JP2004203999A - 熱可塑性樹脂組成物、その製造方法、及び成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物、その製造方法、及び成形体 Download PDF

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Yasuhisa Ikeda
池田泰久
Hiroyuki Kono
河野博之
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Abstract

【課題】透明な紫外線及び/又は赤外線遮蔽性熱可塑性樹脂組成物、並びに該樹脂組成物を成形してなる透明な紫外線及び/又は赤外線遮蔽性樹脂成形体を提供する。
【解決手段】金属酸化物超微粒子及び樹脂エマルジョンからなる金属酸化物超微粒子分散液を該樹脂エマルジョンと相容性の熱可塑性樹脂と混合し、乾燥後、混練して、該超微粒子を分散したことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物及び該熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属酸化物超微粒子を分散した熱可塑性樹脂組成物、特に紫外線及び/又は赤外線遮蔽性に優れた熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法、並びに該樹脂組成物から形成された成形体に関する。さらに、ポリエステル系樹脂エマルジョンからなる金属酸化物超微粒子分散液を、熱可塑性ポリエステル系樹脂中に配合した、紫外線及び/又は赤外線遮蔽性に優れた熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物よりなる飲料、食品、化粧品等の包装用フィルム並びに紫外線及び/又は赤外線によって変質しやすい飲料、食品等を包装するための包装容器として使用しうるポリエステル中空成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
太陽光には、可視光以外に紫外線や赤外線が含まれている。従来、飲料、食品、化粧品等の容器に代表される包装材料として樹脂製のものが使用されているが、紫外線照射により、樹脂の劣化、変色、機械強度の低下を伴うおそれがある。一方、樹脂成形品だけでなく、内容物、特に飲料、食品及び化粧品等は、紫外線を照射することにより変色、変質、薬剤の分解といった悪影響を受けるおそれがある。
【0003】
赤外線は、紫外線と比較すると光エネルギーは1/10以下と小さいが、熱的作用が大きく、物質に吸収されると熱を発生するため、飲料用・食品用容器及び包装等の内容物の温度上昇を招き、結果として品質劣化を引き起こすおそれがある。
【0004】
従来、透明性を保持しながら紫外線及び/又は赤外線を遮蔽する方法としては、透明な樹脂成形品表面に蒸着、スパッタリング等のドライプロセスを利用した紫外線及び/又は赤外線遮蔽材料からなる層を設ける方法(特許文献1参照)、紫外線及び/又は赤外線遮蔽材料からなる組成物を透明な樹脂成形品の表面にゾルゲル法、スプレー法等のウェットプロセスを利用して塗布する方法(特許文献2及び3参照)、並びに紫外線及び/又は赤外線遮蔽材料を樹脂成分に練り込んだ樹脂組成物を成形する方法(特許文献4参照)が行われてきた。
【0005】
しかしながら、ドライプロセスを利用した方法では、透明性はあるものの、全光線透過率が低く、かつ、金属様の反射光を呈し、美観を損なう等の問題がある上、他の方法と比べると装置が高価になる、工程が複雑になるため、品質管理が煩雑になるといった弊害もある。
【0006】
また、ウェットプロセスを利用した方法では、透明な樹脂成形品がボトル等複雑形状になると透明性を保持しつつ所望の紫外線及び/又は赤外線遮蔽性を得るためのコントロールが困難であり、実用性に問題がある。これに対し、紫外線及び/又は赤外線遮蔽材料を樹脂成分に練り込んだ樹脂組成物を成形する方法は、工程も単純であり、品質管理も比較的容易である。
【0007】
以上より、透明性がよく、紫外線及び/又は赤外線遮蔽性樹脂成形品を得るためには紫外線及び/又は赤外線遮蔽材料を樹脂成分に練り込んだ樹脂組成物を成形する方法が可能性はある。
【0008】
紫外線遮蔽材料としては、ベンゾフェノン系又はベンゾトリアゾール系等の有機系の紫外線遮蔽材料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機系の紫外線遮蔽材料がある。しかしながら、有機系の材料は、紫外線を吸収した場合及び成形体の製造時など高熱にさらされた場合、材料自体が分解するため、所要の効果が得られない、効果が持続しない等の問題を生じる。また、材料が包装体内部の飲料、食品等に移行し、異臭・異味などを呈するおそれがあるうえ、その毒性も問題となる。そこで、透明性がよく、紫外線遮蔽性の優れた樹脂成形体を得るために、無機系の紫外線遮蔽材料を使用するケースが多くなっている。
【0009】
赤外線遮蔽材料としては、フタロシアニン系、アントラキノン系等の有機系の赤外線遮蔽材料、錫ドープ酸化インジウム(以下ITOと略記する。)、アンチモンドープ酸化錫(以下ATOと略記する。)等の無機系の赤外線遮蔽材料がある。しかしながら、有機系の赤外線遮蔽材料は、吸収する赤外線波長が700〜1000nm程度であるため、特に遠赤外線領域の遮蔽性能が不十分であるという問題がある。また、有機系の紫外線遮蔽材料と同様、赤外線吸収能力の持続性及び移行性の問題もある。それに対し、無機系の赤外線遮蔽材料は、特定の波長より長波長側の赤外線を幅広く遮蔽することができ、赤外線遮蔽能力の持続性には問題がない。そこで、透明性がよく、赤外線遮蔽性の優れた樹脂成形体を得るために、無機系の赤外線遮蔽材料を使用するケースが多くなっている。
【0010】
しかしながら、無機系の紫外線遮蔽材料及び/又は無機系の赤外線遮蔽材料を使用する場合のいずれにおいても、十分な透明性を得るためには、材料の平均粒子径が0.1μm以下の超微粒子としなければならず、さらに、材料同士を凝集させてはならないが、これらの材料を樹脂中に均一に分散することは困難であった。
【0011】
酸化亜鉛等からなる紫外線吸収能を有する無機化合物と高級脂肪酸等からなる分散剤とを熱可塑性ポリエステル系樹脂に配合した樹脂組成物からなるポリエステル系樹脂容器が提案されている(特許文献5参照)。しかしながら、この場合でもヘイズが10を超えてしまい、十分な透明性が得られない。
【0012】
【特許文献1】
特開平7−187718号公報
【特許文献2】
特開平5−301312号公報
【特許文献3】
特開平4−152131号公報
【特許文献4】
特開平3−219947号公報
【特許文献5】
特開2000−62007号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、無機系の紫外線遮蔽材料及び/又は無機系の赤外線遮蔽材料を均一に分散させた透明な紫外線及び/又は赤外線遮蔽性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。さらに、本発明の目的は、この樹脂組成物を成形してなる透明な紫外線及び/又は赤外線遮蔽性に優れた熱可塑性樹脂成形体を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、上記の課題を解決するために考えられたものであり、請求項1記載の発明は、金属酸化物超微粒子及び樹脂エマルジョンからなる金属酸化物超微粒子分散液を該樹脂エマルジョンと相容性の熱可塑性樹脂と混合し、乾燥後、混練して、該超微粒子を分散したことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、としたものである。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1において、樹脂エマルジョンがポリエステル系樹脂エマルジョン、熱可塑性樹脂が熱可塑性ポリエステル系樹脂からなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、としたものである。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2において、金属酸化物超微粒子が、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、マイカ、カオリン、セリサイトからなる無機系の紫外線遮蔽材料の少なくとも1種からなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、としたものである。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3において、金属酸化物超微粒子が、ITO、ATOからなる無機系の赤外線遮蔽材料の少なくとも1種からなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、としたものである。
請求項5記載の発明は、請求項1、2、3又は4において、金属酸化物超微粒子が、平均粒径0.1μm以下であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、としたものである。
【0018】
請求項6記載の発明は、金属酸化物超微粒子とポリエステル系樹脂エマルジョンを攪拌して金属酸化物超微粒子分散液を作製し、該金属酸化物超微粒子分散液と熱可塑性ポリエステル系樹脂とからなる混合物を減圧乾燥した後混練することを特徴とする熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物の製造方法である。
【0019】
請求項7記載の発明は、金属酸化物超微粒子とポリエステル系樹脂エマルジョンを攪拌して金属酸化物超微粒子分散液を作製し、該金属酸化物超微粒子分散液を乾燥して超微粒子複合体とし、該超微粒子複合体と熱可塑性ポリエステル系樹脂とからなる混合物を混練することを特徴とする熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物の製造方法である。
【0020】
請求項8記載の発明は、請求項1、2、3、4又は5記載の熱可塑性樹脂組成物から形成された成形体、としたものである。
【0021】
【発明の実施形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明における熱可塑性樹脂組成物は、金属酸化物超微粒子及び樹脂エマルジョンからなる金属酸化物超微粒子分散液を該樹脂エマルジョンと相容性の熱可塑性樹脂と混合し、乾燥後、混練して、該超微粒子を分散したことを特徴とする。
本発明における熱可塑性樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアリレート等を挙げることができ、中でも、ポリエステルが特に好ましい。
【0022】
本発明における樹脂エマルジョンとしては、例えばポリエステル系、アクリル系、EVA系等が挙げられ、市販のものを任意に用いることができるが、ポリエステル分子鎖中にカルボキシル基等のアニオン性官能基、四級アミノ基等のカチオン性官能基又は水酸基等のノニオン性官能基のいずれか1種以上を導入した、親水基を有するポリエステル系樹脂エマルジョンが好ましい。また、当該樹脂エマルジョンは、水中に分散したエマルジョンの形をとっているが、作業環境の向上のため、当該エマルジョン中に含有する有機溶媒は20重量%以下が好ましく、10重量%以下がさらに好ましい。好ましいポリエステル系樹脂エマルジョンとしては、例えば、東洋紡(株)製のバイロナール、ユニチカ(株)製のエリーテルKZAシリーズ等が挙げられる。
【0023】
本発明における熱可塑性ポリエステル系樹脂としては、その酸成分が、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン2,6ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の少なくとも1種以上、ジオール成分が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のグリコール類、あるいはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール類の少なくとも1種以上が重合されたもの、或いはポリ乳酸、ポリカプロラクトン等のオキシ酸の重合体等が使用可能であり、また、これらの2種以上の混合物を用いることもできる。
【0024】
本発明における金属酸化物超微粒子としては、無機系の紫外線遮蔽材料、無機系の赤外線遮蔽材料等が使用可能であり、必要に応じて、混合して使用してもよい。
無機系の紫外線遮蔽材料としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、マイカ、カオリン、セリサイト等が使用可能であり、いずれか1種又は2種以上の混合物を使用してもよい。中でも酸化亜鉛は、最大吸収波長が380nm付近と広い範囲の紫外線を遮蔽しうるので、特に好ましい。また、十分な透明性を得るために、材料の平均粒子径は、0.1μm以下であることが好ましい。
【0025】
これらの材料は、公知の方法で製造することができる。例えば、金属アルコキシドを加水分解する方法、酸性の金属塩水溶液に重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の炭酸塩を添加して水酸化物を沈殿させた後、加熱分解する方法等の液相法で酸化物を製造することができる。その後平均粒径を0.1μm以下にするために、さらにビーズミル等を用いて酸化物粒子を破砕することが好ましい。或いは、熱アークプラズマ法等の気相法で製造することもできる。この場合、条件を選ぶことによって酸化物の平均粒径を0.1μm以下とすることが可能なので、好ましい方法である。
【0026】
無機系の赤外線遮蔽材料としては、例えばITO、ATO等が使用可能であり、いずれか1種又は2種以上の混合物を使用してもよい。中でもITOは、最小吸収波長が800nm付近と広い範囲の赤外線を遮蔽しうるので、特に好ましい。また、十分な透明性を得るために、材料の平均粒子径は、0.1μm以下であることが好ましい。
【0027】
これらの材料は、公知の方法で製造することができる。例えば、ITOであれば、インジウム塩と錫塩を含む水溶液に水酸化ナトリウム等のアルカリを添加して水酸化物を共沈させ、不要なイオンを除去した後、加熱する方法、インジウム及び錫の水酸化物又は酸化物をそれぞれ調製した後混合して加熱する方法等の液相法で酸化物を製造することができる。その後平均粒径を0.1μm以下にするために、さらにビーズミル等を用いて酸化物粒子を破砕することが好ましい。或いは、熱アークプラズマ法等の気相法で製造することもできる。この場合、条件を選ぶことによって酸化物の平均粒径を0.1μm以下とすることが可能なので、好ましい方法である。さらにまた、得られたITO超微粒子を水素、窒素等の還元性雰囲気中で焼成すると、最小遮蔽波長を低波長側にシフトすることができるので、さらに好ましい。なお、ITO中の錫ドープ量は、モル比でSn/(Sn+In)が0.05〜0.15となっていることが好ましい。
【0028】
本発明における熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物は、必要に応じ金属酸化物超微粒子分散液に分散剤を配合してもよい。分散剤としては、市販のものが使用可能であるが、例えば、チタネート系カップリング剤;特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレン高級アルコールエステル、ソルビタン高級カルボン酸エステル等のノニオン系界面活性剤;高級アルキルアミン塩等のアニオン系界面活性剤;高級アルキルベタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。
【0029】
分散剤の配合量は、該金属酸化物超微粒子分散液中の金属酸化物超微粒子の量に対して、0〜30重量%となるようにするのが好ましく、0〜20重量%の範囲とするのがさらに好ましい。分散剤の配合量が該金属酸化物超微粒子分散液中の金属酸化物超微粒子の30重量%を超えてしまうと、熱可塑性ポリエステル系組成物から形成された成形体から分散剤がブリードアウトしやすく、包装材料として使用する場合に不都合を生じるおそれがある。
【0030】
本発明における熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物は、飲料、食品、化粧品等の容器として使用するので、成形体中から内容物に移行して問題を生じる添加剤は使用しない。ただし、問題とならない程度であれば、市販されている種々の添加剤を含有していてもよい。
【0031】
本発明における熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物は、例えば、金属酸化物超微粒子とポリエステル系樹脂エマルジョンと水からなる混合物を、ビーズミル等で攪拌して得られた金属酸化物超微粒子分散液を、熱可塑性ポリエステル系樹脂に所定量配合し、単軸押出機、2軸押出機等を用いて減圧乾燥した後、溶融混練する工程により製造される。こうして得られた熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物は、例えば、一旦水冷後ペレタイザにてペレットとし、その後射出成形機、ブロー成形機等の成形機で成形体を製造することができる。また、直接熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物を成形機にフィードして成形体を製造してもよい。
【0032】
また、該金属酸化物超微粒子分散液をスプレードライ、凍結乾燥、真空乾燥等で乾燥し、得られた超微粒子複合体と熱可塑性ポリエステル系樹脂とを所定量配合し、単軸押出機、2軸押出機等を用いてドライブレンドにより溶融混練する工程により熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物を製造することができる。さらに、溶融混練した熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物をペレタイザ又は成形機にフィードしてインラインでペレット又は成形品を製造することもできる。
【0033】
なお、混練機としては、単軸押出機、2軸押出機の他に、バンバリーミキサ、ブラベンダータイプの混練機等、様々な混練機を使用することができる。
【0034】
また、該金属酸化物超微粒子分散液又は該超微粒子複合体と熱可塑性ポリエステル系樹脂ペレットとをリボンブレンダー等の混合機にて混和して、該ペレットの表面に金属酸化物超微粒子を塗した超微粒子被覆ペレットとし、その後射出成形機、ブロー成形機等の成形機で成形体を製造することができる。
【0035】
成形体を作る方法としては、例えば、フィルムやシートを作る場合、一般的な成形法、例えば押出機にて樹脂を溶融せしめ、ダイスを通してシート又はフィルム状にし、冷却ドラム上にキャスティングして製造することができる。
【0036】
トレー、カップ等を作る場合、上記にて得られたフィルム・シートを、例えば、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、メンブレン成形等によって製造することができる。
【0037】
袋状の容器を作る場合、上記にて得られたフィルムやシートを、例えば1軸又は2軸に延伸して熱収縮性フィルムとするか、又は延伸後、熱固定して配向性フィルムとし、端部を熱融着、接着剤等で接着して製造することもできる。
【0038】
ボトルのような中空成形体の場合、例えば、射出ブロー法、配向ブロー法、押出ブロー法等によって製造することができる。
【0039】
また、成形体は単層に限定されず、2層以上の複層としてもよい。
【0040】
本発明の熱可塑性樹脂組成物から形成してなる成形体は、透明性を要求される包装材料に好適に用いられる。透明性は金属酸化物超微粒子の添加量と成形体の厚さにより変わってくるが、例えば金属酸化物超微粒子の添加量が0.2重量部、成形体の厚さが0.5mmの場合、ヘイズは5以下、550nmの波長の可視光線に対する光線透過率は80%以上である。
【0041】
本発明の熱可塑性樹脂組成物から形成してなる成形体は、金属酸化物超微粒子として紫外線遮蔽材料を用いることにより、紫外線遮蔽性に優れた成形体とすることができる。例えば紫外線遮蔽材料の添加量が0.2重量部、成形体の厚さが0.5mmの場合、370nmの波長の紫外線に対する光線透過率は5%以下である。
【0042】
本発明の熱可塑性樹脂組成物から形成してなる成形体は、金属酸化物超微粒子として赤外線遮蔽材料を用いることにより、赤外線遮蔽性に優れた成形体とすることができる。例えば赤外線遮蔽材料の添加量が0.2重量部、成形体の厚さが0.5mmの場合、1500nmの波長の赤外線に対する光線透過率は25%以下である。
【0043】
本発明の成形体は、熱可塑性ポリエステル等を素材とする従来の成形体と比較して透明性を維持して紫外線及び/又は赤外線遮蔽性が改良されており、該成形体を用いた包装材料は紫外線及び/又は赤外線によって変質し易い飲料、食品、化粧品等の包装に適している。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0045】
[実施例1]
ポリエステル系樹脂エマルジョン〔商品名:バイロナールMD−1200、樹脂含有量34重量%、東洋紡(株)製〕100重量部に、平均粒子径0.02μmの超微粒子酸化亜鉛100重量部と、分散剤〔ポリオキシエチレン高級アルコールエステル〕10重量部と、イオン交換水125重量部を加え、ビーズミルでよく攪拌し、金属酸化物超微粒子分散液とした。
上記にて作製した金属酸化物超微粒子分散液を、スプレードライにより乾燥して、超微粒子複合体を得た。次にポリエチレンテレフタレート100重量部に上記超微粒子複合体を金属酸化物超微粒子の重量に換算して0.2重量部となるよう加え、同方向2軸押出機にて混練し、吐出した溶融ストランドを水中で急冷し、直径及び長さ約3mmにカットしてペレットとした。さらにこのペレットを真空乾燥機にて150℃で5時間乾燥した。
上記ペレットを290℃に加熱して溶融させ、Tダイより30℃の冷却ロール上に押出し、厚さ0.55mm、幅650mmのシートを得た。さらにこのシートを、プレス成形して厚さ500μmのシートを得た。
【0046】
[実施例2]
実施例1にて作製した金属酸化物超微粒子分散液をペレット状のポリエチレンテレフタレート100重量部に金属酸化物超微粒子の重量に換算して0.2重量部となるよう加え、リボンブレンダーを用いて金属酸化物超微粒子被覆ペレットを作製した。さらにこのペレットを真空乾燥機にて150℃で5時間乾燥した。
上記ペレットを用い、実施例1と同様にしてシートを得た。
【0047】
[比較例1]
ポリエチレンテレフタレート100重量部に平均粒子径0.02μmの超微粒子酸化亜鉛0.2重量部を加え、同方向2軸押出機にて混練し、吐出した溶融ストランドを水中で急冷し、直径及び長さ約3mmにカットしてペレットとした。さらにこのペレットを真空乾燥機にて150℃で5時間乾燥した。
上記ペレットを用い、実施例1と同様にしてシートを得た。
【0048】
[実施例3]
ポリエステル系樹脂エマルジョン〔商品名:バイロナールMD−1200、樹脂含有量34重量%、東洋紡(株)製〕100重量部に、平均粒子径0.02μmの超微粒子酸化亜鉛50重量部と、平均粒子径0.02μmの超微粒子ITO50重量部と、分散剤〔ポリオキシエチレン高級アルコールエステル〕10重量部と、イオン交換水125重量部を加え、ビーズミルでよく攪拌し、金属酸化物超微粒子分散液とした。
上記にて作製した金属酸化物超微粒子分散液を、スプレードライにより乾燥して、超微粒子複合体を得た。次にポリエチレンテレフタレート100重量部に上記超微粒子複合体を金属酸化物超微粒子の重量に換算して0.2重量部となるよう加え、同方向2軸押出機にて混練し、吐出した溶融ストランドを水中で急冷し、直径及び長さ約3mmにカットしてペレットとした。さらにこのペレットを真空乾燥機にて150℃で5時間乾燥した。
上記ペレットを用い、実施例1と同様にしてシートを得た。
【0049】
[実施例4]
ポリエステル系樹脂エマルジョン〔商品名:エリーテルKZA−1722、樹脂含有量30重量%、ユニチカ(株)製〕100重量部に、平均粒子径0.02μmの超微粒子酸化亜鉛100重量部と、分散剤〔ポリオキシエチレン高級アルコールエステル〕10重量部と、イオン交換水125重量部を加え、ビーズミルでよく攪拌し、金属酸化物超微粒子分散液とした。
上記にて製造した金属酸化物超微粒子分散液をスプレードライにより乾燥して、超微粒子複合体を得た。次にポリエチレンテレフタレート100重量部に上記超微粒子複合体を金属酸化物超微粒子の重量に換算して0.2重量部となるよう加え、同方向2軸押出機にて混練し、吐出した溶融ストランドを水中で急冷し、直径及び長さ約3mmにカットしてペレットとした。さらにこのペレットを真空乾燥機にて150℃で5時間乾燥した。
上記ペレットを射出成形機を用い、中空円筒状の有底プリフォームとし、これを配向ブロー機にて延伸配向させ、胴部平均肉厚0.56mm、高さ200mm、容量500mlのボトルに成形した。
【0050】
[実施例5]
ポリエステル系樹脂エマルジョン〔商品名:エリーテルKZA−5023、樹脂含有量30重量%、ユニチカ(株)製〕100重量部に、平均粒子径0.02μmの超微粒子酸化亜鉛100重量部と、分散剤〔ポリオキシエチレン高級アルコールエステル〕10重量部と、イオン交換水125重量部を加え、ビーズミルでよく攪拌し、金属酸化物超微粒子分散液とした。
上記にて製造した金属酸化物超微粒子分散液をスプレードライにより乾燥して、超微粒子複合体を得た。次にポリエチレンテレフタレート100重量部に上記超微粒子複合体を金属酸化物超微粒子の重量に換算して0.2重量部となるよう加え、同方向2軸押出機にて混練し、吐出した溶融ストランドを水中で急冷し、直径及び長さ約3mmにカットしてペレットとした。さらにこのペレットを真空乾燥機にて150℃で5時間乾燥した。
上記ペレットを用い、実施例1と同様にしてシートを得た。
【0051】
[比較例2]
ポリエチレンテレフタレートのペレットを290℃に加熱して溶融させ、Tダイより30℃の冷却ロール上に押出し、厚さ0.55mm、幅650mmのシートを得た。さらにこのシートを、プレス成形して厚さ500μmのシートを得た。
【0052】
実施例1〜3、5及び比較例1、2で得られたシート並びに実施例5で得られたボトルの胴部分について、分光光度計により光線透過率を、ヘイズメータで透明性を評価した。結果は表1に示す。
【0053】
【表1】
Figure 2004203999
【0054】
【発明の効果】
以上のように、本発明の熱可塑性樹脂組成物及び該熱可塑性樹脂組成物を用い、通常の方法よって製造された成形体は、透明性に優れ、熱可塑性ポリエステル系樹脂等を素材とする従来の成形体と比較して紫外線及び/又は赤外線遮蔽性が改良されており、該成形体を用いた包装材料は紫外線及び/又は赤外線によって変質し易い飲料、食品、化粧品等の包装に適している。

Claims (8)

  1. 金属酸化物超微粒子及び樹脂エマルジョンからなる金属酸化物超微粒子分散液を該樹脂エマルジョンと相容性の熱可塑性樹脂と混合し、乾燥後、混練して、該超微粒子を分散したことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 樹脂エマルジョンがポリエステル系樹脂エマルジョン、熱可塑性樹脂が熱可塑性ポリエステル系樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 金属酸化物超微粒子が、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、マイカ、カオリン、セリサイトからなる無機系の紫外線遮蔽材料の少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 金属酸化物超微粒子が、錫ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫からなる無機系の赤外線遮蔽材料の少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物。
  5. 金属酸化物超微粒子が、平均粒径0.1μm以下であることを特徴とする請求項1〜3に記載の熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物。
  6. 金属酸化物超微粒子とポリエステル系樹脂エマルジョンを攪拌して金属酸化物超微粒子分散液を作製し、該金属酸化物超微粒子分散液と熱可塑性ポリエステル系樹脂とからなる混合物を減圧乾燥した後混練することを特徴とする熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物の製造方法。
  7. 金属酸化物超微粒子とポリエステル系樹脂エマルジョンを攪拌して金属酸化物超微粒子分散液を作製し、該金属酸化物超微粒子分散液を乾燥して超微粒子複合体とし、該超微粒子複合体と熱可塑性ポリエステル系樹脂とからなる混合物を混練することを特徴とする熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物の製造方法。
  8. 請求項1〜5に記載の熱可塑性樹脂組成物から形成された成形体。
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