JP6995113B2 - 防振装置 - Google Patents
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Description
本願は、2017年4月27日に日本に出願された特願2017-88247号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
そこで、例えば下記特許文献1に示される防振装置のように、制限通路内に弁体を設けることで、大きな振幅の振動が入力されたときであっても、主液室の負圧化を抑制する構成が知られている。
図1に示すように、防振装置10は、振動発生部および振動受部のいずれか一方に連結される筒状の第1取付部材11と、振動発生部および振動受部のいずれか他方に連結される第2取付部材12と、第1取付部材11および第2取付部材12を互いに弾性的に連結する弾性体13と、第1取付部材11内の液室19を後述する主液室(第1液室)14と副液室(第2液室)15とに区画する仕切部材16と、を備える液体封入型の防振装置である。
なお、第1取付部材11、第2取付部材12、および弾性体13はそれぞれ、平面視した状態で円形状若しくは円環状に形成されるとともに、中心軸線Oと同軸に配置されている。
ダイヤフラム20は、ゴムや軟質樹脂等の弾性材料からなり、有底円筒状に形成されている。ダイヤフラム20の外周面は、ダイヤフラムリング21の内周面に加硫接着されている。ダイヤフラムリング21は、第1取付部材11の下端部内に、第2ゴム膜13bを介して嵌合されている。ダイヤフラムリング21は、第1取付部材11の下端部内に加締められて固定されている。ダイヤフラム20およびダイヤフラムリング21それぞれの上端開口縁は、仕切部材16の下面に液密に当接している。
なお図示の例では、ダイヤフラム20の底部が、外周側で深く中央部で浅い形状になっている。ただし、ダイヤフラム20の形状としては、このような形状以外にも、従来公知の種々の形状を採用することができる。
本体流路25は、周方向に延びている。本体流路25は、第1連通部26に接続された上側流路(第1本体流路)32と、第2連通部27に接続されるとともに、上側流路32に対して軸方向の位置を異ならせて配置された下側流路(第2本体流路)31と、を備えている。上側流路32は、仕切部材16の上部に配置され、下側流路31は、仕切部材16の下部に配置されている。
下側流路31および上側流路32は、仕切部材16の外周面に形成されている。下側流路31および上側流路32はそれぞれ、仕切部材16に、中心軸線Oを中心とする360°未満の角度範囲に配置されている。図示の例では、下側流路31および上側流路32はそれぞれ、仕切部材16に、中心軸線Oを中心とする180°を超える角度範囲に配置されている。下側流路31における周方向の他方側の端部、および上側流路32における周方向の一方側の端部それぞれの周方向に沿う位置が、互いに同等になっている。
下側流路31は、中心軸線Oと同軸に配置され、下側に位置して表裏面が軸方向を向く環状の第2障壁37と、上側に位置する前述の第1障壁36と、第1障壁36および第2障壁37それぞれの内周縁同士を連結し、径方向の外側を向く下溝底面38と、により画成されている。第2障壁37は副液室15に面しており、第2連通部27は、第2障壁37を軸方向に貫く1つの開口により構成されている。
第3障壁39は主液室14に面している。上溝底壁40の外周面は、下溝底面38より径方向の内側に位置している。
上側流路32のうち、周方向の他方側の端部は、他の部分より径方向の内側に向けて張り出している。上溝底壁40のうち、上側流路32における周方向の他方側の端部を画成する部分(以下、窪み部という)40aは、他の部分より径方向の内側に位置している。
窪み部40aにおける周方向の他方側の端部に、上側流路32を画成する内面のうち、周方向の他方側の端縁に位置して、周方向の一方側を向く周方向の他方側の端面32aが接続されている。
細孔26aを備える場合、複数の細孔26aはいずれも、下側流路31および上側流路32の各流路断面積より小さく、軸方向から見た平面視において上側流路32の内側に配置されていてもよい。細孔26aを備える場合、細孔26aの内径は、後述する接続路33の内径より小さくなっていてもよい。複数の細孔26aの開口面積の総和は、下側流路31および上側流路32それぞれにおける流路断面積の最小値の例えば1.5倍以上4.0倍以下としてもよい。図示の例では、下側流路31および上側流路32の各流路断面積は、全長にわたって同等となっている。細孔26aの開口面積は、例えば25mm2以下、好ましくは0.7mm2以上17mm2以下としてもよい。
なお、渦室34は、下側流路31と第2連通部27との接続部分に配設してもよい。渦室34は、第1連通部26から第2連通部27に向けた液体Lの流速に応じて液体Lの旋回流を生じさせてもよい。この場合、第2連通部27に複数の細孔を備えさせ、また、渦室34は、上側流路32と第1連通部26との接続部分に配設してもよい。
整流路35は、前記平面視で直線状に延びている。整流路35は、前記平面視で渦室34の内周面の接線方向に延びている。整流路35の周方向の大きさは、渦室34の内径より小さくなっている。整流路35および渦室34それぞれの軸方向の大きさは、互いに同等になっている。整流路35から渦室34に流入する液体Lは、整流路35を流通して前記接線方向に整流された後、渦室34の内周面に沿って流動することで旋回する。
拡散室43は、上側流路32から径方向の内側に向けて突出している。拡散室43は、下側流路31より上方に位置している。拡散室43は、上側流路32における周方向の一方側の端部に接続されている。拡散室43の内部は、その径方向の外側から開口46を通して上側流路32の内部に連通している。開口46の周長は、拡散室43の径方向の外端部における周長と同等となっている。開口46は、拡散室43の径方向の外端部における全域にわたって配設されている。
上側部材44において、周壁の外周面に上側流路32が形成され、底壁に、上側流路32より径方向の内側に位置する接続路33が形成されている。つまり、第4障壁47は、上側部材44の底壁の一部となっている。上側部材44の底壁の下面は、全域にわたって軸方向に直交する方向に延びる平坦面となっている。第1障壁36は、上側部材44の周壁の一部とされ、上側流路32を画成する内面のうち、下方に位置して上方を向く面を有する環状の壁面となっている。開口46は、上側部材44の周壁を径方向に貫き、拡散室43を画成する一対の側壁面、および上壁面43aは、上側部材44の周壁の内周面における開口46の周縁部から径方向の内側に向けて突出している。
下側部材45の下端部の外周面に、径方向の外側に向けて突出し、第1障壁36と軸方向で対向する環状の第2障壁37が形成されている。
さらに細孔26aを備える場合、液体Lが、複数の細孔26aを通して制限通路24から主液室14に流出する際に、これらの細孔26aが形成された第3障壁39により圧力損失させられながら各細孔26aを流通するため、主液室14に流入する液体Lの流速を抑えることができる。しかも、液体Lが、単一の細孔26aではなく複数の細孔26aを流通するので、液体Lを複数に分岐させて流通させることが可能になり、個々の細孔26aを通過した液体Lの流速を低減させることができる。これにより、仮に防振装置10に大きな荷重(振動)が入力されたとしても、細孔26aを通過して主液室14に流入した液体Lと、主液室14内の液体Lと、の間で生じる流速差を小さく抑えることが可能になり、流速差に起因する渦の発生、およびこの渦に起因する気泡の発生を抑えることができる。また、仮に気泡が主液室14ではなく制限通路24で発生しても、液体Lを、複数の細孔26aを通過させることで、発生した気泡同士を、主液室14内で離間させることが可能になり、気泡が合流して成長するのを抑えて気泡を細かく分散させた状態に維持し易くすることができる。
以上のように、気泡の発生そのものを抑えることができる上、たとえ気泡が発生したとしても、気泡を細かく分散させた状態に維持し易くすることができるので、気泡が崩壊するキャビテーション崩壊が生じても、発生する異音を小さく抑えることができる。
また、細孔26aを備える場合、複数の細孔26aを備える第1連通部26が、渦室34の接続されていない上側流路32に接続されているので、渦室34から細孔26aに至るまでの前記流路方向Tの距離を長く確保することが可能になり、第1連通部26を通過する液体Lの流速をより一層確実に低減することができる。
また、細孔26aを備える場合、複数の細孔26aが、第2連通部27から前記流路方向Tに離間して位置するものほど、液体Lの流通抵抗が大きくなるように形成された構成を示したが、これに限らず例えば、全ての細孔26aの流通抵抗を同等にする等適宜変更してもよい。
また、細孔26aを備える場合、複数の細孔26aを備える第1連通部26、および渦室34の双方を、上側流路32および下側流路31のうちのいずれか一方に配設してもよい。
また、拡散室43の形状および大きさは適宜変更してもよく、拡散室43を有しない本体流路25を採用してもよい。
また、渦室34および拡散室43を、上側流路32または下側流路31における周方向の中間位置に配設してもよい。
また、本体流路25として、上側流路32および下側流路31を備え、仕切部材16を約2周する構成を示したが、仕切部材16を1周、若しくは3周以上周回する構成を採用してもよい。
また、本体流路25は、例えば軸方向に延びる等適宜変更してもよい。
ここで、防振装置に大きな荷重(振動)が入力された場合であって、渦室に、第1連通部および第2連通部のうちの他方側から液体が流入されたときに、その液体の流速が十分に高く、渦室内で液体の旋回流が形成されると、例えば、この旋回流を形成することによるエネルギー損失や、液体と渦室の内面との間の摩擦によるエネルギー損失などを起因として、液体の圧力損失を高めることができる。さらに細孔を備える場合、液体が、複数の細孔を通して制限通路から第1液室または第2液室に流出する際に、これらの細孔が形成された障壁により圧力損失させられながら各細孔を流通するため、第1液室または第2液室に流入する液体の流速を抑えることができる。しかも、細孔を備える場合、液体が、単一の細孔ではなく複数の細孔を流通するので、液体を複数に分岐させて流通させることが可能になり、個々の細孔を通過した液体の流速を低減させることができる。これにより、仮に防振装置に大きな荷重(振動)が入力されたとしても、細孔を通過して第1液室または第2液室に流入した液体と、第1液室内または第2液室内の液体と、の間で生じる流速差を小さく抑えることが可能になり、流速差に起因する渦の発生、およびこの渦に起因する気泡の発生を抑えることができる。また、仮に気泡が第1液室や第2液室ではなく制限通路で発生しても、液体を、複数の細孔を通過させることで、発生した気泡同士を、第1液室内または第2液室内で離間させることが可能になり、気泡が合流して成長するのを抑えて気泡を細かく分散させた状態に維持し易くすることができる。
以上のように、気泡の発生そのものを抑えることができる上、たとえ気泡が発生したとしても、気泡を細かく分散させた状態に維持し易くすることができるので、気泡が崩壊するキャビテーション崩壊が生じても、発生する異音を小さく抑えることができる。
また、細孔を備える場合、各細孔から第1液室または第2液室に流入する液体の流速を確実に抑えることができるとともに、液体を、第1連通部および第2連通部のうちの一方における全域にわたって行き渡らせやすくなり、この連通部を通過する液体の流速を確実に低減することができる。
11 第1取付部材
12 第2取付部材
13 弾性体
14 主液室(第1液室)
15 副液室(第2液室)
16 仕切部材
19 液室
24 制限通路
25 本体流路
26 第1連通部
26a 細孔
27 第2連通部
31 下側流路(第2本体流路)
32 上側流路(第1本体流路)
33 接続路
34 渦室
37 第2障壁
39 第3障壁
43 拡散室
43a 上壁面(対向面)
L 液体
O 中心軸線
T 流路方向
Claims (1)
- 振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付部材、および他方に連結される第2取付部材と、
これら両取付部材を弾性的に連結する弾性体と、
液体が封入された前記第1取付部材内の液室を第1液室と第2液室とに区画する仕切部材と、を備えるとともに、
前記仕切部材に、前記第1液室と前記第2液室とを連通する制限通路が形成された液体封入型の防振装置であって、
前記制限通路は、前記第1液室に開口する第1連通部、前記第2液室に開口する第2連通部、および前記第1連通部と前記第2連通部とを連通する本体流路を備え、
前記本体流路は、前記第1連通部および前記第2連通部のうちの他方側からの液体の流速に応じて液体の旋回流を生じさせる渦室を備え、
前記渦室は、前記第1連通部および前記第2連通部のうちの一方から離間して配置され、
前記本体流路は、前記第1取付部材の中心軸線回りに沿う周方向に延び、
前記本体流路は、前記第1連通部に接続された第1本体流路と、前記第2連通部に接続されるとともに、前記第1本体流路に対して前記中心軸線に沿う軸方向の位置を異ならせて配置された第2本体流路と、を備え、
前記渦室は、前記第1本体流路および前記第2本体流路のうちの一方から径方向の内側に向けて突出し
前記渦室の中心軸線は前記軸方向に延び、
前記第1本体流路および前記第2本体流路のうちの他方には、前記渦室に接続路を通して前記軸方向に連なる拡散室が配設され、
前記拡散室は、前記接続路に前記軸方向に対向する対向面を備える防振装置。
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