JP5470120B2 - 熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などの熱可塑性樹脂粒子に発泡剤を含有させた発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡装置によって加熱し、目的とする嵩密度(嵩発泡倍数)となるように予備発泡させて熱可塑性樹脂予備発泡粒子を製造するための製造装置に関し、特に、得られる予備発泡粒子の嵩発泡倍数のバラツキが小さく均一な熱可塑性樹脂予備発泡粒子を製造することが可能となる製造方法及び製造装置に関する。
従来より、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などの熱可塑性樹脂の発泡成形体を製造するための方法として、熱可塑性樹脂粒子に発泡剤を含有させた発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡装置によって加熱し、目的とする嵩密度(嵩発泡倍数)となるように予備発泡させて予備発泡粒子を製造し、得られた予備発泡粒子を目的とする成形品形状のキャビティを有する成形型の該キャビティ内に充填し、前記成形型内の予備発泡粒子を加熱し発泡させた後冷却し、成形型から発泡成形体を取り出す、いわゆる型内発泡成形法が知られている。
前記予備発泡においては、目的とする嵩密度(嵩発泡倍数)を有する予備発泡粒子を製造するために、予備発泡装置の発泡槽に発泡性熱可塑性樹脂粒子を入れて蒸気加熱する際、発泡槽の高さ方向に沿って、低レベルの第1レベルと最終レベルである第2レベルを位置決めしておき、発泡槽に発泡性熱可塑性樹脂粒子を供給した後、蒸気を通して該粒子を加熱し、発泡粒子層の高さが第1レベルに達した時点で蒸気の供給量を減じるなどによって発泡速度を緩めて、第2レベルまで発泡させることが行われている。
前記予備発泡を行うための予備発泡装置としては、蒸気供給管路と槽内撹拌手段とが設けられた発泡槽(予備発泡槽、蒸気ジャケットなどとも称される。)を備えた装置が提供されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
特許文献1には、発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡槽内で撹拌しながら、予備発泡槽の隔壁を介して、外部から間接的に樹脂粒子を加熱して、予備発泡させることを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡法が開示されている。
特許文献2には、発泡性熱可塑性樹脂粒子を収容する容器本体と、この容器本体内に底部から加熱媒体を導入させる導入室とを有し、導入された加熱媒体で発泡性熱可塑性樹脂粒子を加熱して所定粒径の予備発泡粒子に形成する予備発泡装置であって、上記容器本体の側壁の周囲には、容器本体の側壁を加熱する加熱手段が設けられていることを特徴とする予備発泡装置が開示されている。
特開昭61−192524号公報 特開平7−188448号公報
しかしながら、特許文献1,2に記載されたような従来の予備発泡装置は、加熱媒体である蒸気を発泡槽の底部側から供給し、発泡性熱可塑性樹脂粒子を撹拌しながら加熱、発泡させる構成であり、これを用いて予備発泡し得られた熱可塑性樹脂予備発泡粒子は、発泡槽の高さ方向に発泡度合(嵩発泡倍数)のバラツキを生じ易いという問題があった。
予備発泡により得られた熱可塑性樹脂予備発泡粒子は、大型の予備発泡粒子貯留槽(サイロ、熟成タンクなどとも称される)に送られ、槽内で放置熟成した後、発泡成形装置に供給されて型内発泡成形されるが、前述したように熱可塑性樹脂予備発泡粒子の嵩発泡倍数にバラツキがある場合(すなわち、嵩密度にバラツキがある場合)、前記予備発泡粒子貯留槽内で該予備発泡粒子がその嵩密度に応じて高さ方向に層分離を生じてしまい、予備発泡粒子貯留槽から発泡成形装置に熱可塑性樹脂予備発泡粒子を供給するタイミングによって、型内発泡成形して得られた発泡成形体の密度にバラツキを生じてしまうおそれがある。発泡成形体の密度のバラツキが大きいと、発泡成形体の全体質量や機械強度に影響を及ぼすことから、特に、盛土用ブロックなどの発泡成形体利用分野では、発泡成形体の密度のバラツキを極力低減することが求められている。
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、嵩発泡倍数のバラツキが小さく均一な熱可塑性樹脂予備発泡粒子を製造することが可能な熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造装置及び製造方法の提供を目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、槽内に挿入された回転軸に多段に設けられた撹拌部と、該撹拌部と接触しない位置の槽内壁に多段に設けられた固定部とを有する発泡槽と、槽内に加熱媒体を供給する加熱媒体供給管路とを含む熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造装置において、
前記撹拌部と前記固定部との一方又は両方に、加熱媒体噴出口とそれに繋がる槽内加熱媒体供給路が設けられ、
前記加熱媒体供給管路は、前記発泡槽の底部側から該槽内に加熱媒体を供給する第1の加熱媒体供給管路と、前記槽内加熱媒体供給路に加熱媒体を供給する第2の加熱媒体供給管路とを有し、且つ前記第1の加熱媒体供給管路と前記第2の加熱媒体供給管路とに供給する加熱媒体量を調整可能になっていることを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造装置を提供する。
また本発明は、槽内に挿入された回転軸に多段に設けられた撹拌部と、該撹拌部と接触しない位置の槽内壁に多段に設けられた固定部とを有する発泡槽と、槽内に加熱媒体を供給する加熱媒体供給管路とを含む熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造装置において、
前記固定部に、加熱媒体噴出口とそれに繋がる槽内加熱媒体供給路が設けられ、
前記加熱媒体供給管路は、前記発泡槽の底部側から該槽内に加熱媒体を供給する第1の加熱媒体供給管路と、前記槽内加熱媒体供給路に加熱媒体を供給する第2の加熱媒体供給管路とを有し、且つ前記第1の加熱媒体供給管路と前記第2の加熱媒体供給管路とに供給する加熱媒体量を調整可能になっていることを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造装置を提供する。
本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造装置において、多段に設けられた前記固定部のうち、少なくとも上段側にある1つ以上の前記固定部に前記加熱媒体噴出口とそれに繋がる槽内加熱媒体供給路が設けられたことが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造装置において、前記固定部が、中空の管状をなし、その側面又は下面に多数の加熱媒体噴出口が設けられた構成であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造装置において、前記発泡槽内で生成した熱可塑性樹脂予備発泡粒子の層高さが、目的とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子の嵩発泡倍数に対応する最終レベルよりも低位置である第1レベルと、最終レベルである第2レベルとに、レベル検知手段が設けられていることが好ましい。
また本発明は、槽内に挿入された回転軸に多段に設けられた撹拌部と、該撹拌部と接触しない位置の槽内壁に多段に設けられた固定部とを有する発泡槽と、槽内に加熱媒体を供給する加熱媒体供給管路とを含む熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造装置を用い、前記発泡槽に発泡性熱可塑性樹脂粒子を供給し、該粒子を撹拌しながら加熱媒体を加熱発泡させて熱可塑性樹脂予備発泡粒子を製造する方法において、
前記製造装置は、前記撹拌部と前記固定部との一方又は両方に、加熱媒体噴出口とそれに繋がる槽内加熱媒体供給路が設けられ、前記加熱媒体供給管路は、前記発泡槽の底部側から該槽内に加熱媒体を供給する第1の加熱媒体供給管路と、前記槽内加熱媒体供給路に加熱媒体を供給する第2の加熱媒体供給管路とを有し、且つ前記第1の加熱媒体供給管路と前記第2の加熱媒体供給管路とに供給する加熱媒体量を調整可能に構成され、
前記発泡槽内で生成した熱可塑性樹脂予備発泡粒子の層高さが、目的とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子の嵩発泡倍数に対応する最終レベルよりも低位置である第1レベルと、最終レベルである第2レベルを設定し、前記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の層高さが前記第1レベル又はそれ以下の位置に達した後、前記第1の加熱媒体供給管路からの加熱媒体の供給を減少又は停止すると共に、前記第2の加熱媒体供給管路から加熱媒体を供給して前記第2レベルまでの加熱発泡を行うことを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法を提供する。
また本発明は、槽内に挿入された回転軸に多段に設けられた撹拌部と、該撹拌部と接触しない位置の槽内壁に多段に設けられた固定部とを有する発泡槽と、槽内に加熱媒体を供給する加熱媒体供給管路とを含む熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造装置を用い、前記発泡槽に発泡性熱可塑性樹脂粒子を供給し、該粒子を撹拌しながら加熱媒体を加熱発泡させて熱可塑性樹脂予備発泡粒子を製造する方法において、
前記製造装置は、前記固定部に、加熱媒体噴出口とそれに繋がる槽内加熱媒体供給路が設けられ、前記加熱媒体供給管路は、前記発泡槽の底部側から該槽内に加熱媒体を供給する第1の加熱媒体供給管路と、前記槽内加熱媒体供給路に加熱媒体を供給する第2の加熱媒体供給管路とを有し、且つ前記第1の加熱媒体供給管路と前記第2の加熱媒体供給管路とに供給する加熱媒体量を調整可能に構成され、
前記発泡槽内で生成した熱可塑性樹脂予備発泡粒子の層高さが、目的とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子の嵩発泡倍数に対応する最終レベルよりも低位置である第1レベルと、最終レベルである第2レベルを設定し、前記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の層高さが前記第1レベル又はそれ以下の位置に達した後、前記第1の加熱媒体供給管路からの加熱媒体の供給を減少又は停止すると共に、前記第2の加熱媒体供給管路から加熱媒体を供給して前記第2レベルまでの加熱発泡を行うことを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法を提供する。
本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法において、前記第2の加熱媒体供給管路からの加熱媒体の供給を、発泡性熱可塑性樹脂粒子の加熱開始直後から継続して行うことが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法において、前記第1レベルは、前記第2レベルの70〜90%の高さに設定することが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法において、前記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の層高さが、前記第1レベルに到達した時点で前記第1の加熱媒体供給管路からの加熱媒体の供給を停止すると共に、前記第2の加熱媒体供給管路から加熱媒体を供給して前記第2レベルまでの加熱発泡を行うことが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法において、前記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の層高さが、前記第1レベルよりも下方に設定したレベル0の位置に到達した時点で前記第1の加熱媒体供給管路からの加熱媒体の供給を停止すると共に、前記第2の加熱媒体供給管路から加熱媒体を供給して前記第2レベルまでの加熱発泡を行うことが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造装置は、発泡槽内を撹拌するための撹拌部と固定部との一方又は両方に、加熱媒体噴出口とそれに繋がる槽内加熱媒体供給路を設け、加熱媒体供給管路は、前記発泡槽の底部側から該槽内に加熱媒体を供給する第1の加熱媒体供給管路と、前記槽内加熱媒体供給路に加熱媒体を供給する第2の加熱媒体供給管路とを有し、且つ前記第1の加熱媒体供給管路と前記第2の加熱媒体供給管路とに供給する加熱媒体量を調整可能としたものなので、前記第2の加熱媒体供給管路を通して、発泡槽内の撹拌部と固定部との一方又は両方から加熱媒体を供給し、発泡槽内の熱可塑性樹脂予備発泡粒子を加熱することができるので、前記第1の加熱媒体供給管路を通して発泡槽の底部側からのみ加熱する場合と比べ、嵩発泡倍数のバラツキが小さく均一な熱可塑性樹脂予備発泡粒子を製造することが可能となる。また、このように嵩発泡倍数のバラツキが小さく均一な熱可塑性樹脂予備発泡粒子を用いることで、密度のバラツキが小さな発泡成形体を安定して提供できる。
本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法は、発泡槽内を撹拌するための撹拌部と固定部との一方又は両方に、加熱媒体噴出口とそれに繋がる槽内加熱媒体供給路を設け、加熱媒体供給管路は、前記発泡槽の底部側から該槽内に加熱媒体を供給する第1の加熱媒体供給管路と、前記槽内加熱媒体供給路に加熱媒体を供給する第2の加熱媒体供給管路とを有し、且つ前記第1の加熱媒体供給管路と前記第2の加熱媒体供給管路とに供給する加熱媒体量を調整可能に構成された製造装置を用い、前記発泡槽内で生成した熱可塑性樹脂予備発泡粒子の層高さが、目的とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子の嵩発泡倍数に対応する最終レベルよりも低位置である第1レベルと、最終レベルである第2レベルを設定し、前記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の層高さが前記第1レベル又はそれ以下の位置に達した後、前記第1の加熱媒体供給管路からの加熱媒体の供給を減少又は停止すると共に、前記第2の加熱媒体供給管路から加熱媒体を供給して前記第2レベルまでの加熱発泡を行うことによって、前記第1の加熱媒体供給管路を通して発泡槽の底部側からのみ加熱する場合と比べ、嵩発泡倍数のバラツキが小さく均一な熱可塑性樹脂予備発泡粒子を製造することが可能となる。また、このように嵩発泡倍数のバラツキが小さく均一な熱可塑性樹脂予備発泡粒子を用いることで、密度のバラツキが小さな発泡成形体を安定して提供できる。
本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造装置の一例を示す概略構成図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子(以下、予備発泡粒子と記す。)の製造装置の一例を示す概略構成図である。
本例の製造装置は、槽内に挿入されモータ9により回転駆動される回転軸2に多段に設けられた撹拌棒3(撹拌部)と、該撹拌棒3と接触しない位置の槽内壁に多段に設けられた邪魔棒4(固定部)とを有する発泡槽1と、該発泡槽1内に蒸気(加熱媒体)を供給する蒸気供給管路(加熱媒体供給管路)とを備えて構成されている。
前記邪魔棒4には、蒸気噴出口22(加熱媒体噴出口)とそれに繋がる図示していない槽内蒸気供給路(槽内加熱媒体供給路)が設けられている。本例において、前記邪魔棒4は中空の管状をなしており、側面側に多数の蒸気噴出口22が一定のピッチをおいて穿設され、邪魔棒4の一端から槽内蒸気供給路となる中空部分に蒸気を供給することで、それぞれの蒸気噴出口22から蒸気を噴出できるようになっている。
なお、本例では、槽内壁に多段に(図1では6段)邪魔棒4を設け、全ての邪魔棒4に蒸気噴出口22を設けた構成としたが、これに限らず、多段に設けた邪魔棒4のうち上段側の1つ又はそれ以上(例えば、1〜3段目まで)に蒸気噴出口22と槽内蒸気供給路とを設けてもよい。
また、本例では、邪魔棒4に蒸気噴出口22と槽内蒸気供給路とを設けた構成としたが、撹拌棒3側に又は邪魔棒4と撹拌棒3との両方に蒸気噴出口22と槽内蒸気供給路とを設けた構成としてもよい。撹拌棒3側に蒸気噴出口22と槽内蒸気供給路とを設ける場合には、回転軸2と撹拌棒3とをそれぞれ中空の管とし、中空部分を連通させ、撹拌棒3に多数の蒸気噴出口22を穿設しておき、回転軸2を介して多段の撹拌棒3から蒸気を噴出させるようにする。
また、前記蒸気噴出口22の開口形状や形成個数、形成ピッチなどは、本例に限定されず、発泡槽の大きさや形状、予備発泡条件などに応じて適宜変更可能であり、例えば、蒸気噴出口22の開口形状は、丸いキリ穴状の噴出口や、複数のスリット穴又は多数の小孔が設けられた蒸気ノズル部材を穴に嵌め込んだ噴出口とすることができる。なお、図1に記した蒸気噴出口22は邪魔棒4の上下方向中央に設けているが、蒸気噴出口22の向きを下向きになるように設けることが好ましく、例えば、下向き45度程度に向けて設けることが好ましい。
発泡槽1に蒸気を供給する蒸気供給管路は、発泡槽1の底部側から発泡槽1内に蒸気14を供給する第1の蒸気供給管路7と、前記槽内蒸気供給路に蒸気14を供給する第2の蒸気供給管路8とを有し、且つ第1の蒸気供給管路7と第2の蒸気供給管路8とに供給する蒸気量を調整可能になっている。
なお、本実施形態では、加熱媒体として蒸気を用いているが、これに限定されるものではなく、熱可塑性樹脂の種類に応じて他の加熱媒体、例えば、加熱空気、蒸気と加熱空気との混合媒体などを用いることができる。
前記第1の蒸気供給管路7は、ボイラー等の蒸気供給源から蒸気14が供給される上流側から下流側(発泡槽1側)に向けて、手動弁15、減圧弁16、調圧弁17がそれぞれ介在され、調圧弁17の下流側で管路が、弁18を有する第1蒸気流路7aと弁19を有する第2蒸気流路7bとの2つに分岐され、さらに、これらの第1蒸気流路7aと第2蒸気流路7bとが合流し、発泡槽1の底部側に接続されている。このように、本例では第1の蒸気供給管路7を途中で2つに分岐させ、それぞれの蒸気流路7a,7bの蒸気供給量を調整できるようになっている。
なお、図1に示す第1の蒸気供給管路7の構成は、単なる例示であり、本発明はこれに限定されず、各弁の配置や弁の種類、分岐の有る無しなどについては適宜変更可能である。
前記第2の蒸気供給管路8は、前記第1の蒸気供給管路7に介在された減圧弁16より下流で調圧弁17より上流の位置から分岐させて設けられ、弁20を介し、それより下流側で複数に(図1では6つ)分岐され、各分岐流路はそれぞれ弁21a〜21fを介してそれぞれ前記邪魔棒4の一端側の中空部分に蒸気14を供給可能なように接続されている。第2の蒸気供給管路8は、各分岐流路の弁21a〜21fを開いた状態で、弁20の開閉動作を行うことによって、各邪魔棒4の蒸気噴出口22からの蒸気噴出度合を調整できるようになっている。
前記発泡槽1の底部側には、前記第1の蒸気供給管路7から供給される蒸気14を通過可能であり、且つ槽頂部に設けられた原料粒供給部10から供給される発泡性熱可塑性樹脂粒子11及び該粒子の加熱発泡によって生成した予備発泡粒子を落下させないような網目を有する蒸気金網6が設けられている。
この蒸気金網6の上面側に接するように回転軸2の最下段に設けられた撹拌部材は、予備発泡粒子を上方側にかき上げるための撹拌翼5になっている。
前記発泡槽1の頂部側には、発泡槽1内のガスを外部に排出するための排気管路12と、排気管路12を開閉可能な弁13が設けられている。
また、前記発泡槽1には、該槽内で生成した予備発泡粒子の層高さが、目的とする予備発泡粒子の嵩発泡倍数に対応する最終レベルよりも低位置である第1レベル25に到達したことを検知する第1レベル計23と、予備発泡粒子の層高さが最終レベルである第2レベル26に到達したことを検知する第2レベル計24とが設けられている。
前述したように構成された熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造装置は、所定量の発泡性熱可塑性樹脂粒子11を発泡槽1内に供給し、蒸気供給管路を通して加熱媒体である蒸気14を供給して加熱発泡させる際に、第2の加熱媒体供給管路8を通して、発泡槽1内の邪魔棒4から蒸気14を供給し、発泡槽1内の予備発泡粒子を加熱することができるので、第1の加熱媒体供給管路7を通して発泡槽1の底部側からのみ加熱する場合と比べ、嵩発泡倍数のバラツキが小さく均一な予備発泡粒子を製造することが可能となる。また、このように嵩発泡倍数のバラツキが小さく均一な予備発泡粒子を用いることで、密度のバラツキが小さな発泡成形体を安定して提供できる。
次に、本発明の予備発泡粒子の製造方法の実施形態を説明する。
本発明の予備発泡粒子の製造方法は、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などの熱可塑性樹脂の発泡成形体を製造するための各種の予備発泡粒子の製造に適用可能であり、特に、現在最も大量に製造され且つ広範に使用されているポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造に用いるポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法に好適である。
前記ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を製造するために用いる発泡性熱可塑性樹脂粒子としては、従来より周知の各種の製造方法、例えば、下記(1)〜(3)の製造方法によって製造された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を使用できる。
(1)水系懸濁液中にスチレン系単量体を主成分とする重合性単量体を分散させ重合を行い、重合途中又は、重合終了後に発泡剤を含有させて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る、いわゆる懸濁重合法、
(2)水系懸濁液中にポリスチレン系樹脂種粒子を分散させた後に、スチレン系単量体を主成分とする重合性単量体を該種粒子に吸収させて重合し、重合途中又は、重合終了後に発泡剤を含有させて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る、いわゆるシード重合法、
(3)押出機にポリスチレン系樹脂を投入して加熱溶融し、混練しながら吐出側に移動させる途中で発泡剤を混合し、押出機吐出側に取り付けた多数の小孔を有するダイの該小孔から発泡剤混合樹脂を押し出し、その直後に水中で切断し、急冷することで発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る、いわゆる溶融押出法(水中カット法などとも称される)。
前記(1)懸濁重合法及び(2)シード重合法で用いるスチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等のスチレン系単量体を主成分とし、スチレン系単量体を通常、50質量%以上、好ましくは80質量%以上含む。これらのスチレン系単量体の中でも、スチレンが特に好ましい。
更にスチレン系単量体に併用可能な重合性単量体としては、スチレン系単量体と共重合可能なものであれば特に限定されず、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレート、アクリロニトリル、メチルメタクリレート等が挙げられる。
また(2)シード重合法で発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造する場合、前記懸濁重合法により得られるポリスチレン系樹脂粒子を種粒子として使用したり、ポリスチレン系樹脂を押出機によりあらかじめ所望の粒子径に調整した後、種粒子として使用しても良い。(2)シード重合法において押出機を用いて種粒子を作製する場合、或いは(3)溶融押出法において使用するポリスチレン系樹脂は、市販されている通常のポリスチレン系樹脂、懸濁重合法などの方法で新たに作製したポリスチレン系樹脂などの、リサイクル原料でないポリスチレン系樹脂(バージンポリスチレン)を使用できる他、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体を再生処理して得られたリサイクル原料を使用することができる。このリサイクル原料としては、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体、例えば、魚箱、家電緩衝材、食品包装用トレーなどを回収し、リモネン溶解方式や加熱減容方式によって再生したリサイクル原料などが挙げられる。
本発明において、製造する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の粒子径は、特に限定されないが、成形時の成形型キャビティ内への予備発泡粒子の充填性等から、通常、0.3〜2.0mm程度であり、0.3〜1.4mmが好ましい。
本発明において、製造する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中のポリスチレン系樹脂の分子量は、GPC法による質量平均分子量(Mw)が17万〜70万であるのが好ましい。スチレン系樹脂粒子の分子量が17万を下回ると発泡成形体の強度が低下し、また70万を上回ると充分な発泡性が得られ難くなるので好ましくない。
前記(1)懸濁重合法および(2)シード重合法で使用する重合開始剤としては、通常、スチレンの懸濁重合において用いられるものであれば特に限定されず、例えばラジカル発生型重合開始剤を用いることができる。具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタン、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート等の有機過酸化物やアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。これらの重合開始剤は単独で、または2種以上を組合わせて用いることができる。
前記の重合において、ポリスチレン系樹脂粒子中に残留するスチレン系単量体を低減するために、高温分解型の重合開始剤を使用し、最終の重合温度を115℃以上に設定するのが好ましい。高温分解型の重合開始剤としては、例えばt−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタンなどの半減期10時間を得るための温度が100〜115℃のものが挙げられる。なお、高温分解型の重合開始剤を過剰に加えると分解副生成物であるアルコール類が発生するので好ましくない。
また、前記の重合において、ポリスチレン系樹脂粒子の分子量を調整し、単量体の残留量を減少させるという点で、10時間の半減期を得るための分解温度が80〜120℃の範囲にある重合開始剤を2種以上組合わせて用いるのが好ましい。
前記(1)懸濁重合または(2)シード重合を行う際に、スチレン系単量体の小滴または種粒子を水性媒体中に分散させるために、懸濁剤を用いてもよい。懸濁剤としては、例えばポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子や、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難水溶性無機化合物等が挙げられる。なお、難水溶性無機化合物を用いる場合にはアニオン界面活性剤を併用するのが好ましい。
前記アニオン界面活性剤としては、例えば脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸またはその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩;アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩などが挙げられる。前記のようにして得られるポリスチレン系樹脂粒子に、懸濁重合含浸法あるいは後含浸法によって発泡剤および可塑剤を含浸させることにより、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造することができる。
本発明で用いられる発泡剤としては、一般の熱可塑性樹脂発泡体の製造に用いられている炭素数5以下の脂肪族炭化水素、例えばn−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン等が挙げられる。
前記発泡剤の含有割合は、ポリスチレン系樹脂粒子に対して5〜9質量%の範囲が好ましく、5〜8質量%がより好ましい。前記含有割合が5質量%を下回ると、低密度化が困難であるばかりでなく、成形時の二次発泡力を高める効果が得られないために発泡成形体の外観が劣るようになる。また、含有割合が9質量%を上回ると、発泡成形時の収縮、予備発泡粒子中の残存ガスの調整時間の遅延、かつ成形サイクルが長くなり、生産性の点から好ましくない。
前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、物性を損なわない範囲内において、従来から発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造に使用されている、可塑剤、発泡セル造核剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、着色剤等を必要に応じて適宜使用してもよい。また、ジンクステアレート等の粉末状金属石鹸類を前記発泡性スチレン樹脂粒子の表面に塗布しておけば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の予備発泡工程においてポリスチレン系樹脂予備発泡粒子同士の結合を減少させることができて好ましい。
本実施形態の予備発泡粒子の製造方法は、前述した図1に示す構成の製造装置を用い、原料粒供給部10を通して、所定量の発泡性熱可塑性樹脂粒子11を発泡槽1内に供給し、回転軸2を回転駆動させて撹拌棒3による撹拌を開始しながら、第1の蒸気供給管路7を通して加熱媒体である蒸気14を発泡槽1の底部側から供給する。発泡槽1に供給された蒸気14は、発泡槽1の底部に設けられた蒸気金網6の網目を通過して上方へ移動し、発泡性熱可塑性樹脂粒子11に接触してこれを加熱、発泡させる。なお、発泡初期段階では、第1の蒸気供給管路7を通して発泡槽1の底部側に蒸気を供給するだけでよいが、発泡初期段階で第2の蒸気供給管路7を通して邪魔棒4、特に下段側の邪魔棒4からも蒸気を噴出させながら、加熱発泡を実施してもよい。
供給された蒸気14によって加熱された発泡性熱可塑性樹脂粒子11は、発泡を始め、発泡槽1内で撹拌棒3による撹拌によって粒同士が合着することなく各粒子が独立した予備発泡粒子となる。予備発泡の進行(嵩発泡倍数の増加)に伴い、予備発泡粒子の層高さが増してくる。
本発明の製造方法では、発泡槽1内で生成した予備発泡粒子の層高さが、目的とする予備発泡粒子の嵩発泡倍数に対応する最終レベルよりも低位置である第1レベル25と、最終レベルである第2レベル26を設定し、予備発泡粒子の層高さが第1レベル25又はそれ以下の位置に達した後、第1の蒸気供給管路7からの蒸気14の供給を減少又は停止すると共に、第2の蒸気供給管路8から蒸気14を供給して第2レベル26までの加熱発泡を行う。
本発明の製造方法において、前記第1レベル25は、前記第2レベル26の70〜90%の高さに設定することが好ましい。第1レベル25を前記範囲内とすることで、第1の蒸気供給管路7を通して発泡槽1底部からの蒸気供給を停止又は大幅減少させても、第2の蒸気供給管路8を通して邪魔棒4の蒸気噴出口22からの蒸気供給のみで予備発泡粒子の層高さを第2レベル26まで比較的緩やかな発泡度合で均一に発泡させ、嵩発泡倍数のバラツキの小さな予備発泡粒子を製造することができる。
本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法において、前記第1の蒸気供給管路7と前記第2の蒸気供給管路8との蒸気供給切替のタイミングは、予備発泡粒子の層高さが前記第1レベル25に達するか又はそれ以下の位置に達した後、第1の蒸気供給管路7からの蒸気14の供給を減少又は停止すると共に、第2の蒸気供給管路8から蒸気14を供給して第2レベル26までの加熱発泡を行うように設定すればよく、具体的には、次の(a)、(b)のような蒸気供給切替のタイミングとすることが好ましい。なお、この蒸気供給切替のタイミングは、前記第1の蒸気供給がなされた後、タイマーによって制御可能である。
(a)熱可塑性樹脂予備発泡粒子の層高さが、第1レベル25に到達した時点で前記第1の蒸気供給管路7からの蒸気14の供給を停止すると共に、第2の蒸気供給管路8から蒸気14を供給して第2レベル26までの加熱発泡を行う方法。
(b)熱可塑性樹脂予備発泡粒子の層高さが、第1レベル25よりも下方に設定したレベル0の位置に到達した時点で第1の蒸気供給管路7からの蒸気14の供給を停止すると共に、第2の蒸気供給管路8から蒸気14を供給して第2レベルまでの加熱発泡を行う方法。ここで前記レベル0は、第1レベル25の70〜90%の高さとすることが好ましい。
好ましい実施形態において、全体の蒸気使用量(S1)に対して、第2の蒸気供給管路8からの蒸気使用量(S2)の比(S2/S1)は、0.4〜0.7の範囲とすることが好ましい。前記比が0.4〜0.7の範囲とすることで、前記第1の加熱媒体供給管路7を通して発泡槽の底部側からのみ加熱する場合と比べ、嵩発泡倍数のバラツキが小さく均一な熱可塑性樹脂予備発泡粒子を製造することが可能となる。
また、発泡粒が任意の槽内高さまで到達した時、底部からの蒸気供給停止と邪魔棒4よりの蒸気供給開始時期については、発泡粒高さの第2レベル26までの高さをH1とし、底からの蒸気供給停止時(邪魔棒4より蒸気供給開始時)の発泡粒高さをH2とし、比(H2/H1)が0.42〜0.88の範囲であることが好ましい。
予備発泡粒子は、製造するべき熱可塑性樹脂発泡成形体の密度と同等の嵩密度となるように予備発泡される。本発明において、その嵩密度は限定されないが、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造において通常は0.0125〜0.1g/cmの範囲(嵩発泡倍数として10〜80倍)が好ましく、0.0143〜0.05g/cmの範囲(嵩発泡倍数として20〜70倍)がより好ましい。
前述した予備発泡処理を行って得られた予備発泡粒子は、発泡槽1の図示していない排出口から取り出し、発泡粒解粒機によって解粒後、エゼクター等で大型の予備発泡粒子貯留槽に移送して貯留され、必要に応じて所定の日数放置して熟成させ、必要に応じて予備発泡粒子貯留槽から発泡成形装置に予備発泡粒子を移送し、型内発泡成形法による発泡成形体の製造に用いられる。
本実施形態による熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法は、発泡槽1内に設けられた邪魔棒4に、蒸気噴出口22とそれに繋がる槽内蒸気供給路を設け、蒸気供給管路として、発泡槽1の底部側から該槽内に蒸気を供給する第1の蒸気供給管路7と、前記槽内蒸気供給路に蒸気を供給する第2の蒸気供給管路8とを有し、且つ前記第1の蒸気供給管路7と前記第2の蒸気供給管路8とに供給する蒸気量を調整可能に構成された製造装置を用い、前記発泡槽1内で生成した予備発泡粒子の層高さが、目的とする予備発泡粒子の嵩発泡倍数に対応する最終レベルよりも低位置である第1レベル25と、最終レベルである第2レベル26を設定し、予備発泡粒子の層高さが第1レベル25又はそれ以下の位置に達した後、第1の蒸気供給管路7からの蒸気14の供給を減少又は停止すると共に、前記第2の蒸気供給管路8から蒸気14を供給して第2レベル26までの加熱発泡を行うことによって、第1の蒸気供給管路7を通して発泡槽1の底部側からのみ加熱する場合と比べ、嵩発泡倍数のバラツキが小さく均一な予備発泡粒子を製造することが可能となる。また、このように嵩発泡倍数のバラツキが小さく均一な予備発泡粒子を用いることで、密度のバラツキが小さな発泡成形体を安定して提供できる。
前記予備発泡粒子は、ポリスチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂発泡成形体の製造分野において周知の装置及び手法を用い、該予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、水蒸気加熱等により加熱して型内発泡成形し、熱可塑性樹脂発泡成形体(以下、発泡成形体と記す)を製造する。
本発明の発泡成形体の密度は特に限定されないが、ポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造において通常は0.0125〜0.1g/cmの範囲(発泡倍数として10〜80倍)が好ましく、0.0143〜0.05g/cmの範囲(発泡倍数として20〜70倍)がより好ましい。
なお、本発明において、予備発泡粒子の嵩密度・嵩発泡倍数、及び発泡成形体の密度・発泡倍数は、次の通り測定された値を指す。
<予備発泡粒子の嵩密度・嵩発泡倍数>
約5gの予備発泡粒子の質量(a)を小数以下2位で秤量する。次に、最小目盛り単位が5cmである500cmメスシリンダーに秤量した予備発泡粒子を入れ、これにメスシリンダーの口径よりやや小さい円形の樹脂板であって、その中心に幅約1.5cm、長さ約30cmの棒状の樹脂板が直立して固定された押圧具をあてて、予備発泡粒子の体積(b)を読み取り、次式により予備発泡粒子の嵩密度と嵩発泡倍数を求めた。
嵩密度(g/cm)=(a)/(b)
嵩発泡倍数=1/嵩密度(g/cm
<発泡成形体の密度・発泡倍数>
50cm以上(半硬質および軟質材料の場合は100cm以上)の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出した。
密度(g/cm)=試験片質量(g)/試験片体積(cm
試験片状態調節、測定用試験片は、成形後72時間以上経過した試料から切り取り、23℃±2℃×50%±5%または27℃±2℃×65%±5%の雰囲気条件に16時間以上放置したものである。
また、発泡成形体の発泡倍数は次式により算出される数値である。
発泡倍数(倍)=1/密度(g/cm
以下、本発明を実施例および比較例にて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
(発泡性ポリスチレン系樹脂粒子)
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子としては、積水化成品工業社製のHDMSF(商品名)を用い(以下、原料ビーズと記す)、これを予備発泡装置に投入して加熱発泡させ、嵩発泡倍数68倍の予備発泡粒子を作製することとし、以下の実施例、比較例において作製した予備発泡粒子の嵩発泡倍数のバラツキを調べ、比較した。
(予備発泡装置)
積水工機社製のSKK−110型(商品名)を基本とし、図1に示すように6段に設けられた邪魔棒を、外径30mm、内径26mmの円管で、下向き斜め45°に40mmピッチで6mm径の穴を穿設して蒸気ノズル部材(岡本製作所社製、商品名「ベントホール」)を嵌め込んだ、蒸気供給可能な邪魔棒4に変更した。各邪魔棒4には、槽外から蒸気を供給するための第2の蒸気供給管路8を接続した。
この予備発泡装置には、第1レベル計23と第2レベル計24とが設けられ、第1レベル計23で検知される発泡粒高さ(第1レベル25)での発泡粒体積は770L、第2レベル計24で検知される発泡粒高さ(第2レベル26)での発泡粒体積は870Lに設定した。
槽底面から前記各部までの寸法は次の通りとした。
・槽底面から最下段の6段目邪魔棒まで:95mm
・槽底面から5段目邪魔棒まで:220mm
・槽底面から4段目邪魔棒まで:360mm
・槽底面から3段目邪魔棒まで:500mm
・槽底面から2段目邪魔棒まで:640mm
・槽底面から最上段の1段目邪魔棒まで:780mm
・槽底面から第1レベル計まで:1030mm(有効容量770L)
・槽底面から第2レベル計まで:1165mm(有効容量870L)
(予備発泡条件)
前記予備発泡装置の運転モードを高温発泡モードとし、次の予備発泡条件(共通事項)で運転した。
・原料ビーズ投入量:13.8kg
・供給蒸気圧力:0.21kg/cm(ゲージ圧)
・工程切り替え時間:
(1)原料投入;6秒
(2)加熱パージ(底部からの蒸気供給と槽内排気);38秒
(3)蒸気加熱1(槽内排気を止め、底部のみ又は底部と邪魔棒からの蒸気供給);発泡粒高さが第1レベルに達するまで(以下、レベル1到達秒数と記す)
(4)蒸気加熱2(底部のみ又は底部と邪魔棒からの蒸気供給、蒸気供給量低下);発泡粒高さが第2レベルに達するまで(以下、レベル2到達秒数と記す)
(5)空冷:15秒
(6)排出:9秒
(7)取出し:37秒
なお、「レベル1到達秒数」は、加熱パージ開始から発泡粒高さが第1レベルに達するまでの時間(秒数)とし、「レベル2到達秒数」は、加熱パージ開始から発泡粒高さが第2レベルに達するまでの時間(秒数)とする。また、「1サイクル時間」は、原料投入から取出し終了までの時間(秒数)とする。
(嵩発泡倍数の評価)
蒸気加熱と空冷の後、得られた予備発泡粒子を槽底部側の取出し口から取り出す際、取出し直後に採取した予備発泡粒子を「槽下部の予備発泡粒子」とし、取出し開始から10秒後に採取した予備発泡粒子を「槽中部の予備発泡粒子」とし、取出し開始から20秒後に採取した予備発泡粒子を「槽上部の予備発泡粒子」とし、それぞれの予備発泡粒子の嵩発泡倍数を測定した。
これらの槽上部、槽中部、槽下部の予備発泡粒子の嵩発泡倍数の最大値(Max)と最小値(Min)との差(Max−Min)を「発泡バラツキ」とした。
[比較例]
邪魔棒4からの蒸気供給を全く行わず、槽底側からの蒸気供給のみで予備発泡を行った。
[実施例1]
加熱パージ開始から90秒後、1段目〜3段目邪魔棒から蒸気供給を開始し、槽底側からの蒸気供給を停止(蒸気供給切替時間90秒)して予備発泡を行った。
[実施例2]
加熱パージ開始から80秒後、1段目〜3段目邪魔棒から蒸気供給を開始し、槽底側からの蒸気供給を停止(蒸気供給切替時間80秒)して予備発泡を行った。
[実施例3]
加熱パージ開始から70秒後、1段目〜3段目邪魔棒から蒸気供給を開始し、槽底側からの蒸気供給を停止(蒸気供給切替時間70秒)して予備発泡を行った。
[実施例4]
加熱パージ開始から60秒後、1段目〜3段目邪魔棒から蒸気供給を開始し、槽底側からの蒸気供給を停止(蒸気供給切替時間60秒)して予備発泡を行った。
前記比較例、実施例1〜4について、レベル1到達秒数、レベル到達秒数、1サイクル時間、槽上部・槽中部・槽下部の予備発泡粒子の嵩発泡倍数、及び発泡バラツキを調べた。その結果を表1にまとめて記す。
Figure 0005470120
表1の結果から、蒸気加熱の途中で槽底側からの蒸気供給を止め、邪魔棒からの蒸気供給を開始した本発明に係る実施例1〜4は、槽底側からの蒸気供給のみで予備発泡を実施した比較例と比べ、得られる予備発泡粒子の嵩発泡倍数のバラツキが小さくなり、均一な発泡状態の予備発泡粒子が得られることが実証された。
また、実施例1〜4において、蒸気供給切替時間の違いによって、得られる予備発泡粒子の嵩発泡倍数のバラツキの大きさが変化した。今回の試験では、蒸気供給切替時間を70秒とした実施例3において、特に予備発泡粒子の嵩発泡倍数のバラツキが小さくなった。
本発明は、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などの熱可塑性樹脂粒子に発泡剤を含有させた発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡装置によって加熱し、目的とする嵩密度(嵩発泡倍数)となるように予備発泡させて熱可塑性樹脂予備発泡粒子を製造するための製造装置に関し、特に、得られる予備発泡粒子の嵩発泡倍数のバラツキが小さく均一な熱可塑性樹脂予備発泡粒子を製造することが可能となる。このように嵩発泡倍数のバラツキが小さく均一な熱可塑性樹脂予備発泡粒子を用いることで、密度のバラツキが小さな発泡成形体を安定して提供できる。
1…発泡槽、2…回転軸、3…撹拌棒、4…邪魔棒、5…スクレーパ、6…蒸気金網、7…第1の蒸気供給管路、7a…第1蒸気流路、7b…第2蒸気流路、8…第2の蒸気供給管路、9…モータ、10…原料粒供給部、11…発泡性熱可塑性樹脂粒子、12…排気管路、13…排気弁、14…蒸気、15…手動弁、16…減圧弁、17…調圧弁、18…弁、19…弁、20…弁、21a〜21f…弁、22…蒸気噴出口、23…第1レベル計、24…第2レベル計、25…第1レベル、26…第2レベル。

Claims (6)

  1. 槽内に挿入された回転軸に多段に設けられた撹拌部と、該撹拌部と接触しない位置の槽内壁に多段に設けられた固定部とを有する発泡槽と、槽内に加熱媒体を供給する加熱媒体供給管路とを含む熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造装置を用い、前記発泡槽に発泡性熱可塑性樹脂粒子を供給し、該粒子を撹拌しながら加熱媒体を加熱発泡させて熱可塑性樹脂予備発泡粒子を製造する方法において、
    前記製造装置は、前記撹拌部と前記固定部との一方又は両方に、加熱媒体噴出口とそれに繋がる槽内加熱媒体供給路が設けられ、前記加熱媒体供給管路は、前記発泡槽の底部側から該槽内に加熱媒体を供給する第1の加熱媒体供給管路と、前記槽内加熱媒体供給路に加熱媒体を供給する第2の加熱媒体供給管路とを有し、且つ前記第1の加熱媒体供給管路と前記第2の加熱媒体供給管路とに供給する加熱媒体量を調整可能に構成され、
    前記発泡槽内で生成した熱可塑性樹脂予備発泡粒子の層高さが、目的とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子の嵩発泡倍数に対応する最終レベルよりも低位置である第1レベルと、最終レベルである第2レベルを設定し、前記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の層高さが前記第1レベル又はそれ以下の位置に達した後、前記第1の加熱媒体供給管路からの加熱媒体の供給を減少又は停止すると共に、前記第2の加熱媒体供給管路から加熱媒体を供給して前記第2レベルまでの加熱発泡を行うことを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  2. 槽内に挿入された回転軸に多段に設けられた撹拌部と、該撹拌部と接触しない位置の槽内壁に多段に設けられた固定部とを有する発泡槽と、槽内に加熱媒体を供給する加熱媒体供給管路とを含む熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造装置を用い、前記発泡槽に発泡性熱可塑性樹脂粒子を供給し、該粒子を撹拌しながら加熱媒体を加熱発泡させて熱可塑性樹脂予備発泡粒子を製造する方法において、
    前記製造装置は、前記固定部に、加熱媒体噴出口とそれに繋がる槽内加熱媒体供給路が設けられ、前記加熱媒体供給管路は、前記発泡槽の底部側から該槽内に加熱媒体を供給する第1の加熱媒体供給管路と、前記槽内加熱媒体供給路に加熱媒体を供給する第2の加熱媒体供給管路とを有し、且つ前記第1の加熱媒体供給管路と前記第2の加熱媒体供給管路とに供給する加熱媒体量を調整可能に構成され、
    前記発泡槽内で生成した熱可塑性樹脂予備発泡粒子の層高さが、目的とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子の嵩発泡倍数に対応する最終レベルよりも低位置である第1レベルと、最終レベルである第2レベルを設定し、前記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の層高さが前記第1レベル又はそれ以下の位置に達した後、前記第1の加熱媒体供給管路からの加熱媒体の供給を減少又は停止すると共に、前記第2の加熱媒体供給管路から加熱媒体を供給して前記第2レベルまでの加熱発泡を行うことを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  3. 前記第2の加熱媒体供給管路からの加熱媒体の供給を、発泡性熱可塑性樹脂粒子の加熱開始直後から継続して行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  4. 前記第1レベルは、前記第2レベルの70〜90%の高さに設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  5. 前記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の層高さが、前記第1レベルに到達した時点で前記第1の加熱媒体供給管路からの加熱媒体の供給を停止すると共に、前記第2の加熱媒体供給管路から加熱媒体を供給して前記第2レベルまでの加熱発泡を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  6. 前記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の層高さが、前記第1レベルよりも下方に設定したレベル0の位置に到達した時点で前記第1の加熱媒体供給管路からの加熱媒体の供給を停止すると共に、前記第2の加熱媒体供給管路から加熱媒体を供給して前記第2レベルまでの加熱発泡を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法。
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