JP6988122B2 - セラミック電子部品 - Google Patents

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Description

本発明は、チップ部品とこれに取り付けられる金属端子を有する金属端子付きセラミック電子部品に関する。
セラミックコンデンサ等のセラミック電子部品としては、単体で直接基板等に面実装等する通常のチップ部品の他に、チップ部品に金属端子が取り付けられたものが提案されている。金属端子が取り付けられているセラミック電子部品は、実装後において、チップ部品が基板から受ける変形応力を緩和したり、チップ部品を衝撃等から保護する効果を有することが報告されており、耐久性及び信頼性等が要求される分野において使用されている。
特開2000−235932号公報
しかしながら、チップ部品に金属端子が取り付けられた従来のセラミック電子部品では、チップ部品と金属端子との接合が、外部からの振動又は衝撃や、経年劣化等により解除される問題が生じる場合があった。
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、チップ部品と金属端子との間の接合信頼性を向上させ得るセラミック電子部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るセラミック電子部品は、
誘電体と内部電極とを含み直方体状の素体と、前記素体の端面及び前記素体の側面の一部を覆う一対の端子電極と、を有するチップ部品と、
前記チップ部品を把持する嵌合アーム部をそれぞれ有しており、前記端子電極に対応して設けられる一対の金属端子と、を有し、
前記端子電極は、前記素体の前記側面から、前記側面を覆う前記端子電極の外表面までの距離である側面電極厚みが所定の値である第1側面部分と、前記第1側面部分より前記素体の前記端面から離れて配置されており前記側面電極厚みが前記第1側面部分より薄い第2側面部分と、を有しており、
前記嵌合アーム部は、前記第1側面部分より前記素体の前記端面から離れた位置で、前記チップ部品と接触している。
本発明に係るセラミック電子部品の金属端子は、チップ部品を把持する嵌合アーム部を有しているため、はんだや導電接着剤のみで金属端子とチップ部品を接合している従来のセラミック電子部品に比べて、チップ部品と金属端子との接合信頼性が高い。また、嵌合アーム部によってチップ部品と金属端子とが接続されるため、はんだや導電接着剤によるチップ部品と金属端子との接合を従来より弱くしたり、あるいは省略することができるため、このようなセラミック電子部品は、チップ部品で生じる振動が実装基板に伝わることを防止し、使用時における音鳴き等の問題を防止することができる。
また、本発明に係るセラミック電子部品における金属端子の端子電極は、素体側面における電極厚みである側面電極厚みが厚い第1側面部分と、側面電極厚みが薄い第2側面部分とを有しており、嵌合アーム部は第1側面部分より端面から離れた位置でチップ部品と接触している。したがって、このようなセラミック電子部品では、チップ部品と金属端子とを離間させる力がセラミック電子部品に作用した場合であっても、第1側面部分が嵌合アーム部に引っ掛かり、嵌合アーム部とチップ部品との嵌合が解除されることを防止できる。したがって、本発明に係るセラミック電子部品は、チップ部品と金属端子との接合信頼性が高い。また、組み立て時において、チップ部品と金属端子部とが、適切に取り付けられているか否かの確認を、嵌合アーム部とチップ部品との接触位置と、第1側面部分の位置とを確認することにより、容易に行うことができる。
また、例えば、前記金属端子は、前記素体の前記端面を覆う前記端子電極である電極端面部に対向する平板状の端面対向部を有してもよく、
前記嵌合アーム部の基端は、前記端面対向部に接続していてもよい。
このような金属端子部では、嵌合アーム部とチップ部品との嵌合を、電極端面部と端面対向部とを離間させる方向に沿って解除する方向に作用する力が生じる場合において、嵌合アーム部と第1側面部分とが引っ掛かり、嵌合アーム部とチップ部品との嵌合が解除されることを効果的に防止できる。
また、例えば、前記嵌合アーム部の先端には、前記チップ部品から離れる方向に延びる跳ね上がり部が形成されていてもよい。
嵌合アーム部の先端に跳ね上がり部が形成されていることにより、チップ部品に金属端子を取り付ける際に、チップ部品に対して嵌合アーム部をスムーズに嵌合させることができる。そのため、嵌合アーム部の先端に跳ね上がり部が形成されている金属端子を用いるセラミック電子部品は、組み立てが容易である。
また、例えば、前記端子電極は、前記第1側面部分と前記第2側面部分との間にあり、前記第1側面部分から前記第2側面部分へ向かって前記側面電極厚みが段差状に減少する段差部を有してもよい。
前記第1側面部分と前記第2側面部分との間に段差部が形成されていると、チップ部品と金属端子とを離間させる力がセラミック電子部品に作用した場合に、段差部が嵌合アーム部に強く引っ掛かり、嵌合アーム部とチップ部品との嵌合が解除される問題を効果的に防止できる。
また、例えば、前記嵌合アーム部は、前記第1側面部分より前記素体の前記端面から離れた位置で、前記端子電極と接触してもよい。
嵌合アーム部は、端子電極に接触していてもよく、素体に接触していてもよく、特に限定されないが、端子電極と接触している場合は、嵌合アーム部を介して金属端子とチップ部品との導通を確保することが可能である。このような構造を採用することにより、はんだや導電性接着剤等の使用量を低減又はこれらの使用を省略することが可能となる。
また、例えば、前記嵌合アーム部は、前記第2側面部分と接触してもよい。
嵌合アーム部が第2側面部分と接触するセラミック電子部品では、嵌合アーム部の接触部分は、素体に対して第1側面部分の外表面より近い位置にあるため、チップ部品と金属端子とを離間させる突発的な力がセラミック電子部品に作用した場合にも、嵌合アーム部と第1側面部分とが引っ掛かり、嵌合アーム部とチップ部品との嵌合が解除されることを効果的に防止できる。
図1は、本発明の第1実施形態に係るセラミック電子部品を示す概略斜視図である。 図2は、図1に示すセラミック電子部品の正面図である。 図3は、図1に示すセラミック電子部品の左側面図である。 図4は、図1に示すセラミック電子部品の断面図である。 図5は、図4に示す断面図の部分拡大図である。 図6は、第1変形例に係るセラミック電子部品の部分拡大図である。 図7は、第2変形例に係るセラミック電子部品の部分拡大図である。
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るセラミックコンデンサ10を示す概略斜視図である。セラミックコンデンサ10は、チップ部品としてのチップコンデンサ20と、一対の金属端子30、40とを有する。実施形態に係るセラミックコンデンサ10は、2つのチップコンデンサ20を有するが、セラミックコンデンサ10が有するチップコンデンサ20の数は特に限定されず、1つであってもよく、複数であってもよい。
なお、実施形態の説明では、チップコンデンサ20に金属端子30、40が取り付けられたセラミックコンデンサを例に説明を行うが、本発明のセラミック電子部品としてはこれに限られず、コンデンサ以外のチップ部品に金属端子30、40が取り付けられたものであっても良い。また、実施形態の説明においては、図1〜図5に示すように、セラミックコンデンサ10を実装する実装面に垂直な方向をZ軸方向、チップコンデンサ20の素体21における一対の端面21aa、21ab(図4参照)を互いに接続する方向をY軸方向、Z軸方向及びY軸方向に垂直な方向をX軸方向として説明を行う。
チップコンデンサ20は、略直方体形状であり、セラミックコンデンサ10に含まれる2つのチップコンデンサ20は、互いに略同一の形状およびサイズを有している。チップコンデンサ20は、直方体状の素体21と、素体21の一対の端面21aa、21abを覆う一対の端子電極22、24とを有する。断面図である図4に示すように、素体21の端面21aa、21abは、端子電極22、24に全体を覆われているため、外観図である図1〜図3には現れない。
チップコンデンサ20は、素体21の端面21aa、21abが実装面に対して垂直になるように、言い換えると、端面21aa、21abを繋ぐ辺が、セラミックコンデンサ10の実装面と平行になるように配置されている。なお、セラミックコンデンサ10の実装面は、後述する金属端子30、40の実装部38が対向するように、セラミックコンデンサ10がはんだ等によって取り付けられる面であり、図1に示すXY平面に平行な面である。
図4に示すチップコンデンサ20の素体21は、誘電体と内部電極とを含む。素体21の内部では、誘電体の層である誘電体層と内部電極の層である内部電極層とが、積層方向であるX軸方向に沿って交互に積層されている。内部電極層の一部は端子電極22に電気的に接続しており、内部電極の他の一部は、端子電極24に電気的に接続している。
素体21における誘電体層の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムまたはこれらの混合物などの誘電体材料で構成される。誘電体層の厚みは、特に限定されないが、数μm〜数百μmのものが一般的である。本実施形態では、好ましくは1.0〜5.0μmである。また、誘電体層は、コンデンサの静電容量を大きくできるチタン酸バリウムを主成分とすることが好ましい。
内部電極層に含有される導電体材料は特に限定されないが、誘電体層の構成材料が耐還元性を有する場合には、比較的安価な卑金属を用いることができる。卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn、Cr、CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。また、内部電極層は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよい。内部電極層の厚みは用途等に応じて適宜決定すればよい。
図2及び図4に示すように、チップコンデンサ20の端子電極22、24は、素体21の一対の端面21aa、21abを覆うように設けられている。一対の端子電極22、24の一方である端子電極22は、素体21におけるY軸正方向の端面21aaの全体と、一対の端面21aa、21abを接続する素体21の側面21bの一部を覆っている。図5に示すように、端子電極22は、端面21aaを覆う電極端面部23aから、側面21bの一部を覆う第1側面部分23b及び第2側面部分23cまで連続している。
また、一対の端子電極22、24の他方である端子電極24は、素体21におけるY軸負方向の端面21abの全体と、一対の端面21aa、21abを接続する素体21の側面21bの一部を覆っている。端子電極24は、端子電極22と対称な形状を有しており、端面21abを覆う部分から、側面21bの一部を覆う部分まで連続している。
図2に示すように、端子電極22と端子電極24とは互いに離間しており、素体21の側面21bの一部は、端子電極22、24から露出している。素体21の外表面のうち、少なくとも素体21の側面21bに現れる部分は絶縁材料で構成されており、端子電極22と端子電極24とは、電気的な絶縁性を確保するために十分な間隔を空けて離間して配置されているため、端子電極22と端子電極24とは導通していない。
図1に示すように、一対の金属端子30、40は、チップコンデンサ20の端子電極22、24に対応して設けられている。すなわち、一方の金属端子30は、チップコンデンサ20の端子電極22、24のうち、Y軸正方向側の一方の端子電極22に対応して設けられており、他方の金属端子40は、Y軸負方向側の他方の端子電極24に対応して設けられている。
金属端子30は、端子電極22のうち素体21の端面21aaを覆う電極端面部23aに対向する平板状の端面対向部36と、チップコンデンサ20を把持する少なくとも一対(実施形態では2対)の嵌合アーム部31a、31bと、端面対向部36からチップコンデンサ20側へ向かって延びており、端面対向部36に対して略垂直である実装部38と、を有する。
図1に示すように、金属端子30の端面対向部36は、実装面に垂直なZ軸方向に延びている。端面対向部36は、対向する端子電極22に対して、電気的及び機械的に接続されていてもよい。例えば、端面対向部36と端子電極22との隙間に、はんだや導電性接着剤等の導電性の接続部材を介在させて、端面対向部36と端子電極22とを接続することができる。ただし、金属端子30と端子電極22との電気的な接続が、後述する嵌合アームを構成する上部アーム部31a及び下部アーム部31bと端子電極22との接触部分によって達成される場合は、端面対向部36と端子電極22とを接続する接続部材として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの非導電性接着剤等を用いてもよい。
端面対向部36における端子電極22に面する部分には、第1貫通孔36bが形成されている。第1貫通孔36bは、セラミックコンデンサ10に含まれる各チップコンデンサ20に対応するように2つ形成されているが、第1貫通孔36bの形状及び数はこれに限定されない。第1貫通孔36bには、端面対向部36と端子電極22とを接続する接続部材を設けることができる。接続部材は、はんだや導電性接着剤等の導電性の材料で構成されていることが好ましく、たとえばはんだからなる接続部材は、第1貫通孔36bの周縁と端子電極22との間にはんだブリッジを形成することにより、端面対向部36と端子電極22とを強く接合することができる。
端面対向部36には、チップコンデンサ20の端子電極22へ向かって突出し、端子電極22に接触する複数の突起36aが形成されている。突起36aは、端面対向部36と端子電極22との接触面積を低減することにより、チップコンデンサ20で発生した振動が金属端子30を介して実装基板に伝わることを防止し、セラミックコンデンサ10の音鳴きを防止することができる。
突起36aを第1貫通孔36bの周辺に形成することにより、はんだ等の接続部材が形成される範囲等を調整することが可能であり、このようなセラミックコンデンサ10は、端面対向部36と端子電極22との接合強度を適切な範囲に調整しつつ、音鳴きを防止することができる。なお、セラミックコンデンサ10では、図3に示すように、1つの第1貫通孔36bの周りに、4つの突起36aが形成されているが、突起36aの数及び配置は、これに限定されない。
端面対向部36には、第1貫通孔36bの下方に、第2貫通孔36cが形成されている。第2貫通孔36cの周縁部には、上部アーム部31aと対をなして嵌合アーム部を構成する下部アーム部31bが接続している。第2貫通孔36cは、第1貫通孔36bより実装部38の近くに位置している。また、第2貫通孔36cには、第1貫通孔36bとは異なり、はんだ等の接続部材は設けられていない。
第2貫通孔36cが形成されている金属端子30は、チップコンデンサ20を支持する下部アーム部31bの周辺が弾性変形しやすい形状となっているため、セラミックコンデンサ10に生じる応力を緩和する作用や、チップコンデンサ20の振動を吸収する作用を、効果的に奏することができる。したがって、このような金属端子30を有するセラミックコンデンサ10は、音鳴きを好適に防止することが可能であり、また、実装時における実装基板との接合信頼性が良好である。
端面対向部36において、下部アーム部31bが接続する第2貫通孔36cは、実装部38に対して、高さ方向(Z軸方向)に所定の距離を離して形成されており、実装部38の接続位置と第2貫通孔36cとの間には、スリット36dが形成されている。スリット36dは、セラミックコンデンサ10を実装基板に実装する際に使用されるはんだが、端面対向部36をはい上がることを防止し、実装用のはんだが下部アーム部31b、33bや端子電極22まで繋がることを防止できる。したがって、このようなスリット36dが形成されたセラミックコンデンサ10は、音鳴きを抑制する効果を奏する。
図1に示すように、端面対向部36は、チップコンデンサ20の端子電極22に面しておりチップコンデンサ20と重複する高さに位置するプレート本体部36jと、プレート本体部36jより下方に位置しておりプレート本体部36jと実装部38とを接続する端子接続部36kを有する。第2貫通孔36cは、その周縁部がプレート本体部36jと端子接続部36kとに跨るように形成されており、下部アーム部31bは、端子接続部36kから延びている。すなわち、下部アーム部31bの基端は、第2貫通孔36cにおける略矩形の周縁部における下辺に接続しており、下部アーム部31bは、その基端から上方(Z軸正方向)かつ内側(Y軸負方向)へ屈曲しながら延びて、チップコンデンサ20の下面に接触し、チップコンデンサ20を下方から支持する。
嵌合アーム部31a、31bは、上部アーム部31aと下部アーム部31bとを有している。セラミックコンデンサ10では、1つの上部アーム部31aと、1つの下部アーム部31bとが対をなして、1つのチップコンデンサを把持している。金属端子30では、一対の嵌合アーム部31a、31bが、複数ではなく1つのチップコンデンサ20を把持しているため、各チップコンデンサ20を確実に把持することができる。
上部アーム部31aは、端面対向部36の上端(Z軸正方向がわの端部)に接続しており、下部アーム部31bは、端面対向部36における第2貫通孔36cの周縁部に接続している。なお、チップコンデンサ20を把持しており対を成す上部アーム部31aと下部アーム部31bとは、互いに非対称な形状を有していてもよく、幅方向の長さ(X軸方向の長さ)が互いに異なっていてもよい。また、下部アーム部31b、33bが端子接続部36kから延びていることにより、これらがプレート本体部36jに接続している場合に比べて、チップコンデンサ20の第1端子電極22と実装基板との伝送経路が短くなる。
実装部38は、端面対向部36における下方の端部(Z軸負方向側の端部)に接続している。実装部38は、端面対向部36からチップコンデンサ20側(Y軸負方向側)へ延びており、端面対向部36に対して略垂直に曲がっている。なお、実装部38におけるチップコンデンサ20側の表面である実装部38の上面は、チップコンデンサ20を基板に実装する際に使用されるはんだの過度な回り込みを防止する観点から、実装部38の下面より、はんだに対する濡れ性が低いことが好ましい。
図1に示すように、金属端子40は、金属端子30に対して対称に配置されており、チップコンデンサ20に対する配置が金属端子30とは異なる。しかし、金属端子40は、配置が異なるだけで、金属端子30と同様の形状を有するため、詳細については説明を省略する。
図5は、図4に示す断面図の部分拡大図であり、上部アーム部31a及び端子電極22の詳細構造を表している。図5に示すように、端子電極22は、素体21の側面のうち、実装面に平行に配置される側面21bの一部を覆う第1側面部分23bと、側面21bの他の一部を覆う第2側面部分23cとを有する。第1側面部分23bは、第2側面部分23cに比べて、端子電極22の電極端面部23aが被覆する素体21の端面21aaに近接しており、第2側面部分23cは、第1側面部分23bに比べて、第1及び第2側面部分23b、23cと連続する電極端面部23aによって被覆される素体21の端面21aaから、離れて配置されている。
図5に示すように、第1側面部分23bは、素体21の側面21bから、素体21の側面21bを覆う端子電極22の外表面22aまでの距離である側面電極厚みがT1である。また、第2側面部分23cは、同様の側面電極厚みがT2であり、第2側面部分23cにおける側面電極厚みT2は、第1側面部分23bの側面電極厚みT1より薄い。
嵌合アーム部の1つである上部アーム部31aは、第1側面部分23bより、素体21の端面21aaから離れた位置で、チップコンデンサ20の端子電極22に接触している。図5に示す例では、上部アーム部31aは、端子電極22における第2側面部分23cと接触している。上部アーム部31aが接触する第2側面部分23cは、図5に示すように、チップコンデンサ20の中心側から、素体21の端面21aa側に向かって、側面電極厚みが厚くなる傾斜を有している。第2側面部分23cが有する傾斜の角度αは、特に限定されないが、たとえば2.5〜20度とすることができる。
このように、上部アーム部31aは、第1側面部分23bに比べて、素体21の端面21aaから離れた位置で、すなわち、第1側面部分23bより中心側でチップコンデンサ20と接触している。したがって、このようなセラミックコンデンサ10は、チップコンデンサ20と金属端子30とを離間させる力が作用した場合であっても、第1側面部分23bの側電電極厚みが厚く、素体21から突出しているため、第1側面部分23bが、上部アーム部31aによる嵌合が解除されることを防止するストッパーの役割を果たし、上部アーム部31aとチップコンデンサ20との嵌合が解除されることを防止できる。
また、図5に示す上部アーム部31aを有するセラミックコンデンサ10は、上部アーム部31aが端子電極22に接触していることにより、上部アーム部31aを介して金属端子30とチップコンデンサ20との導通を確保することが可能である。このようなセラミックコンデンサ10では、はんだや導電性接着剤等の使用量を低減又はこれらの使用を省略することが可能である。また、上部アーム部31aを介して金属端子30とチップコンデンサ20との導通を確保することにより、金属端子30における端面対向部36とチップコンデンサ20における電極端面部23aとを接合するはんだや導電性接着剤の使用を低減又は使用を省略することが可能であり、このようなセラミックコンデンサ10では、チップコンデンサ20から実装基板への振動の伝達が抑制され、音鳴きを防止できる。
また、上部アーム部31の基端31abは、Z軸方向に関して、端子電極22の第1側面部分23bよりも、素子21の側面21bから離れた位置(図5では上方)に位置している。そのため、上部アーム部31は、Y軸方向に関して第1側面部分23bよりも素体21の端面21aaから離間した位置で、第2側面部分23c又は素子21の側面21bに接触し、チップコンデンサ20を保持することができる。
また、上部アーム部31aが、斜面を有する第2側面部分23cと接触することにより、上部アーム部31aによる嵌合力が、チップコンデンサ20を金属端子30の端面対向部36へ押し付ける方向へ作用する。そのため、このようなセラミックコンデンサ10では、金属端子30が確実にチップコンデンサ20を保持することができる。
また、図5に示すように、上部アーム部31aが第2側面部分23cと接触するセラミックコンデンサ10では、上部アーム部31aにおける第2側面部分23cとの接触部分は、第1側面部分の外表面に比べて、素体21の側面21bに近い位置にある。そのため、チップコンデンサ20と金属端子30とを離間させる突発的な力が作用した場合にも、上部アーム部31aが第1側面部分23bに対して確実に引っ掛かることにより、上部アーム部31aとチップコンデンサ20との嵌合が解除される問題を効果的に防止できる。
また、図5に示すように、上部アーム部31aの基端31abは、チップコンデンサ20の電極端面部23aと対向する端面対向部36に接続している。すなわち、上部アーム部31aは、第1側面部分23bよりチップコンデンサ20の外側の位置から、第1側面部分23bを超えてチップコンデンサ20の中心側へ延びており、上部アーム部31aの先端31aa近傍が、チップコンデンサ20における第2側面部分23cに接触している。このようなセラミックコンデンサ10では、嵌合アーム部31a、31bと端面対向部36に囲まれた空間にチップコンデンサ20の端子電極22を収納しており、もし外力が加えられた場合には、嵌合アーム部31a、31bと第1側面部分23bが係合することにより、端子電極22がこの空間から離脱することを防止するため、金属端子30とチップコンデンサ20との嵌合が解除される問題を効果的に防止できる。
また、図5に示すように、上部アーム部31aの先端31aaには、先端31aaに向かってチップコンデンサ20の側面21bから離れる方向に延びる跳ね上がり部31acが形成されている。上部アーム31の先端31aaに跳ね上がり部31acが形成されている金属端子30は、チップコンデンサ20に取り付けられる際に跳ね上がり部31acがガイドの役割を果たし、チップコンデンサ20の端子電極22を金属端子30の端面対向部36に近づけるだけで、上部アーム31が弾性変形して、チップコンデンサ20の端子電極22を把持することができる。そのため、このようなセラミックコンデンサ10は、組み立てが容易である。
本実施形態に係るセラミックコンデンサ10では、図4に示す下部アーム部31b及び下部アーム部31bとの接触位置周辺の端子電極22についても、図5に示す上部アーム部31a及び端子電極22と同様の特徴を有している。また、図4に示す金属端子40及び金属端子40に把持される端子電極24についても、図5等に示す金属端子30及び端子電極22と同様である。ただし、本発明はこのような実施形態のみには限定されず、例えば一部の嵌合アーム部31a、31b及びそれに接触する端子電極22、24の一部のみが、図5を用いて説明した特徴を有していてもよい。
セラミックコンデンサ10は、例えば、以下に示すように、チップコンデンサ20と金属端子30、40を準備し、これらを組み立てることにより製造することができる。
チップコンデンサ20の製造では、まず、焼成後に内部電極層となる電極パターンが形成されたグリーンシートを積層して積層体を作製したのち、得られた積層体を加圧・焼成することによりコンデンサ素体である素体21を得る。さらに、素体21に端子電極22、24を、焼き付け及びめっき等により形成することにより、チップコンデンサ20を得る。
金属端子30、40は、例えば金属の板材を機械加工することにより作製する。例えば、鉄、ニッケル、銅、銀等若しくはこれらを含む合金の板材を準備し、所定の形状に加工したのち、必要に応じて、Ni、Sn、Cu等のめっき処理をおこなうことにより、金属端子30、40を得る。また、めっき処理の際、実装部38の上面にレジスト処理を施すことにより、めっきが実装部38の上面に付着することを防止することができる。これにより、実装部38の上面と下面のはんだに対する濡れ性に差異を発生させることができる。
さらに、上述のようにして得られたチップコンデンサ20を2つ準備し、図1に示すように2つのチップコンデンサ20を配列して保持する。そして、端子電極22と端子電極24に、それぞれ金属端子30と金属端子40を取り付ける。さらに、金属端子30、40の第1貫通孔36bにはんだ等の接続部材を塗布し、金属端子30、40と端子電極22、24とを電気的及び機械的に接続することにより、セラミックコンデンサ10を得る。
以上のように、実施形態を挙げて本発明を説明してきたが、本発明は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明には他の多くの変形例が含まれることは言うまでもない。例えば、図1に示す実施形態において、嵌合アーム部31a、31bは、チップコンデンサ20の素体21の側面のうち、実装面に水平な側面21bを直接又は端子電極22を介して挟んでいるが、嵌合アーム部がチップコンデンサ20を嵌合する方向はこれに限定されず、嵌合アーム部は、実装面に垂直な側面を挟むものであってもよい。また、例えば、図6に示す本発明の第1変形例に係るセラミックコンデンサでは、チップコンデンサ120における端子電極122の形状が、図4に示す端子電極22とは異なる。
図6に示すように、第1変形例に係るセラミックコンデンサに含まれる端子電極122は、側面電極厚みがT1である第1側面部分123bと側面電極厚みがT2である第2側面部分123cとの間に、段差部123dを有する。段差部123dは、第1側面部分123bから第2側面部分123cへ向かう単位長さ当たりの側面電極厚みの変化(厚みの減少率)が極値となり、段差部123dで側面電極厚みが段差状に減少する。段差部123dに形成される段差は、特に限定されないが、例えば0.005〜0.2mm程度とすることができる。図6に示すような段差部123dを有する端子電極122を含む第1変形例では、チップコンデンサ120と金属端子30とを離間させる力がセラミックコンデンサに作用した場合に、段差部123dが上部アーム部31aに強く引っ掛かり、上部アーム部31aとチップコンデンサ120との嵌合が解除される問題を効果的に防止できる。
なお、第1変形例に係るセラミックコンデンサは、図6に示す端子電極122の形状が異なることを除き、図1〜図5に示すセラミックコンデンサ10と同様であるため、セラミックコンデンサ10との共通点については説明を省略する。また、第1変形例に係るセラミックコンデンサは、実施形態に係るセラミックコンデンサ10と同様の効果を奏する。
図7は、本発明の第2変形例に係るセラミックコンデンサに含まれるチップコンデンサ20と金属端子230の配置を表す拡大断面図である。第2変形例に係るセラミックコンデンサは、金属端子230が異なることを除き、実施形態に係るセラミックコンデンサ10と同様であり、共通部分については説明を省略する。
図7に示すように、第2変形例において、上部アーム部231aは端子電極22に接触しておらず、第1側面部分23b及び第2側面部分23cよりチップコンデンサ20の中央側において、素体21の側面21bに接触している。第2変形例に係るセラミックコンデンサにおいても、チップコンデンサ20と金属端子230とを離間させる力が作用した場合には、側電電極厚みが厚い第1側面部分23bが上部アーム部231aに引っ掛かり、上部アーム部231aによる嵌合が解除されることを防止するストッパーの役割を果たすことにより、上部アーム部31aとチップコンデンサ20との嵌合が解除されることを防止できるため、実施形態に係るセラミックコンデンサ10と同様の効果を奏する。
ただし、図7に示す上部アーム部231aは、端子電極22には接触していないため、金属端子230とチップコンデンサ20との導通は、端面対向部236と電極端面部23aとの間など、上部アーム部231a以外の部分と端子電極22とを接続することにより確保される。
10…セラミックコンデンサ
20、120…チップコンデンサ
21…素体
21aa、21ab…端面
21b…側面
22、24、122…端子電極
22a…外表面
23a…電極端面部
23b、123b…第1側面部分
23c、123c…第2側面部分
123d…段差部
T1、T2…側面電極厚み
30、40、230…金属端子
31a、231a…上部アーム部
31aa…先端
31ab…基端
31ac…跳ね上がり部
31b…下部アーム部
36、236…端面対向部
36a…突起
36b…第1貫通孔
36c…第2貫通孔
36d…スリット
36j…プレート本体部
36k…端子接続部

Claims (6)

  1. 誘電体と内部電極とを含み直方体状の素体と、前記素体の端面及び前記素体の側面の一部を覆う一対の端子電極と、を有するチップ部品と、
    前記チップ部品を把持する嵌合アーム部をそれぞれ有しており、前記端子電極に対応して設けられる一対の金属端子と、を有し、
    前記端子電極は、前記素体の前記側面から、前記側面を覆う前記端子電極の外表面までの距離である側面電極厚みが所定の値である第1側面部分と、前記第1側面部分より前記素体の前記端面から離れて配置されており前記側面電極厚みが前記第1側面部分より薄い第2側面部分と、を有しており、
    前記嵌合アーム部は、前記第1側面部分より前記素体の前記端面から離れた位置で、前記チップ部品と接触しており、
    前記一対の端子電極それぞれの前記第1側面部分は、前記金属端子の前記嵌合アーム部に前記素体の前記端面の方向の力が作用したとき、当該嵌合アーム部が引っ掛かかる前記側面電極厚みを有しており、
    前記第2側面部分は、前記素体の前記端面から離れた位置から、前記素体の前記端面の側に向かって厚みが厚くなる傾斜を有しており、当該傾斜の前記素体の前記側面に対する角度は、2.5〜20度であることを特徴とするセラミック電子部品。
  2. 誘電体と内部電極とを含み直方体状の素体と、前記素体の端面及び前記素体の側面の一部を覆う一対の端子電極と、を有するチップ部品と、
    前記チップ部品を把持する嵌合アーム部をそれぞれ有しており、前記端子電極に対応して設けられる一対の金属端子と、を有し、
    前記端子電極は、前記素体の前記側面から、前記側面を覆う前記端子電極の外表面までの距離である側面電極厚みが所定の値である第1側面部分と、前記第1側面部分より前記素体の前記端面から離れて配置されており前記側面電極厚みが前記第1側面部分より薄い第2側面部分と、を有しており、
    前記嵌合アーム部は、前記第1側面部分より前記素体の前記端面から離れた位置で、前記チップ部品と接触しており、
    前記端子電極は、前記第1側面部分と前記第2側面部分との間にあり、前記第1側面部分から前記第2側面部分へ向かって前記側面電極厚みが段差状に減少する段差部を有することを特徴とするセラミック電子部品。
  3. 前記金属端子は、前記素体の前記端面を覆う前記端子電極である電極端面部に対向する平板状の端面対向部を有しており、
    前記嵌合アーム部の基端は、前記端面対向部に接続していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセラミック電子部品。
  4. 前記嵌合アーム部の先端には、前記チップ部品から離れる方向に延びる跳ね上がり部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のセラミック電子部品。
  5. 前記嵌合アーム部は、前記第1側面部分より前記素体の前記端面から離れた位置で、前記端子電極と接触することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載のセラミック電子部品。
  6. 前記嵌合アーム部は、前記第2側面部分と接触することを特徴とする請求項5に記載のセラミック電子部品。
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