JP3659044B2 - ポリエステル樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル樹脂に紫外線吸収効果を有する無機系紫外線吸収剤および顔料分散剤を所定量配合したポリエステル樹脂組成物およびそのポリエステル樹脂組成物を用いた成形体に関し、詳細には、紫外線吸収効果を有し、なおかつ透明性に優れるポリエステル樹脂組成物およびそのポリエステル樹脂組成物を用いた成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、プラスチック成形品は、食品・飲料・トイレタリー用品・化粧品などの容器に代表される包装材料を初めとして、機械材料、電気・電子材料、光学材料、建装材料など、広い分野で使用されている。これらプラスチック成形品は、使用目的に応じて機能性を付与するために様々な添加物を加えられ、その一例として紫外線吸収剤が挙げられる。
【0003】
紫外線は波長100〜400nmの電磁波のことを指し、この領域の光のエネルギーは、C,H,Oの結合エネルギー(70〜110kcal/mol)と同等のエネルギーを有する。そのため、主としてC,H,Oの結合からなるプラスチック成形品は、紫外線が照射するとその結合を崩壊し、樹脂の劣化、変色、機械強度の低下を伴う恐れがある。一方、プラスチック成形品だけでなく、包装材料に充填する内容物、特にトイレタリーや化粧品などは、紫外線を照射することにより内容物の変色、変質、薬剤の分解を伴う恐れがある。
【0004】
このような問題点を解決するため、プラスチック成形品には上述した紫外線吸収剤を配合する。一般に紫外線吸収材料としてよく使用されるのが有機系紫外線吸収材料であり、その代表的なものとして、フェニルサリチレート、2−ヒドロキシー4メトキシベンゾフェノン、2(2’−ヒドロキシー5メチルフェニル)ベンゾトリアゾールが挙げられる。有機系紫外線吸収材料はプラスチック成形品に練り込むことで、透明かつ紫外線吸収効果を付与することが可能である。
【0005】
しかしながら、有機系紫外線吸収材料は、その紫外線吸収機構が原因で成形品を着色してしまうという問題点がある。プラスチック成形品においては、この着色の問題は外観不良を伴うものであり、できるだけ避けたいところである。そこで、これらの有機紫外線吸収材料に変わって無機系の紫外線吸収材料を使用するケースが増えてきた。これらの代表的なものとしては酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄などが挙げられる。
【0006】
しかしながら、無機系紫外線吸収剤の表面張力はプラスチックのものより小さく、本来は無機系紫外線吸収剤とプラスチックの相互作用は低いため、プラスチックを可塑化・混練時に無機系紫外線吸収剤微粒子を添加すると、以下の問題が生じてくる。
【0007】
一般に、超微粒子と呼ばれる無機系紫外線吸収剤の1次粒子の粒径は数nmオーダーであり、そのサイズは可視光の波長以下である。この無機系紫外線吸収剤を1次粒子の状態でプラスチック中に分散させれば、そのプラスチック成形品の透明性を低下させる問題は生じない。しかしながら、このような無機系紫外線吸収剤は、通常1次粒子が凝集した2次粒子の状態でプラスチックに添加され、溶融混練されている。また、プラスチックを可塑化・混練時に無機系紫外線吸収剤微粒子を添加すると、混練中に粒子間の相互作用でプラスチック中での無機系紫外線吸収剤粒子の分散性が低下し、1次粒子もしくは2次粒子の凝集が起き、分散粒子径が数μmから数十μmオーダーの2次粒子が生成する。プラスチック中に分散している無機系紫外線吸収剤の粒径がμmオーダーになると、可視光が無機系紫外線吸収剤により散乱し、その結果、プラスチック成形品の透明性を著しく低下させる問題が生じる。また、2次凝集した粒子が分散されていることは、無機系紫外線吸収剤添加の効果が出る添加量よりも多くの無機系紫外線吸収剤を添加していることを意味し、結果としてコストがかかってしまう。
【0008】
無機系紫外線吸収剤は、その優れた紫外線吸収効果から、紫外線吸収剤として様々なプラスチックに練り込まれているが、プラスチックと溶融混練を行うことで2次凝集が起こり、その結果、プラスチック成形品の透明性を低下させることから、できるだけ無機系紫外線吸収剤の分散状態が細かい状態で分散した、透明性を有する熱可塑性樹脂組成物を得たいのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は上記の実状を考慮したものであり、ポリエステル樹脂中に無機系紫外線吸収剤および樹脂系顔料分散剤を所定量配合させることで、紫外線吸収効果を有するだけでなく、透明性にも優れたポリエステル樹脂組成物およびそれらを用いた成形体を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するために考えられたものであり、請求項1記載の発明は、熱可塑性ポリエステル樹脂中に、紫外線吸収効果を有する無機系紫外線吸収剤をポリエステル樹脂100重量部に対し0.01〜5.00重量部、および粘度法における分子量が500〜10000である樹脂系顔料分散剤を配合してなる樹脂組成物であり、かつ、樹脂系顔料分散剤と無機系紫外線吸収剤の比R(R=樹脂系顔料分散剤添加量/無機系紫外線吸収剤添加量)で0.1≦R≦5になるように配合したポリエステル樹脂組成物において、その樹脂系顔料分散剤がポリエチレン、ポリプロピレン、あるいはエチレンープロピレン共重合体をスチレンで変性させた主鎖共重合物あるいはグラフト共重合体物であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物、としたものである。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のポリエステル樹脂組成物において、紫外線吸収効果を有する無機系紫外線吸収剤が、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄の1種あるいは二種以上の混合物であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物、としたものである。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のポリエステル樹脂組成物において、熱可塑性ポリエステルの酸成分がテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン2,6ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、サクシン酸、セバシン酸の少なくとも1種以上から選択されることを特徴とするポリエステル樹脂組成物、としたものである。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1記載のポリエステル樹脂組成物において、熱可塑性ポリエステルのジオール成分が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのグリコール類、あるいはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール類の少なくとも1種以上から選択されることを特徴とするポリエステル樹脂組成物、としたものである。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1記載のポリエステル樹脂組成物において、熱可塑性ポリエステルがオキシ酸の重合体、あるいはオキシ酸の共重合体からなることを特徴とするポリエステル樹脂組成物、としたものである。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物を少なくとも1層含むことを特徴とする成形体、としたものである。
【発明の実施の形態】
【0016】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明における熱可塑性ポリエステル樹脂は、その酸成分が、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン2,6ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、サクシン酸、セバシン酸の少なくとも1種以上、さらに、ジオール成分が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのグリコール類、あるいはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール類の少なくとも1種以上が重合されることにより構成される。また、この他の酸成分としてジフェニルスルホンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、アゼライン酸などが選択が可能であり、ジオール成分もネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、2,2−ビス(4−βーヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(βーヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどが挙げられる。
【0018】
また、さらに本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂は、オキシ酸の重合体、あるいはオキシ酸の共重合体からなるポリエステル樹脂組成物でも構わなく、そのオキシ酸として乳酸、εカプロラクトン、p−オキシ安息香酸、p−βーヒドロキシエトキシ安息香酸など様々に選択することができる。
【0019】
以上に述べた熱可塑性ポリエステル樹脂の代表的な例として、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂などの芳香族ポリエステル樹脂や、ポリエチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂などの脂肪族ポリエステル樹脂や、ポリ乳酸樹脂、ポリカプロラクトン樹脂のようなオキシ酸の重合体、あるいは 芳香族ポリエステルにポリオキシアルキレングリコールを共重合させたポリエステルエラストマーでも使用が可能である。また、これらのポリエステルは、必要に応じて単体でもブレンドでも構わない。
【0020】
本発明のポリエステル樹脂組成物における紫外線吸収効果を有する無機系紫外線吸収剤としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄が挙げられる。しかしながら、酸化鉄は可視光領域の光を吸収するため僅かに赤色に変化すること、また、酸化チタン、酸化セリウムは酸化亜鉛よりも紫外線吸収効果に劣ることから、無機系紫外線吸収剤としては酸化亜鉛が好ましい。
また、この酸化亜鉛に代表される無機系紫外線吸収剤の平均一次粒子径は、熱可塑性ポリエステル樹脂へのブレンド、紫外線吸収効果を考慮すると、10〜100nmの微粒子である方が好ましい。また、無機系紫外線吸収剤の表面は、光触媒活性の抑制や、プラスチック中への分散性を向上させるなどの目的で、必要に応じて、シリカなどの無機系紫外線吸収剤や、ステアリン酸などの有機物などで表面処理をしても構わない。
【0021】
本発明のポリエステル樹脂組成物に添加する樹脂系顔料分散剤としては、オレフィン系の共重合体が挙げられる。これらのオレフィン系共重合体としては、スチレンを共重合体の重量分率で1〜40wt%を共重合させたオレフィン系共重合体を使用することが可能である。その共重合方法も主鎖に導入したりグラフトさせたりしたものでも構わない。
【0022】
上述した樹脂系顔料分散剤の分子量は粘度法による測定値で500〜10000のものが使用される。上述した成分の樹脂系顔料分散剤はベースとなるポリエステルとの相溶性が低いため、ポリエステル樹脂のマトリックスに樹脂系顔料分散剤のドメインが海島状に分散した海島構造を形成し、マトリックスとドメインの屈折率の違いから光が散乱し不透明になる恐れがある。分子量が10000を超えるものを配合すると、樹脂系顔料分散剤のドメインが大きい状態でポリエステル樹脂中に分散し透明性を損なう恐れがある。そのような観点からすると比較的低分子量(粘度が低い)の樹脂系顔料分散剤を添加することで、ドメインの分散径を<1μmに抑えることが可能であり、透明性に大きな影響を与える問題はない。
【0023】
ポリエステル樹脂に添加する無機系紫外線吸収剤の添加量は、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し0.01〜5.00重量部が好ましい。0.01重量部よりも少ないと、ブランクと比較した時の透明性は同等程度であるが紫外線吸収効果に劣る。また、5.00重量部より多いと、紫外線吸収効果には優れるが、ブランクと比較した時の透明性が著しく低下する。そのような意味で、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対する無機系紫外線吸収剤の添加量は0.01〜5.00重量部が好ましいが、無機系紫外線吸収剤の添加量については、そのポリエステル樹脂組成物を用いて得られた成形体の厚さに応じて調整しても構わない。
【0024】
樹脂系顔料分散剤の添加量は、樹脂系顔料分散剤添加量と無機系紫外線吸収剤の添加量比(R=樹脂系顔料分散剤の添加量/無機系紫外線吸収材料の添加量)が0.1≦R≦5である方が好ましい。R<0.1の場合(樹脂系顔料分散剤が少ないと)、無機系紫外線吸収材料の分散性が低下し、透明性を損なう恐れがある。また、上述したように樹脂系顔料分散剤はベースとなるポリエステル樹脂との相溶性が低いため、R>5の場合(樹脂系顔料分散剤が多いと)でも透明性を損なう恐れがある。特に0.5≦R≦1の範囲に設定することで無機系紫外線吸収剤の分散状態も良好で透明性に優れるポリエステル樹脂組成物を得ることが可能である。
【0025】
本ポリエステル樹脂組成物での無機系紫外線吸収剤の分散状態は、μmオーダーで分散する無機系紫外線吸収剤の量が少なければ少ない方が好ましい。非常に高い透明性を要求されるのであれば、最大粒径が400nm以下である方が好ましい。しかしながら、無機系紫外線吸収剤を添加することによる透明性の低下は、無機系紫外線吸収剤による光の散乱が原因であるため、実際評価に用いるプレートの厚さ、要求される光線透過度に応じて、無機系紫外線吸収剤の添加量を抑制し、透明性を向上させることが可能である。しかしながら、そのような場合でも、ポリエステル樹脂組成物中に分散する無機系紫外線吸収剤の最大粒径が5μm以下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは500nm以下が好ましい。
【0026】
本発明のポリエステル樹脂組成物の紫外線吸収効果は、本発明のポリエステル樹脂組成物を厚さ2mmのプレートに成形した際、波長700nmの光線透過率が75〜100%、波長360nmにおける光線透過度が0〜40%、波長300nm以下の光線透過率が0〜10%、波長400〜700nmにおける光線透過度が50〜100%である。波長700nmの光線透過率が75%以下であると透明性におとる。また、波長360nmの光線透過度が40%以上、特に波長300nm以下の光線透過率が10%以上では紫外線吸収効果に劣る。
また、波長400〜700nmの光線透過度が50%以下であると透明性に劣る。しかしながら、この厚さ2mmのプレートを用いた時の評価方法は限られた方法でなく、厚さに依存なく紫外線吸収効果、透明性を維持していた方が好ましい。
【0027】
透明性の指標としては、ヘーズ測定も挙げられる。ただし、ヘーズ測定の場合は、ベースとなる樹脂が結晶性か非晶性かによっても大きく変化するが、透明性を要求されるのであれば、ヘーズは50%以下が好ましい。特にポリエチレンテレフタレート樹脂のように、透明性が良好なポリエステル樹脂の場合は、好ましくはヘーズが30%以下、さらに好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下が良い。この時の評価方法も、上述した厚さ2mmのプレートを使用するが、この方法も限られた方法でないので、厚さに依存なく紫外線吸収効果、透明性を維持していた方が好ましい。
【0028】
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法としては、上記記載の熱可塑性ポリエステル樹脂と、所定量の無機系紫外線吸収剤と樹脂系顔料分散剤とをドライブレンドにより溶融混練することによって行われる。これらのポリエステル樹脂系組成物を溶融混練行う際には、単軸押出機、2軸押出機、あるいはブラベンダータイプの混練機など、様々な混練機を使用することが可能である。
このポリエステル樹脂組成物からなる成形体を作成する方法としては、これらの混練機を用いて混練した溶融樹脂を、水冷あるいは空冷により冷却しフィルムにすることも可能であり、またストランド上に押出したサンプルをペレタイズした後に、射出成形、真空圧縮成形等の成形法で評価用プレートを作成してもよい。
また、あらかじめ高含有量の無機系紫外線吸収剤を配合するマスターバッチを上記混練機を用いて作成し、無機系紫外線吸収剤、樹脂系顔料分散剤が、上述した範囲の濃度になるようにドライブレンドしたものを、射出成形等の成形法で評価プレートを作成しても良い。
【0029】
本発明のポリエステル樹脂組成物の成形体の展開としては、上述したプレート以外にもフィルム、シート、ボトル、トレーなど様々な形態が可能である。フィルムであればインフレーションや押出ラミネートなどの手法により、シートであれば押出成形や押出ラミネートなどの手法により、ボトルであれば射出成形、(延伸)ブロー成形、射出ブロー成形などの成形法により、トレーではシート成形品を真空圧縮成形などの手法により成形することが可能である。これらの成形品以外にも、様々な成形体を得ることが可能である。これらの成形体は、必要に応じて着色剤などの添加剤を添加しても構わない。
【0030】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限られるものではない。
【0031】
<実施例1>
熱可塑性ポリエステル樹脂としてポリエチレンテレフタレート樹脂を、無機系紫外線吸収剤として平均一次粒子径が20nmの酸化亜鉛を、樹脂系顔料分散剤としてエチレンにスチレンをグラフト重合させた低分子量のポリオレフィン系共重合体のワックス(分子量2100)を使用した。この時の酸化亜鉛添加量は、樹脂100重量部に対し0.3重量部であり、その時の樹脂系顔料分散剤と酸化亜鉛の添加量比RはR=1であるこれらの混練には2軸押出機を利用した。2軸押出機により押出された溶融樹脂は、水冷後ペレタイズし、乾燥後、射出成形により、厚さ2mmで100mm×100mmの成形体(プレート)を作成した。このプレートの光線透過率は分光光度計により、透明性はヘーズメーターおよび目視によるブランクとの比較により評価した。これらの結果を表1に示す。
【0032】
<実施例2>
無機系紫外線吸収剤と樹脂系顔料分散剤の配合量を0.5重量部、R=0.8にした以外は実施例1と同じである。
【0033】
<参考例1>
無機系紫外線吸収剤と樹脂系顔料分散剤の配合比を0.5重量部、R=0.8、そして樹脂系顔料分散剤をエチレンープロピレン共重合体を無水マレイン酸で変成させた低分子量のオレフィン系共重合体(分子量1600)を利用した以外は実施例1と同じである。
【0034】
<参考例2>
無機系紫外線吸収剤と樹脂系顔料分散剤の配合比を0.8重量部、R=0.6にした以外は参考例1と同じであると同じである。ただし、オレフィン系共重合体は分子量は2700のものを使用した。
【0035】
<参考例3>
無機系紫外線吸収剤の配合量を3重量部、R=0.7にした以外は参考例1と同じである。
【0036】
<参考例4>
熱可塑ポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフタレート樹脂に1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合させたコポリエステル樹脂(表中ではコポリエステル1と記す)にした以外は参考例1と同じである。
【0037】
<参考例5>
熱可塑性ポリエステル樹脂としてポリエチレンナフタレート樹脂を用いた以外は参考例1と同じである。
【0038】
<参考例6>
熱可塑性ポリエステル樹脂としてオキシ酸の重合体であるポリ乳酸を用いた以外は以外は参考例1と同じである。
【0039】
<実施例3>
実施例1に示す構成のポリエステル樹脂組成物を射出・延伸ブロー成形により平均肉厚0.8mmの成形体(ボトル)にした以外は実施例1と同じである。
【0040】
<参考例7>
参考例1に示す構成のポリエステル樹脂組成物を用いた以外は実施例3と同じである。
【0041】
<参考例8>
参考例2に示す構成のポリエステル樹脂組成物を用いた以外は実施例3と同じである。
【0042】
<参考例9>
参考例5に示す構成のポリエステル樹脂組成物を用いた以外は実施例3と同じである。
【0043】
<比較例1>
分散剤を用いなかった以外は参考例1と同じである。
【0044】
<比較例2>
分散剤として高分子量(>10000)のエチレンープロピレン共重合体の無水マレイン酸変性物にした以外は参考例1と同じである。
【0045】
<比較例3>
分散剤として低分子量のエチレンープロピレン共重合体系ワックス(分子量4000)を用いた以外は参考例1と同じである。
【0046】
<比較例4>
酸化亜鉛の添加量を10重量部にした以外は参考例1と同じである。
【0047】
<比較例5>
樹脂系顔料分散剤と酸化亜鉛の添加量の比RをR=10にした以外は参考例1と同じである。
【0048】
【表1】
【0049】
これらの結果より以下のことが言える。
各種ポリエステル樹脂に無機系紫外線吸収剤および、樹脂系顔料分散剤としてカルボキシル基を1個以上含有するカルボン酸あるいはスチレンで変成させた、低分子量のポリオレフィン系共重合体を配合し、ポリエステル樹脂100重量部に対し、無機系紫外線吸収剤を0.01〜5重量部、樹脂系顔料分散剤添加量/無機系紫外線吸収剤添加量の比Rで0.1≦R≦5の範囲で設定することで、紫外線吸収効果のあり、透明性の優れるポリエステル樹脂組成物およびその成形体を得ることが可能である。
【0050】
また、比較例1から5にあるように、分散剤の種類、樹脂系顔料分散剤の分子量、樹脂系顔料分散剤の添加量、酸化亜鉛の添加量を調整しないと、透明性が著しく低い成形体しか得られないことが分かる。
無機系紫外線吸収剤の紫外線吸収効果は種類によって異なるため、透明性、着色の有無、紫外線吸収効果を考慮して今回は、酸化亜鉛を用いたが、もちろんそれ以外の無機系紫外線吸収剤を使用しても構わない。
【0051】
【発明の効果】
本発明のポリエステル樹脂組成物およびその成形体は、紫外線吸収効果およびその持続性、衛生性、安全性、着色、低耐熱性等の問題を持つ有機系紫外線吸収剤の代替となり、かつ樹脂本来の透明性を損なうこともない。また、ベースとなる材料または成形方法によっては、ボトルやプレートだけでなく、透明紫外線吸収フィルムやその積層体、トレーなどへの展開も可能である。
Claims (6)
- 熱可塑性ポリエステル樹脂中に、紫外線吸収効果を有する無機系紫外線吸収剤をポリエステル樹脂100重量部に対し0.01〜5.00重量部、および粘度法における分子量が500〜10000である樹脂系顔料分散剤を配合してなる樹脂組成物であり、かつ、樹脂系顔料分散剤と無機系紫外線吸収剤の比R(R=樹脂系顔料分散剤添加量/無機系紫外線吸収剤添加量)で0.1≦R≦5になるように配合したポリエステル樹脂組成物において、その樹脂系顔料分散剤がポリエチレン、ポリプロピレン、あるいはエチレンープロピレン共重合体をスチレンで変性させた主鎖共重合物あるいはグラフト共重合体物であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1記載のポリエステル樹脂組成物において、紫外線吸収効果を有する無機系紫外線吸収剤が、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄の1種あるいは二種以上の混合物であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1記載のポリエステル樹脂組成物において、熱可塑性ポリエステルの酸成分がテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン2,6ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、サクシン酸、セバシン酸の少なくとも1種以上から選択されることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1記載のポリエステル樹脂組成物において、熱可塑性ポリエステルのジオール成分が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのグリコール類、あるいはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール類の少なくとも1種以上から選択されることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1記載のポリエステル樹脂組成物において、熱可塑性ポリエステルがオキシ酸の重合体、あるいはオキシ酸の共重合体からなることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1から5のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物を少なくとも1層含むことを特徴とする成形体。
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