JP2005270414A - 微香性クッション体 - Google Patents
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Abstract
【課題】リラクゼーション、アロマテラピー効果等の効果を発揮できる芳香と、良好な感触・手触りとを両立させた微香性クッション体を提供することを目的とする。
【解決手段】溶剤成分の含有量が400ppm以下であり、かつ平均粒子径が0.4〜1.4mmである発泡樹脂粒子と、香料含有粒子との混合物を充填材として袋体に封入させた微香性クッション体により上記課題を解決する。
【選択図】なし
【解決手段】溶剤成分の含有量が400ppm以下であり、かつ平均粒子径が0.4〜1.4mmである発泡樹脂粒子と、香料含有粒子との混合物を充填材として袋体に封入させた微香性クッション体により上記課題を解決する。
【選択図】なし
Description
本発明は、微香性クッション体に関する。更に詳しくは、微香性を有するベッド、マットレス、枕、ぬいぐるみ、クッション、玩具、緩衝材等として好適に使用できる微香性クッション体に関する。
従来から、クッション体として、一般的に、綿、羽毛、軟質発泡ウレタン、樹脂粒子等を用いたものが多く知られている。この内、樹脂粒子を使用したものとして、実公平3−45641号公報(特許文献1)には、粒子径が1〜5mm程度の大小の発泡スチロール粒子を充填材として使用したマット等のクッション体や、実開昭56−115966号公報(特許文献2)では、粒子径が5〜20mmポリスチレン等の発泡体粒子を充填材として使用したクッション体が報告されている。
一方、入眠を容易にするため、あるいはリラクゼーションやアロマテラピー効果等を目的として、芳香を付与したクッション体が報告されている。そのようなクッション体として、例えば、実開平6−50570号公報(特許文献3)では、入眠を容易にする催眠効果のある芳香剤を枕カバーに設けたポケットに挿入したクッション体(枕)が記載されている。このクッション体は、ポケットから芳香を発散させることで、不眠を解消し又は症状を改善するのに効果があるとされている。なお、この公報には、枕の充填材自体の構成についての記載はない。
また、クッション体ではないが、実用新案登録第3082132号(特許文献4)では、芳香剤を収納した香り袋を、ポケット形状のマスコットに収容した芳香マスコットが報告されている。この公報では、芳香剤として、粒状のバーミキュライトや焼成蛭石等に香料を含浸させたものが記載され、香り袋として、通気性のある網目を有するポリエチレン薄膜からなる袋が記載されている。
実公平3−45641号公報や実開昭56−115966号公報に記載されたクッション体は、ベッド、マットレス、枕、クッション等のように人体に対してクッション機能を果たす目的で用いた場合に、人体が動く度に異音がして不快感を与えたり、就寝時にはその異音によって覚醒したりしてしまうという問題があった。更には、使用時の感触向上に対する要望も根強くあり、この要望を十分満足させるクッション体は未だ提供できていないのが実情である。
更に、上記クッション体に芳香を付与するために、芳香剤を充填したポケットを有するカバーでクッション体を覆ったり、芳香剤を含む香り袋をクッション体に入れたりする構成では、ポケットや香り袋の周囲での芳香の強さと、離れた位置での芳香の強さとが異なり、均一に芳香を発生できないことがあった。更にクッション体から、芳香剤の芳香以外の臭いが加わるため、望む香りをクッション体に付与できないことがあった。
本発明者等は、上記の課題を解決するため鋭意検討の結果、溶剤成分の含有量の少ない発泡性樹脂粒子と香料含有粒子との混合物を充填材とし、これを袋体に封入することで、リラクゼーション、アロマテラピー効果を発揮できる芳香と、良好な感触・手触りとが両立し、かつ異音の発生が抑制された微香性クッション体を提供できることを意外にも見出し、本発明に至った。
かくして本発明によれば、溶剤成分の含有量が400ppm以下であり、かつ平均粒子径が0.4〜1.4mmである発泡樹脂粒子と、香料含有粒子とを充填材として袋体に封入させた微香性クッション体が提供される。
本発明によれば、400ppm以下の溶剤成分の含有量が少ない発泡樹脂粒子を充填材として使用している。そのため、溶剤臭と芳香剤の香りが混ざりあうことによる、リラクゼーション、アロマテラピー効果等が阻害されることを防止できる。
更に、本発明によれば、充填材として0.4〜1.4mmの極めて小さな粒子径の発泡樹脂粒子を使用している。この発泡樹脂粒子は、極めて小さい力で流動する易滑性を有している。そのため、粒子の移動で生じる異音による不快感が生じることがなく、極めて良好な感触・手触りを有するクッション体が得られる。
また、発泡樹脂粒子の平均粒子径Dと、香料含有粒子の平均粒子径Daが、関係式D≦Da≦10Dを満たすことで、香料含有粒子が袋体の隙間や繊維間から漏れ出すことを防ぐことができると共に、芳香の持続性が良好で、より感触・手触りの良好なクッション体が得られる。
香料含有粒子が、発泡樹脂粒子100重量部に対して、1〜30重量部の割合で含まれることで、芳香の持続性が良好で、より感触・手触りの良好なクッション体が得られる。
また、伸縮性を有する素材からなる袋体を使用すれば、クッション体の一部が圧縮された際に、充填された粒子が圧縮部位から他の部位に移動し、移動した粒子の容積を他の部位に位置する袋体が伸びて変形することで許容できるので、粒子の移動の許容範囲をより大きくすることができる。
例えば、袋体の表面に目鼻口等の顔のプリントを施した場合、顔に表情を与える効果(アニメーション効果と称する)を発揮させることができる。
加えて、人が乗ったり抱いたりするクッション体の場合、適度に皮膚刺激されて、脳内により多くのアルファー波がでることが予想される。その結果、人をよりリラックスさせやすいクッション体の提供が期待できる。
加えて、人が乗ったり抱いたりするクッション体の場合、適度に皮膚刺激されて、脳内により多くのアルファー波がでることが予想される。その結果、人をよりリラックスさせやすいクッション体の提供が期待できる。
本発明の発明者等は、従来のクッション体の発泡樹脂粒子からなる充填材について検討したところ、従来の発泡樹脂粒子は、発泡成形体を成形するための予備発泡粒子をそのまま転用しており、次のように製造されていることに気付いた。
すなわち、一般的に、発泡成形に使用される熱可塑性樹脂からなる発泡性粒子は、発泡成形を容易にするために、発泡性粒子にトルエン、エチルベンゼン等の溶剤が添加されている。これらの溶剤を含んだ発泡性粒子は、この粒子を発泡して得た発泡樹脂粒子(予備発泡粒子)の段階においても、相当量の溶剤が残留している。そのため、この発泡樹脂粒子をクッション体の充填材として使用した場合、クッション体から溶剤臭が知覚されることとなる。また、これらの溶剤以外にも樹脂としてポリスチレンを使用する場合には、樹脂中に残留するスチレンモノマー等からなる臭いも生じる。
特に、芳香が付与されたクッション体では、上記の溶剤臭と、芳香剤の香りとが混ざり合う結果、当初予定していた芳香とは異なる臭いが生じてしまうこととなる。つまり、溶剤臭は、リラクゼーション、アロマテラピー効果を生じさせる芳香の発生の阻害要因となっていることが明らかになった。
そこで、本発明では、溶剤成分の含有量が400ppm以下の発泡樹脂粒子を充填材として使用することで、クッション体から上記溶剤臭の発生を抑制し、また、平均粒子径が0.4〜1.4mm発泡樹脂粒子を使用することで、より好適な感触を得ることができ、クッション体から発生する異音を抑制している。更に、発泡樹脂粒子と香料含有粒子を袋体に封入することで、クッション体から均一に芳香を発生させることができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の微香性クッション体は、袋体とその中に封入される充填材とから構成される。充填材は発泡樹脂粒子と香料含有粒子とからなる。
本発明の微香性クッション体は、袋体とその中に封入される充填材とから構成される。充填材は発泡樹脂粒子と香料含有粒子とからなる。
発泡樹脂粒子の平均粒子径は0.4〜1.4mmであり、これらの中でも特に、平均粒子径が0.5〜1.3mmである発泡樹脂粒子は、異音発生の抑制、より好適な感触を得ることができる点から好ましい。特に好ましい平均粒子径は0.5〜0.85mmである。平均粒子径が0.4mm未満では、発泡樹脂粒子が袋体の隙間や繊維間から漏れ出し、また、1.4mmを超えると、感触が悪化し、かつ異音が発生しやすくなるため好ましくない。また、発泡樹脂粒子が、上記の平均粒子径を備えた粒子であって、かつ2mmを超える大きさの粒子径の粒子を実質上含まない場合、異音発生の抑制と好適な感触の点において格段に優れた効果を発揮できるのでより好ましい。なお、平均粒子径の測定法は、実施例において説明する。
上記異音発生の抑制、より好適な感触を得ることができる理由は以下の理由によると考えられる。すなわち本発明者等は、発泡成形用の粒子径が大きな発泡樹脂粒子をクッション体の充填用に転用した際に、手触りや触感が劣る原因について検討を重ねた。その結果、従来から使用されてきた発泡樹脂粒子は、粒子が大きく、また粒子同士が滑りにくいので、使用時にクッション体中で単に圧縮されて容積が縮小するように変形するだけであるため、手触りや触感がよくないことを突き止めた。
更に、滑りにくい大きな発泡粒子を使用した場合には、感触が悪く、異音の発生が起きやすいことを突き止めた。
本発明者等は、鋭意検討した結果、驚くことに特定の平均粒子径の発泡樹脂粒子を使用し、かつそれぞれの発泡樹脂粒子同士が極めて小さな力で流動する、滑りやすい粒子とすることで、手触り、感触を飛躍的に向上させたクッション体専用の発泡樹脂粒子を提供できることを見い出した。この発泡樹脂粒子をクッション体の充填材として使用することで、異音の発生を抑えることができ、好適な感触が発現し、恒久的なクッション性をも充足させることができる。
発泡樹脂粒子としては、溶剤成分の含有量が400ppm以下の樹脂からなる限り、特に限定されず、スチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等の発泡樹脂粒子を使用できる。上記溶剤成分の含有量の発泡樹脂粒子を用いることで、溶剤臭と芳香剤の香りが混ざり合うことによる、リラクゼーション、アロマテラピー効果を阻害する臭いの発生を防止できる。また、シックハウス症候群や化学物質過敏症の原因とされる溶剤成分の量を、極力減らすことができ、これらの溶剤に過敏な体質を持つとされる極少数の人に対しても、より快適な微香性クッション体を提供することができる。溶剤成分が400ppmを超える場合は、クッション体から不快感を生じさせる溶剤臭が知覚されるため好ましくない。なお、溶剤成分は、これらの観点からで可能な限り少ないことが好ましく、具体的には300ppm以下がより好ましく、150ppm以下が更に好ましく、よりゼロに近い方が特によい。上記の溶剤成分には、残留スチレン系モノマー、トルエン、エチルベンゼン、クメン、キシレン、ノルマルプロピルベンゼン等が挙げられる。溶剤成分の含有量の測定方法は、実施例において説明する。
発泡樹脂粒子は、より好適な感触が得られる点から、スチレン系樹脂からなることが好ましい。
発泡樹脂粒子中の残留スチレンモノマーを低減するには、例えば、懸濁重合で樹脂粒子を製造する場合、スチレンに対し、0.05重量%以上の高温開始型の重合開始剤を用いて、最終の重合温度を115℃以上とし、この温度での放置時間を例えば2時間以上とする方法がある。
発泡樹脂粒子中の残留スチレンモノマーを低減するには、例えば、懸濁重合で樹脂粒子を製造する場合、スチレンに対し、0.05重量%以上の高温開始型の重合開始剤を用いて、最終の重合温度を115℃以上とし、この温度での放置時間を例えば2時間以上とする方法がある。
上記の高温開始型の重合開始剤としては、例えば、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシパーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタン等の10時間半減期温度が100〜115℃のものが特に好ましい。
更に、トルエン、エチルベンゼン、クメン、キシレン、ノルマルプロピルベンゼン等の溶剤成分を低減するには、これらの含有量が少ないスチレンモノマーを選択することが好ましい。
上記発泡樹脂粒子を得るために使用される発泡剤としては、特に限定されないが、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素、炭酸ガス、窒素、空気等の無機発泡剤が挙げられる。これらの発泡剤は、単独又は2種以上を併用できるが、香りに対する影響を勘案すると、できるだけ無臭に近い発泡剤を主成分として使用することが好ましい。
また、発泡剤の量は、樹脂粒子100重量部に対して1〜20重量部になる程度の量が好ましい。更に好ましくは3〜10重量部である。発泡剤の量が1重量部未満では発泡機能を満たさないため好ましくない。また、20重量部を超えると、香料に対する影響が大きくなる恐れがあり好ましくない。なお、発泡剤として炭酸ガスを使用する場合には、発泡剤を含浸する際の圧力を10〜30kg/cm2G、含浸時間は1〜10時間程度とするのが好ましい。
発泡樹脂粒子を得るために、造核剤を重合時及び/又は発泡剤の含浸時に添加してもよい。造核剤を添加することで気泡数を調節できる。造核剤の添加量は、所望する気泡数が得られるように適宜調節されるが、通常樹脂粒子100重量部に対して0.005〜1重量部である。なお、気泡数の調節は、発泡剤の種類及び添加量を選択することによっても行うことができる。
発泡樹脂粒子が、スチレン系樹脂粒子からなる場合に使用できるスチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−オクチルスチレン、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
また、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリル酸の炭素数1〜10のアルキルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル等のメタクリル酸の炭素数1〜10のアルキルエステル;ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート等の水酸基を有する不飽和化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有不飽和化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の有機酸ビニル化合物;エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン等の不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルインドール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロール等のN−ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアミド基を有する不飽和化合物;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;N−フェニルマレイミド、N−(メチル)フェニルマレイミド、N−(ヒドロキシ)フェニルマレイミド、N−(メトキシ)フェニルマレイミド、N−安息香酸マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド等のマレイミド系化合物;ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等の架橋性多官能ビニル化合物;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を有する不飽和化合物、等の各種のビニル系化合物を併用してもよい。
上記したこれらのスチレン系モノマー等を、例えばポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、ピロリン酸マグネシウム、第3燐酸カルシウム等の難溶性無機塩等、更には界面活性剤の存在下で、懸濁重合して0.2〜0.955mm程度の平均粒子径の樹脂粒子を重合することができる。なお、モノマーの水性媒体への添加は、予め一括に仕込んでもよいし、徐々に添加しながら行ってもよい。
発泡樹脂粒子は、0.01〜0.2の見掛比重を有していることが好ましい。見掛比重が0.2より大きい場合、クッション体が重くなるので好ましくなく、0.01未満の場合、発泡樹脂粒子の強度が弱くなるので好ましくない。より好ましい見掛比重は、0.015〜0.05である。
発泡樹脂粒子は、本発明の効果を阻害しない限り、粒子を構成する気泡の形状、気泡径、気泡数等は特に限定されない。特に、本発明者等は、発泡樹脂粒子を、その直径を含む面で切断したとき、直径方向において、25〜80個/mmの単位長さあたりの気泡数を有する発泡樹脂粒子が、クッション体の性能をより向上させることを見い出している。気泡数が25個/mm未満の場合、粒子同士の流動性が不十分となり易く、異音が発生しやすくなるので好ましくなく、80個/mmより多い場合、気泡を保持する気泡膜が薄くなり、発泡樹脂粒子の強度が弱くなるので好ましくない。なお、気泡数の測定法は実施例において説明する。
また、発泡樹脂粒子100重量部に対して0.4〜1.5重量部の流動促進剤(流動化剤)を含有することが好ましい。この流動促進剤は、発泡樹脂粒子の滑剤としての働きを有し、この働きにより発泡樹脂粒子が流動する際に擦れて生じる異音を抑制することができる。なお、本明細書における流動促進剤の含有量とは、充填材に実際に含まれる流動促進剤の量を意味し、樹脂粒子への原料としての添加量を意味するものではない。
流動促進剤とは、例えば脂肪酸(ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸)と金属(マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、アルミニウム)との塩、炭酸カルシウム、ポリエチレンワックス等が挙げられる。この中でも、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムが特に好ましい。流動促進剤の含有量が0.4重量部未満では流動性が不十分になる場合があり、異音の発生を抑制する効果が不十分となり易く、流動促進剤を1.5重量部を超えて含有してもさらなる効果が期待できない。また、0.45〜1.2重量部含有することがより好ましい。
発泡樹脂粒子に流動促進剤を含有させる方法として次の方法が挙げられる。例えば、発泡樹脂粒子形成用の単量体に含ませる方法、発泡剤含浸前かつ重合完了後の樹脂粒子に添加して含ませる方法、発泡剤を含浸させた発泡性樹脂粒子に添加して含ませる方法、発泡後の発泡樹脂粒子に添加して含ませる方法が挙げられる。この内、発泡性樹脂粒子に添加して含ませる方法は、発泡樹脂粒子の製造が容易であるとの観点から好ましい。
流動促進剤は、粉末、膜等のいずれの形態で発泡樹脂粒子に含有させてもよい。
粉末の場合、その平均粒子径は、少なくとも発泡樹脂粒子の平均粒子径より小さいことが好ましく、具体的には0.1〜100μmの範囲が挙げられ、より好ましい範囲は0.1〜30μmである。別の観点から、流動促進剤の平均粒子径は、発泡樹脂粒子の平均粒子径の1/1000〜1/10程度の範囲であることが好ましい。また、粉末の形状は、球状、針状、鱗片状、塊状、不定形状等いずれでもよい。また、添加する流動促進剤に対してポリブテン、ポリエチレングリコール、シリコンオイル等を展着材として添加してよい。展着材の添加割合は、添加する流動促進剤100重量部に対して1〜20重量部であることが好ましい。
粉末の場合、その平均粒子径は、少なくとも発泡樹脂粒子の平均粒子径より小さいことが好ましく、具体的には0.1〜100μmの範囲が挙げられ、より好ましい範囲は0.1〜30μmである。別の観点から、流動促進剤の平均粒子径は、発泡樹脂粒子の平均粒子径の1/1000〜1/10程度の範囲であることが好ましい。また、粉末の形状は、球状、針状、鱗片状、塊状、不定形状等いずれでもよい。また、添加する流動促進剤に対してポリブテン、ポリエチレングリコール、シリコンオイル等を展着材として添加してよい。展着材の添加割合は、添加する流動促進剤100重量部に対して1〜20重量部であることが好ましい。
なお、展着材を使用しない場合は、発泡樹脂粒子に所定量の流動促進剤が含有されるように撹拌条件を適宜調整することが好ましい。例えば、ヘンシェルミキサーのような撹拌機を使用して、比較的高いせん断力を粒子に付与する条件下で撹拌することが好ましい。展着材を使用する場合は、展着材が発泡樹脂粒子に流動促進剤が含有されることを助けるので、使用しない場合より比較的緩やかな条件で撹拌しても、発泡樹脂粒子に流動促進剤を含有させることができる。
膜の場合、例えば、流動促進剤を溶剤に溶解し、得られた溶液を樹脂粒子に噴霧した後乾燥する方法、溶液に樹脂粒子を浸漬した後乾燥する方法等により膜を形成することが可能である。更には、流動促進剤が、比較的低温で熔融する場合、熔融した流動促進剤を塗布又は浸漬することにより膜を形成することも可能である。
更に、必要に応じて難燃剤、難燃助剤、粒度分布調整剤等の添加剤を適宜添加しても、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム等のゴム成分を混合してもよい。更に、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ステアリン酸モノグリセライド等を帯電防止剤として使用してもよい。また、これらの他の剤と共に、少量のポリブテン、エチレングリコール、シリコンオイル等の展着材を添加してよい。
また、スチレン系発泡樹脂粒子は、このようにして得られたスチレン系発泡性樹脂粒子を蒸気等を使用して加熱し発泡させて製造できる。発泡させる方法としては、具体的には、例えば円筒形の予備発泡機を用いて、スチーム等で加熱し発泡させる等の方法が使用できる。本発明のスチレン系発泡樹脂粒子の発泡倍率は約5〜100倍(見掛比重0.01〜0.2)であることが好ましい。中でも約20〜65倍(見掛比重0.015〜0.05)のものは極めて良好な感触をクッション体に与えることができる。
香料含有粒子は、香料とそれを保持する担体粒子とからなる。担体粒子としては、シリカゲル、ゼオライト、活性炭、マグネシウム粉末、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸エステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等をベースとする粒子が挙げられる。
また、上記香料としては、特に限定されるものではなく、種々の香料を使用できる。例えば、フローラル系、シトラス系、フルーツ系、グリーン系、コスメティック系等の一般に広く利用される天然香料、合成香料、あるいはそれらの混合物の何れでもよい。また、香料の配合量は、香料含有粒子全体に対して、1〜20重量%とするのが好ましい。更に好ましくは5〜15重量%である。配合量が1重量%未満では芳香を知覚することが難しく、20重量%を超える場合は、良好なリラクゼーション、アロマテラピー効果を得がたいので好ましくない。
この香料の配合量は、香料の種類によって適宜変更できる。すなわち、香りの種類に応じて、強く香るほうが好ましいものは配合量を多めに設定でき、ほのかな香りのほうが好ましいものは配合量を少なめに設定できる。
充填材中の香料含有粒子の混合量は、発泡樹脂粒子100重量部に対して、1〜30重量部が好ましい。1重量部未満では芳香が弱く好ましくなく、30重量部を超えるとクッション体の手触りを悪化させるため好ましくない。
また、上記香料含有粒子の平均粒子径Daは、発泡樹脂粒子の平均粒子径をDとすると、D〜10Dの範囲が好ましく、より好ましくはD〜5Dである。DaがD未満であると香料含有粒子が袋体の隙間や繊維間から漏れ出したり、芳香の持続性が乏しくなったりするため好ましくない。また、10Dを超えるとクッション体の手触り感触を悪化させるため好ましくない。平均粒子径Daの測定方法は、実施例において説明する。
更に、発泡樹脂粒子の見掛比重を香料含有粒子の見掛比重で除した値が、0.025〜0.1の範囲にあることが好ましい。この範囲内とすることによって、香料含有粒子を発泡樹脂粒子中に比較的均一に分散させることが可能である。更に、香料含有粒子と発泡樹脂粒子との適度な比重差があることで、クッション体を触った時に、袋体付近の香料含有粒子が発泡樹脂粒子中を選択的に動き、手触りを悪化させることがない。上記の値が0.025未満では香料含有粒子の比重が、発泡樹脂粒子の比重に比べ非常に大きくなるので、香料含有粒子がクッション体の下部に偏り、その結果クッション体の手触りが悪化するため好ましくない。0.1を超えるとクッション体の手触りが悪化する傾向があり好ましくない。見掛比重の測定方法は、実施例において説明する。
更に、例えば担体粒子がシリカゲルのような非真球状物質の場合、クッション体の手触りが悪化する場合がある。悪化させないためには、できるだけ真球に近いほうが好ましく、具体的には香料含有粒子の平均粒子径(長径)Daと短径Dsが0.6≦Ds/Da≦1の関係にあることが好ましい。平均粒子径Daと短径Dsの測定方法は、実施例において説明する。
担体粒子への香料を付与する方法としては、特に限定されず、公知の方法をいずれも使用できる。例えば、香料を溶解又は分散させた溶液又は分散液に、単純に担体粒子を投入して、溶液又は分散液を担体粒子に含浸させ、必要に応じて溶媒を除去する方法が挙げられる。
発泡樹脂粒子と香料含有粒子の混合方法は、特に限定されず、公知の攪拌機で混合する方法が挙げられる。
発泡樹脂粒子と香料含有粒子の混合方法は、特に限定されず、公知の攪拌機で混合する方法が挙げられる。
本発明の微香性クッション体に使用できる袋体は、伸縮性を有する素材、化学繊維製や絹、木綿等からできた布等が使用できる。この内、優れた感触性を付与できる点から袋体は伸縮性を有する素材で構成されることが好ましい。この伸縮性を有する素材としては、具体的には、30〜300%の伸縮性を有する袋体を使用することが好ましい。この伸縮性を有する素材としては、弾性を有する例えばスパンデックス(ポリウレタン弾性糸)等が最も好ましい。上記袋体を使用すれば、以下の効果を奏する。
まず、上記発泡樹脂粒子が有する効果、すなわち発泡樹脂粒子同士が極めて小さな力で流動する滑りやすい性質を有することで、クッション体の手触り、感触を飛躍的に向上させることができる。また、袋体に伸縮性の素材を使用することで、クッション体の一部が圧縮された際に、充填された粒子が圧縮部位から他の部位に移動し、移動した粒子の容積を他の部位に位置する袋体が伸びて変形することで許容できるので、粒子の移動の許容範囲をより大きくすることができる。加えて、発泡樹脂粒子と袋体のこれら効果の相乗により、より好感触のクッション体を提供することができる。
また、異音の発生を抑え、好適な感触を発現させ、かつ恒久的なクッション性を充足させるために、上述したクッション体充填用の発泡樹脂粒子が充填材として封入されているので、袋体からこれらの充填材が漏れ出さないように開閉可能なファスナーを二重に設けた構造とすることがより好ましい態様である。また、袋体自体を二重構造とすることも有効である。
更に、1つの大きな袋体中に、充填材が封入された袋体を複数個入れた構成とすることも可能である。この場合、複数個の袋体中の充填材は、それぞれ異なる触感を有するものを使用してもよい。
特に本発明においては、充填材は、伸縮性を有する素材からなる袋体の内容積の1.1〜3.5倍の体積になるように袋体に封入されていることが好ましい。伸張性を有する素材で作られた袋体の内容積以上の体積の充填材を封入することで、発泡樹脂粒子と香料粒子とが偏りを生じにくく、加えて、感触とクッションの変形防止を両立することが可能である。ここで、充填材が袋体の内容積より1.1倍未満の場合、柔らかいクッション体となるため、変形防止の観点からはさほど効果はなく、3.5倍より大きい場合、手触り感、使用感等の感触が悪くなるので好ましくない。より好ましい範囲は、1.3〜2.5倍である。
上記伸縮性を有する素材からなる袋体を使用すれば、以下の効果を奏する。すなわち、袋体に伸縮性の素材を使用することで、クッション体の一部が圧縮された際に、充填された粒子が圧縮部位から他の部位に移動し、移動した粒子の容積を他の部位に位置する袋体が伸びて変形することで許容できるので、粒子の移動の許容範囲をより大きくすることができる。加えて、クッション体の手触り、感触を飛躍的に向上させることができる。
なお、充填材の封入量は袋体の素材の伸張性、袋体素材を伸張させたときの反作用力、クッション体形状、クッション体に及ぼす応力、クッション体の用途によって異なる。例えば、袋体の伸縮性が大きい場合は小さい場合と比較してより多くの充填材が必要となり、クッション体に及ぼす応力が大きい場合は小さい場合と比較してより多くの充填材が必要となる。また、クッション体の用途によって座り心地重視であれば、充填材の充填量を比較的少なくし、椅子のように適度の形状安定が要求される用途では、クッションの変形防止を重視し、比較的多くの充填材を封入する必要がある。
本発明の微香性クッション体は、ベッド、マットレス、枕、ぬいぐるみ、クッション、玩具、緩衝材、シール材、防音材、断熱材等として好適に使用できる。
上記クッション体の内、人が乗ったり、抱いたりするクッション体の場合、上記感触、芳香等に由来する効果により、適度に五感が刺激されて、脳内により多くのアルファー波がでることが予想される。その結果、人をよりリラックスさせることが期待できる。
更には、例えば、袋体の表面に目鼻口等の顔のプリントを施してもよい。その場合、上記発泡樹脂粒子と袋体の性質により、顔に表情を与える効果(アニメーション効果)を発揮させることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づき更に詳しく説明するが本発明はこれらにより限定されることはない。なお、実施例及び比較例中の各種値の測定方法を以下に示す。
<溶剤成分の測定方法>
発泡樹脂粒子をジメチルホルムアミドに溶解し、内部標準液(シクロペンタノール)を加えてGCにより測定する。但し、スチレン、トルエン、エチルベンゼン、クメン、キシレン、ノルマルプロピルベンゼンのピークについて、内部標準液を特定比率で混合した標準試料を作製し、これを測定して特定する。
GC:島津製作所社製 GC−14A
カラム:PEG−20M PT25% 60/80(2.5m)
カラム温度:105℃
検出器(FID)温度:220℃
発泡樹脂粒子をジメチルホルムアミドに溶解し、内部標準液(シクロペンタノール)を加えてGCにより測定する。但し、スチレン、トルエン、エチルベンゼン、クメン、キシレン、ノルマルプロピルベンゼンのピークについて、内部標準液を特定比率で混合した標準試料を作製し、これを測定して特定する。
GC:島津製作所社製 GC−14A
カラム:PEG−20M PT25% 60/80(2.5m)
カラム温度:105℃
検出器(FID)温度:220℃
<発泡樹脂粒子の平均粒子径Dの測定方法>
平均粒子径DとはJIS標準ふるい目開き4.00mm、目開き3.55mm、目開き2.80mm、目開き2.36mm、目開き2.00mm、目開き1.70mm、目開き1.40mm、目開き1.18mm、目開き1.00mm、目開き0.85mm、目開き0.71mm、目開き0.60mm、目開き0.50mm、目開き0.425mm、目開き0.355mm、目開き0.300mm、目開き0.250mm、目開き0.212mm、目開き0.180mmで分級し、累積重量分布曲線を基にして累積重量が50%となる粒径(メディアン系)である。
平均粒子径DとはJIS標準ふるい目開き4.00mm、目開き3.55mm、目開き2.80mm、目開き2.36mm、目開き2.00mm、目開き1.70mm、目開き1.40mm、目開き1.18mm、目開き1.00mm、目開き0.85mm、目開き0.71mm、目開き0.60mm、目開き0.50mm、目開き0.425mm、目開き0.355mm、目開き0.300mm、目開き0.250mm、目開き0.212mm、目開き0.180mmで分級し、累積重量分布曲線を基にして累積重量が50%となる粒径(メディアン系)である。
<香料含有粒子の平均粒子径(長径)Daと短径Dsの測定方法>
香料含有粒子の長径と短径を、中村製作所社製デジタルノギスEM3001で測定する。同様の測定を香料含有粒子10個について行い、その10個の長径及び短径を平均してDa及びDsとする。
香料含有粒子の長径と短径を、中村製作所社製デジタルノギスEM3001で測定する。同様の測定を香料含有粒子10個について行い、その10個の長径及び短径を平均してDa及びDsとする。
<見掛比重の測定方法>
パウダテスタ(ホソカワミクロン株式会社製)の見掛比重測定用カップ(内容積100ml)に発泡樹脂粒子又は香料含有粒子を静かに充満させ、附属のブレードを垂直に立てて発泡樹脂粒子の表面をすり切り、上皿天秤で重量を測定し、測定値を100で徐して得られた値を見掛比重と称する。
パウダテスタ(ホソカワミクロン株式会社製)の見掛比重測定用カップ(内容積100ml)に発泡樹脂粒子又は香料含有粒子を静かに充満させ、附属のブレードを垂直に立てて発泡樹脂粒子の表面をすり切り、上皿天秤で重量を測定し、測定値を100で徐して得られた値を見掛比重と称する。
<感触試験>
伸縮性を有する素材であるスパンデックス製の二重ファスナーの二重袋(円柱状:サイズ直径18cm×30cm、内容積7.63リットル)に表1に表す発泡樹脂粒子と表1に表す香料含有粒子を充填し、評価者10人で感触の評価を行った。8人以上が好感触と判断した場合を◎、6〜7人の場合を○、5人以下の場合を×とし、6人以上が好感触を判断したクッション体を合格とする。
伸縮性を有する素材であるスパンデックス製の二重ファスナーの二重袋(円柱状:サイズ直径18cm×30cm、内容積7.63リットル)に表1に表す発泡樹脂粒子と表1に表す香料含有粒子を充填し、評価者10人で感触の評価を行った。8人以上が好感触と判断した場合を◎、6〜7人の場合を○、5人以下の場合を×とし、6人以上が好感触を判断したクッション体を合格とする。
<香り試験>
発泡樹脂粒子及び香料含有粒子を充填し、次いで40℃のオーブン中で保管した後のクッション体の香り試験(充填直後、充填1ヶ月後)を行った。香料以外臭いが無く良好な香りがした場合、香りの強さで判断し、◎は香りが強い、○は香る、△はかすかに香る、×は香らないとした。また、香料以外の臭いを感じた場合は××とした。評価が◎、○を合格とする。
発泡樹脂粒子及び香料含有粒子を充填し、次いで40℃のオーブン中で保管した後のクッション体の香り試験(充填直後、充填1ヶ月後)を行った。香料以外臭いが無く良好な香りがした場合、香りの強さで判断し、◎は香りが強い、○は香る、△はかすかに香る、×は香らないとした。また、香料以外の臭いを感じた場合は××とした。評価が◎、○を合格とする。
実施例1
100リットルのオートクレーブに、120gのリン酸カルシウム(太平化学社製 商品名:第三リン酸カルシウム)と、0.24gの亜硫散水素ナトリウム及び0.24gの過硫酸カリウムを加え、更に133gの過酸化ベンゾイル(純度75%,日本油脂社製 商品名:ナイパーBW)、56gのt−へキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(純度90%,日本油脂社製 商品名:パーヘキシルI)、40kgのイオン交換水及びスチレン以外の溶剤成分264ppmを含むスチレンモノマー40kgを混合して仕込み、撹拌して溶解及び分散させ懸濁液を形成した。
100リットルのオートクレーブに、120gのリン酸カルシウム(太平化学社製 商品名:第三リン酸カルシウム)と、0.24gの亜硫散水素ナトリウム及び0.24gの過硫酸カリウムを加え、更に133gの過酸化ベンゾイル(純度75%,日本油脂社製 商品名:ナイパーBW)、56gのt−へキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(純度90%,日本油脂社製 商品名:パーヘキシルI)、40kgのイオン交換水及びスチレン以外の溶剤成分264ppmを含むスチレンモノマー40kgを混合して仕込み、撹拌して溶解及び分散させ懸濁液を形成した。
次にオートクレーブを200rpmで撹拌して、スチレンモノマーを90℃で8時間、更に125℃で3.5時間重合反応させた。反応終了後、冷却し、オートクレーブから内容物を取り出し、遠心分離工程に付したのち、乾燥させスチレン樹脂粒子を得た。
5リットルのオートクレーブに2000gの水、12gのピロリン酸マグネシウム及び0.3gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、0.1gのジラウリル−3,3’−チオジプロピオネートを仕込み、水性媒体とし、これに0.25〜0.5mmに篩い分けたスチレン樹脂粒子2000gを加えて300rpmで撹拌した。
次いで、110℃に昇温し、この温度を維持しながら180gのペンタンを圧入し、1時間30分合浸させ、その後冷却を行い発泡性スチレン樹脂粒子を得た。
この発泡性スチレン樹脂粒子を、内容積50リットルのパッチ型予備発泡機で、水蒸気により均一加熱することで平均粒子径D=1.0mm、見掛比重0.033の発泡樹脂粒子を得た。得られた発泡樹脂粒子を30℃の乾燥室で24時間乾燥させた。この発泡樹脂粒子の残留溶剤分の量は205ppmであった。
更に、シリカゲル(青島海洋化工有限公司社製HAIYANG SILICAGEL TYPE B SPHEREQ/02HHJ010−1999)70重量%にアルコール10重量%、オレンジ系香料10%重量、ジプロピレングリコール10重量%を樹脂製の袋に投入して密封した後、シリカゲルが崩壊しないよう袋を手で揺動して攪拌した。その後、袋を開封し、開封の状態のまま室温25℃で3時間乾燥させた。
得られた香料含有粒子(見掛比重=0.71、平均粒子径(長径)Da4mm、短径Ds3.8mm)28gと上記発泡樹脂粒子280g(8.4リットル)を伸縮性を有する素材であるスパンデックス製の二重ファスナーの二重袋(円柱状:サイズ直径18cm×30cm、内容積7.63リットル)に充填して微香性クッション体を得た。その後、感触試験、香り試験を行った。結果を表1に示す。
実施例2
発泡樹脂粒子の乾燥温度を60℃にしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
発泡樹脂粒子の乾燥温度を60℃にしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例3
発泡樹脂粒子の乾燥温度を60℃に変更し、乾燥時間を7日間にしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結束を表1に示す。
発泡樹脂粒子の乾燥温度を60℃に変更し、乾燥時間を7日間にしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結束を表1に示す。
実施例4
スチレン以外の溶剤成分210ppmを含むスチレンモノマーを使用したこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
スチレン以外の溶剤成分210ppmを含むスチレンモノマーを使用したこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例5
スチレン以外の溶剤成分432ppmを含むスチレンモノマーを使用したこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
スチレン以外の溶剤成分432ppmを含むスチレンモノマーを使用したこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例6
香料含有ビーズの添加量を8.4gに変更したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
香料含有ビーズの添加量を8.4gに変更したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例7
香料含有粒子の添加量を70gに変更したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
香料含有粒子の添加量を70gに変更したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例8
香料含有粒子の平均粒子径をDa8mmに変更したこと以外は、実施例1と同様に行った。
結果を表1に示す。
香料含有粒子の平均粒子径をDa8mmに変更したこと以外は、実施例1と同様に行った。
結果を表1に示す。
実施例9
発泡樹脂粒子の量を240g(7.2リットル)としたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
発泡樹脂粒子の量を240g(7.2リットル)としたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例10
0.25〜0.34mmに篩い分けたスチレン樹脂粒子を使用すること以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。この発泡樹脂粒子の残留溶剤分の量は195ppm、平均粒子径Dは0.85mmであった。
0.25〜0.34mmに篩い分けたスチレン樹脂粒子を使用すること以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。この発泡樹脂粒子の残留溶剤分の量は195ppm、平均粒子径Dは0.85mmであった。
比較例1
実施例4において、含浸時にトルエン1gを添加することで、溶剤成分を729ppm含有する発泡性スチレン系樹脂粒子を得たこと以外は、実施例4と同様に行った。結果を表1に示す。この発泡樹脂粒子の残留溶剤成分の量は592ppmであった。充填直後は香料と残存スチレンモノマーが混ざり、若干の溶剤臭が感じられた。但し、充填1カ月後は残存溶剤成分が揮発して、125ppmまでに減少し溶剤臭はなかった。
実施例4において、含浸時にトルエン1gを添加することで、溶剤成分を729ppm含有する発泡性スチレン系樹脂粒子を得たこと以外は、実施例4と同様に行った。結果を表1に示す。この発泡樹脂粒子の残留溶剤成分の量は592ppmであった。充填直後は香料と残存スチレンモノマーが混ざり、若干の溶剤臭が感じられた。但し、充填1カ月後は残存溶剤成分が揮発して、125ppmまでに減少し溶剤臭はなかった。
比較例2
実施例4において、含浸時にエチルベンゼン2gを添加することで、溶剤成分を1199ppm含有する発泡性スチレン系樹脂粒子を得たこと以外は、実施例4と同様に行った。結果を表1に示す。この発泡樹脂粒子の残留溶剤成分の量は1027ppmであった。充填直後は香料と残存スチレンモノマーが混ざり不快臭が感じられた。但し、充填1カ月後は残存溶剤成分が揮発し365ppmに減少し不快臭はなかった。
実施例4において、含浸時にエチルベンゼン2gを添加することで、溶剤成分を1199ppm含有する発泡性スチレン系樹脂粒子を得たこと以外は、実施例4と同様に行った。結果を表1に示す。この発泡樹脂粒子の残留溶剤成分の量は1027ppmであった。充填直後は香料と残存スチレンモノマーが混ざり不快臭が感じられた。但し、充填1カ月後は残存溶剤成分が揮発し365ppmに減少し不快臭はなかった。
比較例3
実施例4において、含浸時にトルエン2g、エチルベンゼン2gを添加することで、溶剤分を2184ppm含有する発泡性スチレン系樹脂粒子を得たこと以外は、実施例4と同様に行った。結果を表1に示す。この発泡樹脂粒子の残留溶剤成分の量は1984ppmであった。充填直後は香料と残存スチレンモノマーが混ざり強い不快臭が感じられた。また、充填1カ月後の残存溶剤成分は842ppmであり、充填1カ月後でも香料と残存スチレンモノマーが混ざり不快臭が感じられた。
実施例4において、含浸時にトルエン2g、エチルベンゼン2gを添加することで、溶剤分を2184ppm含有する発泡性スチレン系樹脂粒子を得たこと以外は、実施例4と同様に行った。結果を表1に示す。この発泡樹脂粒子の残留溶剤成分の量は1984ppmであった。充填直後は香料と残存スチレンモノマーが混ざり強い不快臭が感じられた。また、充填1カ月後の残存溶剤成分は842ppmであり、充填1カ月後でも香料と残存スチレンモノマーが混ざり不快臭が感じられた。
比較例4
0.5〜0.7mmに篩い分けたスチレン樹脂粒子を使用すること以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。この発泡樹脂粒子の残留溶剤分の量は258ppm、平均粒子径Dは1.6mmであった。
0.5〜0.7mmに篩い分けたスチレン樹脂粒子を使用すること以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。この発泡樹脂粒子の残留溶剤分の量は258ppm、平均粒子径Dは1.6mmであった。
実施例1〜9と比較例1〜3から、次のことがわかる。
実施例1〜9と比較例1〜3から、溶剤成分が400ppm以下であれば、充填直後でも良好な芳香を得ることができると共に、良好な芳香を長期間維持できることがわかった。
実施例1〜9と比較例1〜3から、溶剤成分が400ppm以下であれば、充填直後でも良好な芳香を得ることができると共に、良好な芳香を長期間維持できることがわかった。
実施例8から、香料含有粒子のDaが大きい場合、良好な香りをより長く維持できることがわかった。
Claims (6)
- 溶剤成分の含有量が400ppm以下であり、かつ平均粒子径が0.4〜1.4mmである発泡樹脂粒子と、香料含有粒子との混合物を充填材として袋体に封入させた微香性クッション体。
- 前記溶剤成分が、スチレン、トルエン、エチルベンゼン、クメン、キシレン、ノルマルプロピルベンゼンである請求項1に記載の微香性クッション体。
- 前記発泡樹脂粒子の平均粒子径Dと、香料含有粒子の平均粒子径Daが、関係式D≦Da≦10Dを満たす請求項1に記載の微香性クッション体。
- 前記香料含有粒子が、発泡樹脂粒子100重量部に対して、1〜30重量部の割合で含まれる請求項1に記載の微香性クッション体。
- 前記袋体が、伸縮性を有する素材で構成されている請求項1に記載の微香性クッション体。
- 前記伸縮性を有する素材からなる袋体中に、該袋体の内容積の1.1〜3.5倍の体積の充填材を封入させた請求項5に記載の微香性クッション体。
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