JP6996661B1 - 電力変換装置、それを含む車両及び制御方法 - Google Patents

電力変換装置、それを含む車両及び制御方法 Download PDF

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Abstract

電力変換装置は、第1コイル、第2コイル及び第3コイルを含むトランスと、第1コイルに接続された第1変換回路と、第2コイルに接続された第2変換回路と、第3コイルに接続された整流回路とを含み、第1変換回路は、第1変換回路に入力される直流電圧を変換し、第1交流電圧を生成して第1コイルに供給し、第2変換回路は、所定の第1直流電圧を出力するように、第2コイルに印加される第2交流電圧を決定し、整流回路は、第3コイルから供給される第3交流電圧を整流して生成した電圧を出力し、第2交流電圧は、第1交流電圧に対して第1位相差を有する。

Description

本開示は、電力変換装置、それを含む車両及び制御方法に関する。本出願は、2020年2月21日出願の国際特許出願PCT/JP2020/007144に基づく優先権を主張し、前記国際特許出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
車両を始め、種々の電気装置及び電気設備において、電力変換装置が利用されている。例えば、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)又はEV(Electric Vehicle)等の車両には、車載充電器、DC/DCコンバータ、及び複数の電力変換ユニットが搭載されている。これにより、系統の交流電力を直流電力に変換して車載バッテリを充電し、走行時等には、車載バッテリの出力電圧を適切な電圧に変換し、車両内部の各機器に供給できる。車両への搭載性の向上及びコスト低減の観点から、これらの複数の電力変換装置を多出力の電力変換装置として一体化することが考えられる。
下記特許文献1には、高圧バッテリ及び低圧バッテリを備えた車両に搭載され、2つの直流電源(高圧バッテリ及び低圧バッテリ)間で電圧変換を行うと共にこれらの直流電源に対し、入力した交流電圧に基づいて適切な充電を行うスイッチング電源装置が開示されている。
特開2008-118727号公報
本開示のある局面に係る電力変換装置は、第1コイル、第2コイル及び第3コイルを含むトランスと、第1コイルに接続された第1変換回路と、第2コイルに接続された第2変換回路と、第3コイルに接続された整流回路とを含み、第1変換回路は、第1変換回路に入力される直流電圧を変換し、第1交流電圧を生成して第1コイルに供給し、第2変換回路は、所定の第1直流電圧を出力するように、第2コイルに印加される第2交流電圧を決定し、整流回路は、第3コイルから供給される第3交流電圧を整流して生成した電圧を出力し、第2交流電圧は、第1交流電圧に対して第1位相差を有する。
本開示の別の局面に係る車両は、上記の電力変換装置を搭載している。
本開示のさらに別の局面に係る制御方法は、第1コイル、第2コイル及び第3コイルを含むトランスと、第1コイルに接続された第1変換回路と、第2コイルに接続された第2変換回路と、第3コイルに接続された整流回路とを含む電力変換装置の制御方法であって、第1変換回路に、第1変換回路に入力される直流電圧を変換し、第1交流電圧を生成して第1コイルに供給させるステップと、第2変換回路に、所定の第1直流電圧を出力するように、第2コイルに印加される第2交流電圧を決定させるステップと、整流回路に、第3コイルから供給される第3交流電圧を整流して生成した電圧を出力させるステップとを含み、第2交流電圧は、第1交流電圧に対して第1位相差を有する。
図1は、本開示の第1実施形態に係る電力変換装置が車両に搭載される場合の構成を示すブロック図である。 図2は、本開示の第1実施形態に係る車両を示す模式図である。 図3は、図1に示した電力変換装置の構成を示す回路図である。 図4は、図3に示した電力変換装置の制御タイミングと、それに応じて生成される電圧及び電流を示す波形図である。 図5は、図4に示した電力変換装置の第1モードにおける電流の流れを示す回路図である。 図6は、図4に示した電力変換装置の第2モードにおける電流の流れを示す回路図である。 図7は、図4に示した電力変換装置の第3モードにおける電流の流れを示す回路図である。 図8は、図4に示した電力変換装置の第4モードにおける電流の流れを示す回路図である。 図9は、インダクタ電流を示すグラフである。 図10は、図3に示した電力変換装置の制御タイミングと、それに応じて生成される電圧及び電流を示す波形図である。 図11は、等価回路を示す回路図である。 図12は、電力変換装置のフィードバック制御を示すフローチャートである。 図13は、バッテリの充電時における電力供給を示すブロック図である。 図14は、バッテリの非充電時(車両走行時等)における電力供給を示すブロック図である。 図15は、高圧バッテリの放電時における電力供給を示すブロック図である。 図16は、高圧バッテリの放電による負荷への電力供給を示すブロック図である。 図17は、双方向動作が可能なPFC回路を示す回路図である。 図18は、第1変形例に係る電力変換装置の等価回路を示す回路図である。 図19は、図18の等価回路を示す回路図である。 図20は、スイッチング素子のオン動作時における電圧及び電流の変化を示すグラフである。 図21は、図3に示した第1DC/AC変換回路に電流が流れる状態を示す回路図である。 図22は、図3に示した第1DC/AC変換回路に、図21と異なる電流が流れる状態を示す回路図である。 図23は、第1実施形態に係る電力変換装置の制御タイミングと、それに応じて生成される電圧及び電流を示す波形図である。 図24は、シミュレーション結果を示すグラフである。 図25は、第2実施形態に係る電力変換装置の制御タイミングと、それに応じて生成される電圧及び電流を示す波形図である。 図26は、図25に示した電力変換装置のモードm1における電流の流れを示す回路図である。 図27は、図25に示した電力変換装置のモードm2における電流の流れを示す回路図である。 図28は、図25に示した電力変換装置のモードm3における電流の流れを示す回路図である。 図29は、図25に示した電力変換装置のモードm4における電流の流れを示す回路図である。 図30は、図25に示した電力変換装置のモードm5における電流の流れを示す回路図である。 図31は、図25に示した電力変換装置のモードm6における電流の流れを示す回路図である。 図32は、図25に示した電力変換装置のモードm12における電流の流れを示す回路図である。 図33は、トランスの等価回路を示す回路図である。 図34は、シミュレーション結果を示すグラフである。 図35は、第2変形例に係る電力変換装置の制御タイミングと、それに応じて生成される電圧及び電流を示す波形図である。 図36は、第3変形例に係る電力変換装置の制御タイミングと、それに応じて生成される電圧を示す波形図である。
[本開示が解決しようとする課題]
多出力コンバータでは、各回路部間の電力の流れ、及び、出力電圧を独立に制御することが要求される。例えば、車載充電器のDC/DC変換部とDC/DCコンバータとを、1つのトランスを用いて一体化して複合電力変換器を構成する場合がある。この場合、電力系統から高圧バッテリを充電する充電電力と、低電圧バッテリ(鉛バッテリ)を充電するための出力電圧とを独立に制御できれば好ましい。しかし、特許文献1に開示されたスイッチング電源装置によっては、高圧バッテリを充電する充電電力と、低電圧バッテリを充電するための出力電圧とを独立に制御できない。
したがって、本開示は、各回路部間の電力の流れと出力電圧とを独立に制御可能な電力変換装置、それを含む車両及び制御方法を提供することを目的とする。
[本開示の効果]
本開示によれば、小型化及び軽量化を実現すると共に、各回路部間の電力の流れと出力電圧とを独立に制御できる電力変換装置を実現でき、電力変換装置の車両への搭載が容易になる。
[本開示の実施形態の説明]
本開示の実施形態の内容を列記して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
(1)本開示の第1の局面に係る電力変換装置は、第1コイル、第2コイル及び第3コイルを含むトランスと、第1コイルに接続された第1変換回路と、第2コイルに接続された第2変換回路と、第3コイルに接続された整流回路とを含み、第1変換回路は、第1変換回路に入力される直流電圧を変換し、第1交流電圧を生成して第1コイルに供給し、第2変換回路は、所定の第1直流電圧を出力するように、第2コイルに印加される第2交流電圧を決定し、整流回路は、第3コイルから供給される第3交流電圧を整流して生成した電圧を出力し、第2交流電圧は、第1交流電圧に対して第1位相差を有する。これにより、電力変換装置の小型化及び軽量化を実現できる。また、第1変換回路及び第2変換回路の間で、所望の方向に電力を伝送できる。
(2)好ましくは、第1交流電圧及び第2交流電圧は、同じパルス幅を有する。
(3)より好ましくは、電力変換装置は、第1変換回路及び第2変換回路の動作を制御する制御部をさらに含み、制御部は、整流回路から出力される電圧に応じて、パルス幅を調整する。これにより、整流回路の出力ポートの電圧を所望の値にできる。
(4)さらに好ましくは、制御部は、第1コイル及び第2コイルを介して、第1変換回路から第2変換回路に供給する電力、又は、第2変換回路から第1変換回路に供給する電力に応じて、第1位相差を調整する。これにより、各回路部間の電力の流れと出力電圧とを独立に制御できる。即ち、パルス幅を調整することにより、整流回路の出力ポートの電圧を所望の値にできる。位相差を調整することにより、第1変換回路及び第2変換回路の間で伝送される電力を所望の値にできる。また、位相差の正負を変更することにより、第1変換回路及び第2変換回路の間で、所望の方向に電力を伝送できる。
(5)好ましくは、電力変換装置は、第1変換回路及び第2変換回路の動作を制御する制御部をさらに含み、制御部は、第1コイル及び第2コイルを介して第1変換回路から第2変換回路に供給する電力、又は、第2変換回路から第1変換回路に供給する電力に応じて、第1位相差を調整する。これにより、各回路部間の電力の流れを制御できる。即ち、位相差を調整することにより、第1変換回路及び第2変換回路の間で伝送される電力を所望の値にできる。また、位相差の正負を変更することにより、第1変換回路及び第2変換回路の間で、所望の方向に電力を伝送できる。
(6)より好ましくは、第1変換回路及び第2変換回路の一方が還流モードとなっているとき、第1変換回路及び第2変換回路の他方はDC電圧接続モードとなっている。これにより、第1変換回路及び第2変換回路に含まれるスイッチング素子のオン動作をソフトスイッチングにでき、電力損失を低減できる。
(7)さらに好ましくは、電力変換装置は、第1変換回路及び第2変換回路の動作を制御する制御部をさらに含み、制御部は、整流回路から出力される電圧、第1変換回路から第2変換回路に供給する電力、又は、第2変換回路から第1変換回路に供給する電力に応じて、第1位相差及び第2交流電圧のパルス幅のうち、少なくとも一方を調整する。これにより、整流回路の出力ポートの電圧を所望の値にでき、第1変換回路及び第2変換回路の間で、所望の方向に電力を伝送できる。
(8)好ましくは、第1交流電圧及び第2交流電圧のうち、少なくとも一方のパルス幅は固定されている。これにより、調整が容易になる。
(9)より好ましくは、第1交流電圧及び第2交流電圧は、同じパルス幅を有する。
(10)さらに好ましくは、第1変換回路及び第2変換回路の各々は、複数のスイッチング素子により構成されるフルブリッジ回路である。これにより、トランスを間に挟んで、第1変換回路及び第2変換回路の間で双方向に電力伝送が可能になる。
(11)好ましくは、制御部は、第1変換回路及び第2変換回路の各々を構成する複数のスイッチング素子のオン及びオフを位相シフト方式で制御する。これにより、パルス幅及び位相差を容易に調整できる。
(12)より好ましくは、電力変換装置は、高圧バッテリ及び低圧バッテリを含む車両に搭載され、高圧バッテリは、第2変換回路の出力部に接続され、低圧バッテリは、整流回路の出力部に接続される。これにより、車両において、電力変換装置の小型化及び軽量化を実現できる。
(13)さらに好ましくは、高圧バッテリの放電時に、第2変換回路は、第2変換回路に入力される直流電圧を変換し、第4交流電圧を生成して第2コイルに供給し、第1変換回路は、所定の第2直流電圧を出力するように、第1コイルから印加される第5交流電圧を決定し、第5交流電圧は、第4交流電圧に対して第2位相差を有する。これにより、車両において、第1変換回路及び第2変換回路の間で、所望の方向に電力を伝送でき、車両の充放電が可能になる。
(14)好ましくは、制御部は、車両の充放電動作中は、第1変換回路及び第2変換回路を相互に異なる位相で駆動し、車両の充放電動作中以外は、第1変換回路及び第2変換回路を同じ位相で駆動する。これにより、高圧バッテリの充電時には、系統からの電力を、高圧バッテリを充電するための適切な電力に変換でき、高圧バッテリを放電させて系統側に電力を供給できる。また、車両の走行時には、高圧バッテリの電圧を適切な電圧に変換して補機系負荷に供給できる。
(15)より好ましくは、制御部は、第1変換回路の入力部が電力系統に接続されている状態で、高圧バッテリが充電又は放電しているとき、第1変換回路及び第2変換回路を相互に異なる位相で駆動し、第1変換回路の入力部が電力系統に接続されていない状態で、高圧バッテリが放電しているとき、第1変換回路を停止させ、第2変換回路を駆動させる。これにより、高圧バッテリの充電時には、系統からの電力を、高圧バッテリを充電するための適切な電力に変換でき、高圧バッテリを放電させて系統側に電力を供給できる。また、車両の走行時には、高圧バッテリの電圧を適切な電圧に変換して補機系負荷に供給できる。
(16)さらに好ましくは、電力変換装置は、高圧バッテリ及び低圧バッテリを含む車両に搭載され、高圧バッテリは、第2変換回路の出力部に接続され、低圧バッテリは、整流回路の出力部に接続される。これにより、車両において、電力変換装置の小型化及び軽量化を実現できる。
(17)好ましくは、電力変換装置は、第1コイルに直列接続された第1インダクタ、及び、第2コイルに直列接続された第2インダクタの少なくとも一方をさらに含み、第1インダクタを含む場合、第1変換回路により生成される第1交流電圧は、第1コイルに加えて、第1インダクタにも供給され、第2インダクタを含む場合、第2変換回路により決定される第2交流電圧は、第2コイルに加えて、第2インダクタにも印加される。これにより、トランスの漏れインダクタンスをインダクタとして利用する場合よりも、より確実に各回路部間の電力の流れと出力電圧とを独立に制御できる。
(18)より好ましくは、第3コイルは、センタータップを有するコイルであり、整流回路は、センタータップと整流回路の出力端子とを接続するチョークコイルを含む。これにより、センタータップを有しないコイルと比較して少ない部品点数で全波整流することが可能になり、トランス利用効率を高めてトランスを小型化できる。
(19)本開示の第2の局面に係る車両は、上記の電力変換装置を搭載した車両である。これにより、電力変換装置が小型及び軽量であるので、電力変換装置の車両への搭載が容易になる。
(20)本開示の第3の局面に係る制御方法は、第1コイル、第2コイル及び第3コイルを含むトランスと、第1コイルに接続された第1変換回路と、第2コイルに接続された第2変換回路と、第3コイルに接続された整流回路とを含む電力変換装置の制御方法であって、第1変換回路に、第1変換回路に入力される直流電圧を変換し、第1交流電圧を生成して第1コイルに供給させるステップと、第2変換回路に、所定の第1直流電圧を出力するように、第2コイルに印加される第2交流電圧を決定させるステップと、整流回路に、第3コイルから供給される第3交流電圧を整流して生成した電圧を出力させるステップとを含み、第2交流電圧は、第1交流電圧に対して第1位相差を有する。これにより、電力変換装置の小型化及び軽量化を実現できる。また、第1変換回路及び第2変換回路の間で、所望の方向に電力を伝送できる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下の実施形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
(第1実施形態)
図1を参照して、本開示の第1実施形態に係る電力変換装置100は、第1DC/AC変換回路(第1変換回路)102と、トランス104と、第2DC/AC変換回路(第2変換回路)106と、整流回路108と、制御部110とを含む。図1は、電力変換装置100が車両に搭載される場合のシステム構成を示している。このシステムは、PFC(Power Factor Correction)回路122、キャパシタ124、電力変換装置100、高圧バッテリ126、昇圧回路128、インバータ回路130、モータ132、低圧バッテリ134及び補機系負荷136を含む。
電力変換装置100の入力部140、即ち第1DC/AC変換回路102の入力部は、キャパシタ124を介してPFC回路122に接続されている。入力部140には、PFC回路122から電力が供給される。PFC回路122から供給される電力は、電力系統等の交流電源120から供給される交流電力が変換された直流電力である。PFC回路122は力率改善回路であり、交流電源120から入力される交流電力に重畳している高調波を抑制し、安定した直流電力を生成する。
第1DC/AC変換回路102は、制御部110による制御を受けて、入力部140から入力する直流電力(直流電圧)を変換して生成した交流電圧をトランス104の1次コイルに供給する。これにより、トランス104の2次コイルに交流電圧が発生する。トランス104の2つの2次コイルの一方は第2DC/AC変換回路106に接続されており、この2次コイルに発生した交流電圧は第2DC/AC変換回路106に入力される。第2DC/AC変換回路106は、制御部110による制御を受けて、入力される交流電圧を変換して直流電圧を生成する。電力変換装置100の第1出力部142、即ち第2DC/AC変換回路106の出力部は、高圧バッテリ126に接続されており、第2DC/AC変換回路106により生成された直流電圧は高圧バッテリ126に入力される。これにより、交流電源120から供給される電力により高圧バッテリ126を充電できる。
高圧バッテリ126は、昇圧回路128及びインバータ回路130を介してモータ132に接続されている。高圧バッテリ126が放電する場合、高圧バッテリ126の出力電圧は、昇圧回路128によりモータ132の駆動に適した高電圧(直流)に昇圧される。生成された高電圧の直流電圧は、インバータ回路130により交流電圧に変換される。変換後の交流電圧は、モータ132に供給される。これにより、モータ132が駆動し、車両走行が可能になる。
トランス104の2つの2次コイルの他方は、整流回路108に接続されており、この2次コイルに発生した交流電圧は整流回路108に入力される。整流回路108は、入力される交流電圧を平滑して直流電圧を生成する。電力変換装置100の第2出力部144、即ち整流回路108の出力部は、低圧バッテリ134に接続されており、整流回路108により生成された直流電圧は低圧バッテリ134に入力される。これにより、交流電源120から供給される電力により低圧バッテリ134を充電できる。低圧バッテリ134は、補機系負荷136に接続されている。低圧バッテリ134が放電することにより、補機系負荷136に電力が供給される。
図2を参照して、図1に示したシステムは、例えばPHEV又はEV等の車両200に搭載され得る。図2においては、図1に示した構成の一部のみを図示している。車両200に搭載される電力変換装置100は、高圧バッテリ126及び低圧バッテリ134等と共に電源部を構成する。上記したように、高圧バッテリ126の出力電力(直流)は、インバータ回路130により交流電力に変換されて、モータ132を駆動するために使用される。電力変換装置100は、高圧バッテリ126及び低圧バッテリ134の間で電圧を変換するために使用される。電力変換装置100は、高圧バッテリ126の出力電圧を低電圧に変換して低圧バッテリ134に供給する。これにより、低圧バッテリ134は充電され、低圧バッテリ134の放電により補機系負荷136が作動する。
電力変換装置100は、上記したように、外部の交流電源から供給される交流電力により高圧バッテリ126及び低圧バッテリ134を充電するためにも使用され、高圧バッテリ126及び低圧バッテリ134に適切な充電電圧を供給する。なお、補機系負荷136は、エンジン及びモータ等を稼動するのに必要な付属機器であり、主としてセルモータ、オルタネータ、ラジエータクーリングファン等を含む。補機系負荷136は、照明、ワイパー駆動部、ナビゲーション装置、エアコン、ヒータ等を含んでもよい。
(回路構成)
図3を参照して、電力変換装置100の具体的な回路構成を説明する。第1DC/AC変換回路102は、スイッチング素子Q1、Q2、Q3及びQ4を含む。スイッチング素子Q1、Q2、Q3及びQ4はブリッジ接続されてフルブリッジ回路を構成している。スイッチング素子Q1、Q2、Q3及びQ4は、例えばFET(Field Effect Transistor)で構成されている。図3には、FET内部に形成される寄生ダイオード(ボディダイオード)を示している。
第2DC/AC変換回路106は、スイッチング素子Q5、Q6、Q7及びQ8を含む。スイッチング素子Q5、Q6、Q7及びQ8は、ブリッジ接続されてフルブリッジ回路を構成している。スイッチング素子Q5、Q6、Q7及びQ8は、例えばFETで構成されている。
トランス104は、コア150と、コア150に巻回された第1コイル152、第2コイル154及び第3コイル156と、第1インダクタ(コイル)L1及び第2インダクタ(コイル)L2とを含む。第1コイル152は、トランス104の1次コイルとして機能し、第2コイル154及び第3コイル156の各々は、トランス104の2次コイルとして機能する。第3コイル156は、例えば2つのコイルが直列接続され、その接続ノード(以下、センタータップという)が出力端子の1つを担うセンタータップ方式のコイルである。第1インダクタL1及び第2インダクタL2は、誘導成分であればよく、図3においては、第1インダクタL1及び第2インダクタL2はトランス104の漏れインダクタンスを利用することとし、トランス104に含めて図示している。
第1DC/AC変換回路102の出力端子は、直列接続された第1インダクタL1及び第1コイル152の両端子に接続されている。第2DC/AC変換回路106の入力端子は、直列接続された第2インダクタL2及び第2コイル154に接続されている。第1DC/AC変換回路102のノードN1及びN2(入力部140)の間には、PFC回路122から直流電圧E1が入力される。スイッチング素子Q1、Q2、Q3及びQ4の各々のオン及びオフが制御部110により制御されることにより、第1DC/AC変換回路102は、ノードN1及びN2間に入力される直流電圧E1を交流電圧に変換してトランス104の第1コイル152に供給する。これにより第2コイル154に発生した交流電圧は、第2DC/AC変換回路106に入力され、スイッチング素子Q5、Q6、Q7及びQ8の各々のオン及びオフが制御部110により制御されることにより、直流電圧に変換され、第2DC/AC変換回路106のノードN3及びN4間に直流電圧E2が出力される。即ち、第1DC/AC変換回路102、トランス104及び第2DC/AC変換回路106は、DC/DCコンバータとして機能する。
整流回路108は、スイッチング素子Q101及びQ102と、チョークコイルL3と、キャパシタC1とを含む。スイッチング素子Q101及びQ102は、例えばFETで構成されている。整流回路108の入力端子は第3コイル156の両端子に接続されている。チョークコイルL3は、一方の端子が第3コイル156のセンタータップに接続され、他方の端子がノードN5に接続されている。キャパシタC1は、ノードN5及びN6に接続されている。
上記したように、第1DC/AC変換回路102のスイッチング素子Q1、Q2、Q3及びQ4の各々のオン及びオフが制御部110により制御されることにより、交流電圧が第1コイル152に供給されると、第3コイル156に交流電圧が発生する。第3コイル156に発生した交流電圧は、整流回路108に入力され、スイッチング素子Q101及びQ102の寄生ダイオードに交互に電流が流れることより整流される。チョークコイルL3及びキャパシタC1は、整流された電流を平滑してチョーク電流i3を生成し、ノードN5及びN6間に直流電圧Voutが発生する。即ち、第1DC/AC変換回路102、トランス104及び整流回路108は、DC/DCコンバータとして機能する。
整流回路108のスイッチング素子Q101及びQ102のオン及びオフが制御部110により制御されなくても、上記したように整流回路108は整流動作を行う。整流回路108のスイッチング素子Q101及びQ102のオン及びオフは、制御部110により同期整流方式で制御されてもよい。
制御部110は、CPU160、メモリ162及びI/F部(インターフェイス部)164を含む。メモリ162は、CPU160が実行するプログラムを記憶する。I/F部164は、CPU160の制御を受けて、上記したように、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106を構成する各スイッチング素子のオン及びオフを制御するための信号(各スイッチング素子のゲート電圧)を出力する。また、第1出力部142及び第2出力部144には、電力及び電圧の測定装置(センサ等)(図示せず)が配置されている。I/F部164は、第1出力部142及び第2出力部144における測定値を受信し、メモリ162に記憶する。記憶された測定値は、後述するようにフィードバック制御において使用される。CPU160は、メモリ162から読出したプログラムを実行することにより、これらの処理を実行する。
上記したように、制御部110は、必要に応じて、整流回路108を構成するスイッチング素子Q101及びQ102のオン及びオフを制御してもよい。制御部110は、半導体素子(PLD、FPGA、ASIC等)により実現されてもよい。各スイッチング素子は、FET以外の半導体素子、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の半導体素子であってもよい。
(動作)
図4から図10を参照して、電力変換装置100の動作に関して説明する。
図4には、スイッチング素子Q1からQ8の各々の制御信号(ゲート電圧)と、それにより発生する第1DC/AC変換回路102の出力電圧V1、第2DC/AC変換回路106の入力電圧V2、インダクタ電圧(VL1+VL2)及びインダクタ電流iとを示す。横軸は時間を表す。全ての時間軸は同じである。即ち、上下方向の点線は同じタイミング(同時刻)を表す。「同じ」とは、完全に一致する場合に限らず、所定範囲の差異(例えば誤差)がある場合をも含む。スイッチング周期に対して時間的差異が十分小さい場合、その差異を誤差として無視でき、同じと解釈できる(以下同様)。また、この意味で使用する「同じ」に該当しないものを、「異なる」という。インダクタ電圧は、第1インダクタL1の電圧VL1(図3参照)及び第2インダクタL2の電圧VL2(図3参照)の和である。インダクタ電流は、第1インダクタL1に流れるインダクタ電流i(図3参照)である。トランス104の第1コイル152及び第2コイル154の巻き数は等しく、第3コイル156においてセンタータップと両端子の各々との間の巻き数は共に、第1コイル152(第2コイル154)の巻き数の1/nであるとする。
スイッチング素子Q1からQ8は位相シフト方式で制御される。即ち、スイッチング素子Q1からQ8は全て同じ周期Tで制御され、スイッチング素子Q1及びQ2は交互にデューティ50%でオンされ、スイッチング素子Q3及びQ4も交互にデューティ50%でオンされる。即ち、パルス幅が同じである(上記したように、2つのパルス幅の差がスイッチング周期に対して十分に小さい(例えば数%以下)場合を含む)。スイッチング素子Q3は、スイッチング素子Q1に対して位相差を持って(パルス幅T0(時間)だけ遅れて)オンされる。パルス幅T0(時間)の位相差は、角度で表すと2π・T0/T(rad)である。同様に、スイッチング素子Q5及びQ6は交互にデューティ50%でオンされ、スイッチング素子Q7及びQ8も交互にデューティ50%でオンされる。スイッチング素子Q7はスイッチング素子Q5に対してパルス幅T0の位相差を持ってオンされる。さらに、スイッチング素子Q5はスイッチング素子Q1に対して時間Tpの位相差を持ってオンされる。時間Tpの位相差は、角度で表すと2π・Tp/T(rad)である。このように、時間Tpを位相差として扱うので、以下においては位相差Tpという。
これにより、スイッチング素子Q1からQ8のオン状態又はオフ状態に応じて、半周期(T/2)は4つの期間(時間t1からt4)に区分され、それらに対応して、電力変換装置100は4種類のモードで動作する。以下、時間t1からt4のそれぞれにおける電力変換装置100の動作モードを、第1から第4モードという。第1モード(時間t1)では、スイッチング素子Q1、Q4、Q6及びQ8がオンであり、スイッチング素子Q2、Q3、Q5及びQ7がオフである。第2モード(時間t2)では、スイッチング素子Q1、Q4、Q5及びQ8がオンであり、スイッチング素子Q2、Q3、Q6及びQ7がオフである。第3モード(時間t3)では、スイッチング素子Q1、Q3、Q5及びQ8がオンであり、スイッチング素子Q2、Q4、Q6及びQ7がオフである。第4モード(時間t4)では、スイッチング素子Q1、Q3、Q5及びQ7がオンであり、スイッチング素子Q2、Q4、Q6及びQ8がオフである。
これにより、第1DC/AC変換回路102の出力電圧V1及び第2DC/AC変換回路106の入力電圧V2は、図4に示したように変化する。以下に、各モードに関して具体的に説明する。ここでは、図3に示したように、系統からの電力供給による第1DC/AC変換回路102への入力電圧(ノードN1及びN2間の電圧)E1は、第2DC/AC変換回路106の出力電圧(ノードN3及びN4間の電圧、即ち高圧バッテリ126への入力電圧)E2よりも大きい(E1>E2>0)とする。第1インダクタL1及び第2インダクタL2に流れる電流は、交流電源120側(電力系統)から高圧バッテリ126側に流れる向きを「正」とし、その電流が増加するときをインダクタの「充電」といい、減少するときを「放電」という。
最初に、電力系統と高圧バッテリ間の電力変換動作に関して説明する。
(第1モード)
図5を参照して、第1モードにおいて、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106には、太線の矢印で示すように電流が流れる。第1DC/AC変換回路102の出力電圧V1は、第1DC/AC変換回路102の入力電圧、即ちノードN1及びN2間の電圧E1と等しい(図3参照)。このとき、第1DC/AC変換回路102はDC電圧接続モードにあるという。したがって、第1インダクタL1には電流が増加する向きに電圧が印加され、第1インダクタL1は充電される。第2DC/AC変換回路106の入力端子は短絡され、第2DC/AC変換回路106の入力電圧V2は0である。これは、電流が還流している状態であり、V2=0であるとき、第2DC/AC変換回路106は還流モードにあるという。
(第2モード)
図6を参照して、第2モードにおいて、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106には、太線の矢印で示すように電流が流れる。第1DC/AC変換回路102の出力電圧V1は、第1モードと同様に、第1DC/AC変換回路102の入力電圧、即ちノードN1及びN2間の電圧E1と等しい。したがって、第1インダクタL1には電流が増加する向きに電圧が印加され、第1インダクタL1は充電される。第2DC/AC変換回路106の入力電圧V2は、第2DC/AC変換回路106の出力電圧E2と等しくなる。E1>E2であるので、第2DC/AC変換回路106の出力側(高圧バッテリ126側)に電力が伝達される。このとき、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106は共に、DC電圧接続モードにある。
(第3モード)
図7を参照して、第3モードにおいて、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106には、太線の矢印で示すように電流が流れる。第1DC/AC変換回路102の出力端子は短絡され、第1DC/AC変換回路102の出力電圧V1は0である。これは、電流が還流している状態であり、上記と同様に、V1=0であるとき、第1DC/AC変換回路102は還流モードにある。第1インダクタL1には電流が減少する向きに電圧が印加され、第1インダクタL1は放電する。第2DC/AC変換回路106の入力電圧V2は、第2モードと同様に、第2DC/AC変換回路106の出力電圧E2と等しい。第1インダクタL1に蓄積されていたエネルギーが放電されることにより、第2DC/AC変換回路106の出力側(高圧バッテリ126側)に電力が伝達される。このとき、第2DC/AC変換回路106はDC電圧接続モードにある。
(第4モード)
図8を参照して、第4モードにおいて、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106には、太線の矢印で示すように電流が流れる。第3モードと同様に、第1DC/AC変換回路102の出力端子は短絡され、V1=0である。第2DC/AC変換回路106の入力端子も短絡され、V2=0である。即ち、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106は共に、還流モードにある。このとき、素子の抵抗等を無視すると、第1インダクタL1及び第2インダクタL2に印加される電圧は0になる。第1インダクタL1及び第2インダクタL2の各々に流れる電流は還流し、高圧バッテリ126側には電力は伝達されない。
上記をまとめると、表1のようになる。インダクタ電圧(VL1+VL2)は、E1、E2、V1及びV2の電圧の正方向(図3の上向きの矢印参照)を考慮して算出されている。
Figure 0006996661000001
したがって、第1から第4モードにおいて、V1、V2及びインダクタ電圧(VL1+VL2)は、図4に示したように変化する。V2は、V1に対して位相差Tpを有する。即ち、V2の立上りタイミングは、V1の立上りタイミングから位相差Tpだけ遅れている。
1周期の後半の半周期も、前半の半周期と同様に4つの区間に区分でき、電力変換装置100は4種類のモードで動作する。第1から第4モードの各々をT/2ずらした後半の半周期における各期間の動作は、対応する第1から第4モードと同様に動作する。但し、各スイッチング素子のオン状態及びオフ状態が逆になるので、第1インダクタL1及び第2インダクタL2に流れる電流は前半の半周期とは逆になる。即ち、図4に示したように、後半の半周期のV1、V2及びインダクタ電圧(VL1+VL2)は、前半の半周期のV1、V2及びインダクタ電圧を、0を基準として反転した値(符号の正負を逆にした値)になる。V1、V2及びインダクタ電圧の各々は、周期Tで変化する。
表1に示した値から、インダクタ電流iの変化量を算出できる。インダクタンスLを有するインダクタの両端に印加する直流電圧をEとし、時間ΔTの間の電流変化量をΔIとすると、ΔI=E・ΔT/L となる。電圧E及び時間ΔTに、表1のインダクタ電圧及び期間を用いると、第1から第3モードにおけるインダクタ電流iの変化量Δiは、下記の式1から式3で表される。なお、第4モードのインダクタ電流の変化量は0(ゼロ)である。式中のL1及びL2は、それぞれ第1インダクタL1及び第2インダクタL2のインダクタンスを表す。
Figure 0006996661000002
図4に示したインダクタ電流の波形には、各頂点にAからIの記号を付している。点Aから点Bへの電流の変化量(点Aの電流値と点Bの電流値との差)は、式1で表される。点Bから点Cへの電流の変化量は、式2で表される。点Cから点Dへの電流の変化量は、式3で表される。点Dから点Eへの電流の変化量は0である。
1周期の後半の半周期に関しても、同様に算出できる。即ち、点Eから点Fへの電流の変化量は、式1で表される値の符号を反転した負の値である。点Fから点Gへの電流の変化量は、式2で表される値の符号を反転した負の値である。点Gから点Hへの電流の変化量は、式3で表される値の符号を反転した正の値である。点Hから点Iへの電流の変化量は0である。
図4から、インダクタ電流iの最大値と最小値との差(Peak-to-peak値)ΔIppは、点Cから点Dへの電流変化量の絶対値、点Eから点Fへの電流変化量の絶対値、及び、点Fから点Gへの電流変化量の絶対値の合計値であり、式4で表される。
Figure 0006996661000003
第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106におけるスイッチング素子の接続及びその制御信号の対称性を考慮すると、ΔIppの中央値(ΔIpp/2)が0A(アンペア)になる。このことを考慮して、点Aから点Iの電流値を算出できる。その結果を図9に示す。図9は、図4の最下段に示したインダクタ電流波形の1周期を示している。
半周期当たりに高圧バッテリ126に伝送されるエネルギー量(電力P)は、第1から第4モードにおけるインダクタ電流と高圧バッテリ126の電圧との積を時間積分して得られる。第1モード及び第4モードにおいては、高圧バッテリ126の電圧は0(V2=0)であるので、第2モード及び第3モードにおけるインダクタ電流と高圧バッテリ126の電圧との積を時間積分すればよい。表1に示した電圧V2と図9に示したインダクタ電流の値とを用いて、電力Pは式5のように表される。
Figure 0006996661000004
式5を、半周期の時間(T/2)で除して単位時間当たりの伝送エネルギー、即ち平均伝送電力に換算すると、式6が得られる。
Figure 0006996661000005
式6から、電力Pは、パルス幅T0及び位相差Tpに依存することが分かる。したがって、パルス幅T0及び位相差Tpの少なくとも一方を調整することにより、電力Pを所望の値に設定できる。
上記では、系統側の電力を高圧バッテリに供給する場合を説明したが、これに限定されない。第1DC/AC変換回路102、トランス104及び第2DC/AC変換回路106の回路構成は、トランス104を挟んで、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106が対称であるので、同様の制御を行うことにより、高圧バッテリ126から交流電源120側に電力を供給することができる。但し、位相差Tpを負(Tp<0)にする、即ち電圧V1に対する電圧V2のタイミング(例えば、立上りのタイミング)が早くなるようにスイッチング素子を制御する必要がある。
次に、電力系統及び低圧バッテリ間の電力変換動作に関して説明する。図10には、図4と同様に、スイッチング素子Q1からQ8の各々の制御信号(ゲート電圧)と、第1DC/AC変換回路102の出力電圧V1と、第2DC/AC変換回路106の入力電圧V2と、それらにより発生する第3コイル156の電圧及びチョーク電流とを示している。第3コイル156の電圧は、センタータップと第3コイル156の端子との間の電圧、即ち、第3コイル156の両端間の電圧V3の1/2の電圧(以下、V3/2と表記)である(図3参照)。チョーク電流はチョークコイルL3を流れるチョーク電流i3(図3参照)である。
(第1モード)
図5を参照して、第1モードにおいて、第1DC/AC変換回路102及び整流回路108には、太線の矢印で示したように電流が流れる。図3に示したトランス104のうちコア150、第1コイル152、第2コイル154及びその周辺の回路は、図11に示す等価回路で表される。電源172及び174はそれぞれ、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106を表す。上記したように、第1モードにおいてはV2=0であるので、トランス170の電圧は、電圧V1が第1インダクタL1と第2インダクタL2とで分圧された値となる。また、上記したように、V1は、第1DC/AC変換回路102の入力電圧、即ちノードN1及びN2間の電圧E1と等しい。よって、トランス170の電圧は、L2・E1/(L1+L2)となる。第3コイル156の巻き数は、第2コイル154の巻き数の1/nであるので、第3コイル156のセンタータップと端子との間に発生する電圧(V3/2)、即ち、図10に示した第1モードにおけるV31は、L2・E1/{n・(L1+L2)} となる。したがって、チョークコイルL3の両端の電圧は、L2・E1/{n・(L1+L2)}-Vout となり、第1モードの期間(t1=Tp)におけるチョーク電流i3の変化量Δi3は、式7で表される。式中、L3は、チョークコイルL3のインダクタンスを表す。
Figure 0006996661000006
(第2モード)
図6を参照して、第2モードにおいて、第1DC/AC変換回路102及び整流回路108には、太線の矢印で示したように電流が流れる。上記したように、第2モードにおいては、電圧V2は第2DC/AC変換回路106の出力電圧E2と等しくなるので、トランス170の電圧は、電圧V1及びV2の間の値、即ち、(L2・E1+L1・E2)/(L1+L2) となる。第3コイル156のセンタータップと端子との間に発生する電圧(V3/2)、即ち、図10に示した第2モードにおけるV32は、(L2・E1+L1・E2)/{n・(L1+L2)} となる。したがって、チョークコイルL3の両端の電圧は、(L2・E1+L1・E2)/{n・(L1+L2)}-Vout となり、第2モードの期間(t2=T0-Tp)におけるチョーク電流i3の変化量Δi3は式8で表される。
Figure 0006996661000007
(第3モード)
図7を参照して、第3モードにおいて、第1DC/AC変換回路102及び整流回路108には、太線の矢印で示したように電流が流れる。上記したように、第3モードにおいてはV1=0であるので、トランス170の電圧は、電圧V2が第1インダクタL1と第2インダクタL2とで分圧された値となる。また、上記したように、V2は、第2DC/AC変換回路106の出力電圧、即ちノードN3及びN4間の電圧E2と等しい。よって、トランス170の電圧は、L1・E2/(L1+L2)となる。第3コイル156のセンタータップと端子との間に発生する電圧(V3/2)、即ち、図10に示した第3モードにおけるV33は、L1・E2/{n・(L1+L2)} となる。したがって、チョークコイルL3の両端の電圧は、L1・E2/{n・(L1+L2)}-Vout となり、第3モードの期間(t3=Tp)におけるチョーク電流i3の変化量Δi3は、式9で表される。
Figure 0006996661000008
(第4モード)
図8を参照して、第4モードにおいて、第1DC/AC変換回路102及び整流回路108には、太線の矢印で示したように電流が流れる。上記したように、第4モードにおいては、第1DC/AC変換回路102の出力端子は短絡され、V1=0であり、第2DC/AC変換回路106の入力端子は短絡され、V2=0である。よって、トランス170の電圧は0であり、第3コイル156のセンタータップと端子との間に発生する電圧(V3/2)は0である。したがって、チョークコイルL3の両端の電圧は-Vout となり、第4モードの期間(t4=T/2-Tp)におけるチョーク電流i3の変化量Δi3は、式10で表される。
Figure 0006996661000009
なお、図10において、第1及び第2モードの間、チョーク電流i3が増加し、第3モードの間、チョーク電流が減少しているが、上記の式7から式9から分かるように、E1、E2、L1、L2及びVoutの値によっては、チョーク電流i3の増減方向は図10と逆になり得る。
定常状態においては、第1から第4モードにおけるチョーク電流i3の変化量Δi3の合計が0になることを考慮すると、Voutに関して式11が得られる。
Figure 0006996661000010
式11から、整流回路108の出力電圧Voutは、パルス幅T0に依存することが分かる。したがって、パルス幅T0を調整することにより、整流回路108の出力電圧Vout、即ち低圧バッテリ134に供給する電圧を、所望の値に設定できる。
以上のように、電力変換装置100は、高圧バッテリ126に電力を供給するためのDC/DCコンバータの機能と、低圧バッテリ134に電力を供給するためのDC/DCコンバータの機能とを、共通の回路要素(第1DC/AC変換回路102及びトランス104)を用いて実現しているので、従来よりも小型及び軽量である。これに加えて、電力変換装置100においては、電力変換装置100が適用されるシステムで使用されるE1、E2、L1、L2及びTの値と、式6及び式11とを用いて、P及びVoutがそれぞれ所望の値になるように、パルス幅T0及び位相差Tpを決定できる。例えば、系統側の電圧(E1)、高圧バッテリ側の電圧(E2)、低圧バッテリ134(例えば、鉛バッテリ)に供給する電圧(Vout)に応じて、パルス幅T0を調整し、外部からの充放電要求指示に応じて、位相差Tpを調整すれば、各回路ブロック間の電力伝達を任意に制御できる。
第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106をフルブリッジ回路で構成し、位相シフト方式で制御することにより、後述するように、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106の間で双方向に電力供給が可能になる。第3コイル156にセンタータップ方式のコイルを採用することにより、センタータップを有さないコイルと比較して実効電流が半分になるので、第3コイル156に細い巻線を使用でき、トランス104を小型化できる。
上記では、トランス104の漏れインダクタンスを第1インダクタL1及び第2インダクタL2として利用したが、第1インダクタL1及び第2インダクタL2は、トランス104に外付けされるコイルにより実現されてもよい。第1インダクタL1及び第2インダクタL2を、外付けのコイルにより実現することにより、各回路ブロック間の電力の流れと出力電圧とを、より確実に独立に制御できる。なお、第1インダクタL1を外付けのコイルにより実現する場合、第1DC/AC変換回路102の出力電圧V1は、直列接続された第1コイル152及び外付けのコイルの両端に供給される。第2インダクタL2を外付けのコイルにより実現する場合、直列接続された第2コイル154及び外付けのコイルの両端の電圧が、第2DC/AC変換回路106の入力電圧V2となる。
(フィードバック制御)
式6及び式11は、理想的な状態におけるものであるので、電力変換装置100をシステムに適用する場合、必要に応じて、各回路ブロックの電圧及び電力を測定してフィードバック制御を行うことが好ましい。例えば、図1の構成において、第1出力部142及び第2出力部144のそれぞれに電力測定装置及び電圧測定装置(センサ等)を設けて、測定された信号を制御部110のI/F部164に入力する。これにより、CPU160は、取得したデータ(例えば、I/F部164に入力されたアナログ信号をAD変換した値)を用いて、現在の電力P及び出力電圧Voutを、それぞれの所望の値(予めメモリ162に記憶されている値)と比較して、フィードバック制御できる。これにより、誤差要因があっても、所望の電力伝達を実現できる。
図12を参照して、制御部110によるフィードバック制御に関して説明する。図12の処理は、制御部110のCPU160により実行される。
ステップ300において、CPU160は、メモリ162に予め記憶されている制御条件を初期値として読出す。その後、制御はステップ302に移行する。初期値には、T、T0、Tp、L1、L2、L3、n(巻数比を表す実数)、E1、E2、P及びVoutが含まれる。ここで、P及びVoutの初期値は目標値である。CPU160は、読出したT、T0及びTpを用いて、スイッチング素子Q1からQ8のオン及びオフを制御するための制御信号(例えばFETのゲート電圧)を、図4に示したタイミングで出力する。
ステップ302において、CPU160は、第1出力部142及び第2出力部144に設けられた測定装置から、電力及び電圧を、I/F部164を介して取得する。その後、制御はステップ304に移行する。I/F部164に入力された信号は、デジタルデータとしてメモリ162に記憶される。
ステップ304において、CPU160は、メモリ162から、ステップ302で記憶した電力を読出してPの初期値と比較し、両者の差(電力差)が所定の範囲内にあるか否かを判定する。電力差が所定範囲内にあると判定された場合、制御はステップ308に移行する。そうでなければ、制御はステップ306に移行する。
ステップ306において、CPU160は、スイッチング素子の制御に現在使用しているパルス幅T0を、ステップ304で算出した電力差が小さくなるように変更する。即ち、CPU160は、式6にしたがって、電力差が小さくなるように新たにパルス幅T0を決定し、その値を用いて、スイッチング素子Q1からQ8のオン及びオフを制御するための制御信号を出力する。その後、制御はステップ308に移行する。
ステップ308において、CPU160は、メモリ162からステップ302で記憶した電圧を読出してVoutの初期値と比較し、両者の差(電圧差)が所定の範囲内にあるか否かを判定する。電圧差が所定範囲内にあると判定された場合、制御はステップ312に移行する。そうでなければ、制御はステップ310に移行する。
ステップ310において、CPU160は、スイッチング素子の制御に現在使用している位相差Tpを、ステップ304で算出した電圧差が小さくなるように変更する。即ち、CPU160は、式11にしたがって、電圧差が小さくなるように新たに位相差Tpを決定し、その値を用いて、スイッチング素子Q1からQ8のオン及びオフを制御するための制御信号を出力する。その後、制御はステップ312に移行する。
ステップ312において、CPU160は、スイッチング素子のオン及びオフの制御を終了するか否かを判定する。終了すると判定された場合、CPU160は本プログラムを終了する。そうでなければ、制御はステップ302に戻り、上記した処理を繰返す。終了の指示は、例えば、電力変換装置100への電力供給が停止されることにより成される。
以上により、誤差要因があっても、電力P及び出力電圧Voutの各々を、メモリ162から読出した初期値に維持できる。なお、図12に示したフローチャートは種々変更され得る。例えば、電力差及び電圧差の判定に関する処理の順序を入換えてもよい。また、新たにパルスT0及び位相差Tpを決定する処理を、電力差及び電圧差の判定の後にまとめて実行してもよい。また、電力を直接測定する代わりに、電流及び電圧を測定して電力を算出してもよい。
(車載の電力変換装置の動作)
図13から図15を参照して、車載された電力変換装置100の動作を説明する。図13から図15においては、図1に示した構成のうち、高圧バッテリ126、昇圧回路128、インバータ回路130、モータ132、低圧バッテリ134及び補機系負荷136を図示していない。
(車両の充電動作)
図13は、車両200が電力系統に接続され、高圧バッテリ126及び低圧バッテリ134を充電する状態を示す。このときの電力変換装置100の動作を、車両の充電動作という。上記したように、交流電源120から供給される交流電圧は、PFC回路122により直流電圧に変換され、電力変換装置100の入力部140に入力される。第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106が制御部110による制御を受けて、第1DC/AC変換回路102、トランス104及び第2DC/AC変換回路106がDC/DCコンバータとして機能することにより、入力部140に入力された直流電圧は、高圧バッテリ126の充電に適した直流電圧に変換される。変換後の直流電圧は、第1出力部142から高圧バッテリ126に供給される。また、第1DC/AC変換回路102、トランス104及び整流回路108がDC/DCコンバータとして機能することにより、入力部140に入力された直流電圧は、低圧バッテリ134の充電に適した直流電圧に変換される。変換後の直流電圧は、第2出力部144から低圧バッテリ134に供給される。これにより、図13において太線の矢印で示すように電力が供給され、高圧バッテリ126及び低圧バッテリ134は充電される。高圧バッテリ126の適切な充電電力及び低圧バッテリ134の充電に適した直流電圧は、上記したように、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106が、位相差Tpを有する制御信号(図4に示したスイッチング素子Q1からQ8の制御信号)により制御され、パルス幅T0及び位相差Tpが調整されることにより生成される。
(車両走行時)
図14は、車両200の走行中等、車両200が電力系統に接続されていない状態を示す。このとき、例えば、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106は同じ位相の制御信号により、即ち、図4に示したスイッチング素子Q1からQ8の制御信号において、Tp=0とした制御信号により制御される。式6において、Tp=0とするとP=0となり、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106の間で長期的な意味での電力伝送がないことが分かる。高圧バッテリ126の放電により、図14において太線の矢印で示すように、第2DC/AC変換回路106、トランス104及び整流回路108を介して、低圧バッテリ134に電力が供給される。
また、車両200が電力系統に接続されていない状態において、第1DC/AC変換回路102を停止し、第2DC/AC変換回路106を駆動させてもよい。停止とは、第1DC/AC変換回路102が、電気回路としての動作を行わない状態を意味する。第1DC/AC変換回路102を停止させるには、例えば、第1DC/AC変換回路102を構成するスイッチング素子Q1からQ4の全てをオフにすればよい。これにより、電力系統側のキャパシタ124の電圧が所定の値(例えば、高圧バッテリ126の電圧と等しい値)まで上昇するが、その後は、電力系統に電流が流れることはない。即ち、第2DC/AC変換回路106から第1DC/AC変換回路102への電力伝送はなくなる。上記と同様に、高圧バッテリ126の放電により、図14において太線の矢印で示すように、第2DC/AC変換回路106、トランス104及び整流回路108を介して、低圧バッテリ134に電力が供給される。
(車両の放電動作)
図15は、車両200が電力系統に接続されており、高圧バッテリ126が放電している状態を示す。このときの電力変換装置100の動作を、車両の放電動作という。上記した車両の充電動作と、ここで説明する車両の放電動作とを合せて、車両の充放電動作という。第1DC/AC変換回路102、トランス104及び第2DC/AC変換回路106は対称に構成されており、第1DC/AC変換回路(第1変換回路)102及び第2DC/AC変換回路(第2変換回路)106の役割を入換えて動作させることができる。即ち、第2DC/AC変換回路106を第1変換回路とし、第1DC/AC変換回路102を第2変換回路として、図15において、左向きの太線の矢印で示すように、高圧バッテリ126側から交流電源120側に電力を供給できる。このとき、制御部110は、位相差Tpを負(Tp<0)に設定して、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106を構成するスイッチング素子Q1からQ8を制御すればよい。高圧バッテリ126の放電により電力系統側に供給される電力は、電力会社に販売しても、図16に示すように、電気製品等の負荷148に供給されてもよい。高圧バッテリ126から負荷148に電力を供給する場合、電力系統の有無は任意である。なお、高圧バッテリ126から電力系統側に電力が供給される場合、上記した車両200の走行時と同様に、低圧バッテリ134側へも電力供給できる(図15及び図16における右向きの矢印参照)。
このとき、第1DC/AC変換回路102からPFC回路122への入力電圧(キャパシタ124の両端の電圧)に適した直流電圧、及び、低圧バッテリ134の充電に適した直流電圧は、上記と同様に生成される。即ち、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106が、位相差Tp(Tp<0)を有する制御信号(図4に示したスイッチング素子Q1からQ8の制御信号)により制御され、パルス幅T0及び位相差Tpが調整されることにより生成される。したがって、車両の充電動作に関して、第1DC/AC変換回路102の入力電圧E1に対して、高圧バッテリ126の適切な充電電力及び低圧バッテリ134の充電に適した直流電圧が生成されるように、パルス幅T0及び位相差Tpを調整しておけば、車両の放電動作にもそれらの値を使用できる。即ち、調整後のパルス幅T0と同じパルス幅、及び、調整後の位相差Tpと絶対値が同じであり符号が逆(負)である位相差を使用してスイッチング素子を制御すれば、第1DC/AC変換回路102から電力系統側又は負荷148に適切な電力を供給し、低圧バッテリ134の充電に適した直流電圧を供給できる。
また、車両の放電動作に関して、第2DC/AC変換回路106の入力電圧E2に対して、第1DC/AC変換回路102の出力電力が所望の電力になり、低圧バッテリ134の充電に適した直流電圧が生成されるように、パルス幅T0及び位相差Tpを調整してもよい。車両の充電動作において、調整後のパルス幅T0と同じパルス幅、及び、調整後の位相差Tpと絶対値が同じであり符号が逆である位相差を使用できる。なお、車両の充電動作と車両の放電動作とにおいて、同じパルス幅T0と、絶対値が同じ位相差Tp(符号は逆)とを使用しなくてもよい。即ち、車両の充電動作及び車両の放電動作の各々において独立に、パルス幅T0及び位相差Tpを調整してもよい。
電力系統側に電力を供給するためには、PFC回路122が双方向であることが必要である。例えば、図17に示すように、PFC回路122を構成するデバイスにFET等の能動素子を使用することにより、双方向動作が可能となる。
(第1変形例)
上記では、図3において、第1コイル152の巻き数、第2コイル154の巻き数、及び、第3コイル156のセンタータップと端子との間の巻き数の比が、n:n:1(nは正の実数)である場合を説明したが、これに限定されない。第1コイル152の巻き数、第2コイル154の巻き数、及び、第3コイル156のセンタータップと端子との間の巻き数の比が、n1:n2:1(n1及びn2は、n1≠n2である正の実数)であってもよい。その場合、第1DC/AC変換回路102、トランス104及び第2DC/AC変換回路106の回路は、図18に示した等価回路と考えることができる。さらに、図18の回路は、図19の等価回路と考えることができる。したがって、上記した式において、L2及びE2を、それぞれ(n1/n2)・L2、及び、(n1/n2)・E2 に置き換えればよい。これにより、式6及び式11から式12及び式13を得ることができる。
Figure 0006996661000011
式12及び式13から、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106間で伝送される電力Pは、パルス幅T0及び位相差Tpに依存し、整流回路108の出力電圧Voutは、パルス幅T0に依存することが分かる。したがって、式12及び式13を用いて、パルス幅T0及び位相差Tpを調整することにより、電力P及び出力電圧Voutの各々を独立に所望の値にできる。なお、必要に応じて、上記したように、各回路ブロックの電圧及び電力を測定してフィードバック制御を行うことが好ましい。
電力変換装置100は、図3に示したように第1DC/AC変換回路102と第1コイル152との間にキャパシタを含まない回路構成である。これにより、図10を参照して電力系統及び低圧バッテリ間の電力変換に関して説明したように、第3コイル156の電圧V3を精度よく制御できる。即ち、パルス幅T0を調整し、第3コイル156の交流電圧V3を整流回路108により整流するだけで、所望の出力電力Voutを生成できる。したがって、Buck降圧回路(降圧コンバータ)等の電圧を調整するための回路は不要であり、部品点数を低減し、費用を低減できる。
(第2実施形態)
上記した第1実施形態に関して、図4に示したスイッチング素子Q1からQ8の制御方法においては、ハードスイッチングが含まれており、スイッチング時の電力損失(以下、スイッチング損失という)が発生する。これを改善するために、第2実施形態においては、スイッチング素子Q1からQ8のオン時の動作がソフトスイッチングになるように制御する。
スイッチング素子のオンオフ制御においてはスイッチング損失を考慮することが好ましい。図20を参照して、通常、スイッチング素子がオフ状態からオン状態に変化するときの過渡期間において、破線で示す電流は0(A)から所定電流値I0まで上昇し、実線で示す電圧は所定電圧V0から0(V)まで低下する。このとき、スイッチング損失は、電圧及び電流の積を過渡期間にわたって積分することにより得られる。図3に示したスイッチング素子Q1からQ8のいずれかがオフ状態からオン状態に変化するとき、そのスイッチング素子のオフ状態において寄生ダイオードに電流が流れていれば、そのスイッチング素子のソース及びドレイン間の電圧は0であり、スイッチング損失は発生しない。なお、0は、数学的なゼロを意味せず、実質的にゼロと解釈可能な値であり、寄生ダイオードの順方向電圧の値をも含む。
図21及び図22は、図4に示した電力変換装置100の第1DC/AC変換回路102を示す。第1DC/AC変換回路102に関して、例えば、図21に示すように電流が流れている状態(スイッチング素子Q1はオフ)において、スイッチング素子Q1をオンさせる場合を考える。スイッチング素子Q1の寄生ダイオードに電流が流れているので、スイッチング素子Q1のソース及びドレイン間の電圧(ノードN1及びN7間の電圧)は0であり、スイッチング素子Q1のオン動作においてスイッチング損失は生じない。即ち、この場合のスイッチング素子Q1のオン動作は、ソフトスイッチングである。このとき、ノードN1及びN2間の電圧E1は、ノードN2及びN7間の電圧と等しい。
一方、例えば、図22に示すように電流が流れている状態(スイッチング素子Q1はオフ)において、スイッチング素子Q1をオンさせる場合を考える。スイッチング素子Q1の寄生ダイオードには電流が流れておらず、スイッチング素子Q2の寄生ダイオードには電流が流れているので、スイッチング素子Q1のソース及びドレイン間の電圧(ノードN1及びN7間の電圧)はE1である。したがって、スイッチング素子Q1のオン動作においてスイッチング損失が生じ、この場合のスイッチング素子Q1のオン動作は、ハードスイッチングである。このとき、ノードN2及びN7間の電圧は0である。
第1インダクタL1に流れる電流方向に着目すると、スイッチング素子Q1に関しては、電流方向が正方向(交流電源120側(電力系統)から高圧バッテリ126側に流れる方向)であれば、そのオン動作はソフトスイッチングとなる。電流方向が負方向(高圧バッテリ126側から交流電源120側に流れる方向)であれば、スイッチング素子Q1のオン動作はハードスイッチングとなる。同様にして、図4に示したタイミングチャートに関して、各スイッチング素子のオン動作がソフトスイッチングとなる条件を検討する。図23に示すスイッチング素子Q1からQ8のタイミングチャートは、図4に示したものと同じである。図23においては、インダクタ電圧の波形を示さず、各動作モードの開始タイミングを、s1からs9を付した下向きの矢印で示している。周期Tで繰返されるので、タイミングs9はタイミングs1と同じである。
タイミングs1からs8において、それぞれスイッチング素子Q1、Q5、Q3、Q7、Q2、Q6、Q4及びQ8が順にオンする。表2に、タイミングs1からs8の各々におけるオン動作がソフトスイッチングとなる条件を、各タイミングの直前における第1インダクタL1に流れる電流方向を用いて示す。
Figure 0006996661000012
例えば、タイミングs1においてスイッチング素子Q1のオン動作がソフトスイッチングになるためには、上記したように、その直前における第1インダクタL1に流れる電流方向は負方向であることが必要である。タイミングs2においてスイッチング素子Q5のオン動作がソフトスイッチングになるためには、その直前における第1インダクタL1に流れる電流方向は正方向であることが必要である。タイミングs3からs8に関しても同様にして、表2に示したように電流方向が決定される。
図23(図4)に示したインダクタ電流(第1インダクタL1に流れる電流)を、表2に示した電流方向と比較すると、タイミングs1からs3及びs5からs7に関しては整合しており、ソフトスイッチングの条件を満たしている。一方、タイミングs4及びs8に関しては整合しておらず、ソフトスイッチングの条件を満たしていない。即ち、タイミングs4におけるスイッチング素子Q7のオン動作、及び、タイミングs8におけるスイッチング素子Q8のオン動作はハードスイッチングであり、スイッチング損失が発生する。
図23(図4)に示したインダクタ電流は、図9に示したように、電圧E1及びE2の値に依存する。例えば、点Aの電流値は、E1>E2であれば、図23に示したように負であるが、E1<E2であれば正になる。また、点D及び点Eの電流値は、E1>E2であれば、図23に示したように正であるが、E1<E2であれば負になる。したがって、E1<E2の場合には、インダクタ電流は、タイミングs4及びs7において、表2と整合するが、タイミングs1及びs5において、表2と整合せず、依然として、ハードスイッチングが存在する。
図4及び図23に示した制御方法にはハードスイッチングが存在することは、シミュレーションによっても確認できた。図24は、図3に示した電力変換装置100を、図23(図4)に示した制御方法により動作させたシミュレーション結果を示す。図24には、繰返し制御における前半の半周期(タイミングs1からs4)においてオンするスイッチング素子Q1、Q3、Q5及びQ7に関する波形、並びに、それにより生成される電圧V1及びV2を示す。縦軸は電圧を表し、横軸は時間を表す。全ての時間軸は同じであり、横軸の1目盛りは100nsec(ナノ秒)である。E1>E2であり(E1=500V、E2=400V)、電圧V1を実線で示し、電圧V2を破線で示す。各スイッチング素子の波形に関しては、ゲート-ソース間電圧を実線で表し、ドレイン-ソース間電圧を破線で表す。
一点鎖線の楕円で示された期間は、矢印で示すタイミングs1からs4の各々に関して、対応するスイッチング素子がオンするときの過渡期間である。タイミングs1からs3に関しては、スイッチング素子がオンするとき(ゲート-ソース間電圧(実線)がローレベルからハイレベルに変化するとき)よりも少し前に、ドレイン-ソース間電圧(破線)が0になっている。したがって、スイッチング損失が発生せず、ソフトスイッチングが実現されている。一方、タイミングs4に関しては、ゲート-ソース間電圧(実線)がローレベルからハイレベルに変化するときよりも前には、ドレイン-ソース間電圧(破線)は0になっていない。したがって、タイミングs4におけるオン動作は、ハードスイッチングであり、スイッチング損失が発生する。
スイッチング素子のオン動作がハードスイッチングとなるのは、電圧V1及びV2が共に0であり(第4モード)、インダクタ電流が一定である期間が存在することが原因である。即ち、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106が共に還流モードである期間が存在することが原因である。以下に示すように、第2実施形態により、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106が同時に還流モードにならないように(インダクタ電流が一定にならないように)できる。
(回路構成)
本実施形態の電力変換装置は、図3に示した電力変換装置100と同じであるので、重複説明を行わない。以下の説明においては、図3を参照する。
(動作)
図25を参照して、電力変換装置100の動作に関して説明する。図25には、図4及び図23と同様に、スイッチング素子Q1からQ8の各々の制御信号(ゲート電圧)と、それにより発生する第1DC/AC変換回路102の出力電圧V1、第2DC/AC変換回路106の入力電圧V2、第3コイル156の電圧及びインダクタ電流iとを示す。横軸は時間を表す。全ての時間軸は同じである。第3コイル156の電圧は、センタータップと第3コイル156の端子との間の電圧、即ち、第3コイル156の両端間の電圧V3の1/2の電圧(V3/2と表記)である(図3参照)。インダクタ電流は、第1インダクタL1に流れるインダクタ電流i(図3参照)である。トランス104に関して、第1コイル152の巻き数、第2コイル154の巻き数、及び、第3コイル156のセンタータップと端子との間の巻き数の比は、n1:n2:1(n1≠n2)である。
図4及び図23と同様に、スイッチング素子Q1からQ8は位相シフト方式で制御される。スイッチング素子Q1からQ8は全て同じ周期Tで制御され、スイッチング素子Q1及びQ2は交互にデューティ50%でオンされ、スイッチング素子Q3及びQ4も交互にデューティ50%でオンされる。即ち、パルス幅が同じである(2つのパルス幅の差がスイッチング周期に対して十分に小さい(例えば数%以下)場合を含む)。スイッチング素子Q3は、スイッチング素子Q1に対して位相差を持ってオンされる。位相差は、図4及び図23とは異なり、パルス幅T/2(時間)であり、角度で表すとπ(rad)である。したがって、図4及び図23の場合とは異なり、スイッチング素子Q1及びQ4は同時にオンされ、スイッチング素子Q2及びQ3は同時にオンされる。スイッチング素子Q5及びQ6は交互にデューティ50%でオンされ、スイッチング素子Q7及びQ8も交互にデューティ50%でオンされる。スイッチング素子Q7はスイッチング素子Q5に対してパルス幅T0の位相差を持ってオンされる。さらに、スイッチング素子Q5はスイッチング素子Q1に対して時間Tpの位相差を持ってオンされる。時間Tpの位相差は、角度で表すと2π・Tp/T(rad)である。時間Tpを位相差として扱うので、第1実施形態と同様に、以下においても位相差Tpという。
これにより、スイッチング素子Q1からQ8のオン状態又はオフ状態に応じて、半周期(T/2)は3つの期間(時間t1からt3)に区分され、1周期は、12種類のモードに区分される。図25において、各モードの期間を、m1からm13を付した矢印で表す。モードm13は、モードm1と同じモードであるが、次の周期におけるモードであるので便宜上m13と表記している。モードm1、m3、m5、m7、m9及びm11は、いずれかのスイッチング素子がオンするタイミングに対応し、スイッチング素子がオンする直前からオンするまでの短期間を表す。例えば、モードm1においては、スイッチング素子Q1及びQ4がオンし、スイッチング素子Q2及びQ3がオフする。モードm3においては、スイッチング素子Q8がオンし、スイッチング素子Q7がオフする。モードm5においては、スイッチング素子Q5がオンし、スイッチング素子Q6がオフする。後半の半周期におけるモードm7、m9及びm11においては、それぞれモードm1、m3及びm5とは、オンオフするスイッチング素子が逆になる。例えば、モードm7においては、スイッチング素子Q2及びQ3がオンし、スイッチング素子Q1及びQ4がオフする。
モードm2、m4、m6、m8、m10及びm12は、モードm1、m3、m5、m7、m9及びm11のうち、隣接するモードにより挟まれる期間を表す。例えば、モードm2は、モードm1及びm3の間の期間を表し、モードm4は、モードm3及びm5の間の期間を表す。モードm2、m4、m6、m8、m10及びm12においては、各スイッチング素子の状態が維持され、いずれのスイッチング素子のオンオフ動作も行われない。
これにより、第1DC/AC変換回路102の出力電圧V1及び第2DC/AC変換回路106の入力電圧V2、及び、第3コイル156の電圧V3/2は、図25に示したように変化する。第1実施形態(図3参照)と同様に、系統からの電力供給による第1DC/AC変換回路102への入力電圧E1は、第2DC/AC変換回路106の出力電圧E2よりも大きい(E1>E2>0)としている。
以下に、図26から図32を参照して、各モードに関して具体的に説明する。図26から図32には、電力変換装置100の構成要素のうち、第1DC/AC変換回路102、トランス104及び第2DC/AC変換回路106のみを示す。第1実施形態(図3参照)と同様に、第1インダクタL1及び第2インダクタL2に流れる電流は、交流電源120側(電力系統)から高圧バッテリ126側に流れる向きを「正」とする。
(モードm1)
図26を参照して、モードm1において、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106には、太線の矢印で示すように電流が流れる。モードm1(モードm13と同じ)は、後述するように、モードm12においてオンであったスイッチング素子Q2及びQ3がオフし、オフであったスイッチング素子Q1及びQ4がオンする直前の状態であり(図25参照)、スイッチング素子Q1及びQ4の寄生ダイオードを介して、矢印で示す方向に電流が流れる。第2DC/AC変換回路106に関しては、スイッチング素子Q5からQ8のオンオフ状態(図25参照)は、モードm12と同じであり、オンしているスイッチング素子Q6及びQ7を介して、矢印で示す方向に電流が流れる。第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106は共に、DC電圧接続モードにある。
(モードm2)
図27を参照して、モードm2において、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106には、太線の矢印で示すように電流が流れる。第1DC/AC変換回路102においては、オンされたスイッチング素子Q1及びQ4(図25参照)を介して、矢印で示す方向に電流が流れる。第2DC/AC変換回路106の各素子の状態は、モードm1から変化しない。即ち、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106は共に、DC電圧接続モードにある。
(モードm3)
図28を参照して、モードm3において、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106には、太線の矢印で示すように電流が流れる。モードm3は、上記したように、モードm2においてオンであったスイッチング素子Q7がオフし、オフであったスイッチング素子Q8がオンする直前の状態である(図25参照)。スイッチング素子Q1からQ4のオンオフ状態はモードm2から変化しない。したがって、第1DC/AC変換回路102には、矢印で示す方向に電流が流れる。V1=E1である。第1DC/AC変換回路102はDC電圧接続モードにある。第2DC/AC変換回路106には、スイッチング素子Q8の寄生ダイオードと、オンが維持されているスイッチング素子Q6とを介して、矢印で示す方向に電流が流れる。この状態は、電流が還流している状態(V2=0)であり、第2DC/AC変換回路106は還流モードにある。
(モードm4)
図29を参照して、モードm4において、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106には、太線の矢印で示すように電流が流れる。モードm4において、スイッチング素子Q8がオンする(図25参照)。スイッチング素子Q1からQ4のオンオフ状態はモードm3から変化しない。したがって、第1DC/AC変換回路102には、矢印で示す方向に電流が流れ、V1=E1が維持される。即ち、第1DC/AC変換回路102はDC電圧接続モードに維持される。第2DC/AC変換回路106には、スイッチング素子Q6及びQ8を介して、矢印で示す方向に電流が流れる。即ち、第2DC/AC変換回路106は還流モード(V2=0)に維持される。
(モードm5)
図30を参照して、モードm5において、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106には、太線の矢印で示すように電流が流れる。モードm5は、モードm4においてオンであったスイッチング素子Q6がオフし、オフであったスイッチング素子Q5がオンする直前の状態である(図25参照)。スイッチング素子Q1からQ4のオンオフ状態はモードm4から変化しない。したがって、第1DC/AC変換回路102には、矢印で示す方向に電流が流れ、V1=E1が維持される。第2DC/AC変換回路106には、スイッチング素子Q5の寄生ダイオードと、オンが維持されているスイッチング素子Q8とを介して、矢印で示す方向に電流が流れ、V2=E2となる。即ち、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106は共に、DC電圧接続モードにある。
(モードm6)
図31を参照して、モードm6において、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106には、太線の矢印で示すように電流が流れる。モードm6において、スイッチング素子Q5がオンする(図25参照)。スイッチング素子Q1からQ4のオンオフ状態はモードm5から変化しない。したがって、第1DC/AC変換回路102には、矢印で示す方向に電流が流れ、V1=E1が維持される。第2DC/AC変換回路106には、スイッチング素子Q5及びQ8を介して、矢印で示す方向に電流が流れる。V2=E2が維持される。即ち、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106は共に、DC電圧接続モードに維持される。
1周期の後半の半周期も、前半の半周期の6つのモードm1からm6と同様に、6つのモードm7からm12により構成される。モードm7からm12における各スイッチング素子のオンオフ制御は、それぞれモードm1からm6における各スイッチング素子のオンオフ制御を逆にしたものである。したがって、電圧V1及びV2の正負は、前半の半周期とは逆になる。
(モードm12)
例えば、モードm12においては、図32を参照して、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106には、太線の矢印で示すように電流が流れる。モードm12は、モードm6(図31参照)においてスイッチング素子Q1からQ8のオンオフ状態を逆にしたものである(図25参照)。モードm12においては、V1=-E1、V2=-E2である。モードm12に続くモードm13(モードm1)においては、スイッチング素子Q2及びQ3がオフし、スイッチング素子Q1及びQ4がオンする直前の状態である。したがって、図26に示したように、第1インダクタL1を充電していた電流は、スイッチング素子Q1及びQ4の寄生ダイオードを介して流れる。即ち、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106は共に、DC電圧接続モードにある。
モードm1からm12が繰返されることにより、インダクタ電流は、図25に示したように変化する。図25に示した、インダクタ電流のグラフにおける電流値aからdは、次式で表される。電流値eからgはそれぞれ、電流値bからdの正負を逆にした値であり、g=aである。電流値aからgは実数値である。
Figure 0006996661000013
L=L1+L2・(n1/n2)として、上記の式を書き直すと、式14から式17のようになる。上記したように、第1コイル152の巻き数:第2コイル154の巻き数=n1:n2である。
Figure 0006996661000014
高圧バッテリ126に伝送される単位時間当たりのエネルギー(電力P)は、図25に示した電圧V1及びインダクタ電流の積を、モードm1からm6の期間に渡って積分した値を2倍し、周期Tで除算する(周波数fを乗算する)ことにより算出できる。具体的には、電力Pは次式で表される。f=1/Tである。
Figure 0006996661000015
電力Pを表す上式を、式14から式17と、L=L1+L2・(n1/n2)とを用いて、書き直すと、式18のようになる。
Figure 0006996661000016
式18から、電力Pは、パルス幅T0及び位相差Tpに依存することが分かる。したがって、第1実施形態と同様に、パルス幅T0及び位相差Tpの少なくとも一方を調整することにより、電力Pを所望の値に設定できる。
上記では、電力系統から高圧バッテリへ電力伝送する場合(電圧V1の立上りに対して、電圧V2の立上りが遅い場合)を説明したが、電圧V1の立上りに対して、電圧V2の立上りを早くすることにより、高圧バッテリから電力系統への電力供給が可能になる。
モードm1からm12が繰返されることにより、第3コイル156の電圧(センタータップと第3コイル156の端子との間の電圧)V3/2は、図25に示したように変化する。ここでは、図33に示すように、トランス104の高圧側(高圧バッテリ126側)及び低圧側(低圧バッテリ側134)を電力系統側に換算した等価回路を用いた。モードm2においては、電圧V3/2は、電圧V1がインダクタL1及びL2’で分圧された値から、電圧V2がインダクタL1及びL2’で分圧された値を減算して得られる値となる。モードm4においては、電圧V3/2は、電圧V1がインダクタL1及びL2’で分圧された値となる。モードm6においては、電圧V3/2は、電圧V1がインダクタL1及びL2’で分圧された値と、電圧V2がインダクタL1及びL2’で分圧された値とを加算して得られる値となる。
整流回路108の出力電圧Voutは次式により表される。Voutは、図25に示したV3/2の波形を時間で積分して得られた値(斜線部分)を2倍し、半周期(T/2)で除して得られる値(実効値)である。L=L1+L2’=L1+L2・(n1/n2)2である。
Figure 0006996661000017
さらに、上式を、L2’=L2・(n1/n2)を用いて、書き直すと、式19のようになる。
Figure 0006996661000018
式19から、整流回路108の出力電圧Voutは、パルス幅T0及び位相差Tpに依存することが分かる。したがって、パルス幅T0及び位相差Tpの少なくとも一方を調整することにより、整流回路108の出力電圧Vout、即ち低圧バッテリ134に供給する電圧を、所望の値に設定できる。
したがって、電力変換装置100が適用されるシステムで使用される電圧E1及びE2、インダクタL1及びL2、並びに周期Tと、式18及び式19とを用いて、電力P及び電圧Voutがそれぞれ所望の値になるように、パルス幅T0及び位相差Tpを決定できる。例えば、系統側の電圧E1、高圧バッテリ側の電圧E2、低圧バッテリ134(例えば、鉛バッテリ)に供給する電圧Voutに応じてパルス幅T0を調整し、外部からの充放電要求指示に応じて位相差Tpを調整すれば、各回路ブロック間の電力伝達を任意に制御できる。
以下に、図25に示した制御方法において、各スイッチング素子のオン動作がソフトスイッチングになっていることを示す。各スイッチング素子がオンする直前に、対応する寄生ダイオードに電流が流れることによりドレインーソース間電圧が0になっていれば、スイッチング動作はソフトスイッチングとなる。この観点で、モードm1、m3、m5、m7、m9及びm11の各々において、オンするスイッチング素子のオン動作がソフトスイッチングとなる条件をまとめると、表3のようになる。表3には、モードm1、m3、m5、m7、m9及びm11においてオンするスイッチング素子と、そのオン動作がソフトスイッチングとなる条件を、表2と同様に、第1インダクタL1に流れる電流方向を用いて示す。
Figure 0006996661000019
図25に示したインダクタ電流(第1インダクタL1に流れる電流)を、表3に示した電流方向と比較すると、モードm1、m3、m5、m7、m9及びm11の全てにおいて整合している。即ち、図25に示した制御方法において、全てのスイッチング素子のオン動作はソフトスイッチングである。したがって、スイッチング素子のオン動作において、スイッチング損失が発生しない。
図25に示した制御方法におけるスイッチング素子のオン動作が全てソフトスイッチングであることは、シミュレーションによっても確認できた。図34は、図3に示した電力変換装置100を、図25に示した制御方法により動作させたシミュレーション結果を示す。図34には、奇数番号のスイッチング素子Q1、Q3、Q5及びQ7に関する波形、並びに、それにより生成される電圧V1及びV2を示す。縦軸は電圧を表し、横軸は時間を表す。全ての時間軸は同じであり、1目盛りは100nsec(ナノ秒)である。E1>E2であり(E1=500V、E2=400V)、電圧V1を実線で示し、電圧V2を破線で示す。各スイッチング素子の波形に関しては、ゲート-ソース間電圧を実線で表し、ドレイン-ソース間電圧を破線で表す。
一点鎖線の楕円で示された期間は、矢印で示す各モードに関して、対応するスイッチング素子がオンするときの過渡期間である。モードm5、m7、m9及びm13の全てにおいて、スイッチング素子がオンするとき(ゲート-ソース間電圧(実線)がローレベルからハイレベルに変化するとき)よりも少し前に、ドレイン-ソース間電圧(破線)が0になっている。したがって、スイッチング損失が発生せず、ソフトスイッチングが実現されている。偶数番号のスイッチング素子Q4、Q8、Q2及びQ6(モードm1、m3、m7及びm11においてオン)に関しても、ゲート-ソース間電圧がローレベルからハイレベルに変化するときよりも少し前に、ドレイン-ソース間電圧が0になっていることが確認された。
図25に示した制御方法によれば、電圧V1及びV2が同時に0にならないように、即ち、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106が同時に還流モードにならないように(インダクタ電流が一定にならないように)できる。これにより、スイッチング素子Q1からQ8のオン動作がハードスイッチングとなることを回避できる。
式18及び式19は、理想的な状態におけるものである。したがって、電力変換装置100をシステムに適用し、図25に示した制御方法により動作させる場合、必要に応じて、各回路ブロックの電圧及び電力を測定してフィードバック制御を行うことが好ましい。例えば、第1実施形態に関して上記したように、図1の構成において、第1出力部142及び第2出力部144のそれぞれに電力測定装置及び電圧測定装置(センサ等)を設ける。制御部110は、測定された信号値(電力P及び出力電圧Vout)を、それぞれの所望の値と比較して、フィードバック制御を行うことにより、誤差要因があっても、所望の電力伝達を実現できる。制御部110によるフィードバック制御は、例えば、図12に示したフローチャートと同様のものであればよい。
電力変換装置100を車両に搭載して、図25に示した制御方法により動作させる場合にも、第1実施形態と同様に電力変換装置100を動作させることができる。即ち、図13に示したように、車両200が電力系統に接続され、高圧バッテリ126及び低圧バッテリ134を充電できる。高圧バッテリ126の適切な充電電力及び低圧バッテリ134の充電に適した直流電圧は、上記したように、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106の制御信号(図25参照)において、パルス幅T0及び位相差Tpが調整されることにより生成される。
車両走行時には、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106は同じ位相の制御信号により、即ち、図25に示したスイッチング素子Q1からQ8の制御信号において、Tp=0とした制御信号により制御される。このとき、図14において太線の矢印で示したように、高圧バッテリ126の放電により、第2DC/AC変換回路106、トランス104及び整流回路108を介して、低圧バッテリ134に電力が供給される。
また、車両200を電力系統に接続し、高圧バッテリ126を放電させることができる(車両の放電動作)。即ち、図15において、左向きの太線の矢印で示すように、高圧バッテリ126側から交流電源120側に電力を供給できる。このとき、制御部110は、位相差Tpを負(Tp<0)に設定して、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106を構成するスイッチング素子Q1からQ8を制御すればよい。高圧バッテリ126の放電により電力系統側に供給される電力は、電力会社に販売しても、図16に示したように、電気製品等の負荷148に供給されてもよい。高圧バッテリ126から負荷148に電力を供給する場合、電力系統の有無は任意である。高圧バッテリ126から電力系統側に電力が供給される場合、車両200の走行時と同様に、低圧バッテリ134側へも電力供給できる(図15及び図16における右向きの矢印参照)。
(第2変形例)
電力変換装置100において、スイッチング素子Q1からQ8のオン動作をソフトスイッチングにする制御方法は、図25に示した制御方法(タイミングチャート)に限定されない。電圧V1及びV2が同時に0になることがないように、即ち、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106が同時に還流モードにならないように(インダクタ電流が一定にならないように)できればよい。例えば、図35に示す制御方法であってもよい。
図35において、図25と同様に、スイッチング素子Q1からQ8の各々の制御信号(ゲート電圧)と、それにより発生する第1DC/AC変換回路102の出力電圧V1、第2DC/AC変換回路106の入力電圧V2、第3コイル156の電圧V3/2及びインダクタ電流とを示す。横軸は時間を表す。全ての時間軸は同じである。図35の制御方法は、図25の制御方法と同様に、周期的に繰返されるモードm1からm12により構成される。
図35において、スイッチング素子Q1からQ8は図25と同様に制御される。図35において、図25と同様に、T0+Tp<Tである。TpとT/2との大小関係は、図25においてはTp<T/2であるのに対して、図35においてはTp>T/2である。これにより、図35に示した電圧V1の変化は図25と同様であるのに対して、図35に示した電圧V2及びV3/2の変化は、図25とは異なる。図35に示したインダクタ電流の変化も、図25とは異なる。しかし、電圧V1及びV2は同時に0になることはなく(第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106が同時に還流モードにならず)、インダクタ電流が一定になることはない。したがって、図35に示した制御方法において、スイッチング素子Q1からQ8のオン動作はソフトスイッチングである。
(第3変形例)
図25及び図35に示した制御方法においては、スイッチング素子Q3がスイッチング素子Q1に対してT/2の位相差を有しているが、これに限定されない。電力変換装置100において、スイッチング素子Q1からQ8のオン動作をソフトスイッチングにするには、図36に示す制御方法(タイミングチャート)であってもよい。図36において、図25と同様に、スイッチング素子Q1からQ8の各々の制御信号(ゲート電圧)と、それにより発生する第1DC/AC変換回路102の出力電圧V1、第2DC/AC変換回路106の入力電圧V2とを示す。横軸は時間を表す。全ての時間軸は同じである。図36の制御方法は、周期的に繰返される。半周期T/2は4つの期間に区切られており、各スイッチング素子の立上り直前の期間を1つのモードとして、16のモードにより構成される。
図36において、スイッチング素子Q1からQ8は図25と同様に制御される。但し、図25と異なり、スイッチング素子Q3はスイッチング素子Q1に対して、パルス幅T0の位相差を持ってオンされ、スイッチング素子Q7はスイッチング素子Q5に対してパルス幅T1の位相差を持ってオンされる。その結果、電圧V1及びV2は図36に示すように変化する。図36において、電圧V1及びV2は同時に0になることはなく(第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106が同時に還流モードにならず)、インダクタ電流が一定になることはない。したがって、図36に示した制御方法において、スイッチング素子Q1からQ8のオン動作はソフトスイッチングである。なお、図36において、T0=T/2とすれば、図25に示した制御方法になる。このとき、図36のパルス幅T1は、図25のパルス幅T0に対応する。
上記では、第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106の各々がフルブリッジ回路である場合を説明したが、これに限定されない。第1DC/AC変換回路102及び第2DC/AC変換回路106の各々は、例えばハーフブリッジ回路であってもよい。
上記では、第3コイル156がセンタータップ方式のコイルである場合を説明したが、これに限定されない。第3コイル156は、コイルの両端の間にタップを有しないコイルであってもよい。
上記では、スイッチング素子Q1からQ8の制御信号のデューティが50%である場合を説明したが、これに限定されない。直列接続されたスイッチング素子(スイッチング素子Q1及びQ2等)が、同時にオンされなければよく、デューティは50%以外の値(例えば48%)であってもよい。
上記では、電力変換装置100を構成する各スイッチング素子がN型のFETである場合を説明したが、これに限定されない。P型のFETを用いて、電力変換装置を構成するフルブリッジ回路及び整流回路を構成してもよい。
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
(付記1)
第1コイル、第2コイル及び第3コイルを含むトランスと、前記第1コイルに接続された第1変換回路と、前記第2コイルに接続された第2変換回路と、前記第3コイルに接続された整流回路とを含む電力変換装置の制御方法であって、
前記第1変換回路に、前記第1変換回路に入力される直流電圧を変換し、第1交流電圧を生成して前記第1コイルに供給させるステップと、
前記第2変換回路に、所定の第1直流電圧を出力するように、前記第2コイルに印加される第2交流電圧を決定させるステップと、
前記整流回路に、前記第3コイルから供給される第3交流電圧を整流して生成した電圧を出力させるステップとを含み、
前記第2交流電圧は、前記第1交流電圧に対して第1位相差を有し、
前記第1変換回路及び前記第2変換回路の一方が還流モードとなっているとき、前記第1変換回路及び前記第2変換回路の他方はDC電圧接続モードとなっている、制御方法。
以上、実施の形態を説明することにより本開示を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本開示は上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本開示の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
100 電力変換装置
102 第1DC/AC変換回路(第1変換回路)
104、170 トランス
106 第2DC/AC変換回路(第2変換回路)
108 整流回路
110 制御部
120 交流電源
122 PFC回路
124、C1 キャパシタ
126 高圧バッテリ
128 昇圧回路
130 インバータ回路
132 モータ
134 低圧バッテリ
136 補機系負荷
140 入力部
142 第1出力部
144 第2出力部
148 負荷
150 コア
152 第1コイル
154 第2コイル
156 第3コイル
160 CPU
162 メモリ
164 I/F部
172、174 電源
200 車両
300、302、304、306、308、310、312 ステップ
A、B、C、D、E、F、G、H、I 点
a、b、c、d、e、f、g、I0 電流値
i インダクタ電流
i3 チョーク電流
E1、E2、V0、V1、V2、V3、VL1、VL2、Vout 電圧
L1 第1インダクタ
L2 第2インダクタ
L3 チョークコイル
m1、m2、m3、m4、m5、m6、m7、m8、m9、m10、m11、m12、m13 モード
N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7 ノード
n、n1、n2 正の実数
s1、s2、s3、s4、s5、s6、s7、s8 タイミング
t1、t2、t3、t4 時間
T0、T1 パルス幅(時間)
Tp 位相差(時間)
T 周期
Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6、Q7、Q8、Q101、Q102 スイッチング素子

Claims (17)

  1. 第1コイル、第2コイル及び第3コイルを含むトランスと、
    前記第1コイルに接続された第1変換回路と、
    前記第2コイルに接続された第2変換回路と、
    前記第3コイルに接続された整流回路とを含み、
    前記第1変換回路は、前記第1変換回路に入力される直流電圧を変換し、第1交流電圧を生成して前記第1コイルに供給し、
    前記第2変換回路は、所定の第1直流電圧を出力するように、前記第2コイルに印加される第2交流電圧を決定し、
    前記整流回路は、前記第3コイルから供給される第3交流電圧を整流して生成した電圧を出力し、
    前記第2交流電圧は、前記第1交流電圧に対して第1位相差を有し、
    前記第1交流電圧及び前記第2交流電圧は、同じパルス幅を有し、
    前記第1変換回路及び前記第2変換回路の動作を制御する制御部をさらに含み、
    前記制御部は、前記整流回路から出力される前記電圧に応じて、前記パルス幅を調整する、電力変換装置。
  2. 前記制御部は、前記第1コイル及び前記第2コイルを介して、前記第1変換回路から前記第2変換回路に供給する電力、又は、前記第2変換回路から前記第1変換回路に供給する電力に応じて、前記第1位相差を調整する、請求項に記載の電力変換装置。
  3. 第1コイル、第2コイル及び第3コイルを含むトランスと、
    前記第1コイルに接続された第1変換回路と、
    前記第2コイルに接続された第2変換回路と、
    前記第3コイルに接続された整流回路とを含み、
    前記第1変換回路は、前記第1変換回路に入力される直流電圧を変換し、第1交流電圧を生成して前記第1コイルに供給し、
    前記第2変換回路は、所定の第1直流電圧を出力するように、前記第2コイルに印加される第2交流電圧を決定し、
    前記整流回路は、前記第3コイルから供給される第3交流電圧を整流して生成した電圧を出力し、
    前記第2交流電圧は、前記第1交流電圧に対して第1位相差を有し、
    前記第1変換回路及び前記第2変換回路の動作を制御する制御部をさらに含み、
    前記制御部は、前記整流回路から出力される前記電圧に応じて、前記第2交流電圧のパルス幅を調整し、
    前記第1変換回路及び前記第2変換回路の一方の変換回路が還流モードとなっているとき、前記第1変換回路及び前記第2変換回路の他方の変換回路はDC電圧接続モードとなっており、
    前記還流モードは、前記一方の変換回路の交流側の電圧が0となるように、前記一方の変換回路が動作するモードであり、
    前記DC電圧接続モードは、前記他方の変換回路の交流側の電圧が前記他方の変換回路の直流側の電圧と等しくなるように、前記他方の変換回路が動作するモードである、電力変換装置。
  4. 記制御部は、前記整流回路から出力される前記電圧、前記第1変換回路から前記第2変換回路に供給する電力、又は、前記第2変換回路から前記第1変換回路に供給する電力に応じて、前記第1位相差を調整する、請求項に記載の電力変換装置。
  5. 前記第1交流電圧のパルス幅は固定されている、請求項に記載の電力変換装置。
  6. 前記第1交流電圧及び前記第2交流電圧は、同じパルス幅を有する、請求項から請求項のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  7. 前記第1変換回路及び前記第2変換回路の各々は、複数のスイッチング素子により構成されるフルブリッジ回路である、請求項から請求項のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  8. 前記制御部は、前記第1変換回路及び前記第2変換回路の各々を構成する前記複数のスイッチング素子のオン及びオフを位相シフト方式で制御する、請求項に記載の電力変換装置。
  9. 高圧バッテリ及び低圧バッテリを含む車両に搭載され、
    前記高圧バッテリは、前記第2変換回路の出力部に接続され、
    前記低圧バッテリは、前記整流回路の出力部に接続される、請求項から請求項のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  10. 前記高圧バッテリの放電時に、
    前記第2変換回路は、前記第2変換回路に入力される直流電圧を変換し、第4交流電圧を生成して前記第2コイルに供給し、
    前記第1変換回路は、所定の第2直流電圧を出力するように、前記第1コイルから印加される第5交流電圧を決定し、
    前記第5交流電圧は、前記第4交流電圧に対して第2位相差を有する、請求項に記載の電力変換装置。
  11. 前記制御部は、
    前記第1変換回路の入力部が電力系統に接続されている状態で、前記電力系統により前記高圧バッテリを充電している期間、及び、前記第1変換回路の前記入力部が前記電力系統若しくは負荷に接続されている状態で、前記高圧バッテリが放電している期間である前記車両の充放電中は、前記第1変換回路及び前記第2変換回路を相互に異なる位相で駆動し、
    前記車両の充放電中以外は、前記第1変換回路及び前記第2変換回路を同じ位相で駆動する、請求項又は請求項10に記載の電力変換装置。
  12. 前記制御部は、
    前記第1変換回路の入力部が電力系統に接続されている状態で、前記高圧バッテリが充電又は放電しているとき、前記第1変換回路及び前記第2変換回路を相互に異なる位相で駆動し、
    前記第1変換回路の入力部が前記電力系統に接続されていない状態で、前記高圧バッテリが放電しているとき、前記第1変換回路を停止させ、前記第2変換回路を駆動させる、請求項又は請求項10に記載の電力変換装置。
  13. 前記第1コイルに直列接続された第1インダクタ、及び、前記第2コイルに直列接続された第2インダクタの少なくとも一方をさらに含み、
    前記第1インダクタを含む場合、前記第1変換回路により生成される前記第1交流電圧は、前記第1コイルに加えて、前記第1インダクタにも供給され、
    前記第2インダクタを含む場合、前記第2変換回路により決定される前記第2交流電圧は、前記第2コイルに加えて、前記第2インダクタにも印加される、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  14. 前記第3コイルは、センタータップを有するコイルであり、
    前記整流回路は、前記センタータップと前記整流回路の出力端子とを接続するチョークコイルを含む、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  15. 請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の電力変換装置を搭載した車両。
  16. 第1コイル、第2コイル及び第3コイルを含むトランスと、前記第1コイルに接続された第1変換回路と、前記第2コイルに接続された第2変換回路と、前記第3コイルに接続された整流回路と、前記第1変換回路及び前記第2変換回路の動作を制御する制御部とを含む電力変換装置の制御方法であって、
    前記第1変換回路に、前記第1変換回路に入力される直流電圧を変換し、第1交流電圧を生成して前記第1コイルに供給させるステップと、
    前記第2変換回路に、所定の第1直流電圧を出力するように、前記第2コイルに印加される第2交流電圧を決定させるステップと、
    前記整流回路に、前記第3コイルから供給される第3交流電圧を整流して生成した電圧を出力させるステップとを含み、
    前記第2交流電圧は、前記第1交流電圧に対して第1位相差を有し、
    前記第1交流電圧及び前記第2交流電圧は、同じパルス幅を有し、
    前記制御部に、前記整流回路から出力される前記電圧に応じて、前記パルス幅を調整させるステップをさらに含む、制御方法。
  17. 第1コイル、第2コイル及び第3コイルを含むトランスと、前記第1コイルに接続された第1変換回路と、前記第2コイルに接続された第2変換回路と、前記第3コイルに接続された整流回路とを含む電力変換装置の制御方法であって、
    前記第1変換回路に、前記第1変換回路に入力される直流電圧を変換し、第1交流電圧を生成して前記第1コイルに供給させるステップと、
    前記第2変換回路に、所定の第1直流電圧を出力するように、前記第2コイルに印加される第2交流電圧を決定させるステップと、
    前記整流回路に、前記第3コイルから供給される第3交流電圧を整流して生成した電圧を出力させるステップと
    前記整流回路から出力される前記電圧に応じて、前記第2交流電圧のパルス幅を調整するステップとを含み、
    前記第2交流電圧は、前記第1交流電圧に対して第1位相差を有し、
    前記第1変換回路及び前記第2変換回路の一方の変換回路が還流モードとなっているとき、前記第1変換回路及び前記第2変換回路の他方の変換回路はDC電圧接続モードとなっており、
    前記還流モードは、前記一方の変換回路の交流側の電圧が0となるように、前記一方の変換回路が動作するモードであり、
    前記DC電圧接続モードは、前記他方の変換回路の交流側の電圧が前記他方の変換回路の直流側の電圧と等しくなるように、前記他方の変換回路が動作するモードである、制御方法。
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