JP3607464B2 - 薬液注入器具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薬液注入器具、特に粉体の薬物を溶解し、配合する際に用いられる薬液注入器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
抗生物質のような粉末状の薬剤を、溶解液に溶解し、必要に応じて配合する事が行われている。このような薬剤の配合は、まず、注射器(シリンジ)の穿刺針を溶解液のバックの弾性栓に刺通し、プランジャを引いて、溶解液バック内の溶解液を注射器内に採取し、次いで、穿刺針を薬剤が入っている容器(バイアル)の弾性栓に刺通し、この採取した溶解液を移し、バイアル内で薬剤を溶解し、混合した後、再びこの薬剤を混合液を前記注射器で吸引、採取し、注射器の穿刺針を溶解液バックの弾性栓に再び刺通し、プランジャを押して薬剤混合液を溶解液バックに注入することにより行われている。
しかしながら、このような薬液の配合は、操作手順が複雑であり、配合に要する時間が長くかかり、異物混入、細菌汚染されやすいという欠点がある。最近、この操作を簡略化するために、弱シール部により区画された室を形成した複室容器に薬剤と溶解液を別々に収納し、使用時に弱シール部を剥離して混合するキット製品が開発されている(特開平4−364851)。これらのキットは、操作は簡便であるが、溶解液量が現場で変更できない等の制約により使用方法や用途が限定されてしまうという問題点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、薬剤の溶解、配合を、汚染を生じることなく簡単な操作で、短時間に行うことができ、投与方法等が限定されない汎用性の高い薬液注入器具を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(9)の本発明により達成される。
(1)先端閉塞部と基端開口部とを有する筒状の容器本体と、該容器本体の先端に設けられ容器本体内外を連通せしめる口部を気密に閉塞するキャップと、前記容器本体の内部を液密に摺動するガスケットとを有し、前記容器本体と前記キャップと前記ガスケットとで区画された第1空間に薬剤を収納した薬液注入器具において、
前記容器本体の基端開口部を気密に被覆する気密性フィルムを有し、該気密性フィルムと前記ガスケットとの間に形成された第2空間と前記第1空間とがそれぞれ減圧状態とされており、これにより前記ガスケットを前記容器本体内で所定の位置に配置することを特徴とする薬液注入器具。
【0005】
(2) 前記ガスケットの基端が前記気密性フィルムに剥離可能に接合されている上記(1)に記載の薬液注入器具。
(3) 前記ガスケットは、少なくとも前記容器本体の内面と液密に接触する部分が弾性材料で構成されたガスケットと本体と、その基端側に連結された位置決め部材とで構成されている上記(1)に記載の薬液注入器具。
(4) 前記第2空間は、前記位置決め部材の外周部に形成されたリング状の空間である上記(3)に記載の薬液注入器具。
(5) 前記位置決め部材の基端面が前記気密性フィルムに剥離可能に接合されている上記(3)または(4)に記載の薬液注入器具。
(6) 前記ガスケットの基端には、プランジャ取付部が設けられている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の薬液注入器具。
(7) 前記気密性フィルムは、前記プランジャ取付部を表出させるようその中央部分が欠損した環状をなすものである上記(6)に記載の薬液注入器具。
(8) 前記気密性フィルムは、その外周部が前記容器本体の基端面の突縁に接合されており、これを剥離して使用する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の薬液注入器具。
(9) 前記気密性フィルムは、プランジャにより刺通可能である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の薬液注入器具。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の薬液注入器具を添付図面の好適な実施例に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の薬液注入器具1は、主に、容器本体2と、この容器本体2の内周面に沿って液密に摺動し得るガスケット本体3と、このガスケット本体を摺動操作する着脱可能なプランジャ4と、封止手段としてのキャップ5と、シール材6と、上記ガスケット本体とともにガスケットを構成する位置決め用部材7と、必要に応じて入れることのできる乾燥剤91と脱酸素剤92とで構成されている。以下、これらの構成要素について順次説明する。
容器本体2は、先端が閉塞して底部を形成しており、かつ該先端から薬液の排出口等として機能する口部21が突出形成された有底の円筒体からなり、所定の剛性を有する剛性材料で構成されている。
容器本体2の構成材料としては、たとえば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−4(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート−ポリエチレンテレフタレート共重合体等のポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、ブタジエン−スチレン共重合体、環状ポリオレフィンのような各種樹脂及びそれらの混合樹脂が挙げられる。
【0007】
容器本体2内の空間25、26の減圧状態を保持するために、容器本体2の構成材料は、ガスバリア性(気体不透過性)を有するものが好ましい。このガスバリア性が高いことから、容器本体2の構成材料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート−ポリエチレンテレフタレート共重合体が好ましい。また、ガスバリア性の低い材質で形成した場合には、容器本体2の表面(例えば、外面)にポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のガスバリア性を有する被膜で被覆することが好ましい。
また、光に不安定な薬剤を封入する場合には、光を通さない被膜で被覆することが好ましい。
その際であっても、容器本体2の構成材料は、内部の視認性を確保するために、実質的に透明または半透明であることが好ましい。すなわち、薬剤に影響を与えない可視領域の波長を選択的に通過させるように特定の波長を吸収する物質を含む被膜や、該物質を容器本体の構成材料に添加することで視認性を確保することが好ましい。なお、さらにガスバリア性を向上するために、容器本体2の表面に、たとえば蒸着、スパッタリング等によりガスバリア層を形成することもできる。このガスバリア層の組成としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン等の酸化物が挙げられる。また、容器本体2は、前記材料以外に、例えばステンレス鋼、チタン、アルミニウム等の金属材料またはガラス、アルミナ等のセラミックス材料で構成されていてもよい。
【0008】
容器本体2の基端外周には、フランジ23が形成されている。容器本体の基端部には、容器本体から延長した周状の突縁24が形成されている。突縁24はシール材6を接合しやすいように、先端が平面であることが好ましい。
口部21は、少なくともその外径が先端に向かって細くなるテーパ状の部分を有する筒体で構成されており、その基端側外周面には、雄螺子22が形成されている。口部21内の空間は、容器本体2内の空間25に連通している。
容器本体2内には、容器本体2の内周面に沿って液密に摺動し得るガスケット本体3が挿入されている。このガスケット本体3は弾性材料で構成される略円柱状の部材である。ガスケット本体3の構成材料の具体例としては、スチレン系エラストマー、水添スチレン系エラストマーや、これにポリエチレン、ポリプロイピレン、ポリブテン、α−オレフィン共重合体などのポリオレフィンや流動パラフィン、プロセスオイルなどのオイルやタルク、キャスト、マイカなどの粉体無機物を混合したものがあげられる。さらにポリ塩化ビニル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーや天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコンゴムのような各種ゴム材料(特に加硫処理したもの)や、それらの混合物が挙げられる。好ましくは、容器本体2内の空間25、26の間をガスが移動できるように、ガス透過性のある素材が望ましい。
【0009】
なお、ガスケット本体3は、その全体が前記弾性材料で構成されているものに限らず、少なくとも容器本体内面と液密に接触する部分が前記弾性材料で構成されているものであればよい。ガスケット本体3の外周面には、全周に渡ってリング状の突起31が形成されている。この突起31は、容器本体2の内周面に密着し、容器本体2に対しガスケット本体3が摺動する際には、液密性を保持する。また、突起31は、内溶液を押し出すために必要な、ガスケット本体3の適度な摺動性を付与する機能をも有している。ガスケット本体3の容器本体2に対する液密性を良好に保持するために、ガスケット本体3の最大外径、すなわちリング状の突起31の外径は、容器本体2の内径よりやや大きいものとするのが好ましい。また、液密性、摺動性をより向上するために、突起31は、図示のように、容器本体2の長手方向に沿って所定間隔をおいて複数個(本実施例では3個)形成されているのが好ましい。
また、位置決め部材7との連結を可能にするために、ガスケット本体3の内部の中心部には、先端が拡大したいわゆる傘状の凹部32が形成されている。このようなガスケット本体3には、位置決め部材7の先端部が連結される。すなわち、位置決め部材7は、その先端側に形成された傘状のヘッド部72を有し、このヘッド部72がガスケット本体3の凹部32に嵌入、係合し、ガスケット本体3と連結される。
【0010】
また、位置決め部材7の基端側には、プランジャ4の先端部41を連結させるための凹部73が形成されている。凹部73はプランジャ4の先端部41を連結できれば、どのような形状でも構わないが、図1に示す例では、基端部に向かってテーパ状に広がったガイド面74を有しており、プランジャ4の先端部41への連結を、容易に行える。
また、図示しないが、凹部73内に雌螺子を形成し、プランジャ4の先端部41に螺合する雄螺子を形成し、この雌螺子と雄螺子を螺合すればより強固に連結でき、より安全に操作が行える。また、プランジャ4の基端には、プランジャ4を手で把持して操作するための把手部44が形成されている。
位置決め部材7の基端面75を、シール材6に接着、融着等の公知の手段を用いて剥離可能となるように条件を設定して接合し、さらにシール材6を容器本体2の基端面の突縁24に同様に接合することにより、ガスケット本体3を所定の位置に位置決めし、係留することができる。このようにすれば、製造時におけるガスケットの位置決めが容易に行うことができ、また保管時等においてもガスケットが容器本体内を移動してしまうことを確実に防止できるが、基端面75とシール材6とは必ずしも接合していなくとも構わない。なおそれぞれのシール強度はこの様な目的に応じるように、前者については使用前に剥離しないよう位置決め部材を係留でき、プランジャ等でガスケットを押圧したときにガスケットがシール材から外れて薬液の注入操作が行えるように設定することが好ましい。また、後者については保管時には容器本体内の気密性を維持でき、使用時にあっては後述する舌片61等を利用して容易に剥離しうる程度に設定することが本実施例においては好ましい。
【0011】
シール材6の材質に関しては、ガスバリア性が高く、容易に接合(接着、融着等)できて、また、容易に剥離またはプランジャ4の先端により刺通できるものであればよいが、具体的には、アルミ箔等の金属箔、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、またはこれらと他の素材との積層フィルム等を挙げることができる。好ましくは、特開平5−45262に記載されているような、シール材を構成するガスバリア性フィルムが容器本体2に接合しやすくするため、容器本体2側に樹脂薄膜を設けた積層フィルム、例えば容器本体2がポリエチレンテレフタレート製である場合にはアルミ箔と延伸ポリエチレンテレフタレートとの積層フィルムを用いることができる。なお、以降の操作でシール材6を剥離する必要が生じたときのために剥離開始用の舌片61が設けられている。
【0012】
また、容器本体2の先端側には、口部21を気密的に封止するキャップ(封止手段)5が設置されている。このキャップ5は、口部21の周辺に着脱自在に装着(螺合)されるキャップ本体51と、キャップ本体51の内側に設置された封止部材53とで構成されている。キャップ本体51の基端部内周面には、前記雄螺子22と螺合する雌螺子52が形成され、この雌螺子52と雄螺子22とが螺合することにより、キャップ本体51が口部21周辺に装着される。封止部材53は、前述したような各種ゴムや熱可塑性エラストマー等の弾性体よりなる膜または栓体で構成され、後述する第2の針管832で刺通可能なものであり、かつそれ自体気密性を有するものである。また、ガスバリア性を向上させるために、封止部材53の表面に、前述したようなガスバリア層(図示せず)を形成することもできる。キャップ本体51を口部21に螺合して、装着したとき、口部21の先端面が封止部材53に密着(圧着)し、これにより、口部21は気密的に封止され、シール材6と協働して空間25、26の減圧状態を維持することができる。キャップ本体51の封止部材53より先端側には、先端方向に向かってその内径が漸増するテーパ状のガイド面54が形成されている。このガイド面54は、後述する図2に示す第2の針管832で封止部材53を刺通する際、第2の針管832の針先834を封止部材53の中央部へ誘導する役割を果たす。
【0013】
以上のような容器本体2とシール部6と封止部材53とで囲まれる空間、すなわち容器本体2内のガスケット本体31より先端側の空間(第1空間)25と、ガスケット本体31より基端側の空間(第2空間)26とは、それぞれ減圧状態とされている。この場合、空間25、26の圧力は、40〜600torr程度が好ましく、70〜200torr程度がより好ましい。空間25の圧力が低すぎると、空間25への液体の流入が完了した際に、空間25中に液体が占める割合が多くなり(気泡部分が少なくなり)、容器本体2を振ることにより薬剤の溶解を行ったときの溶解性、攪拌性が低下し、また、空間25の圧力が高すぎると、空間25へ液体を流入させる際の流入量が小さくなる。また、同様の理由により流入する液体の量は空間25内の70〜90%が好ましい。
また、図示されていないが、空間25内には、必要に応じ、薬剤、特に固体(例えば、粉末剤、粒剤、塊状、ゲル状)の薬剤が収納されている。薬剤の種類は、特に限定されず、例えば、抗生物質、ビタミン剤(総合ビタミン剤)、各種アミノ酸、ヘパリンのような抗血栓剤、インシュリン、抗腫瘍剤、鎮痛剤、強心剤、静注麻酔剤、抗パーキンソン剤、潰瘍治療剤、副腎皮質ホルモン剤、不整脈用剤、補正用電解質、抗ウイルス剤、免疫賦活剤等、いかなるものでもよい。
なお、薬剤の形態は、固体に限らず、液体であってもよい。また、薬剤は、2種以上が混合されているものでもよい。
【0014】
また、空間26内には、必要に応じて乾燥剤91および脱酸素剤92を収容することができる。これにより、上記薬剤の中で、吸湿性や易酸化性を有する経時的に不安定な薬剤も保管することが可能である。空間26に挿入される、乾燥剤91としては、たとえば、シリカゲル、ゼオライト等を成分とするものが挙げられる。また、脱酸素剤92としては、たとえば、エージレス(三菱瓦斯化学社製)、アモルファス銅を用いたもの等が挙げられる。乾燥剤91と脱酸素剤92は、空間25に収納されている薬剤の吸湿性、易酸化性の程度により、片方もしくは両方を挿入する。乾燥剤91や脱酸素剤92は空間26に挿入するだけでもかまわないが、位置決め部材7に接着または埋め込んでもよいし、ガスケット本体3の基端面に接着または埋め込んでもよいし、シール材6に接着してもかまわない(図示せず)。また、空間26はリング状の空間なので、リング状の乾燥剤91および脱酸素剤92を使うことが好ましい。この際、乾燥剤91、脱酸素剤92両方を挿入する場合はそれぞれ半リング状のものを使用しても良い。
空間25、26は減圧状態になっており、残存する水分および酸素量は少なく、使用する乾燥剤91および脱酸素剤92は、吸収能力の小さいもので十分である。また乾燥剤91および脱酸素剤92を収納することにより、空間25、26の圧力が変化するが、吸水量に大きな変化をもたらすことはない。なお、このとき二酸化炭素放出型の脱酸素剤を用いることにより、圧力を制御することもできる。
【0015】
次に、薬液注入器具1に装着して使用されるホルダー8の構成について説明する。
ホルダー8は、基端が解放した筒状のホルダー本体81を有している。このホルダー本体81は、その基端開口より、キャップ5を挿入し、嵌合し得る形状、寸法を有している。ホルダー本体81の先端部には、貫通孔が設けられ、該貫通孔内周面に雌螺子(図示せず)が形成されている。そして、後述のように雌螺子には、中間の雄螺子を介して両頭針83が装着される。
両頭針83は、第1の針管831と第2の針管832とを、それらの針先833、834同士が互いに逆方向を向くように、かつそれらの内腔同士が連通するようにハブ84に固着してなるものである。第1の針管831、第2の針管832は、互いに液体連通し、それぞれの針先で開口しており、例えば、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム等の各種金属材料で構成されている。また、ガラス、アルミナ等の各種セラミックス材料や、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート等の各種硬質樹脂で構成されたものであってもよい。ハブ84の外周部には、図示しない雄螺子が形成されており、この雄螺子を前記雌螺子に螺合することにより、両頭針83がホルダー本体81に対し装着される。第2の針管832の周囲には、少なくとも針先834を被包する被包部材87が設置されている。この被包部材87は、未使用時に第2の針管832等の汚染を防止し、無菌状態を保つ機能と、針先834からの液漏れを防止する機能とを有する。
【0016】
この被包部材87は、前述したような弾性材料よりなる膜で構成され、針先834により容易に刺通可能なものが好ましい。被包部材87の先端部は筒状体をなし第2の針管832を同軸的に覆い、さらに先端はハブ84の基端に液密に固定されている。また、被包部材87の基端は、先端側から連続した半球状の閉塞端をなしている。
なお、本発明の薬液注入器具の他の態様として、以下の形態をとることもできる。
図3に示すように図1の例に比べて、シール材6をドーナツ状にし、すなわち、気密維持部材を構成するシール材6の中央が切り欠かれ、位置決め部材7が露出しており、容器本体2の突縁24と位置決め部材7の基端部75に接合することにより、気密を維持している点が異なっている。この場合、空間25、26の減圧状態を保持するために、位置決め部材7には、ガスバリア性の高い材質を用いることが好ましい。容器本体2と同じ材質を用いることが、シール材6との接合のためにより好ましい。この場合、位置決め部材7の凹部73は、露出した状態にあるので、シール材6を剥離しなくても、プランジャ4を連結することができる。さらに、基端部75とシール材6のシール強度を、突起24とシール材6のシール強度より弱くすれば、プランジャ4を先端方向に、押圧すれば、基端部75は、シール材6から剥離して、ガスケット本体3が先端方向に摺動し、薬液を排出することができる。これにより、シール材6を剥離する操作を省略することができ、操作をより簡便にできる。
【0017】
また、本発明のキャップおよびホルダーを以下のような形状にすることもできる。キャップ本体51の外周面には、図2で示すように、先端から所定位置まで直線状に延びた縦溝552と、該縦溝の途中で分岐した分岐溝551とからなるト字型の溝55が形成されている。この溝55に沿って図4に示すホルダー本体81の内周面に設けられた突起811が移動できるようになっている。保管状態では、突起811は分岐溝551内に停止している。溶解液を容器本体2に導入する際には、まずホルダー8の第1の針管831を図示しない溶解液容器の混注口ポートに刺通する。次に容器本体2をホルダー8に対して、突起811が溝55の縦溝552の位置に移動する方向に回転させる。突起811が縦溝552の位置にきたら、容器本体2を溶解液容器の方向へ押圧することにより、突起811は縦溝552の下端553の位置に来るまで移動させる。このとき第2の針管832の針先834はキャップ5の封止部材53を刺通し、容器本体2内の空間25と溶解液容器が両頭針83を介して連通し、溶解液が減圧状態にある空間25に流入し、空間25が外気圧と等しくなると溶解液の流入は終了する。
溝55の本数は何本でも構わないが、好ましくは、1から2本が良い。そして、突起811は溝55に対応する数、位置にあればよい。また、溝55はホルダー8の内周面に形成されていても良い。この場合は対応する突起811がキャップ5の外周面に形成されていればよい。
この溝55と突起811を形成することにより、保管時にホルダー8を容器本体2に装着した状態にしておくことができ、使用時には、容器本体2に、確実に溶解液を導入することができる。
【0018】
次に、薬液注入器具1の使用方法の一例について説明する。
[1]図1に示す未使用の状態の薬液注入器具1を用意する。空間25は、所
定の減圧状態を維持しており、また、この空間25には、例えば粉末のような固体の薬剤が所定量収納されている。この状態では、ガスケット本体3および位置決め部材7はシール材6に接合されており、容器本体2の基端側に停止した状態を維持している。
[2]一方、薬剤を配合しようとする液体が入れられた容器を用意する。本実施例では、溶解液が入れられた輸液バック(図示せず)を例に説明する。
輸液バックの混注口ポート(弾性材料よりなる栓体で構成されている)に、図2のホルダー8の両頭針83の第1の針管831を刺通した後、ホルダー本体81内に薬液注入器具1のキャップ5を挿入する。これにより、第2の針管832が封止部材53を刺通し、その針先834が容器本体2の口部21内腔に侵入する。
なお、被包部材87は、その先端が第2の針管832に刺通されるとともに、封止部材53およびガイド面54に押圧されて先端側によせられ、蛇腹状に折り畳まれる。そして、針管831の針先834は、ガイド面54に案内されて、封止部材53の中央部へ誘導され、封止部材53を適正な位置で確実に刺通することができる。このとき、ガスケット本体3は位置決め部材7により、空間25の陽圧化に伴う空間26方向への移動が抑制される。
【0019】
以上のようにして、輸液バック内と空間25とが両頭針83を介して連通すると、空間25が減圧状態とされていることから、輸液バック内の溶解液が第1の針管831および第2の針管832の内腔を経て空間25内に流入する。
[3]空間25内への溶解液の流入が停止したら、必要に応じて、薬液注入器具1に揺動、振動を与え、空間25内に収納されていた薬剤を溶解する。これにより配合すべき所望の薬液10が調整される。
[4]次に、容器本体2の基端部の突起24と位置決め部材7の基端面75に接合した、シール材6を剥離する。露出した位置決め部材7の凹部73に、プランジャ4を嵌合する。
[5]続いて、プランジャ4を先端方向に押圧し、同方向へガスケット本体3を摺動させる。これにより、空間25内の薬液10は、口部21、第2の針管832および第1の針管831の内腔を順次経て、輸液バック内に注入、配合される。
[6]以上のようにして、輸液バックへの薬液の注入が完了したら、キャップ5からホルダー8を取り外す。これに伴い、第2の針管832が封止部材53から抜き取られる。このとき、蛇腹状に折り畳まれていた被包部材87は、その弾性力により、瞬時に元の形状に復元し、第2の針管832を再び被包するので、針先834から液が漏れて周囲に飛散することが防止される。そして、このような被包部材87や混注口の再シール性の作用により、輸液バック内の溶液の無菌状態が保たれる。
【0020】
続けて他の薬剤を溶解・注入したいときは、ホルダー8を輸液バッグの混注口ポートに刺通した状態のまま、別の薬液注入器具について上述の操作を繰り返す。注入が完了したら輸液バッグからホルダー8を外し、輸液バッグに輸液セットを接続する等して患者への投与に供する。
なお、図1のシール材6に代えて図3に示すようなドーナツ状のシール材60を用いた場合には、シール材60を剥離する必要がないので容器本体2とは剥離不能に強固に接合して構わない。そして、位置決め部材7の露出している凹部73に直接プランジャ4を嵌合し、プランジャ4を先端方向に押圧することにより、シール材60と位置決め部材7の基端面75との間の接着や融着等による接合が剥離し、ガスケット本体3が先端方向に移動し、薬液10を輸液バッグ内に注入・配合することができる。
【0021】
また、上記工程[4]、[5]、[6]に変えて、次の方法を採ることもできる。
[4’]工程[3]の後、キャップ5からホルダー8を取り外し、さらにキャップ5を容器本体2に対し回転して、キャップ5を口部21から取り外す。なお、キャップ5からホルダー8を取り外した際の利点は、前記工程[6]で述べたのと同様である。
[5’]一方、口部21と液密にテーパー嵌合あるいは螺合し得るハブを有する穿刺針(図示せず)を予め用意しておき、この穿刺針のハブを口部21に嵌合する。
[6’]次に、前記穿刺針を患者の血管または所定の他の容器の混注口等に穿刺し、プランジャ4を先端方向へ押圧し、同方向へガスケット本体3を摺動させる。これにより、空間25内の薬液10は、口部21および前記穿刺針を経て排出され、患者に投与されるか、または前記容器内に注入、配合される。
以上、本発明の薬液注入器具を図示の実施例について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、特に、本発明の薬液注入器具の各構成要素は、同様の機能を発揮し得る任意のものに置換することができる。
また、容器本体の直径を大きくし、その分容器本体の長さを短くしたりすることにより、薬液注入器具の小型化をはかることができる。
【0022】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の薬液注入器具によれば、バック内への薬液の配合等の薬液の注入を、簡単な操作で短時間に行うことができる。特に、容器本体とシール材とで囲まれる空間が減圧状態とされているため、プランジャを引く操作を行うことなく溶解液の吸引がなされ、その操作を簡単、迅速に行える。
そして、操作中において、容器本体内部の空間等の各所が外気と接触する機会が極めて少ないため、細菌汚染や異物の混入を防止することができる。
また、封止手段およびシール材の設置により、前記空間の減圧状態をより安定的に、長期間保持することができ、ガスケットの摺動性を損なうことなく、容器内の減圧状態を良好に維持することができる。
さらに、容器本体内に収納する薬剤等の量を予め設定しておくことにより、配合ミスを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薬液注入器具の一実施例を示す縦断面図である。
【図2】本発明の薬液注入器具のキャップ部分に関する他の実施例を示す一部概観図である。
【図3】本発明の薬液注入器具の気密維持部材に関する他の実施例を示す縦断面図である。
【図4】図2に示すホルダーのA−A’線部分断面図である。

Claims (9)

  1. 先端閉塞部と基端開口部とを有する筒状の容器本体と、該容器本体の先端に設けられ容器本体内外を連通せしめる口部を気密に閉塞するキャップと、前記容器本体の内部を液密に摺動するガスケットとを有し、前記容器本体と前記キャップと前記ガスケットとで区画された第1空間に薬剤を収納した薬液注入器具において、
    前記容器本体の基端開口部を気密に被覆する気密性フィルムを有し、該気密性フィルムと前記ガスケットとの間に形成された第2空間と前記第1空間とがそれぞれ減圧状態とされており、これにより前記ガスケットを前記容器本体内で所定の位置に配置することを特徴とする薬液注入器具。
  2. 前記ガスケットの基端が前記気密性フィルムに剥離可能に接合されている請求項1に記載の薬液注入器具。
  3. 前記ガスケットは、少なくとも前記容器本体の内面と液密に接触する部分が弾性材料で構成されたガスケットと本体と、その基端側に連結された位置決め部材とで構成されている請求項1に記載の薬液注入器具。
  4. 前記第2空間は、前記位置決め部材の外周部に形成されたリング状の空間である請求項3に記載の薬液注入器具。
  5. 前記位置決め部材の基端面が前記気密性フィルムに剥離可能に接合されている請求項3または4に記載の薬液注入器具。
  6. 前記ガスケットの基端には、プランジャ取付部が設けられている請求項1ないし5のいずれかに記載の薬液注入器具。
  7. 前記気密性フィルムは、前記プランジャ取付部を表出させるようその中央部分が欠損した環状をなすものである請求項6に記載の薬液注入器具。
  8. 前記気密性フィルムは、その外周部が前記容器本体の基端面の突縁に接合されており、これを剥離して使用する請求項1ないし7のいずれかに記載の薬液注入器具。
  9. 前記気密性フィルムは、プランジャにより刺通可能である請求項1ないし6のいずれかに記載の薬液注入器具。
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