JP7000017B2 - 書き味向上フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、タッチペンでの書き味を向上させるためにタッチパネルの表面に適用するタッチパネル用の書き味向上フィルムに関する。
特に、筆記振動を所定の範囲に安定的に制御して、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を効果的に再現することができる書き味向上フィルムに関する。
従来、各種電子機器において、表示装置と入力手段とを兼ねたタッチパネルが広く利用されている。
特に近年、入力手段としてタッチペンを利用したペン入力型タッチパネルが普及し始めており、スマートフォン、電子ペーパー、タブレット型PC、ペンタブレット、遊技機器等における利用が急速に拡大している。
しかしながら、通常、タッチパネルの表示モジュールは硬質であるため、タッチペンによる書き味は、紙に鉛筆で筆記したときの書き味と大きく異なり、良好とは言い難い。
そこで、タッチペンでの書き味を向上させるべく、タッチパネルの表面に適用するためのフィルムが検討されている(例えば、特許文献1~2参照)。
すなわち、特許文献1には、プラスチックフィルムに多官能(メタ)アクリレートおよび、有機および/または無機フィラーを含有してなる紫外線硬化型樹脂組成物において、レベリング剤を含まず、希釈溶剤としてトルエン、酢酸ブチル、1-ブタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いてなる紫外線硬化型樹脂組成物を塗布し、紫外線を照射してなることを特徴とする防眩性ハードコートフィルムが開示されている。
また、特許文献2には、ディスプレイの表示面に設けられたタッチ入力装置のタッチ面に積層される厚さ0.1~2mmの保護フィルムであって、新たなタッチ面となる保護フィルムの表面層が本質的に透明で自己修復性および耐擦傷性を有する軟質合成樹脂からなることを特徴とする保護フィルムが開示されている。
特開2012-126804号公報(特許請求の範囲等) 特開平6-180628号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、特許文献1~2に記載の防眩性ハードコートフィルム等は、耐擦傷性や、傷が生じた場合の自己修復性についてはある程度向上させることができたものの、筆記する際にタッチペンとの間で生じる振動(以下、「筆記振動」と称する場合がある。)が、紙に鉛筆で筆記したときの筆記振動と大きく異なるため、書き味が不十分であるという問題が見られた。
そこで、本発明者等は、鋭意検討した結果、基材フィルムと、書き味向上層とを含む書き味向上フィルムにおいて、書き味向上層を形成するための書き味向上層形成用組成物として、活性エネルギー線硬化性樹脂と、所定の算術平均粒子径およびCv値を有する不定形シリカ粒子とを含む組成物を用いることで、これらの問題を解決できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、筆記振動を所定の範囲に安定的に制御して、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を効果的に再現することができる書き味向上フィルムを提供することを目的とする。
本発明によれば、基材フィルムと、書き味向上層と、を含むタッチパネル用の書き味向上フィルムであって、
書き味向上層が、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂と、(B)成分としてのフィラーと、を含む書き味向上層形成用組成物の硬化物からなるとともに、
(B)成分としてのフィラーが不定形シリカ粒子を含み、
不定形シリカ粒子の算術平均粒子径を0.5~2.5μmの範囲内の値とし、かつ、
不定形シリカ粒子のCv値を70~100%の範囲内の値とし、
書き味向上層の表面に対し、ペン先の直径が0.5mmのハードフェルト芯を備えたタッチペンのペン先を、タッチペンの軸心が書き味向上フィルムのフィルム面と直交するように、荷重3.92Nの加圧条件で接触させながら、タッチペンを書き味向上フィルムのフィルム面と平行な任意の一方向に、速度100mm/分で移動させてペン先抵抗力を測定した場合のペン先摺動係数を0.17~0.3の範囲内の値とすることを特徴とする書き味向上フィルムが提供され、上述した問題を解決することができる。
すなわち、本発明の書き味向上フィルムによれば、書き味向上層を形成するための書き味向上層形成用組成物として、活性エネルギー線硬化性樹脂と、所定の算術平均粒子径およびCv値を有する不定形シリカ粒子を含む組成物を用いていることから、筆記振動を安定的に制御して、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を効果的に再現することができる。
また、本発明の書き味向上フィルムを構成するにあたり、(B)成分としての不定形シリカ粒子の配合量を、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して5~25重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、紙に鉛筆で筆記したときの書き味をより効果的に再現することができ、かつ、ギラツキの発生についてもより効果的に抑制することができる。
また、本発明の書き味向上フィルムを構成するにあたり、書き味向上層における算術平均粗さRaを0.05~0.5μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、紙に鉛筆で筆記したときの書き味をさらに効果的に再現することができる。
また、本発明の書き味向上フィルムを構成するにあたり、ヘイズ値を1~40%の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、紙に鉛筆で筆記したときの書き味をさらに効果的に再現することができ、かつ、ギラツキの発生をさらに効果的に抑制することができる。
また、本発明の書き味向上フィルムを構成するにあたり、書き味向上層の厚みを1~20μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、紙に鉛筆で筆記したときの書き味をさらに効果的に再現することができ、かつ、ギラツキの発生をさらに効果的に抑制することができる。
また、本発明の書き味向上フィルムを構成するにあたり、基材フィルムにおける書き味向上層が位置する側とは反対側の面に、粘着剤層を備えることが好ましい。
このように構成することにより、容易にタッチパネルの表面に適用することができる。
図1(a)~(b)は、本発明の書き味向上フィルムの構成を説明するために供する図である。 図2は、ペン先抵抗力の測定方法を説明するために供する図である。 図3(a)~(b)は、実施例2の書き味向上フィルムにおける移動距離(mm)-ペン先抵抗力(mN)チャート、および、周波数(Hz)-振幅(-)チャートを示すために供する図である。 図4は、本発明の書き味向上フィルムを適用したタッチパネル付き表示装置を説明するために供する図である。 図5(a)~(b)は、比較例1の書き味向上フィルムにおける移動距離(mm)-ペン先抵抗力(mN)チャート、および、周波数(Hz)-振幅(-)チャートを示すために供する図である。 図6(a)~(b)は、比較例6の書き味向上フィルムにおける移動距離(mm)-ペン先抵抗力(mN)チャート、および、周波数(Hz)-振幅(-)チャートを示すために供する図である。 図7(a)~(b)は、紙に鉛筆で筆記した場合の移動距離(mm)-ペン先抵抗力(mN)チャート、および、周波数(Hz)-振幅(-)チャートを示すために供する図である。
本発明の実施形態は、図1(a)に示すように、基材フィルム20と、書き味向上層10と、を含むタッチパネル用の書き味向上フィルム1であって、
書き味向上層10が、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂と、(B)成分としてのフィラーと、を含む書き味向上層形成用組成物の硬化物からなるとともに、
(B)成分としてのフィラーが不定形シリカ粒子を含み、
不定形シリカ粒子の算術平均粒子径を0.5~3μmの範囲内の値とし、かつ、
不定形シリカ粒子のCv値を50~200%の範囲内の値とすることを特徴とする書き味向上フィルム1である。
以下、適宜図面を参照して具体的に説明する。
1.書き味向上層
(1)書き味向上層形成用組成物
本発明の書き味向上フィルムにおける書き味向上層は、少なくとも、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂と、(B)成分としてのフィラーと、を含む書き味向上層形成用組成物の硬化物からなることを特徴とする。
以下、書き味向上層形成用組成物に含まれる各成分について説明する。
(1)-1 (A)成分:活性エネルギー線硬化性樹脂
書き味向上層形成用組成物に含まれる(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂の種類としては、特に制限されるものではなく、従来公知のものの中から選択することができ、エネルギー線硬化性モノマー、オリゴマー、樹脂またはこれらの混合物が挙げられる。
より具体的には、多官能性(メタ)アクリル系モノマーや(メタ)アクリレート系プレポリマーを用いることが好ましく、得られる書き味向上層の耐擦傷性をより優れたものとする観点から、多官能性(メタ)アクリル系モノマーを用いることがより好ましい。
また、多官能性(メタ)アクリル系モノマーとしては、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する2官能以上の多官能性(メタ)アクリル系モノマーであることが好ましく、耐擦傷性をより優れたものとする観点から、3官能以上であることがより好ましく、5官能以上であることが特に好ましい。一方、書き味向上フィルムのカールを抑制する観点から、多官能性(メタ)アクリル系モノマーとしては、20官能以下であることが好ましく、12官能以下であることがより好ましく、9官能以下であることが特に好ましい。
また、多官能性(メタ)アクリル系モノマーは、他の成分との相溶性の観点から、分子量1000以下のものであることが好ましい。
また、多官能性(メタ)アクリル系モノマーの具体例としては、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(メタ)アクリレート系プレポリマーとしては、例えば、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系等が挙げられる。
ここで、ポリエステルアクリレート系プレポリマーとしては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
また、エポキシアクリレート系プレポリマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応させエステル化することにより得ることができる。
また、ウレタンアクリレート系プレポリマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得ることができる。
さらに、ポリオールアクリレート系プレポリマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
なお、これらのプレポリマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、上述した多官能性(メタ)アクリレート系モノマーと併用してもよい。
(1)-2 (B)成分:フィラー
(i)種類
本発明においては、書き味向上層形成用組成物に含まれる(B)成分としてのフィラーが、シリカ粒子を含むことを特徴とする。
この理由は、シリカ粒子であれば、Cv値が十分に大きいことにより、書き味向上層表面の凹凸形状がより複雑なものとなることから、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を効果的に再現することができるためである。
また、算術平均粒子径が小さくても書き味特性を得やすいことから、ギラツキの発生についても効果的に抑制することができるためである。
なお、その他のフィラーとして、例えば、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる粒子を併用してもよい。
(ii)形状
また、シリカ粒子の形状を、不定形とすることを特徴とする。
この理由は、不定形のシリカ粒子を用いた場合、例えば球状等の定形のシリカ粒子を用いた場合と比較して、Cv値が大きくなるばかりか、書き味向上層表面の突起がフィラーの不定形に対応したものとなり、書き味特性を得やすくなるためである。
なお、本発明において「不定形」とは、球状や楕円形状のような規則的形状ではなく、不規則な多数の角部または面を有する形状を意味する。
(iii)算術平均粒子径
また、不定形シリカ粒子の算術平均粒子径を0.5~3μmの範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる算術平均粒子径が0.5μm未満の値となると、書き味向上層表面が平滑になって、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を効果的に再現することが困難になる場合があるためである。一方、かかる算術平均粒子径が3μmを超えた値となると、書き味向上層表面における突起が、人のペン圧で乗り越えるには高くなりすぎることから、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を効果的に再現することが困難になる場合があるためである。もしくは、ディスプレイの画素と光学的作用が生じやすくなることから、ギラツキが発生しやすくなる場合があるためである。
したがって、不定形シリカ粒子の算術平均粒子径の下限値を0.8μm以上の値とすることがより好ましく、1μm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、不定形シリカ粒子の算術平均粒子径の上限値を2.5μm以下の値とすることがより好ましく、2μm以下の値とすることがさらに好ましい。
(iv)Cv値
また、不定形シリカ粒子のCv値を50~200%の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかるCv値が50%未満の値となると、書き味向上層表面の凹凸形状が単調なものとなり、十分な書き味特性を得ることが困難になる場合があるためである。一方、かかるCv値が200%を超えた値となると、書き味に寄与しない粒子が増加して、粒子必要量が多くなり、ギラツキが発生しやすくなる場合があるためである。
したがって、不定形シリカ粒子のCv値の下限値を60%以上の値とすることがより好ましく、70%以上の値とすることがさらに好ましい。
また、不定形シリカ粒子のCv値の上限値を150%以下の値とすることがより好ましく、100%以下の値とすることがさらに好ましい。
(v)配合量
また、不定形シリカ粒子の配合量を、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、5~30重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる配合量が5重量部未満の値となると、書き味向上層の表面における凹凸割合が少なくなって、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を効果的に再現することが困難になる場合があるためである。一方、かかる配合量が30重量部を超えた値となると、ギラツキが発生しやすくなったり、ヘイズ値が過度に大きくなったりして、ディスプレイの表示画像の視認性が過度に低下しやすくなる場合があるためである。
したがって、不定形シリカ粒子の配合量の下限値を、8量部以上の値とすることがより好ましく、10重量部以上の値とすることがさらに好ましい。
また、不定形シリカ粒子の配合量の上限値を、20重量部以下の値とすることがより好ましく、15重量部以下の値とすることがさらに好ましい。
(1)-3 (C)成分:レベリング剤
また、書き味向上層形成用組成物が、(C)成分としてレベリング剤を含むことが好ましい。
この理由は、レベリング剤を含むことにより、得られる書き味向上層の表面においてスジ状の欠点やムラ等が発生することを効果的に抑制し、厚みを均一に制御することができるためである。
その結果、紙に鉛筆で筆記したときの書き味をより効果的に再現することができる。
また、レベリング剤の種類としては、例えば、シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、アクリル系レベリング剤、ビニル系レベリング剤等が挙げられ、中でも、レベリング性や他の成分との相溶性の観点から、シリコーン系レベリング剤およびフッ素系レベリング剤が好ましい。
なお、レベリング剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、シリコーン系レベリング剤としては、ポリジメチルシロキサンまたは変性ポリジメチルシロキサンであることが好ましく、ポリジメチルシロキサンであることが特に好ましい。
また、フッ素系レベリング剤としては、パーフルオロアルキル基またはフッ素化アルケニル基を主鎖または側鎖に有する化合物であることが好ましく、市販品としては、ビックケミージャパン(株)製のBYK-340、ネオス(株)製のフタージェント650A、DIC(株)製のメガファックRS-75、大阪有機化学工業(株)製のV-8FM等が挙げられる。
また、レベリング剤の配合量としては、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、通常0.001~10重量部の範囲内の値であることが好ましく、0.005~5重量部の範囲内の値であることがより好ましく、0.01~3重量部の範囲内の値であることがさらに好ましい。
(1)-4 (D)成分:光重合開始剤
また、書き味向上層を安定的に硬化させる観点から、書き味向上層形成用組成物が、(D)成分として光重合開始剤を含むことが好ましい。
かかる光重合開始剤の種類としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-プロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-2(ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-ターシャリーブチルアントラキノン、2-アミノアントラキノン、2-メチルチオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p-ジメチルアミノ安息香酸エステル等が挙げられる。
なお、これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、光重合開始剤の配合量としては、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、通常0.2~10重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
(1)-5 書き味向上層形成用組成物の調製
また、書き味向上層形成用組成物は、必要に応じ、適当な溶媒中に、上述した(A)~(D)成分等を加え、溶解または分散させることにより調製することができる。
このとき、(A)~(D)成分以外の成分としては、例えば、帯電防止剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シラン系カップリング剤、光安定剤、消泡剤等を加えることができる。
また、使用する溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類等が挙げられる。
(2)厚み
また、書き味向上層の厚みを0.1~50μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる厚みが0.1μm未満の値となると、十分な書き味特性を確保することが困難になる場合があるためである。一方、かかる厚みが50μmを超えた値となると、書き味向上フィルムにカールが発生しやすくなる場合があるためである。
したがって、書き味向上層の厚みの下限値を1μm以上の値とすることがより好ましく、3μm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、書き味向上層の厚みの上限値を20μm以下の値とすることがより好ましく、10μm以下の値とすることがさらに好ましい。
2.基材フィルム
基材フィルムの種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリウレタン樹脂フィルム、ノルボルネン系重合体フィルム、環状オレフィン系重合体フィルム、環状共役ジエン系重合体フィルム、ビニル脂環式炭化水素重合体フィルム等のプラスチックフィルムまたはそれらの積層フィルムが挙げられる。
中でも、機械的強度等の面から、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン系重合体フィルム等が好ましい。
また、基材フィルムにおいては、その表面に設けられる層との密着性を向上させる目的で、片面または両面に、プライマー処理、酸化法、凹凸化法等により表面処理を施すことが好ましい。
また、基材フィルムの厚みは、15~300μmの範囲内の値とすることが好ましく、30~200μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
3.粘着剤層
また、図1(b)に示すように、基材フィルム20における書き味向上層10が位置する側とは反対側の面に、粘着剤層30を備えることが好ましい。
かかる粘着剤層を構成する粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の公知の粘着剤を使用することができる。
4.特性
(1)算術平均粗さRa
また、書き味向上フィルムの書き味向上層における算術平均粗さRaを0.05~0.5μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる算術平均粗さRaが0.05μm未満の値となると、人のペン圧との関係で、ペン先を十分に振動させる程度の突起が存在しないこととなる。その結果、筆記振動を所定の範囲に制御することが困難になって、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を効果的に再現することが困難になる。なお、なだらかな凹凸が形成されている場合も算術平均粗さRaは0.05μm未満となるが、この場合は、書き味特性はある程度得られるものの、ギラツキが発生することとなる。一方、かかる算術平均粗さRaが0.5μmを超えた値となると、人のペン圧との関係で、大きすぎる突起が存在することとなる。その結果、筆記振動を所定の範囲に制御することが困難になって、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を効果的に再現することが困難になる場合があるためである。
したがって、書き味向上フィルムの書き味向上層における算術平均粗さRaの下限値を0.15μm以上の値とすることがより好ましく、0.22μm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、書き味向上フィルムの書き味向上層における算術平均粗さRaの上限値を0.4μm以下の値とすることがより好ましく、0.3m以下の値とすることがさらに好ましい。
(2)ヘイズ値
また、書き味向上フィルムのヘイズ値を1~40%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるヘイズ値が1%未満の値となると、書き味向上層表面の突起密度が過度に小さくなる。その結果、筆記振動を所定の範囲に制御することが困難になって、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を再現することが困難になる場合があるためである。一方、かかるヘイズ値が40%を超えた値となると、ギラツキが発生しやすくなったり、ディスプレイの表示画像の視認性が過度に低下しやすくなったりする場合があるためである。
したがって、書き味向上フィルムのヘイズ値の下限値を8%以上の値とすることがより好ましく、10%以上の値とすることがさらに好ましい。
また、書き味向上フィルムのヘイズ値の上限値を35%以下の値とすることがより好ましく、30%以下の値とすることがさらに好ましい。
ここで、算術平均粗さRaとヘイズ値との相互補完関係について説明する。
まず、算術平均粗さRaは、大きい突起の存在により値が左右される傾向にある。すなわち、算術平均粗さRaにより、書き味特性に寄与する高さの突起が存在するか否かを把握することができる。
しかしながら、算術平均粗さRaだけを指標とした場合、突起密度の大小については判別することができないことから、確実に書き味特性を得ることが困難になる。
これに対して、ヘイズ値は、突起密度とリンクする数値であり、突起密度が大きければヘイズ値は大きくなる。
したがって、ヘイズ値を所定以上に規定することで、書き味特性に寄与する突起密度を間接的に規定することができることになる。
しかしながら、ヘイズ値だけを指標とした場合、突起の高さについては判別することができないことから、確実に書き味特性を得ることが困難になる。
以上の理由から、算術平均粗さRaおよびヘイズ値の両方を規定することにより、効果的に、優れた書き味特性を得るのに必要な突起の高さおよび密度をそれぞれ規定することが可能になる。
(3)書き味特性
(3)-1 ペン先摺動係数
また、図2に示すように、書き味向上フィルム1における書き味向上層10の表面に対し、ペン先52の直径が0.5mmのハードフェルト芯を備えたタッチペン50のペン先52を、タッチペン50の軸心が書き味向上フィルム1のフィルム面と直交するように、荷重3.92N(400gf)の加圧条件で接触させながら、タッチペン50を書き味向上フィルム1のフィルム面と平行な任意の一方向に、速度100mm/分で移動させてペン先抵抗力を測定した場合のペン先摺動係数を0.05~0.5の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるペン先摺動係数が0.05未満の値となると、ペン先が過度に滑りやすくなって、ペン先のコントロール性が低下しやすくなり、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を再現することが困難になる場合があるためである。一方、かかるペン先摺動係数が0.5を超えた値となると、ペン先が過度に引っかかりやすくなって、逆にペン先のコントロール性が低下しやすくなり、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を再現することが困難になる場合があるためである。
したがって、ペン先摺動係数の下限値を、0.17以上の値とすることがより好ましく、0.19以上の値とすることがさらに好ましい。
また、ペン先摺動係数の上限値を、0.3以下の値とすることがより好ましく、0.25以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、本発明において「ペン先抵抗力」とは、上述した条件でタッチペンを移動させた際に、ペン先にかかる抵抗力を意味する。
また、本発明において「ペン先摺動係数」とは、「ペン先摺動抵抗力」の最大値と最小値の平均値を、荷重(3.92N)で割った値を意味する。
また、本発明において「ペン先摺動抵抗力」とは、移動距離(mm)-ペン先抵抗力(mN)チャートにおいて、ペン先が動き始める際のペン先初動抵抗力の影響が収束し、ペン先が安定的な摺動状態に入ったときのペン先抵抗力を意味する。
したがって、例えば、図3(a)に示す実施例2の書き味向上フィルムにおける移動距離(mm)-ペン先抵抗力(mN)チャートの場合であれば、ペン先初動抵抗力の影響が無視し得る程度に小さいため、移動距離30mm以上の範囲におけるペン先抵抗力が、ペン先摺動抵抗力となる。
また、ペン先摺動抵抗力を特定する際の移動距離の上限値は、特に限定されないが、ペン先の摩擦熱等による値の変動を考慮して、通常、ペン先初動抵抗力の影響が収束した点から50mmの位置とすることが好ましい。
なお、上述したように、算術平均粗さRaとヘイズ値とにより書き味特性に適した表面形状を規定できるが、実際の書き味特性には、表面材質等による影響も考慮する必要がある。
例えば、滑り性の高い材質の場合と、滑りにくい材質の場合とでは、書き味向上層の表面形状が同一であっても、書き味特性は大きく相違するものとなる。
これを補完するのは、ペン先摺動係数である。当該ペン先摺動係数により、ペン先にトータルとしてかかる力を把握することができる。
ここで、ペン先抵抗力の測定方法について、一例を挙げて、より具体的に説明する。
すなわち、まず、図2に示すように、測定対象としての書き味向上フィルム1を、書き味向上層10が上側となるように、ガラス板40の上面に固定する。
次いで、測定専用台車70を、書き味向上フィルム1を跨ぐように配置した後、測定専用台車70に設けられた鉛直方向に伸びた貫通孔72に対して、タッチペン50を遊挿する。
次いで、タッチペン50に対して重り60を固定し、ペン先52を書き味向上層10の表面に対して、荷重3.92Nの圧力条件となるように接触させる。
次いで、例えば、島津製作所(株)製、AUTOGRAPH AG-IS 500N等の検出器100を用いて、測定専用台車70に固定された引張ひも90を、滑車80を介して、フィルム面と平行な方向Dに100mm/分の速度で引張りながらペン先抵抗力を測定する。
なお、圧力条件を荷重3.92Nという通常の筆記における圧力条件よりも高く設定することにより、書き味向上層10に対してペン先52を押し込む力が強くなるため、書き味向上層10の凹凸形状に、より高感度で反応できるようになり、ひいては、書き味構造層10の凹凸形状の僅かな差異も検出可能になる。
(3)-2 ペン先摺動抵抗力
また、上述したペン先摺動係数を規定したのと同様の理由から、ペン先摺動抵抗力の平均値を500~1000mNの範囲内の値とすることが好ましい。
したがって、ペン先摺動抵抗力の平均値の下限値を、520mN以上の値とすることがより好ましく、560mN以上の値とすることがさらに好ましい。
また、ペン先摺動抵抗力の平均値の上限値を、800mN以下の値とすることがより好ましく、700mN以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、ペン先摺動抵抗力の平均値は、ペン先摺動抵抗力の安定した所定の移動距離区間において、当該区間に存在するすべてのペン先摺動抵抗力の極大値と極小値の総和をとり、それらの個数で除した値を意味する。
また、ペン先摺動抵抗力の最大値と最小値の差を10~300mNの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる差の値が10mN未満の値となると、筆記振動が過度に小さくなって、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を再現することが困難になる場合があるためである。一方、かかる差の値が300mNを超えた値となると、筆記振動が過度に大きくなって、逆に紙に鉛筆で筆記したときの書き味を再現することが困難になる場合があるためである。
したがって、ペン先摺動抵抗力の最大値と最小値の差の下限値を、75mN以上の値とすることがより好ましく、95mN以上の値とすることがさらに好ましく、120mN以上の値とすることが特に好ましい。
また、ペン先摺動抵抗力の最大値と最小値の差の上限値を、200mN以下の値とすることがより好ましく、150mN以下の値とすることがさらに好ましい。
(3)-3 周波数領域の特性
(i)周波数1~2Hzの範囲における振幅
また、上述した図3(a)に示すような移動距離(mm)-ペン先抵抗力(mN)チャートを、例えば、Excel(登録商標)を用いてフーリエ変換して得た図3(b)に示すような周波数(Hz)-振幅(-)チャートにおいて、周波数1~2Hzの範囲における振幅の平均値を0.8~3の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、筆記振動を、様々な周波数を有する複数の振動の重ね合わせとしてとらえたときに、特に「書き味」として人体が認識する特徴的な振動が、周波数1~2Hzの範囲の振動であることを、本発明の発明者らが経験的に見出したためである。
したがって、周波数1~2Hzの範囲における振幅の平均値を、紙に鉛筆で筆記した場合のそれに近づけることにより、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を効果的に再現することができる。
したがって、周波数1~2Hzの範囲における振幅の平均値の下限値を、1以上の値とすることがより好ましく、1.1以上の値とすることがさらに好ましい。
また、周波数1~2Hzの範囲における振幅の平均値の上限値を、2以下の値とすることがより好ましく、1.6以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、振幅の平均値は、対象周波数区間において、当該区間に存在するすべての振幅の極大値と極小値の総和をとり、それらの個数で除した値を意味する。
また、周波数1~2Hzの範囲における振幅の最大値を2~10の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる最大値が2未満の値となると、紙に鉛筆で筆記したときの当該最大値よりも過度に小さな値となってしまい、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を効果的に再現することが困難になる場合があるためである。一方、かかる最大値が10を超えた値となると、紙に鉛筆で筆記したときの当該最大値よりも過度に大きな値となってしまい、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を効果的に再現することが困難になる場合があるためである。
したがって、周波数1~2Hzの範囲における振幅の最大値の下限値を、2.5以上の値とすることがより好ましく、2.7以上の値とすることがさらに好ましく、2.8以上の値とすることが特に好ましい。
また、周波数1~2Hzの範囲における振幅の最大値の上限値を、9以下の値とすることがより好ましく、8以下の値とすることがさらに好ましい。
また、紙に鉛筆で筆記したときの書き味をさらに効果的に再現する観点から、周波数1~2Hzの範囲に振幅1.5以上のピークを少なくとも1つ有することがこのましく、かかるピーク数の下限値を2つ以上の値とすることがより好ましく、4つ以上の値とすることがさらに好ましい。
また、かかるピーク数の上限値を9つ以下の値とすることが好ましく、8つ以下の値とすることがさらに好ましい。
(ii)周波数2~5Hzの範囲における振幅
また、周波数2~5Hzの範囲に振幅5以上のピークを有さないことが好ましい。
この理由は、かかる周波数範囲に振幅5以上のピークを有すると、ペン先引っかかり感が発生したり、書き味のような繊細な振動とは異なる大きな振動を感じやすくなったりするためである。
また、周波数2~5Hzの範囲における振幅の平均値を0.01~1.5の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる平均値が0.01未満の値となると、紙に鉛筆で筆記したときの当該平均値よりも過度に小さな値となってしまい、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を効果的に再現することが困難になる場合があるためである。また、周波数1~2Hzの範囲における振幅の制御が困難になって、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を効果的に再現することが困難になる場合があるためである、一方、かかる平均値が1.5を超えた値となると、紙に鉛筆で筆記したときの当該平均値よりも過度に大きな値となってしまい、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を効果的に再現することが困難になる場合があるためである。また、周波数1~2Hzの範囲における振幅の制御が困難になって、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を効果的に再現することが困難になる場合があるためである。
したがって、周波数2~5Hzの範囲における振幅の平均値の下限値を、0.1以上の値とすることがより好ましく、0.2以上の値とすることがさらに好ましく、0.3以上の値とすることが特に好ましい。
また、周波数2~5Hzの範囲における振幅の平均値の上限値を、1.2以下の値とすることがより好ましく、0.8以下の値とすることがさらに好ましく、0.6以下の値とすることが特に好ましい。
また、周波数2~5Hzの範囲における振幅の最大値を0.1~5の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる最大値が0.1未満の値となると、紙に鉛筆で筆記したときの当該最大値よりも過度に小さな値となってしまい、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を効果的に再現することが困難になる場合があるためである。また、周波数1~2Hzの範囲における振幅の制御が困難になって、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を効果的に再現することが困難になる場合があるためである。一方、かかる最大値が5を超えた値となると、紙に鉛筆で筆記したときの当該最大値よりも過度に大きな値となってしまい、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を効果的に再現することが困難になる場合があるためである。また、周波数1~2Hzの範囲における振幅の制御が困難になって、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を効果的に再現することが困難になる場合があるためである。
したがって、周波数2~5Hzの範囲における振幅の最大値の下限値を、0.6以上の値とすることがより好ましく、0.8以上の値とすることがさらに好ましく、1以上の値とすることが特に好ましい。
また、周波数2~5Hzの範囲における振幅の最大値の上限値を、4以下の値とすることがより好ましく、3以下の値とすることがさらに好ましく、2.4以下の値とすることが特に好ましい。
5.書き味向上フィルムの製造方法
本発明の書き味向上フィルムの製造方法としては、まず、基材フィルムの表面に、書き味向上層形成用組成物を、従来公知の方法、例えば、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等を用いてコーティングし、塗膜を形成する。
次いで、塗膜を乾燥した後、活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化させて、塗膜を書き味向上層とすることにより書き味向上フィルムが得られる。
また、塗膜の硬化としては、塗膜に対して紫外線、電子線等の活性エネルギー線を照射することが好ましい。
紫外線照射は、高圧水銀ランプ、ヒュージョンHランプ、キセノンランプ等によって行うことができ、その照射量は、照度50~1000mW/cm2、光量50~1000mJ/cm2程度とすることが好ましい。
一方、電子線照射は、電子線加速器等によって行うことができ、その照射量は、10~1000krad程度とすることが好ましい。
また、上述した実施形態の書き味向上フィルムをタッチパネルの表面に適用することにより、例えば、図4に示すような書き味特性に優れたタッチパネル付き表示装置を構成することができる。
すなわち、図4は、本発明の書き味向上フィルム1´を適用したタッチパネル付き表示装置25の一例を示す断面詳細図であって、タッチパネル付き表示装置25は、以下に示す構造を有している。
なお、タッチパネル付き表示装置25においては、書き味向上層10が最上面となる。
バックライトユニット14と偏光板13と粘着剤層30cと液晶表示素子(LCD)12とからなるLCDモジュール21は、凹凸追従性積層部材11の下面に、液晶表示素子12が接するように貼着されている。
一方、透明導電膜9付き位相差フィルム2からなる下部基板18は、凹凸追従性積層部材11の上面に、位相差フィルム2が接するように貼着されている。
さらに、透明導電膜6付き位相差フィルム5からなる上部基板17は、エアーギャップ8が形成されるようにスペーサー7上に、透明導電膜6が接するように積層されている。
そして、粘着剤層30b付き偏光板4からなる部材16は、位相差フィルム5上に、粘着剤層30bを介して貼着されている。
なお、下部基板18と、エアーギャップ8形成用スペーサー7と、上部基板17と、部材16とを一体化したものが、タッチパネルモジュール22である。
さらに、下面に粘着剤層30aを有する粘着剤層付き書き味向上フィルム1´は、タッチパネルモジュール22における偏光板4上に、粘着剤層30aを介して貼着されている。書き味向上フィルム1´は、基材フィルム20の上面に書き味向上層10を有するとともに、下面に粘着剤層30aを有する。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。但し、本発明はこれらの記載に制限されるものではない。
[実施例1]
1.書き味向上フィルムの製造
(1)書き味向上層形成用組成物の準備工程
以下に示すように、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂と、(B)成分としてのフィラーと、(C)成分としてのレベリング剤と、(D)成分としての光重合開始剤と、を混合するとともに、プロピレングリコールモノメチルエーテルとイソブタノールの混合溶媒にて希釈し、固形分濃度30重量%の書き味向上層形成用組成物を調製した。
なお、下記および表1における配合量は、純分換算された値を示す。
(A)成分:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 100重量部
(新中村化学工業(株)製、NKエステルA-DPH)
(B)成分:シリカ粒子 9.5重量部
(平均粒径7μmのシリカ粒子をボールミルで粉砕して作成、算術平均粒子径:1.5μm、Cv値:88%、形状:不定形)
(C)成分:ポリジメチルシロキサン 0.1重量部
(東レ・ダウコーニング(株)製、SH28)
(D)成分:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 3重量部
(BASF(株)製、イルガキュア184)
また、(B)成分のCv値とは、下記式(1)で表される粒子径分布の変動係数を意味する。
Cv値(%)=(標準偏差粒子径/算術平均粒子径)×100 (1)
また、(B)成分の算術平均粒子径およびCv値は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所(株)製、LA-920)を用いて測定した。
このとき、分散溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを使用した。
(2)塗布工程
次いで、得られた書き味向上層形成用組成物を、基材フィルムとしての易接着層付きPETフィルム(東レ(株)製、ルミラーU48、厚み:125μm)の易接着層に塗布し、塗布層を形成した。
(3)乾燥工程
次いで、得られた塗布層を、熱風乾燥装置を用いて、70℃、1分の条件で乾燥させた。
(4)硬化工程
次いで、乾燥させた塗布層に対して、紫外線照射装置(ジーエスユアサコーポレーション(株)製、光源:高圧水銀灯)を用いて、下記条件にて紫外線を照射し、塗布層を硬化して厚み5μmの書き味向上層とし、最終的な書き味向上フィルムを得た。
ランプ電力:1.4kW
コンベアスピード:1.2m/分
照度:100mW/cm2
光量:240mJ/cm2
2.評価
(1)ペン先抵抗力の測定
得られた書き味向上フィルムにおけるペン先抵抗力の測定を行った。
すなわち、図2に示すようにして、書き味向上層の表面に対し、ペン先の直径が0.5mmのハードフェルト芯を備えたタッチペン(ワコム(株)製、ACK-2003)のペン先を、タッチペンの軸心が書き味向上フィルムのフィルム面と直交するように、荷重3.92Nの加圧条件で接触させながら、タッチペンを書き味向上フィルムのフィルム面と平行な任意の一方向に、速度100mm/分で移動させた。
そして、検出器(島津製作所(株)製、AUTOGRAPH AG-IS 500N)を用いて、移動距離(mm)に応じたペン先抵抗力(mN)を測定し、移動距離(mm)-ペン先抵抗力(mN)チャートを得た。
また、得られた移動距離(mm)-ペン先抵抗力(mN)チャートから、ペン先摺動抵抗力の平均値、最大値、最小値を求めるとともに、ペン先摺動係数(-)を算出した。得られた結果を表1に示す。
なお、平均値、最大値、最小値を求めた際の移動距離の範囲は、ペン先初動抵抗力の影響が収束した点から50mmまでの範囲とした。すなわち、移動距離30~80mmの範囲を用いて上述した各種分析を行った。
(2)フーリエ変換
次いで、得られた移動距離(mm)-ペン先抵抗力(mN)チャートを、Excel(登録商標)を用いてフーリエ変換し、周波数(Hz)-振幅(-)チャートを得た。
また、得られた周波数(Hz)-振幅(-)チャートから、1~2Hzおよび2~5Hzの範囲における振幅の平均値、最大値および振幅が所定以上であるピーク数を求めた、得られた結果を表1に示す。
(3)算術平均粗さRaの測定
得られた書き味向上フィルムにおける算術表面粗さRaを測定した。
すなわち、接触型粗さ計(ミツトヨ(株)製、SV3000S4)を用いて、得られた書き味向上フィルムの書き味向上層における算術平均粗さRa(μm)を、JIS B 0601-1994に準拠して測定した。得られた結果を表1に示す。
(4)ヘイズ値の測定
得られた書き味向上フィルムにおけるヘイズ値を測定した。
すなわち、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製、NDH2000)を用いて、得られた書き味向上フィルムのヘイズ値(%)を、JIS K 7136-2000に準拠して測定した。得られた結果を表1に示す。
(5)書き味の評価
(5)-1 ペン先流れ感
得られた書き味向上フィルムにおけるペン先流れ感を評価した。
すなわち、得られた書き味向上フィルムを、書き味向上層が上になるようにガラス板上に固定して、サンプルとした。
次いで、パネラーに、サンプルに対してタッチペン(ワコム(株)製、ACK-2003)で模擬的に所定の筆記作業をさせ、下記基準に沿って評価し、ペン先流れ感の評価とした。得られた結果を表1に示す。
◎:ペン先が流れない
○:ペン先がやや流れる
×:ペン先が流れすぎる
(5)-2 ペン先引っかかり感
同様に、下記基準に沿って、ペン先引っかかり感を評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:ペン先の引っかかり感が気にならない
○:ペン先の引っかかり感がやや残る
×:ペン先が引っかかりすぎる
(5)-3 引掻き音
同様に、下記基準に沿って、引掻き音を評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:十分にサラサラと音が聞こえる
○:サラサラとした音が聞こえるが、やや小さい
△:サラサラとした音が僅かに聞こえる
×:サラサラとした音が聞こえない
(5)-4 振動
同様に、下記基準に沿って、振動を評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:手に適度な振動が伝わる
○:手に振動が伝わるが物足りない
×:手に伝わる振動が小さすぎるか、または、大きすぎる
(6)ギラツキの評価
得られた書き味向上フィルムにおけるギラツキの発生を評価した。
すなわち、まず、200ppi(ピクセル/インチ)となるように光透過部を設けた格子状パターンを用意した。
かかる格子状パターンは、ガラス板上に金属蒸着層を設けた後、金属蒸着層にレジスト処理を行い、エッチングし、さらにレジストを除去することにより作成した。
次いで、用意した格子状パターンをバックライト(キング(株)製、ブライトボックス5000)上に載置した。
次いで、得られた書き味向上フィルムを格子状パターン上に書き味向上層が上になるように載置し、ギラツキの発生箇所を確認した。
次いで、書き味向上フィルムを、格子状パターン上でフィルム面に平行な方向に移動させ、予め確認しておいたギラツキの発生箇所が、書き味向上フィルムと共に移動した場合は、当該ギラツキの発生が書き味向上フィルムに起因したものと判断し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:ギラツキが確認されない
○:ギラツキが僅かに確認される
×:ギラツキが顕著に確認される
[実施例2]
実施例2では、書き味向上層形成用組成物を調製する際に、(B)成分としてのシリカ粒子の配合量を10重量部に変えたほかは、実施例1と同様に書き味向上フィルムを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。また、図3(a)に得られた移動距離(mm)-ペン先抵抗力(mN)チャートを示し、図3(b)に得られた周波数(Hz)-振幅(-)チャートを示す。
[実施例3]
実施例3では、書き味向上層形成用組成物を調製する際に、(B)成分としてのシリカ粒子の配合量を12重量部に変えたほかは、実施例1と同様に書き味向上フィルムを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例1]
比較例1では、書き味向上層形成用組成物を調製する際に、(B)成分としてのシリカ粒子として、富士シリシア化学(株)製、サイクロホービック702(算術平均粒子径:4.1μm、Cv値:48%、形状:不定形)8.9重量部を用いたほかは、実施例1と同様に書き味向上フィルムを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。また、図5(a)に得られた移動距離(mm)-ペン先抵抗力チャートを示し、図5(b)に得られた周波数(Hz)-振幅(-)チャートを示す。
[比較例2]
比較例2では、書き味向上層形成用組成物を調製する際に、(B)成分としての樹脂粒子としてPMMA粒子(算術平均粒子径:3.0μm、Cv値:32%、形状:球状)を7重量部用いたほかは、実施例1と同様に書き味向上フィルムを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例3]
比較例3では、書き味向上層形成用組成物を調製する際に、(B)成分としての樹脂粒子として、PMMA粒子(算術平均粒子径:1.5μm、Cv値:26%、形状:球状)を1.5重量部用いたほかは、実施例1と同様に書き味向上フィルムを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例4]
比較例4では、書き味向上層形成用組成物を調製する際に、(B)成分としての樹脂粒子の配合量を3重量部に変えたほかは、比較例3と同様に書き味向上フィルムを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例5]
比較例5では、書き味向上層形成用組成物を調製する際に、(B)成分としての樹脂粒子の配合量を8重量部に変えたほかは、比較例3と同様に書き味向上フィルムを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例6]
比較例6では、書き味向上層形成用組成物を調製する際に、(B)成分としての樹脂粒子の配合量を10重量部に変えたほかは、比較例3と同様に書き味向上フィルムを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。得られた結果を表1に示す。また、図6(a)に得られた移動距離(mm)-ペン先抵抗力(mN)チャートを示し、図6(b)に得られた周波数(Hz)-振幅(-)チャートを示す。
[参考例1]
参考例1では、書き味向上フィルムの代わりに紙(コクヨS&T(株)製、キャンパスノートA罫ノ-201A)を用い、タッチペンの代わりに鉛筆(三菱鉛筆(株)製、ユニ、硬度:HB)を用いたほかは、実施例1と同様に評価した(算術平均粗さRa、ヘイズ値、ギラツキの評価を除く。)。得られた結果を表1に示す。また、図7(a)に得られた移動距離(mm)-ペン先抵抗力(mN)チャートを示し、図7(b)に得られた周波数(Hz)-振幅(-)チャートを示す。
Figure 0007000017000001
以上、詳述したように、本発明によれば、基材フィルムと、書き味向上層とを含む書き味向上フィルムにおいて、書き味向上層を形成するための書き味向上層形成用組成物として、活性エネルギー線硬化性樹脂と、所定の算術平均粒子径およびCv値を有する不定形シリカ粒子とを含む組成物を用いることで、筆記振動を所定の範囲に安定的に制御して、紙に鉛筆で筆記したときの書き味を効果的に再現することができるようになった。
したがって、本発明の書き味向上フィルムは、タッチパネルに対してタッチペンを用いて入力する際の書き味および視認性の向上に著しく寄与することが期待される。
1:書き味向上フィルム、2:位相差フィルム、4:偏光板、5:位相差フィルム、6:透明導電膜、7:スペーサー、8:エアーギャップ、9:透明導電膜、10:書き味向上層、11:凹凸追従性積層部材、12:液晶表示素子(LCD)、13:偏光板、14:バックライトユニット、16:部材、17:上部基板、18:下部基板、20:基材フィルム、22:タッチパネルモジュール、25:タッチパネル付き表示装置、30:粘着剤層、40:ガラス板、50:タッチペン、52:ペン先、60:重り、70:測定専用台車、72:貫通孔、80:滑車、90:引張ひも、100:検出器

Claims (6)

  1. 基材フィルムと、書き味向上層と、を含むタッチパネル用の書き味向上フィルムであって、
    前記書き味向上層が、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂と、(B)成分としてのフィラーと、を含む書き味向上層形成用組成物の硬化物からなるとともに、
    前記(B)成分としてのフィラーが不定形シリカ粒子を含み、
    前記不定形シリカ粒子の算術平均粒子径を0.5~2.5μmの範囲内の値とし、かつ、
    前記不定形シリカ粒子のCv値を70~100%の範囲内の値とし、
    前記書き味向上層の表面に対し、ペン先の直径が0.5mmのハードフェルト芯を備えたタッチペンのペン先を、前記タッチペンの軸心が前記書き味向上フィルムのフィルム面と直交するように、荷重3.92Nの加圧条件で接触させながら、前記タッチペンを前記書き味向上フィルムのフィルム面と平行な任意の一方向に、速度100mm/分で移動させてペン先抵抗力を測定した場合のペン先摺動係数を0.17~0.3の範囲内の値とすることを特徴とする書き味向上フィルム。
  2. 前記(B)成分としての不定形シリカ粒子の配合量を、前記(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して5~25重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の書き味向上フィルム。
  3. 前記書き味向上層における算術平均粗さRaを0.05~0.5μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の書き味向上フィルム。
  4. ヘイズ値を1~40%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の書き味向上フィルム。
  5. 前記書き味向上層の厚みを1~20μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の書き味向上フィルム。
  6. 前記基材フィルムにおける前記書き味向上層が位置する側とは反対側の面に、粘着剤層を備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の書き味向上フィルム。
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