JP6996958B2 - 二次電池電極用アルミニウム合金箔の製造方法、二次電池用正極板及び水分添加装置 - Google Patents

二次電池電極用アルミニウム合金箔の製造方法、二次電池用正極板及び水分添加装置 Download PDF

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Description

本発明は、非水電解質二次電池等の製造に適用される二次電池電極用アルミニウム合金箔の製造方法、二次電池用正極板、及び水分添加装置に関する。
非水電解質二次電池の一つであるリチウムイオン二次電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量であることから、電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HV)等の駆動用電源として用いられている。リチウムイオン二次電池は、電極芯体の両面に活物質層を設けた正極板及び負極板をセパレータを介して捲回又は積層した電極体を有する。電極芯体には、二次電池電極用アルミニウム合金箔が用いられる。
ところで電極を製造する際、二次電池電極用アルミニウム合金箔の表面に所定の加工を施してから、活物質及び導電剤を含む電極用スラリーの塗工を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のアルミニウム合金箔は、非水電解質二次電池において、正極の集電体としてN-メチルピロリドン(NMP)との接触角が45°以下であるアルミニウム芯体である。このアルミニウム芯体は、圧延によるアルミ箔製造時にNMPとの濡れ性の良い圧延油が用いられている。
特開2005-50679号公報
ところで、N-メチルピロリドン(NMP)は、製造環境等で揮発しないことが望ましい。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、圧延油に含まれたNMPが、その後、アルミニウム合金箔が巻き出された環境で揮発するおそれがあり、NMPが揮発すると電極用スラリーの塗工の効率が低下するおそれがある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電極用スラリーの塗工の効率の低下を抑制することのできる二次電池電極用アルミニウム合金箔の製造方法、及び、二次電池用正極板、及び、水分添加装置を提供することにある。
上記課題を解決する二次電池電極用アルミニウム合金箔の製造方法は、圧延油を使用しながらアルミニウム合金箔を圧延する圧延工程と、前記アルミニウム合金箔の表面に前記圧延油を成分として形成された油膜について、その油膜の水分含有量を40ppm以上、かつ、200ppm以下の濃度に調整する水分調整工程と、前記水分調整工程で水分含有量の調整された前記油膜の上から前記アルミニウム合金箔に対して電極用スラリーを塗工する塗工工程とを有する。
上記課題を解決する二次電池用正極板は、二次電池電極用アルミニウム合金箔を正極基材とする二次電池用正極板であって、前記二次電池電極用アルミニウム合金箔は、前記二次電池電極用アルミニウム合金箔の表面に1平方センチメートルあたり2g以上、かつ、10g以下の油分量からなる油膜を有し、前記油膜の水分含有量が40ppm以上、かつ、200ppm以下の濃度に調整されたものであり、前記二次電池電極用アルミニウム合金箔の前記表面に二次電池用正極合剤が塗工により配置されている。
アルミニウム合金箔の表面の油膜は、その油膜の水分含有量が、40ppm未満の濃度であるとき電極用スラリーに対する濡れ性が低くなり、電極用スラリーの塗工の効率が低下することが発明者らによって見出され、また従来、200ppmよりも高い濃度であると乾燥時間が長くなったり、電池性能が悪化したりすることが知られている。この点、このような方法又は構成によれば、油膜の水分含有量を、電極用スラリーに対する濡れ性が高く、塗工の効率が維持される範囲である40ppm以上、かつ、200ppm以下の濃度に調整することができる。よって、アルミニウム合金箔に電極用スラリーを塗工する工程の効率の低下を抑制することができる。
好ましい方法として、前記水分調整工程は、前記油膜に水分を追加する工程である。
一般に、圧延工程で用いられる圧延油は水分含有量が少ない方が好ましい。この点、このような方法によれば、圧延工程で用いられた圧延油の水分含有量が少ないとしても、この圧延油を成分とする油膜の水分含有量を塗工工程において適切に調整することができる。
好ましい方法として、前記水分調整工程は、前記アルミニウム合金箔を多湿状態の雰囲気中に暴露する工程である。
上記課題を解決する水分添加装置は、圧延油を使用しながら圧延された二次電池電極用アルミニウム合金箔の表面に水分を添加する水分添加装置であって、ロールから巻き出された前記二次電池電極用アルミニウム合金箔の流れ方向の上流側に設けられた入口と、前記流れ方向の下流側に設けられた出口との間に外部環境に対して区画された多湿空間を区画する区画室と、前記区画室の前記多湿空間内に水分を供給する供給機とを備える。
このような方法又は構成によれば、アルミニウム合金箔を大気中よりも湿度の高い多湿状態である雰囲気中に暴露することで油膜の水分含有量を増加させることができる。すなわち、水分の混ざりにくい油膜の水分含有量に調整することができる。
本発明によれば、電極用スラリーの塗工の効率の低下を抑制することができる。
二次電池電極用アルミニウム合金箔を有して具体化された二次電池の一実施形態について、その構造の概略図。 同実施形態の極板群の断面構造を示す模式図。 同実施形態において二次電池電極用アルミニウム合金箔の製造方法について、その製造工程の手順を示すフローチャート。 同実施形態において水分添加装置を模式的に示す模式図。 同実施形態において油膜の水分含有量と、電極用スラリーの塗工結果とを示すグラフ。 同実施形態において電極用スラリーの塗工されたアルミニウム合金箔の模式図であり、(a)は油膜の水分含有量が適切であるときの電極用スラリーの塗工状態を示す図、(b)は油膜の水分含有量が不適切であるときの電極用スラリーの塗工状態を示す図。
図1~図6に従って、二次電池電極用アルミニウム合金箔の製造方法、二次電池用正極板、及び、水分添加装置を具体化した一実施形態を説明する。なお、本実施形態では、二次電池はリチウムイオン二次電池である。以下、説明の便宜上、二次電池電極用アルミニウム合金箔をアルミニウム合金箔と記す。
本実施形態の二次電池は、バスバーで複数が接続されることにより組電池を構成する。組電池は、電気自動車もしくはハイブリッド自動車に搭載され、電動モータ等に電力を供給する。二次電池は、外形が直方体形状の密閉式電池である。
図1に示すように、二次電池10は、上側に開口部を有する直方体形状の電池ケース11と、電池ケース11を封止する蓋体12と、電池ケース11の内部に収容される電極体としての極板群20と、電池ケース11内に注入された液体状の非水電解質27とを備える。電池ケース11及び蓋体12はアルミニウム合金等の金属で構成されている。二次電池10は、電池ケース11に蓋体12を取り付けることで密閉された電槽が構成される。また二次電池10は、蓋体12に、電力の充放電に用いられる2つの外部端子13を備えている。
極板群20は、正極板21と負極板22とそれらの間に配置されたセパレータ23とが扁平に捲回されて形成されている。極板群20は、捲回される方向(捲回方向)の両端26で折り返されることにより多重に積層されている。極板群20は、捲回方向に直交する方向(捲き軸方向)の一端側に正極板21がはみ出た正極部21Aと、同直交する方向の他端側に負極板22がはみ出た負極部22Aとを有する。正極部21A及び負極部22Aはそれぞれその一部が圧縮されるとともに、それら正極部21A及び負極部22Aのうちの圧縮された部分にはそれぞれ外部端子13に接続される電極端子14が溶接されている。
セパレータ23は、正極板21及び負極板22の間に非水電解質27を保持するためのポリプロピレン製等の不織布である。また、セパレータ23としては、多孔性ポリエチレン膜、多孔性ポリオレフィン膜、及び多孔性ポリ塩化ビニル膜等の多孔性ポリマー膜、又は、リチウムイオンもしくはイオン導電性ポリマー電解質膜を、単独、又は組み合わせて使用することもできる。
(非水電解質)
非水電解質27は、非水溶媒に支持塩が含有された組成物である。ここで、非水溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等からなる群から選択された一種または二種以上の材料を用いることができる。また、支持塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO、LiCSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiI等から選択される一種または二種以上のリチウム化合物(リチウム塩)を用いることができる。
(正極板)
図2を参照して、正極板21は、電極芯体である二次電池正極用アルミニウム合金箔としての正極基材211の内周面211A及び外周面211Bにそれぞれ正極合剤212,213が塗布されている。なお、捲回されたとき内側になる面が内周面211A、外側になる面が外周面211Bである。正極板21の正極基材211は、導電性の良好な金属からなる導電性材料としてのアルミニウム合金からなる薄膜(箔)である。
正極合剤212,213は正極活物質を有する。正極活物質は、遷移金属元素(すなわち、Ni、Co、及びMnの少なくとも1種)の他に、付加的に、1種または複数種の元素を含有し得る。付加的な元素としては、周期表の1族(ナトリウム等のアルカリ金属)、2族(マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属)、4族(チタン、ジルコニウム等の遷移金属)、6族(クロム、タングステン等の遷移金属)、8族(鉄等の遷移金属)に属するいずれかの元素を含むことができる。また、付加的な元素としては、周期表の13族(半金属元素であるホウ素、もしくはアルミニウムのような金属)、及び17族(フッ素のようなハロゲン)に属するいずれかの元素を含むことができる。好ましくは、正極活物質は、「LiNiCoMnO系正極活物質」である。「LiNiCoMnO系正極活物質」は、LiとNiとCoとMnとを含む複合酸化物を意味し、Li、Ni、Co、及びMnとは異なる金属元素を更に含んでもよい。
また、正極合剤212,213は導電材を含んでいてもよい。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、黒鉛(グラファイト)を用いることができる。
正極板21は、例えば、正極活物質と、導電材と、溶媒と、結着剤(バインダー)とを混練し、混練後に正極合剤212を含んで生成される電極用スラリーを正極基材211に塗布して乾燥することで作製される。ここで、溶媒としては、例えばNMP(N-メチル-2-ピロリドン)溶液を用いることができる。また、バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を用いることができる。なお、本実施形態では、電極用スラリーは、固形物の割合が40%以上、かつ、70%以下の範囲に調整されている。
溶媒は、電極用スラリーに、正極基材211への塗工に適した流動性及び粘性を与える。正極スラリーは、粘性が高ければ(流動性が低ければ)塗布された所定の塗布範囲に維持されやすい一方、濡れ広がりづらいことから塗布ムラや塗布漏れを生じさせないように丁寧に時間をかけて塗布する必要がある。逆に、流動性が高ければ(粘性が低ければ)濡れ広がりやすくなるため塗布ムラや塗布漏れは生じづらくなるが、正極基材211の表面(内周面211Aや外周面211B)の濡れ性が低いと、所定の塗布範囲に塗布したあと集約されて塗布範囲が狭くなるおそれがある。
(負極板)
次に負極板22は、電極芯体である集電箔としての負極基材221の内周面221A及び外周面221Bにそれぞれ負極合剤222,223が塗布されている。なお、捲回されたとき内側になる面が内周面221A、外側になる面が外周面221Bである。負極板22の負極基材221は、従来の二次電池の構成要素と同様の構成要素を用いることができる。例えば、基材の材料として、導電性の良好な金属からなる導電性材料が好ましく用いられる。例えば、負極基材221として、銅やニッケルあるいはそれらの合金からなる薄膜(箔)を用いることができる。
負極合剤222,223は、負極活物質を有する。負極活物質は、リチウムを吸蔵・放出可能な材料であり、例えば、黒鉛(グラファイト)等からなる粉末状の炭素材料を用いることができる。そして、負極板22は、負極活物質と、溶媒と、バインダーとを正極板21と同様に混練し、混練後に負極合剤222を含んで生成される電極用スラリーを負極基材221に塗布して乾燥することで作製される。本実施形態では、バインダーはナトリウム塩を有するカルボキシメチルセルロース(CMC)を含んでいる。
(正極基材の製造工程)
図3を参照して、正極基材211の製造工程にかかる手順について説明する。
正極基材211の製造工程は、アルミニウム合金箔を圧延によって製造する圧延工程(ステップS10)と、圧延したアルミニウム合金箔を巻き取ったロールを形成するロール形成工程(ステップS11)とを備える。また、正極基材211の製造工程は、ロールからアルミニウム合金箔を巻き出す巻き出し工程(ステップS12)と、アルミニウム合金箔に水分を添加する水分調整工程としての水分添加工程(ステップS13)とを備える。また、正極基材211の製造工程は、アルミニウム合金箔に電極用スラリーを塗工する塗工工程(ステップS14)と、アルミニウム合金箔に塗工した電極用スラリーを乾燥させる乾燥工程(ステップS15)と、電極用スラリーが塗工されたアルミニウム合金箔を巻き取る巻き取り工程(ステップS16)とを備える。本実施形態では、アルミニウム合金箔の製造方法は、圧延工程と、水分添加工程と、塗工工程とから構成される。
圧延工程は、アルミニウム合金材料からアルミニウム合金箔を冷間圧延によって製造する工程であって、圧延時に圧延ロールとの摩擦を軽減させる圧延油を使用する。よって、圧延工程で製造されたアルミニウム合金箔の表面には、圧延油を成分とする油膜が形成されている。本実施形態では、油膜30(図4参照)は、1平方センチメートルあたり2g以上、かつ、10g以下の油分量で形成される。圧延油は、水分含有量が少ないものの方が摩擦を軽減する効果が高いとされている。よって圧延油は、水分含有量の少ないものが選択され、自ずと、アルミニウム合金箔の表面に形成された油膜30の水分含有量W2(図4参照)も少ないものとなる。また、圧延油は、通常、その使用前に水分含有量が調整されるようなことはないし、使用後に形成された油膜についても、通常、水分含有量が調整されるようなことはない。
ロール形成工程は、圧延したアルミニウム合金箔を保管したり、運搬したりすることができるようにロール形状にする。アルミニウム合金箔は、その表面が外気にさらされていると、油が揮発して油膜30が薄くなったり、水分が加減されて油膜30の水分含有量W2が変化したりするおそれがある。しかし、ロール形状のアルミニウム合金箔は、ロールの最外周の表面以外は対向する表面が密着して外気と隔離されていることから油膜30の水分含有量W2が圧延油の水分含有量に維持されている。
巻き出し工程は、圧延油の水分含有量と略同じ水分含有量W2の油膜30を有するアルミニウム合金箔からなる正極基材211がロールから巻き出される。
水分添加工程では、図4に示すように、水分添加装置40で、ロールから巻き出された正極基材211の内周面211A及び外周面211Bの油膜30に水分W1が添加される。水分添加装置40は、正極基材211の配置される区画空間41Aを形成する区画室41と、区画室41の区画空間41Aに水分を供給する供給機としての湿潤器42とを備えている。なお、図4には、図示の便宜上、内周面211Aのみを図示し、外周面211Bの図示を割愛する。
正極基材211は、水分添加装置40の区画空間41Aに配置される。例えば、区画室41は、正極基材211の搬送経路の途中に設置されており、外部環境に対して区画された区画空間41Aと、区画空間41Aにおいて搬送方向(流れ方向)の上流側の入口と、搬送方向(流れ方向)の下流側の出口とを有している。また、区画室41は、区画空間41Aに湿潤器42から水分が供給され、区画空間41Aの雰囲気が多湿状態に維持されている。区画室41の多湿状態は、所定の湿度になるように湿潤器42から供給される水分が調整される。湿度は、周知の湿度検出器によって検出できる。さらに、区画室41の多湿状態は、油膜30の水分含有量W2に応じて調整されてもよい。油膜30の水分含有量W2は、周知の水分検出器によって検出することができる。
よって、水分添加装置40は、区画室41に配置された正極基材211の内周面211Aの油膜30を、多湿状態の雰囲気中に暴露する。従来、油膜30の水分含有量W2は、圧延油によって定まるものであり、それが調整されることはなかった。しかし、本実施形態では、発明者らは、アルミニウム合金箔(正極基材211)を大気中の湿度よりも高い湿度である多湿状態の雰囲気中に暴露することで油膜30に水分W1を追加して油膜30の水分含有量W2を増加させるように調整できることを見出した。すなわち、水分W1の混ざりにくいと考えられている油膜30の水分含有量W2を調整することができる。なお、本実施形態では、水分添加装置40は、油膜30の水分含有量W2を増加させて、少なくとも40ppmから200ppmまでの範囲に調整することができる。
また、水分添加工程では、油膜30の水分含有量W2が40ppm以上、かつ、200ppm以下の濃度にされる。
図5を参照して、正極基材211の内周面211Aの油膜30は、その油膜30の水分含有量W2が40ppm未満の濃度であるとき電極用スラリーに対する濡れ性が低くなり、電極用スラリーの塗工の効率が低下することが発明者らによって見出された。具体的には、正極基材211から製造された極板で不都合のある割合(濡れ性NG率)は、水分含有量W2が0~10ppmの濃度であるとき4%であり、同10~20ppmの濃度であるとき33%であり、同20~30ppmの濃度であるとき8%であり、同30~40ppmの濃度であるとき8%であった。また、水分含有量W2が40~70ppmの濃度であるとき0%であり、同70~100ppmの濃度であるとき0%であり、同100~130ppmの濃度であるとき0%であり、同130ppmの濃度以上であるとき0%であった。
また従来、水分含有量W2が200ppmよりも高い濃度であると乾燥工程等における乾燥時間が長くなったり、製造された二次電池の電池性能が悪化したりすることが知られている。
これらのことから、発明者は、油膜30中の水分含有量W2を、塗工の効率が維持される範囲である40ppm以上、かつ、200ppm以下の濃度に調整することによって、電極用スラリーに対する濡れ性が高く維持され、正極基材211の内周面211Aに電極用スラリーを塗工する工程の効率の低下を抑制することができることを見出した。
塗工工程は、アルミニウム合金箔に電極用スラリーを塗工する。上述のように、電極用スラリーは、固形物の割合が40%以上、かつ、70%以下に調整されている。
図6(a)に示すように、正極基材211の内周面211Aの油膜30の水分含有量W2が40ppm以上、かつ、200ppmの濃度である場合、電極用スラリー(乾燥前の正極合剤212)は塗工後も所定の塗工範囲に配置が維持される。すなわち、正極合剤212の長手方向の縁212a,212bが直線的に維持されて、塗工幅が適切に得られる。一方、図6(b)に示すように、正極基材211の内周面211Aの油膜30の水分含有量W2が40ppm未満の濃度である場合、電極用スラリー(乾燥前の正極合剤212)は集約して所定の塗工範囲よりも中央に集まる。すなわち、正極合剤212の長手方向の縁212a,212bが幅方向中央に不規則に移動して、塗工幅が狭くなる。
このとき、例えば、電極用スラリーの粘度が高ければ、所定の塗工範囲に配置が維持されて塗工幅が確保できる傾向になる。逆に、電極用スラリーの粘度が低ければ、所定の塗工範囲よりも中央の狭い範囲に集まって塗工幅が狭くなる傾向になる。そこで、例えば、電極用スラリーを塗工された塗工範囲に維持させるため、電極用スラリーの粘度を高くすると、塗工ムラや塗工漏れの発生を抑えるため塗工に時間を要し、塗工の効率が低下する。
また、電極用スラリーの粘度が同一であれば、正極基材211の濡れ性が高ければ、所定の塗工範囲に配置が維持される傾向にあり、逆に、正極基材211の濡れ性が低ければ、所定の塗工範囲よりも中央の狭い範囲に集まる傾向がある。
そこで、本実施形態では、塗工の効率を低下させないため、正極基材211の濡れ性を高める技術について誠意研究を重ねた。そして、正極基材211の内周面211Aの油膜30の水分含有量W2が40ppm以上の濃度であるとき、正極基材211の濡れ性が高いときと同様の効果が得られ、逆に、同水分含有量W2が40ppm未満の濃度であるとき、正極基材211の濡れ性が低いときと同様の効果が得られることを見出した。
このことから、油膜30の水分含有量W2を40ppm以上の濃度とすれば、油膜30と電極用スラリーとの親和性が高くなり、正極基材211の内周面211Aで電極用スラリーがはじけづらくなると考えられる。例えば、正極基材211に電極用スラリーを塗工するとき、電極用スラリーに含まれるNMPは、油膜30に対する親和性が適切な水分含有量W2によって高い状態に維持されると考えられる。
乾燥工程は、電極用スラリーを乾燥させて正極基材211に正極合剤212を固定する。電極用スラリーは、乾燥すれば塗工幅は変化しなくなるので正極合剤212の塗工幅が安定する。
そして、巻き取り工程は、正極合剤212が塗工された正極基材211を巻き取る。そして、この巻き取られた正極基材211が極板群20の製造に用いられる。これによって、正極基材211の製造工程が終了する。
そして、この正極基材211を用いて、二次電池10が製造される。概略的には、正極基材211、負極基材221及びセパレータ23を捲回して極板群20を製造して電極端子14を溶接し、絶縁フィルムを介して電池ケース11内に極板群20を挿入する。そして、電池ケース11に蓋体12を取り付け、極板群20を乾燥させて、電池ケース11に注入孔から非水電解質27を注入してから、注入孔を閉じて電池ケース11を封止する。その後、充放電、高温エージング、出荷検査を行って出荷できる二次電池10が完成する。
(作用)
正極基材211の内周面211Aの油膜30中の水分含有量W2を、塗工の効率が維持される範囲である40ppm以上、かつ、200ppm以下の濃度に調整した。これによって、電極用スラリーに含まれるNMPは、油膜30に対する親和性が適度な水分含有量W2によって高く維持されるようになり、正極基材211に電極用スラリーを塗工するとき、塗工工程の効率の低下を抑制することができた。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に記載するような効果が得られるようになる。
(1)正極基材211の表面の油膜30は、その油膜の水分含有量W2が、40ppm未満の濃度であるとき電極用スラリーに対する濡れ性が低くなり、電極用スラリーの塗工の効率が低下する。また従来、200ppmよりも高い濃度であると乾燥時間が長くなったり、電池性能が悪化したりすることが知られている。
この本実施形態によれば、油膜の水分含有量W2を、電極用スラリーに対する濡れ性が高く、塗工の効率が維持される範囲である40ppm以上、かつ、200ppm以下の濃度に調整することができる。よって、正極基材211に電極用スラリーを塗工する工程の効率の低下を抑制することができる。
(2)一般に、圧延工程で用いられる圧延油は水分の含有量が少ない方が好ましい。この点、本実施形態では、圧延工程で用いられた圧延油の水分含有量が少ないとしても、この圧延油を成分とする油膜の水分含有量W2を塗工工程において適切に調整することができる。
(3)正極基材211を大気中よりも湿度の高い多湿状態である雰囲気中に暴露することで油膜の水分含有量W2を増加させることができる。すなわち、水分W1の混ざりにくい油膜の水分含有量W2を調整することができる。
(その他の実施形態)
なお上記実施形態は、以下の態様で実施することもできる。
・上記実施形態では、極板群20は、正極板21、負極板22及びセパレータ23を捲回した構造である場合について例示した。しかしこれに限らず、二次電池の形状や使用目的に応じて適宜変更してもよい。例えば、正極板、負極板、及びセパレータを介して積層した(捲回しない)タイプの構造であってもよい。
・上記実施形態では、油膜30は、1平方センチメートルあたり2g以上、かつ、10g以下の油分量で形成される場合について例示したが、これに限らず、油膜は、1平方センチメートルあたり2g未満の油分量で形成されてもよいし、10g以上で形成されてもよい。
・上記実施形態では、正極基材211の油膜30の水分含有量W2を増やす場合について例示したが、これに限らず、適切な濡れ性を維持できるのであれば、正極基材211の油膜30の水分含有量W2を減らすように調整してもよい。例えば、送風や加温などの乾燥機能を、水分添加装置に追加したり、別の装置で追加したりしてもよい。
・二次電池10は、電気自動車もしくはハイブリッド自動車に搭載されなくてもよい。例えば、二次電池10は、ガソリン自動車やディーゼル自動車等の車両に搭載されてもよい。また二次電池10は、鉄道、船舶、及び航空機等の移動体や、ロボットや、情報処理装置等の電気製品の電源として用いられてもよい。
W1…水分、W2…水分含有量、10…二次電池、11…電池ケース、12…蓋体、13…外部端子、14…電極端子、20…極板群、21…正極板、21A…正極部、22…負極板、22A…負極部、23…セパレータ、26…端、27…非水電解質、30…油膜、40…水分添加装置、41…区画室、41A…区画空間、42…湿潤器、211…正極基材、211A…内周面、211B…外周面、212…正極合剤、213…正極合剤、221…負極基材、221…正極基材、221A…内周面、221B…外周面、222…負極合剤、223…負極合剤。

Claims (5)

  1. 二次電池電極用アルミニウム合金箔の製造方法であって、
    圧延油を使用しながらアルミニウム合金箔を圧延する圧延工程と、
    前記アルミニウム合金箔の表面に前記圧延油を成分として形成された油膜について、その油膜の水分含有量を40ppm以上、かつ、200ppm以下の濃度に調整する水分調整工程と、
    前記水分調整工程で水分含有量の調整された前記油膜の上から前記アルミニウム合金箔に対して電極用スラリーを塗工する塗工工程とを有する
    二次電池用正極板の製造方法。
  2. 前記水分調整工程は、前記油膜に水分を追加する工程である
    請求項1に記載の二次電池用正極板の製造方法。
  3. 前記水分調整工程は、前記アルミニウム合金箔を多湿状態の雰囲気中に暴露する工程である
    請求項2に記載の二次電池用正極板の製造方法。
  4. 二次電池電極用アルミニウム合金箔を正極基材とする二次電池用正極板であって、
    前記二次電池電極用アルミニウム合金箔は、前記二次電池電極用アルミニウム合金箔の表面に1平方メートルあたり2g以上、かつ、10g以下の油分量からなる油膜を有し、前記油膜の水分含有量が40ppm以上、かつ、200ppm以下の濃度に調整されたものであり、
    前記二次電池電極用アルミニウム合金箔の前記表面に二次電池用正極合剤が塗工により配置されている
    二次電池用正極板。
  5. 圧延油を使用しながら圧延された二次電池電極用アルミニウム合金箔の表面に水分を添加する水分添加装置であって、
    ロールから巻き出された前記二次電池電極用アルミニウム合金箔の流れ方向の上流側に設けられた入口と、前記流れ方向の下流側に設けられた出口との間に外部環境に対して区画された多湿空間を区画する区画室と、
    前記区画室の前記多湿空間内に水分を供給する供給機とを備える
    水分添加装置。
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