μm
以外の場合は、その厚みにおける光線透過率の測定値を
Beer則により式(1)で30μm厚みに換算すれば
よい。
【0045】 log10(I0 /I)=K*L (1) ここで、 I0 :入射光の強さ I :フィルム透過後の光の強さ L :フィルムの厚さ(μm) K :定数
【0046】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。ただ
し、これらは単なる実施の一例であり、本発明の技術的
範囲がこれらの実施例により限定されるものではない。
【0047】(実施例1)超微粒子状の酸化亜鉛(ハク
スイテック社製、ZINCOX(ハクスイテック社登録
商標)Super−1、平均粒径0.02μm(BET
法による。))を、ポリプロピレン樹脂(以下、PP樹
脂又は単にPPと略称する。)に20質量%配合し、ス
クリュー型二軸押出成形機により混練部の温度を235
℃として混練・押出して酸化亜鉛粒子含有PPマスター
ペレットを作製した。
【0048】このPPマスターペレットを、スクリュー
型二軸押出成形機(東洋精機ラボストミル50C15
0)を使用してポリエチレンテレフタレート樹脂に20
質量%混合して、スクリュー回転数50rpmにて25
0〜290℃で混練・溶融し、これを円形ダイより円筒
状に押出してインフレーション法により厚さ30μmの
フィルムに成膜して、酸化亜鉛微粒子が4質量%配合さ
れた紫外線遮蔽ポリエステル系樹脂フィルムを得た。
【0049】(実施例2)超微粒子状の酸化亜鉛(ハク
スイテック社製、ZINCOX(ハクスイテック社登録
商標)Super−1、平均粒径0.02μm(BET
法による。))を、塩化ビニル樹脂(以下、PVC樹脂
又は単にPVCと略称する。)に20質量%配合し、ス
クリュー型二軸押出成形機により混練部の温度を160
℃として混練・押出して酸化亜鉛粒子含有PVCマスタ
ーペレットを作製する他は、実施例1と同様に処理し
て、酸化亜鉛微粒子が4質量%配合された厚み30μm
の紫外線遮蔽ポリエステル系樹脂フィルムを得た。
【0050】(比較例1)実施例1と同じ超微粒子状酸
化亜鉛を実施例1と同じスクリュー型二軸押出成形機に
おいてポリエチレンテレフタレート樹脂に4質量%混合
して、250〜270℃で混練・溶融し、これを円形ダ
イより円筒状に押出してインフレーション法により成膜
して、酸化亜鉛微粒子が4質量%配合された厚さ30μ
mの紫外線遮蔽ポリエステル系樹脂フィルムを得た。
【0051】(比較例2)実施例1と同じ超微粒子状酸
化亜鉛を実施例1と同じスクリュー型二軸押出成形機に
おいてポリエチレンテレフタレート樹脂に4質量%混合
して、スクリュー回転数50rpmにて250〜290
℃で混練・溶融し、これをTダイ(ダイ幅:14cm、
スリット幅:0.8cm)より押出してチルロール(7
0℃)で巻き取り、延伸前の厚み100〜200μm程
度のポリエステル樹脂リボンを形成することを試みた
が、Tダイより押出された樹脂は粘性が低下しており所
望の樹脂リボンは得られなかった。
【0052】(比較例3)実施例1と同じ超微粒子状酸
化亜鉛を実施例1と同じスクリュー型二軸押出成形機に
おいてポリエチレンテレフタレート樹脂に2質量%混合
して、スクリュー回転数100rpmにて250〜29
5℃で混練・溶融し、これをTダイ(ダイ幅:14c
m、スリット幅:0.8cm)より押出してチルロール
(70℃)で巻き取り、厚み170μmのポリエステル
樹脂リボンを形成した。当該リボンを延伸機により延伸
し、酸化亜鉛微粒子が2質量%配合された厚さ30μm
の紫外線遮蔽ポリエステル系樹脂フィルムを得た。しか
しながら、このフィルムは強度が低く極めて脆いもので
あった。
【0053】(試験方法)上記実施例1〜2及び比較例
1による紫外線遮蔽ポリエステル系樹脂フィルムについ
て、光透過率および表面状態の試験を行った。試験法は
次のとおりである。
【0054】光透過率 分光光度計(日本分光社製)により、波長190〜25
00μmの光透過率を測定する。測定結果から、波長1
90〜380nmの紫外線については透過率の最大値
(%)を、また可視光線については600nmの光透過
率(%)を指標として表示する。
【0055】表面状態 フィルムの表面をデジタルマイクロスコープにより観察
し、超微粒子酸化亜鉛の分散性(凝集)および剥離の有
無を調べる。
【0056】上記実施例、比較例の結果を、表1に示
す。これより明らかなように、酸化亜鉛微粒子を特定の
ビニル系樹脂と混練してマスター樹脂組成物とし、これ
をポリエステル系樹脂に添加混練した樹脂組成物をフィ
ルムに成形した実施例1及び実施例2においては可視光
線の透過性に優れ、さらに紫外線透過遮蔽性に優れてい
るフィルムが得られることが確認できた。また、酸化亜
鉛微粒子はフィルム中で非常に良く均一分散しており、
また粒子のフィルム表面からの剥離は認められなかっ
た。
【0057】これに対し、酸化亜鉛微粒子を直接ポリエ
ステル系樹脂に配合した比較例1のものは、紫外線遮蔽
率が低く、また可視光線透過率が低く透明性が劣ってい
るフィルムである。これは、酸化亜鉛微粒子がフィルム
中で凝集しておりその分散性が非常に悪いためと思われ
る。また、一部の粒子はフィルム表面から剥離している
ことが認められた。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】本発明に従えば、酸化亜鉛微粒子を特定
のビニル系樹脂と混練してから、さらにポリエステル系
樹脂と混練することにより、酸化亜鉛微粒子をポリエス
テル系樹脂中に高分散させることができるとともに、か
つ、酸化亜鉛粒子を配合することにより当該ポリエステ
ル系樹脂の成形性が損なわれることのない透明性の高い
紫外線遮蔽能の高いポリエステル系樹脂フィルムの製造
方法が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 67/00 C08L 67/00 // B29K 67:00 B29K 67:00 Fターム(参考) 4F070 AA12 AA13 AA15 AA22 AA47 AC14 FB03 FB04 4F071 AA20 AA43 AB18 AE05 AE22 AF57 4F201 AA24 AB01 AB16 AC08 AG01 AH01 AH81 BA01 BC01 BC12 BC15 BC37 BD05 BK01 BK02 BK11 4J002 BB032 BB122 BB172 BD032 BD102 CF061 DE106

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化亜鉛微粒子が配合された紫外線遮蔽
    ポリエステル系樹脂フィルムの製造方法において、当該
    酸化亜鉛微粒子を、極性又は非極性のビニル系樹脂と混
    練して酸化亜鉛微粒子が高濃度に分散されたマスター樹
    脂組成物とし、当該マスター樹脂組成物を、ポリエステ
    ル系樹脂に添加混練した樹脂組成物をフィルムに成形す
    ることを特徴とする紫外線遮蔽ポリエステル系樹脂フィ
    ルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 極性又は非極性のビニル系樹脂が、ポリ
    エチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニ
    ル及びポリ塩化ビニリデンからなる群より選択される少
    なくとも一つの樹脂である請求項1に記載のフィルムの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記マスター樹脂組成物をペレットとし
    てポリエステル系樹脂に添加混練する請求項1又は2に
    記載のフィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記フィルムの厚み30μmにおける紫
    外線の透過率が10%以下、及び可視光線の透過率が8
    0%以上である請求項1〜3のいずれかに記載のフィル
    ムの製造方法。
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