(第1実施形態)
以下、第1実施形態の貯蔵庫について図面に基づいて説明する。本実施形態では貯蔵庫として内部に設けられた貯蔵空間が所定温度に冷却される冷蔵庫1の場合について説明するが、本発明は冷却機能を備えない食品保存庫などに対しても適用することができる。
本実施形態に係る冷蔵庫1は、図1に示すように、前面に開口する断熱箱体からなるキャビネット2を備える。キャビネット2は鋼板製の外箱3と合成樹脂製の内箱4との間に形成された断熱空間5に真空断熱材や発泡断熱材等の断熱材を有して構成されている。キャビネット2は内箱4の内側に複数の貯蔵空間が設けられており、貯蔵空間が断熱仕切壁6によって上下に区画されている。
断熱仕切壁6の上方の空間は、冷蔵温度帯(例えば、1〜4℃)に冷却される貯蔵室であり、内部がさらに仕切壁7によって上下に区画されている。仕切壁7の上方には冷蔵室10が設けられ、仕切壁7の下方には野菜室12が設けられている。
冷蔵室10内部は複数の棚板9によって上下に複数段に区画されている。仕切壁7と最下段の棚板9とで上下に仕切られた空間には、引出式のチルド容器を収納するチルド室8が設けられている。冷蔵室10の背面には、冷蔵室10内の温度を測定する冷蔵温度センサ25が設けられている。冷蔵室10の前面開口部には、ヒンジで枢支された回動式の冷蔵室扉11が設けられている。
野菜室12の前面開口部は、引出し式の野菜室扉13により閉塞されている。野菜室扉13の庫内側には、貯蔵容器70を保持する左右一対の支持枠が固着され、開扉動作とともに貯蔵容器70が庫外に引き出されるように構成されている。野菜室12の前面開口部の周縁部には、扉センサ29が設けられ野菜室扉13が開放状態にあるか閉塞状態にあるかを検知する。
野菜室12内に設けられた貯蔵容器70は、下段容器71と上段容器72とが上下に重なり合う構造をなしており、その内部に野菜等の貯蔵品を収納する貯蔵空間が形成されている。
下段容器71は、前方壁、後方壁、左右側壁によって囲まれた有底の箱状の容器であり、上方に開口する上面開口部から内部に貯蔵品を出し入れするようになっている。下段容器71は、野菜室扉13の裏面側に固着された左右一対の支持枠に保持され、野菜室扉13の開扉動作とともに庫外へ引き出されるように構成されている。
下段容器71は内底面から上方へ突出する前後仕切74が設けられている。この前後仕切74は、下段容器71の左右側壁の内面を連結するように設けられており、前後仕切74の前側に下段前容器81が形成され、後側に下段後容器80が形成されている。
下段後容器80は、後方壁80aの下部、つまり、貯蔵空間S1の高さ方向中央部より下側に開口部80bが穿設されている。また、下段後容器80は、後方壁80aの上端から前方へ延びる天井壁によって上面後端部が閉塞され、その前方に下段後容器80へ貯蔵品を出し入れするための上面開口部80cが形成されている。
下段後容器80の上面開口部80cは、図1に示すように野菜室扉13が閉扉され野菜室12内に貯蔵容器70が収納されると上段容器72によって覆われる。下段後容器80は、上面開口部80cを閉塞する上段容器72とともに、野菜室12を循環する空気(風)の直接的な進入が抑制された閉塞容器を構成し、その内部に野菜など貯蔵品を収容する貯蔵空間S1を形成する。
下段後容器80の上面開口部80cを開放する場合、野菜室扉13を開扉し下段容器71を庫外へ引き出した後、上段容器72を下段容器71に対して後方へ摺動させて上面開口部80cを開放する。なお、下段前容器81の上面開口部は、野菜室扉13の開扉状態及び閉扉状態に関わらず上段容器72によって覆われることなく開放している。
上段容器72は、前方壁、後方壁、左右側壁によって囲まれた有底の箱状の容器であり、上方に開口する上面開口部が設けられている。この上面開口部は、上段容器72に貯蔵品を出し入れする開口部であり、蓋体76によって開閉可能に閉塞されている。
上段容器72は、冷蔵室10と野菜室12とを区画する仕切壁7の下方に所定間隔をあけて配置され、仕切壁7との間に野菜室12内を循環する空気が流れる流路を形成する。上段容器72は、野菜室12の左右の内側壁面に設けられた内箱レールと下段容器71の左右側壁の上端を前後方向に摺動することで、下段容器71と独立して庫外へ引き出し可能に設けられている。
上段容器72は、上面開口部を閉塞する蓋体76とともに、野菜室12を循環する空気(風)の直接的な進入が抑制された閉塞容器を構成し、その内部に野菜など貯蔵品を収容する貯蔵空間S2を形成する。
なお、上段容器72の底面後部には、下段後容器80に開口する通気孔77が設けられ、上段容器72と下段後容器80とが通気孔77を介して連通し、上段容器72と下段後容器80とが一続きの閉塞容器を構成している。
断熱仕切壁6の下方の空間には、自動製氷機を備えた製氷室(不図示)と第1冷凍室16とが左右に併設され、その下方に仕切板22を介して第2冷凍室17が設けられている。
製氷室、第1冷凍室16及び第2冷凍室17は、いずれも冷凍温度帯(例えば、−17℃以下)に冷却される。第2冷凍室17の背面には、第2冷凍室17内の温度を測定するための冷凍温度センサ26が設けられている。
製氷室、第1冷凍室16、及び第2冷凍室17の開口部は、野菜室12と同様、引き出し式の扉18,19により閉塞されている。各扉18,19の裏面側に固着した左右一対の支持枠には貯蔵容器20,21が保持されており、開扉動作とともに該貯蔵容器20、21が庫外に引き出されるように構成されている。
冷蔵室10及び野菜室12の後部には、エバカバー23で前後に仕切られた冷蔵冷却器室32が設けられている。
冷蔵冷却器室32には、冷蔵冷却器30、冷蔵ファン31、ドレインパン27及び排気ポンプ90が収納されている。冷蔵冷却器室32は、ダクト33によって冷蔵室10と連結され、冷蔵冷却器30が冷却した冷蔵冷却器室32の空気を冷蔵ファン31によってダクト33を介して冷蔵室10へ供給するようになっている。
ドレインパン27は、冷蔵冷却器30の下方に配置され、除霜運転時に冷蔵冷却器30から生じる結露水(除霜水)を受ける。ドレインパン27に溜まった結露水は、排水ホース28を介してキャビネット2の背面下部に設けられた機械室38に配置された蒸発皿41へ排出する。
ドレインパン27に溜まった結露水を機械室38へ排出する排水ホース28は、キャビネット2の背面壁に設けられた冷蔵冷却器室32と機械室38とを連通する挿通孔2aに挿通され、冷蔵冷却器室32から機械室38へ引き出されている。
キャビネット2に設けられた挿通孔2aは、挿通する排水ホース28より口径が大きくなっている。そのため、挿通孔2aに排水ホース28を挿入した状態で、挿通孔2aと排水ホース28との間には、冷蔵冷却器室32から機械室38まで一続きに繋がった隙間が形成されている。つまり、挿通孔2aと排水ホース28との間に形成された隙間が、野菜室12と機械室38とを連通する通気孔2cとして機能する。
製氷室、第1冷凍室16、及び第2冷凍室17の後部には、エバカバー24で前後に仕切られた冷凍冷却器室36と、製氷室、第1冷凍室16、及び第2冷凍室17と冷凍冷却器室36とを連結するダクト37とが形成されている。冷凍冷却器室36には、冷凍冷却器34及び冷凍ファン35が収納されており、冷凍冷却器34が冷却した冷凍冷却器室36の空気を冷凍ファン35によってダクト37を介して製氷室、第1冷凍室16、及び第2冷凍室17へ供給する。
冷蔵冷却器30及び冷凍冷却器34は、機械室38に収納された圧縮機39や凝縮器(不図示)とともに冷凍サイクルを構成する。冷凍サイクルでは、圧縮機39から吐出された冷媒が不図示の切替弁によって冷蔵冷却器30及び冷凍冷却器34の一方に供給されることで所定温度に冷蔵冷却器30及び冷凍冷却器34が冷却される。
冷蔵冷却器30は、冷蔵冷却器室32の空気を冷却して、例えば、−10〜−20℃の冷気を生成する。図1において冷気の流れを矢印で示すように、冷蔵冷却器室32で生成された冷気は、冷蔵ファン31の回転によって、ダクト33を介して吹出口33aから冷蔵室10へ供給され、冷蔵室10を冷却する。
冷蔵室10を流れた冷気の一部は、仕切壁7の後部に設けられた吸込口42から冷蔵冷却器室32へ戻り、残りの空気は仕切壁7に設けられた連通路7aを通って野菜室12の後方上部へ流れ込む。
野菜室12に流れ込んだ冷気は、野菜室12に設けられた貯蔵容器70の外側を流れながら野菜室12内を冷却することで、貯蔵容器70の外側から間接的にその内部を冷却する。野菜室12を流れた冷気は、吸込口43から冷蔵冷却器室32へ戻る。冷蔵冷却器室32に戻った冷気は冷蔵冷却器30と熱交換して再び冷却される。
冷凍冷却器34は、冷凍冷却器室36の空気を冷却して、例えば、−20〜−30℃の冷気を生成する。生成した冷気は、冷凍ファン35の回転によってダクト37を介して製氷室、第1冷凍室16及び第2冷凍室17に供給されこれらの貯蔵室を冷却する。製氷室及び第1冷凍室16を冷却した空気は、不図示の透孔を通って第2冷凍室17へ流れ込み、第2冷凍室17に供給された冷気と合流し、その後、第2冷凍室17の背面に設けられた吸込口45から冷凍冷却器室36に戻り、冷凍冷却器34と熱交換して再び冷却される。
このような構成の冷蔵庫1では、図1及び図2に示すように、酸素分離膜62を備える酸素分離モジュール60が、野菜室12内、例えば、エバカバー23で区画された冷蔵冷却器室32の下方に下段後容器80の後方壁80aと対向するように設けられている。
酸素分離モジュール60は、排気ポンプ90が接続されており、排気ポンプ90によって酸素分離膜62を透過した空気をキャビネットの外部へ排気することで、下段後容器80に設けられた貯蔵空間S1内の酸素濃度を低減する。
具体的には、排気ポンプ90は、図3及び図4に示すようないわゆるダイヤフラム式真空ポンプであり、本体ケース91と、ダイヤフラム92と、ダイヤフラム92を変位させる駆動部93とを備える。
本体ケース91の内部は、ダイヤフラム92によってシリンダ室94と駆動室95に仕切られている。
シリンダ室94には、出口流路96と入口流路97とが接続されている。シリンダ室94と出口流路96との間には、シリンダ室94から出口流路96へ流体の移動を可能としつつ、出口流路96からシリンダ室94への流体の移動を禁止する流出弁94aが設けられている。シリンダ室94と入口流路97との間には、入口流路97からシリンダ室94へ流体の移動を可能としつつ、シリンダ室94から入口流路97への流体の移動を禁止する流入弁94bが設けられている。
駆動部93は、モータ93aと、モータ93aの回転軸93bに取り付けられた偏心部材93c、ダイヤフラム92に接続されたコネクティングロッド93dと、偏心部材93cとコネクティングロッド93dとの間に設けられた軸受93eとを備える。
偏心部材93cは、円柱状の部材であり、中心からずれた位置において回転軸93bに取り付けられている。コネクティングロッド93dは、軸受93eを介して偏心部材93cに固定される固定部93d1と、ダイヤフラム92が取付られる取付部93d2と、固定部93d1と取付部93d2とを連結する連結部93d3とを備えている。
駆動室95には、駆動部93を構成する回転軸93b、偏心部材93c、コネクティングロッド93d、及び軸受93eが駆動室95内に設けられている。また、駆動室95には、送気流路98が接続されている。
このような排気ポンプ90では、モータ93aが起動して回転軸93b及び偏心部材93cが回転することにより、取付部93d2が上端に位置する姿勢を維持しながら、固定部93d1の中心が円運動を行い、取付部93d2が円運動の上下方向に対応した上下運動を行う。これにより、排気ポンプ90は、取付部93d2に取り付けられたダイヤフラム92が上下動してシリンダ室94及び駆動室95の容積を変化させて、入口流路97からシリンダ室94へ空気を取り込み、取り込んだ空気をシリンダ室94から出口流路96へ排出する。出口流路96は、キャビネット2の背面壁に設けられた野菜室12と機械室38とを連通する挿通孔2bに挿通され、冷蔵冷却器室32から機械室38へ引き出されている。
また、排気ポンプ90は、ダイヤフラム92の上下動によって駆動室95の容積も変化する。そのため、取付部93d2が下方に移動して駆動室95の容積が小さくなると駆動室95の空気を送気流路98へ送り出し、取付部93d2が上方に移動して駆動室95の容積が大きくなると送気流路98の空気を駆動室95へ取り込む。つまり、排気ポンプ90は、モータ93aの偏心部材93cが回転すると、駆動室95の空気を送気流路98へ送り出す排気動作と、送気流路98の空気を駆動室95に吸い込む吸気動作とを交互に繰り返し行う。
なお、排気ポンプ90は、防音材で覆われ冷蔵冷却器室32に設けられることが好ましい。これにより排気ポンプ90の動作音による騒音を抑えることができるとともに、排気ポンプ90から発生する振動が貯蔵容器70や冷蔵室10などへ伝わりにくくなり、貯蔵容器70や冷蔵室10に収納した貯蔵品の損傷を抑えることができる。
酸素分離モジュール60は、箱形のケース61の内部に酸素分離膜62を備えたセル63が設けられている。
セル63は、調整空間S3と、排気空間S4と、両空間S3,S4を仕切る酸素分離膜62とで構成され、ケース61の内部に酸素分離膜62の厚さ方向に重ねて複数設けられている。
酸素分離膜62は、調整空間S3と排気空間S4との間に圧力差が生じると、高圧側の空気中の酸素が膜内部を拡散移動して低圧側の表面から離脱することで、低圧側の酸素濃度を低下させる。
各セル63に設けられた調整空間S3は、酸素分離膜62に平行に近接して配置された隔壁との間に区画されたダクト状の空間であり、その一端が吸排気流路64に連結され、他端が導出流路65に連結されている。吸排気流路64には、排気ポンプ90の送気流路98が接続されている。これにより、上記の排気動作時に駆動室95から送り出された空気は、送気流路98及び吸排気流路64を流れた後、複数のセル63の各調整空間S3へ分流され酸素分離膜62に沿って流れるようになっている。また、上記の吸気動作時には、吸排気流路64及び送気流路98を介して複数のセル63の各調整空間S3の空気が駆動室95へ吸い込まれる。
導出流路65の先端は、下段後容器80の後方壁80aに設けられた開口部80bと前後に対向する位置に連結口65aが開口し、この連結口65aの周縁部を取り囲むようにゴム又はシリコーン等のゴム状弾性体からなるシール材66が設けられている。
図1に示すような貯蔵容器70を野菜室12内に収納した状態において、シール材66は開口部80bを取り囲むように下段後容器80の後方壁80aに当接する。これにより、下段後容器80の開口部80bと導出流路65の先端に設けられた連結口65aとがシール材66によって接続され、貯蔵空間S1は、その下部(貯蔵空間S1の高さ方向中央部より下側)においてケース61内に設けられた調整空間S3と連通する。
また、各セル63に設けられた排気空間S4の一端は排気流路67に連結されて一つにまとまり、排気ポンプ90の入口流路97が排気流路67に接続されている。
キャビネット2の背面上部には、冷蔵庫1の動作全般を制御する制御部50が設けられている(図1参照)。制御部50は、冷蔵温度センサ25、冷凍温度センサ26、扉センサ29などの各種センサ等から入力される信号や、EEPROM等の不揮発性記録媒体からなるメモリに記憶された制御プログラムに基づいて、冷蔵ファン31、冷凍ファン35、圧縮機39、冷凍サイクルに設けられた切替弁(不図示)、排気ポンプ90などの各種電気部品を制御することで、各室を所定温度に冷却したり、野菜室12に設けた上段容器72及び下段後容器80内部の貯蔵空間S1、S2の酸素濃度を低減する。
具体的には、冷蔵温度帯の冷蔵室10及び野菜室12を冷却する場合には、制御部50が、冷凍サイクルに設けられた切替弁を切り替えて冷蔵冷却器30に冷媒が流れるようにするとともに、冷蔵ファン31を運転させる冷蔵冷却運転を実行する。これにより、冷蔵冷却器30で冷却された空気は冷蔵室10及び野菜室12に送風され、冷蔵室10の背面に設けられた冷蔵温度センサ25の検出温度が所定温度範囲に収まるように冷蔵室10及び野菜室12を冷却する。
製氷室、第1冷凍室16、及び第2冷凍室17を冷却する場合には、制御部50が、冷凍サイクルに設けられた切替弁を切り替えて冷媒が冷凍冷却器34に流れるようにするとともに、冷凍ファン35を運転させる冷凍冷却運転を実行する。これにより、冷凍冷却器34で冷却された空気は製氷室、第1冷凍室16、及び第2冷凍室17に送風され、第2冷凍室17の背面に設けられた冷凍温度センサ26の検出温度が所定温度範囲に収まるように製氷室、第1冷凍室16、及び第2冷凍室17を冷却する。
上段容器72及び下段後容器80の内部の酸素濃度を低減する減酸素運転を実行するには、扉センサ29によって野菜室扉13が閉扉状態にあることを検出している時に、モータ93aを起動して排気ポンプ90を動作させる。
排気ポンプ90が動作すると、酸素分離モジュール60の排気空間S4の空気は、排気流路67を介して入口流路97からシリンダ室94へ取り込まれ、シリンダ室94から出口流路96を介して機械室38へ排出される。
これにより、排気空間S4が酸素分離膜62を挟んで対向する調整空間S3より低圧になるため、調整空間S3の酸素が酸素分離膜62を透過して排気空間S4へ移動し、調整空間S3の酸素濃度が低下する。
また、排気ポンプ90の動作に伴って、上記の排気動作及び吸気動作が交互に繰り返し行われる。
排気動作時には、駆動室95から送り出された空気が、送気流路98及び吸排気流路64を流れた後、複数のセル63の各調整空間S3のそれぞれに供給される。調整空間S3へ供給された空気は、酸素が排気空間S4へ排出されながら酸素分離膜62に沿って流れることで酸素濃度が低下し、その後、導出流路65へ流れ込み連結口65aを通って下段後容器80の後方壁80aに設けられた開口部80bから貯蔵空間S1へ供給される。これにより、貯蔵空間S1の酸素濃度が低下するとともに、通気孔77を介して貯蔵空間S1に連通する貯蔵空間S2の酸素濃度が低下し、貯蔵空間S1、S2に収納した貯蔵品の酸化を抑えて貯蔵品の鮮度を維持することができる。
吸気動作時には、吸排気流路64及び送気流路98を介して複数のセル63の各調整空間S3の空気や貯蔵空間S1の空気が駆動室95へ吸い込まれる。
なお、本実施形態では、開口部80bが下段後容器80の後方壁80aの下部に設けられているため、開口部80bから貯蔵空間S1へ供給される空気は、貯蔵空間S1の中央部を避けた方向へ吹き出すようになっている。
そして、排気ポンプ90の動作を開始してから所定時間が経過する等の所定の終了条件を満たすと、モータ93aを停止して減酸素運転を終了する。
以上のような本実施形態では、排気ポンプ90が動作して減酸素運転を実行すると、排気動作時に駆動室95の空気が酸素分離膜62の調整空間S3及び貯蔵空間S1へ供給され、吸気動作時に各調整空間S3及び貯蔵空間S1の空気が駆動室95に吸い込まれる。そのため、調整空間S3の空気が酸素分離膜62の近傍で滞留することがなく、調整空間S3の酸素が酸素分離膜62を透過して排気空間S4へ移動しやすくなり、酸素濃度を効率よく低下させることができる。また、酸素分離モジュール60の排気空間S4の空気を機械室38へ排気する排気ポンプ90が、酸素分離膜62の調整空間S3側へ空気を送風するため、酸素分離膜62の調整空間S3側へ空気を送風するファンを設ける必要がない。
しかも、本実施形態では、駆動室95から供給された空気が調整空間S3において酸素分離膜62に沿って流れるため、広い範囲にわたって酸素分離膜62に接触する調整空間S3の空気を素早く移動させることができる。
また、本実施形態では、排気ポンプ90がキャビネット2の内部に区画された冷蔵冷却器室32に設けられているため、モータ93aの動作時に軸受93e等から発生する熱を抑え排気ポンプ90の劣化を抑えることができる。特に、本実施形態では、排気ポンプ90が、冷蔵冷却器室32内に設けられ冷蔵冷却器30に近接して配置されているため、より効果的に発熱を抑え排気ポンプ90の劣化を抑えることができる。
また、本実施形態では、下段後容器80の後方壁80aの下部に開口部80bが設けられ、酸素分離モジュール60から貯蔵空間S1へ供給される空気が、貯蔵空間S1の中央部を避けた方向へ吹き出すようになっているため、開口部80bから吹き出した風が貯蔵空間S1に収納された貯蔵品に直接当たりにくくなり、当該貯蔵品の乾燥を抑えることができる。
また、本実施形態では、貯蔵空間S1の下部に酸素分離モジュール60の調整空間S3が接続されているため、酸素濃度が低下し比重が軽くなった空気が、調整空間S3から貯蔵空間S1の下部へ導入されるため、貯蔵空間S1において当該空気が自然対流しやすくなり、貯蔵空間S1内の酸素濃度を速やかに低下させることができる。
なお、上記した減酸素運転中、排気ポンプ90の駆動室95から暖かい空気が酸素分離モジュール60の調整空間S3を通って貯蔵空間S1へ供給され、貯蔵空間S1、S2の温度が高くなるおそれがあるため、減酸素運転の終了後、冷蔵冷却器運転を実行して貯蔵空間S1、S2を冷却することが好ましく、通常の冷蔵冷却運転に比べて減酸素運転の終了直後に行う冷蔵冷却運転において、冷蔵ファン31の回転数を高く設定するなど冷却強度を高く設定することがより好ましい。
(第2実施形態)
第2実施形態について、図5を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一の構成のものについては同一の符号を付し、その構成の説明を省略する。
本実施形態では、図5に示すように、冷蔵冷却器室32の空気と熱交換するフィン99が排気ポンプ90の本体ケース91の外側に設けられている。
このような本実施形態では、排気ポンプ90が冷却されやすくなるため、モータ93aの動作時に発生する熱を抑え排気ポンプ90の劣化を抑えることができるとともに、駆動室95の空気も冷却され減酸素運転中の貯蔵空間S1、S2の温度上昇を抑えることができる。
なお、その他の構成及び作用効果は上記した第1実施形態と同様であり、詳細な説明は省略する。
(第3実施形態)
第3実施形態について、図6を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一の構成のものについては同一の符号を付し、その構成の説明を省略する。
本実施形態では、酸素分離モジュール60の調整空間S3から下段後容器80の貯蔵空間S1へ吹き出す風の流れを制限する風制限部52が設けられている。
具体的には、図6に示すように、風制限部52は、下段後容器80の後方壁80aとの間に隙間52aをあけつつ開口部80bを覆うように配置された板状の部材である。この風制限部52は、酸素分離モジュール60の連結口65aから下段後容器80へ吹き出した風を堰き止め貯蔵空間S1への直接的な風の進入を抑制する。風制限部52で堰き止められた風は、隙間52aから貯蔵空間S1へ流れ込む。
このような本実施形態では、酸素分離モジュール60から貯蔵空間S1へ吹き出す風の流れを制限する風制限部52が設けられているため、貯蔵空間S1に収容された貯蔵品に風が直接当たりにくくなり、当該貯蔵品の乾燥を抑えることができる。
なお、本実施形態では、風制限部52として、板状の部材を設ける場合について説明したが、下段後容器80の開口部80bや酸素分離モジュール60の連通口65aを塞ぐように設けたルーバーや、防水性及び透湿性を有するシート材を風制限部としてもよい。
その他の構成及び作用効果は上記した第1実施形態と同様であり、詳細な説明は省略する。
(その他の実施形態)
第1〜第3実施形態では、排気ポンプ90をキャビネット2の内部に区画した冷蔵冷却器室32に配置する場合について説明したが、キャビネット2の外部に区画した機械室38に排気ポンプ90を配置したり、冷蔵室10や野菜室12のデッドスペースに排気ポンプ90を配置してもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。