本発明のキットは、第1の容器及び第1のハウジング部材が予め接続されており、使用時に、第1の容器及び第1のハウジング部材を接続する必要がない。したがって、第1の容器に含まれる第1の流体の送出作業を衛生的に実施可能であり、また、使用時に接続作業を実施する必要がない。
特に、本発明のキットは、使用時には、第1の中空ニードルによって第1のシール部材を刺通することで、第1の流体を第1の容器から送出可能とするが、第1の中空ニードルが閉鎖空間内で第1のシール部材を刺通するために、使用時に、周囲環境中の細菌又は微粒子等の微細な汚染物質が第1の流体に混入することがない。したがって、第1の流体の送出を衛生的に提供することができる。
したがって、本発明の混合キットは病院等の医療現場で好適に使用することができる。
本発明のキットが第2の流体を含む第2の容器及び三方弁をも備える場合には、第1の流体及び第2の流体の送出を適宜切り替えることが可能である。そして、第2の容器を三方弁に予め接続しておくことにより、第2の流体についても第2の容器から衛生的に送出することができ、また、当該送出にあたり煩雑な準備作業が不要である。
第1の流体は、流体である限り特に限定されるものではないが、常温・常圧下で流動性の流体であることが好ましく、25℃・1気圧下で液体であるものがより好ましく、各種の医薬・診断薬等の薬剤の溶液又は懸濁液が更により好ましい。例えば、前記第1の流体としては各種の造影剤(好ましくは、溶液若しくは懸濁液の状態)を挙げることができる。
第2の流体も、流体である限り特に限定されるものではなく、常温・常圧下で流動性の流体であることが好ましく、25℃・1気圧下で液体であるものがより好ましく、第1の流体とは異なる各種の医薬・診断薬等の薬剤の溶液又は懸濁液が更により好ましい。一方、第2の流体は、各種の医薬・診断薬等以外の流体であってもよく、例えば、生理食塩水が挙げられる。
第1の容器及び第2の容器は、それぞれ第1の流体及び第2の流体を含むことができる限り特に限定されるものではないが、バッグ、瓶、バイアル、シリンジ等の医療現場で汎用の容器が好ましく、シリンジがより好ましく、プランジャ付シリンジが特に好ましい。なお、第1の容器及び第2の容器は同一の形状・形態である必要はないが、両者とも同一の形状・形態であってもよい。
以下、本発明の一つの態様を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明のキットの一態様を示す図(一部断面図)であり、当該キットの組み立て前の状態を示す。
図1に示す態様では、本発明のキットは、第1の流体を含む第1の容器1及び後述する第1のハウジング部材21を備えており、第1のハウジング部材21には第1の送出管2の一方の開口端部が取り付けられている。なお、第1の送出管2の他方の開口端部は図示を省略する。
図2は、第1の容器1の拡大断面図である。図2に示すように、第1の容器1は、シリンジ11、シリンジ11内で摺動可能なガスケット12、ガスケット12をシリンジ11の軸方向(長手方向)に沿って移動操作可能なプランジャ13を備えており、ガスケット12はプランジャ13の先端に取り付けられている。
具体的には、プランジャ13の先端には雄ネジ13aが設けられている一方で、ガスケット12には雌ネジ12aが設けられており、雌ネジ12aと雄ネジ13aが係合することによって、ガスケット12がプランジャ13の先端に取り付けられ、両者が一体化されている。
シリンジ11の内部には、ガスケット12の表面とシリンジ11の内面とによって空間1aが形成されており、空間1aに図示を省略する第1の流体が貯留されている。そして、空間1aの容積はプランジャ13を操作することによって可変とされている。
シリンジ11の構成材料は特には限定されるものではなく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリ塩化ビニル;ポリ−4(4−メチルペンテン−1);アクリル樹脂;ポリアクリロニトリル;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート−ポリエチレンテレフタレート共重合体等のポリエステル;ポリフッ化ビニリデン;ブタジエン−スチレン共重合体;環状ポリオレフィン等の各種樹脂、及び、それらの混合物が挙げられる。シリンジ11は透明であることが好ましく、したがって、シリンジ11の構成材料としても透明な樹脂を使用することが好ましい。
図2に示すように、シリンジ11の先端には第1の流体の吐出口11aが形成されているが、シリンジ11の先端には第1のシール部材14が取り付けられており、第1のシール部材14が吐出口11aを封止している。第1のシール部材14により、非使用時に、空間1a内の第1の流体が吐出口11aから外部へ流出することが阻止される。シリンジ11の先端への第1のシール部材14の取り付けの形態は特に限定されるものではなく、嵌め込み、接着等の各種の形態を採用することができる。
第1のシール部材14の材質は、吐出口11aを封止している部分が刺通可能なものであれば特には限定されるものではなく、例えば、スチレン系エラストマー、水添スチレン系エラストマー、及び、これらのいずれかにポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、α−オレフィン共重合体等のポリオレフィン、流動パラフィン、プロセスオイル等のオイル、タルク、キャスト、マイカ等の無機粉体を混合したものが挙げられる。更に、ポリ塩化ビニル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等の各種エラストマー、並びに、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコンゴム等の各種ゴム材料(特に加硫処理したもの)、それらの混合物が挙げられる。
図2に示す態様では、第1のシール部材14の周囲に第1のキャップ15が取り付けられており、第1のシール部材14を第1のキャップ15が包囲している。第1のキャップ15には開口部15aが形成されており、開口部15aから第1のシール部材14、特に、第1のシール部材14の吐出口11aを封止している部分、が露出している。また、第1のキャップ15の外周面にはネジ山15b及びネジ溝15cが形成されている。なお、図2に示す態様では、第1のシール部材14と第1のキャップ15の間には一部空隙が存在しているが、当該空隙は存在しなくともよい。
図3は、第1のハウジング部材21の拡大断面図である。図3に示すように、第1のハウジング部材21には第1の中空ニードル22が取り付けられている。また、図3では、第1のハウジング部材21に第1の送出管2の一方の開口端部が取り付けられている。第1の中空ニードル22の内部は第1の送出管2の内部と連通している。なお、第1のハウジング部材21への第1の中空ニードル22の取り付けの態様は図3に示すものに限られるものではなく、例えば、各種のアダプターを介して、第1の中空ニードル22を第1のハウジング部材21に取り付けることができる。また、図3に示す態様では第1のハウジング部材21に第1の送出管2が直接接続されているが、各種のアダプターを介して、第1のハウジング部材21に第1の送出管2を接続してもよい。
図3に示す態様では、第1のハウジング部材21は内部空間21aを有している。そして、内部空間21aを構成する第1のハウジング部材21の内周面にはネジ山21b及びネジ溝21cが形成されている。第1の中空ニードル22の先端は第1のハウジング部材21の内部空間21a内に存在している。なお、第1のハウジング部材21の形状は内部空間21aを有する限り特に限定されるものではなく、円筒形、球形、直方体形、立方体形、袋状等の様々な形態とすることができる。
図4は、第1のハウジング部材21と第1のキャップ15の一実施形態を示す図であり、矢印は(矢印で示されている部位の)第1のハウジング部材21及び第1のキャップ15の各断面を示す。図4に示す態様では、第1のハウジング部材21の内周面のネジ山21b及びネジ溝21cと第1のキャップ15の外周面のネジ山15b及びネジ溝15cが係合可能とされている。そして、図4(a)に示すように、第1のハウジング部材21の開口端部(図面下方)のネジ山の一部に斜面及び垂直面を有する凸部21dが形成されており、その一方で、図4(b)に示すように、第1のキャップ15の最上部(図面上方)の外周面のネジ溝の一部に斜面及び垂直面を有する凹部15d、及び、ピン15eが形成されている。
図5は、図4に示す態様の本発明のキットの組み立てを示す。
図4に示す態様の本発明のキットを組み立てる場合、まず、図5の左側に示されるように、第1のハウジング部材21の開口端部と第1のキャップ15の最上部を対面させる。次に、図5の右側に示されるように、第1のハウジング部材21の内周面の開口端部のネジ山及びネジ溝と第1のキャップ15の外周面の最上部のネジ山及びネジ溝を係合させる。このように、第1のハウジング部材21及び第1のキャップ15が係合することによって、第1のハウジング部材21がシリンジ11の吐出口11aを包囲して、第1のハウジング部材21の内部空間21aが、外部から隔離された閉鎖空間となり、第1の中空ニードル22及び吐出口11aを周囲環境から隔離する。すなわち、吐出口11aの周囲に閉鎖空間が形成される。前記閉鎖空間は気密状態であることが好ましい。また、前記閉鎖空間は閉鎖状態を維持することが好ましい。
第1のハウジング部材21及び第1のキャップ15の係合による閉鎖空間(21a)の形成により、本発明のキットの組み立てが完了する。図5に示す組み立て済みの本発明のキットにおける閉鎖空間(21a)内には第1の中空ニードル22が存在しており、また、第1のシール部材14の一部(吐出口11aを封止している部分)が閉鎖空間(21a)に露出している。但し、第1の中空ニードル22(特に先端)と第1のシール部材14は閉鎖空間(21a)内で離隔している。
第1のハウジング部材21及び第1のキャップ15の係合による閉鎖空間の形成により、キットの組み立てが完了する。
このようにして、本発明のキットを構成する部品が組み立てられ、本発明のキットが構成される。キットの組み立てにより、第1の容器1と第1のハウジング部材21は一体化する。したがって、図1に示す本発明のキットは、第1の容器1及び第1のハウジング部材21を備えている。なお、図1の態様では第1のハウジング部材21は第1の送出管2と接続されており、第1の容器1と第1のハウジング部材21の組み立て後は、第1の容器1の吐出口11aが第1の送出管2の開口端部と連通可能である(但し、吐出口11aは第1のシール部材14でシールされ、第1の中空ニードル22と第1のシール部材14は離隔している)。
第1のハウジング部材21と第1のキャップ15を係合するにあたり、第1のハウジング部材21と第1のキャップ15は係合後に相対位置の変動が制限されることが好ましい。これにより、第1のハウジング部材21と第1のキャップ15との係合が、例えば、本発明のキットの搬送中に生じる振動等によって外れ、閉鎖空間(21a)の閉鎖状態が損なわれることを回避することができる。
したがって、本発明のキットは第1のハウジング部材21及び第1のキャップ15の相対位置の変動を制限するストッパ機構を備えることが好ましい。
図6は、図4に示す態様の本発明のキットにおけるストッパ機構を示す図であり、第1のキャップ15側から見た概略断面図である。
既述のとおり、図4に示す本発明のキットでは、第1のハウジング部材21の内周面に設けられたネジ山の一部に斜面及び垂直面を有する凸部21dが形成されており、その一方で、第1のキャップ15の外周面のネジ溝の一部に斜面及び垂直面を有する凹部15d、及び、ピン15eが形成されている。そして、凸部21d及凹部15dが第1のストッパ機構を構成しており、また、凸部21d及びピン15eが第2のストッパ機構を構成している。
そして、第1のハウジング部材21と第1のキャップ15が図5に示すように係合すると、第1のハウジング部材21の凸部21dと第1のキャップ15の凹部15dが図6に示すように噛み合い、これにより、第1のハウジング部材21と第1のキャップ15の相対位置の変動が制限される。また、第1の中空ニードル22と第1のキャップ15の相対位置の変動も制限される。
図6に示す態様では、第1のキャップ15を基準とすると、第1のハウジング部材21の右方向への回転が制限され、左方向の回転のみが許容される。したがって、第1のハウジング部材21と第1のキャップ15が係合して第1のハウジング部材21の凸部21dと第1のキャップ15の凹部15dが一旦噛み合うと、第1のハウジング部材21は第1のキャップ15から外れる方向への回転が制限され、第1のハウジング部材21は第1のキャップ15と更に係合する方向にのみ回転可能となる。
これにより、例えば、図5の右側に示す係合状態においては、第1のハウジング部材21は下方への移動のみが許容され、また、第1のキャップ15は上方への移動のみが許容される。すなわち、第1のストッパ機構は、第1のハウジング部材21及び第1のキャップ15の相対位置の変動を閉鎖空間(21a)の体積が減少する方向にのみ可能とする。したがって、第1の中空ニードル22及び第1のシール部材14は、閉鎖空間(21a)の体積が減少する方向にのみ、相対位置の変動が可能である。換言すれば、第1の中空ニードル22及び第1のシール部材14は、第1の中空ニードル22の先端が第1のシール部材14を刺通する方向にのみ、相対位置の変動が可能である。
また、図6に示す態様では、ピン15eが凸部21dの移動を仮に阻止するので、第2のストッパ機構は、第1のハウジング部材21及び第1のキャップ15の相対位置を仮固定する。したがって、第1の中空ニードル22及び第1のシール部材14の相対位置も仮固定される。
しかし、図4〜図6に示す態様では、ピン15eは軟質の樹脂、ゴム等の柔軟な部材で構成されており、屈曲可能とされているので、凸部21dをピン15eに接触させ、更に力を加えることにより、ピン15eを屈曲させて、凸部21dがピン15eを乗り越えることができる。したがって、ピン15eは凸部21dの移動を仮に阻止するが、例えば、使用者が第1のハウジング部材21を図6の左方向に回転させようと力を加えると、凸部21dはピン15eを屈曲させ、ピン15eを乗り越えて左方向に移動することができる。これにより、第1のハウジング部材21も左方向に回転することができる。
すなわち、第2のストッパ機構により、非使用時には、第1のハウジング部材21及び第1のキャップ15の相対位置が固定され、第1の中空ニードル22及び第1のシール部材14の相対位置も固定されているが、使用時には、第1のハウジング部材21及び第1のキャップ15の相対位置の固定が解除される。そして、第1のストッパ機構の作用により、第1のハウジング部材21及び第1のキャップ15の相対位置が閉鎖空間(21a)が減少する方向にのみ変動し、その結果、第1の中空ニードル22及び第1のシール部材14の相対位置も閉鎖空間(21a)が減少する方向にのみ変動する。換言すれば、第1の中空ニードル22及び第1のシール部材14は、第1の中空ニードル22が第1のシール部材14に接近して、第1の中空ニードル22の先端が第1のシール部材14を刺通する方向にのみ、相対位置が変動する。
このように、第1のストッパ機構により、例えば、本発明のキットの非使用時に、第1のハウジング部材21と第1のキャップ15の係合が搬送時の振動等によって外れ、閉鎖空間(21a)の閉鎖状態が損なわれ、本発明のキットの組み立て状態が解除されることが回避される。
また、第2のストッパ機構により、例えば、本発明のキットの非使用時には、第1のハウジング部材21と第1のキャップ15の相対位置、すなわち、第1の中空ニードル22と第1のシール部材14の相対位置の変動が阻止され、非使用時に、誤って、第1の中空ニードル22が第1のシール部材14を刺通することが回避される。
なお、図4〜図6に示す態様では、ピン15eを軟質の樹脂、ゴム等の柔軟な部材で屈曲可能としたが、例えば、ピン15eを人力で破壊可能な程度の強度の樹脂で構成してもよい。この場合、使用時には、第1のハウジング部材21又は第1のキャップ15に回転方向の力をかけ、凸部21dとの接触・押圧によってピン15を破壊して、第1のハウジング部材21と第1のキャップ15との相対位置を変動可能としてもよい。
図7は本発明のキットにおけるストッパ機構の他の例を示す図である。
図7に示す態様では、第1のハウジング部材21の内周面に設けられたネジ山の一部に曲面を有する凸部21eが形成されており、その一方で、第1のキャップ15の外周面のネジ溝の一部にも曲面を有する凸部15f及び15gが形成されている。そして、凸部21e及び凸部15gが第1のストッパ機構を構成しており、また、凸部21e及び凸部15fが第2のストッパ機構を構成している。なお、図7に示す態様では、凸部15gの高さの方が凸部15fの高さよりも高い方が好ましい。
図7に示す態様では、凸部21eは凸部15f及び15gを自然には乗り越えることができないが、力を加えることによって、乗り越えることが可能とされている。凸部21e、15f及び15gの材料、形状、大きさは、力を加えることにより凸部21eが凸部15f及び15gを乗り越えることが可能であり、かつ、凸部21eが自然には凸部15f及び15gを乗り越えることができない限り、特に限定されるものではない。例えば、凸部21eは、プラスチック、軟質の樹脂、ゴム等の比較的柔軟な部材から構成可能であり、15f及び15gは、比較的強度の高い樹脂等の部材から構成可能であり、また、半球状等の球の一部の形状を備えることができる。
そして、第1のハウジング部材21と第1のキャップ15が図7に示すように係合すると、第1のハウジング部材21の凸部21eと第1のキャップ15の凸部15f及び15gが嵌合し、これにより、第1のハウジング部材21と第1のキャップ15の相対位置の変動が制限される。また、第1の中空ニードル22と第1のキャップ15の相対位置の変動も制限される。
特に、図8に示すように、凸部21eが一部垂直面を有し、且つ、凸部15gが一部垂直面を有し、両垂直面が係合するような構成とした場合は、第1のキャップ15を基準とすると、第1のハウジング部材21の右方向への回転が制限され、左方向の回転のみが許容される。したがって、第1のハウジング部材21と第1のキャップ15が係合すると、第1のハウジング部材21は第1のキャップ15から外れる方向への回転が制限され、第1のハウジング部材21は第1のキャップ15と更に係合する方向にのみ回転可能となる。
これにより、図8に示す態様の係合状態においては、第1のハウジング部材21は下方への移動のみが許容され、また、第1のキャップ15は上方への移動のみが許容される。すなわち、第1のストッパ機構は、第1のハウジング部材21及び第1のキャップ15の相対位置の変動を閉鎖空間(21a)の体積が減少する方向にのみ可能とする。したがって、第1の中空ニードル22及び第1のシール部材14は、閉鎖空間(21a)の体積が減少する方向にのみ、相対位置の変動が可能である。換言すれば、第1の中空ニードル22及び第1のシール部材14は、第1の中空ニードル22の先端が第1のシール部材14を刺通する方向にのみ、相対位置の変動が可能である。
また、図7及び図8に示す態様では、凸部15fが凸部21eの移動を仮に阻止するので、第2のストッパ機構は、第1のハウジング部材21及び第1のキャップ15の相対位置を仮固定する。したがって、第1の中空ニードル22及び第1のシール部材14の相対位置も仮固定される。
しかし、図7及び図8に示す態様では、凸部21eは、プラスチック又はゴム等の部材で構成されており、力を加えることにより凸部15fを乗り越えることが可能とされているので、凸部21eを凸部15fに接触させ、更に力を加えることにより、凸部21eが凸部15fを乗り越えることができる。したがって、凸部15fは凸部21eの移動を仮に阻止するが、例えば、使用者が第1のハウジング部材21を図7及び図8の左方向に回転させようと力を加えると、凸部21eは凸部15fを乗り越えて左方向に移動することができる。これにより、第1のハウジング部材21も左方向に回転することができる。
すなわち、第2のストッパ機構により、非使用時には、第1のハウジング部材21及び第1のキャップ15の相対位置が固定され、第1の中空ニードル22及び第1のシール部材14の相対位置も固定されているが、使用時には、第1のハウジング部材21及び第1のキャップ15の相対位置の固定が解除される。そして、第1のストッパ機構の作用により、第1のハウジング部材21及び第1のキャップ15の相対位置が閉鎖空間(21a)が減少する方向にのみ変動し、その結果、第1の中空ニードル22及び第1のシール部材14の相対位置も閉鎖空間(21a)が減少する方向にのみ変動する。換言すれば、第1の中空ニードル22及び第1のシール部材14は、第1の中空ニードル22が第1のシール部材14に接近して、第1の中空ニードル22の先端が第1のシール部材14を刺通する方向にのみ、相対位置が変動する。
このように、第1のストッパ機構により、例えば、本発明のキットの非使用時に、第1のハウジング部材21と第1のキャップ15の係合が搬送時の振動等によって外れ、閉鎖空間(21a)の閉鎖状態が損なわれ、本発明のキットの組み立て状態が解除されることが回避される。
また、第2のストッパ機構により、例えば、本発明のキットの非使用時には、第1のハウジング部材21と第1のキャップ15の相対位置、すなわち、第1の中空ニードル22と第1のシール部材14の相対位置の変動が阻止され、非使用時に、誤って、第1の中空ニードル22が第1のシール部材14を刺通することが回避される。
図1〜図8に示す態様の本発明のキットを組み立て後に使用する際は、第1のハウジング部材21又は第1のキャップ15を回転させて、第1の中空ニードル22と第1のシール部材14の相対位置を変動させ、第1の中空ニードル22を第1のシール部材14に接近させて、第1のキャップ15の開口部15aを経て、第1の中空ニードル22の先端で第1のシール部材14を刺通する。
第1の中空ニードル22による第1のシール部材14の刺通により、第1の中空ニードル22の先端はシリンジ11の吐出部11aに到達し、シリンジ11内の空間1aが第1の送出管2の内部と連通する。これによって、空間1a内の第1の流体が第1の中空ニードル22を介して第1の容器1外に送出可能となり、プランジャ13を移動させることによって、第1の流体が第1の送出管2に送出される。
本発明のキットでは、第1の中空ニードル22による第1のシール部材14の刺通は閉鎖空間(21a)内で行われるので、使用時に、周囲環境中の細菌等の微細な汚染物質が第1の流体に混入することがない。したがって、本発明のキットによって、第1の流体の送出を衛生的に提供することができる。
また、本発明のキットは、第1の容器1及び第1のハウジング部材21が予め接続されているので、使用時に、第1の容器1及び第1のハウジング部材21を接続する必要がない。したがって、送出作業を衛生的に実施可能であり、また、使用時に接続作業を実施する必要がない。
したがって、本発明のキットは、容器内の流体を送出するにあたり、送出作業を衛生的に行うことが可能であり、且つ、送出作業にあたり煩雑な準備が不要である。
以下、本発明のキットの他の態様について説明する。
図9は本発明のキットにおけるストッパ機構の他の例を示す断面図である。図10は図7のA−A線断面を図9の下側から見た図である。
図9及び図10に示す例では、第1のハウジング部材21の内周面の開口端部(図面下方)のネジ溝に略直方体の突起21fが形成されており、その一方で、第1のキャップ15の最下部のネジ山に斜面と垂直面を有する凸部15hが形成されている。
第1のハウジング部材21は軟質の樹脂等の比較的柔軟な材質で構成されている。第1のキャップ15はより強度の高い樹脂等の比較的固い材質で構成されている。したがって、本発明のキットの組み立て時に、第1のハウジング部材21と第1のキャップ15の係合が進み、凸部15hの斜面が突起21fに当接すると当該斜面が突起21fを押上げ、第1のハウジング部材21は外方に僅かに変形し、凸部15hが突起21f上を通過することを許容する。一方、凸部15hが突起21fを通過すると、突起21fは凸部15hの垂直面に沿って内方に戻り、図10に示す状態となる。図10に示す状態では突起21fはストッパとなり、第1のハウジング部材21の右方向への回転を阻止する。したがって、第1のハウジング部材21の回転方向が制限され、第1のキャップ15から第1のハウジング部材21が外れる方向への第1のハウジング部材21の回転が阻止される。
図9及び図10に示す本発明のキットを使用する際には、第1のハウジング部材21又は第1のキャップ15を更に回転させて、第1の中空ニードル22と第1のシール部材14を接近させ、第1の中空ニードル22の先端で第1のシール部材14を刺通する。
図11は本発明のキットにおけるストッパ機構の更に他の例を示す概略斜視図である。
図11に示す態様では、第1のハウジング部材21の内周面にはネジ山及びネジ溝は設けられておらず、その代わりに、略直方体状の突起21gが形成されている。また、第1のキャップ15の外周面にもネジ山及びネジ溝は形成されておらず、その代わりに、T字溝15iが形成されている。
第1のハウジング部材21及び第1のキャップ15を係合する際は、突起21gをT字溝15i内に上側から下側に向けて嵌入し、例えば、第1のハウジング部材21を第1のキャップ15の方向に押し下げる。更に、突起21gをT字溝15iの分岐点から横方向に移動させるように、第1のハウジング部材21又は第1のキャップ15を回転させる。これにより、第1のハウジング部材21と第1のキャップ15の鉛直方向の相対位置の変動が阻止され、第1のハウジング部材21と第1のキャップ15が係合する。そして、突起21gをT字溝15jの横方向の溝の端部に接触させることにより、第1のハウジング部材21及び第1のキャップ15の相対位置を固定することができる。
図11に示す本発明のキットを使用する際には、第1のハウジング部材21又は第1のキャップ15を逆方向に回転させて突起21gをT字溝15iの分岐点に再び移動させ、更に、例えば、第1のハウジング部材21を図面下方向に押し下げて突起21gをT字溝15iに沿って下方に移動させることによって、第1の中空ニードル22と第1のシール部材14を接近させ、第1の中空ニードル22の先端で第1のシール部材14を刺通する。そして、突起21gをT字溝15jの縦方向の溝の下端部に接触させることにより、第1のハウジング部材21及び第1のキャップ15の相対位置を固定することができる。
図12〜図18は本発明のキットにおけるストッパ機構の更に他の例を示す拡大斜視図である。
図12に示す態様では、略円筒形の第1のキャップ15の外周面に、切欠き15jを備えた断面凸型の突条15kが当該外周面の母線方向に形成されている。そして、突条15kの一方の側には突条15kに沿って直線溝15lが形成されており、直線溝15lの端部には、直線溝15lの端部として、段差15mを備えた引込み部15nが形成されている。なお、図12では切欠き15jを備えた突条15kが1つ示されているが、第1のキャップ15の外周面には複数の突条15kが形成されることが好ましい。
一方、略円筒形の第1のハウジング部材21の端部には、切欠き21i及びレール部21jを備えた断面凹型のレール21hが第1のハウジング部材21の端部から突出して形成されており、レール21hの凹部21kは突条15kを収容可能とされている。また、レール部21jは切欠き15jを通過可能とされており、且つ、直線溝15l内に嵌入可能とされている。なお、図12ではレール21hが1つ示されているが、第1のハウジング部材21の端部には突条15kの数に応じてレール21hが複数形成されることが好ましい。
そして、図12に示す態様では、突条15kがレール21hの凹部21k内を第1のハウジング部材21の外周面の母線方向に沿って相対的に移動可能とされており、また、レール21hのレール部21jが直線溝15l内を第1のキャップ15の外周面の母線方向に沿って相対的に移動可能とされている。
図12に示す態様のストッパ機構を備える本発明のキットを組み立てる際は、まず、第1のハウジング部材21内に第1のキャップ15を嵌め込むように、第1のハウジング部材21を第1のキャップ15の方向に移動させる。具体的には、図12の矢印で示す方向に第1のハウジング部材21を押すか、或いは、逆方向に第1のキャップ15を押す。これにより、第1のハウジング部材21のレール21hが第1のキャップ15の外周面上に当該外周面の母線方向に沿って進入する。
次に、レール部21jが切欠き15jに対向する位置までレール21hが進入した段階で、図13の矢印で示す方向に第1のハウジング部材21を回転させるか、或いは、逆方向に第1のキャップ15を回転させる。これにより、レール21hのレール部21jが切欠き15jを通過する。
そして、レール部21jが切欠き15jを通過後、図14に示すように、レール部21jは直線溝15l内に嵌入し、これにより、更なる回転が制限される。したがって、第1のハウジング部材21と第1のキャップ15が係合する。また、突条15kはレール21hの凹部21kに対面する。
最後に、図15の矢印で示す方向に段差15mの分だけ第1のハウジング部材21を移動させ、レール部21jを引込み部15nに引込む。段差15mによりレール部21jの逆回転が阻害されるので、レール部21jは直線溝15l内に完全に固定される。これにより、第1のハウジング部材21と第1のキャップ15の相対位置は固定される。そして、第1のハウジング部材21と第1のキャップ15との間に閉鎖空間が形成される。
図12に示す態様のストッパ機構を備える本発明のキットを使用する際は、図16に示す矢印の方向に第1のハウジング部材21を移動させる。これにより、レール部21jが直線溝15l内を移動し、また、突条15kが凹部21kに嵌入する。これにより、第1のハウジング部材21の回転が阻害されつつ、第1のハウジング部材21がシリンジ11の方向に更に接近する。なお、図示の都合上、図16では第1のハウジング部材21と第1のキャップ15との間の空間を介して内部の第1の中空ニードル22が示されているが、実際には、第1のハウジング部材21と第1のキャップ15との間の閉鎖空間は閉鎖状態が維持される。
そして、図17の矢印の方向に第1のハウジング部材21を更に移動させることにより、第1の中空ニードル22が図示を省略する第1のシール部材を刺通する。
図18に、第1の中空ニードル22が第1のシール部材14を刺通した状態を示す。これにより、シリンジ11内の第1の流体を第1の中空ニードル22を介してシリンジ11の外部に送出することができる。
本発明のキットは図4〜図8に示すものに代えて、図9及び図10、図11、又は、図12〜図18に示すようなストッパ機構を備えてもよい。
図19は本発明のキットの他の態様の全体を示す図(一部断面図)であり、当該キットの組み立て前の状態を示す。
図19に示す本発明のキットは、図1に示す、第1の容器1、第1の送出管2及び第1のハウジング部材21に加えて、第1の容器1と同一の構成であるが第1の流体に代えて第2の流体を含む第2の容器1'、第2の送出管2'、及び、三方弁3を備えている。
三方弁3は第1の流入口3a、第2の流入口3b及び流出口3cを備えており、図示を省略するバルブによって、流出口3cの接続先を第1の流入口3a又は第2の流入口3bのいずれかに切り替え可能である。三方弁3としては、例えば、汎用の三方活栓を使用することができる。
図19に示す態様では、三方弁3の第1の流入口3aは第1の送出管2の他方の開口端部と接続されており、第2の流入口3bは第2の送出管2'を介して第2のハウジング部材21'と接続されている。
第2のハウジング部材21'は第1のハウジング部材21と同一の構成を備える。
すなわち、図20に示すように、第2のハウジング部材21'には第2の中空ニードル22'が取り付けられている。第2の中空ニードル22'の内部は第2の送出管2'の内部と連通している。なお、第2のハウジング部材21'への第2の中空ニードル22'の取り付けの態様は図20に示すものに限られるものではなく、例えば、各種のアダプターを介して、第2の中空ニードル22'を第2のハウジング部材21'に取り付けることができる。また、図20に示す態様では第2のハウジング部材21'に第2の送出管2'が直接接続されているが、各種のアダプターを介して、第2のハウジング部材21'に第2の送出管2'を接続してもよい。
図20に示す態様では、第2のハウジング部材21'は内部空間21'aを有している。そして、内部空間21'aを構成する第2のハウジング部材21'の内周面にはネジ山及びネジ溝が形成されている。第2の中空ニードル22'は第2のハウジング部材22'の内部空間21'a内に存在している。なお、第2のハウジング部材22'の形状は内部空間21'aを有する限り特に限定されるものではなく、円筒形、球形、直方体形、立方体形、袋状等の様々な形態とすることができる。
第2の容器1'の先端も第1の容器1の先端と同一の構成を備える。
すなわち、図20に示すように、第2の容器1'のシリンジ11'の先端には第2の流体の吐出口11'aが形成されているが、シリンジ11'の先端には第2のシール部材14'が取り付けられており、第2のシール部材14'が吐出口11'aを封止している。第2のシール部材14'により、非使用時に、シリンジ11'の空間1'a内の第2の流体が吐出口11'aから外部へ流出することが阻止される。シリンジ11'の先端への第2のシール部材14'の取り付けの形態は特に限定されるものではなく、嵌め込み、接着等の各種の形態を採用することができる。
そして、第2のシール部材14'の周囲には第2のキャップ15'が取り付けられており、第2のシール部材14'を第2のキャップ15'が包囲している。第2のキャップ15'には開口部が形成されており、開口部から第2のシール部材14'、特に、第2のシール部材14'の吐出口11'aを封止している部分、が露出している。また、第2のキャップ15'の外周面にはネジ山及びネジ溝が形成されている。なお、図20に示す態様では、第2のシール部材14'と第2のキャップ15'の間には一部空隙が存在しているが、当該空隙は存在しなくともよい。
第2のハウジング部材21'の内周面のネジ山及びネジ溝、並びに、第2のシール部材14'の外周面のネジ山及びネジ溝は係合可能であり、組み立て時には、図20に示すように、第2のハウジング部材21'の内面の開口端部のネジ山及びネジ溝と第2のキャップ15'の外周面の最上部のネジ山及びネジ溝を係合させる。このように、第2のハウジング部材21'及び第2のキャップ15'が係合することによって、第2のハウジング部材21'が吐出口11'aを包囲して、第2のハウジング部材21'の内部空間21'aが、外部から隔離された閉鎖空間となり、第2の中空ニードル22'及びシリンジ11'の吐出口11'aを外部から隔離する。すなわち、吐出口11'aの周囲に閉鎖空間が形成される。前記閉鎖空間は気密状態であることが好ましい。また、前記閉鎖空間は閉鎖状態を維持することが好ましい。
そして、前記閉鎖空間内には第2の中空ニードル22'が存在しており、また、第2のシール部材14'の一部(吐出口11'aを封止している部分)が前記閉鎖空間に露出している。但し、第2の中空ニードル22'と第2のシール部材14'は前記閉鎖空間内で離隔している。
第2のハウジング部材21'及び第2のキャップ15'の係合による前記閉鎖空間の形成により、第2の容器1'と第2のハウジング部材21'の接続が完了する。
なお、第2のハウジング部材21'及び第2のキャップ15'は図6〜図8に示すような第1のストッパ機構及び第2のストッパ機構を備えてもよいが、これらのストッパ機構は、図6〜図8に示すものと同一であるので説明を省略する。
一方、第2のハウジング部材21'及び第2のキャップ15'は図9及び図10、図11、又は、図12〜図18に示すようなストッパ機構を備えてもよいが、これらのストッパ機構は、図9及び図10、図11、又は、図12〜図18に示すものと同一であるので説明を省略する。
図19に示す態様では、第1の流入口3bが、第2の送出管2'を介して、第2のハウジング部材21'の図示を省略する第2の中空ニードルと接続され、第2の流入口3bが第2の容器1'の図示を省略する吐出口と連通可能となる。
一方、図19に示す態様では、第1の容器1及び第1の送出管2についても、既述のとおり、接続される。これにより、第1の流入口3aが、第1の送出管2を介して、第1のハウジング部材21の図示を省略する第1の中空ニードルと接続され、第1の流入口3aが第1の容器1の図示を省略する吐出口と連通可能となる。
このようにして、図19に示す本発明のキットを構成する部品が組み立てられ、本発明のキットが構成される。
キットの組み立てにより、第1の容器1と第1のハウジング部材21は一体化する。したがって、図19に示す本発明のキットは、第1の容器1、第1のハウジング部材21及び第1の送出管2を備えており、組み立て後は、第1の容器1の吐出口11aが第1の送出管2の開口端部と連通可能である(但し、吐出口11aは第1のシール部材14でシールされ、第1の中空ニードル22と第1のシール部材14は離隔している)。
また、キットの組み立てにより、第2の容器1'と第2のハウジング部材21'も一体化する。したがって、図19に示す本発明のキットは、第2の容器1'、第2のハウジング部材21'及び第2の送出管2'を備えており、組み立て後は、第2の容器1'の吐出口11'aが第2の送出管2'の開口端部と連通可能である(但し、吐出口は第2のシール部材14'でシールされ、第2の中空ニードル22'と第2のシール部材14'は離隔している)。
図19に示す態様の本発明のキットを組み立て後に使用する際は、第1の容器1については、図5に示す第1のハウジング部材21又は第1のキャップ15を回転させて、第1の中空ニードル22と第1のシール部材14の相対位置を変動させ、第1の中空ニードル22を第1のシール部材14に接近させて、第1のキャップ15の開口部15aを経て、第1の中空ニードル22の先端で第1のシール部材14を刺通する。
第1の中空ニードル22による第1のシール部材14の刺通により、第1の中空ニードル22の先端はシリンジ11の吐出部11aに到達し、シリンジ11内の空間1aが第1の送出管2の内部と連通する。これによって、空間1a内の第1の流体が第1の中空ニードル22を介して第1の送出管2に送出可能となり、シリンジ11内の図示を省略するプランジャを移動させることによって、第1の流体が第1の送出管2に送出される。
図19に示す本発明のキットでは、第1の中空ニードル22による第1のシール部材14の刺通は閉鎖空間(図5の21a参照)内で行われるので、使用時に、周囲環境中の細菌等の微細な汚染物質が第1の流体に混入することがない。したがって、本発明のキットによって、第1の流体の送出を衛生的に提供することができる。
一方、第2の容器1'についても、図20に示す第2のハウジング部材21'又は第2のキャップ15'を回転させて、第2の中空ニードル22'と第2のシール部材14'の相対位置を変動させ、第2の中空ニードル22'を第2のシール部材14'に接近させて、第2のキャップ15'の開口部を経て、第2の中空ニードル22'の先端で第2のシール部材14'を刺通する。
第2の中空ニードル22'による第2のシール部材14'の刺通により、第2の中空ニードル22'の先端はシリンジ11'の吐出部に到達し、シリンジ11'内の空間が第2の送出管2'の内部と連通する。これによって、シリンジ11'の空間内の第2の流体が第2の中空ニードル22'を介して第2の送出管2'に送出可能となり、シリンジ11'内の図示を省略するプランジャを移動させることによって、第2の流体が第2の送出管2'に送出される。
このように、第2の中空ニードル22'による第2のシール部材14'の刺通についても閉鎖空間内(図20の21'a参照)で行われるので、使用時に、周囲環境中の細菌等の微細な汚染物質が第2の流体に混入することがない。したがって、本発明のキットによって、第2の流体の送出を衛生的に提供することができる。
また、図19に示す態様の本発明のキットは、第1の容器1、第1のハウジング部材21及び第1の送出管2、並びに、第2の容器1'、第2のハウジング部材21'及び第2の送出管2'が予め接続されており、使用時に、第1の容器1、第1のハウジング部材21及び第1の送出管2、並びに、第2の容器1'、第2のハウジング部材21'及び第2の送出管2'を接続する必要がない。したがって、送出作業を衛生的に実施可能であり、また、使用時に接続作業を実施する必要がない。
したがって、本発明のキットは、容器内の流体を送出するにあたり、送出作業を衛生的に行うことが可能であり、且つ、送出作業にあたり煩雑な準備が不要である。
更に、図19に示す態様では、第1の流体及び第2の流体は、それぞれ、第1の送出管2及び第2の送出管2'を通って三方弁3に到達するが、三方弁3の図示を省略するバルブを適宜操作することによって、三方弁3の流出口3cから流出する流体を第1の流体又は第2の流体のいずれかに切り替えることができる。図19に示す態様では、三方弁3の流出口3cは流出管4と接続されているので、三方弁3のバルブを適宜操作することによって流出管4に流出する流体を第1の流体又は第2の流体に適宜切り替えることができる。
したがって、例えば、第1の流体として造影剤を、第2の流体として生理食塩水を使用する場合、或いは、第1の流体として生理食塩水を、第2の流体として造影剤を使用する場合、流出管4から流出する流体を造影剤又は生理食塩水に適宜切り替えることができ、ひいては、患者・被験者に供給される流体を造影剤又は生理食塩水に適宜切り替えることができる。なお、第1の流体及び第2の流体は造影剤及び生理食塩水に限定されるものではない。
図21は本発明のキットの更に他の態様の全体を示す図(一部断面図)であり、当該キットの組み立て前の状態を示す。
図21に示す態様は、三方弁3の第2の流入口3bが第2のハウジング部材21'と直接接続されている点で図19に示す態様と異なる。図21に示す態様では、図19に示す態様と同様に、第1のハウジング部材21及び第2のハウジング部材21'を、それぞれ、第1の容器1及び第2の容器1'に取り付けることによってキットの組み立てが完了する。
図21に示す態様では、図19に示す態様とは異なり、第2の送出管2'を使用しないので、第2の流体の送出を迅速に行うことができ、また、第1の送出管2と第2の送出管2'の絡まりを回避することができる。
図21に示す態様では、第1の容器1及び第2の容器1'にそれぞれ第1の流体及び第2の流体が含まれているが、第1の容器1及び第2の容器1'にそれぞれ第2の流体及び第1の流体が含まれいてもよい。したがって、例えば、第1の流体として造影剤を、且つ、第2の流体として生理食塩水を使用する場合、第1の容器1及び第2の容器1'にそれぞれ造影剤及び生理食塩水が含まれていてもよく、或いは、第1の容器1及び第2の容器1'にそれぞれ生理食塩水及び造影剤が含まれいてもよい。
図22は本発明のキットの更に他の態様の全体を示す図(一部断面図)であり、当該キットの組み立て前の状態を示す。
図22に示す態様は、三方弁3の第1の流入口3aが第1のハウジング部材21と直接接続されている点、及び、三方弁3の第2の流入口3bが第2のハウジング部材21'と直接接続されている点で図19に示す態様と異なる。図22に示す態様においても、図19に示す態様と同様に、第1のハウジング部材21及び第2のハウジング部材21'を、それぞれ、第1の容器1及び第2の容器1'に取り付けることによってキットの組み立てが完了する。
図22に示す態様では、図19に示す態様とは異なり、第1の送出管2及び第2の送出管2'を使用しないので、第1の流体及び第2の流体の送出を迅速に行うことができ、また、第1の送出管2及び/又は第2の送出管2'の絡まりを回避することができる。
図22に示す態様では、第1の容器1及び第2の容器1'にそれぞれ第1の流体及び第2の流体が含まれているが、第1の容器1及び第2の容器1'にそれぞれ第2の流体及び第1の流体が含まれいてもよい。したがって、例えば、第1の流体として造影剤を、且つ、第2の流体として生理食塩水を使用する場合、第1の容器1及び第2の容器1'にそれぞれ造影剤及び生理食塩水が含まれていてもよく、或いは、第1の容器1及び第2の容器1'にそれぞれ生理食塩水及び造影剤が含まれいてもよい。
本発明のキットは組み立て後に、必要に応じて、滅菌処理を行うことが好ましい。特に、本発明のキットにおいて、第1の流体又は第2の流体が通過可能な管路に滅菌処理を行うことが好ましい。滅菌処理の種類は特には限定されるものではないが、エチレンオキサイドガス等の滅菌性ガスを使用するガス滅菌を行うことがより好ましい。また、無菌環境下での組み立てを行うことがより好ましい。
本発明のキットを袋に封入して包装体としてもよい。この場合、本発明のキットは滅菌処理を受けてから袋に封入されることが好ましい。