JP7005158B2 - 発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法 - Google Patents
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本発明において用いられる熱可塑性樹脂は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリスチレン(PS)、スチレン-アクリロニトリル共重合体(AS)、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体(耐熱PS)、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体(HIPS)、N-フェニルマレイミド-スチレン-無水マレイン酸の三次元共重合体、それとASとのアロイ(IP)などのスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などのビニル系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン3元共重合体、シクロオレフィン系(共)重合体などのポリオレフィン系樹脂およびこれらに分岐構造、架橋構造を導入してレオロジーコントロールされたポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、MXDナイロンなどのポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネートなどのポリエステル系樹脂、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(変性PPE)、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などのエンジニアリングプラスチックなどが挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。
本発明で用いられるスチレン系樹脂は、スチレン単独重合体(スチレンホモポリマー)のみならず、本発明に係る効果を損なわない範囲で、スチレンと、スチレンと共重合可能な他の単量体又はその誘導体とが共重合されているものであっても良い。ただし、後述する臭素化スチレン・ブタジエン共重合体は除く。
本発明で用いられる発泡剤は、特に限定されないが、発泡性と製品ライフのバランスが良く、実際に使用する際に高倍率化しやすい観点から、炭素数3~6の炭化水素が望ましく、更に望ましくは炭素数4~5の炭化水素である。発泡剤の炭素数が3以上であると揮発性が低くなり、発泡性スチレン系樹脂粒子にした場合に発泡剤が逸散しにくくなるため、実際に使用する際に発泡工程で発泡剤が十分に残り、十分な発泡力を得ることが可能となり、高倍率化が容易となるため好ましい。また、炭素数が6以下であると、発泡剤の沸点が高すぎないため、予備発泡時の加熱で十分な発泡力を得やすく、高発泡化が易しい傾向となる。炭素数3~6の炭化水素としては、例えばプロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、又はシクロヘキサン等の炭化水素が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明では熱可塑性発泡体に難燃性能を付与するため、難燃剤を使用してもよい。本発明で用いられる難燃剤としては、特に限定されず、従来から熱可塑性樹脂発泡成形体に用いられる難燃剤をいずれも使用できる。具体的には、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、窒素含有化合物等の非ハロゲン系難燃剤等が挙げられる。その中でも、熱可塑性樹脂としてスチレン系樹脂を用いた場合、難燃性付与効果が高い臭素系難燃剤が望ましい。本発明で用いられる臭素系難燃剤としては、例えば、2,2-ビス[4-(2,3-ジブロモ-2-メチルプロポキシ)-3,5-ジブロモフェニル]プロパン(別名:テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル))、又は2,2-ビス[4-(2,3-ジブロモプロポキシ)-3,5-ジブロモフェニル]プロパン(別名:テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル))等の臭素化ビスフェノール系化合物、テトラブロモシクロオクタン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート、臭素化スチレン・ブタジエンブロック共重合体、臭素化ランダムスチレン・ブタジエン共重合体、又は臭素化スチレン・ブタジエングラフト共重合体等の臭素化ブタジエン・ビニル芳香族炭化水素共重合体(例えば、特表2009-516019号公報に開示されている)等が挙げられる。これら臭素系難燃剤は1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明においては、さらに、熱安定剤を併用することによって、製造工程における熱可塑性樹脂及び難燃剤などの分解・劣化を抑制することができる。本発明における熱安定剤は、用いられる熱可塑性系樹脂、発泡剤、添加剤の種類及び含有量等に応じて、適宜組み合わせて用いることができる。
本発明においては、ラジカル発生剤をさらに含有することにより、臭素系難燃剤と併用することによって、高い難燃性能を発現することができる。
本発明では、発泡性熱可塑性樹脂粒子から得られる発泡体に高い断熱性能を付与するため、輻射伝熱抑制剤を用いてもよい。ここでいう輻射伝熱抑制剤とは、近赤外又は赤外領域の光を反射、散乱又は吸収する特性を有する物質をいう。例えば、グラファイト、グラフェン、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、活性炭、膨張黒鉛などの炭素材料、アルミニウム、酸化アルミニウム等のアルミニウム系化合物、アルミン酸亜鉛等の亜鉛系化合物、ハイドロタルサイト等のマグネシウム系化合物、銀等の銀系化合物、チタン、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム等のチタン系化合物などが挙げられる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、加工助剤、耐光性安定剤、造核剤、発泡助剤、帯電防止剤、及び顔料等の着色剤よりなる群から選ばれる1種以上のその他添加剤を含有していてもよい。
本発明の製造方法における発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物は、熱可塑性樹脂、発泡剤、および他の添加剤などの原料を押出機に供給して、押出機内で溶融混練することで製造される。
τ:せん断速度(sec-1)
Q:有効小孔1個当たりの樹脂容積吐出量(cm3/sec)
π:円周率
r:小孔半径(cm)。
q:ダイからの総吐出量(kg/hr)
N:回転カッターの回転数(rpm)
n:回転カッターの刃数(枚)
W:粒重量(mg)。
ダイより押出される直前の溶融樹脂の温度がTg+40℃以上であれば、押出された溶融樹脂の粘度が低くなり、小孔詰まりが発生しにくく、小孔の有効開口率の低下が起きにくく、得られる発泡性熱可塑性樹脂粒子の形状が歪もしくは不揃いとなる事態を避けることができる。一方で、ダイより押出される直前の溶融樹脂の温度がTg+110℃以下であれば、押出された溶融樹脂が固化し易くなり、回転カッターに巻き付き難くなり、安定的に切断できる。
以上のようにして得られる発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡工程に付すことにより、予備発泡粒子を得ることができる。この工程では、加熱水蒸気などを用いて発泡性熱可塑性樹脂粒子を軟化させると同時に該粒子内の発泡剤を揮発させて該粒子内に多数の気泡を形成させて予備発泡粒子を形成する。予備発泡工程の具体的な条件は従来公知の条件に従うことができる。この工程での予備発泡粒子の発泡倍率としては、適宜選択することができるが、本発明の製造方法によると、比較的高い発泡倍率を達成することができる。具体的には、70倍(cc/g)以上、さらには80倍(cc/g)以上の発泡倍率を達成することができる。
0.01mgまで測定できる電子天秤を用いて、ランダムにサンプリングした発泡性熱可塑性樹脂粒子100粒の重量を測定し、以下の式で粒重量を算出した。
小孔の有効開口率は以下の式にて算出した。
h:有効に樹脂を排出している小孔数(個)
H:ダイが有する全小孔数(個)
尚、ダイが有する全小孔とは、予めダイにピン等を埋め込み、構造上樹脂が排出しない様に閉塞させた小孔は除く。また、有効に樹脂を排出している小孔数hは次の式によって算出した。
q:ダイからの総吐出量(kg/hr)
N:回転カッターの回転数(rpm)
n:回転カッターの刃数(枚)
W:粒重量(mg)。
発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物が小孔ランド部を通過する際のせん断速度は以下の式にて算出した。
τ:せん断速度(sec-1)
Q:有効小孔1個当たりの樹脂容積吐出量(cm3/sec)
π:円周率
r:小孔半径(cm)
尚、Qは以下の式から算出した。
発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡機に投入し、0.1MPaの水蒸気を予備発泡機に導入し発泡させて予備発泡粒子を得た。90秒から30秒間隔で水蒸気導入時間を変更して発泡させ、各水蒸気導入時間ごとの発泡倍率を測定し、最も高い発泡倍率を予備発泡粒子の最大発泡倍率とした。水蒸気導入時間は加熱過多による発泡粒子の収縮(発泡倍率の低下)が確認されるまで変更した。発泡倍率は、予備発泡粒子を容積が2000ccになるようにメスシリンダーに入れ、重量を測定し、以下の式にて算出した。
熱可塑性樹脂発泡成形体を中心で割り、その断面の全粒子数を数えた。次に、粒子が割れ、内部の気泡が確認できる粒子(破壊粒子数)の数を数え、以下の式にて算出した。
発泡性熱可塑性樹脂粒子をマイクロスコープ[(株)キーエンス製、VHX-900]を用いて、互いに直交する3方向の直径を測定し最も長い直径をDn(mm)、次に長い直径をLn(mm)、最も短い直径をWn(mm)とした。10粒の粒子について測定し、その相加平均値からD(mm)、L(mm)、W(mm)を算出し、最も長い直径D(mm)を最大直径とした。次に、L/D、W/D、W/Lを算出し、その相加平均値を真球度とした。
[発泡性熱可塑性樹脂粒子の作製]
熱可塑性樹脂としてポリスチレン[PSジャパン(株)製、680]93.3重量部と、グラファイト[(株)丸豊鋳材製作所製、鱗片状黒鉛SGP-40B]4重量部と、臭素系難燃剤[第一工業製薬(株)製、SR-130]2.5重量部と、安定剤[(株)ADEKA製、LA-57]0.1重量部と、安定剤[(株)ADEKA製、PEP-36]0.1重量部を、トータル供給量234.6kg/hrで口径60mmの同方向噛み合い二軸押出機[KraussMaffei Berstorff GmBH製]に供給し、二軸押出機の原料フィード部以降のシリンダ温度を165℃とし溶融混練した。二軸押出機の途中から、熱可塑性樹脂溶融物100重量部に対して、混合ペンタン[ノルマルペンタン(エスケイ産業(株)製)80重量%とイソペンタン(エスケイ産業(株)製)20重量%の混合物]4.8重量部とイソブタン[三井化学(株)製]2.2重量部を圧入した。
発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡機に投入し、0.1MPaの水蒸気を予備発泡機に導入して発泡させ、最大発泡倍率81倍の予備発泡粒子を得た。
得られた発泡倍率81倍の予備発泡粒子を発泡スチロール用成形機に取り付けた型内成形用金型内に充填して、0.04MPaの水蒸気を15秒間導入して型内発泡させた後、金型に50℃の温水を5秒間噴霧して冷却した。金型内の熱可塑性樹脂発泡成形体が金型を押す圧力が0.015MPa(ゲージ圧力)になるまで金型内に熱可塑性樹脂発泡成形体を保持した後、熱可塑性樹脂発泡成形体を取り出して、直方体状の熱可塑性樹脂発泡成形体(長さ450mm×幅450mm×厚み50mm)を得た。該成形体の融着率は90%であった。
生産時の吐出量を168kg/hrから140kg/hrに変更し、カッター回転数を1362rpmから1119rpmへ変更したこと以外は、実施例1と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
生産時の吐出量を168kg/hrから130kg/hrに変更し、カッター回転数を1362rpmから1050rpmへ変更したこと以外は、実施例1と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
生産時の吐出量を168kg/hrから200kg/hrに変更し、カッター回転数を1362rpmから1600rpmへ変更したこと以外は、実施例1と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
吐出量の変更を行なわずに、吐出量251kg/hrを維持したこと以外は、実施例1と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
吐出量を251kg/hrから153kg/hrに変更し、カッター回転数を1362から1850rpmに変更し、途中で吐出量の変更を行なわずに、153kg/hrを生産時も維持したこと以外は比較例1と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
吐出量を251kg/hrから200kg/hrに変更し、カッター回転数を1362から2000rpmに変更し、生産時の吐出量を168kg/hrから153kg/hrに変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
11 フェイス面
12 小孔
13 樹脂通路
a 小孔ランド部の長さ
b 小孔の直径
Claims (2)
- 発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物を複数の小孔を有するダイから加圧水中に押出した直後に回転カッターで切断して粒子化する発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法であって、前記ダイの小孔ランド部を通過する際の発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物のせん断速度(A)で発泡性熱可塑性樹脂粒子を製造する前に、前記せん断速度(A)を超えるせん断速度(B)で発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物を粒子化する準備工程を含み、
前記せん断速度(A)が8,000sec-1~16,000sec-1であり、前記せん断速度(B)が9,000sec-1~32,000sec-1であり、
前記発泡性熱可塑性樹脂粒子の真球度が0.92以上であり、
前記せん断速度の比(A)/(B)が0.5~0.9であり、
前記小孔の直径が0.5mm~1.0mmである、発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。 - 前記発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物がスチレン系樹脂を含む、請求項1に記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。
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WO2005028173A1 (ja) | 2003-09-17 | 2005-03-31 | Sekisui Plastics Co., Ltd. | 熱可塑性樹脂発泡性粒子の製造方法 |
JP2015017155A (ja) | 2013-07-09 | 2015-01-29 | 株式会社ジェイエスピー | 熱可塑性樹脂予備発泡粒子及び発泡粒子成形体 |
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2017
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