JP6997671B2 - 杭、杭の接合方法および上杭の撤去方法 - Google Patents

杭、杭の接合方法および上杭の撤去方法 Download PDF

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Description

本発明は、杭、杭の接合方法および上杭の撤去方法に関するものである。
従来、地下構造物の構築時には、作業中の地山崩れなどを防止するために、地盤中に土留め杭や中間杭、土留め壁などが設置されている。都市部の工事において、将来的に地表面付近で各種パイプ類等の埋設工事が必要となる可能性がある箇所では、地下構造物の構築が完了した後に、土留め杭や中間杭の上側部分や、土留め壁の芯材の上側部分の撤去が求められる場合がある。
このような場面に適した杭(または芯材)として、例えば、H型鋼であり、上杭と下杭で構成され、下杭の上端部と上杭の下端部とが嵌合するように段差を設けて加工されたものが提案されている。この杭は、地下構造物の構築時には、上杭の上端部に取り付けられた上板と下杭の上端部に取り付けられた上板とを長ボルトおよびナットを用いて連結した状態で、地中に設置される。そして、地下構造物の構築完了後には、長ボルトおよびナットによる連結を解除して、上杭のみが地中から撤去される(例えば、特許文献1参照)。
特開2011-63957号公報
しかしながら、従来の杭は、せん断力に対して抵抗させるために、上杭と下杭とが嵌合するように各端部を複雑な形状に加工しており、製作費が嵩むという問題点があった。また、上杭を撤去する際に、上杭の引き上げと同時に上杭の内部に入り込んだソイルモルタル等も引き上げる必要があった。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすることは、簡易な構造でせん断に対して十分な耐力を有し、製作費が安価であり、地中に設置した後に上側を容易に撤去できる杭、杭の接合方法および上杭の撤去方法を提供することである。
前述した目的を達成するための第1の発明は、H型鋼である上杭と下杭とを接合して構成される杭であって、前記上杭の下端面より上方に設けられた上杭プレートおよび前記下杭の上端面に設けられた下杭プレートを貫通する長ボルトと、前記長ボルトの下端部を前記下杭プレートに仮固定する雌ネジ部材と、前記上杭のフランジの内側面の下端付近に当接するように前記下杭プレートの上面に固定されたせん断プレートと、を具備し、前記雌ネジ部材への前記長ボルトの仮固定を解除することにより、前記上杭を前記下杭から分離可能であることを特徴とする杭である。
第1の発明の杭は、H型鋼である上杭と下杭とを長ボルトおよび雌ネジ部材を用いて接合して構成され、下杭プレートの上面に固定されたせん断プレートが上杭のフランジの内側面の下端付近に当接する。これにより、簡易な構造でせん断に対して十分な耐力をもたせることができ、製作費も安価となる。
第1の発明では、前記上杭のウェブを両面から挟み込むように前記下杭プレートの上面に固定された弱軸方向ずれ止めをさらに具備してもよい。
これにより、上杭と下杭とが杭の弱軸方向にずれるのを防止することができる。
また、前記上杭のフランジ同士を連結するように設けられ、前記フランジの面外方向の変形を抑制する変形抑制部材をさらに具備してもよい。
これにより、フランジがせん断プレートに押されて変形するのを抑制することができる。
第2の発明は、H型鋼である上杭と下杭とを接合して構成される杭であって、前記上杭の下端面より上方に設けられた上杭プレートおよび前記下杭の上端面に設けられた下杭プレートを貫通する長ボルトと、前記長ボルトの下端部を前記下杭プレートに仮固定する雌ネジ部材と、前記上杭のウェブを両面から挟み込むように前記下杭プレートの上面に固定された弱軸方向ずれ止めと、前記弱軸方向ずれ止めの前記上杭のフランジ側の端面に当接するように前記下杭プレートの上面に固定されたせん断プレートと、を具備し、前記雌ネジ部材への前記長ボルトの仮固定を解除することにより、前記上杭を前記下杭から分離可能であることを特徴とする杭である。
第2の発明の杭は、H型鋼である上杭と下杭とを長ボルトおよび雌ネジ部材を用いて接合して構成され、下杭プレートの上面に弱軸方向ずれ止めおよびせん断プレートが固定され、せん断プレートが弱軸方向ずれ止めの上杭のフランジ側の端面に当接する。これにより、簡易な構造でせん断に対して十分な耐力をもたせることができ、製作費も安価となる。
第1、第2の発明では、前記上杭のフランジの外側面の下端付近に当接するように前記下杭に固定された強軸方向ずれ止めをさらに具備してもよい。
これにより、上杭と下杭とが杭の強軸方向にずれるのを防止することができる。
第3の発明は、第1または第2の発明の杭の接合方法であって、前記下杭の上に前記上杭を配置する工程aと、前記上杭プレートおよび前記下杭プレートに前記長ボルトを貫通させて、前記雌ネジ部材を用いて前記長ボルトの下端部を前記下杭プレートに仮固定する工程bと、前記下杭プレートの上面に前記せん断プレートを固定する工程cと、を具備することを特徴とする杭の接合方法である。
第3の発明では、長ボルトの下端部を下杭プレートに仮固定して上杭と下杭とが位置ずれしない状態とした後、下杭プレートの上面にせん断プレートを固定することにより、せん断プレートを上杭のフランジの内側面の下端付近または弱軸方向ずれ止めに確実に当接させることができる。
第4の発明は、土留め壁中に設置された第1または第2の発明の杭の上杭を撤去する上杭の撤去方法であって、前記杭の打設後に、前記土留め壁を掘削して前記上杭プレートを露出させる工程aと、前記雌ネジ部材への前記長ボルトの仮固定を解除する工程bと、前記上杭を地上に引き上げる工程cと、を具備することを特徴とする上杭の撤去方法である。
第4の発明では、土留め壁中に設置された第1または第2の発明の杭の上杭プレートを露出させ、雌ネジ部材への長ボルトの仮固定を解除して上杭を地上に引き上げる。第1または第2の発明の杭は、上杭の下端部にプレートが設けられないので、上杭の引き上げと同時に上杭の内部に入り込んだソイルモルタル等を引き上げる必要がなく、上杭を容易に撤去することができる。
本発明によれば、簡易な構造でせん断に対して十分な耐力を有し、製作費が安価であり、地中に設置した後に上側を容易に撤去できる杭、杭の接合方法および上杭の撤去方法を提供できる。
上杭1および下杭3を示す図 上杭1と下杭3とを仮固定する方法を示す図 杭39を示す図 杭39を示す図 地盤49に構築した土留め壁51を示す図 土留め壁51から上杭1を撤去する方法を示す図 他の変形抑制部材を設けた例を示す図 杭39cを示す図
以下、図面に基づいて、本発明の第1の実施形態を詳細に説明する。
図1は、上杭1および下杭3を示す図である。図1に示す上杭1、下杭3は、図の上方が上端側、下方が下端側である。図1に示すように、上杭1は、一対のフランジ5の間にウェブ7が設けられたH型鋼である。ウェブ7の上端には、必要に応じて吊りピース17が固定される。ウェブ7の下端の両面には、フランジ5と平行となるように補強リブ13が固定される。
上杭1は、下端面より上方に上杭プレート9が固定される。上杭プレート9は、フランジ5およびウェブ7と直交するように、ウェブ7の両側に設けられる。上杭プレート9の下面には、フランジ5と平行となるように補強リブ11が設けられる。補強リブ11は、ウェブ7の両側に設けられ、上杭プレート9およびウェブ7に固定される。
上杭プレート9の下方には、フランジ5と平行となるように4本の鞘管15が設けられる。鞘管15の上端は上杭プレート9に固定される。上杭プレート9は、鞘管15の内空と連通する位置にボルト孔31(図2(a))を有する。鞘管15の下端の位置は、上杭1の下端と一致する。
下杭3は、一対のフランジ19の間にウェブ21が設けられたH型鋼である。下杭3は、上端面に下杭プレート23が固定される。下杭プレート23は、下杭3の上端面を閉鎖するように設けられる。下杭プレート23の下面には、フランジ19と平行となるように補強リブ25が設けられる。補強リブ25は、ウェブ21の両側に設けられ、下杭プレート23およびウェブ21に固定される。
下杭プレート23は、上杭1と下杭3とを重ねた時に、鞘管15の内空と連通する位置にボルト孔29(図2(a))を有する。下杭プレート23の下面には、ボルト孔29に対応する位置に雌ねじ部材であるナット27が固定される。
図2は、上杭1と下杭3とを仮固定する方法を示す図である。図2(a)は、鞘管15を通る位置における鉛直断面を示す図であり、図2(b)は、図2(a)に示す矢印A-Aによる断面を示す図である。図3、図4は、杭39を示す図である。図3(a)は、鞘管15を通る位置における鉛直断面を示す図であり、図3(b)は、図3(a)に示す矢印B-Bによる断面を示す図である。
上杭1と下杭3とを接合して杭39とするには、まず、図2に示すように、下杭3の上に上杭1を重ねて、長ボルト33を上方から上杭プレート9のボルト孔31、鞘管15の内空、下杭プレート23のボルト孔29に挿入する。そして、長ボルト33の下端部37をナット27に螺合する。これにより、上杭プレート9と下杭プレート23とを貫通するように長ボルト33が設置され、長ボルト33の下端部37が下杭プレート23に仮固定される。
次に、図3、図4に示すように、下杭プレート23の上面に、せん断プレート45および弱軸方向ずれ止め43を固定する。せん断プレート45および弱軸方向ずれ止め43は、下杭プレート23の上面に溶接によって固定される。図3(b)に示すように、せん断プレート45および弱軸方向ずれ止め43は、補強リブ13とウェブ7とで仕切られた4つの区画に、それぞれ1か所ずつ設けられる。
図3(a)に示すように、せん断プレート45は、矩形の板状部材である。せん断プレート45は、上杭1のフランジ5に対して垂直に配置され、一面がフランジ5の内側面の下端付近に当接する。図3に示すように、弱軸方向ずれ止め43は、L字形の部材であり、一方の脚部が下杭プレート23に溶接され、他方の脚部が上杭1のウェブ7の下端付近に当接する。図3(b)に示すように、弱軸方向ずれ止め43は、上杭1のウェブ7を両面から挟み込むように設けられる。
また、図3、図4に示すように、下杭プレート23の4つの側面のうち、下杭3のフランジ19の外側面に連続する2面に強軸方向ずれ止め41を溶接によって固定する。強軸方向ずれ止め41は、矩形の板状部材であり、上杭1のフランジ5の外側面の下端付近に当接する。
さらに、図3、図4に示すように、上杭1のフランジ5同士を連結するように、矩形の板状部材である帯鋼板47を固定する。帯鋼板47は、ウェブ7と平行に配置されて、両端がフランジ5の下端に溶接される。帯鋼板47は、フランジ5の面外方向の変形を抑制する変形抑制部材である。
図5は、地盤49に構築した土留め壁51を示す図である。図5(a)は、土留め壁51の鉛直断面を示す図、図5(b)は、図5(a)に示す矢印C-Cでの断面を示す図である。
図5に示す土留め壁51は、地下構造物等の構築に先行して、地下構造物の構築予定領域を囲むように、地盤49内に構築される。土留め壁51は、ソイルモルタル59と芯材である杭39とからなる。
土留め壁51を構築するには、地盤49に溝を掘削し、溝にソイルモルタル59を打設した後、ソイルモルタル59内に杭39を建て込む。杭39は上述した手順によって上杭1と下杭3とが接合された状態で、軸方向が鉛直方向となるようにソイルモルタル59内に建て込まれる。杭39は、水平方向に所定の間隔をおいて建て込まれる。
杭39は、土留め壁51に側方(図5(a)の左右方向)から土圧等による水平力がかかった場合に、せん断プレート45(図3、図4)によって図5(a)の左右方向のせん断力に抵抗する。同時に、強軸方向ずれ止め41(図3、図4)によって上杭1と下杭3との杭39の強軸方向(図5(a)の左右方向)へのずれを防止する。帯鋼板47(図3、図4)は、せん断プレート45に押されることによってフランジ5が面外方向(図3、図4の左右方向)に変形するのを抑制する。
せん断プレート45の幅や大きさは、せん断プレート45の設置深度に応じて決定される。例えば、せん断プレート45が浅い位置に設置される場合には、作用する土圧が小さいので、深い位置に設置される場合よりも小さい寸法のものを用いる。
杭39は、曲げに対しては長ボルト33の引張力で抵抗する。また、図5(b)の左右方向への水平力に対しては弱軸方向ずれ止め43(図3、図4)によって抵抗し、上杭1と下杭3との杭39の弱軸方向(図5(b)の左右方向)へのずれを防止する。
図6は、土留め壁51から上杭1を撤去する方法を示す図である。図6(a)は、上杭プレート9を露出させた状態を示す図、図6(b)は、上杭1と下杭3との仮固定を解除した状態を示す図、図6(c)は、上杭1を引き上げている状態を示す図である。
図6に示すように、土留め壁51では、上杭1のフランジ5同士の間にもソイルモルタル59が入り込んで硬化している。そのため、土留め壁51から杭39の上杭1を撤去するには、まず、図6(a)に示すように上杭1の上端付近のソイルモルタル59を掘削して上杭プレート9を露出させる。次に、長ボルト33の頭部35を回転させてナット27への長ボルト33の仮固定を解除する。そして、図6(b)に示すように長ボルト33を引き上げて鞘管15内から撤去する。また、図示しないクレーン等に連結されたワイヤ53を吊りピース17に取り付ける。
その後、図6(c)に示すように、ワイヤ53を用いて上杭1を矢印Dに示すように地上側に引き上げる。上杭1のフランジ5同士の間に入り込んでいたソイルモルタル59は、地盤49中に残置される。
第1の実施形態では、H型鋼である上杭1と下杭3とを長ボルト33およびナット27を用いて仮固定した後、下杭プレート23の上面に上杭1のフランジ5の内側面の下端付近に当接するようにせん断プレート45を溶接する。これにより、杭39は従来よりも簡易な構造で、せん断に対して十分な耐力を有するものとなり、製作費も安価となる。また、杭39を芯材として用いることにより、地盤49からの土圧に確実に抵抗できる土留め壁51を得ることができる。
第1の実施形態では、上杭1と下杭3とを仮固定した後に、弱軸方向ずれ止め43および強軸方向ずれ止め41を上述した位置に溶接する。これにより、せん断プレート45、弱軸方向ずれ止め43および強軸方向ずれ止め41を所定の部位に確実に当接するように精度よく固定することができるので、土留め壁51に水平力が作用しても、上杭1と下杭3とが杭39の弱軸方向、強軸方向のいずれにも位置ずれしない。そのため、ソイルセメントにひび割れが生じず、土留め壁51の止水性が確保される。
第1の実施形態の杭39では、せん断プレート45をフランジ5に対して垂直となるように立てて配置することにより、せん断力を分散させて上杭1に伝達することができる。また、上杭1のフランジ5同士を連結する帯鋼板47を設けることにより、フランジ5がせん断プレート45に押されて面外方向に変形するのを抑制することができる。
また、杭39では、上杭1のウェブ7と直交するように補強リブ11や補強リブ13を設け、下杭3のウェブ21と直交するように補強リブ25を設けることにより、長ボルト33から伝達される引張力に耐えられるように、上杭プレート9や下杭プレート23の剛性を高めることができる。
第1の実施形態では、鞘管15が設けられるので、上杭1のフランジ5同士の間にソイルモルタル59が入り込んで硬化していても、長ボルト33を簡単に回転させてナット27への仮固定を解除することができる。また、長ボルト33を容易に上方に引き抜くことができる。さらに、上杭1は、下端部にプレートが設けられず、上杭1と下杭3との仮固定を解除して上杭1を地上に引き上げる際に、フランジ5同士の間に入り込んだソイルモルタル59を上杭1と一緒に引き上げる必要がないので、上杭1を容易に撤去することができる。
なお、第1の実施形態では、上杭1のフランジ5の面外方向の変形を抑制する変形抑制部材として帯鋼板47を設けたが、変形抑制部材の設置は必須ではない。フランジ5が十分な剛性を有する場合には、変形抑制部材は不要である。また、帯鋼板47以外の変形抑制部材を設けてもよい。図7は、他の変形抑制部材を設けた例を示す図である。
図7(a)は、杭39aのせん断プレート45を含む位置での水平断面を示す図である。杭39aは、杭39と略同様の構成であるが、変形抑制部材として、帯鋼板47の代わりに締結具55が設けられる。締結具55は、例えば頭付きボルトとナットである。締結具55は、上杭1aと下杭とを長ボルト33で仮固定した後に、頭付きボルトを上杭1aのフランジ5aの下端付近および補強リブ13aに設けた孔に通し、フランジ5aにナットを締め付けることにより設置される。締結具55でフランジ5a同士を連結することにより、フランジ5aがせん断プレート45に押されて面外方向に変形するのを抑制することができる。
図7(b)は、杭39bのせん断プレート45を含む位置での水平断面を示す図である。杭39bは、杭39と略同様の構成であるが、変形抑制部材として、帯鋼板47の代わりに抑えプレート57が設けられる。抑えプレート57は、上杭1aと下杭とを長ボルト33で仮固定した後に、強軸方向ずれ止め41と同様に下杭プレート23の側面に溶接によって固定される。抑えプレート57でフランジ5を外側から抑えることにより、フランジ5がせん断プレート45に押されて面外方向に変形するのを抑制することができる。
第1の実施形態では、強軸方向ずれ止め41、弱軸方向ずれ止め43を設けたが、これらは必須ではない。強軸方向の水平力に対してせん断プレート45のみで対抗できると考えられる場合や、弱軸方向に水平力が作用しないと考えられる場合には、強軸方向ずれ止め41、弱軸方向ずれ止め43を省略してもよい。また、上杭プレート9、下杭プレート23が十分な剛性を有する場合には、補強リブ11、13、25を省略してもよい。さらに、吊りピース17を省略し、ウェブ7にワイヤ53を取り付けて上杭1を引き上げてもよい。
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点について説明し、同様の点については図等で同じ符号を付すなどして説明を省略する。
図8は、第2の実施形態の杭39cを示す図である。図8(a)は、杭39cの補強リブ13を含む位置での水平断面を示す図である。図8(b)、図8(c)は、上杭1と下杭3cとの接合部付近の鉛直断面を示す図であり、それぞれ、図8(a)に示す矢印E-E、F-Fによる断面を示す。
杭39cは、第1の実施形態の杭39とほぼ同様の構成であるが、せん断プレート45の代わりにせん断プレート45aが設けられる。また、変形抑制部材である帯鋼板47が不要となる。せん断プレート45aは、上杭1と下杭3cとを長ボルト33で仮固定した後に、下杭プレート23の上面に溶接される。せん断プレート45aは、図8に示すように、弱軸方向ずれ止め43のフランジ5側の端面に当接する。
杭39cでは、側方(図8(a)(b)の左右方向)から水平力がかかった場合に、せん断プレート45aによって図8の左右方向のせん断力に抵抗する。同時に、強軸方向ずれ止め41によって上杭1と下杭3cとの杭39の強軸方向(図8(a)(b)の左右方向)へのずれを防止する。杭39cでは、側方から水平力が作用してもせん断プレート45aが上杭1のフランジ5を押すことがないので、フランジ5が面外方向に変形するのを抑制するための変形抑制部材(帯鋼板47等)を設置する必要がない。
第2の実施形態では、上杭1と下杭3cとを長ボルト33およびナット27を用いて仮固定した後、下杭プレート23の上面に弱軸方向ずれ止め43および弱軸方向ずれ止め43に当接するせん断プレート45aを溶接するので、杭39cは従来よりも簡易な構造で、せん断に対して十分な耐力を有するものとなり、製作費も安価となる。また、杭39cを芯材として用いることにより、地盤からの土圧に確実に抵抗できる土留め壁を得ることができる。
第2の実施形態では、上杭1と下杭3cとを仮固定した後に、強軸方向ずれ止め41も上述した位置に溶接する。これにより、せん断プレート45a、弱軸方向ずれ止め43および強軸方向ずれ止め41を所定の部位に確実に当接するように精度よく固定することができるので、土留め壁に水平力が作用しても、上杭1と下杭3cとが杭39cの弱軸方向、強軸方向のいずれにも位置ずれしない。そのため、ソイルセメントにひび割れが生じず、土留め壁の止水性が確保される。
第2の実施形態においても、上杭1のウェブ7と直交するように補強リブ11や補強リブ13を設け、下杭のウェブ21と直交するように補強リブ25を設け、長ボルト33を通すための鞘管15を設けることにより、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、第2の実施形態では、強軸方向ずれ止め41を設けたが、これは必須ではない。強軸方向の水平力に対してせん断プレート45aのみで対抗できると考えられる場合には、強軸方向ずれ止め41を省略してもよい。また、上杭プレート9、下杭プレート23が十分な剛性を有する場合には、補強リブ11、13、25を省略してもよい。
第1、第2の実施形態では、上杭プレート9の下方に鞘管15を設けたが、鞘管15の設置は必須ではない。鞘管15を設置しない場合、長ボルト33は、上杭プレート9のボルト孔31と下杭プレート23のボルト孔29とを通るように設置され、下端部37がナット27に螺合される。長ボルト33の周囲には、例えば、剥離剤が塗布される。
長ボルト33の周囲に剥離剤が塗布されていれば、上杭1のフランジ5同士の間にソイルモルタルが入り込んで硬化していても、長ボルト33を簡単に回転させてナット27への仮固定を解除することができる。また、長ボルト33を容易に上方に引き抜くことができる。
第1、第2の実施形態や図7に示す例において、長ボルト33は、少なくともナット27と螺合させる範囲に、ネジ切りがされているものとする。また、各図では、頭部35付きの長ボルト33を図示したが、頭部35のないスタッドボルトを用い、上杭プレート9側に他のナットを設置してもよい。
第1、第2の実施形態や図7に示す例では、長ボルト33の下端部37およびナット27を覆うように、ボルトキャップを設置したり、コーキングを施したりしてもよい。また、ナット27の代わりに長ナットを用いてもよい。ボルトキャップやコーキング、長ナットを用いれば、長ボルト33の下端部37とナットとがソイルモルタルで固着するのを防ぐことができるので、長ボルト33を簡単に回転させてナットへの仮固定を解除することができる。
上述した各実施の形態では、本発明の杭を土留め壁の芯材として用いる場合について説明したが、本発明の杭は、地盤中に打設される杭や仮桟橋の支持杭等の他の用途にも適用できる。
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1、1a………上杭
3、3c………下杭
5、5a、19………フランジ
7、21………ウェブ
9………上杭プレート
11、13、13a、25………補強リブ
15………鞘管
17………吊りピース
23………下杭プレート
27………ナット
29、31………ボルト孔
33………長ボルト
35………頭部
37………下端部
39、39a、39b、39c………杭
41………強軸方向ずれ止め
43………弱軸方向ずれ止め
45、45a………せん断プレート
47………帯鋼板
49………地盤
51………土留め壁
53………ワイヤ
55………締結具
57………抑えプレート
59………ソイルモルタル

Claims (7)

  1. H型鋼である上杭と下杭とを接合して構成される杭であって、
    前記上杭の下端面より上方に設けられた上杭プレートおよび前記下杭の上端面に設けられた下杭プレートを貫通する長ボルトと、
    前記長ボルトの下端部を前記下杭プレートに仮固定する雌ネジ部材と、
    前記上杭のフランジの内側面の下端付近に当接するように前記下杭プレートの上面に固定されたせん断プレートと、
    を具備し、
    前記雌ネジ部材への前記長ボルトの仮固定を解除することにより、前記上杭を前記下杭から分離可能であることを特徴とする杭。
  2. 前記上杭のウェブを両面から挟み込むように前記下杭プレートの上面に固定された弱軸方向ずれ止めをさらに具備することを特徴とする請求項1記載の杭。
  3. 前記上杭のフランジ同士を連結するように設けられ、前記フランジの面外方向の変形を抑制する変形抑制部材をさらに具備することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の杭。
  4. H型鋼である上杭と下杭とを接合して構成される杭であって、
    前記上杭の下端面より上方に設けられた上杭プレートおよび前記下杭の上端面に設けられた下杭プレートを貫通する長ボルトと、
    前記長ボルトの下端部を前記下杭プレートに仮固定する雌ネジ部材と、
    前記上杭のウェブを両面から挟み込むように前記下杭プレートの上面に固定された弱軸方向ずれ止めと、
    前記弱軸方向ずれ止めの前記上杭のフランジ側の端面に当接するように前記下杭プレートの上面に固定されたせん断プレートと、
    を具備し、
    前記雌ネジ部材への前記長ボルトの仮固定を解除することにより、前記上杭を前記下杭から分離可能であることを特徴とする杭。
  5. 前記上杭のフランジの外側面の下端付近に当接するように前記下杭に固定された強軸方向ずれ止めをさらに具備することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の杭。
  6. 請求項1または請求項4記載の杭の接合方法であって、
    前記下杭の上に前記上杭を配置する工程aと、
    前記上杭プレートおよび前記下杭プレートに前記長ボルトを貫通させて、前記雌ネジ部材を用いて前記長ボルトの下端部を前記下杭プレートに仮固定する工程bと、
    前記下杭プレートの上面に前記せん断プレートを固定する工程cと、
    を具備することを特徴とする杭の接合方法。
  7. 土留め壁中に設置された請求項1または請求項4記載の杭の上杭を撤去する上杭の撤去方法であって、
    前記杭の打設後に、前記土留め壁を掘削して前記上杭プレートを露出させる工程aと、
    前記雌ネジ部材への前記長ボルトの仮固定を解除する工程bと、
    前記上杭を地上に引き上げる工程cと、
    を具備することを特徴とする上杭の撤去方法。
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