JP6985916B2 - エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物およびその用途 - Google Patents
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Description
本発明の共重合体組成物は、以下に記載のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)、脂肪酸および/またはその誘導体(C)を含有する。
本発明の共重合体組成物を構成するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)はエチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンと、非共役ポリエンとをランダム共重合して得られるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体である。
本発明に係わるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。上記のような特性を有するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、「ポリマー製造プロセス((株)工業調査会発行、P.309〜330)」などに記載されているような公知の方法により調製することができる。
本発明の共重合体組成物を構成する脂肪酸は、通常、炭素数が4〜30の飽和脂肪酸、または不飽和脂肪酸であり、具体的には、カプリル酸(炭素数8)、カプリン酸(炭素数10)、ラウリン酸(炭素数12)、ミリスチン酸(炭素数14)、パルミチン酸(炭素数16)、ステアリン酸(炭素数18)およびアラキジン酸(炭素数20)などの飽和脂肪酸、パルミトイル酸(炭素数16)、オレイン酸(炭素数18)、リノール酸(炭素数18)およびリノレイン酸(炭素数18)などの不飽和脂肪酸などが挙げられる。
本発明の共重合体組成物を構成する脂肪酸誘導体としては、上記脂肪酸の金属塩、脂肪酸アミド、脂肪酸エステルなどが挙げられる。
本発明の共重合体組成物は、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A):100質量部、並びに前記脂肪酸および/またはその誘導体(C)を2質量部以上、5質量部未満、好ましくは3質量部以上、5質量部未満を含む。
本発明に係わるポリオレフィン(D)は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル・1−ペンテン、1−オクテン等のα−オレフィンの単独重合体、若しくは共重合体であり、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(所謂LLDPE)、及び高密度ポリエチレンなどのエチレン系重合体(ポリエチレン);プロピレン単独重合体、プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体、及びプロピレン・ブロック共重合体などのプロピレン系重合体(ポリプロピレン);あるいは、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル・1−ペンテンなどとして製造・販売されている樹脂である。
これらポリオレフィン(D)の中でも、物性と加工性のバランスからエチレン・α−オレフィン共重合体(D1)が好ましい。
本発明の共重合体組成物を構成するエチレン系共重合体(D1)は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体である。
α−オレフィンとしては、機械強度に優れる成形体が得られる等の点から、炭素数が好ましくは3〜12、より好ましくは3〜8のα−オレフィンが望ましい。
本発明に係わるエチレン系共重合体(D1)は、以下の要件(i)〜(iv)を満たすことが好ましい。
エチレン系共重合体(D1)の融点は、好ましくは110℃以下、より好ましくは0〜105℃であり、さらに好ましくは0〜100℃である。共重合体(D1)の融点が前記範囲にあることで、低混練温度でも未溶融の共重合体(D1)が残留せず、特に、成形収縮率が小さく、耐摩耗性に優れる成形体を得ることができる。
エチレン系共重合体(D1)の融点は、具体的には下記実施例に記載の方法で測定することができる。
エチレン系共重合体(D1)の密度は、好ましくは0.840〜0.920g/cm3であり、より好ましくは0.850〜0.915g/cm3であり、さらに好ましくは0.860〜0.915g/cm3である。密度が前記範囲にあると、成形収縮率が小さく、強度特性、耐摩耗性および耐圧縮永久歪性に優れる成形体を得ることができる。
エチレン系共重合体(D1)の密度は、具体的には下記実施例に記載の方法で測定することができる。
エチレン系共重合体(D1)の190℃、2.16kgにおけるMFRは、好ましくは0.1〜50g/10minであり、より好ましくは0.3〜20.0g/10minであり、さらに好ましくは0.5〜5.0g/10minである。MFRが前記範囲にあると、成形収縮率が小さく、加工性に優れる成形体を得ることができる。
エチレン系共重合体(D1)のMFRは、具体的には下記実施例に記載の方法で測定することができる。
本発明に係わるエチレン系共重合体(D1)は、好ましくはGPC分析により求められる重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnが1.5〜10.0、より好ましくは2〜8の範囲にある。
エチレン系共重合体(D1)の重量平均分子量が前記範囲にあると、成形収縮率が小さく、耐摩耗性に優れる成形体を得ることができる。また、低分子量成分が少ないことにより、得られる成形体において、該低分子量成分の揮発や浮き出しが生じにくくなり好ましい。
エチレン系共重合体(D1)のMw、Mn及びMw/Mnは、具体的には下記実施例に記載の共重合体ゴムの分子量の測定方法と同様の方法で測定することができる。
エチレン系共重合体(D1)の合成の際の各原料の使用量としては特に制限されないが、得られる共重合体におけるエチレンから導かれる構成単位の含量が前記範囲になるような量であることが好ましい。具体的には、エチレン100質量部に対して、炭素原子数3〜20のα−オレフィンは、好ましくは25〜200質量部、より好ましくは30〜150質量部である。
触媒の使用量は、エチレン1質量部に対し、好ましくは1.0×10-6〜5.0×10-6質量部である。
架橋剤としては、有機過酸化物、フェノール樹脂、硫黄系化合物、ヒドロシリコーン系化合物、アミノ樹脂、キノンまたはその誘導体、アミン系化合物、アゾ系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物等の、ゴムを架橋する際に一般に使用される架橋剤が挙げられる。これらのうちでは、有機過酸化物、硫黄系化合物(以下「加硫剤」ともいう)が好適である。
加硫促進剤としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N'−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール(例えば、サンセラーM(商品名;三新化学工業社製))、2−(4−モルホリノジチオ)ペンゾチアゾール(例えば、ノクセラーMDB−P(商品名;大内新興化学工業社製))、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルフォリノチオ)ベンゾチアゾールおよびジベンゾチアジルジスルフィド(例えば、サンセラーDM(商品名;三新化学工業社製))などのチアゾール系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジンおよびジオルソトリルグアニジンなどのグアニジン系加硫促進剤;アセトアルデヒド・アニリン縮合物およびブチルアルデヒド・アニリン縮合物などのアルデヒドアミン系加硫促進剤;2−メルカプトイミダゾリンなどのイミダゾリン系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド(例えば、サンセラーTS(商品名;三新化学工業社製))、テトラメチルチウラムジスルフィド(例えば、サンセラーTT(商品名;三新化学工業社製))、テトラエチルチウラムジスルフィド(例えば、サンセラーTET(商品名;三新化学工業社製))、テトラブチルチウラムジスルフィド(例えば、サンセラーTBT(商品名;三新化学工業社製))およびジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(例えば、サンセラーTRA(商品名;三新化学工業社製))などのチウラム系加硫促進剤;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(例えば、サンセラーPZ、サンセラーBZおよびサンセラーEZ(商品名;三新化学工業社製))およびジエチルジチオカルバミン酸テルルなどのジチオ酸塩系加硫促進剤;エチレンチオ尿素(例えば、サンセラーBUR(商品名;三新化学工業社製)、サンセラー22−C(商品名;三新化学工業社製))、N,N'−ジエチルチオ尿素およびN,N'−ジブチルチオ尿素などのチオウレア系加硫促進剤;ジブチルキサトゲン酸亜鉛などのザンテート系加硫促進剤が挙げられる。
軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;蜜ロウ、カルナウバロウ等のロウ類;ナフテン酸、パイン油、ロジンまたはその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート等のエステル系軟化剤;その他、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、炭化水素系合成潤滑油、トール油、サブ(ファクチス)が挙げられ、これらのうちでは、石油系軟化剤が好ましく、プロセスオイルが特に好ましい。
補強剤としては、例えば、カーボンブラック、シランカップリング剤で表面処理したカーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、活性化炭酸カルシウム、微粉タルク、微粉ケイ酸が挙げられる。
本発明の共重合体組成物に、老化防止剤(安定剤)を配合することにより、これから形成されるシールパッキンの寿命を長くすることができる。このような老化防止剤として、従来公知の老化防止剤、例えば、アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、イオウ系老化防止剤などがある。
無機充填剤としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーなどが挙げられ、これらのうちでは、「ホワイトンSB」(商品名;白石カルシウム株式会社)等の重質炭酸カルシウムが好ましい。
加工助剤としては、例えば、一般に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く用いることができる。
活性剤としては、例えば、ジ−n−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン等のアミン類;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、レシチン、トリアリルトリメリテート、脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸の亜鉛化合物等の活性剤;過酸化亜鉛調整物;オクタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、合成ハイドロタルサイト、特殊四級アンモニウム化合物が挙げられる。
吸湿剤としては、例えば、酸化カルシウム、シリカゲル、硫酸ナトリウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、ホワイトカーボンが挙げられる。
本発明の共重合体組成物を用いて形成された成形体は、非発泡体であってもよいし、発泡体であってもよい。成形体が発泡体である場合には共重合体組成物には発泡剤が含まれていることが好ましい。
本発明の共重合体組成物は、種々公知の成形加工方法、具体的には、例えば、トランスファー成形法、射出成形法、型成形法、プレス成形法により、各種成形体に加工することで得ることができる。また、前記方法で得られた共重合体組成物をゴム用押出機にて製品形状に押出し、次いで、加硫槽内に導入し、熱空気、流動床、溶融塩槽(LCM)、PCM(Powder Curing MediumもしくはPowder Curing Method)またはマイクロ波等の手段によって加熱することにより、加硫および発泡を行って調製することができる。好ましくは、熱空気加硫槽(HAV)、LCM、PCM、または、HAVおよびデシメートル波(UHF)を用いた連続押出し加工によって、連続的に加硫および発泡させることで得ることができる。
本発明の共重合体組成物は、上記種々公知の成形加工方法で得られる成形体に加工して用い得るが、特に、ホース用の組成物として好ましい。
本発明の共重合体組成物から得られるホースは自動車用、建設機械用、産業機械用、モーターバイク用、農業機械用などのホースまたはチューブとして好適に利用することができる。具体的には、エンジンを冷却するためのラジエーターホース、ラジエーターオーバーフロー用ドレインホース、室内暖房用ヒーターホース、エアコンドレインホース、ワイパー送水ホース、ルーフドレインホース、プロテクトホースなどの自動車水系ホースとして好適に利用することができる。
また、実施例および比較例で用いた重合体並びに共重合体組成物などの物性は、下記方法で測定した。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)として、エチレン67.3モル%、プロピレン31.3モル%、ENB1.4モル%のエチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体〔非共役ポリエン共重合体(a)〕を用いた。
エチレン系共重合体(D1)として、低密度ポリエチレン〔エチレン系共重合体(d)〕を用いた。
(1)ムーニー粘度(ML(1+4)100℃)およびムーニー粘度(ML(1+4)125℃)
100℃および125℃におけるムーニー粘度(ML(1+4))は、JIS K6300に準拠して、ムーニー粘度計((株)島津製作所製SMV202型)を用いて、100℃および125℃の条件下で測定した。
(1)硬さ試験(デュロ−A硬度)
JIS K 6253に従い、シートの硬度(タイプAデュロメータ、HA)の測定は 、平滑な表面をもっている2mmの加硫ゴムシート6枚を用いて、平らな部分を積み重ねて厚み約12mmとして行った。ただし、試験片に異物の混入したもの、気泡のあるもの、およびキズのあるものは用いなかった。また、試験片の測定面の寸法は、押針先端が試験片の端から12mm以上離れた位置で測定できる大きさとした。
実施例および比較例で得た加硫シートを打抜いてJIS K 6251(2001年)に記載されている3号形ダンベル試験片を調製した。この試験片を用いて同JIS K 6251に規定される方法に従い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張り試験を行ない、引張破断点応力(TB)および引張破断点伸び(EB)を測定した。
実施例および比較例で得た加硫シートを打抜いてJIS K 6251(2001年)に記載されている3号形ダンベル試験片を調製した。この試験片を用いて同JIS K 6261(2006年)に規定される方法に従い、脆化温度を導出した。
日本ゴム協会標準規格(SRIS)2304(1971)に準拠して体積抵抗率試験を行ない、加硫シートの体積固有抵抗率を測定した。
圧縮永久歪(CS)測定用試験片は、厚さ12.7mm、直径29mmの直円柱形の試験片を、170℃で20分間加硫して得た。得られた試験片をJIS K6262(1997)に従って、70℃で22時間処理後および72時間処理後の圧縮永久歪を測定した。
第一段階として、前記非共役ポリエン共重合体(a)を100質量部、前記エチレン系共重合体(d)を20質量部、および軟化剤(パラフィン系プロセスオイル(ダイアナプロセスPW−380、出光興産(株)製)を10質量部とを溶融混練して混合物を得た。
得られた共重合体組成物および架橋体の物性を前記記載の方法で測定した。
結果を表1に示す。
実施例1で用いた共重合体組成物において、ステアリン酸の配合部数を1質量部とし、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル(商品名:エマスター430W、理研ビタミン(株)製)3質量部を配合したこと以外は実施例1と同様に行い、共重合体組成物および架橋体を製造し、前記記載の方法で物性を測定した。
結果を表1に示す。
実施例1で用いた共重合体組成物において、ステアリン酸の配合部数を1質量部とし、脂肪酸エステル混合物(商品名:ストラクトールWB212、エスアンドエスジャパン(株)製)3質量部を配合したこと以外は実施例1と同様に行い、共重合体組成物および架橋体を製造し、前記記載の方法で物性を測定した。
結果を表1に示す。
Claims (3)
- エチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンと、非共役ポリエンとからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)100質量部、ステアリン酸を3質量部以上、5質量部未満、およびポリオレフィン(D)樹脂を5質量部以上、30質量部以下含む共重合体組成物からなる非発泡ホース。
- 上記ポリオレフィン(D)樹脂が、低密度ポリエチレンである請求項1に記載の非発泡ホース。
- 自動車用、産業機械用、建設機械用、モーターバイク用または農業機械用である請求項1または2に記載の非発泡ホース。
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