JP7100995B2 - 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系発泡粒子及びポリスチレン系発泡成形体 - Google Patents
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Description
(ポリスチレン系樹脂)
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とは、ポリスチレン系樹脂組成物に発泡剤が含有されたものである。本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に用いられるポリスチレン系樹脂組成物は、基材樹脂としてポリスチレン系樹脂を含む。ポリスチレン系樹脂としては、スチレン単独重合体(スチレンホモポリマー)のみならず、スチレンと共重合可能な他の単量体又はその誘導体とスチレンとの共重合体であっても良い。これらは一種のみであってもよいし、2種以上を組みあせて使用してもよい。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子においては、発泡剤としては炭素数が3~6の炭化水素が好ましい。例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。これらの発泡剤は単独または2種以上を混合して使用できる。これら発泡剤の中でも、目的とする発泡倍率に制御しやすいなどの点から、炭素数4の炭化水素及び/または5の炭化水素が好ましく、発泡性、成形性の点から、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタンおよびイソペンタンからなる群から選択される少なくとも一種を使用することが特に好ましい。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、必要に応じて、炭素系輻射伝熱抑制剤、難燃剤、熱安定剤、ラジカル発生剤、造核剤及びその他の添加剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種の任意成分を含有してもよい。
本発明で用いることができる難燃剤としては、特に限定されず、従来からポリスチレン系樹脂発泡成形体に用いられる公知の難燃剤をいずれも使用できるが、その中でも、難燃性付与効果が高い臭素系難燃剤が好ましい。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子においては、さらに、熱安定剤を併用することによって、製造工程における難燃剤の分解による難燃性の悪化及び発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の劣化を抑制することができる。
本発明においては、炭素系輻射伝熱抑制剤を添加することにより、高い断熱性を有するスチレン系樹脂発泡成形体が得られる。ここでいう輻射伝熱抑制剤とは、近赤外又は赤外領域の光を反射、散乱又は吸収する特性を有する物質をいう。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子のポリスチレン系樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、ラジカル発生剤、加工助剤、耐光性安定剤、造核剤、発泡助剤、帯電防止剤、顔料等の着色剤よりなる群から選ばれる1種以上のその他添加剤を含有していてもよい。ラジカル発生剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、又はポリ-1,4-イソプロピルベンゼン等が挙げられる。加工助剤としては、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン等が挙げられる。耐光性安定剤としては、前述したヒンダードアミン類、リン系安定剤、エポキシ化合物の他、フェノール系抗酸化剤、窒素系安定剤、イオウ系安定剤、ベンゾトリアゾール類等が挙げられる。造核剤としては、シリカ、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、タルク等の無機化合物、メタクリル酸メチル系共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂等の高分子化合物、ポリエチレンワックス等のオレフィン系ワックス、メチレンビスステアリルアマイド、エチレンビスステアリルアマイド、ヘキサメチレンビスパルミチン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイド等の脂肪酸ビスアマイド等が挙げられる。発泡助剤としては、大気圧下での沸点が200℃以下である溶剤を望ましく使用でき、例えば、スチレン、トルエン、もしくはキシレン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;酢酸エチル、もしくは酢酸ブチル等の酢酸エステル等が挙げられる。なお、帯電防止剤及び着色剤としては、各種樹脂組成物に用いられるものを特に限定なく使用できる。これらの他の添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明のポリスチレン系発泡粒子及びポリスチレン系発泡成形体の平均セル径は、好ましくは50μm以上、300μm以下、より好ましくは70μm以上、250μm以下、さらに好ましくは90μm以上、200μm以下に調整することが好ましい。平均セル径が上述の範囲にあることによって、圧縮強度等機械物性を高くすることができる。
平均セル径が300μmを超えた状態をセル荒れと呼んでおり、セル荒れが発生する場合には所望の発泡倍率まで発泡することが難しくなり、さらに圧縮強度等の機械物性も低下する傾向がある。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、公知の懸濁重合法や溶融混練法で製造することができる。
近年、環境衛生の観点から、エチルベンゼンの含有量は低減されることが望まれている。一方、軽量化および原料コスト低減の観点から、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の高発泡化に対する市場要求が高くなっている。エチルベンゼンは発泡助剤として作用するため、エチルベンゼンの含有量を低減させすぎると、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の発泡性に影響することが懸念される。しかし、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子においては、エチルベンゼンの含有量を10~50ppmに制御することを特徴とする。エチルベンゼンが当該範囲を満たすことにより、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させたポリスチレン系発泡粒子は所望通りにセル径が調整されたものとなり、高温条件下で保管されることがあってもセル荒れの発生が抑制される。セル径調整の安定性に優れるため、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の発泡性も安定する。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、特に限定されないが、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を所定の発泡倍率に予備発泡させてポリスチレン系発泡粒子とし、このポリスチレン系発泡粒子を用いて成形を行なう方法により、ポリスチレン系発泡成形体を製造することができる。すなわち、本発明のポリスチレン系発泡粒子とは、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を所定の発泡倍率に発泡(予備発泡)させたものである。また、本発明のポリスチレン系発泡成形体とは、本発明のポリスチレン系発泡粒子を用いて成形したものである。なお、成形の際にポリスチレン系発泡粒子が更に発泡する場合がある。
予備発泡工程は、予備発泡機を用い、従来の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の予備発泡と同様にして実施できる。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を塩化メチレン(内部標準シクロペンタノール)に溶解し、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて以下の条件で発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中に含まれるエチルベンゼン量(ppm)を定量した。
測定装置:(株)島津製作所製ガスクロマトグラフィーGC-2014
カラム:キャピラリーカラム(GLサイエンス製Rtx-1)
カラム温度条件:50→80℃昇温(3℃/min)後、80→180℃昇温(10℃/min)
キャリアガス:ヘリウム。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を15℃で1週間保管、その後、温度40℃の乾燥機に3時間静置した。次いで、その発泡性ポリスチレン系樹脂粒子1200gを予備発泡機[大開工業株式会社製、BHP-300]に投入し、缶内圧力設定を0.05kg/cm2~0.15kg/cm2とし、0.10MPaの水蒸気を予備発泡機に導入して60倍に発泡(予備発泡)させた。60倍まで発泡しない場合は水蒸気投入時間300秒で発泡を終了させた。
以下では、本発泡方法の実施を「発泡処理」という場合がある。発泡処理は、各実施例および各比較例で作製される発泡性ポリスチレン系樹脂粒子(以下、各水準という場合がある)に対して別々に実施した。
(1)観察条件
装置:キーエンス社製 DIGITAL MICROSCOPE VHX-900
観察倍率:100倍
(2)測定条件
上述の発泡方法で作製されたポリスチレン系発泡粒子の長軸直径に対する垂直二等分面でカミソリを用いて切断し、その断面をキーエンス社製 DIGITAL MICROSCOPEを用いて、観察倍率100倍で写真を撮影する。その断面の中心点から半径1000μmの範囲内において1000μm×1000μm四方の範囲内に存在するセル数をカウントする。そのセル数を用い、以下の式に基づき、セル径を算出した。
=2×[1000μm×1000μm/(セル数×円周率)]0.5
1回の発泡処理で作製されたポリスチレン系発泡粒子から10個のポリスチレン系発泡粒子を無作為に選び出し、上記セル径を該10個のポリスチレン系発泡粒子からそれぞれ算出し、その平均を平均セル径として算出した。
各水準それぞれに対して上記発泡処理を10回行った。各発泡処理により得られたポリスチレン系発泡粒子の平均セル径を上述の平均セル径測定方法で算出し、算出した平均セル径毎にセル荒れの有無を判定した。
セル荒れは、算出した平均セル径が300μm以上である場合をセル荒れと判定した。そして、各水準の発泡処理10回中にセル荒れと判定した回数を各水準の「セル荒れ回数」として評価した。
(A)スチレンホモポリマー[エチルベンゼンを含有していないスチレンモノマーを使用して懸濁重合して重量平均分子量(Mw)20万の樹脂を製造した。]
(炭素系輻射伝熱抑制剤)
(B)グラファイト[(株)丸豊鋳材製作所製、鱗片状黒鉛SGP-40B]
(臭素系難燃剤)
(C)2,2-ビス[4-(2,3-ジブロモ-2-メチルプロポキシ)-3,5-ジブロモフェニル]プロパン[第一工業製薬(株)製、SR-130、臭素含有量=66重量%]。
(E1)ノルマルペンタン[和光純薬工業(株)製、試薬品]
(E2)イソペンタン[和光純薬工業(株)製、試薬品]
(F)エチルベンゼン[和光純薬工業(株)製、試薬品]
[発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の作製]
ノルマルペンタン(E1)80重量%とイソペンタン(E2)20重量%の割合で混合した混合ペンタン100重量部に対してエチルベンゼン(F)0.034重量部を混合した。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に含有されるエチルベンゼン含有量が表1記載の含有量になるように混合ペンタンに混合するエチルベンゼン量を調整した以外は実施例1と同様に実施した。
Claims (4)
- エチルベンゼンを10~50ppm含有する、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子(ただし、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含有する複合樹脂粒子を除く)。
- 炭素系輻射伝熱抑制剤を含有する、請求項1に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
- 請求項1または2記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させたポリスチレン系発泡粒子。
- 請求項3記載のポリスチレン系発泡粒子を型内成形して得られるポリスチレン系発泡成形体。
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