「発明の概要」及び「要約書」は、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明者らは、中程度の温度(例えば、150℃~200℃)で硬化して硬化ポリマーを得ることができるプレポリマーを提供するという問題に対する解決策を提示し、ここで硬化したポリマーは、その後、電子デバイス及びMEMを処理及び製造する際に、熱エージングし、高温(460℃~700℃)で使用することができる。より詳細には、本発明者らは、硬化させると硬化したシリコーンを作製するシリコーンプレポリマーに属するポリマーを発見し、かかるポリマーは、460℃~700℃の温度でエージング後、質量的に安定で、本発明の液体フルオリドストリッパで完全にかつ容易に剥離可能なエージングしたシリコーンをもたらす。更により詳細には、本発明者らは、硬化させると硬化したシルセスキオキサンポリマーを作製するシルセスキオキサン樹脂プレポリマーに属するポリマーを発見し、かかるポリマーは、460℃~700℃の温度でエージング後、質量的に安定で、本発明の液体フルオリドストリッパで完全にかつ容易に剥離可能なエージングしたシルセスキオキサンポリマーをもたらす。更により詳細には、本発明者らは、特定量のT(H)構成単位及びT(アリール)構成単位を含有し、硬化させると硬化したシルセスキオキサンポリマーを作製するシルセスキオキサン樹脂プレポリマーに属するポリマーを発見し、かかるポリマーは、460℃~700℃の温度でエージング後、T(H)構成単位及びT(アリール)構成単位を含有し、本発明の液体フルオリドストリッパで完全にかつ容易に剥離可能なエージングしたシルセスキオキサンポリマーをもたらす。シルセスキオキサン樹脂プレポリマー、硬化したシルセスキオキサンポリマー、及びエージングしたシルセスキオキサンポリマーは、任意選択的に、特定量のT(アルキル)構成単位を含まなくてもよく、又はそれを更に含有していてもよい。更により好ましくは、シルセスキオキサン樹脂プレポリマー、及び硬化したシルセスキオキサンポリマーは、後述の式(I)のものであり、エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーを460℃~700℃の温度で加熱することによる生成物である。
本発明者らは、450℃を上回る温度でのエレクトロニクス又はMEMSの製造又は操作における利用が見出されたシリコーン樹脂をなにも認識していない。本発明者らは、本発明者らが記載しようとする本発明の解決策及び実施形態は、本出願が出願された時点で利用可能な技術分野で開示、教示又は示唆されていないと考えている。本発明者らは、本発明の問題を認識しておらず、本発明の後知恵の知見を用いてのみ識別することができる背景技術における技術を引用する。本明細書における教示及び説明がない場合には、背景技術に挙げられている技術は、本発明の問題に対する解決策の出発点とはみなされない。本発明者らが本発明の解決策及び実施形態を想到することができたのは、本発明の研究及び試験の後のみであった。本発明のいくつか実施形態は以下に番号付けされた態様を含む。
態様1.加熱工程(a)又は(b)を含むプロセスによって作製された生成物である、エージングしたシルセスキオキサンポリマーであって、加熱工程(a)は下位工程(a)(1)及び(a)(2):(a)(1)シルセスキオキサン樹脂プレポリマーを、150摂氏度(℃)~300℃の温度で少なくとも10秒間加熱して、硬化したシルセスキオキサンポリマーを得ること、次いで(a)(2)硬化したシルセスキオキサンポリマーを、460℃~700℃の温度で少なくとも1分間加熱して、エージングしたシルセスキオキサンポリマーを得ることで構成され、ここでシルセスキオキサン樹脂プレポリマーは式(I):(HSiO(3-h)/2(OH)h)x(RArSiO(3-h)/2(OH)h)y(RAlkSiO(3-h)/2(OH)h)z(I)[式中、各RArは独立してフェニル又はナフチルであり、各RAlkは独立して(C1-C3)アルキルであり、添字xは0.20~0.94のモル分率であり、添字yは0.06~0.80のモル分率であり、添字zは0~0.70のモル分率であり、合計x+y+z=1であり、各hは独立して0、1又は2である。]のものであり、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーにおいて、SiOH基を有する単位のモルパーセント、w1は6~38モルパーセントであり;又は加熱工程(b)は、硬化したシルセスキオキサンポリマーを、460℃~700℃の温度で少なくとも1分間加熱して、エージングしたシルセスキオキサンポリマーを得ることであり;加熱工程(a)又は(b)において、硬化したシルセスキオキサンポリマーは、独立して、式(I):(HSiO(3-h)/2(OH)h)x(RArSiO(3-h)/2(OH)h)y(RAlkSiO(3-h)/2(OH)h)z(I)[式中、各RArは独立してフェニル又はナフチルであり、各RAlkは独立して(C1-C3)アルキルであり、添字xは0.20~0.94のモル分率であり、添字yは0.06~0.80のモル分率であり、添字zは0~0.70のモル分率であり、合計x+y+z=1であり、各hは独立して0、1又は2である。]のものであり、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーにおいて、SiOH基を有する単位のモルパーセント、w2は、1~20モルパーセントであり;w1>w2であり;式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーは、第1質量である質量1によって特徴付けられ、エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、第2質量である質量2によって特徴付けられ、ここで質量2=0.85質量1~1.02質量1である、エージングしたシルセスキオキサンポリマー。
エージングしたシルセスキオキサンポリマーの質量の損失又は増大は、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの出発重量(即ち、これらの乾燥形態、溶媒不含形態)に対するものである。式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの乾燥形態の重量は、硬化によりそれから調製される式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーの重量に等しい。いくつかの実施形態では、エージングしたシルセスキオキサンポリマーの質量の損失又は増大は、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーの出発重量に対するものである。エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、全て式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーに対して、>0質量%から<15質量%、あるいは>0質量%から<10質量%、あるいは>0質量%から<7質量%を損失してもよい。いくつかの実施形態では、エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、全て式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーに対して、>0質量%から<6質量%、あるいは>0質量%から<5質量%、あるいは>0質量%から<4質量%、あるいは>0質量%から<3質量%、あるいは>0質量%から≦2質量%を損失してもよい。いくつかの実施形態では、エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、全て式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーに対して、少なくとも1.9質量%、あるいは少なくとも2.0質量%を損失してもよい。あるいは、エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、全て式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーに対して、>0質量%から<2質量%、あるいは>0質量%から<1質量%、あるいは>0質量%から<0.5質量%増大してもよい。あるいは、エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーに対して、質量が増大しなくてもよく、又は損失しなくてもよい。エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、各々後述するように安定性試験方法1、あるいは安定性試験方法2に従って、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーを熱重量分析(TGA)することにより行われる質量損失によって特徴付けられてもよい。
エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、これらの膜の収縮により特徴付けられてもよい。エージングしたシルセスキオキサンポリマーの膜の収縮は、エージングしたシルセスキオキサンポリマーの膜の厚さを、エージングしたシルセスキオキサンポリマー膜が熱エージングよって調製された式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーの膜の出発厚さで割ったものに相当するとして計算され、百分率で表されてもよい。式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーの膜は、PGMEA中の10重量%の式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの混合物を(混合物を0.2マイクロメートルPTFEフィルタに通して濾過した後)、15センチメートル直径のシリコンウエハ上に塗布し、塗布した材料をスピンコーティングして膜を得て、得られた膜を150℃で60秒間ソフトベーキングして式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの膜を得ること;及び式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの膜を200℃で10分間加熱して、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーを硬化し、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーを得ることによって調製してもよい。この方法で調製される式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーの膜の出発厚さは、0.2~5マイクロメートルであってもよい。いくつかの実施形態では、500℃で30分間乾燥分子状窒素ガス雰囲気下で熱エージングした後の、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーの膜の出発厚さに対するエージングしたシルセスキオキサンポリマーの膜の収縮は、0.2%~6.5%である。あるいは、600℃で30分間熱エージングした後の、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーの膜の出発厚さに対するエージングしたシルセスキオキサンポリマーの膜の収縮は、9%~17%である。
式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーは、6~38モルパーセント(mol%)、あるいは6~35mol%、あるいは6~30mol%、あるいは6~25mol%、あるいは10~38mol%、あるいは15~38mol%、あるいは15~35mol%、あるいは10~30mol%、あるいは20~35mol%、あるいは25~38mol%、あるいは7mol%±1mol%、あるいは8mol%±2mol%、あるいは9mol%±3mol%、あるいは10mol%±3mol%、あるいは11mol%±3mol%、あるいは12mol%±3mol%、あるいは13mol%±3mol%、あるいは14mol%±3mol%、あるいは15mol%±3mol%、あるいは16mol%±3mol%、あるいは17mol%±3mol%、あるいは18mol%±3mol%、あるいは19mol%±3mol%、あるいは20mol%±3mol%、あるいは21mol%±3mol%、あるいは22mol%±3mol%、あるいは23mol%±3mol%、あるいは24mol%±3mol%、あるいは25mol%±3mol%、あるいは26mol%±3mol%、あるいは27mol%±3mol%、あるいは28mol%±3mol%、あるいは29mol%±3mol%、あるいは30mol%±3mol%、あるいは31mol%±3mol%、あるいは32mol%±3mol%、あるいは33mol%±3mol%、あるいは34mol%±3mol%、あるいは35mol%±3mol%、あるいは36mol%±2mol%、あるいは37mol%±1mol%のシラノール含有量を有してもよい。式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーは、1~20mol、あるいは2~20mol%、あるいは3~20mol%、あるいは4~20mol%、あるいは5~20mol%、あるいは2~19mol%、あるいは5~19mol%、あるいは5~16mol%、あるいは5~15mol%、あるいは7~15mol%、あるいは5mol%±1mol%、あるいは6mol%±1mol%、あるいは7mol%±1mol%、あるいは8mol%±1mol%、あるいは9mol%±1mol%、あるいは10mol%±1mol%、あるいは11mol%±1mol%、あるいは12mol%±1mol%、あるいは13mol%±1mol%、あるいは14mol%±1mol%、あるいは15mol%±1mol%のシラノール含有量を有してもよい。あるいは、又は加えて、シラノール含有量又はシラノール含有量及び熱エージング特性について、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーは、25,000以上、あるいは、25,000以上~2,000,000、あるいは、30,000~2,000,000、あるいは、50,000~2,000,000、あるいは、75,000~2,000,000、あるいは、100,000~1,000,000、あるいは、500,000~2,000,000の重量平均分子量(Mw)を有してもよい。
態様2.プロセスが、加熱工程(a)を含む、態様1に記載のエージングしたシルセスキオキサンポリマー。
態様3.プロセスが、加熱工程(b)を含む、態様1に記載のエージングしたシルセスキオキサンポリマー。
態様4.以下の制限(A)~(R):(A)加熱下位工程(a)(2)において、又は加熱工程(b)において、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーを、460℃~600℃の温度で1分間~120分間加熱する;(B)加熱下位工程(a)(2)において、又は加熱工程(b)において、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーを、500℃~700℃の温度で1分間~120分間加熱する;(C)エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、460℃~700℃の温度下のものとして特徴付けけられる;(D)エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、-40℃~40℃の温度下のものとして特徴付けられる;(E)式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーは、30,000~3,000,000の重量平均分子量Mwを有する;(F)制限(E)並びに制限(C)及び(D)のいずれか1つ;(G)質量2=0.86質量1~1.00質量1、質量2=0.91質量1~1.00質量<1、又は質量2=0.93質量1~0.99質量1;(H)500℃で60分間加熱することからなる加熱下位工程(a2)、又は加熱工程(b)の実施形態の後、質量2=0.91質量1~1.00質量1;(I)600℃で60分間加熱することからなる加熱下位工程(a2)、又は加熱工程(b)の実施形態の後、質量2=0.91質量1~1.00質量1;(J)500℃で60分間加熱することからなる加熱下位工程(a2)、又は加熱工程(b)の実施形態の後、質量2=0.93質量1~1.00質量1;(K)600℃で60分間加熱することからなる加熱下位工程(a2)、又は加熱工程(b)の実施形態の後、質量2=0.93質量1~1.00質量1;(L)制限(H)及び(I)の両方;(M)制限(J)及び(K)の両方;(N)式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマー及びエージングしたシルセスキオキサンポリマーは、2.4(例えば、2.37~2.38)重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(TMAHaq)に60℃で10分間浸漬することによる溶解度、又は、60℃での2.4重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(TMAHaq)中の溶解速度から選択される少なくとも1つの化学的特徴が互いに異なっており(即ち、エージングしたシルセスキオキサンポリマーはTMAH耐性であると特徴付けられる)、ここでその中のエージングしたシルセスキオキサンポリマーの溶解度が式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーの溶解度よりも少なくとも25%小さい;(O)式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマー及びエージングしたシルセスキオキサンポリマーは、フーリエ変換赤外線(IR)分光法により測定した際に、「Si-H含有量」(又は「SIH含有量」)であるケイ素結合水素原子の含有量から選択される少なくとも1つの構造的特徴が互いに異なっており、ここで、エージングしたシルセスキオキサンポリマーのSi-H含有量は、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーのSi-H含有量よりも少なくとも25%小さい;(P)制限(N)及び(O)のうちの少なくとも2つ;(Q)制限(N)又は(O)、及び制限(A)~(M)のいずれか1つ;並びに(R)式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマー及び式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーは、25℃でのプロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテートであるPGMEA中の溶解度、から選択される少なくとも1つの化学的特徴が互いに異なっており、ここで、それぞれ25℃にて1.0ミリリットルのPGMEA中で0.10gの式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマー又は式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーで全て測定して、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーは完全に溶解し、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーは不溶であるか、又は少なくとも部分的に不溶である;のいずれか1つによって特徴付けられる態様1~3のいずれか1つに記載のエージングしたシルセスキオキサンポリマー。いくつかの実施形態では、選択された物理的特性は(A)、あるいは(B)、あるいは(C)、あるいは(D)、あるいは(E)、あるいは(F)、あるいは(G)、あるいは(H)、あるいは(I)、あるいは(J)、あるいは(K)、あるいは(L)、あるいは(M)、あるいは(N)、あるいは(O)、あるいは(P)、あるいは(Q)、あるいは(R)である。
あるいは、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマー、及びエージングしたシルセスキオキサンポリマーは、(S)2マイクロメートルの厚さの試験膜上で測定したナノインデンテーション;(T)Si-Hピークのそれぞれの高さを用いてFT-IR分光法によって測定した際のSiHピークの高さの変化;及び(U)Si-Oピークのそれぞれの高さと比較したSi-Hピークのそれぞれの高さを用いてFT-IR分光法によって測定した際のSiH/SiOモル比の変化から選択される少なくとも1つの物理的特性が互いに異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、選択された物理的特性は、(S)、あるいは(T)、あるいは(U)である。式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーのFT-IRにおいて、典型的なSi-Hピークは、約2244センチメートルの逆数(reciprocal centimeter)(cm-1)であり、及び典型的なSi-Oピークは、約1045cm-1である。エージングしたシルセスキオキサンポリマーのFT-IRにおいて、典型的なSi-Hピークは、約2244~2248cm-1であり、及び典型的なSi-Oピークは、1008~1022cm-1である。一般的に、熱エージングの程度が大きくなるほど(例えば、全ての他のものが同等である場合、熱エージング温度が高くなるほど)、Si-Hピークについてのcm-1値は高くなり、Si-Oピークについてのcm-1値は低くなる。いくつかの実施形態では、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プロポリマーのSi-H/Si-O比(150℃で60秒間これらの膜をソフトベーキング後)は0.7~1.6であるのに対し、硬化して、次いで500℃で30分間乾燥分子状窒素ガス雰囲気下で熱エージングすることによってそれから調製されたエージングしたシルセスキオキサンポリマーのSi-H/Si-O比は、0.4以上<0.7であり、及び/又は硬化して、次いで600℃で30分間乾燥分子状窒素ガス雰囲気下で熱エージングすることによってそれから調製されたエージングしたシルセスキオキサンポリマーのSi-H/Si-O比は、0.2以上<0.3である。
TMAHaq耐性については、浸漬工程後に未溶解のエージングしたシルセスキオキサンポリマーの量が多くなるほど、それらのTMAHaq耐性の程度は大きくなる。逆に、TMAHaq中に溶解するエージングしたシルセスキオキサンポリマーが多くなるほど、それらのTMAHaq耐性の程度は小さくなる。TMAHaq耐性を試験する目的のために、エージングしたシルセスキオキサンポリマーは膜の形態であってもよい。膜は、0.4マイクロメートル(μm)~1.0μm、あるいは0.5μmの厚さを有してもよい。TMAHaq耐性は、後述の剥離試験方法1に従って測定してもよく、ここでストリッピング溶液は、2.4重量%のTMAHaqである。
態様5.加熱工程(a)を含むプロセスよって作製され、加熱下位工程(a)(1)を実施した後、プロセスが、加熱下位工程(a)(2)を実施する前に、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーを、0℃~40℃の温度まで冷却する、下位工程(a)(1.5)を更に含む、態様1~4のいずれか1つに記載のエージングしたシルセスキオキサンポリマー。
便宜上及び簡潔さのために、式(I)のシルセスキオキサン樹脂のプレポリマー、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマー、及びエージングしたシルセスキオキサンポリマーを、一括して「本発明のシルセスキオキサン材料」と称してもよい。いくつかの実施形態では、本発明のシルセスキオキサン材料は、式(I):(HSiO(3-h)/2(OH)h)x(RArSiO(3-h)/2(OH)h)y(RAlkSiO(3-h)/2(OH)h)z(I-a)[式中、各RArは独立してフェニル又はナフチルであり、各RAlkは独立して(C1-C3)アルキルであり、添字xは0.20~0.94のモル分率であり、添字yは0.06~0.80のモル分率であり、添字zは0~0.70のモル分率であり、合計x+y+z=1であり、各hは独立して0、1又は2であり、それぞれのSiOH含有量は態様1に記載のとおりである。]から本質的になる、あるいはそれからなる。本文脈中で使用される場合、語句「~から本質的になる」とは、「~を含む」のような非限定的用語と、「~からなる」のような限定的用語との間の中間的な用語を意味し、ここで中間的な用語は、特許請求された発明の基本的かつ新規な特徴に影響を与えない。いくつかの態様では、語句~から本質的になるとは、(i)本発明のシルセスキオキサン材料における唯一の一価有機基がRAr及びRAlk基であるか、(ii)本発明のシルセスキオキサン材料における唯一の構成単位が、HSiO(3-h)/2(OH)h、RArSiO(3-h)/2(OH)h、任意選択的にRAlkSiO(3-h)/2(OH)h構成単位及び/又は任意選択的に[SiO4/2]q構成単位[式中、存在する場合、qは>0から<0.05である。]であるかのいずれか、又は(iii)(i)及び(ii)の両方を意味する。制限(i)を満たす場合、本発明のシルセスキオキサン材料は、任意のその他の一価有機基が存在しない、又は含まない(例えば、一価のアルケニル、オルガノヘテリル、及びヘテロヒドロカルビル基を含まない)。制限(i)は、1H-NMR又は13C-NMRなどの核磁気(NMR)分光法を用いて決定してもよい。制限(ii)を満たす場合、本発明のシルセスキオキサン材料は、任意のその他の構成単位(例えば、式RD
2SiO2/2のD単位[式中、各RDは独立してヒドロカルビルである。]、及び式RM
3SiO1/2のM単位[式中、各RMは独立してヒドロカルビルである。])が存在しない、又は含まない。制限(ii)は、29Si-NMRなどのNMR分光法を用いて決定してもよい。本文脈中で使用するとき、限定的語句「~からなる」とは、本発明のシルセスキオキサン材料が構成単位及び式(I)に示される基のみを有するということを意味する。いくつかの実施形態では、本発明のシルセスキオキサン材料における唯一の構成単位は、HSiO(3-h)/2(OH)h、RArSiO(3-h)/2(OH)h、及び[SiO4/2]q構成単位[式中、h及びRArは式(I)について定義したとおりであり、qは>0から<0.05のモル分率である。]である。いくつかの実施形態では、本発明のシルセスキオキサン材料における唯一の構成単位は、HSiO(3-h)/2(OH)h、及びRArSiO(3-h)/2(OH)h構成単位[式中、h及びRArは式(I)について定義したとおりである。]である。いくつかの実施形態では、本発明のシルセスキオキサン材料における唯一の構成単位は、HSiO(3-h)/2(OH)h、RArSiO(3-h)/2(OH)h、RAlkSiO(3-h)/2(OH)h、及び[SiO4/2]q構成単位[式中、h、RAr、及びRAlkは式(I)について定義したとおりであり、qは>0から<0.05のモル分率である。]である。いくつかの実施形態では、本発明のシルセスキオキサン材料における唯一の構成単位は、HSiO(3-h)/2(OH)h、RArSiO(3-h)/2(OH)h、及びRAlkSiO(3-h)/2(OH)h構成単位[式中、h、RAr、及びRAlkは式(I)について定義したとおりである。]である。
本発明のシルセスキオキサン材料のいくつか実施例では、各hは0である(即ち、式(I)における各構成単位はT単位である)、あるいは、1つのhは1であり、その他のhは0である。あるいは、又は加えて、各RArはフェニルである。あるいは、又は加えて、各RAlkは、存在する場合、メチルである。あるいは、又は加えて、xは0.20~0.50、又は0.50~0.94であり、yは0.20~0.80、又は0.40~0.80であり、zは0~0.10であり、合計x+y+z=1である。
いくつかの実施形態では、エージングしたシルセスキオキサンポリマーは後述の実施例のいずれか1つのエージングしたシルセスキオキサンポリマーである。その他の実施形態では、エージングしたシルセスキオキサンポリマーは後述の実施例のいずれか1つのエージングしたシルセスキオキサンポリマーではない(かかるポリマーを除外する)。
態様6.態様1~5のいずれか1つに記載のエージングしたシルセスキオキサンポリマーを含む製造物品。製造物品は、シート、複数の粒子、又は設計されたパターンとして構成されてもよい。設計されたパターンは、幾何学的パターンであってもよい。
態様7.エージングしたシルセスキオキサンポリマーと動作可能に接触して配置される、基板を更に備える、態様6に記載の製造物品。
態様8.態様1~5のいずれか1つに記載のエージングしたシルセスキオキサンポリマーを含む電子デバイス、及びそれと動作可能に接触して配置される電子部品。
態様9.半導体デバイスの高温形成したフィーチャの作製方法であって、半導体部品上に配置された態様1~5のいずれか1つに記載のエージングしたシルセスキオキサンポリマーを含む物品に、460℃~700℃の温度で少なくとも1つの加工工程を実施して、半導体部品上に配置された高温形成したフィーチャ及びエージングしたシルセスキオキサンポリマーを含む半導体デバイスを得ることを含む方法。
態様10.以下の制限(1)~(7):(1)高温形成したフィーチャは、460℃~700℃の温度で実施される材料堆積又は処理プロセスによって作製される;(2)高温形成したフィーチャは、460℃~700℃の温度で実施される材料堆積又は処理プロセスによって作製され、ここで材料堆積プロセスは、CVD前駆体を用いた化学蒸着又はALD前駆体を用いた原子層堆積を含み、処理プロセスは、アニーリング、アッシング、又はエッチングを含み;全てが460℃~700℃の温度で実施される;(3)加工工程を実施する前に、工程(a)又は(b)によりエージングしたシルセスキオキサンポリマーを予め作製するか、又は加工工程を実施する際に、in situで工程(a)又は(b)によりエージングしたシルセスキオキサンポリマーを作製する;(4)方法は、加工工程を実施する前に、半導体部品上に式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーと送達媒質との混合物をスピンコーティングしてウェットコーティングを得ること、及びウェットコーティングから送達媒質を除去して、半導体部品と接触している式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの乾燥したコーティングを得ることを更に含む;(5)半導体部品は半導体ウエハを含む;並びに、(6)高温形成したフィーチャは、半導体材料の堆積物、アニーリングされた半導体材料、アッシング残留物、又はエッチングした層を含む;並びに、(7)半導体デバイスは、光(起)電セル、ダイオード、トランジスタ、又は集積回路を備える;のいずれか1つを更に含む、態様9に記載の方法。
態様11.液体フルオリドストリッパで半導体部品からエージングしたシルセスキオキサンポリマーの少なくとも一部をウェットストリッピングすることを更に含み、液体フルオリドストリッパは、酢酸、ジメチルアセトアミド、アンモニウムフルオリド、及び水を含み、アンモニウムフルオリドの濃度は、液体フルオリドストリッパの総重量に対して少なくとも4重量%(wt%)~15wt%であり、ウェットストリッピングは、液体フルオリドストリッパ中のエージングしたシルセスキオキサンポリマーの少なくとも一部を溶解するように、エージングしたシルセスキオキサンポリマーを液体フルオリドストリッパと接触させることを含む、態様9又は10のいずれかに記載の方法。
態様12.態様1~5のいずれか1つに記載のエージングしたシルセスキオキサンポリマーの粒子の分散体と、エージングしたシルセスキオキサンポリマーではない少なくとも1つの追加の構成要素と、を含む、配合物。
態様13.少なくとも1つの追加の構成要素が、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマー、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマー、液体媒質、オルガノシロキサンモノマー又はオリゴマー、シラン、非樹脂性ポリオルガノシロキサン、有機ポリマー、粒子状炭素、及び粒子状無機固体である、態様12に記載の配合物。
態様14.態様1~5のいずれか1つに記載のエージングしたシルセスキオキサンポリマーを、それが接触している基板から除去する方法であって、液体フルオリドストリッパは酢酸、ジメチルアセトアミド、アンモニウムフルオリド、及び水を含み、アンモニウムフルオリドの濃度は、液体フルオリドストリッパの総重量に対して少なくとも4重量%(wt%)~15wt%であり、液体フルオリドストリッパ中のエージングしたシルセスキオキサンポリマーの少なくとも一部を溶解するように、エージングしたシルセスキオキサンポリマーを液体フルオリドストリッパと接触させることを含む、方法。エージングしたシルセスキオキサンポリマー及び液体ストリッパは、接触工程の間、典型的には、20℃~60℃の温度である。
態様15.以下の制限(aa)~(ll):(aa)式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーは、沸点が30℃~150℃の溶媒を0.5wt%未満有する、実質的に溶媒を含まない形態の式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの硬化生成物を含む;(bb)各RArはフェニルであり、各RAlkはメチルである;(cc)(aa)及び(bb)の両方;(dd)添字xは0.25~0.90のモル分率であり、添字yは0.10~0.50のモル分率であり、添字zは0~0.65のモル分率であり、合計x+y+z=1である;(ee)添字zは0であり、エージングしたシルセスキオキサンポリマーは式(I-a):(HSiO3/2)x(フェニルSiO)3/2y(I-a)[式中、添字xは0.5~0.94であり、添字yは0.06~0.5であり、合計x=y=1である。]のものである;(ff)(bb)及び(ee)の両方;(gg)(aa)、(bb)及び(ee)の各々;(hh)添字zは0.40~0.65のモル分率であり、エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、式(I-b):(HSiO3/2)x(フェニルSiO3/2)y(CH3SiO3/2)z(I-b)[式中、添字xは0.25~0.40であり、添字yは0.10~0.25であり、添字zは0.40~0.65のモル分率であり、合計x+y+z=1である。]のものである;(ii)(bb)及び(hh)の両方;(jj)(aa)、(bb)及び(hh)の各々;(kk)各RArはフェニルであり、各RAlkはメチルであり、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマー、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマー、又はエージングしたシルセスキオキサンポリマー中の、得られた(HSiO3/2)x単位(T(H))、(フェニルSiO)3/2y単位(T(フェニル))、及び(メチルSiO)3/2y単位(T(メチル))のモル分率は、T(H)0.90T(フェニル)0.10;T(H)0.85T(フェニル)0.15;T(H)0.80T(フェニル)0.20;T(H)0.50T(フェニル)0.50;T(H)0.35T(フェニル)0.25T(メチル)0.40;T(H)0.30T(フェニル)0.25T(メチル)0.45;T(H)0.25T(フェニル)0.10T(メチル)0.65;及びT(H)0.40T(フェニル)0.10T(メチル)0.50から選択される;(ll)制限(kk)、及び(aa)又は(cc)のいずれか、のいずれか1つを含む、態様1~14のいずれか1つに記載の発明。
本発明は、複数の典型的な非限定の実施形態、及び実施例を開示することにより、例示的な方法で本明細書で説明されている。本明細書で使用される用語は当業者により容易に理解され得る。一部の用語は、例えばIUPAC.Compendium of Chemical Terminology,2nd ed.(the「Gold Book」)(A.D.McNaught and A.Wilkinson.により編集、Blackwell Scientific Publications,Oxford(1997))におけるもののように、IUPACによって定義される。XMLオンライン修正版:http://goldbook.iupac.org(2006-)(M.Nic,J.Jirat,B.Kosataにより編集、A.Jenkins.により更新編集)ISBN 0-9678550-9-8.doi:10.1351/goldbook。IUPACで定義されていない用語は、Hawley’s CONDENSED CHEMICAL DICTIONARY,11th edition,N.Irving Sax&Richard J.Lewis,Sr.,1987(Van Nostrand Reinhold)で定義されてもよい。他の用語を以下に定義する。用語、語句又は表現の異なる意味が、本明細書の他の箇所の異なる説明の文脈から述べられているか又は示されていない限り、本明細書でのこのような用語への任意の言及は、これらの定義を省略するものとする。例えば、濃度が本明細書の他の箇所でモルパーセントとして表現される場合であれば、それはデフォルトの重量パーセントではない。
「あるいは」とは、独立した実施形態を示すものとする。量及び量の比は、重量を基準にしている。冠詞「a」、「an」、及び「the」は各々、1つ以上を指す。態様及び実施形態は、同じ意味で使用される。
「副産物」は、化学反応の二次生成物を意味する。
「触媒」は、担持又は非担持であってもよく、複合触媒であってもなくてもよい、均一又は不均一触媒を意味する。「化学元素」若しくは「原子」、化学元素の族(単数若しくは複数)、又は元素周期表は、2013年5月1日付けのIUPAC版により発行された化学元素、族(単数若しくは複数)、及び元素周期表を意味するものとする。iupac.org/reports/periodic_table/を参照のこと)。「コーティング」は「膜」と同じ意味で用いられ、一次元で制限される材料を意味する。制限された次元は、「厚さ」として特徴付けることができる。比較例におけるような「比較」は、例示を目的とするのみであり、従来技術に由来するものを意味しないものとする。「組成」は、その構成元素の実験式によって定義することができる化学物質を意味する。「パーセント」又は「%」としての「濃度」は、重量%(wt%)を意味し、記載の材料の作製に使用される全成分の総重量に基づくものであり、総重量は100重量%である。「接触させる」は、物理的接触状態にすることを意味する。
ヒドロカルビレン、アルキレン、アルケニレン、アリーレン、及びフェニレンなどの化学名において接尾辞として使用される「エン」は、二価のラジカル基を意味する。「エン」の名称は、それぞれ、炭化水素ジイル、アルカンジイル、アルケンジイル、アレーンジイル、ベンゼンジニルなどの「ジイル」の名称と同じ意味で用いられてもよい。本発明の「実施例」は、特定の発明の実施形態に依拠し、特定の発明の実施形態に対する適切な支持を提供し得る。
「~を含まない(Free of)」は「~が存在しない(lacks)」と同じ意味で用いられ、核磁気共鳴(NMR)分光法(例えば、1H-NMR、13C-NMR、又は29Si-NMR)、又はフーリエ変換赤外線(IR)分光法を用いて検出できない、あるいは、完全に存在しないことを意味する。
「超」又は「>」は、その上側端点として絶対最大値(例えば、100%)、又は場合によっては、絶対最大値がない場合、実際的最大値(例えば、10,000繰り返し単位、又は10,000,000g/mol)を含む範囲又は部分的範囲を包含する。あるいは、上側端点は、絶対最大値未満(例えば、<100%)、又は実際的最大値未満(例えば、<10,000繰り返し単位、又は<10,000,000g/mol)場合がある。
「ヘテロ原子」は、これを含有する有機基における、炭素及び水素以外の任意の原子を意味する。典型的には、ヘテロ原子は、これを含有する有機基における、N、O、S及びP;あるいは、N、O、及びS;あるいは、N又はOから選択される。「ヘテロヒドロカルビル」は、その非置換形態において、少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、炭素原子上にその形式的なラジカルを有する一価の有機基である。「ヒドロカルビル」は、その非置換形態において、炭素及び水素原子のみで構成され、炭素原子上にその形式的なラジカルを有する一価の有機基である。
「発明」又は同等の表現(例えば、本発明[(the present invention)、(this invention)、又は(the invention)]は、代表的な発明の実施形態、又は態様を意味するものであり、発明の範囲を過度に限定するために使用すべきではない。「IUPAC」は、国際純正応用化学連合(International Union of Pure and Applied Chemistry)(IUPAC Secretariat,Research Triangle Park,North Carolina,USA)である。
「未満」又は「より小さい(<)」は、その下側端点として絶対最小値(例えば、ゼロ(0))、又は場合によっては絶対最小値がない場合、実際的最小値(例えば、ゼロより大きい(>0))を含む範囲又は部分的範囲を包含する。あるいは、下側端点は、絶対最小値より大きい(例えば、>0%)場合がある。「<10重量%の濃度」は、>0から<10重量%であることを意味する。
要素A、B、及びCのマーカッシュ群は、「A、B、及びCから選択される要素」、「A、B、及びCからなる群から選択される要素」、又は「要素A、B、又はC」として同等に表現することができる。マーカッシュ群は、属及びその亜属、属及びその特定の要素、又は亜属及びその特定の要素を含んでもよく、その各々が、個々に又は集合的に依拠してもよい。「~であってもよい、~し得る、~ことができる(may)」は、選択肢を与えるものであり、必須ではない。分子の「分子質量」とは、モル当たりのグラムで表される分子量(MW)を意味する。ポリマーの「平均分子質量」とは、グラムで表される重量平均分子量(Mw)を意味する。MWは、標準ポリスチレンを用いるゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて測定される。
「動作可能な(operative)」は、機能的に有効であることを意味する。例えば、「動作可能な接触」とは、機能的に有効に接触することを含み、例えば、修正、コーティング、接着、封止、又は充填に関するものである。動作可能な接触は、直接物理的に接触すること、あるいは、その意図した目的に対して有効であるならば、間接的に接触することであり得る。「任意選択的に」とは、存在しない(又は除外される)か、あるいは存在する(又は含まれる)ことを意味する。「有機基(Organic group及びorgano group)」は、同じ意味で用いられ、非置換であっても又は置換されていてもよく、1つ以上の炭素原子及び水素原子(非置換の場合)、並びに任意選択的にヘテロ原子で構成される。有機基は、一価(自由原子価が1)であっても、二価(自由原子価が2)であっても、三価(自由原子価が3)であっても、又は四価(自由原子価が4)であってもよく、それぞれ1価、2価、3価、及び4価とも呼ばれる。有機基の各々の形式的なラジカルは、独立して、炭素原子上、又は、存在する場合は、任意選択的にヘテロ原子上に存在してもよい。「オルガノヘテリル」は、その非置換形態において、少なくとも1つのヘテロ原子を有し、ヘテロ原子上にその形式的なラジカルを有する一価の有機基である。「オルガニル」は、その非置換形態において、少なくとも1つのヘテロ原子を任意選択的に含有してもよく、又は含有しなくてもよく、炭素原子上にその形式的なラジカルを有してもよい一価の有機基である。
材料の特性(例えば、粘度)は、23摂氏度(℃)及び101.3キロパスカル(kPa)で行われる、これを測定するための試験方法を用いて、デフォルトで測定されるる。「精製する」とは、所望の成分の濃度を上昇させること(最高で≦100%)を意味する。
本明細書に依拠した範囲は、範囲内の端点並びに整数及び/又は小数値を含む全ての範囲及び部分的範囲を表現し意図している。範囲若しくは部分的範囲の端点の間の開示された端点又は開示された個々の数値は、特定の発明の実施形態に依拠し、特定の発明の実施形態に対して適切な支持を提供し得る。「残留物」とは、後に残された部分、例えば、蒸留後の釜残渣を意味する。
「分離」とは、物理的に離れるようにすること、したがって結果として、もはや直接接触していないことを意味する。「シラノール含有量」とは、ケイ素結合ヒドロキシル基(Si-OH)の濃度を意味し、モルパーセント(mol%)で表され、ケイ素-29核磁気共鳴(29Si-NMR)によって決定される。「シリコーン」は、直鎖状のポリオルガノシロキサン巨大分子、分枝状のポリオルガノシロキサン巨大分子、並びに直鎖状及び分枝状のポリオルガノシロキサン巨大分子の混合物を包含する。分枝状ポリオルガノシロキサン巨大分子は、シルセスキオキサン樹脂及び樹脂直鎖状ポリオルガノシロキサン巨大分子を含む。シリコーンは、M単位、D単位、T単位、及びQ単位のうちの1つ以上で構成されてもよく、ここで、M単位は式RM
3SiO1/2のものであり、D単位は式RD
2SiO2/2のものであり、T単位は式RTSiO3/2のものであり、及びQ単位は式SiO4/2のものであり、各RM、RD、及びRTは独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、又は有機基である。「SiOZ」は、全てのケイ素結合ヒドロキシル基及びケイ素結合O-ヒドロカルビル基を包含する。例えば、SiOH基、SiOメチル基、SiOエチル基、SiOプロピル基、及びSiO(1-メチルプロピル)基である。有機基上の「置換基」は、「SUB」として示されてもよく、ここで、各SUBは、独立して、ハロゲン原子、-NH2、-NHR、-NR2、-NO2、-OH、-OR、オキソ(=O)、-CN、-C(=O)-R、-OC(=O)R、-C(=O)OH、-C(=O)OR、-SH、-SR、-SSH、-SSR、-SC(=O)R、-SO2R、-OSO2R、-SiR3、及び-Si(OR)3[式中、各Rは、独立して、非置換(C1~C30)ヒドロカルビルである。]である。ハロゲン原子は、F、Cl、Br、又はI、あるいは、F、Cl、又はBr、あるいは、F又はCl、あるいは、F、あるいは、Clである。「基板」とは、その上に材料を受け入れることができる、少なくとも1つの表面を有する物を意味する。
「それの(Thereof)」とは、言及している直前の要素、部材、特徴、限定、リスト、又は群を指すものとし、それらにより置き換えて変更してもよい。
「媒質(vehicle)」は、その中で溶解し得るかどうかに関わらず、他の材料の担体、受容媒体、分散剤、希釈剤、上清、又は溶媒として機能する液体を意味する。
任意の化合物は、天然存在比の同位体、同位体濃縮した同位体、及びそれらの混合物を含む、これらの全ての「同位体形態」を含む。いくつかの態様では、同位体形態は、天然存在比の同位体、あるいは同位体濃縮した同位体である。同位体濃縮した形態のケイ素含有化合物は、天然の存在比を超える量の重水素、三重水素、29Si、30Si、32Si、又はこれらの任意の2種以上の組み合わせを有する。同位体濃縮した形態の化合物は、同位体濃縮した化合物又はそれから作製若しくは合成された同位体濃縮された材料の検出が有用である追加の用途を有し得る。このような使用の例は、医学研究及び偽造防止用途である。
いくつかの態様では、本明細書に記載された任意の組成は、その化学元素が明確に除外されている場合を除いて、元素周期表の第1属~第18属の化学元素のうちの任意の1つ以上を含有してもよい。Si、O、H、C、N、ハロゲン、本明細書の他の箇所に記載された任意の触媒の金属などといった特定の元素は典型的には排除されない。上述以外に、典型的に排除される化学元素は、(i)ランタノイド及びアクチノイドを含む第2属~第13属及び第18属のいずれか1つからの少なくとも1つの化学元素;(ii)ランタノイド及びアクチノイドを含む、元素周期表の第3周期~第6周期のいずれか1つからの、少なくとも1つの化学元素;又は(iii)Si、O、H、C、N、ハロゲン、本明細書の他の箇所に記載された任意の触媒の金属を除外しないことを除いて、(i)及び(ii)の両方、であってもよい。いくつかの態様では、任意の組成は、本明細書の他の箇所に記載された任意の触媒の金属を除いて、以下の原子番号:2、3、4、5、7、10、11、12、13、15、16、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、及び116のいずれか1つを有する化学元素を含有しない。
本明細書で使用するとき、「質量的に安定な(mass stable及びmass-stable)」は、全般的に、熱エージング温度(例えば、460℃~700℃)で加熱された後の出発重量に対する質量(重量)の損失又は増大に対する耐性を意味し、ここで重量の損失又は増大は、化学的メカニズムによるものであり、溶媒などの揮発性非シロキサン残留物の蒸発などの物理的現象によるものではない。化学的メカニズムは、酸化、ガス放出、解重合、ランダムな鎖の切断、側基脱離、又はこれらの任意の2つ以上の組み合わせを含み得る。エージングしたシルセスキオキサンポリマーの質量の増大又は損失とは、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの所与の測定された出発重量(例えば、1.000グラム(g))と比較して、又は式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーを硬化することによりそれから作製される式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーの所与の測定された出発重量(例えば、1.000g)と比較して、それから調製された(式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーを熱エージングすることにより)エージングしたシルセスキオキサンポリマーの重量は、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの所与の出発重量に対して、又はそれから作製される式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーの出発重量に対して、より高い重量(質量増大)又はより低い重量(質量損失)を有することを意味する。例えば、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの1.000gの出発重量と比較して、2%の質量増大により、1.0200gの終了重量のエージングしたシルセスキオキサンポリマーを得る一方、15%の質量損失により、0.8500gの終了重量のエージングしたシルセスキオキサンポリマーを得る。
質量的に安定であることにより、いくつかの実施形態では、本発明は、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの硬化、及びその後の熱エージングにより作製されたエージングしたシルセスキオキサンポリマーが、かかるプレポリマーの質量の少なくとも85%を保持し、かつ質量の増大は2%未満であることを意味する。即ち、エージングしたシルセスキオキサンポリマーからの任意の質量損失は、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの出発重量の>0%から15%以下に制限される。また、エージングしたシルセスキオキサンポリマーに対する質量の増大は、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの出発重量の>0%から2%以下に制限される。言い換えれば、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの硬化、及びその後の熱エージングにより作製されたエージングしたシルセスキオキサンポリマーの質量は、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの出発質量の0.85~1.02倍である。式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの乾燥形態(例えば、150℃でのソフトベーク後)の質量が、硬化することによりそれから調製される式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーの質量に等しいので、上述の質量の増大及び損失の制限は、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーの出発重量に関し、エージングしたシルセスキオキサンポリマーにも適用される。したがって、エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、質量が増大又は損失しなくてもよく(増大又は損失が0%である)、あるいは>0%から2質量%以下で増大してもよく、あるいは>0%から5質量%未満を損失し得る。あるいは、エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、>0%から10質量%未満、あるいは>0%から<7質量%を損失し得る。いくつかの実施形態では、エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、>0%から<6質量%、あるいは>0%から<5質量%、あるいは>0%から<4質量%、あるいは>0%から<3質量%、あるいは>0%から≦2質量%を損失する。いくつかの実施形態では、エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、少なくとも1.9質量%、あるいは少なくとも2.0質量%を損失する。この低い程度の質量損失は、エージングしたシルセスキオキサンポリマーを、航空宇宙及び半導体デバイス製造産業において出現している高温製造方法に使用するのに適している。
エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、液体フルオリドストリッパ中で完全にかつ容易に剥離可能であることを維持する。完全にかつ容易に剥離可能であることにより、本発明は、基板(例えば、ポリシリコンウエハ)上に配置されたエージングしたシルセスキオキサンポリマーの1マイクロメートル厚の膜が、本発明の液体フルオリドストリッパ中でかかる膜を浸漬することにより、20分以内に基板から完全に除去され得ることを意味する。本発明のストリッパは、酢酸、ジメチルアセトアミド、アンモニウムフルオリド、及び水を含み、ここでアンモニウムフルオリドの濃度は、液体フルオリドストリッパの総重量に対して少なくとも4重量%(wt%)~15wt%であり、液体フルオリドストリッパの温度は60℃、あるいは23℃である。したがって、エージングしたシルセスキオキサンポリマーを基板上のコーティングとして使用する際に、本発明の液体フルオリド系ストリッパを使用してコーティングを基板から完全に剥離することができる。更に、本発明のストリッパは、典型的には、脱着可能な材料で処理又は操作される必要がある電子部品及び光学部品と適合する。このような部品の例は、光電セル又は光起電セル(一括して、光(起)電セル)、ダイオード、トランジスタ、及び集積回路である。したがって、エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、ストリッピングを必要とする半導体デバイス製造プロセスに加えて、エージングしたシルセスキオキサンポリマーを電子デバイス内に残存させることができる電子デバイスを作製するための製造プロセスに好適である。
エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、電子デバイス処理及び製造操作などの高温(460℃~700℃)処理及び製造操作にて使用されてもよい。エージングしたシルセスキオキサンポリマーは剥離能を維持するため、脱着可能ポリマーとして、あるいは犠牲ポリマーとして、あるいはリワーク型ポリマーとして使用され得る。エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、航空宇宙及び半導体デバイス産業などの産業における用途を含む、多くの利用を見出す。デバイスの形状寸法が減少するにつれ、又は性能要件が増大するにつれて、これらの産業は460℃~700℃の高温範囲での処理及び製造操作の実施に移り得るが、エージングしたシルセスキオキサンポリマーの性能は既存の脱着可能ポリマーの性能とは区別される。
エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、700℃よりも高い熱エージング温度、例えば>700℃から1000℃以下にて質量的に安定な生成物として作製されてもよい。したがって、エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、電子デバイス処理及び製造操作などの超高温(>700℃から1000℃以下)処理操作及び製造操作にて使用されてもよい。
「エージングしたシルセスキオキサンポリマー」は、一般に、高温、例えば460℃~700℃の「熱エージング温度」で、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーを加熱すると、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーにおいて生じる熱エージングプロセスの生成物である。エージングは、熱エージング時間である少なくとも1分間、典型的には10~120分間という期間の間、進行し得る。いくつかの実施形態では、エージングしたシルセスキオキサンポリマーがその熱エージング温度で質量平衡(即ち一定重量、即ち±0.1重量%)に達するまで、熱エージング時間にわたり加熱が行われる。得られたエージングしたシルセスキオキサンポリマーは、その熱エージング温度で、当然、より低い熱エージング温度以下(例えば、23℃又は100℃)で「質量的に安定な生成物」であると特徴付けられる。エージングしたシルセスキオキサンポリマーが特定の熱エージング温度で質量的に安定な生成物になったことを判定するのは、単に、これらの2つの逐次的な重さが同じになるまで、エージングしたシルセスキオキサンポリマーを定期的に秤量すればよい。その他の実施形態では、エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、エージングしたシルセスキオキサンポリマーが、「エージングした生成物」であると特徴付けられるように、そのエージング温度での質量平衡を達成するには不十分な(即ち一定重量、即ち±0.1重量%を達成するには不十分な)時間の間、熱エージング温度で熱エージングされている。エージングしたシルセスキオキサンポリマーが特定の熱エージング温度でエージングした生成物であることを判定するには、単に、同じではないこれらの2つの逐次的な重さを測定すればよい。いくつかの実施形態では、エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、全て本明細書に記載された熱エージング温度のいずれか1つで、質量的に安定な生成物、あるいはエージングした生成物である。
いくつかの実施形態では、エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーを熱エージングすることによる質量的に安定な生成物である。典型的には、エージングしたシルセスキオキサンポリマーが質量平衡を達成し、これにより質量的に安定な生成物として特徴付けられるのに十分な熱エージング時間は、10~120分、あるいは10~90分、あるいは10~75分、あるいは10~60分、あるいは10~30分、あるいは20~120分、あるいは20~90分、あるいは20~75分、あるいは20~60分、あるいは30~120分、あるいは30~90分、あるいは30~60分、あるいは2~15分、あるいは5~30分、あるいは5~20分である。
本明細書で使用する場合、用語「熱エージング」は、一般に、熱エージング温度である460℃~700℃で、熱エージング時間である少なくとも1分という期間の間、材料を加熱することを含むプロセスを意味する。材料が質量平衡(即ち一定重量、即ち±0.1wt%)を達成するために、熱エージング時間が十分である場合、材料はその熱エージング温度で質量的に安定であり、これにより、質量的に安定な生成物として特徴付けられると言われる。その達成に到達する前、材料はエージングした生成物であると言われる。熱エージングプロセスは、ポリマーの光誘起エージング、物理的エージング、及び結晶化などの他の種類のエージングプロセスとは異なる。熱エージングプロセスは、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーに対するエージングしたシルセスキオキサンポリマーの物理的及び/又は化学的構造、並びに特性値における変化をもたらす。エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーとは、重量平均分子量、構造、架橋密度、嵩密度、シラノール含有量、SiH含有量、ストリッパ中での溶解度、又はこれらの任意の2つ以上の組合わせなど、質量以外の少なくとも1つの特性で異なる。本発明の熱エージングは、空気、二酸化炭素、分子状窒素、アルゴン若しくはヘリウムのガスなどの不活性雰囲気、又はこれらの混合物などの任意の相溶性のある雰囲気中で実施してもよい。雰囲気は、シルセスキオキサンポリマーに対して静止していても流動していてもよい。熱エージングは、紫外線及び/又は可視光の非存在下で行ってもよい。
「硬化したシルセスキオキサンポリマー」は、一般に、シルセスキオキサン樹脂プレポリマー(例えば、式(I)のもの)をより高いモル質量のポリマーに変換し、次いでネットワークに変換する硬化プロセスによって作製されたポリマーを意味する。硬化したシルセスキオキサンポリマー(例えば、式(I)のもの)を使用する非発明の用途において、硬化したシルセスキオキサンポリマーは最終的なポリマーであると考えられる。しかし、本発明において、硬化したシルセスキオキサンポリマー(例えば、式(I)のもの)は、エージングしたシルセスキオキサンポリマーを作製するのに有用な中間体ポリマーであると考えられる。硬化プロセスは、硬化したシルセスキオキサンポリマーが得られるまで、シルセスキオキサン樹脂プレポリマー(例えば、式(I)のもの)を硬化温度で加熱して硬化させることを含んでも良い。加熱は、熱エージングとは別個に実施してもよく、又はin situでの硬化のための低い加熱と、それに続く熱エージング用のより高い加熱と、を含む加熱プロファイルの予備的かつ連続的な部分として実施してもよい。しかし、加熱を含む硬化プロセスは、使用される温度、使用される加熱時間、使用される材料、及び製造される生成物の観点から、熱エージングプロセスとは異なる。例えば、150℃~300℃の硬化温度は、本明細書の他の箇所に記載されている460℃~700℃の熱エージング温度とは全く異なり、硬化時間は、典型的には、熱エージング時間よりも短い。また、硬化プロセスに硬化剤を用いて硬化速度又は硬化度を高めてもよく、一方で熱エージングプロセスには硬化剤が無くてもよい。あるいは、硬化剤をシルセスキオキサン樹脂プレポリマー(例えば、式(I)のもの)と接触させて用いてもよいその他の実施形態では、硬化したシルセスキオキサンポリマー(例えば、式(I)のもの)が作製された後には、硬化剤が効果を有しなくてもよく、エージングしたシルセスキオキサンポリマーを作製するために使用される熱エージングプロセスにおいて、副構成成分であってもよい。これらの実施形態で使用してもよい硬化剤の例は、シルセスキオキサンの縮合硬化を促進するのに有用な、スズ塩及びチタンアルコキシドなどの縮合触媒である。硬化プロセスはまた、ポリマーの光誘起エージング、物理的エージング、及び結晶化などの他の種類のプロセスとは異なる。
「プロピレングリコールメチルエーテルアセテート」、「1,2-プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート」及び「PGMEA」は、式CH3O-CH2CH(CH3)-OC(=O)CH3の分子又は分子群を意味する。CAS番号:108-65-6。
「テトラメチルアンモニウムヒドロキシド」又は「TMAH」は、式N(CH3)4OHの分子又は分子群を意味する。
具体的には、上記の定義を参照すると、シルセスキオキサン樹脂プレポリマーは、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーであり、それから作製される硬化したシルセスキオキサンポリマーは、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーであり、エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーから作製されるエージングしたシルセスキオキサンポリマーである。式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマー及びエージングしたシルセスキオキサンポリマーはまた、独立してコポリマーであると特徴付けられてもよい。エージングしたシルセスキオキサンポリマーはまた、式(I)によって規定されてもよい。式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマー、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマー、及びのそれから作製される式(I)エージングしたシルセスキオキサンポリマーの説明において、式(I)は縮合式(「半構造式」)であるため、本発明のシルセスキオキサン材料が構造において互いに異なっていたとしても、式(I)は、本発明のシルセスキオキサン材料の各々を説明するのに、独立して使用されてもよい。縮合式とは、縮合式が一部であるが完全な構造的情報を伝えるという点で、構造的な詳細の観点から、完全な構造式(正確構造)及び実験式(原子及び化学量論についてのリスト)の間に分類される化学式の種類である。式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーを式(I-srp)のものであるとして、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーを式(I-cps)のものであるとして、及びエージングしたシルセスキオキサンポリマーを式(I-aps)のものであるとして参照することにより、本発明の式(I)のシルセスキオキサン材料を区別することは好都合であり得る。
本発明のシルセスキオキサン材料の各々は、独立して、その同位体組成によって更に定義されてもよい。このような本発明のシルセスキオキサン材料は、各々、天然存在比の同位体形態、あるいは同位体濃縮した形態、あるいは前述の形態の混合物であってもよい。本発明のシルセスキオキサン材料の化合物の同位体濃縮した形態には、天然存在比を超える量の重水素、三重水素、29Si、30Si、32Si、又はこれらのいずれか2種以上の組み合わせを含む形態が挙げられる。本明細書で記述された本発明のシルセスキオキサン材料の使用に加えて、本発明のシルセスキオキサン材料の同位体濃縮した形態は、同位体濃縮した本発明のシルセスキオキサン材料又はそれから作製された同位体濃縮したケイ素材料(例えば、膜)の検出が有益である用途において有用であり得る。かかる用途の例は、医学研究及び偽造防止用途である。異なる同位体組成を有する本発明のシルセスキオキサン材料は、少なくとも1つの特性、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。更に、特定タイプの本発明のシルセスキオキサン材料の同位体濃縮した形態は、少なくとも1つの特性、機能及び/又は用途において、本発明のシルセスキオキサン材料の同一タイプの天然存在比の形態又はその他の同位体濃縮した形態と異なっていてもよい(例えば、エージングしたシルセスキオキサンポリマーの同位体濃縮した形態は、少なくとも1つの特性、機能及び/又は用途において、エージングしたシルセスキオキサンポリマーの天然存在比の形態とは異なっていてもよい)。
本発明のシルセスキオキサン材料(式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマー、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマー、及び式(I)のエージングしたシルセスキオキサンポリマー)は、構造に加えて、少なくとも1つの特性、機能、及び/又は用途において互いに異なる。このような異なる特性の例は、熱安定性(加熱時の質量安定性)、接着性、有機溶媒(例えば、トルエン又はメチルエチルケトン)中の溶解度、及び液体ストリッパ中の可剥性のうちの1つ以上である。一般に、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーは有機溶媒及び任意の液体ストリッパに可溶であり、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーは任意の液体ストリッパに少なくとも可溶であり、エージングしたシルセスキオキサンポリマーは有機溶媒に不溶であり、ほとんどの商用液体ストリッパ(例えば、ACT(登録商標)NE-89又はCC1)に不溶であり、本発明の液体フルオリドストリッパに可溶である。ACT(登録商標)NE-89は、エッチング残留物の除去、及び汚染された酸化物表面の枚葉式でのエッチング制御に使用するために配合されたフルオリド含有ストリッパであり、Air Products and Chemicals,Inc.(Allentown,Pennsylvania,USA)から入手可能である。CC1はContact Clean 1であり、ATMI,an Entegris companyから入手可能である。
式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーを、適切な溶媒(例えばヘプタン又はトルエンなどの炭化水素のような非プロトン性溶媒など)中でトリクロロシラン(HSiCl3)、アリールトリクロロシラン(ArSiCl3)、及び任意選択的にアルキルトリクロロシラン(AlkSiCl3)の制御された加水分解により、作製、即ち合成して、溶媒中の式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの第1混合物を得てもよい。加水分解は、温度、水の量及び濃度、並びに米国特許第7,756,384号(B2)、及び同第8,653,217号(B2)に記載されているような溶媒を調節することにより制御される。いくつかの実施形態では、溶媒は3.5%の水を含有するPGMEAである。式(I)の合成したシルセスキオキサン樹脂プロポリマーは、(HSiO3/2)x(RArSiO3/2)y(RAlkSiO3/2)z[式中、RAr、RAlk、並びに添字x、y、及びzは上記に定義されるとおりである。]を含む。式(I)における(HSiO3/2)x単位、(RArSiO3/2)y単位、及び(RAlkSiO3/2)z単位のモル分率は、制御された加水分解において使用されるHSiCl3、ArSiCl3、及び任意のAlkSiCl3の相対モル量に等しくなる。制御された加水分解は、望ましくは、式(I)の均一なシルセスキオキサン樹脂プレポリマーを与える単相反応である。例えば、式(HSiO3/2)x(RArSiO3/2)yのものである式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの一実施形態は、米国特許第7,756,384(B2)号にて開示されている合成手順に従って合成してもよく、式(HSiO3/2)x(RArSiO3/2)y(RAlkSiO3/2)z[式中、zは>0である。]のものである式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの一実施形態は、米国特許第8,653,217(B2)号の手順に従って合成してもよい。
所望であれば、式(I)の合成したシルセスキオキサン樹脂プレポリマーは、そのままの形態で単離されるか、又は異なる溶媒で再配合されてもよい。例えば、所望であれば、上記第1混合物から、溶媒、並びに任意の未反応のトリクロロシラン、及び揮発性副産物などの揮発物を蒸発させて、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーを乾燥又は単離した固体として得る。
あるいは、所望であれば、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの上述の合成で使用される溶媒を、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーを基板上に塗布する際に好適な溶媒と置き換える(例えば、溶媒交換により)。好適な溶媒をコーティングすることには、PGMEAなどの好適な溶媒をスピンコーティングすることを含む。例えば、合成にトルエンが使用される場合、第1の混合物のトルエンをPGMEAに溶媒交換し、PGMEA中の式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの第2の混合物を得る。溶媒交換は、第1混合物にPGMEAを添加して中間混合物を得て、中間混合物から全てのPGMEAを蒸発させることなく中間混合物からトルエンを蒸発させて、第2混合物を得ることによって行ってもよい。第2の混合物は、トルエンを含んでいなくてもよく、PGMEA中に分散した式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーを含んでもよい。第2の混合物の好都合な実施形態は、PGMEA中に10重量%の式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーを含有してもよい。PGMEA中の式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの濃度は、追加のPGMEAを添加又は第2混合物からPGMEAの一部を蒸発させることによって、所望のとおりに調整してもよい。第2混合物を、0.2μmの濾過膜を用いて濾過して、PGMEA中の式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマー溶液を得てもよい。第2混合物を、蒸発工程にかけて、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーを乾燥又は単離された固体として得てもよい。
いくつかの実施形態では、第1又は第2の混合物に適用される蒸発工程は、第1の混合物を、揮発物を蒸発させるのに十分な120℃~150℃などといった温度で短時間(例えば30秒~5分、例えば1分)加熱することを含むソフトベーク工程であってもよい。ソフトベークは、半導体デバイス製造技術において一般に使用される。ソフトベーク工程により、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの乾燥固体膜を得ることもできる。あるいは、蒸発は、第1若しくは第2の混合物に真空を適用すること、又は加熱してそこに真空を適用することの両方を含んでもよい。
式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーは、本明細書に記載されるように、150℃~300℃の温度(「硬化温度」)で、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの単離又は乾燥形態を加熱することにより調製してもよい。加熱は、硬化温度に設定されたホットプレート上、硬化温度に設定された二重炉などのオーブン内、又は硬化温度を得るのに十分に強力な赤外線ランプ若しくはレーザーを用いるなどの任意の好都合な手段により実施されてもよい。いくつかの実施形態では、硬化温度は、150℃~250℃、あるいは170℃~210℃、あるいは180℃~200℃であってもよい。
エージングしたポリマー性シルセスキオキサンは、460℃~700℃の温度(「熱エージング温度」)で、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーの単離又は乾燥形態を加熱することにより調製してもよい。いくつかの実施形態では、熱エージング温度は、460℃~650℃、あるいは460℃~640℃、あるいは460℃~600℃、あるいは460℃~550℃、あるいは460℃~500℃、あるいは500℃~<700℃、あるいは500℃~650℃、あるいは500℃~600℃、あるいは600℃~700℃、あるいは550℃~650℃であってもよい。加熱は、熱エージング温度に設定されたホットプレート上、熱エージング温度に設定された二重石英炉などのオーブン内、又は十分に強力な赤外線ランプ若しくはレーザーを用いて熱エージング温度を得るなどの任意の好都合な手段により実施されてもよい。
熱エージングは、硬化温度範囲及び熱エージング温度範囲を含む同じ熱プロファイルの一部として硬化の直後に続いてもよい。熱プロファイルは、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーを室温(例えば、23℃)から熱エージング温度まで制御された加熱速度(例えば、10℃~20℃/分)で加熱することと、硬化温度範囲を通過することと、熱エージング温度範囲に達する前に式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーを製造することと、を含んでもよい。あるいは、硬化を実施してもよく、得られた式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーは、貯蔵温度(例えば、-40℃~40℃)でしばらくの間(例えば、1分~1年)貯蔵してもよく、次いで式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーを熱エージングして、エージングしたシルセスキオキサンポリマーを得てもよい。例えば、半導体ウエハなどの基板上で式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーのコーティングを調製することと、コーティング基板の式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーを熱エージングプロセスにかける前に、得られたコーティング基板をしばらくの間貯蔵して、基板(例えば、半導体ウエハ)上に配置されたエージングしたシルセスキオキサンポリマーのコーティングを含む熱エージングしたコーティング基板を得ることと、が好都合であり得る。硬化及び熱エージングプロセスは、同一又は異なる加熱装置を用いて、同一又は異なる場所で実施してもよい。
本発明のシルセスキオキサン材料は、MEMSの電子デバイスの製造における1つ以上の加工工程において、又はMEMSの電子デバイスを用いた1つ以上の操作条件において、使用してもよい。エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、フォトレジスト材料下での裏面ARC(BARC)などの反射防止コーティング(ARC)、仮固着用接着剤(TBA)若しくは永久的固着用接着剤(PBA)、LED用の光学カプセル化用材料などのカプセル化用材料、熱絶縁物などの境界面層、又は電気インバータ及びコンバータ用などの注型封入部材として有用である。エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、電子部品又は光学部品上の適所で調製してもよい。
BARC法は、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマー及び媒質を含むコーティング組成物を、半導体ウエハに塗布すること(例えば、スピンコーティングにより)、式(I)のプレポリマーを硬化することなくウエハから媒質を除去すること(例えば、ソフトベーキングにより)、ウエハ上の(乾燥した)得られたソフトベークした式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーを硬化して式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーのコーティングを得ること、及び式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーを熱エージングして半導体ウエハ上に配置されたエージングしたシルセスキオキサンポリマーを含むBARCを得ること、を含む。その後、フォトレジスト材料を、例えば、BARC上に塗布、パターン化、エッチング、又は展開してもよい。
TBA法は、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマー及び媒質を含むコーティング組成物を、半導体ウエハに塗布すること(例えば、スピンコーティングにより)、式(I)のプレポリマーを硬化することなくウエハから媒質を除去すること(例えば、ソフトベーキングにより)、ウエハ上の(乾燥した)得られたソフトベークした式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマー上に支持基板を配置して、ウエハと支持基板との間に配置された式(I)のソフトベークしたプレポリマーを有する積層体を得ること、積層体中の式(I)のプレポリマーを硬化して積層体中の式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーを得ること、及び式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーを熱エージングして、支持基板と半導体ウエハとの間に配置されたエージングしたシルセスキオキサンポリマーを含むエージングした積層体を得ること、を含む。エージングした積層体を加工(例えば、その上にダイシング又はICを組み込んで)して加工積層体を得た後、加工積層体を液体フルオリドストリッパに浸漬することにより、支持基板を加工積層体の半導体ウエハから分離することができる。
カプセル化用材料、境界面層、又は注型封入部材の方法は、公知のカプセル化、積層化、又は注型封入(potting)方法に従って、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマー、又は式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーを使用することができ、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーを適所で熱エージングして、カプセル化用材料、境界面層、又は注型封入部材としてエージングしたシルセスキオキサンポリマーを得ることができる。適所でのエージングは、光(起)電セル又はLEDランプ(カプセル化用材料)上で、2つの電子部品間(境界面層)で、又はインバータ若しくはコンバータ(注型封入部材)の電気的な構成要素を収容するハウジング内で行うことができる。
エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、高温プロセス(例えば、460℃~700℃の温度で行われる加工工程)を必要とする製造条件又は操作条件において特に有用である。このような高温プロセスの例は、高温材料堆積プロセス及び高温処理プロセスである。高温材料堆積の例は、CVD前駆体を使用した化学蒸着(CVD)、又はALD前駆体を使用した原子層堆積(ALD)であり、全てが450℃を上回る温度で実施される。例えば、半導体材料(元素状ケイ素、炭化ケイ素又は窒化ケイ素など)を基板上に堆積させるのは、CVD又はALDプロセスである。高温処理プロセスの例は、アニーリング、アッシング、又はエッチングであり、全てが450℃を上回る温度で実施される。例えば、ポリシリコンウエハ上に窒化ケイ素層をアニーリングし、半導体デバイスから除去するために犠牲ポリマーをアッシングし、又は半導体材料上に誘電体層を形成するために半導体デバイスの表面をプラズマ処理若しくはエッチングする。プラズマ処理工程は、酸素プラズマ処理(酸素プラズマエッチング)を含んでもよい。式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーは、エージングしたシルセスキオキサンポリマーを作製するのに有用であり、この作製は、高温プロセスより前の独立したものであってもよく、又は高温プロセス中の開始部分(in situ)であってもよい。式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーは、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーの作製に有用である。
式(I)の添字x、y、及び任意のzは、エージングしたシルセスキオキサンポリマー中のH原子に対して、R基(RAr+任意のRAlk)の濃度を最終的に調整するように選択される。式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーにおいて、添字xが0.20未満の場合、及びしたがって添字y+z(zが>0の場合)の合計が0.80より大きい場合、得られた非発明のエージングしたシルセスキオキサンポリマーの熱安定性は、望ましくないことに低下することを本発明者らは発見した。また、本発明の液体フルオリドストリッパ中の得られた非発明のエージングしたシルセスキオキサンポリマーの可剥性は、望ましくないことに低下し得る。エージングしたシルセスキオキサンポリマー中のH原子に対するR基(RAr+任意のRAlk)の濃度は、上述した半導体デバイス製造に望ましいように、有利にもその酸素プラズマエッチングを可能にする。
高温プロセスにおける使用に加えて、本発明のシルセスキオキサン材料は、電子デバイス及びのMEMSの作製に関する低温プロセスにおいて有用である。例えば、本発明のシルセスキオキサン材料は、以下の加工工程:本発明のシルセスキオキサン材料(例えば、エージングしたシルセスキオキサンポリマー)上にフォトレジスト材料を堆積させて、半導体部品上に配置された本発明のシルセスキオキサン材料上に配置されたフォトレジスト材料の層を含む積層体を得ること;リソグラフィにより積層体のフォトレジスト材料の層をパターニングして、半導体部品上に配置された本発明のシルセスキオキサン材料(例えば、エージングしたシルセスキオキサンポリマー)上に配置されたフォトレジスト材料のパターン化層を含む第1パターン化積層体を得ること;第1パターン化積層体をエッチングして、半導体部品上に配置された本発明のシルセスキオキサン材料(例えば、エージングしたシルセスキオキサンポリマー)のパターン化層上に配置されたフォトレジスト材料のパターン化層を含む第2パターン化積層体を得ること;第2パターン化積層体において半導体材料を堆積させて、半導体部品上に配置された充填パターンを得ること;充填パターンをエッチバック又は平坦化して、エッチング又は平坦化された充填パターンを得ること;並びに本発明のシルセスキオキサン材料(例えば、エージングしたシルセスキオキサンポリマー)のパターンを半導体材料で充填し、少なくとも本発明のシルセスキオキサン材料(例えば、エージングしたシルセスキオキサンポリマー)を平坦化し、本発明のシルセスキオキサン材料(例えば、エージングしたシルセスキオキサンポリマー)の少なくとも一部をストリッピングすること、の任意の1つ以上において使用されてもよい。本発明のシルセスキオキサン材料が、エージングしたシルセスキオキサンポリマーである場合、ストリッピングは、本発明の液体フルオリドストリッパを使用することを含んでもよい。
エージングしたシルセスキオキサンポリマーを含有する任意の製造物品又はデバイスは、本発明の想到される実施形態である。物品又はデバイスは、本明細書においては、熱エージングした物品又は熱エージングしたデバイスと称してもよい。熱エージングした物品又はデバイスのエージングしたシルセスキオキサンポリマーは、先に記載された、エージングした生成物、あるいは質量的に安定な生成物であってもよい。
エージングしたシルセスキオキサンポリマー、及びエージングしたシルセスキオキサンポリマーではない少なくとも1つの追加の構成成分を含む任意の配合物もまた、本発明の想到される実施形態である。いくつかの実施形態では、配合物は、エージングしたシルセスキオキサンポリマーを粒子形態で含有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の構成成分は、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマー、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマー、液体媒質、オルガノシロキサンモノマー若しくはオリゴマー、シラン、非樹脂性ポリオルガノシロキサン、有機ポリマー、粒子状炭素、又は粒子状の無機固体を含む。液体媒質の例は、25℃で50~500センチストークスの動粘度を有するシリコーン流体、及びトルエン、PGMEA、メチルエチルケトン、エチルアセテート、キシレンなどの有機溶媒である。オルガノシロキサンモノマー又はオリゴマーの例は、テトラアルコキシシラン、ヘキサアルキルジシロキサン、及びオクタメチルシクロシロキサンである。シランの例は、テトラメチルシラン、モノシラン、ヘキサクロロジシランなどである。非樹脂性ポリオルガノシロキサンの例は、ポリジメチルシロキサン、及びポリ(メチル、フェニル)(ジメチル)シロキサンである。有機ポリマーの例は、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリカーボネートなどである。粒子状無機固体の例は、顔料(例えば、TiO2)、セラミックス、シリカ、シリケート、及び元素周期表の第1属~第13属のいずれか1つの金属のアルコキシドである。粒子状炭素の例は、活性炭、ダイヤモンド、カーボンナノチューブ、グラフェン、及びグラファイトである。配合物のエージングしたシルセスキオキサンポリマーは、先に記載された、エージングした生成物、あるいは質量的に安定な生成物であってもよい。実施形態については、先に説明した。
所望であれば、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーは、典型的には20℃~50℃の比較的低温にて制御された加水分解条件下で、HSiCl3、及びArylSiCl3、並びに任意選択的にAlkSiCl3などのシランモノマーから合成してもよい。
本発明は、高温の用途と無関係の更なる用途を有してもよい。
本発明は、技術的及び非技術的な利点を有する。有利には、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーは、20℃~50℃などの比較的低温にて制御された加水分解条件下で、HSiCl3、及びArylSiCl3などのシランモノマーから合成してもよい。式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーは、150℃~250℃、あるいは180℃~200℃などの比較的低い硬化温度で硬化してもよい。本発明のエージングしたシルセスキオキサンポリマーは、460℃を上回る(例えば、>450℃の)温度まで加熱した場合、質量的に安定である。エージングしたシルセスキオキサンポリマーの質量の任意の増大又は損失は、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの出発重量に対するものである。あるいは、エージングしたシルセスキオキサンポリマーの質量の任意の増大又は損失は、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーを硬化することによって作製される式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーの出発重量に対するものである。
本発明は、以下の非限定的な実施例によって更に説明され、本発明の実施態様は、この非限定的な実施例の特徴及び限定の任意の組み合わせを含んでもよい。周囲温度は別段の表示がない限り、約23℃である。
29Si-NMR装置及び溶媒:Varian 400MHz Mercury分光計を使用した。CDCl3を溶媒として使用した。
液体フルオリドストリッパ1:追加量のアンモニウムフルオリド水溶液をACT NE-14(Air Products & Chemicals,Inc.,Allentown,Pennsylvania,USA)に添加することにより調製し、酢酸、ジメチルアセトアミド、アンモニウムフルオリド、及び水を含み、アンモニウムフルオリドの濃度が液体フルオリドストリッパ1の総重量に対して4~15wt%である、液体フルオリドストリッパ1を得た。
式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの合成:トルエン、並びにトルエン中でトリクロロシラン(HSiCl3)、フェニルトリクロロシラン(PhSiCl3)、及び任意選択的にメチルトリクロロシラン(CH3SiCl3)を用いた制御された加水分解法を使用して、3.5%の水を含有する、PGMEA中の式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの第1混合物を得る。式(I)の合成したシルセスキオキサン樹脂プレポリマーは、(HSiO3/2)x(PhSiO3/2)y(MeSiO3/2)z[式中、Phはフェニルであり、Meはメチルであり、添字x、y及びzは上記に定義されるとおりである。]を含む。(HSiO3/2)x、(PhSiO3/2)y、及び(MeSiO3/2)zの式(I)における単位のモル分率は、制御された加水分解において使用されるHSiCl3、PhSiCl3、及び任意のCH3SiCl3の相対モル量に等しくなる。したがって、式(I)における単位のモル分率は、制御された加水分解において使用されるHSiCl3、PhSiCl3、及び任意のCH3SiCl3の相対モル量を制御することにより制御してもよい。
式(I)の合成したシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの単離又は再配合:所望であれば、第1の混合物[式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの合成方法において上述した]から、トルエン、並びに任意の未反応のトリクロロシラン及び揮発性副産物などの揮発物を蒸発させて、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーを単離した固体として得る。あるいは、所望であれば、第1の混合物のPGMEAをメチルエチルケトン(MEK)又はメチルイソブチルケトン(MIBK)などの別の溶媒と溶媒交換して、その他の溶媒中の式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの第2の混合物を得る。第2の混合物は、PGMEA中の10wt%の式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーを含有するように構成されてもよい。PGMEA中の式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの他の濃度は、5wt%~40wt%などを使用してもよいが、作製して使用するには、10wt%が都合のよい濃度である。第2の混合物を、0.2μmの濾過膜を用いて濾過して、PGMEA中の式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマー溶液を得てもよい。
コーティングした半導体ウエハの調製:PGMEA中の式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの一実施例の溶液(10%固体)を、Karl Suss CT62スピンコータ装置を用いて6インチ(15センチメートル(cm))直径のシリコンウエハ上にスピンコーティングし、次いでホットプレート上にて150℃で1分間(ソフト)ベークし、PGMEAを除去して、シリコンウエハ上に配置された式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの膜を備えるソフトベークしたウエハを得る。エリプソメータを用いて膜の初期厚さを測定する。ソフトベークしたウエハを、150℃~250℃の所定の硬化温度に設定した二重石英炉に入れ、それを30分間加熱し、23℃まで冷却してシリコンウエハ上に配置された式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマー(「硬化したウエハ」)を得る。有用な硬化温度は、150℃、180℃、180℃及び200℃である。初期厚さ及び硬化温度を記録する。平均初期膜厚は0.200~0.500μm、あるいは0.240~0.400μmであってもよい。
式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーの熱エージング:安定性試験方法1又は2において、以下に記載の熱プログラムA~Hのうちのいずれか1つを使用して上記で調製した式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマー又は式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーのいずれかの乾燥した形態を加熱して、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーを熱エージングし、質量的に安定な生成物と特徴付けられるエージングしたシルセスキオキサンポリマーの一実施形態を得る。
安定性試験方法1:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)などの溶媒中の10%の式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの一実施例の溶液をアルミニウムパンに入れ、120℃で30分間溶媒を蒸発させることにより、試験試料を調製し、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの乾燥した試験試料を得る。約20mgの乾燥した試験試料を150マイクロリットル(μL)のアルミナるつぼに入れ、毎分10℃(℃/分)の加熱速度並びに毎分40ミリリットル(mL/分)の速度で流れる分子状窒素ガス及び/又はエアパージガスを使用したMettler Toledo TGA装置を用いて、入れた試料を熱重量分析(TGA)にかける。乾燥した試験試料をin situで硬化し、次いで、乾燥分子状窒素ガス雰囲気下で(別途注記のない限り)加熱エージングし、以下、実施例にて記載されたようにして、TGA装置に入力された熱プログラムを用いた熱エージング温度プロファイルを介して分析する。好適なin situでの硬化及び熱エージング温度プロファイルは、以下の熱プログラムA~Eのいずれか1つに従って得られ得る。熱プログラムA:10℃/分で23℃から700℃まで加熱し、700℃で30分間維持し、次いで23℃まで冷却する。熱プログラムB:10℃/分で23℃から600℃まで加熱し、600℃で60分間維持し、23℃まで冷却する。熱プログラムC:10℃/分で23℃から500℃まで加熱し、500℃で60分間維持し、23℃まで冷却する。熱プログラムD:10℃/分で23℃から350℃まで加熱し、350℃で20分間維持し、次いで10℃/分で350℃から600℃まで加熱し、次いで600℃で60分間維持し、得られた熱エージングした物品を23℃まで冷却する。熱プログラムE:10℃/分で23℃から350℃まで加熱し、350℃で20分間維持し、次いで10℃/分で350℃から500℃まで加熱し、次いで500℃で60分間維持し、得られた熱エージングした物品を23℃まで冷却する。表形式又はサーモグラフィ形式でパーセントとして重量損失を報告する。あるいは、熱プログラムA~Eは、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーの予め作製された試料の分析を熱エージングするために使用してもよい。
安定性試験方法2:PGMEAなどの溶媒中の10%の式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの一実施例の溶液をシリコンウエハに塗布し、塗布した溶液を120℃で30分間乾燥させて、シリコンウエハ上に配置された式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの乾燥した試験膜を備える、コーティングした物品を得る。乾燥した試験膜をin situで硬化し、次いで、以下の熱プログラムF~Hのいずれか1つに従ってコーティングした物品を加熱し、次いで得られた熱エージングした物品を23℃まで冷却することにより、乾燥分子状窒素ガス雰囲気下で(別途注記のない限り)熱エージングする。熱プログラムF:500℃で30分間加熱し、23℃まで冷却する。熱プログラムG:550℃で30分間加熱し、23℃まで冷却する。熱プログラムH:600℃で30分間加熱し、23℃まで冷却する。熱プログラムF~Hにおける加熱は、熱プログラム温度に設定された二重石英炉内で行ってもよい。あるいは、熱プログラムF~Hは、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーの予め作製された試料の分析を熱エージングするために使用してもよい。
剥離試験方法1:上記の安定性試験方法1又は2に従って調製した、熱エージングした物品を、所定の期間、所定のストリッピング溶液中に浸漬し、浸漬したウエハを得る。ストリッピング溶液から浸漬物を取り出し、これを脱イオン(DI)水でリンスして処理済ウエハを得る。エリプソメータ(J.A.Woollam,M200D)を用いて処理済みウエハ上に残存する膜の厚さを測定する。ストリッピング溶液、浸漬の時間、及び任意の残留膜の厚さを記録する。
本発明の実施例(IEx.)1:式(I)のT(H)0.90T(フェニル)0.10シルセスキオキサン樹脂プレポリマーの合成。120gの乾燥PGMEA中に30.5グラム(g)(0.225モル)のトリクロロシラン及び5.29g(0.025モル)のフェニルトリクロロシランを溶解させた溶液を、窒素ガス下にて三ツ口フラスコへ移した。トリクロロシラン及びフェニルトリクロロシランからのケイ素原子の総数に対する水のモル比は2.2:1であった。移された溶液に、200gのPGMEAと10g(0.555モル)の水の予め混合した溶液(「ウェットPGMEA」)を、1時間にわたって添加した。混合物をボディー化する(body)(反応平衡に到達させる)ために、ウェットPGMAの添加が完了した後、得られた反応混合物を、20℃で1時間攪拌した。得られたボディー化(bodied)混合物は、式(I)のものであるT(H)0.90T(フェニル)0.10シルセスキオキサン樹脂プレポリマーを含んだ。ボディー化混合物を、ロータリーエバポレータ(恒温槽温度40℃)で揮発物(例えば、塩化水素及びPGMEAの一部)を除去することにより濃縮し、PGMEA中10wt%の固体含有量を含む第1濃縮物を得た。約40gのエタノールを第1濃縮物に添加し、得られた第1希釈混合物を剥離して、PGMEA中20wt%の固体含有量を含む第2濃縮物を得た。第2濃縮物を所定量の乾燥PGMEAで希釈して、PGMEA中10wt%の固体含有量を含む第2希釈混合物を得た。第2希釈混合物を、0.20μmポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)フィルタで濾過し、濾過物を250mL容量の高密度ポリエチレン(HDPE)ボトルに貯蔵し、乾燥PGMEA中の式(I)のものであるT(H)0.90T(フェニル)0.10シルセスキオキサン樹脂プレポリマーの貯蔵溶液を得た。
IEx.1(A):単離して乾燥したT(H)0.90T(フェニル)0.10シルセスキオキサン樹脂プレポリマー(仮想例):IEx.1の貯蔵溶液のアリコートから全てのPGMEAを除去し、式(I)のものであるT(H)0.90T(フェニル)0.10シルセスキオキサン樹脂プレポリマーを含む残留物を、単離して乾燥した材料として得る。
IEx.2:式(I)のT(H)0.85T(フェニル)0.15シルセスキオキサン樹脂プレポリマーの合成。30.5g(0.225モル)のトリクロロシランの代わりに28.8g(0.2125モル)のトリクロロシランを使用すること、及び5.29g(0.025モル)のフェニルトリクロロシランの代わりに7.93g(0.0375モル)のフェニルトリクロロシランを使用すること以外は、IEx.1の手順を繰り返し、PGMEA中の式(I)のものであるT(H)0.85T(フェニル)0.15シルセスキオキサン樹脂プレポリマーの貯蔵溶液を得る。
IEx.2(A):単離して乾燥したT(H)0.85T(フェニル)0.15シルセスキオキサン樹脂プレポリマー(仮想例):IEx.2の貯蔵溶液のアリコートから全てのPGMEAを除去し、式(I)のものであるT(H)0.85T(フェニル)0.15シルセスキオキサン樹脂プレポリマーを含む残留物を、単離して乾燥した材料として得る。
IEx.3:式(I)のT(H)0.80T(フェニル)0.20シルセスキオキサン樹脂プレポリマーの合成。30.5g(0.225モル)のトリクロロシランの代わりに27.1g(0.20モル)のトリクロロシランを使用すること、及び5.29g(0.025モル)のフェニルトリクロロシランの代わりに10.58g(0.050モル)のフェニルトリクロロシランを使用すること以外は、IEx.1の手順を繰り返し、PGMEA中の式(I)のものであるT(H)0.80T(フェニル)0.20シルセスキオキサン樹脂プレポリマー貯蔵溶液を得る。
IEx.3(A):単離して乾燥したT(H)0.80T(フェニル)0.20シルセスキオキサン樹脂プレポリマー(仮想例):IEx.3の貯蔵溶液のアリコートから全てのPGMEAを除去し、式(I)のものであるT(H)0.80T(フェニル)0.20シルセスキオキサン樹脂プレポリマーを含む残留物を、単離して乾燥した材料として得る。
IEx.4:式(I)のT(H)0.50T(フェニル)0.50シルセスキオキサン樹脂プレポリマーの合成。30.5g(0.225モル)のトリクロロシランの代わりに16.9g(0.125モル)のトリクロロシランを使用すること、及び5.29g(0.025モル)のフェニルトリクロロシランの代わりに26.44g(0.125モル)のフェニルトリクロロシランを使用すること以外は、IEx.1の手順を繰り返し、PGMEA中の式(I)のものであるT(H)0.50T(フェニル)0.50シルセスキオキサン樹脂プレポリマーの貯蔵溶液を得る。
IEx.4(A):単離して乾燥したT(H)0.50T(フェニル)0.50シルセスキオキサン樹脂プレポリマー(仮想例):IEx.4の貯蔵溶液のアリコートから全てのPGMEAを除去し、式(I)のものであるT(H)0.50T(フェニル)0.50シルセスキオキサン樹脂プレポリマーを含む残留物を、単離して乾燥した材料として得る。
IEx.5:式(I)のT(H)0.35T(フェニル)0.25T(メチル)0.40シルセスキオキサン樹脂プレポリマーの合成。30.5g(0.225モル)のトリクロロシランの代わりに11.9g(0.088モル)のトリクロロシランを使用すること、5.29g(0.025モル)のフェニルトリクロロシランの代わりに13.22g(0.063モル)のフェニルトリクロロシランを使用すること、及びこの溶液に15.0g(0.100モル)のメチルトリクロロシランを添加して、これを三ツ口フラスコに移すこと以外は、IEx.1の手順を繰り返し、PGMEA中の式(I)のものであるT(H)0.35T(フェニル)0.25T(メチル)0.40シルセスキオキサン樹脂プレポリマーの貯蔵溶液を得る。
IEx.5(A):単離して乾燥したT(H)0.35T(フェニル)0.25T(メチル)0.40シルセスキオキサン樹脂プレポリマー(仮想例):IEx.5の貯蔵溶液のアリコートから全てのPGMEAを除去し、式(I)のものであるT(H)0.35T(フェニル)0.25T(メチル)0.40シルセスキオキサン樹脂プレポリマーを含む残留物を、単離して乾燥した材料として得る。
IEx.6:式(I)のT(H)0.30T(フェニル)0.25T(メチル)0.45シルセスキオキサン樹脂プレポリマーの合成。30.5g(0.225モル)のトリクロロシランの代わりに10.2g(0.075モル)のトリクロロシランを使用すること、5.29g(0.025モル)のフェニルトリクロロシランの代わりに13.22g(0.063モル)のフェニルトリクロロシランを使用すること、及びこの溶液に16.82g(0.113モル)のメチルトリクロロシランを添加して、これを三ツ口フラスコに移すこと以外は、IEx.1の手順を繰り返し、PGMEA中の式(I)のものであるT(H)0.30T(フェニル)0.25T(メチル)0.45シルセスキオキサン樹脂プレポリマーの貯蔵溶液を得る。
IEx.6(A):単離して乾燥したT(H)0.30T(フェニル)0.25T(メチル)0.45シルセスキオキサン樹脂プレポリマー(仮想例):IEx.6の貯蔵溶液のアリコートから全てのPGMEAを除去し、式(I)のものであるT(H)0.30T(フェニル)0.25T(メチル)0.45シルセスキオキサン樹脂プレポリマーを含む残留物を、単離して乾燥した材料として得る。
IEx.7:式(I)のT(H)0.25T(フェニル)0.10T(メチル)0.65シルセスキオキサン樹脂プレポリマーの合成。30.5g(0.225モル)のトリクロロシランの代わりに8.47g(0.063モル)のトリクロロシランを使用すること、及びこの溶液に24.3g(0.163モル)のメチルトリクロロシランを添加して、これを三ツ口フラスコに移すこと以外は、IEx.1の手順を繰り返し、PGMEA中の式(I)のものであるT(H)0.25T(フェニル)0.10T(メチル)0.65シルセスキオキサン樹脂プレポリマーの貯蔵溶液を得る。
IEx.7(A):単離して乾燥したT(H)0.25T(フェニル)0.10T(メチル)0.65シルセスキオキサン樹脂プレポリマー(仮想例):IEx.7の貯蔵溶液のアリコートから全てのPGMEAを除去し、式(I)のものであるT(H)0.25T(フェニル)0.10T(メチル)0.65シルセスキオキサン樹脂プレポリマーを含む残留物を、単離して乾燥した材料として得る。
IEx.8:式(I)のT(H)0.40T(フェニル)0.10T(メチル)0.50シルセスキオキサン樹脂プレポリマーの合成。30.5g(0.225モル)のトリクロロシランの代わりに13.6g(0.100モル)のトリクロロシランを使用すること、及びこの溶液に18.69g(0.125モル)のメチルトリクロロシランを添加して、これを三ツ口フラスコに移すこと以外は、IEx.1の手順を繰り返し、PGMEA中の式(I)のものであるT(H)0.40T(フェニル)0.10T(メチル)0.50シルセスキオキサン樹脂プレポリマーの貯蔵溶液を得る。
IEx.8(A):単離して乾燥したT(H)0.40T(フェニル)0.10T(メチル)0.50シルセスキオキサン樹脂プレポリマー(仮想例):IEx.8の貯蔵溶液のアリコートから全てのPGMEAを除去し、式(I)のものであるT(H)0.40T(フェニル)0.10T(メチル)0.50シルセスキオキサン樹脂プレポリマーを含む残留物を、単離して乾燥した材料として得る。
IEx.9:式(I)のT(H)0.85T(フェニル)0.15シルセスキオキサン樹脂プレポリマーの合成。IEx.2の手順を繰り返し、PGMEA中の式(I)のものであるT(H)0.85T(フェニル)0.15シルセスキオキサン樹脂プレポリマーの貯蔵溶液を得る。
IEx.9(A):単離して乾燥した式(I)のT(H)0.85T(フェニル)0.15シルセスキオキサン樹脂プレポリマー:IEx.9の貯蔵溶液のアリコートから全てのPGMEAを除去し、式(I)のものであるT(H)0.85T(フェニル)0.15シルセスキオキサン樹脂プレポリマーを含む残留物を、単離して乾燥した材料として得た。
IEx.A~V:エージングしたシルセスキオキサンポリマーの調製:IEx.1~IEx.9のいずれか1つの式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーを別個にソフトベークし(150℃60秒間)、次いで熱プログラムA~Hのいずれか1つに従ってIEx.1~IEx.9のいずれか1つのソフトベークした式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーを硬化し、熱エージングして、順次、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマー、続いてエージングしたシルセスキオキサンポリマーを、それぞれ以下の表1に示すようにIEx.A~Vの質量的に安定な生成物として得る。
*即ち、1.0%の重量増大; **仮想実施例を示す
表1のデータに示すように、本発明のエージングしたシルセスキオキサンポリマーは、500℃、550℃、600℃、若しくは700℃、又は最大60分間、対応する硬化したシルセスキオキサンポリマーを加熱して、エージングしたシルセスキオキサンポリマーの実施形態を(質量的に安定な生成物として)得ることにより調製した後に、安定である。エージングしたシルセスキオキサンポリマーの質量の増大又は損失は、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの出発質量に対するものであり、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの乾燥形態の出発重量からエージングしたシルセスキオキサンポリマーの重量を減算することにより算出される。式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの乾燥形態の重量は、硬化によりそれから製造される式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーの重量に等しい。いくつかの実施形態では、エージングしたシルセスキオキサンポリマーの質量の増大又は損失は、式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーの出発質量に対するものである。式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーを硬化し、次いで、得られた式(I)の硬化したシルセスキオキサンポリマーを熱エージングすることにより、>0質量%から15質量%未満、あるいは>0質量%から11質量%未満、あるいは>0質量%から<7質量%を損失した(損失してもよい)質量的に安定な生成物として、エージングしたシルセスキオキサンポリマーを得てもよい。いくつかの実施形態では、式(I)のシルセスキオキサン樹脂プレポリマーの乾燥形態の出発質量に対して、>0質量%から<6質量%、あるいは>0質量%から<5質量%、あるいは>0質量%から<4質量%、あるいは>0質量%から<3質量%、あるいは>0質量%から≦2質量%を損失した(損失してもよい)。いくつかの実施形態では、エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、少なくとも1.9質量%、あるいは少なくとも2.0質量%を損失した(損失してもよい)。この低い程度の質量損失は、エージングしたシルセスキオキサンポリマー(例えば、これらの実施形態からの質量的に安定な生成物)を、航空宇宙及び半導体デバイス製造産業において出現している高温製造方法に使用するのに適している。
IEx.W~Z及びAA~AP:ソフトベークして硬化したウエハの調製:先に記載されたコーティングしたウエハの調製に従って、ソフトベークして硬化したウエハを調製する。IEx.V~IEx.Z及びAA~APの硬化したウエハに安定性試験方法1又は2続いて剥離試験方法1を受けさせ、硬化したウエハのエージングしたシルセスキオキサンポリマーの可剥性を評価する。下の表2に結果を記録する。
表2において、TMAHは水中の2.4wt%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、非フルオリド系ストリッパである。
*質量的に安定な生成物 **Liq.F=液体フルオリドストリッパ1
表2のデータに示すように、エージングしたシルセスキオキサンポリマーの熱エージングしたコーティングは、酢酸、ジメチルアセトアミド、アンモニウムフルオリド、及び水を含む液体フルオリド系ストリッパなどの、本発明の液体フルオリド系ストリッパを使用して、基板から完全に剥離することができ、ここでアンモニウムフルオリドの濃度は、液体フルオリドストリッパの総重量に対して少なくとも4wt%~15wt%である。この液体フルオリドストリッパを用いた可剥性は、熱エージングしたコーティングがTMAHaq耐性である場合には、特に予測不可能である。したがって、エージングしたシルセスキオキサンポリマーは、ストリッピングを必要とする半導体デバイス製造プロセス用の犠牲ポリマーとして、加えてエージングしたシルセスキオキサンポリマーを電子デバイス内に残存させることができる電子デバイスを作製するための製造プロセス用のリワーク型ポリマーとして好適である。
以下の特許請求の範囲は、参照により本明細書に組み込まれ、用語「請求項」(単数及び複数)はそれぞれ用語「態様」(単数及び複数)に置き換えられる。本発明の実施形態は、これらの得られた番号付けされた態様も包含する。