JP2007099863A - ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形体 - Google Patents

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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K9/00Use of pretreated ingredients
    • C08K9/04Ingredients treated with organic substances
    • C08K9/06Ingredients treated with organic substances with silicon-containing compounds

Abstract

【課題】 紫外線遮蔽性に優れ、しかも透明性に優れた成形体が得られ、さらには昇華物による金型汚れを防止できるなどの加工性にも優れたポリエステル樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 芳香族ポリエステル(A)中に、超微粒子金属酸化物(B)を0.01〜20質量%分散させたポリエステル樹脂組成物において、超微粒子金属酸化物(B)は、平均粒子径が100nm以下であり、かつ表面が有機珪素化合物で被覆されており、かつ芳香族ポリエステル(A)中での超微粒子金属酸化物(B)の平均粒子径Xが下記式(1)を満足することを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
1≦X/Y≦5 (1)
(ただし、Xは芳香族ポリエステル(A)中での金属酸化物超微粒子(B)の平均粒子径(nm)、Yは芳香族系ポリエステル(A)中に分散する前の金属酸化物超微粒子(B)の一次粒子の平均粒子径(nm)を表す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、紫外線遮蔽能に優れ、しかも透明性に優れる芳香族系ポリエステル樹脂組成物に関する。特に芳香族ポリエステルが好適に用いられる飲料用ボトルをはじめとする中空成形容器、フィルムやシートなどの包装体に関するものである。更に詳しくは芳香族ポリエステル樹脂中に特定の表面処理を施した超微粒子酸化亜鉛をナノレベルで分散・配合したことによって、紫外線遮蔽能に優れ、しかも透明性に優れる芳香族系ポリエステル樹脂組成物を提供するものであり、飲料用ボトルをはじめとする中空成形容器、フィルムやシートなどの包装体に関するものである。
ポリエチレンテレフタレート樹脂はその優れた透明性、機械的強度、耐熱性、ガスバリアー性等の特性により飲料用ボトルをはじめとする中空成形容器、食品・トイレタリー用品・化粧品等の包装材料として幅広く利用されている。この数年、汎用化や用途の多様化により、ガスバリアー性や紫外線遮蔽性、低AA性などの機能向上や易成形性などが要望されている
光による包装食品の変質を例に挙げると、変質の態様はきわめて多様であり、主としてUV−Aの紫外線あるいは可視光線によって、食品中の各種成分は直接攻撃を受けて変質する。特に食品中の脂質類は光による影響をもっとも受けやすい。紫外線による直接的なラジカル生成、紫外線や可視光線によるフォトダイナミックアクションの進行など、変質を引き起こす光の波長域は極めて広く、食品の変質防止のために考慮しなければならない光は300〜700nmの範囲であると言われている。
したがって、光による食品の品質低下を防止するにはアルミ箔やアルミ蒸着材料、金属缶などの完全遮光性の包装材料を用いれば最も良いことは明確であるが、一方、内容物を見ることができる透明容器の方が安全性や意匠性の点で消費者から好まれる傾向がある。可視光線を遮蔽するには、吸収波長に特有な着色を施した包装材料を利用する方法があるが、使用可能な食品類は限定される。以上のように、無色透明でありながら遮光性のある包装材料という相矛盾する特性が求められている。
ポリオレフィン系やナイロン系等、従来から包装材料として利用されている高分子化合物には紫外線遮蔽性に劣る物が多い。芳香族系ポリエステルはその骨格中のベンゼン環が300nm以下の紫外線を吸収するが、UV−A領域の紫外線は遮蔽できない。したがって、紫外線吸収剤の開発も盛んに行われており、これらを配合した包装材料も提案されていることから、可視光線の遮蔽性はないものの、紫外線の遮蔽性を持つ透明性が改善された包装材料が開発されている。食品のように他成分系の場合、紫外線の遮蔽性のみでは光による製品の変質を完全には防止できないが、食品の種類、包装や貯蔵条件によっては紫外線を遮蔽することで製品の変質を抑制することが可能であり、消費者の無色透明な包装容器の要求に応えることができる。
紫外線は波長100〜400nmの電磁波であり、この領域の光エネルギーは、C、H、Oの結合エネルギー294〜462kJ/molと同等のエネルギーを有する。そのため、主としてC、H、Oの結合からなるプラスチック成形品は、紫外線に暴露されることによりその結合が崩壊し、樹脂そのものが劣化、変色、機械的強度の低下を伴う恐れがある。
このような問題点を解決するため、高分子化合物を基材とする製品には紫外線吸収剤が配合される。紫外線を吸収する素材は、有機化合物と金属酸化物の2種類に大別することができ、前者ではベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サルチレート系、置換アクリロニトリル系等が利用されている。しかしながら紫外線吸収剤としての有機化合物には、毒性のあるものが多く、安全に使用するためには配合量に上限がある。また熱可塑性樹脂等にこれらを添加する場合には、これらの有機系紫外線遮蔽剤の多くが低分子量であることから、成形時に発煙を生じたり、成形後も経時的にブリードアウトしてきたり、紫外線の吸収にともない分解したり変色するといった安定性、安全性上の問題がある。
そこで、これらの有機系紫外線吸収剤にかわり、例えば特許文献1〜5に見られるように、非溶出性、非着色性、安全性、衛生性に対応できる紫外線吸収剤として酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化第2鉄などの金属酸化物の利用が検討されている。これらの金属酸化物は安定で毒性も低く、
固体であるため基材高分子化合物中での移行性がないといった特徴を有する。
特開昭61−37426号公報 特開昭63−125564号公報 特開平6−345879号公報 特開平7−223293号公報 特開2000−62007号公報
これら金属酸化物のうち酸化亜鉛は、酸化チタンに比べUVA(320〜400nm)の遮蔽性に優れ、しかも他の金属酸化物に比べ屈折率が低いことから透明性に優れるため、化粧用のUVケア材料や建材などの表面コーティング材料として、近年使用量が増加している。酸化チタンの紫外線遮蔽性は吸収と散乱によって発現されているのに比べ、酸化亜鉛の紫外線遮蔽性は主に吸収によって発現されているため、一次粒子径を小さくすればするほど、紫外線遮蔽能力は増加し、同時に透明性を向上させることができる優れた素材である。
しかしながら、酸化亜鉛をはじめとする金属酸化物の使用に際しては、以下の問題点を孕んでいる。第1の問題は、これらの金属酸化物は粒子径(一次粒子あるいは凝集粒子)が100nm以上になると、紫外線を吸収・散乱させるだけでなく、可視光をも散乱してしまい、これらを含有する基材高分子化合物は白色化し透明性が低下するため、商品価値を著しく低下させてしまう点である。第2の問題は、これらの金属酸化物は超微粒子化することで可視光透明性が改善できる一方、比表面積が増大することにより光触媒活性や溶出性が増大するため、基材となる高分子化合物そのものを劣化させる恐れがある点である。
第1の問題を解決するには、対象とする基材高分子化合物への金属酸化物の分散性を向上する必要がある。この手段として、特定の顔料分散剤を使用する方法が、特許文献6に提案されている。また、予め金属酸化物を比較的分散させやすい高分子化合物中に分散させてマスターバッチとした後、これを対象とする基材高分子化合物に分散させる方法が、特許文献7〜8に提案されている。しかしながら、これらの手法は、操作として煩雑であり、得られた成形体の透明性も満足できるものではない。
第2の問題を解決する手段としては、例えば特許文献9〜11に見られるように、従来より様々な表面処理を施した金属酸化物が提案されており、光触媒活性や酸化亜鉛の溶出の制御に有効であることが開示されている。
特開2000−63680号公報 特開2003−96202号公報 特開2004−203999号公報 特開平11−193354号公報
本発明の目的は、紫外線遮蔽性に優れ、しかも透明性に優れ、さらには材料の昇華による金型汚れを防止できるなどの加工性に優れた、熱可塑性ポリエステル成形体、中空成形体、フィルム、これらに関する予備成形体及びこれらの成形体を形成し得るポリエステル樹脂組成物とそれからなる成形体を提供することである。
上記課題を解決することのできた本発明に係る熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物は、以下の構成を採るものである。すなわち、
(1)主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分とからなる繰り返し単位を有する芳香族ポリエステル(A)中に、金属酸化物からなる超微粒子(B)を0.01〜20質量%分散させたポリエステル樹脂組成物において、金属酸化物からなる超微粒子(B)は、平均粒子径が100nm以下であり、かつ表面が有機珪素化合物で被覆されており、かつ芳香族ポリエステル(A)中での金属酸化物からなる超微粒子(B)の平均分散粒子径Xが下記式(1)を満足することを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
1≦X/Y≦5 (1)
ただし、Xは芳香族系ポリエステル(A)中での金属酸化物からなる超微粒子(B)の平均分散粒子径(nm)、Yは芳香族系ポリエステル(A)中に分散する前の金属酸化物からなる超微粒子(B)の一次粒子の平均粒子径(nm)を表す。
(2)金属酸化物からなる超微粒子(B)の一次粒子の95%以上が100nm以下の粒子径であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
(3)金属酸化物からなる超微粒子(B)の表面を被覆する有機珪素化合物が、ポリシロキサンからなることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
(4)金属酸化物からなる超微粒子(B)の表面を被覆する有機珪素化合物がオキサン結合を介して金属酸化物からなる超微粒子(B)と化学結合していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
(5)金属酸化物からなる超微粒子(B)が、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄のいずれか1種、あるいは1種以上の混合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
(6)請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物からなるポリエステル成形体。
(7)請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物と主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分とからなる繰り返し単位を有する芳香族ポリエステル(C)を含有し、かつ金属酸化物からなる超微粒子(B)の含有量が0.01〜10質量%であることを特徴とするポリエステル成形体。
(8)請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物と主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分とからなる繰り返し単位を有する芳香族ポリエステル(C)を含有し、かつ金属酸化物からなる超微粒子(B)の含有量が0.01〜10質量%であることを特徴とするポリエステル成形体を、成形体を構成する樹脂層として少なくとも1層含むことを特徴とする多層成形体。
(9)成形体を構成する樹脂層の厚さが1mm以下、かつ波長360nmにおける光線透過率が30%以下であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の成形体。
(10)成形体を構成する樹脂層の厚さが1mm以下で、かつ波長360nmにおける光線透過率が20%以下であり、かつヘイズ値が20%以下であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の成形体。
本発明のポリエステル樹脂組成物を使用して得られる成形体は、紫外線遮蔽性に優れ、しかも透明性に優れる。さらに本発明のポリエステル樹脂組成物は、成形体を製造する際にポリエステル樹脂組成物から発生する昇華物による金型汚れを防止できるなどの加工性にも優れる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用される芳香族ポリエステル(A)は、主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分とからなる結晶性の芳香族ポリエステルであり、好ましくは芳香族ジカルボン酸成分が酸成分の85モル%以上含む結晶性芳香族ポリエステルであり、さらに好ましくは、芳香族ジカルボン酸成分が酸成分の95モル%以上含む結晶性芳香族ポリエステルである。典型的な芳香族ポリエステル(A)としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びそれらのジカルボン酸成分又はグリコール成分の一部を共重合した共重合体を例示することができる。
本発明で使用される芳香族ポリエステル(A)を構成する芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体などが挙げられる。
また、本発明で使用される芳香族ポリエステル(A)を構成するグリコール成分としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコールなどが挙げられる。
本発明で使用される芳香族ポリエステル(A)としては、主としてテレフタル酸成分とエチレングリコール成分とからなる繰り返し単位を有する芳香族ポリエステル、好ましくは芳香族ジカルボン酸成分が酸成分の85モル%以上含む結晶性ポリエステルである。さらに好ましくはポリエチレンテレフタレートを主成分とする芳香族ポリエステルであり、特に好ましくは、エチレンテレフタレート単位を85モル%以上含む線状ポリエステルである。
本発明で使用される芳香族ポリエステル(A)は共重合されていても構わない。共重合成分として使用されるジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸及びその機能的誘導体などが挙げられる。
また、共重合成分として使用されるグリコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルー1,5−ペンタンジール、2−メチルー1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチルー2−エチルー1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等が挙げられる。さらに、脂環族グリコールとして、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、3,8−ビスヒドロキシメチルトリシクロジシカン、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF、TCDグリコール等が挙げられ、これらを単独又は2種類以上を併用して使用できる。
本発明の内容を損なわない範囲で、芳香族ポリエステル(A)にはカルボン酸基を付与しても良い。カルボン酸基を導入する方法としては、上記ポリエステル樹脂を重合した後に無水トリメリット酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水コハク酸、無水1,8−ナフタル酸、無水1,2−シクロヘキサンジカルボン酸等を後付加して酸価を付与する方法、あるいは変性ポリエステルとしては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等で鎖延長する方法が挙げられる。
さらに、本発明で使用される芳香族ポリエステル(A)に共重合して使用されるその他の共重合成分として、トリメリット酸やピロメリット酸等の多官能カルボン酸、グリセリンやペンタエリスリトール等の多官能グリコールが挙げられる。多官能カルボン酸および/又は多官能グリコールの共重合成分としての使用量は、芳香族系ポリエステル(A)が実質的に熱可塑性を維持する程度でなければならない。
本発明で使用される金属酸化物からなる超微粒子(B)は、単一種類であっても、複数の種類が混ざったものでも良い。金属酸化物からなる超微粒子(B)の種類としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄などを挙げることができる。特に、紫外線遮蔽性に優れ、しかも透明性に優れる材料としては、酸化亜鉛が好適に用いられる。
本発明に使用される金属酸化物からなる超微粒子(B)の一次粒子は、平均粒子径が100nm以下である。5〜60nmがより好ましい。平均粒子径が5nm未満であると紫外線遮蔽効果を得ることが困難であり、また100nmを越えると透明性に優れる成形体を得ることが困難となり、得られた成形体は白化する場合がある。
本発明で使用される金属酸化物からなる超微粒子(B)の一次粒子は、95%以上が100nm以下の粒子径を有するものが好適である。一次粒子として99%以上が100nm以下の粒子径を有するものがより好適である。
本発明のポリエステル樹脂組成物を製造する工程において、金属酸化物からなる超微粒子(B)の一次粒子をそれ以上に細かくすることは困難であるため、100nmより大きい粒子径を有する金属酸化物からなる超微粒子(B)はポリエステル樹脂組成物中に残存することになる。100nmより大きい粒子径を有する一次粒子が5%を超えると、得られる成形体の透明性や機械的強度を損なう場合がある。
また、本発明で使用される金属酸化物からなる超微粒子(B)は、有機珪素化合物で被覆されたものである。なお、上記の金属酸化物からなる超微粒子(B)の一次粒子の粒子径および平均粒子径は、有機珪素化合物で被覆後の粒子径を示す。
本発明で使用される金属酸化物からなる超微粒子(B)を被覆する有機珪素化合物としては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサンやジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のオルガノポリシロキサン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルエチルトリメトキシシラン、へプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシビニルシランやジフェニルジメトキシシラン等のシランカップリング剤を挙げることができる。
一般に高分子化合物を可塑化・混練する時に金属酸化物からなる微粒子を添加すると、通常、金属酸化物からなる微粒子が凝集したままの状態で高分子化合物中に存在するか、あるいは金属酸化物微粒子同士がさらに凝集し、これらの凝集体からなる粗大粒子を含む高分子化合物しか得ることができない。金属酸化物微粒子を上記のような有機珪素化合物で被覆することで金属酸化物からなる微粒子表面は疎水性となり、高分子化合物との相溶性が向上する。これにより、分散剤などの第3成分を利用しなくとも、金属酸化物からなる微粒子の高分子化合物への分散性を向上することができる。
これらの有機珪素化合物で金属酸化物からなる超微粒子(B)を被覆する方法としては、有機珪素化合物で金属酸化物からなる超微粒子(B)を混合した後、必要であれば加熱処理を行う方法であれば特に限定されない。有機珪素化合物と金属酸化物からなる超微粒子(B)を均一に混合するために、ボールミルなどの混合機や種々の撹拌機を利用することも可能であるが、これらの手法に限定されない。
本発明で使用される表面が有機珪素化合物で被覆された金属酸化物からなる超微粒子(B)における金属酸化物の含有量は90〜99質量%が好ましい。金属酸化物の含有量が90%未満であると紫外線遮蔽効果の効率が悪くなる。また、金属酸化物の含有量が99質量%を超えると、金属酸化物を被覆する有機珪素化合物の含有量は1質量%未満となり、本発明で使用される芳香族ポリエステルへの金属酸化物からなる超微粒子(B)の相溶性向上効果や金属酸化物からなる超微粒子(B)の溶出抑制効果といった有機珪素化合物による表面処理効果を十分に発揮できない。
本発明のポリエステル樹脂組成物中では、金属酸化物からなる超微粒子(B)が下記式(1)を満足する状態で分散している。
1 ≦ X/Y ≦ 5 (1)
(ただし、Xは芳香族系ポリエステル(A)中での金属酸化物からなる超微粒子(B)の平均分散粒子径(nm)、Yは芳香族系ポリエステル(A)中に分散する前の金属酸化物からなる超微粒子(B)の一次粒子の平均粒子径(nm)を表す。)
(1)X/Y<1であるということは、芳香族系ポリエステル(A)中での金属酸化物からなる超微粒子(B)の平均分散粒子径が、金属酸化物からなる超微粒子(B)の平均粒子径よりも小さいことを意味しており、金属酸化物からなる超微粒子(B)がさらに細かく粉砕あるいは分解されたり、有機珪素化合物が剥離したりすることであるから好ましくない。
X/Y>5であることは、芳香族系ポリエステル(A)中において、金属酸化物からなる超微粒子(B)の分散性が低下し、顕著に凝集が進行していることを意味しており、得られる成形体の機械的強度の低下や透明性の低下を引き起こす場合がある。本発明のポリエステル樹脂組成物においては、1≦X/Y≦3の範囲であり、芳香族系ポリエステル(A)中での金属酸化物からなる超微粒子(B)の分散性が良好であることから、紫外線遮蔽性に優れ、かつ透明性にも優れる成形体を得ることができる。
芳香族系ポリエステル(A)中での金属酸化物からなる超微粒子(B)の平均分散粒子径であるXは、1≦X/Y≦5であることに加え、100nm以下であることが必要であり、さらには5〜60nmがより好ましい。平均分散粒子径が5nm未満であると紫外線遮蔽効果を得ることが困難であり、また100nmを越えると機械的強度や透明性に優れる成形体を得ることが困難となる。
本発明に用いられる金属酸化物からなる超微粒子(B)を芳香族系ポリエステル(A)に導入する方法としては、
[1]本発明に用いられる芳香族ポリエステル(A)の重合時の任意の時期(エステル化
時及び/又はエステル化終了時及び/又は縮重合時)に金属酸化物からなる超微粒子(B)を添加するか、あるいは該重合体にドライブレンドする方法。
[2]本発明に用いられる芳香族ポリエステル(A)と金属酸化物からなる超微粒子(B
)を所定量配合し、単軸押出機や2軸押出機等を用いてドライブレンドにより溶融混練する方法。
[3]本発明に用いられる金属酸化物からなる超微粒子(B)を適当な溶剤と混合し、ビ
ーズミル等で細かく解砕された分散液を作成後、本発明に用いられる芳香族ポリエステル(A)に所定量配合し、単軸押出機や2軸押出機等を用いて減圧乾燥しながら溶融混練する方法。
などを挙げることができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、例えば、一旦水冷後ペレタイザにてペレットとし、その後射出成形機、ブロー成形機等の成形機で成形体を製造することができる。またポリエステル樹脂組成物を成形機にフィードして成形体を製造することも可能である。
上記のように、本発明のポリエステル樹脂組成物は、コンパウンドとしてそのまま成形機で成形体としても良いが、予め芳香族ポリエステル(A)に金属酸化物からなる超微粒子(B)を目的より多く配合したマスターバッチを上記方法などにより作製し、該マスターバッチを所定範囲の濃度になるように金属酸化物からなる超微粒子(B)を含有しない樹脂で希釈して成形機で成形体を得ることも可能である。該マスターバッチにおける金属酸化物からなる超微粒子(B)の含有量は0.01〜20質量%部が好ましい。さらには1〜10質量%部が好適である。
本発明のポリエステル樹脂組成物から成形体を得る方法としては、フィルムやシートを作製する場合は、例えば押出機で溶融したポリエステル樹脂組成物を、Tダイ法等によりフィルムやシート状に押出し、冷却式回転ドラム上にキャスティングする方法が挙げられる。この際、フィルムやシートに金属酸化物からなる超微粒子(B)を含まない層を設けた2種3層等の多層に共押出することも可能である。また必要により、ロール延伸機やテンター延伸機を用いて1軸延伸したり、2軸に延伸することも可能である。
本発明のポリエステル樹脂組成物から成形体を得る方法としては、トレーやカップ等を作製する場合は、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、メンブレン成形等の一般的手法が挙げられる。また袋状の容器や包装体を作る場合には、上記で得られたフィルムやシートを、例えばテンターで1軸又は2軸延伸して熱収縮性フィルムとするとか、又は延伸後、熱固定して配向性フィルムとし、端部を熱融着、接着剤等で接着して製造することができる。さらには、公知のホットパリソン法、又はコールドパリソン法等の方法によって、中空成形体を製造することも可能である。このような成形体におけるポリエステル樹脂組成物中の金属酸化物からなる超微粒子(B)の含有量は0.01〜10質量%が好適である。
本発明のポリエステル樹脂組成物からなる成形体の光線透過特性は、利用する金属酸化物からなる超微粒子(B)の種類や分散径あるいは成形条件等で変化するが、紫外線遮断性の点では、成形体を構成する本発明のポリエステル樹脂組成物層の厚さが1mmの場合で、波長360nmにおける光線透過率が30%以下であることが好ましい。20%以下がさらに好ましい。かつ、透明性の点から、ヘイズ値は20%以下であることがより好ましい。
以下、本発明について実施例を用いて説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。また、各成形体の作製及び測定は以下の方法により行った。
(1)金属酸化物からなる超微粒子(B)の一次粒子の粒子径および平均粒子径
各金属酸化物からなる超微粒子(B)の粉体を、0.5%ホルムバール溶液中に拡散させ水面上に滴下した。これにマイクログリッドを載せ、カーボン蒸着したものをTEM観察用の試料とした。TEMは、日本電子(株)製JEM2010透過型電子顕微鏡を使用し、加速電圧200kVで直接倍率20,000倍及び100,000倍にて観察を行った。
上記TEM写真を複数の視野で撮影し、目視にて最低50個の一次粒子の粒子径を測定し、平均粒子径はこの平均値とした。
なお、金属酸化物からなる超微粒子が球体ではなく、扁平構造体である場合には、目視にて最低50個の一次粒子の長径と短径を測定した後、長径の平均値(A)および短径の平均値(B)から下記式(2)で平均粒子径を算出した。
(平均粒子径)=(πAB)1/2/2 (2)
(2)芳香族ポリエステル(A)中での金属酸化物からなる超微粒子(B)の平均分散粒子径
ポリエステル樹脂組成物の試料を切り出し、ミトクロームにて超薄切片としたものにカーボン蒸着を施したものをTEM観察用の試料とした。TEMは、日本電子(株)製JEM2010透過型電子顕微鏡を使用し、加速電圧200kVで直接倍率20,000倍にて観察を行った。
上記TEM写真の画像をパソコン画面上で画像処理ソフトに取り込み、所定面積S0中に存在する分散粒子の面積Sと分散粒子数nを測定する。精度を高めるためにこの操作を複数の視野について行い、それぞれの視野について求めたSとnからΣSとΣnを算出し
、下記式(3)より面積法平均分散粒径dを求める。
d = (ΣS/Σn)1/2 (3)
(3)成形体の光線透過特性
紫外・可視分光光度計((株)日立製作所製、分光光度計U−3500)を使用し、成形体の光線透過率を測定した。
(4)ヘイズ値(霞度%)
中空成形体の場合には胴中央部から試料を切り取り、またフィルムやシートの場合にはそのまま試料を切り取り、日本電色工業(株)製、濁度計NDH2000でヘイズ値を測定した。
(実施例1)
芳香族系ポリエステル樹脂(日本ユニペット(株)製ポリエチレンテレフタレート樹脂、RT543)100質量部に、超微粒子金属酸化物として超微粒子酸化亜鉛(堺化学工業(株)製、NF50S−LP、メチルハイドロジェンポリシロキサン表面処理品、平均粒子径は20nm)25質量部を加え、同方向2軸押出機を使用して溶融混練した後、吐出した溶融ストランドを冷水で急冷し、長さ約5mmにカットしたペレットを得た。このペレットを140℃で16時間、真空乾燥し、金属酸化物からなる超微粒子を分散したポリエステル樹脂組成物を得て試料とし、ポリエステル樹脂組成物中の金属酸化物からなる超微粒子の平均分散粒子径を測定した。
(実施例2)
芳香族ポリエステル樹脂(日本ユニペット(株)製ポリエチレンテレフタレート樹脂、RT543)100質量部に、金属酸化物からなる超微粒子として超微粒子酸化亜鉛(堺化学工業(株)製、NF50S−LP、メチルハイドロジェンポリシロキサン表面処理品、平均粒子径は20nm)3.1質量部を加え、同方向2軸押出機を使用して溶融混練した後、吐出した溶融ストランドを冷水で急冷し、長さ約5mmにカットしたペレットを得た。このペレットを140℃で16時間、真空乾燥し、金属酸化物からなる超微粒子を分散したポリエステル樹脂組成物を得て試料とし、ポリエステル樹脂組成物中の金属酸化物からなる超微粒子の平均分散粒子径を測定した。
(実施例3)
芳香族ポリエステル樹脂(日本ユニペット(株)製ポリエチレンテレフタレート樹脂、RT543)100質量部に、金属酸化物からなる超微粒子として超微粒子酸化亜鉛(日本アエロジル(株)製、AdNanoZ805、トリメトキシオクチルシラン表面処理品、平均粒子径31nm)5.3質量部を加え、同方向2軸押出機を使用して溶融混練した後、吐出した溶融ストランドを冷水で急冷し、長さ約5mmにカットしたペレットを得た。このペレットを140℃で16時間、真空乾燥し、金属酸化物からなる超微粒子を分散したポリエステル樹脂組成物を得て試料とし、ポリエステル樹脂組成物中の金属酸化物からなる超微粒子の平均分散粒子径を測定した。
(実施例4)
芳香族ポリエステル樹脂(日本ユニペット(株)製ポリエチレンテレフタレート樹脂、RT553)100質量部に、金属酸化物からなる超微粒子として超微粒子酸化チタン(堺化学工業(株)製、STR−60C−LP、アルミナ/メチコン表面処理品、平均粒子径46nm)5.3質量部を加え、同方向2軸押出機を使用して溶融混練した後、吐出した溶融ストランドを冷水で急冷し、長さ約5mmにカットしたペレットを得た。このペレットを140℃で16時間、真空乾燥し、金属酸化物からなる超微粒子を分散したポリエステル樹脂組成物を得て試料とし、ポリエステル樹脂組成物中の金属酸化物からなる超微粒子の平均分散粒子径を測定した。
(比較例1)
芳香族ポリエステル樹脂(日本ユニペット(株)製ポリエチレンテレフタレート樹脂、RT543)100質量部に、超微粒子金属酸化物として超微粒子酸化亜鉛(堺化学工業(株)製、NF50W、シリカ表面処理品、平均粒子径20nm)5.3質量部を加え、同方向2軸押出機を使用して溶融混練した後、吐出した溶融ストランドを冷水で急冷し、長さ約5mmにカットしたペレットを得た。このペレットを140℃で16時間、真空乾燥し、金属酸化物からなる超微粒子を分散したポリエステル樹脂組成物を得て試料とし、ポリエステル樹脂組成物中の金属酸化物からなる超微粒子の平均分散粒子径を測定した。
(比較例2)
芳香族ポリエステル樹脂(日本ユニペット(株)製ポリエチレンテレフタレート樹脂、RT543)100質量部に、金属酸化物からなる超微粒子として超微粒子酸化亜鉛(東邦亜鉛(株)製、銀嶺A、表面処理なし、平均粒子径220nm)5.3質量部を加え、同方向2軸押出機を使用して溶融混練した後、吐出した溶融ストランドを冷水で急冷し、長さ約5mmにカットしたペレットを得た。このペレットを140℃で16時間、真空乾燥し、金属酸化物からなる超微粒子を分散したポリエステル樹脂組成物を得て試料とし、ポリエステル樹脂組成物中の金属酸化物からなる超微粒子の平均分散粒子径を測定した。
(実施例5)
撹拌機、蒸留塔、圧力調整器を備えた重合装置に、テレフタル酸とエチレングリコール、二酸化ゲルマニウムを仕込み、トリエチルアミンを加え0.3MPaの加圧下240℃で水を系外に留去しながらエステル化反応を120分間行い、オリゴマーを得た。これにトリメチルホスフェートのエチレングリコール溶液と超微粒子酸化亜鉛(堺化学工業(株)製、NF50S−LP、メチルハイドロジェンポリシロキサン表面処理品、平均粒子径は20nm)のエチレングリコール溶液を加えて、窒素雰囲気下の常圧240℃で10分間撹拌した。次いで75分間を要して275℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて13.3Pa(0.1Torr)とし、続けて重縮合反応を行った。溶融ポリマーを吐出ノズルより水中に押出し、ペレタイザーによって円柱状ペレットを作成した。次いで乾燥、結晶化処理、及び固相重合を行った結果、得られたポリエステル樹脂組成物の固有粘度は0.73dl/gで、超微粒子酸化亜鉛の含有量は1質量%であった。このペレットを140℃で16時間、真空乾燥し、金属酸化物からなる超微粒子を分散したポリエステル樹脂組成物を得て試料とし、ポリエステル樹脂組成物中の金属酸化物からなる超微粒子の平均分散粒子径を測定した。
(比較例3)
実施例4において、金属酸化物超微粒子として超微粒子酸化亜鉛(堺化学工業(株)製、NF50、表面処理なし、平均粒子径20nm)を利用した以外は同様にして、金属酸化物からなる超微粒子を分散したポリエステル樹脂組成物を得て試料とし、ポリエステル樹脂組成物中の金属酸化物からなる超微粒子の平均分散粒子径を測定した。
表1に、実施例1〜5、比較例1〜3の結果を示した。
Figure 2007099863
*1:メチルハイドロジェンポリシロキサン
*2:トリメトキシオクチルシラン
*3:アルミナ+メチコン
*4:X=芳香族ポリエステル(A)中での金属酸化物超微粒子(B)の平均粒子径
Y=超微粒子金属酸化物(B)の一次粒子の平均粒子径
〔二軸延伸ブロー成形ボトルの評価〕
(参考例1)
予め、脱湿空気を用いた乾燥機で乾燥した芳香族ポリエステル樹脂(日本ユニペット(株)製ポリエチレンテレフタレート樹脂、RT543)を、名機製作所製M−100射出成形機により、シリンダー温度290℃において、プリフォームを成形した。このプリフォームの口栓部を自家製の口栓部結晶化装置で加熱結晶化させた後、コーポプラスト社製LB−01延伸ブロー成形機を用いて二軸延伸ブロー成形し、引き続き155℃に設定した金型内で10秒間熱固定し、500ccの中空成形容器を得た。また、同様の条件で連続的に延伸ブロー成形し、20回連続成形後の容器の胴部を光線透過性測定及びヘイズ値(霞度%)測定に供した。
(実施例6)
予め、脱湿空気を用いた乾燥機で乾燥した実施例2で得たポリエステル樹脂組成物と芳香族ポリエステル樹脂(日本ユニペット(株)製ポリエチレンテレフタレート樹脂、RT543)を、所定の超微粒子金属酸化物含有量となるよう配合し、名機製作所製M−100射出成形機により、シリンダー温度290℃において、プリフォームを成形した。このプリフォームの口栓部を自家製の口栓部結晶化装置で加熱結晶化させた後、コーポプラスト社製LB−01延伸ブロー成形機を用いて二軸延伸ブロー成形し、引き続き155℃に設定した金型内で10秒間熱固定し、樹脂部厚さが0.4mmで500ccの中空成形容器を得た。また、同様の条件で連続的に延伸ブロー成形し、20回連続成形後の容器の胴部を光線透過性測定及びヘイズ値(霞度%)測定に供した。
(実施例7)
実施例6において、実施例2で得たポリエステル樹脂の代わりに、実施例3で得たポリエステル樹脂組成物を利用した以外は同様にして、500ccの中空成形容器を得た。また、同様の条件で連続的に延伸ブロー成形し、20回連続成形後の容器の胴部を光線透過性測定及びヘイズ値(霞度%)測定に供した。
(比較例4)
実施例6において、実施例2で得たポリエステル樹脂の代わりに、比較例1で得たポリエステル樹脂組成物を利用した以外は同様にして、500ccの中空成形容器を得た。また、同様の条件で連続的に延伸ブロー成形し、20回連続成形後の容器の胴部を光線透過性測定及びヘイズ値(霞度%)測定に供した。
表2に、参考例1、実施例6〜7、比較例4の結果を示した。
Figure 2007099863
*1:メチルハイドロジェンポリシロキサン
*2:トリメトキシオクチルシラン
〔溶融押出し未延伸シートの評価〕
(参考例2)
予め、脱湿空気を用いた乾燥機で乾燥した芳香族ポリエステル樹脂(日本ユニペット(株)製ポリエチレンテレフタレート樹脂、RT543)を、275℃でTダイから溶融押出し、チルロールで急冷して厚さ0.2mmの未延伸シートを得た。また、同様の条件で連続的に巻き取り、50m巻取り後の未延伸シートを切り取り、光線透過性測定及びヘイズ値(霞度%)測定に供した。
(実施例8)
予め、脱湿空気を用いた乾燥機で乾燥した実施例2で得たポリエステル樹脂組成物と芳香族ポリエステル樹脂(日本ユニペット(株)製ポリエチレンテレフタレート樹脂、RT543)を、所定の超微粒子金属酸化物含有量となるよう配合し、275℃でTダイから溶融押出し、チルロールで急冷して未延伸シートを得た。また、同様の条件で連続的に巻き取り、50m巻取り後の未延伸シートを切り取り、光線透過性測定及びヘイズ値(霞度%)測定に供した。
(比較例5)
実施例8において、実施例2で得たポリエステル樹脂の代わりに、比較例1で得たポリエステル樹脂組成物を利用した以外は同様にして、未延伸シートを得た。また、同様の条件で連続的に巻き取り、50m巻き取り後の未延伸シートを切り取り、光線透過性測定及びヘイズ値(霞度%)測定に供した。
表3に、参考例2、実施例8、比較例5の結果を示した。
Figure 2007099863
*1:メチルハイドロジェンポリシロキサン
〔ヒートプレス成形フィルムの評価〕
(参考例3)
予め、脱湿空気を用いた乾燥機で乾燥した芳香族ポリエステル樹脂(日本ユニペット(株)製ポリエチレンテレフタレート樹脂、RT543)を、2枚の金属板の間に挟み込み、290℃で2分間、ゲージ圧200Kg/cm2の圧力でヒートプレスし、取り出した金属板を冷水で急冷して厚さ0.04mmの非晶フィルムを得た。得られた非晶フィルムを切り取り、光線透過性測定に供した。
(実施例9〜10)
予め、脱湿空気を用いた乾燥機で乾燥した実施例3で得たポリエステル樹脂組成物と芳香族ポリエステル樹脂(日本ユニペット(株)製ポリエチレンテレフタレート樹脂、RT543)を、所定の超微粒子金属酸化物含有量となるよう配合し、コーネルダーを用いて290℃で両者を溶融混練した。このものを2枚の金属板の間に挟み込み、280℃で2分間、ゲージ圧200Kg/cm2の圧力でヒートプレスし、取り出した金属板を冷水で急冷して厚さ0.04mmの非晶フィルムを得た。得られた非晶フィルムを切り取り、光線透過性測定に供した。
(比較例6)
実施例9〜10において、実施例2で得たポリエステル樹脂組成物の代わりに、比較例3で得たポリエステル樹脂組成物を利用した以外は同様にして、非晶フィルムを得た。得られた非晶フィルムを切り取り、光線透過性測定に供した。
表4に、参考例3、実施例9〜10、比較例6の結果をまとめる。
Figure 2007099863
*1:メチルハイドロジェンポリシロキサン
これらの結果より、平均粒子径が100nm以下で、かつ表面が有機珪素化合物で被覆されている超微粒子金属酸化物から、本発明の目的であるポリエステル樹脂組成物が得られることが確認できた。さらには、本発明のポリエステル樹脂組成物を利用すれば、紫外線遮蔽性に優れ、しかも透明性に優れる成形体が得られることが確認できた。
本発明のポリエステル樹脂組成物を使用して得られる成形体は、紫外線遮蔽性に優れ、しかも透明性に優れる。さらには成形体を製造する際にポリエステル樹脂組成物から発生する昇華物による金型汚れを防止できるなどの加工性にも優れる。熱可塑性ポリエステル成形体、中空成形体、フィルム、これらに関する予備成形体及びこれらの成形体を形成し得るポリエステル樹脂組成物とそれからなる成形体を提供することができる。

Claims (10)

  1. 主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分とからなる繰り返し単位を有する芳香族ポリエステル(A)中に、金属酸化物からなる超微粒子(B)を0.01〜20質量%分散させたポリエステル樹脂組成物において、金属酸化物からなる超微粒子(B)は、平均粒子径が100nm以下であり、かつ表面が有機珪素化合物で被覆されており、かつ芳香族ポリエステル(A)中での金属酸化物からなる超微粒子(B)の平均分散粒子径Xが下記式(1)を満足することを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
    1≦X/Y≦5 (1)
    (ただし、Xは芳香族系ポリエステル(A)中での金属酸化物からなる超微粒子(B)の平均分散粒子径(nm)、Yは芳香族系ポリエステル(A)中に分散する前の金属酸化物からなる超微粒子(B)の一次粒子の平均粒子径(nm)を表す。)
  2. 金属酸化物からなる超微粒子(B)の一次粒子の95%以上が100nm以下の粒子径であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 金属酸化物からなる超微粒子(B)の表面を被覆する有機珪素化合物が、ポリシロキサンからなることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 金属酸化物からなる超微粒子(B)の表面を被覆する有機珪素化合物がオキサン結合を介して金属酸化物からなる超微粒子(B)と化学結合していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 金属酸化物からなる超微粒子(B)が、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄のいずれか1種、あるいは1種以上の混合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物からなるポリエステル成形体。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物と主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分とからなる繰り返し単位を有する芳香族ポリエステル(C)を含有し、かつ金属酸化物からなる超微粒子(B)の含有量が0.01〜10質量%であることを特徴とするポリエステル成形体。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物と主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分とからなる繰り返し単位を有する芳香族ポリエステル(C)を含有し、かつ金属酸化物からなる超微粒子(B)の含有量が0.01〜10質量%であることを特徴とするポリエステル成形体を、成形体を構成する樹脂層として少なくとも1層含むことを特徴とする多層成形体。
  9. 成形体を構成する樹脂層の厚さが1mm以下、かつ波長360nmにおける光線透過率が30%以下であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の成形体。
  10. 成形体を構成する樹脂層の厚さが1mm以下で、かつ波長360nmにおける光線透過率が20%以下であり、かつヘイズ値が20%以下であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の成形体。
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