JP7003029B2 - 導電性シリコーン組成物、硬化物、積層体、及び、電子回路 - Google Patents

導電性シリコーン組成物、硬化物、積層体、及び、電子回路 Download PDF

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Description

本発明は、導電性シリコーン組成物、その硬化物、該硬化物を有する積層体、及び、該積層体を含む電子回路に関する。
従来、素子の基板への実装や、印刷による回路の形成等の用途に、導電性粒子を樹脂中に分散させた導電性接着剤や導電ペーストなどと呼称される導電性組成物が広く用いられている(特許文献1)。
これらの導電性組成物のバインダーとして汎用されてきたエポキシ樹脂は接着強度等の機械強度に優れるものの、可撓性や伸縮性に劣り、いわゆるウェアラブルデバイスのような回路を形成する基材自体が屈曲、伸縮する用途への応用が難しかった。このような問題に対して、より柔軟性に優れるバインダーとしてウレタン樹脂やシリコーン樹脂などの利用が検討されてきており、特許文献2ではシリコーン樹脂をバインダーとして使用し、伸縮性の評価を行っているが、評価結果が明瞭でなく十分な伸縮性と導電性を有するとは言えない。
更に、導電性組成物の課題として、その高い硬化温度ないしは焼成温度が挙げられる。一般にエポキシやシリコーンなどの樹脂をバインダーとする導電性組成物は、その導通を確保するために、150~300℃以上の加熱を要することが多い。しかしながら、ウェアラブルデバイス等への応用を考えるとPET樹脂やポリウレタン樹脂等、基材の種類を問わずに回路を形成できることが望ましく、加熱過程を必要としない硬化方法が求められている。
樹脂に紫外線を照射することで硬化反応が開始される紫外線硬化は常温での硬化方法として一般的であり、透明樹脂の硬化等の用途には広く用いられているものの、導電性組成物の硬化方法としては一般的ではない。樹脂バインダーと導電性粒子とから構成される導電性組成物においては、導電性粒子による紫外線の吸収や反射により紫外線の透過性は極めて低くなることが普通である。特に、高い導電性を実現するために導電粒子を高充填した場合にその傾向は顕著となる。そのため、紫外線硬化を導電性組成物に適用した場合、組成物深部の硬化性に劣り、通常、数μmの膜厚での硬化に利用されるに留まる(特許文献3)。
特許文献4では特殊な銀粉を併用することで深部硬化性の向上を実現しているが、80℃での加熱を併用しており、常温での硬化における導電性は十分でない。特許文献5ではパルス光を利用することで深部硬化性を向上しているが、極めて高い照射光量を要する。
紫外線硬化のうち、カチオン重合型として知られる硬化方法は深部硬化性には優れるものの、硬化速度が遅く、かつ硬化時に酸成分を副生するため、電子回路等を構成する金属を腐食させるおそれがあり、電子材料には適当とは言えない。
特開2000-319622号公報 特開2017-112030号公報 特許第6335074号公報 特開2015-110745号公報 特許第6319626号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので紫外線照射により常温で充分な深部硬化性を有し、かつ、高い柔軟性・伸張性を有する硬化物を与える導電性シリコーン組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、
(A)ヒドロシリル化反応性炭素-炭素不飽和結合を有する基を1分子中に少なくとも2個有する、オルガノポリシロキサン化合物、
(B)SiH基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物:前記(A)成分中のヒドロシリル化反応性炭素-炭素不飽和結合1個に対して前記(B)成分中のSiH基の数が、0.5~10.0個となる量、
(C)光活性型ヒドロシリル化触媒:前記(A)成分100質量部に対し白金族金属原子質量換算で0.005~0.1質量部、及び、
(D)導電性粒子:組成物の全体積に対し45~66体積%
を含むものであることを特徴とする導電性シリコーン組成物を提供する。
このような本発明の導電性シリコーン組成物は、紫外線照射による常温での深部硬化性に優れ、かつ高い導電性及び柔軟性・伸張性を有するシリコーン硬化物を与える。このような特性を有する本発明の導電性シリコーン組成物は、導電性接着剤や導電ペーストとして、電子部品や素子の基板への実装、印刷による電子回路の形成等に有用である。また、本発明の導電性シリコーン組成物は常温硬化可能であるため、ポリウレタン樹脂やPET等耐熱性の低い樹脂であっても基材として利用することができる。
また、前記(A)成分中の前記ヒドロシリル化反応性炭素-炭素不飽和結合を有する基が炭素原子数2~10のアルケニル基であることが好ましい。
このようなものであれば、(A)成分として好適に用いることができる。
また、前記(B)成分が直鎖状構造を有し、前記(B)成分を構成する前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物中の全SiH基の内、50モル%以上が分子鎖末端に位置することが好ましい。
このようなものであれば、より均一な硬化性を有するものとなる。
また、前記(B)成分が、下記(B-1)成分と(B-2)成分とをそれぞれ含むものであることが好ましい。
(B-1)分子鎖末端にのみSiH基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物
(B-2)分子鎖側鎖にのみSiH基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物
このようなものであれば、より一層均一な硬化性を有するものとなる。
また、前記(B-2)成分のSiH基の含有量に対する前記(B-1)成分のSiH基の含有量の含有量比が1.0~5.0であることが好ましい。
このようなものであれば、特に均一な硬化性を有するものとなる。
また、前記(C)成分が、(η-メチルシクロペンタジエニル)三脂肪族白金錯体又はビス(β-ジケトナト)白金錯体を含むものであることが好ましい。
このようなものであれば、(C)成分として好適に用いることができる。
また、前記(D)成分が銀粉であることが好ましい。
このようなものであれば、(D)成分として好適に用いることができる。
また、本発明は、上記記載の導電性シリコーン組成物の硬化物であって、体積抵抗率が5.0×10-3 Ω・cm以下である導電性シリコーン硬化物を提供する。
このような導電性シリコーン硬化物であれば、柔軟性・伸張性と共に、十分な導電性を有するものとなり、電子部品や素子の基板への実装、印刷による電子回路の形成等に有用なものとなる。
また、本発明は、上記記載の導電性シリコーン硬化物を有するものであることを特徴とする積層体を提供する。
このような積層体であれば、柔軟性・伸張性と共に、十分な導電性を有する導電性シリコーン硬化物を有するものであるため、電子部品や素子の積層体に有用なものとなる。また、本発明の導電性シリコーン組成物は常温硬化可能であるため、ポリウレタン樹脂やPET等耐熱性の低い樹脂を基材とした積層体とすることもできる。
さらに、本発明は、上記記載の積層体を含むものであることを特徴とする電子回路を提供する。
このような電子回路であれば、柔軟性・伸張性と共に、十分な導電性を有する導電性シリコーン硬化物を有するものからなる積層体を含むため、ウェアラブルデバイスのような回路形成する基材自体が屈曲、伸縮する用途を含む様々な電子回路に用いることができる。また、本発明の導電性シリコーン組成物は常温硬化可能であるため、ポリウレタン樹脂やPET等耐熱性の低い樹脂を基材とした電子回路とすることもできる。
本発明の導電性シリコーン組成物は、紫外線照射による常温での深部硬化性に優れ、かつ高い導電性及び柔軟性・伸張性を有するシリコーン硬化物を与える。このような特性を有する本発明の導電性シリコーン組成物は、導電性接着剤や導電ペーストとして、電子部品や素子の基板への実装、印刷による電子回路の形成等に有用である。また、本発明の導電性シリコーン組成物は常温硬化可能であるため、ポリウレタン樹脂やPET等耐熱性の低い樹脂であっても基材として利用可能である。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、柔軟性・伸張性に優れるシリコーン樹脂をバインダーとし、更に、その硬化触媒として光活性化触媒を用いた導電性シリコーン組成物が紫外線照射による常温での深部硬化性に優れ、かつ、高い導電性及び柔軟性・伸張性を有するシリコーン硬化物を与えることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(A)ヒドロシリル化反応性炭素-炭素不飽和結合を有する基を1分子中に少なくとも2個有する、オルガノポリシロキサン化合物、
(B)SiH基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物:前記(A)成分中のヒドロシリル化反応性炭素-炭素不飽和結合1個に対して前記(B)成分中のSiH基の数が、0.5~10.0個となる量、
(C)光活性型ヒドロシリル化触媒:前記(A)成分100質量部に対し白金族金属原子質量換算で0.005~0.1質量部、及び、
(D)導電性粒子:組成物の全体積に対し45~66体積%
を含むものであることを特徴とする導電性シリコーン組成物である。
以下、本発明について詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の導電性シリコーン組成物は、下記(A)~(D)成分を含むものである。
[(A)成分]
本発明の導電性シリコーン組成物における(A)成分は、ヒドロシリル化反応性炭素-炭素不飽和結合を有する基を1分子中に少なくとも2個有する、オルガノポリシロキサン化合物である。
(A)成分としては、例えば、下記平均式(1)で示されるオルガノポリシロキサンを用いることができる。

(R SiO1/2(R SiO1/2(RSiO)(R SiO)(RSiO3/2(RSiO3/2(SiO4/2 ・・・(1)
式(1)中、Rはヒドロシリル化反応性炭素-炭素不飽和結合を有する基であり、Rは上記ヒドロシリル化反応性炭素-炭素不飽和結合を含まない基である。R、Rは、それぞれ、同一又は異なっていても良い、置換又は非置換の1価の炭化水素基である。ただし、a、b、c、d、e、f、gはそれぞれ、a≧0、b≧0、c≧0、d≧0、e≧0、f≧0、及び、g≧0を満たす数であり、ただし、b+c+e>0であり、かつ、a+b+c+d+e+f+g=1を満たす数である。また、各シロキサン単位の配列順は任意である。
上記Rのヒドロシリル化反応性炭素-炭素不飽和結合を有する基としては、ビニル基、アリル基、エチニル基、オクテニル基、ドデセニル基、ノルボルニル基、イソノルボルニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられ、好ましくは炭素原子数2~10、より好ましくは2~6のアルケニル基であり、特にビニル基が好ましい。
(A)成分のオルガノポリシロキサン化合物は、1分子中に少なくとも2個、好ましくは2~6個の、ヒドロシリル化反応性炭素-炭素不飽和結合を有する基を含む。これらの基は、(A)成分の分子鎖末端及び分子鎖側鎖(分子鎖非末端)のどちらか一方にのみ位置していても、その両方に位置していてもよい。
上記Rとしては、ヒドロシリル化反応性炭素-炭素不飽和結合を含まないものであれば特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、s-ペンチル基、2-ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3-クロロプロピル基、トリフルオロメチル基、3,3,3-トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基などが挙げられ、好ましくは炭素原子数が1~12、より好ましくは1~10、更に好ましくは1~8の、非置換又はハロゲン置換の1価の炭化水素基が挙げられ、特にメチル基が好ましい。
(A)成分の具体的な例としては、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルシロキサン、両末端ジメチルビニルシロキサン・環状メチルビニルシロキサン共重合体、環状メチルビニルシロキサン、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・環状ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・環状メチルフェニルシロキサン共重合体、両末端メチルフェニルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン、両末端メチルフェニルビニルシロキシ基封鎖ジフェニルシロキサン、両末端メチルフェニルビニルシロキシ基封鎖メチルフェニルシロキサン、両末端メチルフェニルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・環状ジフェニルシロキサン共重合体、(CH=CH)(CHSiO1/2単位と(CHSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体などが挙げられる。(A)成分は一種単独でも二種以上を併用してもよい。
(A)成分の動粘度は特に限定されないが、好ましくは10~100,000mm/s、より好ましくは1,00~10,000mm/sの範囲である。なお、動粘度は、例えば、ウベローデ粘度計又はキャノン・フェンスケ型粘度計を用いた25℃における測定値とすることができる。このような範囲であれば組成物の取り扱い性に優れる。
[(B)成分]
本発明の導電性シリコーン組成物における(B)成分は、(A)成分中に含まれるヒドロシリル化反応性炭素-炭素不飽和結合とヒドロシリル化反応により架橋する架橋剤として作用する。(B)成分は、ケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を1分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物である。
(B)成分としては、例えば、下記平均式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物を用いることができる。

(R SiO1/2(R HSiO1/2(RHSiO)(R SiO)(HSiO3/2(RSiO3/2(SiO4/2 ・・・(2)
式(2)中、Rはヒドロシリル化反応性炭素-炭素不飽和結合を含まない、同一又は異なっていても良い、置換又は非置換の1価の炭化水素基である。ただし、h、i、j、k、l、m、nはそれぞれ、h≧0、i≧0、j≧0、k≧0、l≧0、m≧0、及び、n≧0を満たす数であり、i+j+l>0であり、かつ、h+i+j+k+l+m+n=1を満たす数である。また、各シロキサン単位の配列順は任意である。
の具体例としては、上記Rと同様の基が挙げられ、好ましくは炭素原子数が1~12、より好ましくは1~10、更に好ましくは1~8の、非置換又はハロゲン置換の1価の炭化水素基が挙げられ、特にメチル基が好ましい。
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物は、1分子中に少なくとも2個、好ましくは3~300個、特に好ましくは3~100個のケイ素原子に結合した水素原子を有する。(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが直鎖状構造を有する場合、これらのSiH基は、分子鎖末端及び分子鎖側鎖(分子鎖非末端)のどちらか一方にのみ位置していても、その両方に位置していてもよいが、組成物の硬化の均一性の観点からは全SiH基の内、50モル%以上が分子鎖末端に位置することが好ましい。即ち、上記平均式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物においては、i/(i+j+l)≧0.5であることが好ましい。
(B)成分の具体的な例としては、例えば、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・環状メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、環状メチルハイドロジェンシロキサン、両末端ジメチルフェニルシロキシ基封鎖メチルフェニルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端ジメチルフェニルシロキシ基封鎖ジフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端メチルフェニルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサン、両末端メチルフェニルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジフェニルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、片末端メチルフェニルハイドロジェンシロキシ基片末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサン等が挙げられる。
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物は、単独で用いても二種以上併用してもよいが、組成物の硬化の均一性の観点から、(B-1)分子鎖末端にのみSiH基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物(即ち、上記平均式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物において、j=l=0のもの)と、(B-2)分子鎖側鎖にのみSiH基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物(即ち、上記平均式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物において、i=0のもの)とを併用することが好ましく、(B-2)成分のSiH基の含有量に対する(B-1)成分のSiH基の含有量の含有量比が1.0~5.0となることがより好ましい。
(B)成分の動粘度は、特に限定されないが、好ましくは10~1,000mm/s、より好ましくは10~100mm/sの範囲である。なお、動粘度は、例えば、ウベローデ粘度計又はキャノン・フェンスケ型粘度計を用いた25℃における測定値とすることができる。このような範囲であれば組成物の取り扱い性に優れる。
(B)成分の配合量は、(A)成分中のヒドロシリル化反応性炭素-炭素不飽和結合1個に対して(B)成分中のケイ素原子結合水素原子の数が、0.5~10.0個、好ましくは1.0~6.0の範囲内となる量である。
[(C)成分]
本発明の導電性シリコーン組成物における(C)成分は、例えば、波長200~500nmの光で活性化される白金族金属触媒、すなわち、遮光下で不活性であり、かつ、波長200~500nmの光を照射することにより、室温で活性な白金族金属触媒に変化して(A)成分中のヒドロシリル化反応性炭素-炭素不飽和結合と、(B)成分中のケイ素原子結合水素原子とのヒドロシリル化反応を促進するための光活性型ヒドロシリル化触媒である。
このような(C)成分の具体例としては、白金族金属触媒であり、その中でもルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金などの白金族元素化合物が好ましく、特に白金化合物が好ましい。白金化合物の例としては、β-ジケトン白金錯体又は環状ジエン化合物を配位子に持つ白金錯体などが挙げられる。これらは合成してもよいし、市販品を購入してもよい。
β-ジケトン白金錯体としては、例えば、トリメチル(アセチルアセトナト)白金錯体、トリメチル(2,4-ペンタンジオネート)白金錯体、トリメチル(3,5-ヘプタンジオネート)白金錯体、トリメチル(メチルアセトアセテート)白金錯体、ビス(2,4-ペンタンジオナト)白金錯体、ビス(2,4-へキサンジオナト)白金錯体、ビス(2,4-へプタンジオナト)白金錯体、ビス(3,5-ヘプタンジオナト)白金錯体、ビス(1-フェニル-1,3-ブタンジオナト)白金錯体、ビス(1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオナト)白金錯体などが挙げられ、好ましくはビス(β-ジケトナト)白金錯体、さらに好ましくはビス(2,4-ペンタンジオナト)白金錯体である。
環状ジエン化合物を配位子に持つ白金錯体としては、例えば、(η-シクロペンタジエニル)ジメチル白金錯体、(η-シクロペンタジエニル)ジフェニル白金錯体、(η-シクロペンタジエニル)ジプロピル白金錯体、(2,5-ノルボルナジエン)ジメチル白金錯体、(2,5-ノルボルナジエン)ジフェニル白金錯体、(η-シクロペンタジエニル)ジメチル白金錯体、(η-メチルシクロペンタジエニル)ジエチル白金錯体、(η-トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジフェニル白金錯体、(η-メチルシクロオクタジエニル)ジエチル白金錯体、(η-シクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体、(η-シクロペンタジエニル)エチルジメチル白金錯体、(η-シクロペンタジエニル)アセチルジメチル白金錯体、(η-メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体、(η-メチルシクロペンタジエニル)トリヘキシル白金錯体、(η-トリメチルシリルシクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体、(η-ジメチルフェニルシリルシクロペンタジエニル)トリフェニル白金錯体、及び、(η-シクロペンタジエニル)ジメチルトリメチルシリルメチル白金錯体などが挙げられ、好ましくは(η-メチルシクロペンタジエニル)三脂肪族白金錯体、さらに好ましくは(η-メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体である。
上記光活性型ヒドロシリル化触媒の含有量は上記成分(A)100質量部に対して白金族金属原子質量として0.005~0.1質量部であり、0.01~0.05質量部であることが好ましい。光活性型ヒドロシリル化触媒が0.005質量部より少ないと、紫外線照射時の硬化性が不十分であり、0.1質量部より多いと保存性を損なってしまう。
[(D)成分]
本発明の導電性シリコーン組成物における(D)成分は、導電性粒子である。
(D)成分としては、導電性を有するものであればいかなるものであってもよいが、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、パラジウムなどの金属粒子又はこれらの合金ないしこれらの金属をメッキした粒子、酸化亜鉛、酸化チタン、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、リンドープ酸化スズ(PTO)、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)などを用いることができ、導電性の観点から銀粉及び銀メッキ粉が好ましい。
銀粉としては、三菱マテリアル社製、福田金属箔粉社製、徳力本店社製、DOWAエレクトロニクス社製などを使用することができる。
導電性粒子は、球状、フレーク状、樹状、不定形などいかなる形状でもよく、それらの混合物であってもよいが、フレーク状が特に好ましい。ここで、フレーク状とは、扁平状、薄片状、鱗片状などと呼称されるものも含まれる。
導電性粒子の平均粒径は、0.1~100μmの範囲が好ましく、0.1~50μmの範囲がより好ましい。上記平均粒径が100μm以下であれば組成物の均一性が十分となるため、塗布性が良好となり、導電性が十分となる。なお、本発明において、平均粒径は、体積基準の粒度分布における50%累積径(メジアン径)を意味し、例えば日機装(株)製マイクロトラックMT330OEX等により測定が可能である。
(D)成分のタップ密度は、1.0~7.0g/cmが好ましい。なお、タップ密度の測定方法は、JIS Z 2512:2012に準ずる。
(D)成分の充填量は、導電性シリコーン組成物の全体積に対し45~66体積%の範囲であり、好ましくは45~64体積%、より好ましくは50~62体積%の範囲である。(D)成分の充填量が45体積%より少ないと、得られる硬化物の導電性が不十分となり、66体積%より多いと、導電粒子の充填が困難となり均一なペーストを得ることが難しく、また組成物の紫外線照射による硬化性を損なうおそれがある。
[その他の成分]
<接着性向上剤>
上記の成分以外にも、本組成物には樹脂に対する接着性を高めるために、接着性向上剤を添加してもよい。接着性向上剤としては、付加反応硬化型である本発明の組成物に自己接着性を付与する観点から、接着性を付与する官能基を含有するシラン、シロキサン等の有機ケイ素化合物、非シリコーン系有機化合物等が用いられる。
接着性を付与する官能基の具体例としては、ケイ素原子に結合した炭素-炭素不飽和結合を有する重合性基、SiH基、炭素原子を介してケイ素原子に結合したエポキシ基(例えば、γ-グリシドキシプロピル基、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基等)や、アルコキシシリル基(例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基等)等が挙げられる。
上記官能基群のうちの少なくとも1種及びオルガノシロキサン骨格を含む化合物の例として、下記構造式で表されるものが挙げられる。なお、下記構造式中のMeはメチル基を表す。
Figure 0007003029000001
また、非シリコーン系有機化合物としては、例えば、下記構造式で表される有機酸アリルエステル化合物及びアリルエーテル化合物などが挙げられる。
Figure 0007003029000002
その他の非シリコーン系接着性向上剤としては、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物等が挙げられる。
上記有機チタン化合物の例としては、チタン酸テトラエチル、チタン酸テトラプロピル、チタン酸テトラブチル、チタニウムテトラアセチルアセトネート、ジイソプロポキシチタニウムビス(アセチルアセトナト)などが挙げられる。
上記有機ジルコニウム化合物の例としては、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムプロポキシド、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセチルアセトネート、ビスアセタトオキソジルコニウムなどが挙げられる。
上記有機アルミニウム化合物の例としては、アルミニウムエトキシド、アルミニウムプロポキシド、アルミニウムブトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトネートなどが挙げられる。
<補強材>
本発明の組成物には引張強度、伸び、引き裂き強度などを向上させるために補強材として微粉末シリカを配合してもよい。この微粉末シリカは、比表面積(BET法)が50m/g以上であることが好ましく、より好ましくは50~400m/g、特に好ましくは100~300m/gである。比表面積が50m/g以上であれば、硬化物に十分な補強性を付与することができる。
本発明において、このような微粉末シリカとしては、従来からシリコーンゴムの補強性充填剤として使用されている公知のものでもよく、例えば、煙霧質シリカ(乾式シリカ)、沈降シリカ(湿式シリカ)等が挙げられる。微粉末シリカはそのまま使用してもよいが、組成物に良好な流動性を付与するため、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン等のメチルクロロシラン類、ジメチルポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジメチルテトラビニルジシラザン等のヘキサオルガノジシラザン等の有機ケイ素化合物で処理したものを使用することが好ましい。補強性シリカは単独で用いても二種以上を併用してもよい。
<反応制御剤>
本発明の組成物には、(C)成分の付加反応触媒に対して反応制御効果を持つ公知の反応制御剤を使用することができる。反応制御剤としては、トリフェニルホスフィン等のリン含有化合物;トリブチルアミンやテトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール等の窒素含有化合物;硫黄含有化合物;アセチレン系化合物;ハイドロパーオキシ化合物;マレイン酸誘導体等が例示される。
反応制御剤による硬化抑制効果は、反応制御剤の化学構造によって大きく異なるため、反応制御剤の配合量は、使用する反応制御剤ごとに最適な量に調整することができる。好ましくは、(A)及び(B)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.001~5質量部である。
[導電性シリコーン硬化物]
本発明の導電性シリコーン組成物の硬化物は、その体積抵抗率が5.0×10-3 Ω・cm以下であることが好ましい。このような導電性シリコーン硬化物であれば、柔軟性・伸張性と共に、十分な導電性を有するものとなり、電子部品や素子の基板への実装、印刷による電子回路の形成等に有用なものとなる。
[積層体]
本発明の導電性シリコーン組成物は、基材に塗布又は印刷した後に硬化させることによって、高い導電性を有する積層体を形成することができる。上記基材は特に制限されず、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンオキシド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、シリコーン樹脂等の有機材料、及び、アルミナ、ジルコニア、チタン酸バリウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ガラス、金属等の無機材料など公知の材料を用いることができる。また本発明の導電性シリコーン組成物の常温硬化可能であるという特徴から、ポリウレタン樹脂やPET等耐熱性の低い樹脂であっても基材として利用可能である。また、低接着性の基材として知られるシリコーン樹脂に対しても好適である。
本発明の導電性シリコーン組成物を塗布又は印刷する前処理として上記各種基材について表面処理を行ってもよい。表面処理の具体的な例としては、紫外線、X線、γ線、α線、β線、電子線等の活性エネルギー線の照射及びプラズマ処理、コロナ処理、オゾン処理などが挙げられる。
本発明の導電性シリコーン組成物の塗布ないし印刷方法としては、ディスペンス、スリット塗布、バーコーター塗布、スキージ塗布、スプレー塗布、スクリーン印刷、メタルマスク印刷など各種方法を使用することができる。
[組成物の硬化方法]
次に、本発明の導電性シリコーン組成物の硬化方法について詳細に説明する。
本発明の導電性シリコーン組成物は、紫外線を照射することにより常温(5~35℃)環境下においても速やかに硬化が開始する。本発明の導電性シリコーン組成物に照射する紫外線の光源としては、例えば、紫外線LEDランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアークランプ、及び、キセノンランプ等が挙げられる。紫外線の照射量(積算光量)は、例えば、本発明の組成物を80μm程度の厚みに塗布した塗膜に対して、好ましくは1,000~10,000mJ/cmであり、より好ましくは3,000~7,000mJ/cmである。このような範囲であれば組成物をより均一に硬化することができる。また、本発明の導電性シリコーン組成物は紫外線照射による硬化後に加熱操作を行うことにより、導電性をより高めることが可能である。例えば、120℃/1時間や150℃/1時間の加熱などの条件が挙げられる。
[電子回路]
また、本発明では上記記載の積層体を含む電子回路を提供する。
このような電子回路であれば、柔軟性・伸張性と共に、十分な導電性を有する導電性シリコーン硬化物を有する導電性シリコーン硬化物からなる積層体を含むため、ウェアラブルデバイスのような回路形成する基材自体が屈曲、伸縮する用途を含む様々な電子回路に用いることができる。また、本発明の導電性シリコーン組成物は常温硬化可能であるため、ポリウレタン樹脂やPET等耐熱性の低い樹脂を基材とした電子回路とすることもできる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、25℃における粘度は回転粘度計により、25℃における動粘度はウベローデ粘度計又はキャノン・フェンスケ型粘度計により測定した。
[実施例1~7、比較例1~7]
下記に示される(A)~(D)成分及びその他の成分を、表1及び表2に示す配合量にて自転・公転式ミキサー((株)THINKY社製)を用いて5分間混合し、シリコーン組成物を調製した。なお、表1又は表2中の各成分の数値は質量部を示す。銀粉充填率は組成物全体に占める銀粉の体積百分率である。
[(A)成分]
a-1:両末端ジメチルビニルシリル基封鎖ジメチルポリシロキサン化合物(25℃における動粘度600mm/s)
a-2:両末端ジメチルビニルシリル基封鎖ジメチルポリシロキサン化合物(25℃における動粘度5,000mm/s)
a-3:下記平均式(3)で表される、重量平均分子量4,500のオルガノポリシロキサン。なお、下記平均式(3)中のViはビニル基を表す。

(ViMeSiO1/20.07(MeSiO1/20.39(SiO4/20.54 ・・・(3)

a-4:下記式(4)で表されるアクリル変性ポリシロキサン化合物
Figure 0007003029000003
(式中、括弧内のシロキサン単位の配列順は任意である。)
[(B)成分]
b-1:下記式(5)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物
Figure 0007003029000004
b-2:下記式(6)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物
Figure 0007003029000005
(式中、括弧内のシロキサン単位の配列順は任意である。)
[(C)成分]
c-1:(メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体のトルエン溶液(白金原子として0.5質量%含有)(Umicore社製)
c-2:ビス(1,3-プロパンジオナト)白金錯体のブチルカルビトールアセテート溶液(白金原子として0.5質量%含有)(Umicore社製)
[比較成分]
c-3:六塩化白金酸と1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサンとの反応生成物の、ジメチルポリシロキサン(粘度600mPa・s)溶液(白金含有量1.0質量%)
[(D)成分]
d-1:平均粒径が3.4μm、タップ密度が7.0g/cmの銀粉末
d-2:平均粒径が7.7μm、タップ密度が3.7g/cmの銀粉末
[その他の成分]
e-1:下記式(7)で表される光ラジカル開始剤(BASF社製)
Figure 0007003029000006
f-1:反応制御剤として1-エチニル-1-シクロヘキサノール(日信化学工業社製)
導電性シリコーン組成物、及びその硬化物の特性は次のようにして評価した。
[紫外線硬化性]
実施例1~7及び比較例1~7のシリコーン組成物をそれぞれシリコーンゴム上に、厚み80μmにスキージ塗布後、アイグラフィックス社製ランプH(M)06-L-61により6,000mJ/cmの紫外線照射を行い、サンプルを作成した。
この際、シリコーン組成物が完全に硬化した場合を「○」、一部未硬化の場合を「△」、殆ど硬化が見られなかった場合を「×」として評価した。結果を表1及び表2に示す。
[体積抵抗率]
上記紫外線硬化性試験で作製したサンプルについて、三菱化学アナリテック社製ロレスターGXにより四探針法での体積抵抗率測定を行った。3回の測定の中央値を表1及び表2に示す。
[伸縮性]
上記紫外線硬化性試験で作製したサンプルについて、基材であるシリコーンゴムの伸び率が20%となるように引っ張った際のシリコーン組成物の表面状態を、キーエンス社製デジタルマイクロスコープによって観察した。
引っ張りに伴い剥離やひび割れが生じたものを「×」、表面にのみ亀裂が観察されたものを「△」、全く変化が見られなかったものを「○」として評価した結果を表1及び表2に示す。
[伸縮後体積抵抗率]
また、同サンプルについて、伸縮を10回繰り返した後の体積抵抗率を、上記手法に基づいて測定した。結果を表1及び表2に示す。
Figure 0007003029000007
Figure 0007003029000008
表1に示すように実施例1~7の導電性シリコーン組成物は紫外線照射による優れた硬化性を有し、かつ高い導電性と伸縮性を有する材料である。
一方、比較例1では導電性粒子である銀粉の充填量が過少であり、硬化性・伸縮性には優れるものの導電性は十分でなく、比較例2では銀粉が過剰でありペースト状とならなかった。また、比較例3及び4から、(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1個に対する(B)成分中のケイ素原子結合水素原子の数が少なすぎる又は多すぎる場合、硬化性が十分でなく、伸縮性に劣ることが分かる。また、比較例5から、触媒添加量が(A)成分100質量部に対し白金族原子質量換算で0.0025質量部と、少なすぎると十分な紫外線硬化性を満足しないことが分かる。また、比較例6から、光活性化しない付加触媒を用いると紫外線照射による硬化が生じないことは明らかである。また、光活性型ヒドロシリル化反応ではなく、紫外線ラジカル硬化を利用した比較例7は、硬化したものの深部硬化性が十分でなく硬化物が不均一なものとなった。
[比較例8、9]
導電性組成物としてポリイミド変性シリコーン系導電ペースト(信越化学工業社製、SMP-2840)及びエポキシ系導電ペースト(藤倉化成社製、D-723S)をそれぞれ用いて、シリコーンゴム上に厚み、40μmにスキージ塗布後、表3に示す条件で硬化を行った。得られたサンプルについて、体積抵抗率の測定ならびに伸縮性の評価を上記実施例に準じて行った結果を表3に併せて示す。
Figure 0007003029000009
表3に示すように、比較例8、9の導電性組成物は、本発明のシリコーン組成物と比較し伸縮性に劣ることが明らかである。
以上のことから、本発明の導電性シリコーン組成物であれば、紫外線照射による常温での深部硬化性に優れ、かつ高い導電性及び柔軟性・伸張性を有するシリコーン硬化物を与えるため、電子部品や素子の基板への実装、印刷による電子回路の形成等に有用であることが実証された。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (9)

  1. (A)ヒドロシリル化反応性炭素-炭素不飽和結合を有する基を1分子中に少なくとも2個有する、オルガノポリシロキサン化合物、
    (B)SiH基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物:前記(A)成分中のヒドロシリル化反応性炭素-炭素不飽和結合1個に対して前記(B)成分中のSiH基の数が、0.5~10.0個となる量、
    (C)光活性型ヒドロシリル化触媒:前記(A)成分100質量部に対し白金族金属原子質量換算で0.005~0.1質量部、及び、
    (D)導電性粒子:組成物の全体積に対し45~66体積%
    を含むものであり、かつ
    前記(B)成分が、下記(B-1)成分と(B-2)成分とをそれぞれ含むもの
    であることを特徴とする導電性シリコーン組成物。
    (B-1)分子鎖末端にのみSiH基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物
    (B-2)分子鎖側鎖にのみSiH基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物
  2. 前記(A)成分中の前記ヒドロシリル化反応性炭素-炭素不飽和結合を有する基が炭素原子数2~10のアルケニル基であることを特徴とする請求項1に記載の導電性シリコーン組成物。
  3. 前記(B)成分が直鎖状構造を有し、前記(B)成分を構成する前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物中の全SiH基の内、50モル%以上が分子鎖末端に位置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導電性シリコーン組成物。
  4. 前記(B-2)成分のSiH基の含有量に対する前記(B-1)成分のSiH基の含有量の含有量比が1.0~5.0であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の導電性シリコーン組成物。
  5. 前記(C)成分が、(η-メチルシクロペンタジエニル)三脂肪族白金錯体又はビス(β-ジケトナト)白金錯体を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の導電性シリコーン組成物。
  6. 前記(D)成分が銀粉であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の導電性シリコーン組成物。
  7. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の導電性シリコーン組成物の硬化物であって、体積抵抗率が5.0×10-3 Ω・cm以下であることを特徴とする導電性シリコーン硬化物。
  8. 請求項に記載の導電性シリコーン硬化物を有するものであることを特徴とする積層体。
  9. 請求項に記載の積層体を含むものであることを特徴とする電子回路。
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