JP6996053B2 - 有床義歯の製造方法 - Google Patents

有床義歯の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6996053B2
JP6996053B2 JP2015230735A JP2015230735A JP6996053B2 JP 6996053 B2 JP6996053 B2 JP 6996053B2 JP 2015230735 A JP2015230735 A JP 2015230735A JP 2015230735 A JP2015230735 A JP 2015230735A JP 6996053 B2 JP6996053 B2 JP 6996053B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
artificial tooth
denture base
denture
acrylic resin
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015230735A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017093900A (ja
Inventor
真帆 奥村
在 長谷川
奈緒之 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP2015230735A priority Critical patent/JP6996053B2/ja
Publication of JP2017093900A publication Critical patent/JP2017093900A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6996053B2 publication Critical patent/JP6996053B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Dental Prosthetics (AREA)

Description

本発明は、有床義歯の製造方法に関する。
近年、CAD/CAM(Computer Aided Design and Computer Aided Manufacturing)システムを利用した義歯床及び有床義歯の製造が提案されている。義歯床及び有床義歯の製造においてCAD/CAMシステムを導入することにより、作業の効率化が図られ、品質のバラツキを抑えることが可能となるといったメリットがある。
また、CAD/CAMシステムを利用して有床義歯を作製する際、CAD/CAMシステムにより切削して義歯床を作製し、作製された義歯床に人工歯を接着する工程が存在する。このとき、義歯床のソケット部に接着剤として歯科用義歯床用レジン(以下、単に「レジン」とも称する。)を滴下し、手作業で人工歯をソケット部にはめた後にレジンを重合させて接着する。接着剤として用いられるレジンは、ポリマー粉とモノマー液とを混合させてなり、混合直後は低粘度であるが、室温にて時間経過とともに粘度が高くなり固まるものである。
義歯床に人工歯を接着する技術としては、種々の方法が開示されている。
例えば、レジン床の表面に形成された人工歯配列用の凹部が表面改質され、表面改質された凹部に接着剤を介してレジン歯を接着すること、及び、接着剤(レジン)として自己接着タイプのスーパーボンドを使用することが開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
また、人工歯の基底面にプライマー処理を施した後、プライマー処理された面に即時重合レジンを塗布して接着層を形成し、人工歯と床とを接着することが開示されている(例えば、特許文献2を参照)。
特開2014-155878号公報 特開2008-289839号公報
特許文献1、2に記載されているレジンは、混合直後は低粘度であるが、時間経過とともに粘度が高くなるため、ソケット部にレジンを滴下して人工歯をソケット部に配置する際にレジンが重合により徐々に硬化してしまい、取り扱いが容易ではない。
さらに、レジンの重合によりソケット部に配置された人工歯が固定されると、人工歯を動かすことができなくなり、また、固定された人工歯を取り外して位置調整を試みると義歯床が損傷してしまう。そのため、人工歯をソケット部に配置して時間が経過すると人工歯の位置修正又は微調整ができないという問題がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされてものであり、人工歯を義歯床のソケット部に配置する際に人工歯の位置修正又は微調整が可能である有床義歯の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を達成するための具体的手段は、以下の通りである。
<1> 人工歯を義歯床に歯科用複合レジンを用いて接着する段階を有する接着工程を含む有床義歯の製造方法。
<2> 前記接着工程は、接着された前記人工歯を前記義歯床にアクリル系レジンを用いて本接着する段階を更に有する<1>に記載の有床義歯の製造方法。
<3> 前記歯科用複合レジンは、光重合性のコンポジットレジンである<1>又は<2>に記載の有床義歯の製造方法。
<4> 前記接着工程の前に、CAD/CAMシステムにより前記義歯床を作製する作製工程を更に含む<1>~<3>のいずれか1つに記載の有床義歯の製造方法。
本発明によれば、人工歯を義歯床のソケット部に配置する際に人工歯の位置修正又は微調整が可能である有床義歯の製造方法を提供することができる。
<有床義歯の製造方法>
以下に、本発明に係る有床義歯の製造方法の一実施形態について説明する。
本発明の一実施形態に係る有床義歯の製造方法は、人工歯を義歯床に歯科用複合レジンを用いて接着する段階を有する接着工程を含む。また、本実施形態に係る有床義歯の製造方法では、接着工程は、接着された人工歯を義歯床にアクリル系レジンを用いて本接着する段階を更に有することが好ましい。
本実施形態に係る有床義歯の製造方法では、歯科用複合レジンを用いて人工歯を義歯床に接着する。これにより、人工歯を義歯床のソケット部に配置する際に人工歯の位置修正又は微調整が可能となる。なお、ソケット部とは、義歯床における人工歯が配置される窪み部分である。
また、接着された人工歯を、アクリル系レジンを用いて義歯床に本接着することで、人工歯の本接着に用いるアクリル系レジンの量を適切に調整でき、アクリル系レジンのはみ出しが抑制される。
通常、接着後の人工歯の脱落を防ぐため、義歯床のソケット部に滴下するアクリル系レジンを多めにする必要がある。しかし、多めにアクリル系レジンを滴下すると、人工歯をソケット部に配置する際にアクリル系レジンがはみ出てしまい、義歯床が汚染されるという問題が生じ、また、審美性にも問題が生じる。さらに、接着性の点から義歯床及びアクリル系レジンが同じ材料からなることが好ましいが、この場合にはみ出たアクリル系レジンを簡単に除去することができず、技工用エンジンで後処理してはみ出たアクリル系レジンを除去する必要があり、煩雑となる。
また、滴下するアクリル系レジンの適量は、ソケット部と人工歯との関係で決まるため、ソケットごとに滴下するアクリル系レジンの適量を予め算出することは現実的ではない。
さらに、人工歯はソケット部内で遊びがあるため、アクリル系レジンの表面張力により人工歯が浮き上がってしまい、浮き上がりを抑えた適切な位置で複数の人工歯を接着することは困難である。
一方、本実施形態に係る有床義歯の製造方法では、歯科用複合レジンを用いて人工歯を義歯床に接着した後に、アクリル系レジンを用いて義歯床に人工歯を本接着する。より具体的には、ソケット部と人工歯との隙間からアクリル系レジンを注入することで義歯床に人工歯を本接着する。このとき、歯科用複合レジンにより人工歯が義歯床に接着されているため、アクリル系レジンの注入により人工歯の浮き上がりが生じず、浮き上がりを抑えた適切な位置で複数の人工歯を本接着することができる。
さらに、本実施形態に係る有床義歯の製造方法では、接着された人工歯を、アクリル系レジンを用いて義歯床に本接着するため、アクリル系レジンの量を適切に調整することが容易であり、アクリル系レジンのはみ出しが抑制される。そのため、はみ出たアクリル系レジンによる義歯床又は人工歯の汚染が抑制され、はみ出たアクリル系レジンを除去する後処理をすることなく審美性に優れた有床義歯を製造することができる。また、後処理が不要であるため、作業時間の短縮を図ることができる。
以下、本実施形態に係る有床義歯の製造方法にて用いる義歯床、人工歯、歯科用複合レジン、アクリル系レジンについて説明する。
(義歯床)
本実施形態にて用いる義歯床の材質としては、特に限定されないが、CAD/CAMシステムに適している点及び市販のアクリル系樹脂製のレジン歯との接着性に優れる点から、アクリル系樹脂が好ましい。
ここで、アクリル系樹脂とは、アクリル酸に由来する構造単位、メタクリル酸に由来する構造単位、アクリル酸エステルに由来する構造単位、及びメタクリル酸エステルに由来する構造単位からなる群から選択される少なくとも1種を含む重合体を指す。
即ち、本明細書中におけるアクリル系樹脂は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種(以下、「アクリル系単量体」ともいう)を含む単量体成分を重合して得られた重合体である。
アクリル系樹脂の原料の少なくとも一部であるアクリル系単量体は、単官能アクリル系単量体であってもよいし、多官能アクリル系単量体であってもよい。
単官能アクリル系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、一分子中にアクリロイル基を1つ含むアクリル酸エステル、一分子中にメタクリロイル基を1つ含むメタクリル酸エステル、等が挙げられる。
多官能アクリル系単量体としては、一分子中にアクリロイル基を2つ以上含むアクリル酸エステル、一分子中にメタクリロイル基を2つ以上含むメタクリル酸エステル、等が挙げられる。
上記アクリル酸エステルとしては、アクリル酸アルキルエステルが好ましい。中でも、アルキルエステルの部位に含まれるアルキル基の炭素数が1~4であるアクリル酸アルキルエステルがより好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが更に好ましく、アクリル酸メチルが特に好ましい。
上記メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸アルキルエステルが好ましい。中でも、アルキルエステルの部位に含まれるアルキル基の炭素数が1~4であるメタクリル酸アルキルエステルがより好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルが更に好ましく、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
また、アクリル系樹脂は、反応性や生産性の観点から、単官能アクリル系単量体を含む単量体成分を重合して得られた重合体であることが好ましい。
アクリル系樹脂は、単官能アクリル系単量体を50質量%以上(好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上)含む単量体成分を重合して得られた重合体であることがより好ましい。
上記アクリル系樹脂として、特に好ましくは、メタクリル酸メチルに由来する構造単位を含む重合体であり、最も好ましくはメタクリル酸メチルの単独重合体(ポリメタクリル酸メチル、即ち、ポリメチルメタクリレート(PMMA))である。
上記アクリル系樹脂は、耐衝撃性の観点から、ゴムを含んでいてもよい。
ゴムの種類としては、アクリル系ゴム、ブタジエン系ゴム、ブタジエン-アクリル系ゴム、ブタジエン-スチレン系ゴム、シリコーン系ゴム、等が挙げられる。
上記アクリル系樹脂がゴムを含む場合、ゴムの種類は、適宜物性を考慮して選択すればよいが、硬度、耐衝撃性等の諸物性のバランスを考慮すると、ブタジエン系ゴム又はブタジエン-アクリル系ゴムが好ましい。
義歯床は、審美性の観点から、歯肉に近い色調に着色されていてもよい。義歯床の着色には、例えば、顔料、染料、色素などを使用すればよい。
義歯床は、全部床義歯(いわゆる総入れ歯)用の義歯床であってもよいし、局部床義歯(いわゆる部分入れ歯)用の義歯床であってもよい。
また、義歯床は、上顎用義歯の義歯床であってもよいし、下顎用義歯の義歯床であってもよいし、上顎用義歯床と下顎用義歯床とのセットであってもよい。
また、義歯床としては、後述する作製工程にて作製した義歯床を用いてもよく、CAD/CAMシステムにより作製された義歯床を入手して、その義歯床を用いてもよい。
(人工歯)
人工歯としては、例えば、アクリル系樹脂製のレジン歯、硬質レジン歯などが挙げられる。また、人工歯は、充填剤等を含有していてもよい。
(歯科用複合レジン)
本実施形態では、人工歯を義歯床に接着するために歯科用複合レジンが用いられる。歯科用複合レジンとしては、成形修復材料、歯冠補綴用材料、歯科用充填剤などのコンポジットレジン(修復材料)、自己接着性セメントなどが挙げられる。
コンポジットレジンは、例えば、マトリックスレジンとしてジメタクリレートを含み、その他に無機フィラー、シランカップリング剤などを含んでいてもよい。ジメタクリレートとしては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート(Bis-GMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、ウレタンジメタクリレート(UDMA)が挙げられる。
自己接着性セメントとしては、例えば、マトリックスレジンとしてポリメチルメタクリレート(PMMA)や前述のジメタクリレートを含み、その他に接着性物質、フィラーなどを含んでいてもよい。
また、コンポジットレジンとしては、低粘度及び低弾性であるフロアブルタイプ、高粘度及び高弾性であるペーストタイプなどが挙げられる。
人工歯を義歯床に接着するために用いるコンポジットレジンは、人工歯を義歯床に仮接着(仮留め)できる程度の接着力を有するものであってもよい。なお、本明細書において、仮接着とは、接着後(光重合性のコンポジットレジンでは、光硬化後)に、人工歯と義歯床との位置関係が維持される程度に人工歯が義歯床に固定され、かつソケット部と人工歯との隙間からアクリル系レジンを注入した際に人工歯と義歯床との位置関係が変わらない程度に人工歯が義歯床に固定されていることをいう。
また、人工歯の位置修正又は微調整をより好適に可能とする点から、光重合性のコンポジットレジンを用いることが好ましい。光重合性のコンポジットレジンを用いることにより、義歯床のソケット部に築盛されたコンポジットレジンが光照射前にて硬化しないため、取り扱い性に優れ、人工歯の位置修正又は微調整が容易である。また、光重合性のコンポジットレジンを用いることにより、硬化後の仮接着は、接着力が比較的弱いため、容易に義歯床からの人工歯の取り外しが可能であり、また、人工歯を取り外した後、義歯床のソケット部にコンポジットレジンを築盛して義歯床と人工歯との再度の仮接着が可能となる。そのため、人工歯のシェード(色調)を間違えた場合や硬化操作時に人工歯の位置にズレが生じた場合などに、硬化後であっても容易に義歯床からの人工歯の取り外しが可能となるため、再度仮接着することによる位置修正が容易である。
光重合性のコンポジットレジンとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルなどの重合性化合物、無機充填剤、光重合開始剤などを含むものであってもよく、さらに、重合促進剤を含むものであってもよい。
また、市販のコンポジットレジンとしては、例えば、ビューティフィルII(株式会社松風製)、レボテック(株式会社ジーシー製)などが挙げられる。
(アクリル系レジン)
本実施形態では、接着された人工歯を義歯床に本接着するためにアクリル系レジンが用いられる。アクリル系レジンとしては、義歯床と人工歯との本接着が可能なものであれば特に限定されず、市販品(例えば、義歯床用レジン)を用いてもよい。
なお、本明細書において、本接着とは、有床義歯としての使用が可能な程度に人工歯が義歯床に固定されていることをいう。
アクリル系レジンとしては、ポリマー粉とモノマー液とを混合させたものを用いてもよく、ソケット部と人工歯との隙間にアクリル系レジンを注入する場合、混合直後の低粘度のアクリル系レジンを用いることが好ましい。ポリマー粉としては、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂が挙げられ、モノマー液としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどのメタクリル酸エステルが挙げられる。また、アクリル系レジンは、他の成分として、4-META(4-メタクリルオキシエチルトリメリット酸無水物)などの拡散促進モノマー、TBB(トリ-n-ブチルボラン)などの常温重合開始剤(あるいは、熱重合開始剤)、重合禁止剤、着色剤などを含んでいてもよい。
また、市販のアクリル系レジンとしては、例えば、アクロン(株式会社ジーシー製)、パラエクスプレスウルトラ(ヘレウスクルツァー社製)などが挙げられる。
以下、本実施形態に係る有床義歯の製造方法における各工程(接着工程、作製工程)について具体的に説明する。なお、歯科用複合レジンとして、光重合性のコンポジットレジン(以下、コンポジットレジンと表記)を用いた場合について説明する。
(接着工程)
本実施形態に係る有床義歯の製造方法では、接着工程は、人工歯を義歯床にコンポジットレジンを用いて接着する段階を有し、必要に応じて、接着された人工歯を義歯床にアクリル系レジンを用いて本接着する段階を更に有する。
人工歯を義歯床にコンポジットレジンを用いて接着するには、具体的には、後述するように、(1)義歯床のソケット部にコンポジットレジンを築盛し、(2)コンポジットレジンが築盛されたソケット部にて、人工歯を適切な位置に配置し、(3)人工歯を適切な位置に配置した後、コンポジットレジンに光(例えば、可視光)を照射してコンポジットレジンを重合させればよい。
また、接着された人工歯を義歯床にアクリル系レジンを用いて本接着するには、具体的には、後述するように、(1)人工歯を義歯床に接着させた後、ソケット部と人工歯との隙間からアクリル系レジンを注入し、(2)注入したアクリル系レジンを常温で重合させる、あるいは加熱して重合させればよい。
なお、コンポジットレジンを用いて人工歯を義歯床に接着した際に有床義歯としての使用が可能な程度に人工歯が義歯床に固定されていれば、接着された人工歯を、アクリル系レジンを用いて義歯床に本接着する処理は必須ではない。
本実施形態における接着工程では、まず義歯床のソケット部にコンポジットレジンを築盛する。ソケット部に築盛するコンポジットレジンの量は、特に限定されないが、人工歯を義歯床に接着(仮接着)することが可能な量であり、かつコンポジットレジンが築盛されたソケット部に人工歯を配置したときにコンポジットレジンがはみ出さない程度の量であることが好ましい。
本実施形態における接着工程では、コンポジットレジンが築盛されたソケット部にて、人工歯を適切な位置に配置する。このとき、光重合性のコンポジットレジンを用いることにより、人工歯の位置修正又は微調整がより好適に可能となる。特に、人工歯の位置修正又は微調整として、咬合調整のための歯の高さ調整が可能となり好ましい。
人工歯を適切な位置に配置した後、コンポジットレジンに光(例えば、可視光)を照射してコンポジットレジンを重合させる。これにより、人工歯が義歯床に接着される。
人工歯を義歯床に接着させた後、ソケット部と人工歯との隙間からアクリル系レジンを注入する。このとき、義歯床と人工歯とが接着して固定されているため、人工歯の揺動が抑制されるとともに人工歯の浮き上がりが抑制される。
また、ソケット部と人工歯との隙間からアクリル系レジンの量を確認しながらアクリル系レジンを注入できるため、上記隙間からアクリル系レジンがはみ出して人工歯や義歯床の周囲が汚染されることが抑制される。
アクリル系レジンは、ソケット部からあふれ出ない程度に表面張力で液面が盛り上がるまで、ソケット部と人工歯との隙間に注入されることが好ましい。アクリル系レジンは重合により収縮するため、外見上の問題が生じることが抑制され好ましい。
また、上記隙間に注入されるアクリル系レジンとしては、前述のように、ポリマー粉とモノマー液とを混合した直後の低粘度のアクリル系レジンを用いることが好ましい。
ソケット部と人工歯との隙間にアクリル系レジンを注入させた後、アクリル系レジンを常温で重合させる、あるいは加熱して重合させる。これにより、人工歯が義歯床に本接着され、有床義歯を製造することができる。
(作製工程)
本実施形態に係る有床義歯の製造方法は、接着工程の前に、CAD/CAMシステムにより義歯床を作製する作製工程を更に含んでいてもよい。
作製工程としては、CAD/CAMシステムにより義歯床を作製する公知の方法であってもよく、例えば、人工歯の三次元形状を示す人工歯形状データを取得する段階と、人工歯形状データを用いて有床義歯の三次元モデルを作成する段階と、有床義歯の三次元モデルから人工歯形状データに対応する形状部分を削除することにより、義歯床の三次元形状を示す義歯床形状データを作成する段階と、義歯床形状データに基づいて義歯床を製作する段階と、を含んでいればよい。
さらに、本実施形態に係る有床義歯の製造方法は、義歯床形状データに基づいてNC(numerical control)データを作成する段階を更に含み、義歯床を製作する段階において、NCデータが入力されたNC工作機械を用いて義歯床を製作することが好ましい。また、義歯床を製作する段階において、義歯床形状データが入力された三次元プリンタを用いて義歯床を製作してもよい。三次元プリンタは、CAD/CAMシステムを用いて作成された形状データに基づいて、一層ずつ材料を積層することにより造形する積層造形装置である。本工程において使用し得る三次元プリンタは、光造形方式、粉末焼結積層方式、熱溶解積層方式およびインクジェット方式のいずれの方式を採用するものであってもよい。
以下、本発明の実施形態を実施例により更に具体的に説明するが、本実施形態はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例〕
CAD/CAMシステムを用いて作製したアクリル系樹脂製の義歯床の人工歯ソケット部に、仮接着剤(歯科用複合レジン)として株式会社松風製のビューティフィルIIを各ソケット部に少量(約0.1g)築盛した後、人工歯としてアクリル系樹脂製のレジン歯を、仮接着剤が築盛されたソケット部の所定の位置に配置した後、可視光照射器で30秒照射し仮接着剤を硬化させ、義歯床に人工歯を仮接着させた。次に、人工歯の位置修正を行う必要があったため、仮接着させた人工歯を取り外し、仮接着剤の築盛以降の同様の処理を行い、義歯床に人工歯を再度仮接着させた。その後、アクリル系レジンとしてヘレウスクルツァー社製パラエクスプレスウルトラを人工歯の隙間に流し込み、アクリル系レジンを重合させて人工歯と義歯床とを接着させ、有床義歯を作製した。
〔比較例〕
CAD/CAMシステムを用いて作製したアクリル系樹脂製の義歯床の人工歯ソケット部に、アクリル系レジンとしてヘレウスクルツァー社製パラエクスプレスウルトラを滴下した後、人工歯としてアクリル系樹脂製のレジン歯を、アクリル系レジンが滴下されたソケット部の所定の場所に静置した。人工歯が浮き上がるのを防ぐため、接着剤が硬化するまで指で押さえ続け、有床義歯を作製した。
実施例に示す手順で有床義歯を作製した場合、仮接着剤で仮接着した人工歯は取り外しが容易であり、配列修正や誤接着があったときに取り替えて再配列することが可能であった。
一方、比較例に示す手順で有床義歯を作製した場合、接着剤のはみ出しが発生したり、指で人工歯を押さえ続けている間に人工歯のズレが生じたりするという問題が生じた。また、ズレ修正のため人工歯を義歯床から取り外そうと試みたが取り外すことはできなかった。

Claims (3)

  1. 人工歯を義歯床に歯科用複合レジンを用いて接着する段階と、
    前記接着する段階の後に、接着された前記人工歯を前記義歯床にアクリル系レジンを用いて本接着する段階と、
    を有する接着工程を含み、
    前記義歯床の材質はアクリル系樹脂であり、
    前記アクリル系レジンは、ポリマー粉と、モノマー液と、常温重合開始剤又は熱重合開始剤と、を含み、
    前記歯科用複合レジンは、光重合性のコンポジットレジンである有床義歯の製造方法。
  2. 前記接着工程の前に、CAD/CAMシステムにより前記義歯床を作製する作製工程を更に含む請求項1に記載の有床義歯の製造方法。
  3. 前記本接着する段階では、前記アクリル系レジンを常温で重合させる、あるいは加熱して重合させて前記人工歯を前記義歯床に本接着する請求項1又は請求項2に記載の有床義歯の製造方法。
JP2015230735A 2015-11-26 2015-11-26 有床義歯の製造方法 Active JP6996053B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015230735A JP6996053B2 (ja) 2015-11-26 2015-11-26 有床義歯の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015230735A JP6996053B2 (ja) 2015-11-26 2015-11-26 有床義歯の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017093900A JP2017093900A (ja) 2017-06-01
JP6996053B2 true JP6996053B2 (ja) 2022-01-17

Family

ID=58804552

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015230735A Active JP6996053B2 (ja) 2015-11-26 2015-11-26 有床義歯の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6996053B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019099957A (ja) * 2017-12-05 2019-06-24 孝子 椎原 まつ毛エクステンションの施術方法
JP7412710B2 (ja) 2020-07-01 2024-01-15 株式会社トクヤマデンタル 義歯の作製方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011167483A (ja) 2010-02-18 2011-09-01 Yukinori Shimada 楔溝部を設けた人工歯
JP2014155878A (ja) 2008-11-20 2014-08-28 Tokyo Medical And Dental Univ 有床義歯の製造方法

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3644996A (en) * 1969-09-29 1972-02-29 Milton L Weinkle Prefabricated denture construction and method
JPS6150560A (ja) * 1984-08-21 1986-03-12 住友化学工業株式会社 樹脂製義歯床
JPS61125340A (ja) * 1984-11-24 1986-06-13 株式会社 モリタ東京製作所 義歯床の製造方法及び装置
JPS61152607A (ja) * 1984-12-26 1986-07-11 Sumitomo Chem Co Ltd 強化された樹脂製義歯床
JPS62339A (ja) * 1985-06-24 1987-01-06 住友化学工業株式会社 熱可塑性樹脂製義歯床
JPH101408A (ja) * 1996-06-14 1998-01-06 Showa Yakuhin Kako Kk 歯科用接着剤
JP4155762B2 (ja) * 2002-06-14 2008-09-24 株式会社シケン 有床義歯
JP2008023104A (ja) * 2006-07-21 2008-02-07 Shiken:Kk 有床義歯とこれに使用される人工歯
JP2011026551A (ja) * 2009-05-21 2011-02-10 Kaneka Corp 紫外線硬化型粘接着剤組成物
JP5135570B2 (ja) * 2010-02-25 2013-02-06 太美雄 大前 口腔内密着装着体の製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014155878A (ja) 2008-11-20 2014-08-28 Tokyo Medical And Dental Univ 有床義歯の製造方法
JP2011167483A (ja) 2010-02-18 2011-09-01 Yukinori Shimada 楔溝部を設けた人工歯

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017093900A (ja) 2017-06-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7036810B2 (ja) 層状歯科用製品を製造するための3次元造形材料系および方法
JP6781816B2 (ja) 義歯床及びその製造方法、人工歯及びその製造方法並びに有床義歯及びその製造方法
US10433939B2 (en) Multiple layered denture block and/or disk
US11273019B2 (en) Method for producing a dental prosthesis
US7217131B2 (en) Method for dental restoration and kit
JP6522103B2 (ja) 歯科補綴物の製造方法
CN102655820A (zh) 由数字压力取样的数据通过cad/cam和快速制造/快速成型制造个体化假牙的方法
US20150257984A1 (en) Long lasting dental restorations and methods for preparation thereof
JP2018509248A (ja) 部分義歯または総義歯を作製する方法およびこの方法に従って得られる補綴物
JP5110845B2 (ja) 歯科貴金属接着性オペークペースト
JP6996053B2 (ja) 有床義歯の製造方法
JPH0563176B2 (ja)
JP7120506B2 (ja) 義歯床、義歯床の製造方法、有床義歯及び有床義歯の製造方法
JP6604791B2 (ja) 光透過性を有する1ペースト型の可視光硬化性シリコーン組成物、及びこれを用いた光硬化性樹脂成型物の作製方法
JP2018089011A (ja) 有床義歯の製造方法
JPH05241499A (ja) 歯牙模型
JP2001139411A (ja) 歯科用コンポジットレジン
KR102410507B1 (ko) 절삭가공용 어버트먼트 일체형 보철블록 및 그 제작방법
JP2017184862A (ja) 基礎床形成用シートおよびそれを用いた基礎床、有床義歯の製造方法
JPWO2021187056A5 (ja)
Rivera Shear Bond Strength of Methacrylate Resins to 3DPrinted Photoreactive Resins
Rueggeberg et al. Insights into light curing: A special issue
Basir et al. Comparison of direct and indirect composite resin restorations effect on the fracture resistance of maxillary premolars (An in vitro study)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180807

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190515

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190521

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190625

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191112

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191206

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200623

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200731

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20201222

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210226

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20210226

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20210309

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20210316

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20210528

C211 Notice of termination of reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C211

Effective date: 20210601

C22 Notice of designation (change) of administrative judge

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C22

Effective date: 20210810

C23 Notice of termination of proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C23

Effective date: 20211005

C03 Trial/appeal decision taken

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C03

Effective date: 20211116

C30A Notification sent

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C3012

Effective date: 20211116

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211124

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6996053

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150