JP7005413B2 - 射出成形機のエジェクタロッド調整方法及び射出成形機 - Google Patents

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Description

本開示は、射出成形機のエジェクタロッド調整方法及び射出成形機に関する。
射出成形機では、可動金型が取り付けられる可動プラテンの貫通孔にエジェクタロッドが進退自在に配設される。エジェクタロッドがエジェクタプレートを押して、エジェクタプレートに固定されたエジェクタピンの先端が可動金型の金型面から所定量だけ突出することによって、型開された状態で可動金型の金型面に付着している成形品が取り出される(例えば特許文献1参照)。
特開2004-237640号公報
エジェクタロッドは、エジェクタロッドを移動させるエジェクタ装置に片持ち状態で固定されるため、エジェクタロッドの先端面が傾斜する傾向がある。先端面が傾斜した状態でエジェクタロッドがエジェクタプレートを押すと、金型に対してエジェクタロッドが片当たりするので、成形品の突き出し力にばらつきが生じ、製品の不良が発生する虞がある。特に圧縮成形の場合には、突き出し力のばらつきは製品不良への影響が強い。
本開示は、エジェクタロッドの片当たりを防止でき、成形品の突き出し力を均一化できる射出成形機のエジェクタロッド調整方法及び射出成形機を提供することを目的とする。
本発明の実施形態の一観点に係る射出成形機のエジェクタロッド調整方法は、金型が取り付けられるプラテンと、前記プラテンの貫通孔に進退自在に配設され、前記金型から成形品を突き出すエジェクタロッドと、を備える射出成形機において、その先端面が傾斜している前記エジェクタロッドについて、前記先端面前記プラテンの金型取付面とが平行となるように、前記先端面の方向を調整する
本開示によれば、エジェクタロッドの片当たりを防止でき、成形品の突き出し力を均一化できる射出成形機のエジェクタロッド調整方法及び射出成形機を提供することができる。
一実施形態による射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。 一実施形態による射出成形機の型締時の状態を示す図である。 本実施形態に係るエジェクタロッドの斜視図である。 本実施形態のエジェクタロッド調整方法によるエジェクタロッドの先端面の方向調整手順の概略を示す図である。 変形例に係るエジェクタロッドを示す斜視図である。 変形例に係るエジェクタロッドを用いたエジェクタロッドの先端面の方向調整手順の概略を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
まず図1及び図2を参照して、本実施形態に係る射出成形機10の全体の概略構成について説明する。
(射出成形機)
図1は、一実施形態による射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。図2は、一実施形態による射出成形機の型締時の状態を示す図である。図1~図2において、X方向、Y方向およびZ方向は互いに垂直な方向である。X方向およびY方向は水平方向を表し、Z方向は鉛直方向を表す。型締装置100が横型である場合、X方向は型開閉方向であり、Y方向は射出成形機10の幅方向である。図1~図2に示すように、射出成形機10は、型締装置100と、エジェクタ装置200と、射出装置300と、移動装置400と、制御装置700と、フレーム900とを有する。以下、射出成形機10の各構成要素について説明する。
(型締装置)
型締装置100の説明では、型閉時の可動プラテン120の移動方向(図1および図2中右方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(図1および図2中左方向)を後方として説明する。
型締装置100は、金型装置800の型閉、型締、型開を行う。型締装置100は例えば横型であって、型開閉方向が水平方向である。型締装置100は、固定プラテン110、可動プラテン120、トグルサポート130、タイバー140、トグル機構150、型締モータ160、運動変換機構170、および型厚調整機構180を有する。
固定プラテン110は、フレーム900に対し固定される。固定プラテン110における可動プラテン120との対向面に固定金型810が取付けられる。
可動プラテン120は、フレーム900に対し型開閉方向に移動自在とされる。フレーム900上には、可動プラテン120を案内するガイド101が敷設される。可動プラテン120における固定プラテン110との対向面に可動金型820が取付けられる。
固定プラテン110に対し可動プラテン120を進退させることにより、型閉、型締、型開が行われる。固定金型810と可動金型820とで金型装置800が構成される。
トグルサポート130は、固定プラテン110と間隔をおいて連結され、フレーム900上に型開閉方向に移動自在に載置される。尚、トグルサポート130は、フレーム900上に敷設されるガイドに沿って移動自在とされてもよい。トグルサポート130のガイドは、可動プラテン120のガイド101と共通のものでもよい。
尚、本実施形態では、固定プラテン110がフレーム900に対し固定され、トグルサポート130がフレーム900に対し型開閉方向に移動自在とされるが、トグルサポート130がフレーム900に対し固定され、固定プラテン110がフレーム900に対し型開閉方向に移動自在とされてもよい。
タイバー140は、固定プラテン110とトグルサポート130とを型開閉方向に間隔Lをおいて連結する。タイバー140は、複数本(例えば4本)用いられてよい。各タイバー140は、型開閉方向に平行とされ、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー140には、タイバー140の歪を検出するタイバー歪検出器141が設けられてよい。タイバー歪検出器141は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。タイバー歪検出器141の検出結果は、型締力の検出などに用いられる。
尚、本実施形態では、型締力を検出する型締力検出器として、タイバー歪検出器141が用いられるが、本発明はこれに限定されない。型締力検出器は、歪ゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などでもよく、その取付け位置もタイバー140に限定されない。
トグル機構150は、可動プラテン120とトグルサポート130との間に配設され、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。トグル機構150は、クロスヘッド151、一対のリンク群などで構成される。各リンク群は、ピンなどで屈伸自在に連結される第1リンク152および第2リンク153を有する。第1リンク152は可動プラテン120に対しピンなどで揺動自在に取付けられ、第2リンク153はトグルサポート130に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153は、第3リンク154を介してクロスヘッド151に取付けられる。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させると、第1リンク152および第2リンク153が屈伸し、トグルサポート130に対し可動プラテン120が進退する。
尚、トグル機構150の構成は、図1および図2に示す構成に限定されない。例えば図1および図2では、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク154の一端部が、第1リンク152と第2リンク153との節点に結合されてもよい。
型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。型締モータ160は、トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させることにより、第1リンク152および第2リンク153を屈伸させ、トグルサポート130に対し可動プラテン120を進退させる。型締モータ160は、運動変換機構170に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構170に連結されてもよい。
運動変換機構170は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換する。運動変換機構170は、ねじ軸171と、ねじ軸171に螺合するねじナット172とを含む。ねじ軸171と、ねじナット172との間には、ボールまたはローラが介在してよい。
型締装置100は、制御装置700による制御下で、型閉工程、型締工程、型開工程などを行う。
型閉工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型820を固定金型810にタッチさせる。クロスヘッド151の位置や速度は、例えば型締モータエンコーダ161などを用いて検出する。型締モータエンコーダ161は、型締モータ160の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、クロスヘッド151の位置を検出するクロスヘッド位置検出器、およびクロスヘッド151の速度を検出するクロスヘッド速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。また、可動プラテン120の位置を検出する可動プラテン位置検出器、および可動プラテン120の速度を検出する可動プラテン速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。
型締工程では、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。型締時に可動金型820と固定金型810との間にキャビティ空間801(図2参照)が形成され、射出装置300がキャビティ空間801に液状の成形材料を充填する。充填された成形材料が固化されることで、成形品が得られる。キャビティ空間801の数は複数でもよく、その場合、複数の成形品が同時に得られる。
型開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定速度で型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型820を固定金型810から離間させる。その後、エジェクタ装置200が可動金型820から成形品を突き出す。
型閉工程および型締工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、型閉工程および型締工程におけるクロスヘッド151の速度や位置(型閉開始位置、速度切替位置、型閉完了位置、および型締位置を含む)、型締力は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型閉開始位置、速度切替位置、型閉完了位置、および型締位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、速度が設定される。速度切替位置は、1つでもよいし、複数でもよい。速度切替位置は、設定されなくてもよい。型締位置と型締力とは、いずれか一方のみが設定されてもよい。
型開工程における設定条件も同様に設定される。例えば、型開工程におけるクロスヘッド151の速度や位置(型開開始位置、速度切替位置、および型開完了位置を含む)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型開開始位置、速度切替位置、および型開完了位置は、前側から後方に向けて、この順で並び、速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、速度が設定される。速度切替位置は、1つでもよいし、複数でもよい。速度切替位置は、設定されなくてもよい。型開開始位置と型締位置とは同じ位置であってよい。また、型開完了位置と型閉開始位置とは同じ位置であってよい。
尚、クロスヘッド151の速度や位置などの代わりに、可動プラテン120の速度や位置などが設定されてもよい。また、クロスヘッドの位置(例えば型締位置)や可動プラテンの位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
ところで、トグル機構150は、型締モータ160の駆動力を増幅して可動プラテン120に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク152と第2リンク153とのなす角θ(以下、「リンク角度θ」とも呼ぶ)に応じて変化する。リンク角度θは、クロスヘッド151の位置から求められる。リンク角度θが180°のとき、トグル倍率が最大になる。
金型装置800の交換や金型装置800の温度変化などにより金型装置800の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば可動金型820が固定金型810にタッチする型タッチの時点でトグル機構150のリンク角度θが所定の角度になるように、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
型締装置100は、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整することで、型厚調整を行う型厚調整機構180を有する。型厚調整機構180は、タイバー140の後端部に形成されるねじ軸181と、トグルサポート130に回転自在に保持されるねじナット182と、ねじ軸181に螺合するねじナット182を回転させる型厚調整モータ183とを有する。
ねじ軸181およびねじナット182は、タイバー140ごとに設けられる。型厚調整モータ183の回転は、回転伝達部185を介して複数のねじナット182に伝達されてよい。複数のねじナット182を同期して回転できる。尚、回転伝達部185の伝達経路を変更することで、複数のねじナット182を個別に回転することも可能である。
回転伝達部185は、例えば歯車などで構成される。この場合、各ねじナット182の外周に受動歯車が形成され、型厚調整モータ183の出力軸には駆動歯車が取付けられ、複数の受動歯車および駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート130の中央部に回転自在に保持される。尚、回転伝達部185は、歯車の代わりに、ベルトやプーリなどで構成されてもよい。
型厚調整機構180の動作は、制御装置700によって制御される。制御装置700は、型厚調整モータ183を駆動して、ねじナット182を回転させることで、ねじナット182を回転自在に保持するトグルサポート130の固定プラテン110に対する位置を調整し、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
間隔Lは、型厚調整モータエンコーダ184を用いて検出する。型厚調整モータエンコーダ184は、型厚調整モータ183の回転量や回転方向を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。型厚調整モータエンコーダ184の検出結果は、トグルサポート130の位置や間隔Lの監視や制御に用いられる。尚、トグルサポート130の位置を検出するトグルサポート位置検出器、および間隔Lを検出する間隔検出器は、型厚調整モータエンコーダ184に限定されず、一般的なものを使用できる。
型厚調整機構180は、互いに螺合するねじ軸181とねじナット182の一方を回転させることで、間隔Lを調整する。複数の型厚調整機構180が用いられてもよく、複数の型厚調整モータ183が用いられてもよい。
尚、本実施形態の型締装置100は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が上下方向である竪型でもよい。
尚、本実施形態の型締装置100は、駆動源として、型締モータ160を有するが、型締モータ160の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置100は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
(エジェクタ装置)
エジェクタ装置200の説明では、型締装置100の説明と同様に、型閉時の可動プラテン120の移動方向(図1および図2中右方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(図1および図2中左方向)を後方として説明する。
エジェクタ装置200は、金型装置800から成形品を突き出す。エジェクタ装置200は、エジェクタモータ210、運動変換機構220、およびエジェクタロッド230などを有する。
エジェクタモータ210は、可動プラテン120に取付けられる。エジェクタモータ210は、運動変換機構220に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構220に連結されてもよい。
運動変換機構220は、エジェクタモータ210の回転運動をエジェクタロッド230の直線運動に変換する。運動変換機構220は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
エジェクタロッド230は、可動プラテン120の貫通穴において進退自在とされる。エジェクタロッド230の前端部は、可動金型820の内部に進退自在に配設される可動部材830のエジェクタプレート831と接触する。エジェクタロッド230の前端部は、可動部材830と連結されていても、連結されていなくてもよい。また可動部材830のエジェクタプレート831には、可動金型820から成形品を突出可能なエジェクタピン832が設けられる。
エジェクタ装置200は、制御装置700による制御下で、突き出し工程を行う。
突き出し工程では、エジェクタモータ210を駆動してエジェクタロッド230を設定速度で待機位置から突き出し位置まで前進させることにより、エジェクタロッド230がエジェクタプレート831を押して可動部材830を前進させ、可動部材830のエジェクタピン832が可動金型820から成形品を突き出す。その後、エジェクタモータ210を駆動してエジェクタロッド230を設定速度で後退させ、可動部材830を元の待機位置まで後退させる。エジェクタロッド230の位置や速度は、例えばエジェクタモータエンコーダ211を用いて検出する。エジェクタモータエンコーダ211は、エジェクタモータ210の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、エジェクタロッド230の位置を検出するエジェクタロッド位置検出器、およびエジェクタロッド230の速度を検出するエジェクタロッド速度検出器は、エジェクタモータエンコーダ211に限定されず、一般的なものを使用できる。
(射出装置)
射出装置300の説明では、型締装置100の説明やエジェクタ装置200の説明とは異なり、充填時のスクリュ330の移動方向(図1および図2中左方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(図1および図2中右方向)を後方として説明する。
射出装置300は、フレーム900に対し進退自在なスライドベース301に設置され、金型装置800に対し進退自在とされる。射出装置300は、金型装置800にタッチし、金型装置800内のキャビティ空間801に成形材料を充填する。射出装置300は、例えば、シリンダ310、ノズル320、スクリュ330、計量モータ340、射出モータ350、圧力検出器360などを有する。
シリンダ310は、供給口311から内部に供給された成形材料を加熱する。成形材料は、例えば樹脂などを含む。成形材料は、例えばペレット状に形成され、固体の状態で供給口311に供給される。供給口311はシリンダ310の後部に形成される。シリンダ310の後部の外周には、水冷シリンダなどの冷却器312が設けられる。冷却器312よりも前方において、シリンダ310の外周には、バンドヒータなどの加熱器313と温度検出器314とが設けられる。
シリンダ310は、シリンダ310の軸方向(図1および図2中左右方向)に複数のゾーンに区分される。各ゾーンに加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ゾーン毎に、温度検出器314の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
ノズル320は、シリンダ310の前端部に設けられ、金型装置800に対し押し付けられる。ノズル320の外周には、加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ノズル320の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
スクリュ330は、シリンダ310内において回転自在に且つ進退自在に配設される。スクリュ330を回転させると、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ310からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。その後、スクリュ330を前進させると、スクリュ330前方に蓄積された液状の成形材料がノズル320から射出され、金型装置800内に充填される。
スクリュ330の前部には、スクリュ330を前方に押すときにスクリュ330の前方から後方に向かう成形材料の逆流を防止する逆流防止弁として、逆流防止リング331が進退自在に取付けられる。
逆流防止リング331は、スクリュ330を前進させるときに、スクリュ330前方の成形材料の圧力によって後方に押され、成形材料の流路を塞ぐ閉塞位置(図2参照)までスクリュ330に対し相対的に後退する。これにより、スクリュ330前方に蓄積された成形材料が後方に逆流するのを防止する。
一方、逆流防止リング331は、スクリュ330を回転させるときに、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って前方に送られる成形材料の圧力によって前方に押され、成形材料の流路を開放する開放位置(図1参照)までスクリュ330に対し相対的に前進する。これにより、スクリュ330の前方に成形材料が送られる。
逆流防止リング331は、スクリュ330と共に回転する共回りタイプと、スクリュ330と共に回転しない非共回りタイプのいずれでもよい。
尚、射出装置300は、スクリュ330に対し逆流防止リング331を開放位置と閉塞位置との間で進退させる駆動源を有していてもよい。
計量モータ340は、スクリュ330を回転させる。スクリュ330を回転させる駆動源は、計量モータ340には限定されず、例えば油圧ポンプなどでもよい。
射出モータ350は、スクリュ330を進退させる。射出モータ350とスクリュ330との間には、射出モータ350の回転運動をスクリュ330の直線運動に変換する運動変換機構などが設けられる。運動変換機構は、例えばねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを有する。ねじ軸とねじナットの間には、ボールやローラなどが設けられてよい。スクリュ330を進退させる駆動源は、射出モータ350には限定されず、例えば油圧シリンダなどでもよい。
圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される圧力を検出する。圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間の圧力の伝達経路に設けられ、圧力検出器360に作用する圧力を検出する。
圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。圧力検出器360の検出結果は、スクリュ330が成形材料から受ける圧力、スクリュ330に対する背圧、スクリュ330から成形材料に作用する圧力などの制御や監視に用いられる。
射出装置300は、制御装置700による制御下で、計量工程、充填工程および保圧工程などを行う。
計量工程では、計量モータ340を駆動してスクリュ330を設定回転数で回転させ、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。スクリュ330の回転数は、例えば計量モータエンコーダ341を用いて検出する。計量モータエンコーダ341は、計量モータ340の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、スクリュ330の回転数を検出するスクリュ回転数検出器は、計量モータエンコーダ341に限定されず、一般的なものを使用できる。
計量工程では、スクリュ330の急激な後退を制限すべく、射出モータ350を駆動してスクリュ330に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ330に対する背圧は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330が計量完了位置まで後退し、スクリュ330の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
充填工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を設定速度で前進させ、スクリュ330の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置800内のキャビティ空間801に充填させる。スクリュ330の位置や速度は、例えば射出モータエンコーダ351を用いて検出する。射出モータエンコーダ351は、射出モータ350の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切替(所謂、V/P切替)が行われる。V/P切替が行われる位置をV/P切替位置とも呼ぶ。スクリュ330の設定速度は、スクリュ330の位置や時間などに応じて変更されてもよい。
尚、充填工程においてスクリュ330の位置が設定位置に達した後、その設定位置にスクリュ330を一時停止させ、その後にV/P切替が行われてもよい。V/P切替の直前において、スクリュ330の停止の代わりに、スクリュ330の微速前進または微速後退が行われてもよい。また、スクリュ330の位置を検出するスクリュ位置検出器、およびスクリュ330の速度を検出するスクリュ速度検出器は、射出モータエンコーダ351に限定されず、一般的なものを使用できる。
保圧工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を前方に押し、スクリュ330の前端部における成形材料の圧力(以下、「保持圧力」とも呼ぶ。)を設定圧に保ち、シリンダ310内に残る成形材料を金型装置800に向けて押す。金型装置800内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充できる。保持圧力は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。保持圧力の設定値は、保圧工程の開始からの経過時間などに応じて変更されてもよい。
保圧工程では金型装置800内のキャビティ空間801の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時にはキャビティ空間801の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、キャビティ空間801からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、キャビティ空間801内の成形材料の固化が行われる。成形サイクル時間の短縮のため、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
尚、本実施形態の射出装置300は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式などでもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内にはスクリュが回転自在にまたは回転自在に且つ進退自在に配設され、射出シリンダ内にはプランジャが進退自在に配設される。
また、本実施形態の射出装置300は、シリンダ310の軸方向が水平方向である横型であるが、シリンダ310の軸方向が上下方向である竪型であってもよい。竪型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、竪型でも横型でもよい。同様に、横型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、横型でも竪型でもよい。
(移動装置)
移動装置400の説明では、射出装置300の説明と同様に、充填時のスクリュ330の移動方向(図1および図2中左方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(図1および図2中右方向)を後方として説明する。
移動装置400は、金型装置800に対し射出装置300を進退させる。また、移動装置400は、金型装置800に対しノズル320を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。移動装置400は、液圧ポンプ410、駆動源としてのモータ420、液圧アクチュエータとしての液圧シリンダ430などを含む。
液圧ポンプ410は、第1ポート411と、第2ポート412とを有する。液圧ポンプ410は、両方向回転可能なポンプであり、モータ420の回転方向を切り替えることにより、第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液(例えば油)を吸入し他方から吐出して液圧を発生させる。尚、液圧ポンプ410はタンクから作動液を吸引して第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液を吐出することもできる。
モータ420は、液圧ポンプ410を作動させる。モータ420は、制御装置700からの制御信号に応じた回転方向および回転トルクで液圧ポンプ410を駆動する。モータ420は、電動モータであってよく、電動サーボモータであってよい。
液圧シリンダ430は、シリンダ本体431、ピストン432、およびピストンロッド433を有する。シリンダ本体431は、射出装置300に対して固定される。ピストン432は、シリンダ本体431の内部を、第1室としての前室435と、第2室としての後室436とに区画する。ピストンロッド433は、固定プラテン110に対して固定される。
液圧シリンダ430の前室435は、第1流路401を介して、液圧ポンプ410の第1ポート411と接続される。第1ポート411から吐出された作動液が第1流路401を介して前室435に供給されることで、射出装置300が前方に押される。射出装置300が前進され、ノズル320が固定金型810に押し付けられる。前室435は、液圧ポンプ410から供給される作動液の圧力によってノズル320のノズルタッチ圧力を生じさせる圧力室として機能する。
一方、液圧シリンダ430の後室436は、第2流路402を介して液圧ポンプ410の第2ポート412と接続される。第2ポート412から吐出された作動液が第2流路402を介して液圧シリンダ430の後室436に供給されることで、射出装置300が後方に押される。射出装置300が後退され、ノズル320が固定金型810から離間される。
尚、本実施形態では移動装置400は液圧シリンダ430を含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、液圧シリンダ430の代わりに、電動モータと、その電動モータの回転運動を射出装置300の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
(制御装置)
制御装置700は、例えばコンピュータで構成され、図1~図2に示すようにCPU(Central Processing Unit)701と、メモリなどの記憶媒体702と、入力インターフェース703と、出力インターフェース704とを有する。制御装置700は、記憶媒体702に記憶されたプログラムをCPU701に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置700は、入力インターフェース703で外部からの信号を受信し、出力インターフェース704で外部に信号を送信する。
制御装置700は、型閉工程や型締工程、型開工程などを繰り返し行うことにより、成形品を繰り返し製造する。また、制御装置700は、型締工程の間に、計量工程や充填工程、保圧工程などを行う。成形品を得るための一連の動作、例えば計量工程の開始から次の計量工程の開始までの動作を「ショット」または「成形サイクル」とも呼ぶ。また、1回のショットに要する時間を「成形サイクル時間」とも呼ぶ。
一回の成形サイクルは、例えば、計量工程、型閉工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、型開工程、および突き出し工程をこの順で有する。ここでの順番は、各工程の開始の順番である。充填工程、保圧工程、および冷却工程は、型締工程の開始から型締工程の終了までの間に行われる。型締工程の終了は型開工程の開始と一致する。尚、成形サイクル時間の短縮のため、同時に複数の工程を行ってもよい。例えば、計量工程は、前回の成形サイクルの冷却工程中に行われてもよく、この場合、型閉工程が成形サイクルの最初に行われることとしてもよい。また、充填工程は、型閉工程中に開始されてもよい。また、突き出し工程は、型開工程中に開始されてもよい。ノズル320の流路を開閉する開閉弁が設けられる場合、型開工程は、計量工程中に開始されてもよい。計量工程中に型開工程が開始されても、開閉弁がノズル320の流路を閉じていれば、ノズル320から成形材料が漏れないためである。
制御装置700は、操作装置750や表示装置760と接続されている。操作装置750は、ユーザによる入力操作を受け付け、入力操作に応じた信号を制御装置700に出力する。表示装置760は、制御装置700による制御下で、操作装置750における入力操作に応じた操作画面を表示する。
操作画面は、射出成形機10の設定などに用いられる。操作画面は、複数用意され、切り替えて表示されたり、重ねて表示されたりする。ユーザは、表示装置760で表示される操作画面を見ながら、操作装置750を操作することにより射出成形機10の設定(設定値の入力を含む)などを行う。
操作装置750および表示装置760は、例えばタッチパネルで構成され、一体化されてよい。尚、本実施形態の操作装置750および表示装置760は、一体化されているが、独立に設けられてもよい。また、操作装置750は、複数設けられてもよい。
(エジェクタロッド調整方法)
図3、図4を参照して、本実施形態のエジェクタロッド調整方法を説明する。図3は、本実施形態に係るエジェクタロッド230の斜視図である。図4は、本実施形態のエジェクタロッド調整方法によるエジェクタロッド230の先端面233の方向調整手順の概略を示す図である。
エジェクタロッドは、エジェクタ装置200に片持ち状態で固定される。このため、先端部232(図3参照)の自重等の影響によってエジェクタロッド230は鉛直下方に傾斜して、先端面233(図3参照)も下方に傾斜する。先端面233が傾斜した状態でエジェクタロッド230がエジェクタプレート831を押すと、エジェクタロッド230が片当たりするので、エジェクタロッド230の先端面233がエジェクタプレート831に均一に当たらず、強く当たる部分と弱く当たる部分が生じる。エジェクタプレート831に均一に押し出し力が加わらないと、力の強弱によってエジェクタピン832の突き出し量が異なる。このため、金型から成形品を取り外すために各成形品に加わる突き出し力にばらつきが生じて、製品の不良が発生する虞がある。特に圧縮成形の場合には、突き出し力のばらつきは製品不良への影響が強い。
そこで本実施形態では、射出成形サイクルの実施前に、エジェクタロッド230の先端面233を可動プラテン120の金型取付面121(図1、図2参照)に倣わせるように、エジェクタロッド230を調整する。この調整手順を、本実施形態ではエジェクタロッド調整方法と呼ぶ。具体的には、エジェクタロッド230の先端面233を可動プラテン120の金型取付面121と平行な基準面241(図4参照)に押し当てて塑性変形させる。これにより、先端面233と金型取付面121とが平行となり、エジェクタロッド230の片当たりが回避され、先端面233が均一に金型に突き当たるようにできる。
図3に示すように、本実施形態のエジェクタロッド230は、エジェクタプレート831と接触する側の先端部232が、エジェクタ装置200に固定される側の基端部231とは異なる材料で形成される。基端部231と先端部232とは、ボルトや接着など任意の手法で固定される。
先端部232の材料は、基端部231の材料より柔らかい材料である。ここで材料が柔らかいとは、降伏応力や0.2%耐力、ヤング率などが小さいことをいう。後述するように、先端面233を塑性変形する際にエジェクタロッド230を基準面241に突き出し力より強い力で押し付けるが、先端部232を基端部231より柔らかい材料にしておくことで、先端部232が先に変形し、基端部231の不要な曲げ変形などを防止できる。先端部232の材料としては、例えばアルミなど、展伸性が良く、耐力が低い材料を用いることができる。
図4を参照して、このようなエジェクタロッド230の先端面233を調整する手順を説明する。図4に示す一連の処理は、射出成形機10の射出成形サイクルの実行前に行われる。
まず図4(a)に示すように、可動プラテン120に基準ブロック240が取り付けられる(取付ステップ)。基準ブロック240は、金型取付面121と平行な基準面241を有する。基準ブロック240は、例えば可動金型820と略同一の形状である。基準ブロック240は、基準面241が金型取付面121と面接触し、エジェクタロッド230が突き出される可動プラテン120の貫通孔を塞ぐ位置に配置されて可動プラテン120に固定される。
次に図4(b)に示すように、エジェクタ装置200を作動してエジェクタロッド230が前方に移動され、エジェクタロッド230の先端面233が基準面241に押し当てられて塑性変形させられる(調整ステップ)。これにより、エジェクタロッド230の先端面233を可動プラテン120の金型取付面121に倣わせることができ、先端面233と金型取付面121とが平行になる。
次に、図4(c)に示すように、エジェクタロッド230が後退されて基準ブロック240から離され、可動金型820が基準ブロック240と交換されて可動プラテン120に固定される。その後に、射出成形機10は射出成形サイクルを実行する。
ここで、エジェクタロッド230の先端部232は、射出成形サイクルの突き出し力では金型に当たっても塑性変形しない程度の柔らかさの材料で形成される。また、調整ステップにおいて先端面233を基準面241に押し当てる力は、突き出し力よりも大きく、かつ、先端部232が塑性変形する程度の大きさで設定される。つまり、エジェクタロッド230の先端部232は、基準ブロック240に押し当てる力では塑性変形するが、突き出し力では塑性変形しない材料で形成される。
このように本実施形態では、図4に示したエジェクタロッド調整方法を実施して、エジェクタロッド230の先端面233を可動プラテン120の金型取付面121に倣わせる調整ステップを行うことによって、エジェクタロッド230の先端面233を金型取付面121と平行にできる。これにより、エジェクタロッド230の片当たりを防止でき、成形品の突き出し力を均一化できる。
金型の各成形品に加える突き出し力を均一にできると、各成形品を金型から取り外す状況も均一化できるので、成形品の不良発生を抑制でき、製造精度の低下を防止できる。例えば、携帯端末に用いられるレンズなどを製造する圧縮成形においては、エジェクタピン832で金型内の成形材料を圧縮して成形を行うため、エジェクタロッド230の突き出し力のばらつきは製品精度への影響が強い。このため、本実施形態のエジェクタロッド調整方法による効果は、特に圧縮成形では顕著である。
また、本実施形態では、上記の調整ステップを、エジェクタロッド230の先端面233を可動プラテン120の金型取付面121と平行な基準面241に押し当てて塑性変形させることで実現する。これにより先端面233の向きが一旦調整されると元に戻ることがないので、先端面233の向きを確実に維持することができ、成形品の突き出しを安定して行うことができる。
また、本実施形態では、エジェクタロッド230の先端面233を加工するための基準面241として可動プラテン120に取り付ける基準ブロック240を用いる。基準ブロック240は可動金型820と同様に可動プラテン120の金型取付面121に設置されるので、基準面241を容易かつ確実に金型取付面121と平行にできる。これにより、この基準面241により方向が調整されるエジェクタロッド230の先端面233の方向も、容易かつ確実に金型取付面121と平行にできる。
なお、本実施形態ではエジェクタロッド230は、先端部232が基端部231より柔らかい材料で形成される構成を例示したが、エジェクタロッド230の全体を同一材料で形成してもよい。
(エジェクタロッド調整方法の変形例)
次に、図5、図6を参照して変形例を説明する。図5は、変形例に係るエジェクタロッド230Aを示す図である。図6は、変形例に係るエジェクタロッド230Aを用いたエジェクタロッド230Aの先端面233の方向調整手順の概略を示す図である。図5(a)は、エジェクタロッド230Aの先端部232近傍の側面図である。図5(b)は、図5(a)中のA-A断面図であり、調整部234の構成の一例を示す図である。
変形例では、エジェクタロッド230Aは、先端面233の向きを調整可能な調整部234を有する。調整部234は、例えば図5(a)に示すように、先端面233より基端側に配置されるボールジョイント235を含み、ボールジョイント235の回転によって、先端面233の方向を基端部231に対して任意に変更できる。
また、調整部234は、先端面233の方向を所定方向に固定できる。固定手法は任意の周知の構造を採用できるが、例えば図5(b)に示すように、ボールジョイント235の周方向に沿って延在し、1か所に間隙236Aを有する略C字状の外周部236と、この外周部236の間隙236Aを伸縮可能なボルト237とを有する構成とすることができる。ボルト237の締結によって、外周部236の間隙236Aが縮小するので、外周部236をボールジョイント235に強固に密着させて、ボールジョイント235の移動を規制することができ、基端部231に対して先端部232を固定できる。これにより、先端面233の方向も固定できる(図6(c)参照)。
図6を参照して、このようなエジェクタロッド230Aの先端面233を調整する手順を説明する。図6に示す一連の処理は、射出成形機10の射出成形サイクルの実行前に行われる。
まず図6(a)に示すように、可動プラテン120に基準ブロック240Aが取り付けられる(取付ステップ)。基準ブロック240Aは、金型取付面121と面接触する面のうち可動プラテン120の貫通孔を塞ぐ部分を含む一部が掘り下げられ、この掘り下げ部分の底面が基準面241Aとなる。基準面241Aは、可動プラテン120の金型取付面121と平行に形成されている。
次に図6(b)に示すように、エジェクタ装置200を作動してエジェクタロッド230Aが前方に移動され、エジェクタロッド230Aの先端面233が基準面241Aに押し当られて、調整部234により先端面233の向きが調整される(調整ステップ)。これにより、エジェクタロッド230Aの先端面233を可動プラテン120の金型取付面121に倣わせることができ、先端面233と金型取付面121とが平行になる。
次に図6(c)に示すように、調整部234がボルト237の締結によって固定され、エジェクタロッド230Aの先端面233の方向が固定される。これにより、先端面233と金型取付面121とが平行な状態が保持される。なお、ボルト237の締結は、例えば基準ブロック240Aに孔を設け、この孔から基準ブロック240A内にボルト237を挿入させて行うことができる。
その後、図6(d)に示すように、エジェクタロッド230Aが後退されて基準ブロック240Aから離され、可動金型820が基準ブロック240Aと交換されて可動プラテン120に固定される。その後に、射出成形機10は射出成形サイクルを実行する。
このように、変形例のエジェクタロッド230Aを用いても、図6に示したエジェクタロッド調整方法を実施すれば、上記実施形態と同様に、エジェクタロッド230Aの先端面233を金型取付面121と平行にでき、エジェクタロッド230Aの片当たりを防止でき、成形品の突き出し力を均一化できる。
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
上記実施形態では、エジェクタロッド230、230Aの先端面233の向きを調整するための基準面として、可動プラテン120に取り付けられる基準ブロック240,240Aの基準面241,241Aを用いたが、これ以外の基準面を用いてもよい。
エジェクタロッド230の先端面233は、最終的に可動プラテン120の金型取付面121と平行であればよく、調整手法は上記以外でもよい。例えばエジェクタロッド230の先端面233を金型取付面121と平行になるように研削や切削加工してもよい。
10 射出成形機
120 可動プラテン
121 金型取付面
230,230A エジェクタロッド
231 基端部
232 先端部
233 先端面
234 調整部
240,240A 基準ブロック
241,241A 基準面
820 可動金型
831 エジェクタプレート
832 エジェクタピン

Claims (6)

  1. 金型が取り付けられるプラテンと、
    前記プラテンの貫通孔に進退自在に配設され、前記金型から成形品を突き出すエジェクタロッドと、を備える射出成形機において、
    その先端面が傾斜している前記エジェクタロッドについて、前記先端面前記プラテンの金型取付面とが平行となるように、前記先端面の方向を調整する、
    射出成形機のエジェクタロッド調整方法。
  2. 前記先端面を前記金型取付面と平行な基準面に押し当てて塑性変形させることにより、前記先端面の方向を調整する
    請求項1に記載の射出成形機のエジェクタロッド調整方法。
  3. 前記エジェクタロッドの先端部は、基端部より柔らかい材料で形成される、
    請求項2に記載の射出成形機のエジェクタロッド調整方法。
  4. 前記エジェクタロッドは、前記先端面の向きを調整可能な調整部を有し、
    前記先端面を前記金型取付面と平行な基準面に押し当てて、前記調整部により前記先端面の方向を調整する、
    請求項1に記載の射出成形機のエジェクタロッド調整方法。
  5. 前記金型取付面と平行な基準面を有する基準ブロックを前記プラテンに取り付け、
    前記エジェクタロッドの前記先端面を前記基準面に押し当てることにより、前記先端面と前記金型取付面とが平行となるように前記先端面の方向を調整する
    請求項1~4のいずれか1項に記載の射出成形機のエジェクタロッド調整方法。
  6. 金型が取り付けられるプラテンと、
    前記プラテンの貫通孔に進退自在に配設され、前記金型から成形品を突き出すエジェクタロッドと、を備え、
    その先端面が傾斜している前記エジェクタロッドについて、前記先端面と前記プラテンの金型取付面とが平行となるように、前記先端面の方向を調整する方向調整部を備える、
    射出成形機。
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