JP6998845B2 - 多目的競技場 - Google Patents

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Description

本願発明は、サッカーや野球、陸上競技などを行う競技場に関するものであり、より具体的には、サッカーなどその競技場が本来目的としている競技のほか、コンサートや市民集会など種々のイベントを行うイベント会場としても利用することができる多目的競技場に関する技術である。
競技場は、ある特定の競技を行うため、あるいはその競技を観戦させることを目的とする施設であり、野球場やサッカー場などはその代表的な例である。ところが、競技場で行われる競技の回数(例えば試合数)は、一般的に年間を通じて数十回程度であり、すなわち年間を通じて収益を上げている競技場は多くない。
一方、スポーツ庁は、官民連携によるスタジアムやアリーナの整備計画策定に対して財政支援を行っており、「稼げる」視点を重視したうえで、スポーツ以外のイベントも常時開催できる多機能型・複合型の施設の整備を推し進めているところである。さらに政府でも、「稼げる」視点を重視した多機能型・複合型のスタジアムやアリーナを2025年までに全国的に整備する目標を掲げている。
野球とサッカー、そしてコンサートなどに使用することができる多目的競技場は、定常的に集客機会を設けることができることから収益面にとっては極めて好適であり、これまでも多目的競技場に関する種々の提案が行われてきた。例えば特許文献1では、固定観覧席と移動観覧席に加え、退避観覧席を配置することとし、競技フィールドの形状を変更できるとともに、競技フィールドの広さ(面積)も可変とする多目的競技場設備について提案している。
特開平07-091091号公報
特許文献1に開示される多目的競技場設備は、退避観覧席を配置するかあるいは移動観覧席等の下方に収容するかによって、換言すれば退避観覧席の有無に応じた総観覧席の増減によって、競技フィールドの面積を変更するものである。しかしながら、競技フィールドの面積を変えることはできても、競技フィールドとスタンド(観客席)を合わせた全体的な領域(以下、「会場領域」という。)の面積を変えることはできない。例えば、中規模や小規模の観客数を動員するコンサートは、音響効果の面においても、あるいは観客が鑑賞するうえでも、ある程度限られた広さの空間で行う方が望ましい。しかしながら、特許文献1の多目的競技場設備のように会場領域が変更できないとすれば、中規模や小規模のコンサートは必要以上に広い空間で行うことを余儀なくされることとなる。
また特許文献1の多目的競技場設備は、コンサートなどのイベントを行う際、フィールド上にステージや観客席(アリーナ席)を設置する必要があるという問題を指摘することもできる。すなわち、フィールドが天然芝であれば、コンサートなどのイベントを行うたびに天然芝を痛めることとなり、その都度傷んだ天然芝の処置をしなければならないわけである。
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解消することであり、すなわち開催する競技やイベントに応じて会場領域の広さ(面積)を変更することができる多目的競技場を提供することである。また、フィールド上にステージやアリーナ席などを設置する必要がない多目的競技場を提供することも本願発明の課題のひとつである。
本願発明は、多目的競技場を構成する外周壁のうち一部をスライド可能な構造にするとともに、フィールドもスライド可能とする、という点に着目して開発されたものであり、従来にはない発想に基づいて行われた発明である。
本願発明の多目的競技場は、フィールドと、このフィールドの周囲に設置された外壁を有する競技場である。なお、外壁はフィールドを挟んで対向配置される固定壁と可動壁を含む構造であり、このうち可動壁はその長手方向に対して略垂直(垂直含む)方向にスライド可能とされる。そして、可動壁が固定壁に近づくように所定位置まで移動すると、可動壁と固定壁の間にイベント会場用の空間を形成することができる。
本願発明の多目的競技場は、スライド可能なフィールドを備えたものとすることもできる。この場合のフィールドは、可動壁の移動方向と同軸方向にスライド可能である。そして、可動壁が固定壁に近づくように所定位置まで移動するとともに、フィールドが固定壁から遠ざかるように所定位置まで移動すると、フィールドが除かれたイベント会場用の空間を形成することができる。
本願発明の多目的競技場は、客席スタンドの上方を覆う屋根構造を備えたものとすることもできる。この屋根構造は、回転軸(客席の配列方向と略平行に配置される軸)周りに回転する屋根体と、屋根体を回転させる駆動手段を有している。また屋根体は、屋根体のうちフィールドから遠い側の後端部が回転軸に取り付けられるとともに、屋根体の回転に伴って屋根体のうち該フィールドに近い側の前端部が上下する。そして屋根体が正回転して前端部が所定位置まで上昇すると使用状態となり、屋根体が反回転して前端部が所定位置まで下降すると格納状態となる。この場合の可動壁は、屋根体が格納状態のときにスライド可能な構造とされる。
本願発明の多目的競技場には、次のような効果がある。
(1)サッカーや野球など本来目的としている競技を行う場合や、大規模なコンサートなどを行うときは、会場領域(競技フィールドとスタンド)を広く設定することができ、一方、中小規模のコンサートなどを行うときは、会場領域を相当程度の広さに縮小することができる。すなわち、開催する競技やイベントに応じて、会場領域の広さを適宜変更することができ、その結果、効率的かつ効果的に集客することができる。
(2)フィールドをスライド可能とすれば、フィールドの天然芝を痛めることなくコンサートなどのイベントを開催することができる。
(3)客席スタンド上方に屋根構造を設けることで、使用状態(屋根体が所定位置まで上昇した状態)では降雨や直射日光から観客を守ることができ、格納状態(屋根体が所定位置まで下降した状態)ではフィールドの天然芝に太陽光を長時間当てることができる。
本願発明の多目的競技場を模式的に示す平面図。 可動壁が所定位置まで移動することによってイベントモードとされた多目的競技場を模式的に示す平面図。 (a)可動壁が通過している状態の多目的競技場の断面図、(b)はイベントモードにおける多目的競技場の断面図。 フィールドが第1固定壁から遠ざかるように所定位置まで移動した多目的競技場を模式的に示す平面図。 イベント会場用空間の上方に会場屋根が設置された多目的競技場を模式的に示す平面図。 第2固定壁と第3固定壁のフィールド側にある客席スタンドSTに、回転式屋根構造が設置された多目的競技場を模式的に示す平面図。 回転式屋根構造を模式的に示す側面図。 (a)は牽引装置を利用した駆動手段によって屋根体を持ち上げることで「使用状態」とした回転式屋根構造を示す側面図、(b)は牽引装置を利用した駆動手段によって屋根体を下げることで「格納状態」とした回転式屋根構造を示す側面図。 (a)は伸縮可能な支持材を利用した駆動手段によって屋根体を持ち上げることで「使用状態」とした回転式屋根構造を示す側面図、(b)は伸縮可能な支持材を利用した駆動手段によって屋根体を下げることで「格納状態」とした回転式屋根構造を示す側面図。 (a)は伸縮可能な支持材を利用した駆動手段によって屋根体を引き上げることで「使用状態」とした回転式屋根構造を示す側面図、(b)は伸縮可能な支持材を利用した駆動手段によって屋根体を下げることで「格納状態」とした回転式屋根構造を示す側面図。 (a)は回転式屋根構造を備えた多目的競技場であって回転式屋根構造が使用状態とされた多目的競技場を模式的に示す平面図、(b)は回転式屋根構造を備えた多目的競技場であって回転式屋根構造が格納状態とされた多目的競技場を模式的に示す平面図。 (a)は「競技モード」の多目的競技場を示すステップ図、(b)はフィールドが後退スライドしている状態の多目的競技場を示すステップ図、(c)は可動壁が前進スライドしている状態の「イベントモード」の多目的競技場を示すステップ図。
本願発明の多目的競技場の実施形態の一例を、図に基づいて説明する。
図1は、本願発明の多目的競技場100を模式的に示す平面図である。この図に示すように本願発明の多目的競技場100は、中央にフィールド130が配置され、フィールドの周囲に外壁が設けられたものである。そして外壁で囲まれた空間には、フィールド130を囲むように客席スタンドSTが設置される。なお図1では、サッカー用のフィールド130を備えるサッカー競技場の例を示しているが、本願発明はサッカー競技場のほか野球場や陸上競技場といった種々の競技場として実施することができる。
多目的競技場100を構成する外壁は、スライド可能な可動壁110と、移動しない固定壁を含んで構成される。例えば図1では、一方のゴールライン側(図では右側)に配置される可動壁110と、他方のゴールライン側(図では左側)に配置される第1固定壁121、そして一方のサイドライン側(図では上側)に配置される第2固定壁122、他方のサイドライン側(図では下側)に配置される第3固定壁123によって外壁が構成されている。
本願発明の多目的競技場100は、可動壁110が移動可能であることを1つの特徴としており、この可動壁110の移動に応じてフィールド130と客席スタンドSTを含んだ「会場領域」の面積を変更することができる。可動壁110は、可動壁110の長手方向(図1)に対して略垂直(垂直含む)である移動方向(図1)に前後にスライド可能であり、フィールド130を挟んで対向配置される第1固定壁121に近づくように可動壁110がスライドすると会場領域は狭くなり、第1固定壁121から遠ざかるように可動壁110がスライドすると会場領域は広くなるわけである。なお便宜上ここでは、第1固定壁121に近づくスライドのことを「前進スライド」、第1固定壁121から遠ざかるスライドのことを「後退スライド」ということとする(図1)。
会場領域の面積を変えることができるため、サッカーのゲームを行うときは図1に示すように会場領域を広く確保することができ(以下、この状態を「競技モード」という。)、小~中規模の観客数を動員するイベントを開催するときは図2に示すように会場領域をやや狭くすることができる(以下、この状態を「イベントモード」という。)。図2は、あらかじめ定めた所定位置まで可動壁110が前進スライドすることによってイベントモードとされた多目的競技場100を模式的に示す平面図である。この図に示すように、イベントモードとすることでステージ210を含む適当な面積(広さ)のイベント会場用空間200が形成され、例えばこのイベント会場用空間200でコンサートを行うと、観客は間近で演奏を鑑賞できるうえ、優れた音響効果を得ることができるわけである。
図3は、可動壁110の移動を説明する図であり、(a)は可動壁110が通過している状態の多目的競技場100の断面図、(b)はイベントモードにおける(可動壁110が通過しない状態)の多目的競技場100の断面図である、なおいずれの断面図も、図1に示す第1固定壁121側から見た図である。
図3(b)に示す可動壁110は、上部の支持梁110aと本体壁110b、そして固定壁(第2固定壁122と第3固定壁123)の上に配置される上部移動体110cと地面上に配置される下部移動体110dを含んで構成されている。本体壁110bは空間の一部を覆う(閉鎖空間を形成する)ための壁体であり、支持梁110aは上方からこの本体壁110bを支持する(吊り下げる)部材である。なお、本体壁110bのうちフィールド130側の面には、図3(b)に示すように客席スタンドSTを設けることもできる。また、図3(b)に示す可動壁110は上部移動体110cと下部移動体110dを備えているが、可動壁110の大きさ(重量)によっては上部移動体110cと下部移動体110dのうちどちらか一方のみを備えた構成とすることもできる。
上部移動体110cと下部移動体110dは、可動壁110を前進スライドあるいは後退スライドさせる手段であり、台車やクローラ、レールなど従来用いられている種々の手段を利用することができる。また可動壁110をスライドさせる動力としては、自走するためのモータを利用することもできるし、ワイヤーロープで牽引するためのウィンチなどを利用することもできるし、ギア(ラック・ピニオン)などその他種々の手段を利用することができる。このように可動壁110をスライドさせるには、駆動方式としてはウィンチワイヤー方式や、ラック・ピニオン方式、チェーン方式、ジャッキ方式などが挙げられ、走行する手段(部品)としては台車方式や、滑りシュー方式、回転軸方式、静圧軸受方式、磁気浮上方式などが例示できる。図3(b)の例では、第2固定壁122と第3固定壁123の上面に敷設した軌道(レール)上に車輪(上部移動体110c)を配置するとともに、地面上にタイヤ(下部移動体110d)を配置し、両端のウィンチ(第1固定壁121側とその反対側)がワイヤーロープを牽引することによって、そのワイヤーロープが固定された可動壁110をスライドさせる構造としている。
図2に示すイベント会場用空間200は、フィールド130の約半分(左側)を使用して形成されており、つまりフィールド130上に設営されている。したがって、使用対象となるフィールド130範囲には適切な養生を施したうえで、ステージ210を含めた会場の設営が行われる。しかしながらフィールド130の養生には、手間と時間を要するうえ、フィールド130が天然芝であれば適切な養生を行わないと芝を痛めてしまうという懸念もある。そこで、図4に示すようにフィールド130もスライド可能な構造とするとよい。
図4は、フィールド130が第1固定壁121から遠ざかるように所定位置まで移動した多目的競技場100を模式的に示す平面図である。この図では、図2と同様、可動壁110と第1固定壁121、そして第2固定壁122の一部(概ね左側半分)と第3固定壁123の一部(概ね左側半分)によってイベント会場用空間200が形成されているが、図2とは異なりフィールド130が後退スライド(図1)しているためフィールドが除かれた状態でイベント会場用空間200が形成されている。したがって、フィールド130に対して適切な養生を行うことなく、ステージ210を含めた会場の設営を行うことができるわけである。
この場合のフィールド130は、可動壁110の移動方向(図1)と同軸方向にスライド可能とし、フィールド130を後退スライドさせたうえで可動壁110を前進スライドさせることによってイベント会場用空間200を形成するとよい。フィールド130のスライドは、可動壁110と同様、台車やクローラ、レールなどの移動手段を備えたうえで、モータによる自走式とすることもできるし、ウィンチとワイヤーロープを用いた牽引式、ラック・ピニオン方式、チェーン方式などその他種々の方式を採用することもできる。
コンサートなど音楽を主とするイベントのためにイベント会場用空間200を利用する場合、さらなる音響効果を得るために、また近隣への防音対策を図るためにも、外壁(可動壁110と第1固定壁121、第2固定壁122、第3固定壁123)で囲まれたイベント会場用空間200は閉鎖空間として形成するとよい。この場合、図5に示すように、イベント会場用空間200の上方に会場屋根300を設置することができる。図5は、イベント会場用空間200の上方に会場屋根300が設置された多目的競技場100を模式的に示す平面図である。会場屋根300を設置することによって、イベント会場用空間200の側面が外壁によって閉鎖されるとともに、その上面が会場屋根300によって閉鎖され、音響効果と防音対策がさらに向上するわけである。なお、競技モードにおいては会場屋根300が不要になることもあるため、会場屋根300は可動式とするか、イベントモードのときのみ容易に設置することができる構造にするとよい。
一般的な競技場では、降雨や直射日光から観客を守る目的で客席スタンドSTに屋根が設けられることがある。本願発明の多目的競技場100を競技モードで利用する場合、やはり客席スタンドSTに屋根を設けると降雨や直射日光から観客を守ることができて好適である。しかしながら、客席スタンドST(特に、第2固定壁122と第3固定壁123のフィールド130側)に屋根を常設すると、可動壁110のスライドにとっては客席スタンドST上の屋根が障壁となる。そこで、客席スタンドST(特に、第2固定壁122と第3固定壁123のフィールド130側)の上方には、回転式屋根構造を設けるとよい。この回転式屋根構造は、後述するように屋根体が回転可能であり、図3に示すように、可動壁110がスライドする際には屋根体を折り畳んだ状態(後述する「格納状態」)にすることができる。以下、回転式屋根構造について詳しく説明する。
図6は、第2固定壁122と第3固定壁123のフィールド130側にある客席スタンドSTに、回転式屋根構造400が設置された多目的競技場100を模式的に示す平面図である。この図に示すように回転式屋根構造400は、可動壁110の移動方向(図1)と略平行(平行含む)に設けられる客席スタンドSTの上方に設置するとより効果的である。
図7は、回転式屋根構造400を模式的に示す側面図である。回転式屋根構造400は、回転軸420周りに回転する屋根体410と、この屋根体410を回転させる駆動手段(図示しない)を備えた構造である。客席スタンドSTには多数の客席が水平方向(図7では紙面奥行方向)に配列されており、回転軸420は、この客席の配列方向と略平行(つまり、図1に示す移動方向)に配置される。
屋根体410は、概ね平板状であり、その長手方向(図7では紙面奥行方向)が回転軸420方向となり、その短手方向(図7では左右方向)が客席スタンドSTとフィールド130(図面右側)を結ぶ方向となるように配置される。なお、便宜上ここでは、屋根体410のうちフィールド130に近い側の端部のことを「前端部」といい、屋根体410のうちフィールド130から遠い側の端部のことを「後端部」ということとする。
また屋根体410は、その後端部が回転軸420に支持される(いわば、片持ちとされる)ことで回転軸420周りに回転することができ、そしてこの回転に伴って前端部が上下する。図7では、屋根体410が反時計回りに回転すれば屋根体410の前端部が上昇し、屋根体410が時計回りに回転すれば屋根体410の前端部が下降する。なお、便宜上ここでは、屋根体410の前端部が上昇する回転のことを「正回転(図7では反時計回り)」といい、屋根体410の前端部が下降する回転のことを「反回転(図7では時計回り)」ということとする。
図8は、牽引装置431を利用した駆動手段によって屋根体410を回転させる状況を示す側面図であり、(a)は使用状態を、(b)は格納状態をそれぞれ示している。ここで「使用状態」とは、屋根体410が正回転して前端部が所定位置(あらかじめ設定した高さ)まで上昇した状態であり、すなわち屋根体410が客席スタンドSTの屋根として機能する状態である。一方の「格納状態」とは、屋根体410が反回転して前端部が所定位置(例えば客席の直上)まで下降した状態であり、すなわち屋根体410が可動壁110のスライドにとって障壁とならない(図3)状態である。
図8に示す駆動手段は、牽引装置431と策材432を含んで構成される。このうち牽引装置431はウィンチやホイストといった荷揚げ装置を利用することができ、策材432はワイヤーロープ等を利用することができる。また策材432は、牽引装置431に巻き回されるとともに、いくつかの滑車を経由したうえでその一端が屋根体410の上面側の一部に固定される。
図8(a)に示すように牽引装置431が策材432を巻き取って(牽引して)いけば、策材432に固定された屋根体410が正回転して前端部が上昇していき、最終的に「使用状態」となる。一方、図8(b)に示すように牽引装置431が策材432を巻き出して(緩めて)いけば、屋根体410が反回転して前端部が下降していき、最終的に「格納状態」となる。
図9は、伸縮可能な支持材433を利用した駆動手段によって屋根体410を回転させる状況を示す側面図であり、(a)は使用状態を、(b)は格納状態をそれぞれ示している。図9に示す駆動手段は、支持材433を含んで構成されるものであり、この支持材433の上端は屋根体410の下面側の一部に回転可能に固定され、下端は客席スタンドSTの一部に回転可能に固定される。
支持材433は伸縮可能な構造であり、例えば外管とこれに収容された内材で構成し、油圧や電力等によって内材が外管に対して移動する構造とすることができる。このような構造とすることによって、図9(a)に示すように支持材433が伸長していけば、支持材433の上端に固定された屋根体410が正回転して前端部が上昇していき、最終的に「使用状態」となる。一方、図9(b)に示すように支持材433が収縮していけば、屋根体410が反回転して前端部が下降していき、最終的に「格納状態」となる。
客席スタンドSTの上方にトラス構造の梁などの上部支持体が配置されている場合、牽引装置431と策材432からなる駆動手段を屋根体410の上面側に設置することもできる。より具体的には、牽引装置431が上部支持体に固定され、策材432が牽引装置431に巻き回されるとともに、その一端が屋根体410の上面側の一部に固定される。これにより、牽引装置431が策材432を巻き取って(牽引して)いけば、策材432に固定された屋根体410が引き上げられるように正回転して前端部が上昇していき、最終的に「使用状態」となる。一方、牽引装置431が策材432を巻き出して(緩めて)いけば、屋根体410が下げられるように反回転して前端部が下降していき、最終的に「格納状態」となる。
客席スタンドSTの上方にトラス構造の梁などの上部支持体が配置されている場合、牽引装置431と策材432からなる駆動手段に代えて、図10に示す伸縮可能な支持材433を利用した駆動手段を設置することもできる。具体的には、支持材433の上端を上部支持体の一部に回転可能に固定し、下端は屋根体410の上面側の一部を回転可能に固定した構造とする。そして、支持材433が収縮していけば、支持材433の下端に固定された屋根体410が正回転して前端部が上昇していき、最終的に「使用状態」となる。一方、支持材433が伸長していけば、屋根体410が反回転して前端部が下降していき、最終的に「格納状態」となる。
図11(a)は回転式屋根構造400を備えた多目的競技場100であって回転式屋根構造400が使用状態とされた多目的競技場100を模式的に示す平面図であり、図11(b)は回転式屋根構造400を備えた多目的競技場100であって回転式屋根構造400が格納状態とされた多目的競技場100を模式的に示す平面図である。なおこの図では、両サイドライン側にそれぞれ2分割の回転式屋根構造400を設置しているが、分割することなく1連の回転式屋根構造400を設置することもできるし、3以上に分割した回転式屋根構造400を設置することもできる。屋根体410の後端部が取り付けられる回転軸420は、図中の破線矢印に示す「回転軸方向」上に設定される。
回転式屋根構造400は、当然ながら屋根体410が客席の上方に位置するように設置される。そして回転式屋根構造400を使用状態にすると、図11(a)に示すように、屋根体410がサイドライン側の全客席を覆うとともにフィールド130の一部(サイドライン周辺)も覆う。一方、回転式屋根構造400を格納状態にすると、図11(b)に示すように、屋根体410はフィールド130にかかることがなく、そのため上方から見るとフィールド130の全域が表れている。
(使用例)
図12は、本願発明の多目的競技場100を「競技モード」から「イベントモード」に変更する過程を示すステップ図であり、(a)は「競技モード」の多目的競技場100を示し、(b)はフィールド130が後退スライドしている状態の多目的競技場100を示し、(c)は可動壁110が前進スライドしている状態の「イベントモード」の多目的競技場100を示している。
多目的競技場100を「競技モード」から「イベントモード」に変更するには、図12(b)に示すように、フィールド130を所定位置まで後退スライドさせる。なお、この「所定位置」とは、イベント会場用空間200にフィールド130の一部が残らない位置とし、事前に設定しておくとよい。また、客席スタンドSTに回転式屋根構造400が設置されている場合、屋根体410を反回転させることによって、回転式屋根構造400を「使用状態」から「格納状態」にしておく。
フィールド130を所定位置まで後退スライドさせ、さらに回転式屋根構造400を「格納状態」にすると、図12(c)に示すように、可動壁110を所定位置まで前進スライドさせる。なお、この「所定位置」とは、イベント会場用空間200が事前に計画された面積(広さ)となる位置である。可動壁110を所定位置まで前進スライドさせると、イベント会場用空間200にステージ210や臨時のアリーナ席といった必要な施設を設置し、所望のイベント会場を設営する。
本願発明の多目的競技場は、サッカー競技場、野球場、陸上競技場といった種々のスポーツ競技施設や、コンサートをはじめとする種々のイベントを行う興行施設など、様々な施設で利用することができる。
100 多目的競技場
110 (多目的競技場の)可動壁
110a (可動壁の)支持梁
110b (可動壁の)本体壁
110c (可動壁の)上部移動体
110d (可動壁の)下部移動体
121 (多目的競技場の)第1固定壁
122 (多目的競技場の)第2固定壁
123 (多目的競技場の)第3固定壁
130 (多目的競技場の)フィールド
200 (多目的競技場の)イベント会場用空間
210 (イベント会場用空間の)ステージ
300 (多目的競技場の)会場屋根
400 (多目的競技場の)回転式屋根構造
410 (回転式屋根構造の)屋根体
420 (回転式屋根構造の)回転軸
431 (回転式屋根構造の)牽引装置
432 (回転式屋根構造の)策材
433 (回転式屋根構造の)支持材
ST 客席スタンド

Claims (3)

  1. フィールドと、該フィールドの周囲に設置された外壁と、を有する競技場において、
    前記外壁は、前記フィールドを挟んで対向配置される第1固定壁と可動壁を含み、
    前記可動壁は、前記第1固定壁に近づくようにスライド可能であり、
    前記フィールドは、前記可動壁の移動方向と同軸方向であって前記第1固定壁から遠ざかるようにスライド可能であり、
    前記可動壁は、前記フィールドがスライドした後に、該フィールドが除かれた床面上をスライド可能であり、
    前記可動壁が、前記第1固定壁に近づくように所定位置までスライドするとともに、前記フィールドが前記第1固定壁から遠ざかるように所定位置までスライドすることで、前記外壁に囲まれて前記フィールドが除かれた状態の非競技用空間が形成される、
    ことを特徴とする多目的競技場。
  2. 前記可動壁が事前に設定された所定位置までスライドした状態で、前記外壁によって取り囲まれた閉鎖空間が形成され、
    前記閉鎖空間の上方に屋根が設置され、該閉鎖空間の上方も該屋根で閉鎖された、
    ことを特徴とする請求項1記載の多目的競技場。
  3. 前記外壁を構成する第2固定壁、及び第3固定壁と、
    前記第2固定壁と前記第3固定壁の前記フィールド側に配列される客席スタンドと、
    前記客席スタンドの上方を覆う屋根構造と、を備え、
    前記フィールドを挟んで対向する前記第2固定壁と前記第3固定壁は、前記可動壁の移動方向と平行に配置され、
    前記屋根構造は、前記可動壁の移動方向と略平行に配置された回転軸周りに回転する屋根体と、該屋根体を回転させる駆動手段と、を有し、
    前記屋根体は、該屋根体のうち前記フィールドから遠い側の後端部が前記回転軸に取り付けられるとともに、該屋根体の回転に伴って該屋根体のうち該フィールドに近い側の前端部が上下し、
    前記屋根体が正回転して前記前端部が所定位置まで上昇すると使用状態となり、該屋根体が反回転して該前端部が所定位置まで下降すると格納状態となり、
    前記屋根体が前記使用状態のときは該屋根体が前記可動壁のスライドに障壁になり、前記屋根体が前記格納状態のときは前記可動壁がスライド可能となる、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の多目的競技場。
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