JP6994723B2 - 集電材用糸、集電材用糸からなる集電材、及び、集電材を用いた燃料電池システム - Google Patents

集電材用糸、集電材用糸からなる集電材、及び、集電材を用いた燃料電池システム Download PDF

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Description

本発明は、集電材用糸、集電材用糸からなる集電材、及び、集電材を用いた燃料電池システムに係り、特に、高い導電性を有する導電性糸と燃料ガスを改質する改質触媒糸とが組み合わされた集電材用糸、この集電材用糸を編織した集電材、及び、この集電材を用いた燃料電池システムに関する。本明細書では、これらの集電材等が適用される燃料電池システムは、固体酸化物形燃料電池(SOFC)を用いる燃料電池システムの場合について説明するが、固体酸化物形燃料電池に限らず、他の燃料電池システムにも適用される。
(集電材)
図9に、固体酸化物形燃料電池(SOFC)の燃料電池システム100の基本ユニットである単セル102を示す。図9(a)は、一般的な単セル102全体を斜視図で示す。図9(b)は、単セル102に設置された集電材10を断面図で示す。単セル102は、カソードである空気極103、アノードである燃料極104、及び、イオンのみを伝導させる電解質105が発電セル107を構成する。この単セル102は、直列に積層されてスタック110を構成して所要の起電力を発生する。発電セル107の両外側には、燃料ガスと酸化ガスとを分離し、電気的に単セル102を接続させる空気極側インターコネクタ106aと燃料極側インターコネクタ106bとが設けられる。また、インターコネクタ106a,106bは、発電セル107において発電された電気を集電するという役割、及び、燃料ガスと酸化ガスの供給や排出をするという役割も有する。そのため、その表面には、溝加工により燃料ガス流路108及び酸化ガス流路109が設けられている。この空気極側インターコネクタ106aと発電セル107との間には、発電効率を上げるために空気極側集電材10a、燃料極側インターコネクタ106bと発電セル107との間には、燃料極側集電材10bが設けられるのが一般的である。なお、インターコネクタ106a,106bは、「セパレータ」とも称する。
図10に、固体酸化物形燃料電池(SOFC)の発電原理を示す。図10(a)は、燃料として一酸化炭素を用いた場合の発電原理を示し、図10(b)は、燃料として水素を用いた場合の発電原理を示す。固体酸化物形燃料電池は、燃料として水素、一酸化炭素などを使用し、空気極(カソード)103及び燃料極(アノード)104において、下記に示す電極反応が進行する。
燃料極104:(水素燃料の場合) H+O2-→HO+2e
燃料極104:(一酸化炭素燃料の場合) CO+O2-→CO+2e
空気極103: 1/2O+2e→O2-
上述した反応式に示されるように、空気極103で発生した酸素イオン(O2-)が電解質105を通過して燃料極104へと移動する。一方、燃料極104では、燃料である水素或いは一酸化炭素が酸素イオン(O2-)と反応して電子(2e)を放出し、その電子(2e)が 外部回路を経由して空気極103へと移動する。
このように、固体酸化物形燃料電池(SOFC)では、燃料として水素或いは一酸化炭素を用いる。一酸化炭素は、不完全燃焼状態で炭素化合物が燃焼する際に発生する。無色・無臭であり、その存在が感知しにくい気体であり、強い毒性を有するため一酸化炭素中毒を引き起こす場合がある。一方、水素燃料は入手するのが難しく運搬方法や貯蔵方法に問題がある。そこで、分子中に水素を含むメタン、プロパン等の気体燃料、メタノール等の液体燃料から水素を製造して燃料電池システム100に供給する。このように、様々な燃料から水素燃料を取り出すことを「改質」と称する。燃料ガスの一般的な改質方法として、水を加えて分解する水蒸気改質方法がある。
CH+HO→3H+CO
CO+HO→H+CO
CH+2HO→4H+CO-Q(吸熱)
(燃料ガスの改質)
図11に、改質器が設けられた従来の燃料電池システムの構成を示す。燃料電池システム100は、燃料電池発電ユニット100a及び給湯ユニット100bから構成される。燃料電池発電ユニット100aに供給された、例えば、都市ガス等の燃料ガスは、燃料ガス脱硫器111により燃料ガスに混入された硫黄成分が除去され、燃料ガス改質器112や燃料電池発電ユニット100aの性能の低下が防止される。そして、燃料ガス改質器112により燃料ガスであるメタンは、上述した水蒸気改質反応により水素に変換される。改質された燃料ガスはセルスタック110に供給され発電が行われ、発生した直流電力はインバータにより交流電力に変換される。発電により発生した熱は、排ガス熱交換機113により回収されて貯湯タンクから供給された冷水を温水にして貯湯タンク115に戻される。そして、ボイラーを経由して、燃料電池発電ユニット100aの外部に供給される。排ガス熱交換器113において生成された凝縮水は、イオン交換樹脂114を通過することで純水になり、燃料ガス改質器112に戻されて水蒸気改質反応に用いられる。
特許文献1には、発電セルとセパレータの間の電気的な接続を改善し、燃料電池の発電効率及びサイクル特性を向上させる燃料電池用集電材が開示されている。ここでは、平板形燃料電池用の集電材は、平板形燃料電池の空気極(カソード)及び燃料極(アノード)が、それぞれカソード側セパレータと、アノード側セパレータと対向する面において、金属繊維を編み込んで形成された金属繊維ニットを集電材として配設し、電極とセパレータとの間に挟み込んで加圧することが記載されている。
特許文献2には、改質触媒および電子導電性物質の使用量を抑制する内部改質式固体酸化物形燃料電池等が開示されている。ここでは、内部改質式固体酸化物形燃料電池に、カソードと、アノードと、カソード及びアノードに挟まれた電解質と、アノードに接して設けられた集電体が備えられ、この集電体は、炭化水素から水素を生成する反応の改質触媒と電子導電性物質とを含有する被膜が基材の表面に形成された触媒集電要素を含んでいることが記載されている。
特許文献3には、十分な機械的強度を維持しつつ、高い気孔率を有する固体酸化物形燃料電池用アノード支持体等が開示されている。ここでは、イオン導電性酸化物繊維を不織布状に成形したペーパー状多孔質支持基体と、電極触媒粒子及びイオン導電性酸化物粒子で構成されるアノード活性層とを有し、アノード活性層の少なくとも一部が、ペーパー状多孔質支持基体の内部に形成された固体酸化物形燃料電池用アノード支持体が記載されている。
特開2012-79492号公報 特開2010-103009号公報 特開2014-67488号公報
従来の燃料電池では、燃料ガスを発電に適した成分に改質する改質器をセルスタック近傍に設けなければならず、発電効率を上げるためには、燃料ガスの改質を行う設備スペースが必要となるという問題があった。また、発電の前に燃料ガスを、燃料ガス改質器を経由させなければならず、ガス供給のための配管、及び、ガス漏れを防止するシールが必要となるという問題があった。
また、燃料ガスを改質する内部改質触媒は、一般的に接触抵抗が生じやすい構造となってしまい、本来集電材が持つ導電性が損なわれてしまうという問題があった。
本願の目的は、かかる課題を解決し、既存の燃料電池システムの内部に容易に設置でき、元来集電材が有する導電性を損なわずに、燃料ガスの改質器が省略できる内部改質機能を備えた集電材用糸、集電材用糸からなる集電材、及び集電材を用いた燃料電池システムを提供することである。
上記目的を達成するため、本発明に係る集電材用糸が、固体酸化物形燃料電池のスタック内部のインターコネクタとセルとの間に設けられ、集電特性を有する導電性糸と、燃料ガスの内部改質機能を備えた改質触媒糸とが撚り合わされることを特徴とする。
上記構成により、燃料電池のスタック内部に集電材用糸を設けることで、集電材用糸が有する内部改質機能により従来技術において必須であった燃料ガス改質器に代替することができる。また、既存の燃料電池であっても容易にスタック内部に集電材用糸を設けることができる。
また、上記目的を達成するために、本発明に係る集電材が、固体酸化物形燃料電池の燃料電池のスタック内部のインターコネクタとセルとの間に設けられ、集電特性を有する導電性糸と、燃料ガスの内部改質機能を備えた改質触媒糸とが織物を形成することが好ましい。
上記構成により、燃料電池のスタックに内部改質機能を備えた集電材を設けることで、集電材が有する内部改質機能により従来技術において必須であった燃料ガス改質器に代替することができる。また、既存の燃料電池であっても容易にスタック内部に内部改質機能を備えた集電材を設けることができる。
また、集電材が、改質触媒糸と導電性糸とを撚り合わせた撚糸構造にて織物が形成されることが好ましい。これにより、改質触媒糸と導電性糸とを組み合わせて集電材とすることができる。
また、改質触媒糸と前記導電性糸が、いずれか一方を経糸とし、他方を緯糸として織物が形成されることが好ましい。これにより、改質触媒糸と導電性糸とを織り込んで集電材を形成させることができる。
また、改質触媒糸がセラミック繊維であり、導電性糸が金属線であることが好ましい。これにより、導電性糸を有した金属線と、改質特性を備えたセラミック繊維とを織り込んで集電材を形成させることができる。
さらに、燃料電池システムは、集電材を燃料電池のスタック内部のインターコネクタとセルとの間に挿入し、燃料電池に供給される燃料ガスの炭化水素をスタック内部において改質することが好ましい。
上記構成により、集電材用糸、集電材用糸からなる集電材、及び、集電材を用いた燃料電池システムは、既存の燃料電池内部に容易に集電材を設置することができ、集電材の持つ導電性を損なうことなく、燃料ガスの改質器を省略することができる。また、既存の燃料電池システムであっても、容易にスタック内部に集電材を設けることができる。
本発明に係る導電性に加えて内部改質機能を備えた集電材用糸、集電材用糸からなる集電材、及び、集電材を用いた燃料電池システムによれば、既存の燃料電池内部に容易に集電材等設置でき、元来集電材が所持する導電性を損なわずに、燃料ガス改質器が省略できる内部改質機能を備えた集電材用糸、集電材用糸からなる集電材、及び集電材を用いた燃料電池システムを提供することができる。
本発明に係る、導電性糸及び改質触媒糸からなる集電材用糸の一つの実施形態の概略構成を示す説明図である。 導電性糸及び改質触媒糸からなる集電材用糸の他の実施形態の概略構成を示す説明図である。 集電材用糸である導電性糸及び改質触媒糸を織り込んだ織物一つの実施形態の概略構成を示す説明図である。 織物の三原組織である平織、斜文織、朱子織に実施例を示す説明図である。 平織のバリエーションの実施例を示す説明図である。 ニットのよこ編の実施例、及び、ニットのたて編の実施例を示す説明図である。 本発明に係る集電材のASR(接触抵抗)値の測定結果を示すグラフである。 本発明に係る集電材の改質特性の測定結果を示すグラフである。 燃料電池システムの基本ユニットである単セルの構成を示す斜視図、及び、単セルに設置された集電材を示す断面図である。 燃料として水素及び一酸化炭素を用いた場合の固体酸化物形燃料電池の発電原理を示す説明図である。 改質器が設けられた従来の燃料電池システムの構成を示す説明図である。
(集電材用糸)
以下に、図面を用いて本発明に係る内部に改質機能を備える集電材用糸1について一つの実施形態の概略構成を示す。図1(a)には、集電材10に用いる集電材用糸1である導電性糸2と改質触媒糸3を示し、集電機能を有する導電性糸2の素材の例として金属線4を示し、改質機能を備える改質触媒糸3の例としてセラミック繊維5を示す。図1(b)に、導電性糸2と改質触媒糸3とから集電材用糸1とする一つの例として、導電性糸2と改質触媒糸3とを撚り合わせたカバーリング撚糸7を示す。ここで、図1(b)は、導電性糸2を芯材6とし、改質触媒糸3をカバーリング撚糸7とする場合であり、図1(c)は、導電性糸2をカバーリング撚糸7とし、改質触媒糸3を芯材6とする場合であり、撚り合わせることで、いずれの場合も本発明に係る集電材用糸1に含まれる。
図1(b)に示すように、改質触媒糸3は、撚糸構造の芯材6として用いられ、導電性糸2は、芯材6に対するカバーリング撚糸7として用いられる。また、導電性糸2と改質触媒糸3とは、いずれか一方を経糸12とし、他方を緯糸13として織物8を形成する。この導電性糸2は、例えば、ステンレス、銅ニッケル合金等の金属線4によるカバー糸である。また、改質触媒糸3には、セラミック繊維5等がある。
図2に、導電性糸2及び改質触媒糸3からなる集電材用糸1の他の実施形態の概略構成を示す。集電材用糸1には、短繊維が長繊維か、或いは、「撚り」のかけ方等により様々な種類がある。集電材用糸1には、図2(a)に示す「片撚り糸14」と、図2(b)に示す「諸撚り糸15」とがある。片撚り糸14とは、無撚糸にS方向又はZ方向のいずれかの「撚り」を入れた糸素材のことである。諸撚り15とは、片撚り糸14を引き揃え、片撚り糸14とは反対方向の撚りを入れた糸素材をいう。それぞれ、2本引き揃えた双子を「二子糸」、3本引き揃えた双子を「三子糸」という。図2(a)のaは3本の片撚り糸14であり、図2(a)のaは2本の片撚り糸14であり、図2(b)のbは3本の諸撚り糸15であり、図2(b)のbは2本の諸撚り糸15である。ここで、双子とは、単子を複数個引き揃えて「撚り」をかけた糸素材のことをいう。双子の「撚り」は単子と反対方向にかけるため「撚り」にバランスがとれ、双子を用いた織物8に用いると布の変形が少ないという特徴がある。
集電材用糸1には、どのように、どのような「撚り」をかけるかにより、例えば、強撚糸、異色の単子を撚り合わせた「もく(杢)糸」、太糸に強い「撚り」をかけ、これに無撚の細糸を引き揃え、太糸と反対の撚りをかけた糸で、太糸の「撚り戻り」により太糸が細糸の周りに螺旋状に巻き付いた壁撚り糸、糸にラメ(切箔)を撚り合わせたラメ糸、染色性の異なる糸を撚り合わせた異色染め糸、芯糸の周りに「からみ糸」を一重又は二重にカバーリングしたカバーリング撚糸7(カバードヤーン)等がある。図2(c)にシングルカバーリング撚糸7aの実施例を示し、図2(d)にダブルカバーリング撚糸7bの実施例を示す。ダブルカバーリング撚糸7bは、芯糸を下巻き17といい、からみ糸を上巻き16ともいう。また、意匠撚糸として、ネップヤーン、マールヤーン、スラブヤーン、ポーラヤーン、リングヤーン、ブークレーヤーン、ループヤーン、スナールヤーン、カールヤーン、角糸、ブラッシュヤーン、シャギーヤーン、モール糸、シェニールヤーン等がある。また、スレット(ノップ)系統には、ノップヤーン、スレットヤーン、ロングスレットヤーンなどある。このように、糸に撚りを加えて「可撚」する技法は、各種の糸に応用され、糸に収束性と丸みを与え、糸の強度を増し、毛羽の発生を抑えるという効果を生じさせている。
(集電材に用いられる繊維)
図3に、集電材用糸1である導電性糸2及び改質触媒糸3を織り込んだ織物8一つの実施形態の概略構成を示す。なお、織物8において、経糸12は織物8の横方向に通った糸を指し、緯糸13は織物8の縦方向に通った糸を指すことから、以後の明細書では、「たて糸」、「よこ糸」と称する。図3(a)には、集電材用糸1を示し、図3(b)には、集電特性を有する導電性糸2をよこ糸12とし、改質機能を有する改質触媒糸3をたて糸13として形成された織物8を示す。或いは、導電性糸2をたて糸とし、改質触媒糸3をよこ糸として形成された織物構造8を示す(図示せず)。そして、図3(c)に示すように、この織物8に粒径1μm以下のニッケル粒子21を担持させて改質機能を付加させる。これにより、集電特性を備えた導電性糸2自体が有する改質機能に、さらに、ニッケル粒子21による改質機能が付加される。図3(c)には、理解し易くするために、織物8に付加されるニッケル粒子21を黒点で表す。上述した導電性糸2及び改質触媒糸3という糸素材を編み込んで布状の織物8を形成し、この布状の織物8を固体酸化物形燃料電池の燃料電池システム100内部のインターコネクタ106と発電セル107との間に改質機能付き集電材10として用いる。
図4に、織物8の基本的な三原組織の構造と断面図を示す。図4(a)は平織18であり、図4(b)は両面斜文織19aであり、図4(c)は及び片面斜文織19bであり、図4(d)は朱子織20である。織物8には、三原組織以外に、三原組織から誘導変化した変形組織、重ね組織、さらに、特別組織として、パイル組織、からみ組織、紋様を織り出す紋組織があり、これらの組織が単独に、又は複合されて用いられる。
図4(a)に示す平織18は、たて糸12、よこ糸13の各2本ずつで循環し、いずれの糸も1本ごとに浮沈して交錯する組織であり、織物8の組織のうち最も広く用いられる構造である。図4(b),(c)に示す斜文織19は、「あや織り」とも称され、たて糸12、よこ糸13が各々3本以上から完全組織で作られる。そして、平織18のようにたて糸12、よこ糸13が交互に浮沈せず、連続的に浮沈した組織点で斜めに「あや線」が現れる。斜文織19は、平織18に比べて交錯度数が少なく、糸の密度を増して地を厚くすることができる。斜文織19は、平織18に比べて摩擦に弱いが、地質が柔軟でしわが寄りにくく糸の密度を増すことができ光沢に富むという特徴を有する。
斜文織19には、図4(b)に示す両面斜文織19a、及び、図4(c)に示す片面斜文織19bがある。両面斜文織19aは、布面におけるたて糸12、よこ糸13の現れ方が同数であり表裏の外観が同様となる斜文織19であるが、斜文線の方向は表裏が反対方向となる。片面斜文織19bは、布面におけるたて糸12、よこ糸13の現れ方が不同な斜文織19であり、表裏の外観が違うものとなる。
図4(d)に示す朱子織20は、たて糸12、よこ糸13が5本以上で製作され、ただ一つの交錯点を一定の間隔に配置した組織であり、たて糸12又はよこ糸13の浮きが多い組織である。そのため、平織18や斜文織19に比べて地は厚くなるが最も柔軟な織物組織となる。
この布状の織物8を固体酸化物形燃料電池の燃料電池のセルスタック110内部のインターコネクタ106と発電セル107との間に改質機能を備える集電材10として用いる場合、平織18、斜文織19、朱子織20等に代表される織り方の種類、両面織か片面織か、たて糸12とよこ糸13の現れ方、たて糸12とよこ糸13の接結点の多さ等により、摩擦に対する強度、柔軟性、インターコネクタ106と発電セル107への密着性といったその組織の特徴を選択することができる。従って、固体酸化物形燃料電池の特性に合った組織を選択することができる。
図5に、集電材10として用いる織物8のバリエーションの実施例を示す。図5(a)は、たて糸12とよこ糸13からなる平織18にさらにより細いよこ糸13が付加された実施例である。図5(b)は、たて糸12とよこ糸13との糸の太さが大きく異なる平織18の実施例である。これらの織物8のバリエーションは、集電材10として要求される柔軟性等の条件に合致した性能に合わせて決定される。本発明は、金属線4等の導電性糸2と、セラミック等の改質触媒3との交織構造であるため、燃料電池システム100のインターコネクタ106a,106bとセルスタック110との間に挿入する集電材10として活用が可能であり、既存の燃料電池セル内部に容易に設置することができる。また、本集電材10の採用にあたりそれ専用にセルの構造を設計する必要はない。また、集電材10を構成する導電性糸2と改質触媒3との織り方は、図5に示すように、織物8の基本的な三原組織に限定せずに、要求される性能が発揮される編み方で良い。
図6に、集電材10に用いるニット22につき、図6(a)にはニット22のよこ編22aの実施例を示し、図6(b)には、ニット22のたて編22bの実施例を示す。ニット22は、編物、メリヤスとも称され、連続した編目で構成された布や製品を指す。ニット22は、上述した導電性糸2及び改質触媒3に加えて伸縮性があるため、インターコネクタ106a,106bと発電セル107との間の空隙に良くなじみ、導電性能及び改質性能が発揮され易い特性を有している。ニット22のよこ編22aには、よこ編22aの基本となる平編(メリアス編)、伸縮性に優れたゴム編、表地と裏地が同じ外観となるパール編等がある。
(燃料電池システムの構成)
集電材10は、燃料電池のセルスタック110のインターコネクタ106a,106bと発電セル107との間に挿入され、燃料電池に供給される燃料ガスである炭化水素をスタック110内部において改質する。このため、集電材10が挿入された燃料電池システム100の性能は、接触抵抗値が低く、改質特性が高いことが要求される。以下に、本発明に係る燃料電池システム100の接触抵抗値及び改質特性地に関する実験結果について説明する。
(集電材の接触抵抗値)
図7に、金属線4等の導電性材を集電材10として用いた織物8のASR(接触抵抗値)の測定結果のグラフを示す。横軸は、セルスタック110の上下方向から加圧される荷重(kgf)であり7kgfから50kgfまでの範囲で測定した。縦軸は、セルスタック110の接触抵抗値(mΩ・cm)の測定結果を示す。試験に用いた集電材10は、セラミックファイバ/Niを担持したカバーリング撚糸7からなる集電材10である。接触抵抗値は、高いほど抵抗が大きいことを示し集電材10としての性能は好ましくなく、接触抵抗値が低いほど抵抗が少なく集電材10としての性能が好ましい。実験は、試験体A:φ50μm、試験体B:φ100μm、試験体C:φ120μm、試験体D:無挿入、試験体E:Ni60μmメッシュ、試験体F:ポーラスメタルの6種類の試験体で行われた。ポーラスメタルの試験体Fは、接触抵抗値は荷重7kgfで高い値を示すが、荷重が16kgfになるまで直線的に低下した。無挿入であった試験体Dは、終止高い接触抵抗値を示し、Ni60μmメッシュである試験体Eは、次に高い接触抵抗値を示した。試験体A:φ50μm、試験体B:φ100μm、試験体C:φ120μmは、荷重に拘わらず極めて低い接触抵抗値を示した。この実験により、本発明に係る集電材10(試験体A、B、C)が無挿入時(試験体D)及び従来品(試験体E、F)と比較して接触抵抗値が大幅に低減することが確認できた。
(集電材の改質特性)
図8に本発明に係る集電材の改質特性の測定結果をグラフで示す。グラフの縦軸は向かって左側は、Cell電圧(V)であり、右側は、出力(W)/Cellである。測定は、ドライ水素の場合の測定結果(破線で示す)を基準としたメタンガスの場合の測定結果(実線で示す)であり、発電温度は750℃である。試験に用いた集電材10は、セラミックファイバ/Niを担持したカバーリング撚糸7からなる集電材である。
以上の実施形態で説明された、集電材用糸1、集電材用糸1からなる集電材10、及び、集電材10を用いた燃料電池システム100の構成、形状、大きさ、及び配置関係については、本発明が理解、実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って、本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
1 (内部に改質機能を備える)集電材用糸、2 導電性糸、3 改質触媒糸、4 金属線、5 セラミック繊維、6 芯材、7 カバーリング撚糸,7a シングルカバーリング撚糸,7b ダブルカバーリング撚糸、8 織物(構造)、10 (内部に改質機能を備える)集電材,10a 空気極側集電材,10b 燃料極側集電材、12 経糸(又はたて糸)、13 緯糸(又はよこ糸)、14 片撚り糸、15 諸撚り糸、16 上巻き、17 下巻き、18 平織、19 斜文織,19a 両面斜文織,19b 片面斜文織、20 朱子織、21 ニッケル粒子、22 ニット,22a よこ編,22b たて編、100 (内部に改質機能を備える)燃料電池システム,100a 燃料電池発電ユニット,100b 給湯ユニット、102 単セル、103 空気極(カソード)、104 燃料極(アノード)、105 電解質、106 インターコネクタ,106a 空気極側インターコネクタ,106b 燃料極側インターコネクタ、107 (発電)セル、108 燃料ガス供給路、109 酸化ガス供給路、110 (セル)スタック、111 燃料ガス脱硫器、112 燃料ガス改質器、113 排ガス熱交換器、114 イオン交換樹脂、115 貯湯タンク、P 圧力。

Claims (6)

  1. 固体酸化物形燃料電池のスタック内部のインターコネクタとセルとの間に設けられる集電材用糸であって、集電特性を有する導電性糸と、燃料ガスの内部改質機能を備えた改質触媒糸とが撚り合わされることを特徴とする集電材用糸。
  2. 固体酸化物形燃料電池のスタック内部のインターコネクタとセルとの間に設けられる集電材であって、集電特性を有する導電性糸と、燃料ガスの内部改質機能を備えた改質触媒糸とが織物を形成することを特徴とする集電材。
  3. 請求項2に記載の集電材であって、前記改質触媒糸と前記導電性糸を撚り合わせた撚糸構造にて前記織物が形成されることを特徴とする集電材。
  4. 請求項2に記載の集電材であって、前記改質触媒糸と前記導電性糸は、いずれか一方を経糸とし、他方を緯糸として前記織物が形成されることを特徴とする集電材。
  5. 請求項2乃至4のいずれか1項に記載の集電材であって、前記改質触媒糸は、セラミック繊維であり、前記導電性糸は、金属線であることを特徴とする集電材。
  6. 請求項2乃至5のいずれか1項に記載の集電材を用いた燃料電池システムであり、スタック内部の前記インターコネクタと前記セルとの間に挿入し、前記固体酸化物形燃料電池に供給される前記燃料ガスの炭化水素を前記スタック内部において改質することを特徴とする集電材を用いた燃料電池システム。
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