JP5690629B2 - ポリスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、ポリスチレン系発泡性樹脂粒子を一旦発泡させて発泡粒子を作製し、この発泡粒子を金型内で加熱することによって断熱性容器などの発泡成形品を作製することが従来行われている。
この内、後者の製造方法においては、例えば、下記特許文献1に示されているような水中カット式造粒機が使用されており、この種の水中カット式造粒機でポリスチレン系発泡性樹脂粒子を作製するのに際しては、溶融ポリスチレン系樹脂が水ですばやく冷却されるため発泡剤の散逸を抑制することができるとともにポリスチレン系樹脂粒子に後から発泡剤を含浸させるようなバッチ式の方法と違って連続生産が可能で効率的な生産が可能である。
即ち、ポリスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法においては、水中カット式造粒機を用いて粒径のそろった均質な製品を得ることが困難であるという問題を有している。
そうして、本発明者らは、準備工程での樹脂圧をある程度以上に確保しておくことで上記のような現象を抑制させ得ることを見出して本発明を完成させるに至ったものである。
まず、前記ポリスチレン系発泡性樹脂粒子を製造するための水中カット式造粒機について説明する。
前記チャンバー4には、循環する水を流すための管路5が接続され、この管路5の一端(チャンバー4より上流側)が、送水ポンプ6を介して水槽7に接続されている。
また、管路5の他端(チャンバー4より下流側)には、循環水から発泡性樹脂粒子を分離し、脱水・乾燥する脱水処理部8が設けられている。
この脱水処理部8で分離され、脱水・乾燥した発泡性樹脂粒子は、容器9に送られるようになっており、水は前記水槽7に返送されるようになっている。
そして、符号21はホッパー、22は発泡剤供給口、23は高圧ポンプである。
なお、造粒装置Tおよび造粒用ダイス1において、樹脂が吐出される側を「先方」、「先端」とし、その反対側を「後方」、「後端」として以下の説明では統一して用いる。
すなわち、ダイホルダ11の後端側流路11aを通過した溶融ポリスチレン系樹脂20は先端側流路11bにおいて円錐状凸部10aの周面に沿って流れ、複数の樹脂流路14を通ってダイス本体10の先端面に開口する複数のダイス孔15に連通する構成となっている。
カートリッジヒーター17および短ヒーター18は、従来周知のカートリッジヒーターの中からダイス本体10の大きさや形状に応じて適宜選択して使用できる。
つまり、カートリッジヒーター17および短ヒーター18としては、例えば棒状のセラミックに巻き付けた発熱線(ニクロム線)をパイプ(耐熱ステンレス鋼)の中に挿入し、発熱線とパイプの隙間を高熱伝導性と高絶縁性に優れた材料(MgO)で封じ込めた、電力密度の高い棒状ヒーターを用いることができる。カートリッジヒーター17及び短ヒーター18は、片側にリード線が2本付いたカートリッジヒーターでも、両側にリード線が1本ずつ付いたカートリッジヒーター(シーズヒーター)でもよいが、片側にリード線が2本付いたカートリッジヒーターの方がより高い電力密度を得られるので好ましい。
そして、断熱材16が配置され、複数のダイス孔15が開口されている樹脂吐出面10fの中央部分は、チャンバー4内部で水と接触するようになっている。
そして、前述したように各樹脂流路14は、ダイホルダ11の先端側流路11bに連通しており、前記ダイバータバルブ13の第一流路11cを通じて溶融ポリスチレン系樹脂20をダイス孔15まで流通させ得るように設けられている。
この断熱材16としては、耐水性があり、表面硬度の高い構造の断熱材を用いることが好ましい。
例えば、高温のダイス本体10と接触しても変形等を起こさない耐熱性能と断熱性能に優れた断熱材を配し、これを断熱性能に優れたフッ素樹脂等の防水性樹脂で被覆し、さらに樹脂吐出面10f側には、ステンレス鋼、セラミックスなどの表面硬度の高い材料を順に積層した積層タイプの断熱材16を用いることができる。
カートリッジヒーター17は、樹脂流路14の前記円周の周方向両側に配置されるとともに、長手方向を円周の径方向に向けてその円周を横切った状態で配置され、樹脂吐出面10fの近傍において、該樹脂吐出面10f、ダイス孔15、及び樹脂流路14を加熱する機能を有している。
本実施の形態のカートリッジヒーター17は、それぞれが円周方向に所定の中心角(ここでは、45°の角度)をもって8本設けられている。
つまり、個々のダイス孔15は、2本のカートリッジヒーター17によって前記円周の周方向から挟み込まれるようにして配置されている。
ここで、ヒーター深さとは、樹脂吐出面10fから表面加熱用のカートリッジヒーター17の中心部までの距離であり、ダイスの加工面や耐久性に支障がでない範囲で、その距離が小さい方がダイス孔15の閉塞抑制効果が大きくなり好ましい。
つまり、ヒーター深さとしては、10〜50mmの範囲が好ましい。
10mm未満ではダイスの加工面や耐久性に支障がでるおそれがあり、50mmを超えるとダイス孔15の閉塞抑制効果が低下するおそれがある。
このようなことから、より好ましい範囲は、15〜30mmである。
即ち、カートリッジヒーター17の直径としては、15mm以下が好ましいが、10mm未満では必要な発熱容量が確保できにくくヒーターも高価となるため、10mm〜15mmが好ましく、10mm〜12mmがより好ましい。
そして、カートリッジヒーター17の長さ寸法は、ダイス本体10の半径方向で、配置されるダイス孔15より中心側に延びる位置(すなわち、少なくともカートリッジヒーター17の先端部がダイス孔15より中心側となる位置)からダイス本体10の略外周までの位置とされることが好ましい。
第1の測温体19Aは、ダイス本体10の中央部の温度(ダイス本体の温度:ダイス保持温度)を測定する。
第2の測温体19Bは、ダイホルダ11内を流れる溶融ポリスチレン系樹脂20の温度及び樹脂圧力を測定するためのものである。
スクリュを用いる押出機としては、例えば、単軸式押出機、多軸式押出機、ベント式押出機、タンデム式押出機などが挙げられる。
スクリュを用いない押出機としては、例えば、プランジャ式押出機、ギアポンプ式押出機などが挙げられる。
また、いずれの押出機もスタティックミキサーを用いることができる。
これらの押出機のうち、生産性の面からスクリュを用いた押出機が好ましい。
また、カッター3を収容したチャンバー4も、ホットカット法において用いられている従来周知のものを用いることができる。
あるいは、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などが挙げられる。
このリサイクル原料としては、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体、例えば、魚箱、家電緩衝材、食品包装用トレーなどを回収し、リモネン溶解方式や加熱減容方式によって再生したリサイクル原料を用いることができる。
また、使用することができるリサイクル原料は、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体を再生処理して得られたもの以外にも、家電製品(例えば、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)や事務用機器(例えば、複写機、ファクシミリ、プリンターなど)から分別回収された非発泡のポリスチレン系樹脂成形体を粉砕し、溶融混練してリペレットしたものを用いることができる。
特にペンタン類は、ノズルから水流中に吐出される際の粒子の発泡を抑制しやすいので好適に用いられる。
また、発泡性樹脂粒子を形成させるための材料としては、前記ポリスチレン系樹脂や前記発泡剤以外に、着色剤やその他の添加剤を必要に応じて適宜採用させ得る。
さらに、ポリスチレン系樹脂発泡剤、添加剤の配合も発泡性樹脂粒子の目的に応じて適宜決定すればよい。
造粒装置Tを用いて発泡性樹脂粒子を作製するには、まず、造粒用ダイス1を先端に取り付けた押出機2にホッパー21からポリスチレン系樹脂を供給するとともに発泡剤供給口22から高圧ポンプ23によって発泡剤を所定の圧力で押出機2に圧入してこれらの溶融混練を実施する。
即ち、前記樹脂流路14及び前記ダイス孔15に溶融ポリスチレン系樹脂20を内在させず空の状態で押出機2による溶融混練のみを実施する。
この準備工程は、押出機2の温度や発泡剤の圧力等の押出機側の条件、及び、カートリッジヒーター17や短ヒーター18によるダイス本体10の加熱状態等が安定するまで実施し、これらの条件が安定した時点で発泡性樹脂粒子を製造する造粒工程に移行する。
即ち、前記ダイバータバルブ13の第一流路11cが後端側流路11aに接続されることにより、それまで機外に排出されていた溶融ポリスチレン系樹脂20が樹脂流路14を通じてダイス孔15から水中に押出され、カッター3によって切断されて発泡性樹脂粒子が作製されることになり、造粒工程が開始されることになる。
即ち、準備工程において前記第2の測温体19Bで測定される樹脂圧を造粒工程での樹脂圧の10%以上にしておくことで造粒工程に移行した後、樹脂流路14やダイス孔15における樹脂圧を素早く上昇させ、ダイス孔15の閉塞を防止するものである。
なお、樹脂圧は、準備工程の全ての期間を通じて造粒工程の10%以上を維持させる必要はなく、溶融ポリスチレン系樹脂20の流路を第二流路11dから第一流路11cに切り替えて造粒工程に移行する直前(例えば、1分前)において造粒工程移行直後(流路切り替え直後)の10%以上になっていればよい。
ここで、「溶融ポリスチレン系樹脂の温度」とは、押出機2の先端からダイホルダ11に流入してきた溶融ポリスチレン系樹脂20の温度であり、第2の測温体19Bにより測定される温度である。
また、前記条件で造粒を行うと、得られる発泡性樹脂粒子内部のボイドが少なくなり、その発泡性樹脂粒子を型内発泡成形して製造した発泡成形体の機械強度を向上させることができる。
また、ダイス本体10の温度が溶融樹脂温度+200℃を超えると、得られる発泡性樹脂粒子が微発泡し、小粒で粒径の揃った粒子を連続生産することができなくなるおそれがあるためである。
一方、循環水の温度が60℃を超えると、カットされた樹脂の冷却が不十分となり、発泡性樹脂粒子に発泡を生じさせてしまうおそれを有するためである。
このようなことから循環水の温度は、好ましくは20℃〜40℃の範囲であり、より好ましくは25℃〜35℃の範囲である。
なお、分離した水は水槽7に送られ、この脱水処理部8で分離され、脱水・乾燥した発泡性樹脂粒子は、容器9に送られてこの容器内に収容される。
また、この平均粒径2mm以下の発泡性樹脂粒子は、自由空間内で加熱して予備発泡し、この予備発泡粒子を所望の形状のキャビティを有する成形型のキャビティ内に入れ、蒸気加熱して予備発泡粒子どうしを融着させた後、離型して所望形状の発泡樹脂成形体を製造するのに好適なである。
また、本実施形態に係る製造方法により得られる発泡性樹脂粒子は、粒子内部のボイドも抑制することができるために、得られた発泡性樹脂粒子を型内発泡成形して製造した発泡成形体の機械強度を向上させることができる。
(1)ダイス孔15の孔径は、0.2mm〜2.0mmの範囲が好ましく、0.3mm〜1.0mmの範囲がより好ましく、0.4mm〜0.7mmの範囲がさらに好ましい。
(2)得られる発泡性樹脂粒子の平均粒径は、0.3mm〜2.0mmの範囲が好ましく、0.5mm〜1.4mmの範囲がより好ましく、0.7mm〜1.2mmの範囲がさらに好ましい。
(3)用いるポリスチレン系樹脂の重量平均分子量Mwは12万〜40万の範囲が好ましく、12万〜27万の範囲がより好ましい。また、用いるポリスチレン系樹脂は、JIS K7210(B法、試験温度200℃、荷重49.03N)に基づくメルトマスフローレイト(MFR)が5g/10min〜10g/minのものが好ましい。
(4)発泡性樹脂粒子中の発泡剤含有量は、1〜10質量%の範囲が好ましく、3〜8質量%の範囲がより好ましく、4〜7質量%の範囲がさらに好ましい。
(5)発泡剤は、ノルマルペンタン、イソペンタン、又はこれらの任意の割合の混合した混合ペンタンが好ましい。
混合ペンタンの場合、その組成は質量比でイソペンタン:ノルマルペンタン=10:90〜80:20の範囲が好ましく、イソペンタン:ノルマルペンタン=20:80〜60:40の範囲がより好ましい。
実施例1では、図2に示すようなダイバータバルブを有し、直径0.6mm、ランド長3.0mmのダイス孔を80個備えたダイスを有する水中カット式造粒機を用い、しかも、前記ダイバータバルブの機外排出側の樹脂流路の出口に口径3mm、ランド長15mmの貫通孔を有する穴開き栓を装着し、該樹脂流路を通じて押出機からダイに供給される溶融ポリスチレン系樹脂を機外に排出させるようにダイバータバルブをセットした水中カット式造粒機を用いた。
また、前記ダイスを取り付ける押出機として、口径65mm−50mmのタンデム型押出機が備えられた水中カット式造粒機を用いた。
具体的には、上流側の押出機を下流側の押出機に比べて高温にセットして発泡剤の溶解性を高めた状態にし、最終的に前記ダイスに175℃の樹脂温度で溶融樹脂が供給されるように押出機の温度設定を行った。
その後、発泡剤としてイソペンタンを、ポリスチレン樹脂100質量部に対する割合が6質量部となるように前記押出機に圧入し、前記ポリスチレン樹脂などとともに溶融混練して前記ダイスに供給し、前記ダイバータバルブの樹脂流路を通じて機外に排出させた(準備工程)。
なお、この時の樹脂圧は13.5MPaであった。
なお、計測に際しては、一定時間当たりにおけるカッターでの切断回数(回転数(rpm)×刃数)を「X」とし、一定時間に得られる発泡性樹脂粒子の数を「N(個/分)」として、下記式により求めた。
健全なダイス孔の数(開口数)=N/X
ただし、一定時間に得られる発泡性樹脂粒子の数「N(個/分)」については、一定時間の溶融ポリスチレン系樹脂吐出量「M(kg/分)」を発泡性樹脂粒子の平均質量「m(kg/個)」で除して求めた(N=M/m)。
また、発泡性樹脂粒子の平均質量「m(kg/個)」は、無作為に100個の発泡性樹脂粒子を数え採り、その質量「Mx(kg)」を個数で除して求めた(m=Mx/100)。
また、同様にして、24時間後の開口率を確認したところ60%(閉塞されていないダイス孔48個)であることが確認できた。
準備工程においてダイバータバルブに装着する穴開き栓の穴径を変更することにより、樹脂圧を変更させたこと以外は、実施例1と同様にして発泡性樹脂粒子を作製し、開口数、及び、開口率を測定した。
押出機を口径90mmのシングル押出機に変更したこと、該押出機からのダイスに供給する溶融ポリスチレン系樹脂の量を170kg/hとしたこと、直径0.6mm、ランド長3.0mmのダイス孔を200個備えたダイスを用いたこと、及び、チャンバーの循環水量を18m3/hとしたこと以外は、実施例1と同様にして発泡性樹脂粒子を作製し、開口数、及び、開口率を測定した。
なお、この実施例4の準備工程での樹脂圧は1.4MPaとした。
即ち、本発明によれば、水中カット式造粒機を用いて均質なポリスチレン系発泡性樹脂粒子が得られることがわかる。
Claims (1)
- 複数のダイス孔を有するダイスと、該ダイスに溶融樹脂を供給する押出機とを備え、前記ダイスがダイバータバルブを有し、該ダイバータバルブが、前記押出機から供給される溶融樹脂を前記ダイス孔に供給する第一の流路と機外に排出する第二の流路とを有している水中カット式造粒機を用い、発泡剤を含有する溶融ポリスチレン系樹脂を前記押出機から前記ダイスに供給しつつ前記第二の流路を通じて機外に排出させる準備工程を実施し、該準備工程後に、前記溶融ポリスチレン系樹脂の流路を前記第一の流路に切り替えてポリスチレン系発泡性樹脂粒子を作製するポリスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法であって、
前記第一の流路への切り替え前の前記溶融ポリスチレン系樹脂の樹脂圧が、前記切り替え後の10%以上となるようにして前記準備工程を実施し、
且つ、製造するポリスチレン系発泡性樹脂粒子の平均粒径が2mm以下であることを特徴とするポリスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。
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