JP5470127B2 - 熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法、熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造装置 - Google Patents

熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法、熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などの熱可塑性樹脂粒子に発泡剤を含有させた発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡装置によって加熱し、目的とする嵩密度(嵩発泡倍数)となるように予備発泡させて熱可塑性樹脂予備発泡粒子を製造するための製造方法及び製造装置に関し、特に、熱可塑性樹脂予備発泡粒子を効率よく製造でき、消費電力を削減できる製造方法及び製造装置に関する。
従来より、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などの熱可塑性樹脂の発泡成形体を製造するための方法として、熱可塑性樹脂粒子に発泡剤を含有させた発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡装置によって加熱し、目的とする嵩密度(嵩発泡倍数)となるように予備発泡させて予備発泡粒子を製造し、得られた予備発泡粒子を目的とする成形品形状のキャビティを有する成形型の該キャビティ内に充填し、前記成形型内の予備発泡粒子を加熱し発泡させた後冷却し、成形型から発泡成形体を取り出す、いわゆる型内発泡成形法が知られている。
前記予備発泡においては、目的とする嵩密度(嵩発泡倍数)を有する予備発泡粒子を製造するために、予備発泡装置の発泡槽に発泡性熱可塑性樹脂粒子を入れて蒸気加熱する際、発泡槽の高さ方向に沿って、低レベルの第1レベルと最終レベルである第2レベルを位置決めしておき、発泡槽に発泡性熱可塑性樹脂粒子を供給した後、蒸気を通して該粒子を加熱し、発泡粒子層の高さが第1レベルに達した時点で蒸気の供給量を減じるなどによって発泡速度を緩めて、第2レベルまで発泡させることが行われている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
また、予備発泡して得られた予備発泡粒子は、粒子表面に多量の水分を含んでおり、このような状態だと発泡槽内での予備発泡粒子同士の合着が起こりえる。これを解消する目的で、常温の圧縮空気を発泡槽内に供給して発泡完了後の予備発泡粒子を冷却・乾燥する空冷工程が行われている。
特許文献1には、撹拌装置を有する発泡槽に収容された発泡性熱可塑性樹脂粒子を加熱水蒸気等の加熱媒体によって加熱膨張させて予備発泡粒子を得る方法において、加熱媒体として加熱水蒸気に、加熱水蒸気以上の温度を有する加熱空気を混合して用いることを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法が開示されている。また、この特許文献1には、発泡粒層レベルが第1レベル(低レベル)に達した後、第2レベル(最終レベル)に達する迄の間は蒸気供給量を減少させて発泡速度を緩めて予備発泡を行うこと、さらに発泡の均一化と粒子同士の合着を防止する目的で圧縮空気を少量混用してもよい旨が記載されている。
特許文献2には、予備発泡機より排出ホッパーに排出した予備発泡粒子を、該排出ホッパー部に仕切壁を設けて形成するか又は別に設けた乾燥ホッパー部に送粒し、該排出ホッパー部に立設した、水分及び空気を通過させるが予備発泡粒子を通過させない乾燥塔内に吹き上げさせ、落下した予備発泡粒子を、該乾燥ホッパー部の底部払出口に設けたエジェクターに熱風を送気することにより吸引させて前記乾燥塔に送粒循環して乾燥塔内に吹き上げさせることにより、予備発泡粒子の水分を乾燥除去するとともに加温することを特徴とする予備発泡機用乾燥送粒方法が開示されている。また、この特許文献2には、予備発泡完了後、予備発泡機内に冷風、温風又は熱風を吹き込んで乾燥させる方法が記載されている。
特許文献3には、発泡性熱可塑性樹脂粒子を加熱し、15倍以下の低倍に予備発泡せしめる方法であって、発泡槽に低レベル、高レベルの2箇所を決め低レベルを高レベルの70〜90%の位置として発泡槽に原料粒子を投入し、槽内を密閉にして減圧後、蒸気を吹き込み、槽内圧力を大気圧以上に保持して加熱し、低レベル位置まで発泡させた後、吹き込み蒸気量を少なくするか、または蒸気量そのままでエア供給量を多くして吹き込み熱媒の温度を下げ、発泡速度を遅くして高レベルまで発泡させ、のち、冷却乾燥を行い、発泡済み粒子を排出することを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂粒子の低倍予備発泡の方法が開示されている。
特開昭63−267513号公報 特開平5−287114号公報 特開平3−13307号公報
前記予備発泡方法を実施するための予備発泡装置として、現在使用されている装置は、発泡槽と、該発泡槽内に蒸気を供給するための蒸気供給管路と、該発泡槽内に圧縮空気を供給するためのコンプレッサーを含む圧縮空気供給手段とを備え、発泡槽内で蒸気加熱して得られた予備発泡粒子を冷却乾燥する場合には、発泡槽内に圧縮空気を供給して冷却乾燥する構成になっていた。
しかしながら、従来の予備発泡装置において、予備発泡して得られた予備発泡粒子を圧縮空気によって冷却乾燥する場合、予備発泡粒子を十分に冷却乾燥するためには長時間を要することから、予備発泡粒子の製造サイクルが長くなって生産効率が悪化するという問題があった。
また、冷却乾燥するために長時間コンプレッサーを駆動させなければならず、そのための消費電力が増加して製造コストが高くなるという問題もある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、従来の予備発泡装置を用いた場合と比べ、予備発泡粒子の冷却乾燥を短時間で行うことができ、生産効率を高め、消費電力の削減が可能な熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法及び製造装置の提供を目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、発泡槽内に発泡性熱可塑性樹脂粒子を入れ、発泡槽内に加熱媒体を導入して発泡性熱可塑性樹脂粒子を加熱発泡させ、所望の嵩発泡倍数の熱可塑性樹脂予備発泡粒子を生成させ、次いで前記発泡槽内に空気を供給して熱可塑性樹脂予備発泡粒子を冷却乾燥し、次いで熱可塑性樹脂予備発泡粒子を取り出す製造方法において、熱可塑性樹脂予備発泡粒子を冷却乾燥する際に、風圧3.0〜12.0kPaの空気を風量17.0〜40.0m/L/分(ただし、Lは熱可塑性樹脂予備発泡粒子の嵩体積1mを表す)の範囲で前記発泡槽内に供給して冷却乾燥を行うことを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法を提供する。
本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法において、前記冷却乾燥は、発泡性熱可塑性樹脂投入時の発泡槽内温度が、予備発泡実施毎に80℃未満になるように行うことが好ましい。
また本発明は、発泡性熱可塑性樹脂粒子を加熱して熱可塑性樹脂予備発泡粒子を生成させる発泡槽と、該発泡槽内に加熱媒体を供給する蒸気供給管路と、発泡槽内に、風圧3.0〜12.0kPaの空気を供給する送風機を含む冷却用空気供給手段とを備えたことを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造装置を提供する。
本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造装置において、前記送風機は、前記発泡槽内に風量17.0〜40.0m/L/分(ただし、Lは熱可塑性樹脂予備発泡粒子の嵩体積1mを表す)の空気を供給可能であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法は、発泡槽内で発泡性熱可塑性樹脂粒子を加熱発泡させ、所望の嵩発泡倍数の熱可塑性樹脂予備発泡粒子を生成させ、次いで発泡槽内に空気を供給して熱可塑性樹脂予備発泡粒子を冷却乾燥させる際に、風圧3.0〜12.0kPaの空気を風量17.0〜40.0m/L/分(ただし、Lは熱可塑性樹脂予備発泡粒子の嵩体積1mを表す)の範囲で前記発泡槽内に供給して冷却乾燥を行うことによって、圧縮空気を発泡槽内に供給していた従来技術と比べ、より短時間で予備発泡粒子を十分に冷却乾燥することができ、予備発泡粒子の製造サイクルが短くなり、生産効率を向上させることができる。
また、冷却乾燥するために低圧空気を大量送風可能な送風機を使用できることで、圧縮空気を発泡槽内に供給していた従来技術と比べ、消費電力を大幅に削減でき、製造コストの低減を図ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造装置は、発泡性熱可塑性樹脂粒子を加熱して熱可塑性樹脂予備発泡粒子を生成させる発泡槽と、該発泡槽内に加熱媒体を供給する蒸気供給管路と、発泡槽内に、風圧3.0〜12.0kPaの空気を供給する送風機を含む冷却用空気供給手段とを備えたものなので、圧縮空気を発泡槽内に供給する従来装置と比べ、より短時間で予備発泡粒子を十分に冷却乾燥することができ、予備発泡粒子の製造サイクルが短くなり、生産効率を向上させることができる。
また、冷却乾燥するために低圧空気を大量送風可能な送風機を使用できることで、圧縮空気を発泡槽内に供給する従来装置と比べ、消費電力を大幅に削減でき、製造コストの低減を図ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造装置の一例を示す概略構成図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子(以下、予備発泡粒子と記す。)の製造装置の一例を示す概略構成図である。
この製造装置は、発泡性熱可塑性樹脂粒子を加熱して予備発泡粒子1を生成させる発泡槽2と、該発泡槽2内に加熱媒体である蒸気3を供給する蒸気供給管路4と、発泡槽2内に、風圧3.0〜12.0kPaの空気を供給する送風機5を含む冷却用空気供給手段6とを備えた構成になっている。
前記発泡槽2は、槽内に挿入された回転軸7と、該回転軸7の長手方向に沿って多段に設けられた撹拌棒8と、該撹拌棒8と接触しないよう槽内壁に一端を固定して多段に設けられた邪魔棒9と、予備発泡粒子を槽外に取り出すハッチ10と、発泡槽2の底部に設けられた金網11と、該槽内で生成した予備発泡粒子の層高さが目的とする予備発泡粒子の嵩発泡倍数に対応する最終レベルよりも低位置である第1レベルに到達したことを検知する第1レベル計12と、予備発泡粒子の層高さが最終レベルである第2レベルに到達したことを検知する第2レベル計13とが設けられている。
前記蒸気供給管路4は、蒸気3を流す蒸気管路14に、上流側から下流側に向けて蒸気調圧弁15、ヘッダー16とを順に介在させ、更にヘッダー16の下流側で2つに分岐し、これらの第1蒸気管路14aと第2蒸気管路14bとは、それぞれに設けられた弁17,18の下流側で合流し、その後の管路19が発泡槽2の底部側に接続されている。この蒸気供給管路4は、前記第1蒸気管路14a、第2蒸気管路14bのそれぞれの弁17、18の開閉を操作することで、発泡槽2の底部側からの蒸気供給量を調整できるようになっている。
なお、図1に示す蒸気供給管路4の構成は、単なる例示であり、本発明はこれに限定されず、各弁の配置や弁の種類、分岐の有る無しなどについては適宜変更可能である。
前記冷却用空気供給手段6は、弁20を介して一端が前記管路19に接続された空気管路21と、該空気管路21の他端側に、該空気管路21内に空気を供給可能に接続された送風機5とを備えている。この冷却用空気供給手段6は、発泡槽2内を冷却するに際し、送風機5を駆動させて空気管路21に空気を流せる状態とし、弁21を開く(この際に蒸気供給管路4からの蒸気供給は停止しておく)ことで、管路19を通して冷却用空気を発泡槽2底部側から槽内に送風できるようになっている。
なお、図1に示す冷却用空気供給手段6の構成は、単なる例示であり、本発明はこれに限定されず、弁の配置や弁の種類、発泡槽2への接続管路の構成などについては適宜変更可能である。
次に、本発明の予備発泡粒子の製造方法の実施形態を説明する。
本発明の予備発泡粒子の製造方法は、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などの熱可塑性樹脂の発泡成形体を製造するための各種の予備発泡粒子の製造に適用可能であり、特に、現在最も大量に製造され且つ広範に使用されているポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造に用いるポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法に好適である。
前記ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を製造するために用いる発泡性熱可塑性樹脂粒子としては、従来より周知の各種の製造方法、例えば、下記(1)〜(3)の製造方法によって製造された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を使用できる。
(1)水系懸濁液中にスチレン系単量体を主成分とする重合性単量体を分散させ重合を行い、重合途中又は、重合終了後に発泡剤を含有させて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る、いわゆる懸濁重合法、
(2)水系懸濁液中にポリスチレン系樹脂種粒子を分散させた後に、スチレン系単量体を主成分とする重合性単量体を該種粒子に吸収させて重合し、重合途中又は、重合終了後に発泡剤を含有させて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る、いわゆるシード重合法、
(3)押出機にポリスチレン系樹脂を投入して加熱溶融し、混練しながら吐出側に移動させる途中で発泡剤を混合し、押出機吐出側に取り付けた多数の小孔を有するダイの該小孔から発泡剤混合樹脂を押し出し、その直後に水中で切断し、急冷することで発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る、いわゆる溶融押出法(水中カット法などとも称される)。
前記(1)懸濁重合法及び(2)シード重合法で用いるスチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等のスチレン系単量体を主成分とし、スチレン系単量体を通常、50質量%以上、好ましくは80質量%以上含む。これらのスチレン系単量体の中でも、スチレンが特に好ましい。
更にスチレン系単量体に併用可能な重合性単量体としては、スチレン系単量体と共重合可能なものであれば特に限定されず、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレート、アクリロニトリル、メチルメタクリレート等が挙げられる。
また(2)シード重合法で発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造する場合、前記懸濁重合法により得られるポリスチレン系樹脂粒子を種粒子として使用したり、ポリスチレン系樹脂を押出機によりあらかじめ所望の粒子径に調整した後、種粒子として使用しても良い。(2)シード重合法において押出機を用いて種粒子を作製する場合、或いは(3)溶融押出法において使用するポリスチレン系樹脂は、市販されている通常のポリスチレン系樹脂、懸濁重合法などの方法で新たに作製したポリスチレン系樹脂などの、リサイクル原料でないポリスチレン系樹脂(バージンポリスチレン)を使用できる他、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体を再生処理して得られたリサイクル原料を使用することができる。このリサイクル原料としては、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体、例えば、魚箱、家電緩衝材、食品包装用トレーなどを回収し、リモネン溶解方式や加熱減容方式によって再生したリサイクル原料などが挙げられる。
この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の粒子径は、特に限定されないが、成形時の成形型キャビティ内への予備発泡粒子の充填性等から、通常、0.3〜2.0mm程度であり、0.3〜1.4mmが好ましい。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中のポリスチレン系樹脂の分子量は、GPC法による質量平均分子量(Mw)が17万〜70万であるのが好ましい。スチレン系樹脂粒子の分子量が17万を下回ると発泡成形体の強度が低下し、また70万を上回ると充分な発泡性が得られ難くなるので好ましくない。
前記(1)懸濁重合法および(2)シード重合法で使用する重合開始剤としては、通常、スチレンの懸濁重合において用いられるものであれば特に限定されず、例えばラジカル発生型重合開始剤を用いることができる。具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタン、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート等の有機過酸化物やアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。これらの重合開始剤は単独で、または2種以上を組合わせて用いることができる。
前記の重合において、ポリスチレン系樹脂粒子中に残留するスチレン系単量体を低減するために、高温分解型の重合開始剤を使用し、最終の重合温度を115℃以上に設定するのが好ましい。高温分解型の重合開始剤としては、例えばt−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタンなどの半減期10時間を得るための温度が100〜115℃のものが挙げられる。なお、高温分解型の重合開始剤を過剰に加えると分解副生成物であるアルコール類が発生するので好ましくない。
また、前記の重合において、ポリスチレン系樹脂粒子の分子量を調整し、単量体の残留量を減少させるという点で、10時間の半減期を得るための分解温度が80〜120℃の範囲にある重合開始剤を2種以上組合わせて用いるのが好ましい。
前記(1)懸濁重合または(2)シード重合を行う際に、スチレン系単量体の小滴または種粒子を水性媒体中に分散させるために、懸濁剤を用いてもよい。懸濁剤としては、例えばポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子や、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難水溶性無機化合物等が挙げられる。なお、難水溶性無機化合物を用いる場合にはアニオン界面活性剤を併用するのが好ましい。
前記アニオン界面活性剤としては、例えば脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸またはその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩;アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩などが挙げられる。前記のようにして得られるポリスチレン系樹脂粒子に、懸濁重合含浸法あるいは後含浸法によって発泡剤および可塑剤を含浸させることにより、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造することができる。
本発明で用いられる発泡剤としては、一般の熱可塑性樹脂発泡体の製造に用いられている炭素数5以下の脂肪族炭化水素、例えばn−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン等が挙げられる。
前記発泡剤の含有割合は、熱可塑性樹脂粒子に対して5〜9質量%の範囲が好ましく、5〜8質量%がより好ましい。前記含有割合が5質量%を下回ると、低密度化が困難であるばかりでなく、成形時の二次発泡力を高める効果が得られないために発泡成形体の外観が劣るようになる。また、含有割合が9質量%を上回ると、発泡成形時の収縮、予備発泡粒子中の残存ガスの調整時間の遅延、かつ成形サイクルが長くなり、生産性の点から好ましくない。
前記発泡性熱可塑性樹脂粒子は、物性を損なわない範囲内において、従来から発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造に使用されている、可塑剤、発泡セル造核剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、着色剤等を必要に応じて適宜使用してもよい。また、ジンクステアレート等の粉末状金属石鹸類を前記発泡性スチレン樹脂粒子の表面に塗布しておけば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の予備発泡工程においてポリスチレン系樹脂予備発泡粒子同士の結合を減少させることができて好ましい。
本実施形態の製造方法によって予備発泡粒子を製造するには、前述した図1に示す構成の製造装置を用い、発泡槽2内に発泡性熱可塑性樹脂粒子を入れ、発泡槽2内に加熱媒体である蒸気3を導入して発泡性熱可塑性樹脂粒子を加熱発泡させ、所望の嵩発泡倍数の予備発泡粒子1を生成させる。
供給された蒸気3によって加熱された発泡性熱可塑性樹脂粒子は、発泡を始め、発泡槽2内で撹拌棒8による撹拌によって粒同士が合着することなく各粒子が独立した予備発泡粒子1となる。予備発泡の進行(嵩発泡倍数の増加)に伴い、予備発泡粒子1の層高さが増してくる。
この予備発泡において、発泡槽2内で生成した予備発泡粒子1の層高さが、目的とする予備発泡粒子1の嵩発泡倍数に対応する最終レベルよりも低位置である第1レベルに到達したことを検知する第1レベル計12と、最終レベルである第2レベルに達したことを検知する第2レベル計13とを設置し、予備発泡粒子の層高さが第1レベル25に達した後、蒸気供給管路4の第1蒸気管路14a又は第2蒸気管路14bのいずれか一方を止め、発泡槽2底部への蒸気供給量を減少させ、第2レベルまでの加熱発泡を行う。
前記第1レベル計12は、前記第2レベル計13の検知高さの70〜90%の検知高さとなるように設置することが好ましい。
次いで発泡槽2内に空気を供給して予備発泡粒子1を冷却乾燥する。本発明の製造方法では、予備発泡粒子1を冷却乾燥する際に、風圧3.0〜12.0kPaの空気を風量17.0〜40.0m/L/分(ただし、Lは熱可塑性樹脂予備発泡粒子の嵩体積1mを表す)の範囲で発泡槽2内に供給して冷却乾燥を行うことを特徴とする。
前記送風機5としては、風圧3.0〜12.0kPaの低圧空気を大量に送風可能なブロアーなどが好ましい。
前記風圧が3.0kPa未満であると、発泡槽2内の予備発泡粒子1に十分な空気が行き渡らず、予備発泡粒子1の冷却乾燥が不十分になってしまう。前記風圧が12.0kPaを超える冷却空気を送るには、通常仕様の送風機5だけでは不十分であり、他の空気圧縮手段を付設しなければばならず、送風機5が高コストとなり、また送風のための電力消費量が増加するため、予備発泡粒子1の冷却乾燥に要する電力消費量を削減するという効果が得られなくなる。
また、前記風量が17.0m/L/分未満であると、発泡槽2内の予備発泡粒子1に十分な空気が行き渡らず、予備発泡粒子1の冷却乾燥が不十分になってしまう。前記風量が40.0m/L/分を超える冷却空気を送るには、大型の送風機5が必要となって、送風のための電力消費量が増加するため、予備発泡粒子1の冷却乾燥に要する電力消費量を削減するという効果が得られなくなる。
前記発泡槽内に供給する空気の温度は、特に限定されないが、あまり低温であると乾燥に時間がかかることから、5℃以上であることが好ましい。また、空気の温度が高く、湿度が低ければ、予備発酵粒子1の乾燥効率が向上し、より短時間で乾燥させることが可能であるが、空気を常温以上に昇温するためには別途ヒーター等で供給空気を加熱する必要があり、エネルギーコストが上昇する点から、加温した空気を使用することは望ましくない。なお、他の装置の廃熱利用などで安価な加熱空気を入手可能な場合には、その加熱空気を利用することもできる。
この冷却乾燥は、発泡性熱可塑性樹脂投入時の発泡槽内温度が、予備発泡実施毎に80℃未満になるように行うことが望ましい。
発泡性熱可塑性樹脂投入時の発泡槽内温度が80℃以上である場合、予備発泡粒子の冷却乾燥が不十分となり、予備発泡粒子の水分量が高くなり、予備発泡粒子同士の合着が起こり易くなり、発泡槽内でブロッキングを生じて予備発泡粒子のスムーズな送粒が困難になるおそれがある。
また、この冷却乾燥は、予備発泡粒子の水分量が8〜4%の範囲、好ましくは7〜5%の範囲となるように行うことが望ましい。
予備発泡粒子の水分量が8%を超えると、予備発泡粒子同士の合着が起こり易くなり、発泡槽内でブロッキングを生じて予備発泡粒子のスムーズな送粒が困難になるおそれがある。
一方、予備発泡粒子の水分量を4%未満とした場合、静電気が発生し易くなり、予備発泡粒子が管路内や槽壁に付着して取り扱い難くなる問題がある。
予備発泡粒子は、製造するべき熱可塑性樹脂発泡成形体の密度と同等の嵩密度となるように予備発泡される。本発明において、その嵩密度は限定されないが、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造において通常は0.0125〜0.2g/cmの範囲(嵩発泡倍数として5〜80倍)とし、0.02〜0.10g/cmの範囲(嵩発泡倍数として10〜50倍)が好ましく、0.02〜0.05g/cmの範囲(嵩発泡倍数として20〜50倍)がより好ましい。
前述した予備発泡処理を行って得られた予備発泡粒子は、発泡槽2のハッチ10から取り出し、発泡粒解粒機によって解粒後、エゼクター等で大型の予備発泡粒子貯留槽に移送して貯留され、必要に応じて所定の日数放置して熟成させ、必要に応じて予備発泡粒子貯留槽から発泡成形装置に予備発泡粒子を移送し、型内発泡成形法による発泡成形体の製造に用いられる。
本実施形態による予備発泡粒子の製造方法は、発泡槽2内で発泡性熱可塑性樹脂粒子を加熱発泡させ、所望の嵩発泡倍数の予備発泡粒子1を生成させ、次いで発泡槽2内に空気を供給して予備発泡粒子1を冷却乾燥させる際に、風圧3.0〜12.0kPaの空気を風量17.0〜40.0m/L/分(ただし、Lは熱可塑性樹脂予備発泡粒子の嵩体積1mを表す)の範囲で前記発泡槽2内に供給して冷却乾燥を行うことによって、圧縮空気を発泡槽内に供給していた従来技術と比べ、より短時間で予備発泡粒子1を十分に冷却乾燥することができ、予備発泡粒子1の製造サイクルが短くなり、生産効率を向上させることができる。
また、冷却乾燥するために低圧空気を大量送風可能な送風機5を使用できることで、圧縮空気を発泡槽内に供給していた従来技術と比べ、消費電力を大幅に削減でき、製造コストの低減を図ることができる。
前記予備発泡粒子は、ポリスチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂発泡成形体の製造分野において周知の装置及び手法を用い、該予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、水蒸気加熱等により加熱して型内発泡成形し、熱可塑性樹脂発泡成形体(以下、発泡成形体と記す)を製造する。
本発明の発泡成形体の密度は特に限定されないが、ポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造において通常は0.0125〜0.2g/cmの範囲(発泡倍数として5〜80倍)とし、0.02〜0.10g/cmの範囲(発泡倍数として10〜50倍)が好ましく、0.02〜0.05g/cmの範囲(発泡倍数として20〜50倍)がより好ましい。
なお、本発明において、予備発泡粒子の嵩密度・嵩発泡倍数、及び発泡成形体の密度・発泡倍数は、次の通り測定された値を指す。
<予備発泡粒子の嵩密度・嵩発泡倍数>
約5gの予備発泡粒子の質量(a)を小数以下2位で秤量する。次に、最小目盛り単位が5cmである500cmメスシリンダーに秤量した予備発泡粒子を入れ、これにメスシリンダーの口径よりやや小さい円形の樹脂板であって、その中心に幅約1.5cm、長さ約30cmの棒状の樹脂板が直立して固定された押圧具をあてて、予備発泡粒子の体積(b)を読み取り、次式により予備発泡粒子の嵩密度と嵩発泡倍数を求めた。
嵩密度(g/cm)=(a)/(b)
嵩発泡倍数=1/嵩密度(g/cm
<発泡成形体の密度・発泡倍数>
50cm以上(半硬質および軟質材料の場合は100cm以上)の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出した。
密度(g/cm)=試験片質量(g)/試験片体積(cm
試験片状態調節、測定用試験片は、成形後72時間以上経過した試料から切り取り、23℃±2℃×50%±5%または27℃±2℃×65%±5%の雰囲気条件に16時間以上放置したものである。
また、発泡成形体の発泡倍数は次式により算出される数値である。
発泡倍数(倍)=1/密度(g/cm
以下、本発明を実施例および比較例にて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
(予備発泡粒子の製造装置)
製造装置としては、笠原工業社製の予備発泡機「PSX/850」(商品名)をベースとし、図1に示すように、蒸気及び冷却空気を供給する管路19(太さ1.5B)の途中に分岐部を形成し、送風機5として富士電機システムズ社製のリングブロアー(200V×1.3kWh)、接続用の空気管路21(太さ1B)、該空気管路21の途中に設けたボールバルブ(弁20)とで形成した冷却用空気供給手段6を接続した。
この装置の発泡槽内には、予備発泡粒子の体積が770Lに到達したことを検知する第1レベル計12と、予備発泡粒子の体積が870Lに到達したことを検知する第2レベル計13とが設けられ、蒸気加熱時に第1レベル計到達前までは第1蒸気管路14aと第2蒸気管路14bの両方から蒸気供給を行い、第1レベル計到達時点で第1蒸気管路14aが閉じ、第2レベル計到達時点で第2蒸気管路14bも閉じるように制御される。
(予備発泡工程)
原料の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子として、積水化成品工業社製の発泡性ポリスチレンビーズ「エスレンビーズ HDMA」(商品名)を用い、これを嵩発泡倍数60倍に予備発泡させて予備発泡粒子を製造した。工程の概要は次の通り。
(1)ハッチ閉
(2)原料投入;発泡槽内に原料の発泡ビーズを14.8kg投入する。
(3)蒸気供給;第1蒸気管路14aと第2蒸気管路14bとを開く。第1レベル計到達時点で第1蒸気管路14aを閉じる。
(4)蒸気供給停止;第2レベル計到達時点で第2蒸気管路14bを閉じる。
(5)冷却乾燥;リングブロアーを駆動させ、冷却空気を発泡槽内に供給する。
(6)予備発泡粒子の取り出し;予備発泡粒子を発泡槽から解粒機に移し、解粒後に熟成サイロに移送する。
(7)エアー排出
以下の各試験において、前記予備発泡機の運転モードは「高温」とした。テスト時室温は約35℃であった。
<試験1:冷却空気の風量>
前記予備発泡粒子の製造装置を用い、冷却乾燥時にリングブロアーの風量を適宜調整して冷却乾燥を行い(空冷時間は45秒で一定)、得られた予備発泡粒子(以下、発泡粒と記す場合がある)の水分量、解粒機での発泡粒流れ及び発泡粒の静電気を調べた。これらの測定方法及び判断基準は以下の通りとした。
(発泡粒水分量)
取り出した発泡粒の質量を求め、次に105℃で1時間乾燥させた後の発泡粒の質量(完全乾燥後の質量)を測定し、次式により水分量(%)を算出する。
水分量(%)=(取り出した発泡粒の質量−完全乾燥後の質量)÷(完全乾燥後の質量)×100
(解粒機での発泡粒流れ)
取り出した発泡粒を解粒機に移し、解粒する時に、発泡粒が目開き10mmの金網を通過する際の発泡粒の挙動を目視観測した。発泡粒の水分量が多いと、金網から発泡粒が落ちにくくなり、また発泡粒の水分量が少なすぎると、静電気が発生して発泡粒が金網に付着し易くなる。
(発泡粒の静電気)
シンド静電気社製の静電気測定器スタチロンM(商品名)を用いて発泡粒の静電気量(kV)を測定した。
なお、発泡静電気量は20kV以上だと危険とされている。この静電気量は発泡直後の発泡粒についての測定値であり、発泡粒は解粒後、空気輸送され熟成サイロに供給される。この時、静電気量は更に助長され、危険雰囲気にはいる可能性が大きい。よって、発泡力後の発泡粒の静電気量は、10kV以下にするのが好ましい。
[実施例1]
冷却乾燥時にリングブロアーの風量を27.5m/L/分とし、発泡粒水分量、解粒機での発泡粒流れ及び発泡粒の静電気を調べた。その結果を表1に記す。
[実施例2]
冷却乾燥時にリングブロアーの風量を19.0m/L/分とし、発泡粒水分量、解粒機での発泡粒流れ及び発泡粒の静電気を調べた。その結果を表1に記す。
[実施例3]
冷却乾燥時にリングブロアーの風量を38.0m/L/分とし、発泡粒水分量、解粒機での発泡粒流れ及び発泡粒の静電気を調べた。その結果を表1に記す。
[比較例1]
冷却乾燥時にリングブロアーの風量を、本発明における風量の下限値(17.0m/L/分)以下の15.0m/L/分とし、発泡粒水分量、解粒機での発泡粒流れ及び発泡粒の静電気を調べた。その結果を表1に記す。
[比較例2]
冷却乾燥時にリングブロアーの風量を、本発明における風量の上限値(40.0m/L/分)以上の42.0m/L/分とし、発泡粒水分量、解粒機での発泡粒流れ及び発泡粒の静電気を調べた。その結果を表1に記す。
Figure 0005470127
表1の結果から、冷却乾燥時にリングブロアーの風量を17.0〜40.0m/L/分の範囲内とした実施例1〜3は、取り出した発泡粒の水分量が4.0〜6.0%となり、解粒機での発泡粒流れがスムーズであった。また、実施例1〜3の発泡粒は、静電気量が10kV未満となり、良好であった。
一方、比較例1は、リングブロアーの風量を本発明における風量の下限値(17.0m/L/分)以下としたことで、発泡粒の乾燥が不十分となり、取り出した発泡粒の水分量が高くなり、解粒機で発泡粒が流れ難くなり、好ましくなかった。
比較例2は、リングブロアーの風量を本発明における風量の上限値(40.0m/L/分)以上としたことで、発泡粒の水分量が少なくなり、静電気が発生し、解粒機で金網に付着し易くなった。更に熟成サイロに空気輸送する途中で静電気は助長される傾向にあり、サイロで貯量された時は危険範囲の20kVを超える可能性があり、好ましくなかった。
また、風量が多くなると発泡槽内では発泡粒の舞い上がりが強く、発泡槽内天板部に発泡粒が付着し、このような発泡粒は掃除エアー吹き付けでは除去しきれず、次バッチに混合してしまうおそれがある。何度も蒸気に曝された発泡粒は、硬い固形物となり、それが混入すると発泡成形体の品質不良の原因となってしまう。
この試験1の結果より、冷却空気の風量は、17.0〜40.0m/L/分の範囲が好ましいことが分かる。
<試験2:冷却空気の風圧>
冷却空気の風圧を適宜変更して冷却乾燥を行った(空冷時間は45秒で一定)こと以外は、試験1と同様にして発泡粒を製造し、得られた発泡粒の水分量、解粒機での発泡粒流れ、発泡粒の静電気及び発泡槽内部状況を調べた。発泡粒水分量、解粒機での発泡粒流れ、及び発泡粒の静電気の測定については、試験1と同様に行った。
(発泡槽内部状況)
冷却乾燥時に発泡槽の覗き窓から槽内の発泡粒の動き、特に舞い上がりの有無を目視観測した。
[実施例1]
冷却乾燥時に風圧を6.9kPaとし、発泡粒水分量、解粒機での発泡粒流れ、発泡粒の静電気及び発泡槽内部状況を調べた。その結果を表2に記す。
[実施例4]
冷却乾燥時に風圧を4.0kPaとし、発泡粒水分量、解粒機での発泡粒流れ、発泡粒の静電気及び発泡槽内部状況を調べた。その結果を表2に記す。
[実施例5]
冷却乾燥時に風圧を11.0kPaとし、発泡粒水分量、解粒機での発泡粒流れ、発泡粒の静電気及び発泡槽内部状況を調べた。その結果を表2に記す。
[比較例3]
冷却乾燥時に風圧を2.0kPaとし、発泡粒水分量、解粒機での発泡粒流れ、発泡粒の静電気及び発泡槽内部状況を調べた。その結果を表2に記す。
[比較例4]
冷却乾燥時に風圧を13.0kPaとし、発泡粒水分量、解粒機での発泡粒流れ、発泡粒の静電気及び発泡槽内部状況を調べた。その結果を表2に記す。
Figure 0005470127
表2の結果から、風圧を3.0〜12.0kPaの範囲内とした実施例1,4,5は、取り出した発泡粒の水分量が4.0〜6.0%となり、解粒機での発泡粒流れがスムーズであった。また、実施例1〜3の発泡粒は、静電気量が10kV未満となり、良好であった。また、冷却乾燥時に発泡槽内の発泡粒は安定しており、舞い上がりは見られなかった。
一方、風圧を2.0kPaとした比較例3は、発泡粒の乾燥が不十分となり、取り出した発泡粒の水分量が高くなり、解粒機で発泡粒が流れ難くなり、好ましくなかった。
また、風圧を13.0kPaとした比較例4は、発泡粒の水分量が少なくなり、静電気が発生し、解粒機で金網に付着し易くなった。更に、冷却乾燥時に槽内の発泡粒が天板部まで舞い上がり、一部が天板部に付着した。
この表2の結果から、冷却乾燥における風圧は3.0〜12.0kPaの範囲内とするのが好ましいことが分かる。
<試験3:現行の予備発泡機との比較>
現行の前記予備発泡機では、55kWhのスクリューコンプレッサーから風圧5000kPaの圧力の圧縮エアーを太さ1Bの配管で発泡槽に供給している。
この現行の前記予備発泡機の圧縮エアーによる冷却乾燥(以下、空冷と記す)と、前述した実施例1でのブロアーエアーによる空冷とを比較した。
圧縮エアーによる空冷と、ブロアーエアーによる空冷とは、空冷時の圧力は同じであるが、圧縮エアーは1Bの配管を3/8Bに絞り蒸気室を軽油し、発泡室内に吹き込まれる。この時の風量は発泡槽当たり1.86m/分である。一方、ブロアーエアーによる空冷では風圧が6.9kPaと低いが、風量は発泡槽当たり24m/分と約13倍多くなる。
前記圧縮エアーによる空冷と、ブロアーエアーによる空冷とをそれぞれ実施し、空冷時間と発泡粒水分量との関係を調べた。結果を表3に記す。
なお、前記試験1,2の結果から、空冷終了時点での好ましい発泡粒水分量を5%とし、発泡粒水分量5%となった時点で空冷を止めた。
Figure 0005470127
表3の結果から、好ましい発泡粒水分量5%に到達するまでの空冷時間は、実施例1のブロアーエアーの方が20秒も短くて済み、その短縮分が予備発泡工程の1サイクル時間の短縮となり、その結果、本発明によれば発泡粒の生産効率を高めることができる。
また、圧縮エアーの場合には、55kWhのスクリューコンプレッサーを使用しているのに対し、ブロアーエアーの場合には1.3kWhのリングブロアーで済み、本発明によれば予備発泡工程における消費電力を削減することができる。
前記スクリューコンプレッサーから供給される圧縮エアーは、風圧・風速は高いが、エアー配管を1Bから3/8Bに絞っているため、圧縮エアーが蒸気室に吹き込まれた瞬間、急激に風速、風量が落ちてしまい、同じ空冷時間であると発泡粒の水分量が高くなってしまう。
本発明は、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などの熱可塑性樹脂粒子に発泡剤を含有させた発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡装置によって加熱し、目的とする嵩密度(嵩発泡倍数)となるように予備発泡させて熱可塑性樹脂予備発泡粒子を製造するための製造方法及び製造装置に関し、特に、熱可塑性樹脂予備発泡粒子を効率よく製造でき、消費電力を削減できる製造方法及び製造装置に関する。
1…予備発泡粒子、2…発泡槽、3…蒸気、4…蒸気供給管路、5…送風機、6…冷却用空気供給手段、7…回転軸、8…撹拌棒、9…邪魔棒、10…ハッチ、11…金網、12…第1レベル計、13…第2レベル計、14…蒸気管路、14a…第1蒸気管路、14b…第2蒸気管路、15…蒸気調圧弁、16…ヘッダー、17…弁、18…弁、19…管路、20…弁、21…空気管路。

Claims (4)

  1. 発泡槽内に発泡性熱可塑性樹脂粒子を入れ、発泡槽内に加熱媒体を導入して発泡性熱可塑性樹脂粒子を加熱発泡させ、所望の嵩発泡倍数の熱可塑性樹脂予備発泡粒子を生成させ、次いで前記発泡槽内に空気を供給して熱可塑性樹脂予備発泡粒子を冷却乾燥し、次いで熱可塑性樹脂予備発泡粒子を取り出す製造方法において、
    熱可塑性樹脂予備発泡粒子を冷却乾燥する際に、風圧3.0〜12.0kPaの空気を風量17.0〜40.0m/L/分(ただし、Lは熱可塑性樹脂予備発泡粒子の嵩体積1mを表す)の範囲で前記発泡槽内に供給して冷却乾燥を行うことを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  2. 前記冷却乾燥は、発泡性熱可塑性樹脂投入時の発泡槽内温度が、予備発泡実施毎に80℃未満になるように行う請求項1に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  3. 発泡性熱可塑性樹脂粒子を加熱して熱可塑性樹脂予備発泡粒子を生成させる発泡槽と、該発泡槽内に加熱媒体を供給する蒸気供給管路と、発泡槽内に、風圧3.0〜12.0kPaの空気を供給する送風機を含む冷却用空気供給手段とを備えたことを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造装置。
  4. 前記送風機は、前記発泡槽内に風量17.0〜40.0m/L/分(ただし、Lは熱可塑性樹脂予備発泡粒子の嵩体積1mを表す)の空気を供給可能である請求項3に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造装置。
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