JP6990052B2 - グリース封入転がり軸受 - Google Patents

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Description

本発明は、各種産業機械や車両に組み込まれる転がり軸受に封入されるグリース組成物に関し、特に冷時異音が発生する極低温において使用される転がり軸受に好適なグリース組成物に関する。
各種産業機械や車両などに組み込まれる転がり軸受には、潤滑性を付与するためにグリース組成物が封入されている。この転がり軸受は、例えば、自動車の動力伝達系に設けられるプーリ等にも組み込まれている。このようなプーリを、寒冷地などの低温(0℃以下など)にさらされた状況下で作動させると、作動直後に異音が発生することがある。この寒冷時に発生する異音を冷時異音と呼ぶ。
冷時異音が発生する原因はいまだ解明されていないが、転がり軸受に封入されたグリース組成物が固化することによって発生すると考えられている。この考えに基づき、低温下でも良好な潤滑性を有するグリース組成物を用いることで、冷時異音の発生を抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006-249271号公報
上記の特許文献1では、低温条件として-20℃を想定しており、各グリース組成物についてその温度での冷時異音の発生の有無を検討している。しかしながら、極寒冷地などでは、-20℃よりもさらに低い極低温条件(-40℃以下など)となる場合がある。そのため、転がり軸受が極低温条件で使用された場合であっても、冷時異音の発生が抑制されることが望ましい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、-20℃よりもさらに低い極低温条件下であっても、冷時異音の発生を抑制することができるグリース組成物を提供することを目的とする。また、そのグリース組成物が封入された転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明のグリース組成物は、基油と増ちょう剤を含むグリース組成物であって、上記基油は、ポリ-α-オレフィン油を必須成分とし、上記増ちょう剤は、脂肪族ジウレア化合物、芳香族ジウレア化合物、および脂環式ジウレア化合物からなる群から選択されるジウレア化合物であり、上記基油と上記増ちょう剤との合計量に対して10質量%以上20質量%未満含まれており、-20℃未満の低温で使用されることを特徴とする。
上記低温が-40℃以下の温度であることを特徴とする。
周波数1Hzでの-20℃未満の所定温度における貯蔵弾性率が120000Pa以下であり、周波数1Hzでの該所定温度における損失弾性率が27000Pa以下であることを特徴とする。
上記貯蔵弾性率および上記損失弾性率は、レオメータを用いて取得され、上記レオメータの測定可能温度の範囲内では実測値であり、上記測定可能温度の範囲外では、上記実測値に基づく温度依存曲線から推定された推定値であることを特徴とする。
本発明のグリース封入転がり軸受は、内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する複数の転動体と、該転動体の周囲に封入されたグリース組成物とを備えるグリース封入転がり軸受であって、上記グリース組成物が、本発明のグリース組成物であることを特徴とする。
本発明のグリース組成物は、基油としてポリ-α-オレフィン油を必須成分とし、増ちょう剤として、脂肪族ジウレア化合物、芳香族ジウレア化合物、および脂環式ジウレア化合物からなる群から選択されるジウレア化合物を含み、ジウレア化合物は、基油と増ちょう剤との合計量に対して10質量%以上20質量%未満含まれている。このグレース組成物は、-20℃未満の低温で使用されるので、転がり軸受に封入され、この転がり軸受が-20℃未満の低温条件で使用される場合であっても、冷時異音の発生を抑制することができる。
上記低温が-40℃以下の温度であるので、極寒冷地などで使用される転がり軸受に好適である。
周波数1Hzでの-20℃未満の所定温度における貯蔵弾性率が120000Pa以下であり、周波数1Hzでの該所定温度における損失弾性率が27000Pa以下であるので、貯蔵弾性率および損失弾性率と冷時異音の発生の有無との相関関係に基づき、冷時異音の発生を抑制することができる。
貯蔵弾性率および損失弾性率はそれぞれ、温度に依存して変化し温度依存曲線が得られる。この場合、得られた温度依存曲線は二次関数とみなすことができるため、外挿することができると考えられる。この点を考慮し、貯蔵弾性率および損失弾性率は、レオメータを用いて取得され、該レオメータの測定可能温度の範囲外では、実測値に基づく温度依存曲線から推定された推定値であるので、例えば転がり軸受の使用される温度が、レオメータでの測定可能温度の範囲外の低温下であっても、冷時異音の発生を抑制することができる。
本発明のグリース封入転がり軸受は、本発明のグリース組成物を封入してなるので、-20℃よりもさらに低い極低温条件下であっても冷時異音の発生を抑制することができ、極寒冷地での使用に好適である。
本実施形態に係る深溝玉軸受の断面図である。 レオメータを用いた試験を示す図である。 ひずみ量とせん断応力の関係を示す図である。 各弾性率の温度依存曲線を示す図である。 実施例における貯蔵弾性率と損失弾性率の関係を示す図である。 比較例における貯蔵弾性率と損失弾性率の関係を示す図である。
本発明者は、-20℃よりもさらに低い極低温条件下であっても、冷時異音の発生を抑制するべく、転がり軸受に封入されるグリース組成物について検討した。その結果、基油としてポリ-α-オレフィン油を含み、増ちょう剤としてジウレア化合物を含むグリース組成物を封入した転がり軸受では、-20℃未満の条件下でも冷時異音が発生しないことが分かった。また、レオロジー分野における動的粘弾性に着目して、各グリース組成物の動的粘弾性と、冷時異音の発生の有無を解析した結果、これらに相関関係があることを見出した。本発明はこのような知見に基づくものである。
本発明が対象としている冷時異音は、グリース組成物が封入されてなる転がり軸受を低温下で使用する際に発生する異音である。異音としては、特に、物体が剥がれるような音であるジャリ音を対象としている。ジャリ音が発生する原因は定かではないが、低温により固化したグリース組成物が関与していると考えられる。また、冷時異音は、転がり軸受の使用温度が低温になればなるほど、発生する可能性が高くなる。本発明のグリース組成物は、特に、-20℃未満の低温で使用されることを想定しており、好ましくは-30℃以下であり、より好ましくは-40℃以下の温度で使用される。なお、本発明において-20℃未満の低温を極低温ともいう。
本発明のグリース組成物は、基油と増ちょう剤を含む。基油としては、ポリ-α-オレフィン油(PAO油)が用いられる。PAO油は、α-オレフィンまたは異性化されたα-オレフィンのオリゴマーまたはポリマーの混合物である。α-オレフィンの具体例としては、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、1-ドコセン、1-テトラドコセンなどが挙げられ、通常はこれらの混合物が使用される。
基油としては、PAO油を必須成分として、さらに、グリースの分野で通常使用される一般的な基油を配合してもよい。例えば、その他の基油として、高度精製油、鉱油、エステル系合成油、エーテル系合成油、シリコーン油、フッ素油およびこれらの混合油などを使用できる。
基油の動粘度(混合油の場合は、混合油の動粘度)としては、40℃において10~100mm2/sが好ましい。より好ましくは20~50mm2/sであり、さらに好ましくは20~40mm2/sである。
基油の好ましい形態は、PAO油のみを用い(その他の基油は含まない)、動粘度が40℃において20~40mm2/sの油である。
増ちょう剤としては、脂肪族ジウレア化合物、芳香族ジウレア化合物、および脂環式ジウレア化合物からなる群から選択されるジウレア化合物が用いられる。ジウレア化合物は、ジイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られる。ジイソシアネート成分としては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネー卜などが挙げられる。また、モノアミン成分は、脂肪族モノアミン、芳香族モノアミンおよび脂環式モノアミンを用いることができる。脂肪族モノアミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミンなどが挙げられる。芳香族モノアミンとしては、アニリン、p-トルイジンなどが挙げられる。脂環式モノアミンとしては、シクロヘキシルアミンなどが挙げられる。
これらのウレア化合物として、より具体的には、ジイソシアネート成分として芳香族ジイソシアネートを用い、モノアミン成分として芳香族モノアミンを用いた芳香族ジウレア化合物、ジイソシアネート成分として芳香族ジイソシアネートを用い、モノアミン成分として脂肪族モノアミンを用いた脂肪族ジウレア化合物、ジイソシアネート成分として芳香族ジイソシアネートを用い、モノアミン成分として脂環式モノアミンを用いた脂環式ジウレア化合物が挙げられる。これらの中で、増ちょう性が良好であることから脂環式ジウレア化合物が好ましい。
基油に増ちょう剤としてジウレア化合物を配合してベースグリースが得られる。ジウレア化合物を増ちょう剤とするベースグリースは、基油中でジイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応させて作製する。ベースグリース中に占める増ちょう剤の配合割合は、10質量%以上20質量%未満であり、好ましくは15質量%である。
グリース組成物には、必要に応じて他の公知の添加物を含有させることができる。この添加物としては、アミン系やフェノール系の酸化防止剤、塩素系、イオウ系、りん系化合物、有機モリブデンなどの極圧剤、石油スルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、ソルビタンエステルなどのさび止剤等が挙げられる。
上記に示した組成からなる本発明のグリース組成物は、-20℃未満の極低温条件下で使用される。すなわち、このグリース組成物が封入される転がり軸受は、極低温条件下で使用される。
ここで、本発明者らは、レオロジー分野に着目し、本発明のグリース組成物について動的粘弾性測定を行ったところ、この動的粘弾性と冷時異音の発生の有無とに密接な関係があることが分かった。具体的には、-20℃未満の所定温度における貯蔵弾性率G′が閾値Th1以下で、かつ、該所定温度における損失弾性率G″が閾値Th2以下のグリース組成物では、該所定温度で転がり軸受を使用する際に冷時異音が発生しないことが分かった。この観点から、本発明のグリース組成物は、周波数1Hzでの-20℃未満の所定温度(例えば、-30℃や-40℃)における貯蔵弾性率G′が120000Pa以下で、かつ、損失弾性率G″が27000Pa以下であることが好ましい。
ここで、動的粘弾性とは、線形粘弾性体に振動的(周期的)な歪みまたは応力を与えて、それに対する応力や歪みを測定することで粘弾性を評価するものである。このようにして得られる粘弾性を動的粘弾性といい、動的粘弾性では得られる弾性率が複素数の形で表される。なお、本発明では、グリース組成物を線形粘弾性体としている。
ここで、角速度ω(2π×周波数f)における歪みγおよび応力σは下記の式でそれぞれ表される。
γ=γ0cosωt
σ=σ0cos(ωt+δ)
なお、上記式において、tは時間を示し、γ0はt=0における歪みを示し、σ0はt=0における応力を示し、δは位相差を示す。
動的粘弾性における弾性率を複素弾性率G*とすると、複素弾性率G*は下記の式で表される。
G*=(σ0/γ0)eiδ=(σ0/γ0)(cosδ+isinδ)
ここで、G*=G′+iG″とすると、複素弾性率G*の実数部分G′が貯蔵弾性率に相当し、虚数部分G″が損失弾性率に相当する。そして、これらの弾性率は下記の式でそれぞれ表される。
G′=(σ0/γ0)cosδ
G″=(σ0/γ0)sinδ
貯蔵弾性率G′は、動的粘弾性の弾性成分を表している。具体的には、グリース組成物に外力が加わった時に生ずるひずみと同位相の弾性応力の比率のことをいい、グリース組成物が受けた外力の内で、弾性的に蓄えることのできるエネルギーに相当するものをいう。一方、損失弾性率G″は、動的粘弾性の粘性成分を表している。具体的には、グリース組成物に外力が加わった時に生ずるひずみと異なる位相の比率のことで、グリース組成物が受けた外力の内で熱として散逸するエネルギーに相当するものをいう。
グリース組成物の貯蔵弾性率G′および損失弾性率G″は、測定装置として、例えばレオメータを用いることができ、JIS K7244に準拠した動的粘弾性測定法にて測定することができる。また、貯蔵弾性率G′および損失弾性率G″は、温度に依存して変化することから、転がり軸受の使用が想定される温度における貯蔵弾性率G′および損失弾性率G″をそれぞれ求めることが好ましい。本発明のグリース組成物は、-20℃未満の低温で使用されるため、-20℃未満の所定温度における貯蔵弾性率G′および損失弾性率Gを測定するとよい。
一方、レオメータは測定可能な温度が定められており、測定可能温度の範囲外となる低温(例えば、-40℃以下)では、レオメータを用いて直接貯蔵弾性率G′および損失弾性率G″を測定することができない。そこでこの場合は、貯蔵弾性率G′および損失弾性率G″を推定する。具体的には、測定可能温度域で所定温度間隔ごとに測定温度を変化させることで、貯蔵弾性率G′および損失弾性率G″の温度依存曲線を取得する。そして、実測値に基づき取得された温度依存曲線から、測定可能温度の範囲外の温度依存曲線を外挿する。これにより、測定不能な低温での貯蔵弾性率G′および損失弾性率G″を推定することができる。
本発明のグリース組成物が封入された転がり軸受の一例を図1に基づいて説明する。図1は深溝玉軸受の断面図である。転がり軸受1は、外周面に内輪転走面2aを有する内輪2と内周面に外輪転走面3aを有する外輪3とが同心に配置され、内輪転走面2aと外輪転走面3aとの間に複数個の転動体4が配置される。この転動体4は、保持器5により保持される。また、内・外輪の軸方向両端開口部8a、8bがシール部材6によりシールされ、少なくとも転動体4の周囲にグリース組成物7が封入される。内輪2、外輪3および転動体4は鉄系金属材料からなり、グリース組成物7が転動体4との転走面に介在して潤滑される。
図1では転がり軸受として玉軸受について例示したが、本発明の転がり軸受は、上記以外の円筒ころ軸受、円すいころ軸受、自動調心ころ軸受、針状ころ軸受、スラスト円筒ころ軸受、スラスト円すいころ軸受、スラスト針状ころ軸受、スラスト自動調心ころ軸受などとしても使用できる。
本発明の転がり軸受は、-20℃未満の極低温条件でも冷時異音を発生しないため、極寒冷地などで使用される転がり軸受に適している。例えば、自動車の動力伝達系に設けられたプーリに組み込まれる(プーリの内径に嵌合される)、プーリ用の転がり軸受として使用される。
実施例1~3について、表1に示す基油および増ちょう剤を配合して、グリース組成物を得た。同様に、比較例1~8について、表2に示す基油および増ちょう剤を配合して、グリース組成物を得た。表1および表2に示す増ちょう剤の質量%は、基油および増ちょう剤の合計量(ベースグリース)に対する質量%である。得られた各グリース組成物において、混和ちょう度の測定、貯蔵弾性率および損失弾性率の測定、冷時異音試験を行い、それらの結果を表1および表2に併記した。
(1)混和ちょう度の測定
JIS K2220に準拠して混和ちょう度を測定した。
(2)貯蔵弾性率および損失弾性率の測定
レオメータ9を用いて、各ひずみ量に応答するせん断応力を測定した(振幅依存性測定)。図2に示すように、グリース組成物7を下部プレート11に載せ、上部プレート10と下部プレート11とのギャップ間距離が1mmとなるように上下からグリース組成物7を挟んだ。このグリース組成物に対して、上部プレート10を回転させて振動による周期的なひずみを印加し、応答としてのせん断応力を測定した。測定条件を下記に示す。
周波数 : 1Hz
ひずみ量 : 0.001~10
測定温度 : 20℃
印加した各ひずみ量とせん断応力との関係を図3に示す。図3より、両者の関係が線形となる線形領域から次測定のひずみ量を決定した。この場合、ひずみ量を0.003とした。
続いて、レオメータを用いて、一定のひずみ量(0.003)のもとで、周波数を以下の範囲で変化させ、応答としてのせん断応力を測定した(周波数依存性測定)。測定結果のうち、周波数1Hzでの各温度における貯蔵弾性率G′および損失弾性率G″を求めた。結果を表1および表2に示す。
周波数 : 20~0.1Hz
ひずみ量 : 0.003
測定温度 : -40℃、-30℃、-20℃
なお、レオメータの測定可能温度は、-40℃~20℃であるため、実施例1の-50℃における貯蔵弾性率G′および損失弾性率G″は、温度依存曲線より外挿して推定した。具体的には、実施例1のグリース組成物について、レオメータを用いて、温度20℃から-40℃まで所定温度間隔(例えば3℃)ごとに冷却しながら貯蔵弾性率G′および損失弾性率G″を測定した。各弾性率の20℃から-40℃における温度依存曲線を図4に示す。図4に示すように、温度と各弾性率は二次関数とみなすことができる。そのため、実測値に基づく温度依存曲線から、-40℃以下の温度についても仮想の温度依存曲線を外挿することができる。そして、仮想の温度依存曲線に基づいて、-50℃における貯蔵弾性率G′および損失弾性率G″をそれぞれ推定した。
(3)冷時異音試験
実施例1~3および比較例1~8の各グリース組成物を封入した転がり軸受を-50℃で1時間冷却した後、試験機に組み付け、表1および表2に示す各試験温度になってから運転をそれぞれ開始した。なお、実施例1の試験温度-50℃の場合は、-60℃で1時間冷却した後、試験機に組み付け、-50℃になってから運転を開始した。運転開始後、試験者の聴覚により冷時異音の発生の有無を評価した。冷時異音が発生しなかった場合を〇、冷時異音が発生した場合を×として、評価を行った。結果を表1および表2に示す。
転がり軸受 : 6203(プーリ組み込み)
試験温度 : -50℃、-40℃、-30℃、-20℃
軸受回転条件 : 開始30秒間で7000min-1まで加速
試験荷重 : 荷重280N
グリース封入量: 0.5g
Figure 0006990052000001
Figure 0006990052000002
表1において、実施例1~3は-20℃未満の温度で冷時異音試験を実施したが、いずれの場合も冷時異音が発生しなかった。増ちょう剤として用いたジウレア化合物は、脂環式ジウレア化合物、脂肪族ジウレア化合物、芳香族ジウレア化合物のいずれでも使用可能であった。一方、表2において、比較例1~8は-20℃の温度でも冷時異音が発生した。また、実施例および比較例のいずれの場合においても、貯蔵弾性率G′は損失弾性率G″よりも2~10倍大きかった。貯蔵弾性率G′に対する損失弾性率G″の割合(tanδ)は、0.1~0.5であった。また、温度が低下するほど、貯蔵弾性率G′および損失弾性率G″はそれぞれ上昇した。
ここで、表1(実施例1~3)および表2(比較例1~3、5)の結果について、横軸を貯蔵弾性率G′、縦軸を損失弾性率G″として、プロットした図を図5および図6にそれぞれ示す。図5に示すように、冷時異音が発生しなかった実施例1~3の各グリース組成物は、いずれも貯蔵弾性率G′が120000Pa以下で、かつ、損失弾性率G″が27000Pa以下となっている。一方、図6に示すように、冷時異音が発生した比較例1~3、5の各グリース組成物は、いずれも貯蔵弾性率G′が120000Paよりも大きいか、または、損失弾性率G″が27000Paよりも大きくなっている。ここで、脂環式ジウレア化合物と基油との組み合わせについてみると、PAO油(実施例1)では冷時異音が発生しなかったのに対し、エステル油(比較例1)や、鉱油(比較例2)、エーテル油(比較例3)では、冷時異音が発生した。さらに、脂環式ジウレア化合物の配合量についてみると、15質量%(実施例1)では冷時異音が発生しなかったのに対し、20質量%(比較例5)では、冷時異音が発生した。このように、基油としてPAO油を含み、ジウレア化合物をベースグリースに対して15質量%含むグリース組成物では、冷時異音の発生を抑制することができた。
本発明のグリース組成物は、-20℃よりもさらに低い極低温条件下であっても、冷時異音の発生を抑制することができるので、極寒冷地などで使用されるグリース封入転がり軸受に適している。
1 転がり軸受
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 シール部材
7 グリース組成物
8 開口部
9 レオメータ
10 上部プレート
11 下部プレート

Claims (3)

  1. 内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する複数の転動体と、該転動体の周囲に封入されたグリース組成物とを備えるグリース封入転がり軸受であって、
    前記グリース組成物が、基油と増ちょう剤を含み、
    前記基油は、ポリ-α-オレフィン油を必須成分とし、
    前記増ちょう剤は、脂肪族ジウレア化合物および脂環式ジウレア化合物からなる群から選択されるジウレア化合物であり、前記基油と前記増ちょう剤との合計量に対して10質量%以上20質量%未満含まれており、
    前記グリース組成物は-40℃以下の温度で使用されることを特徴とするグリース封入転がり軸受。
  2. 周波数1Hzでの-20℃未満の所定温度における貯蔵弾性率が120000Pa以下であり、周波数1Hzでの該所定温度における損失弾性率が27000Pa以下であることを特徴とする請求項1記載のグリース封入転がり軸受。
  3. 前記貯蔵弾性率および前記損失弾性率は、レオメータを用いて取得され、前記レオメータの測定可能温度の範囲内では実測値であり、前記測定可能温度の範囲外では、前記実測値に基づく温度依存曲線から推定された推定値であることを特徴とする請求項記載のグリース封入転がり軸受。
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