JP6984521B2 - 成形用化粧シートの製造方法、及び当該方法により製造される成形用化粧シート - Google Patents
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Description
かかる貼り合わせの際に、化粧シートを立体成形部材の表面形状に追従させる成形法としては、例えば、インサート射出成形、インサート押出成形等が知られているが、複雑な三次元立体形状を有する部材の加飾に当たっては、いわゆる真空成形法が広く採用されている。真空成形法とは、例えば以下の手順により行われる。まず、樹脂材料を、目的とする部材の三次元立体形状となるように成形する。次に、得られた立体成形部材の表面に、化粧シートを加熱軟化させつつ伸ばし広げる。続いて、図4Aに示すように、化粧シート20における立体成形部材30側の空間を減圧し(矢印40)、必要に応じ反対側の空間を加圧することにより(矢印50)、当該化粧シート20を立体成形部材30表面の三次元立体形状に沿って成形しつつ貼着積層し、真空成形が完了する(図4B)。
特許文献1には、基材上に絵柄層、接着層、及び透明樹脂層をこの順に有する真空成形用化粧シートであって、該基材がポリオレフィンフィルムからなり、該透明樹脂層がポリエステルフィルムからなり、かつ該絵柄層が所定の粒径のパール顔料を含む真空成形用化粧シートが開示されている。当該文献には、パール顔料の粒径を制御することによって、成形加工性に優れ、成形加工後に層間剥離が生じず、かつ高輝度意匠性に優れる真空成形用化粧シートが得られることが記載されている。
特許文献1の技術においては顔料の種類が特殊なものに制限されるため、原材料費も高騰する上、自ずと使用可能な基材の種類や発現可能な諸物性の範囲も限定される。特許文献2の技術は、主に樹脂層の局部的な伸びや白化を防ぐ技術であって、当該文献には絵柄層の割れに関する記載は一切ない。特許文献3−4の技術は、立体成形用ではない。このように、従来技術においては、高価であったり、使用できる材料や発現できる物性に制限があったり、絵柄層の割れや層間剥離の防止を目的としないものであった。
本開示は、絵柄層の割れや層間剥離に関する上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、熱可塑性樹脂層及び絵柄層を備え、成形時における当該絵柄層の割れや層間の剥離が生じにくい化粧シートの製造方法、及び当該方法により製造される成形用化粧シートを提供することを目的とする。
少なくとも、
1又は2以上の着色剤、及び樹脂バインダーを含む1又は2以上のサブパターン用インキ、及び第1及び第2の熱可塑性樹脂層を準備する第1工程、
前記第1又は第2の熱可塑性樹脂層から1の熱可塑性樹脂層を選び、選ばれた熱可塑性樹脂層の一面に、前記1又は2以上のサブパターン用インキから選ばれるサブパターン用インキを用いて、前記絵柄層を構成する1又は2以上の絵柄パターンから選ばれる指定絵柄パターンと同一パターンを有し且つ前記指定絵柄パターンに必要とされる所定の発色濃度よりも低い発色濃度を有する第1のサブパターンを形成する第2工程、並びに、
前記第2工程において選ばれた熱可塑性樹脂層の第1のサブパターンを形成した面に、前記1又は2以上のサブパターン用インキから選ばれるサブパターン用インキを用いて、前記指定絵柄パターンと同一パターンである追加サブパターンを前記第1のサブパターンに対し平面視で位置同調するように少なくとも1回形成するか、又は、
前記第1又は第2の熱可塑性樹脂層のうち、前記第2工程において選ばれなかった熱可塑性樹脂層の一面に、前記1又は2以上のサブパターン用インキから選ばれるサブパターン用インキを用いて、前記指定絵柄パターンと同一パターンである1の追加サブパターンを形成するか、若しくは、2以上の追加サブパターンを互いに平面視で位置同調するように形成した後、第1又は第2の熱可塑性樹脂層それぞれのサブパターンが形成された面同士を向かい合わせ、第1の熱可塑性樹脂層のサブパターン上に第2の熱可塑性樹脂層のサブパターンを平面視で位置同調するように重ね合わせることにより、
所定の発色濃度を有する前記指定絵柄パターンを形成する第3工程
を有することを特徴とする。
本開示の製造方法において、前記2以上のサブパターン用インキのうち少なくともいずれか2つの着色剤濃度が互いに略等しくてもよい。
本開示の製造方法において、前記2以上のサブパターン用インキのうち少なくともいずれか2つのサブパターン用インキに含まれる着色剤の種類は、同一種類であってもよい。
本開示の製造方法において、前記絵柄層の形成に用いられる全てのインキにおける、固形分全量に対する着色剤濃度がいずれも50質量%以下であってもよい。
本開示の製造方法において、前記第1及び第2の熱可塑性樹脂層のうちの一方が着色剤を含み、他方が透明樹脂を含んでいてもよい。
本開示の製造方法においては、グラビア印刷法を用いてもよい。
本開示の成形用化粧シートは、立体表面の装飾に用いられてもよい。
本開示の成形用化粧シートは、真空成形に用いられてもよい。
本開示の成形用化粧シートの製造方法は、第1及び第2の熱可塑性樹脂層、並びに1又は2以上の絵柄パターンにより構成された絵柄層を備え、当該絵柄層が前記第1及び第2の熱可塑性樹脂層の間に積層されている成形用化粧シートの製造方法であって、
少なくとも、
1又は2以上の着色剤、及び樹脂バインダーを含む1又は2以上のサブパターン用インキ、及び第1及び第2の熱可塑性樹脂層を準備する第1工程、
前記第1又は第2の熱可塑性樹脂層から1の熱可塑性樹脂層を選び、選ばれた熱可塑性樹脂層の一面に、前記1又は2以上のサブパターン用インキから選ばれるサブパターン用インキを用いて、前記絵柄層を構成する1又は2以上の絵柄パターンから選ばれる指定絵柄パターンと同一パターンを有し且つ前記指定絵柄パターンに必要とされる所定の発色濃度よりも低い発色濃度を有する第1のサブパターンを形成する第2工程、並びに、
前記第2工程において選ばれた熱可塑性樹脂層の第1のサブパターンを形成した面に、前記1又は2以上のサブパターン用インキから選ばれるサブパターン用インキを用いて、前記指定絵柄パターンと同一パターンである追加サブパターンを前記第1のサブパターンに対し平面視で位置同調するように少なくとも1回形成するか、又は、
前記第1又は第2の熱可塑性樹脂層のうち、前記第2工程において選ばれなかった熱可塑性樹脂層の一面に、前記1又は2以上のサブパターン用インキから選ばれるサブパターン用インキを用いて、前記指定絵柄パターンと同一パターンである1の追加サブパターンを形成するか、若しくは、2以上の追加サブパターンを互いに平面視で位置同調するように形成した後、第1又は第2の熱可塑性樹脂層それぞれのサブパターンが形成された面同士を向かい合わせ、第1の熱可塑性樹脂層のサブパターン上に第2の熱可塑性樹脂層のサブパターンを平面視で位置同調するように重ね合わせることにより、
所定の発色濃度を有する前記指定絵柄パターンを形成する第3工程
を有することを特徴とする。
上述したように、真空成形は、立体成形部材30の表面に成形用化粧シート20を貼りつけ積層することにより行う(図4A)。その際に圧力を調整するため、成形後の化粧シート20は、成形前よりも全体的に引き延ばされた状態となる。延伸の度合いは立体成形部材30の部位によって異なる。例えば、立体成形部材30の凹曲面上や平面上の化粧シート積層部分よりも、立体成形部材30の凸曲面上や角に当たる化粧シート積層部分の方が、立体形状への追従の要請からより強く引っ張り伸ばされるため、歪みが大きい。
特に、絵柄層12中の着色剤濃度が高い場合、層間の密着性が低下して絵柄層12が着色原反11Aから剥離したり(図5A)、絵柄層12が透明樹脂層11Bから剥離したり(図5B)、パターンを維持できずに材料破壊した絵柄層12aが、着色原反11A及び/又は透明樹脂層11Bの表面に残ったりする(図5C)。
以上の図4A〜図5Cに関する説明では、着色原反11A、透明樹脂層11B、及び絵柄層12を備える三層構成の化粧シートを例にとった。しかし、絵柄層の割れや層間剥離は、熱可塑性樹脂層及び絵柄層を備え且つ他の層構成を有する成形用化粧シートの場合にも、同様に生じる。
しかし、低濃度の着色剤インキを1回で分厚く印刷すると、形成される網点(印刷面を拡大することにより観察可能なインキの印刷点)が絵柄層の層方向に対し平行に流れ出し、色がぼやけて十分な発色が得られないというデメリットがある。また、得られる絵柄層が従来よりも厚いため、インキ乾燥に比較的長い時間を要するというデメリットもある。
特に、グラビア印刷法において高精細な絵柄パターンを厚く形成することは、技術上非常に困難である。グラビア印刷法の概要は、例えば以下の通りである。まず、彫刻やレーザー腐食等により、シリンダ状のグラビア版を作製する。得られるグラビア版表面のくぼみ(セル)にインキを載せた後、グラビア版表面に印刷対象を押しつけることによりインキを転移させ、印刷物を仕上げる。グラビア印刷法は、グラビア版表面のくぼみの深さによりインキの量、すなわちインキの濃度を調節することができる。しかし、くぼみの深さにも限界がある上に、グラビア版表面から転移するインキの量は、グラビア版表面のくぼみに載せたインキの量よりも少ない。グラビア印刷法に使用される着色剤インキの中には、粘度が低いものもあるため、印刷後のインキの表面が平滑化(レベリング)し、形成される網点がぼやけ易くなる(ダレ易くなる)傾向となる場合がある。絵柄層が厚いほどダレ易くなるため、繊細な絵柄を表現することがより困難となる場合がある。このように、グラビア印刷法は、その性質上、高精細な絵柄パターンを厚く形成することが困難な場合のある印刷法であるといえる。
以下、本開示の製造方法の第1工程〜第3工程について、順に説明する。
第1工程は、サブパターン用インキ、並びに第1及び第2の熱可塑性樹脂層を準備する工程である。
本第1工程においては、1又は2以上のサブパターン用インキを準備する。2以上のサブパターン用インキを準備する場合、後の工程において、サブパターン用インキを1つのみ用いてもよいし、準備した中から一部のサブパターン用インキのみを用いてもよいし、全てのサブパターン用インキを用いてもよい。
ここで、「サブパターン」とは、平面視で位置同調するように2以上重ね合わせることにより、指定絵柄パターンを再現し得る要素となるパターンを意味する。後述する「第1のサブパターン」とは、サブパターンのうち第2工程で形成されるものをいい、後述する「追加サブパターン」とは、サブパターンのうち第3工程で形成されるものをいう。
ここで、平面視で位置同調するように2以上のサブパターンを重ね合わせるとは、2以上のサブパターンを平面視においてぴったり重ね合わせること、言い換えると、2以上のサブパターンをその二次元配置が完全一致するように、平面視において、位置合わせ(見当合わせ)をして重ね合わせることを意味する。位置合わせ(見当合わせ)、並びにその後の印刷方法及び重ね合わせ方法は、公知の手段による。例えば、光電管等のセンサーにより形成された第1のサブパターン又は追加サブパターン上の見当マークを検知し、当該見当マークを目印として追加サブパターンを印刷する方法が採用できる。なお、位置合わせ、並びにそれを用いた印刷方法及び重ね合わせ方法は、上記方法のみに限定されない。
絵柄パターンは通常、熱可塑性樹脂層の面方向に平行でありかつその全面に展開する1又は2以上の層として設計可能である。しかし、必ずしもこのような形態に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂層の一部分のみを加飾する絵柄パターンを設計してもよい。
本開示においては、後述する第3工程において第1のサブパターンの上から追加サブパターンを重ね刷りし、又はこれらサブパターン同士を重ね合わせることにより、指定絵柄パターンを再現する。ただし、絵柄層中の絵柄パターンの全てが、必ずしも重ね刷り及び/又は重ね合わせに供されるとは限らない。絵柄層中の絵柄パターンの全てを指定絵柄パターンに選んで重ね刷り及び/又は重ね合わせを行ってもよいし、絵柄層中の絵柄パターンの一部のみを指定絵柄パターンに選び、その指定絵柄パターンのみについて重ね刷り及び/又は重ね合わせを行い、残りの絵柄パターンは1回で印刷してもよい。
サブパターン用インキに用いる着色剤の種類は特に限定されない。着色剤の種類としては、例えば、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、黄鉛、チタン黄、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、アゾメチンアゾ化合物、ペリレン系化合物等の有機顔料あるいは染料、アルミニウム、真鍮等の金属の箔粉からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料等の従来公知の着色顔料が用いられる。
サブパターン用インキに用いる着色剤は、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってもよい。
後述する第1又は第2の熱可塑性樹脂層にサブパターン用インキを直接印刷する場合は、樹脂バインダーとして、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との混合物やウレタン樹脂を採用することが、接着性の点で好ましい。
サブパターン用インキに用いる溶剤の種類は、着色剤及び樹脂バインダーを溶解又は分散できるものであれば、特に限定されない。溶剤の種類としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)及びメチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン系溶剤;酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル系溶剤;トルエン等の芳香族系溶剤;イソプロパノール(IPA)等のアルコール系溶剤;等の一般的な印刷インキ溶剤が挙げられる。
従来技術においては、所望の発色濃度を得るため、仮に1回の印刷で絵柄パターンを得ようとする際に、固形分全量に対する着色剤濃度が50質量%を超えるインキを使用しなければならない場合があった。しかし、本開示の製造方法によれば、固形分全量に対する着色剤濃度が50質量%以下という、比較的低い着色剤濃度のサブパターン用インキを採用したとしても、サブパターンの重ね刷り及び/又は重ね合わせを行うことによって、発色性に優れ且つ高精細な絵柄を形成しつつ、絵柄層の割れ、絵柄層と隣接する層との層間剥離、及び絵柄層の視覚的な歪みをより効果的に防止することができる。絵柄層の割れ、絵柄層と隣接する層との層間剥離、及び絵柄層の視覚的な歪みをさらに効果的に防止する観点から、使用する全てのサブパターン用インキにおける固形分全量に対する着色剤濃度が、50質量%以下であってもよい。
サブパターン用インキにおける着色剤濃度は、当該インキを用いて形成されるサブパターンの発色濃度と密接に関連する。例えば、サブパターン用インキにおける着色剤濃度が高いほど、得られるサブパターンの発色濃度も高くなる。これに対し、サブパターン用インキにおける着色剤濃度が低いほど、得られるサブパターンの発色濃度も低くなる。
サブパターン用インキを含む、絵柄層の形成に用いられる全てのインキにおける、固形分全量に対する着色剤濃度がいずれも50質量%以下であってもよい。このように、着色剤濃度の比較的低いインキを用いて絵柄層を形成することにより、得られる絵柄層の密着性をより高めることができる。
サブパターン用インキを2以上用いる場合、当該2以上のサブパターン用インキのうち少なくともいずれか2つのサブパターン用インキに含まれる着色剤の種類が2以上あるとき、その2以上の着色剤の種類のうち一部が同一であってもよく、全部が同一であってもよい。使用する全てのサブパターン用インキの着色剤の種類が2以上あり、かつその全ての着色剤の種類が全てのサブパターン用インキにおいて同一であってもよい。
サブパターン用インキを2以上用いる場合、当該2以上のサブパターン用インキのうち少なくともいずれか2つのサブパターン用インキに含まれる着色剤の種類が2以上あるとき、その2以上の着色剤の配合割合が同一であってもよい。使用する全てのサブパターン用インキの着色剤の種類が2以上あり、かつその全ての着色剤の配合割合が全てのサブパターン用インキにおいて同一であってもよい。
サブパターン用インキを2以上用いる場合、当該2以上のサブパターン用インキのうち少なくともいずれか2つのサブパターン用インキに含まれる樹脂バインダーの種類は、同一種類であってもよい。使用する全てのサブパターン用インキの樹脂バインダーの種類が同一種類であってもよい。
サブパターン用インキを2以上用いる場合、当該2以上のサブパターン用インキのうち少なくともいずれか2つのサブパターン用インキに含まれる着色剤と樹脂バインダーの組成比が略同一であってもよい。使用する全てのサブパターン用インキに含まれる着色剤と樹脂バインダーの組成比が略同一であってもよい。
サブパターン用インキを2以上用いる場合、当該2以上のサブパターン用インキのうち少なくともいずれか2つのサブパターン用インキに含まれる着色剤及び樹脂バインダー以外の他の成分が略同一であってもよい。使用する全てのサブパターン用インキに含まれる着色剤及び樹脂バインダー以外の他の成分が略同一であってもよい。
サブパターン用インキを1又は2以上用いる場合、追加サブパターンの形成時に、第1のサブパターン又は直前に形成された追加サブパターンの発色濃度を確認しながら、目的とする指定絵柄パターンの発色濃度を得るために、サブパターン用インキの着色剤濃度を適宜変更してもよい。
第1工程においては、第1及び第2の熱可塑性樹脂層を準備する。以下、第1及び第2の熱可塑性樹脂層を総称して、単に「熱可塑性樹脂層」という場合がある。
熱可塑性樹脂層は、成形用化粧シートにおいて、その形状を保持する働き、及び/又は成形用化粧シート中の絵柄層を保護する働きを有する層である。
熱可塑性樹脂層は、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系共重合体樹脂(ABS系樹脂)からなる群より選ばれる少なくとも1つの樹脂を含んでいてもよい。このうち、取り扱い性が良く、成形用化粧シートに必要な強度を備える点で、熱可塑性樹脂層はポリ塩化ビニル系樹脂層であることが好ましい。
熱可塑性樹脂層に用いる着色剤の種類は特に限定されず、例えば、上記「ア.サブパターン用インキ」において説明した着色剤を用いることができる。着色は透明着色、不透明(隠蔽)着色いずれでも良いが、一般的には、被着体を隠蔽するために不透明着色が良い。
着色剤の含有量には特に制限はなく、例えば、熱可塑性樹脂層の質量を100質量部としたとき、1〜40質量部であってもよく、5〜20質量部であることが好ましい。
熱可塑性樹脂基材は可塑剤を含有していてもよい。可塑剤は、当該熱可塑性樹脂基材に柔軟性を付与し、その硬さを制御することを目的として用いられる。
使用される可塑剤としては、ジオクチルフタレート等のフタル酸エステル系、トリメリット酸トリオクチル等のトリメリット酸エステル系、アジピン酸エステル系、アジピン酸ポリエステル系、フタル酸ポリエステル系、リン酸エステル系、クエン酸エステル系、安息香酸エステル系、テレフタル酸エステル系、エポキシ化植物油系、塩素化パラフィン系などが挙げられる。
可塑剤の含有量には特に制限はなく、例えば、熱可塑性樹脂基材の質量を100質量部としたとき、5〜60質量部であってもよく、15〜35質量部であることが好ましい。
これら添加剤の含有量は、例えば、熱可塑性樹脂基材の質量を100質量部としたとき、1〜50質量部であってもよく、10〜25質量部であることが好ましい。
得られる熱可塑性樹脂基材の平均厚さは、その強度及び耐熱性が適切になるように材料に応じて適宜設定することができ、50μm〜1,000μm程度が一般的で、好ましくは50μm〜500μmである。
透明樹脂を含有する熱可塑性樹脂層は、例えば、成形用化粧シートにおける透明樹脂層として使用できる。絵柄層が大気に露出すると、水(雨)、空気(特に酸素)、紫外線、熱により絵柄層が劣化し、剥げ、落ちる場合がある。着色剤を含有する着色原反が大気に露出する場合についても、同様の問題が生じるおそれがある。したがって、絵柄層の劣化や着色原反の色あせを防ぎ、積層体である成形用化粧シート全体を保護するために、透明樹脂層を用いることが好ましい。
これらの中でも、透明樹脂として、ポリ塩化ビニル系樹脂を用いることが好ましい。
透明樹脂層の形成方法は特に限定されない。例えば、着色原反及び絵柄層を備える積層体の一面側に、接着剤等を用いて透明樹脂フィルムを貼る方法が挙げられる。また、透明樹脂フィルムの一面側に1又は2以上の絵柄パターンを印刷したものを、着色原反の一面側に貼る方法も挙げられる。
立体的模様としては、単純な凹凸模様、木目板導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等が例示できる。立体的模様の凹部に着色剤を充填しても良い。充填は従来公知のワイピング法等によれば良い。充填する着色剤は上述した材料が使用できる。
第2工程は、第1又は第2の熱可塑性樹脂層から1の熱可塑性樹脂層を選び、選ばれた熱可塑性樹脂層の一面に、1又は2以上のサブパターン用インキから選ばれるサブパターン用インキを用いて、絵柄層を構成する1又は2以上の絵柄パターンから選ばれる指定絵柄パターンと同一パターンを有し且つ指定絵柄パターンに必要とされる所定の発色濃度よりも低い発色濃度を有する第1のサブパターンを形成する工程である。
つまり、本第2工程は、熱可塑性樹脂層、サブパターン用インキ、及び指定絵柄パターンをそれぞれ選んで、第1のサブパターンを形成する工程である。
(ii)の場合における第1のサブパターンの網点の面積の余剰部分を、一般的に「見当じろ」という。「見当じろ」は、重ね刷りの技術において、1色目(又は1回目の印刷)の網点と2色目(又は2回目の印刷)の網点の見当(印刷の位置)のずれがないことが目視で分かれば良いことを前提に、1色目(又は1回目の印刷)の網点の面積を若干大きめに印刷し、2色目(又は2回目の印刷)の網点の見当(すなわち位置)のずれを目立たなくさせることを目的として設けられる。
本開示においては、第1のサブパターンにおいて予め「見当じろ」を設けることにより、後述する追加サブパターンにおける重ね刷りに伴う網点の見当ずれを回避し、又は目立たなくさせる技術を用いてもよい。このような技術を使用する場合は上記(ii)に該当するため、第1のサブパターンが指定絵柄パターンと同一パターンを有する場合に含まれる。
ここで、「発色濃度」とは、各サブパターンの表面及び得られる指定絵柄パターンの表面における色濃度をいい、より具体的には、ISO 5−4:2009に準拠して測定される反射濃度を意味する。部分ごとに異なる発色濃度を有する指定絵柄パターン及び第1のサブパターンの場合には、両パターンの対応する部分同士を比較し、第1のサブパターン中の全ての部分における発色濃度を、当該部分に対応する指定絵柄パターン中の部分の発色濃度よりも低く設定すればよい。発色濃度の測定方法としては、例えば、上記ISO 5−4:2009の他、市販の分光濃度計(例えば、X−Rite Model 504、X−Rite社製)等を用いた測定法が挙げられる。第1のサブパターンは指定絵柄パターンと同一パターンを有するため、どちらのパターンの発色濃度がより低いか、すなわち、どちらのパターンがより薄いかは、予め指定絵柄パターン及び第1のサブパターンを別々に印刷した上で、視覚によっても判定することができる。
「指定絵柄パターンに必要とされる所定の発色濃度」とは、指定絵柄パターンの設計の際に定めた、当該指定絵柄パターンの発色濃度の目標値を意味する。指定絵柄パターンにおいて発色濃度に濃淡がある場合、「指定絵柄パターンに必要とされる所定の発色濃度」とは、当該指定絵柄パターンの部分に応じて異なる発色濃度が設定される。
指定絵柄パターンの発色濃度の目標値は、目的とする絵柄層及び指定絵柄パターンの厚さや絵柄、使用される色数や着色剤同士の組み合わせ、絵柄層及び各指定絵柄パターンに求められる発色の度合い等の必要事項によって様々であり、一般的な目標値を定めることは難しい。特に、絵柄層の割れや層間剥離の可能性は、絵柄パターンの絵柄の内容に依存する。例えば、絵柄層の全面に、高い発色濃度を有する絵柄パターンが存在する場合には、絵柄層の割れや層間剥離が生じる可能性が高い。この様な絵柄パターンは、樹脂バインダーが相対的に少ないことにより絵柄層が脆くなり、割れたり剥がれたりしやすいためである。一方、高い発色濃度を有する絵柄パターンが絵柄層の一部に偏在する場合や、高い発色濃度を有する絵柄パターンが絵柄層の全面に点在する場合には、絵柄層の割れや層間剥離が起きにくいこともあり得る。なぜなら、このような絵柄パターンを含んでいたとしても、絵柄層全体は柔軟性を有し、割れたり剥がれたりしにくいという可能性があるためである。したがって、絵柄層の割れや層間剥離という課題が生じる典型例は、高い発色濃度を有する絵柄パターンが全面に展開するか、又は一定の面積以上を占める絵柄層であるといえる。
絵柄層の設計においては、上記必要事項(目的とする絵柄層及び指定絵柄パターンの厚さや絵柄、使用される色数や着色剤同士の組み合わせ、絵柄層及び各指定絵柄パターンに求められる発色の度合い等)を予め精密に算出し、当該必要事項を詳細に設定することが可能である。したがって、「指定絵柄パターンに必要とされる所定の発色濃度」は、上記必要事項のうち少なくとも1つを踏まえた上で予め算出される発色濃度であってもよい。
第1のサブパターンは、熱可塑性樹脂層の一方の面側のみに設けられていてもよく、両面側に設けられていてもよい。
第1のサブパターンを形成する先は、着色剤を含む熱可塑性樹脂層(例えば、着色原反)表面であってもよく、透明樹脂を含む熱可塑性樹脂層(例えば、透明樹脂フィルム)表面であってもよい。
第1のサブパターン中の絵柄としては、例えば平面的模様等が挙げられる。平面的模様としては、木目、石目、布目等の天然物の表面外観を模した絵柄模様、水玉模様、縞模様、幾何学模様等の抽象柄模様、文字又は数字を含む模様等が例示できる。
第1のサブパターン中の色彩としては、例えば単色全面ベタ等が挙げられる。
本開示は、後述するように同一パターンの関係にある第1のサブパターン及び追加サブパターンを重ね刷りする及び/又は重ね合わせる(積層させる)という簡便な方法により、絵柄層の割れ、絵柄層と隣接する層との層間剥離、及び絵柄層の視覚的な歪みを防止できるため、目的とする指定絵柄パターン、及び最終的に得られる絵柄層の両方における絵柄及び色彩の制約を少なく抑えることができる。
第1のサブパターンは、その部分ごとに絵柄面積及び/又は色の濃淡を変えてもよい。その場合、第1のサブパターンの部分ごとに、サブパターン用インキの塗布面積及び/又は第1のサブパターンの膜厚を変えてもよい。
図1Aに描かれた熱可塑性樹脂層1は、上述した第1又は第2の熱可塑性樹脂層のいずれか一方である。後述する図2Aと比較すると分かるように、第1のサブパターン2aは、目的とする絵柄層2(図2A)と同一パターンを有し、かつ第1のサブパターン2aの適正最大膜厚は、目的とする絵柄層2の適正最大膜厚よりも薄い。
図1Bは、第2工程により得られる、成形用化粧シート前駆体の第2の典型例の断面模式図である。成形用化粧シート前駆体100bは、熱可塑性樹脂層1の一面に、絵柄パターン2A及び第1のサブパターン2bが順に形成されてなる。図1Bに描かれた熱可塑性樹脂層1は、上述した第1又は第2の熱可塑性樹脂層のいずれか一方である。
絵柄パターン2Aは、図1A及び後述する図2Aにより説明した重ね刷りの結果形成されたものであってもよいし、絵柄パターン2Aの発色濃度が十分低い場合には1回で刷った結果形成されるものであってもよい。成形用化粧シート前駆体100bにおいては、絵柄パターン2Aが形成された熱可塑性樹脂層1の面上に、異なるパターンを有する第1パターン2bがさらに形成されている。
第3工程は、大きく分けて、(i)サブパターン同士を重ね刷りする実施形態、(ii)サブパターン同士を重ね合わせる実施形態、(iii)サブパターン同士の重ね刷りと重ね合わせを組み合わせた実施形態、を有する。以下、順に説明する。
第3工程における第1の実施形態は、上述した第2工程において選ばれた熱可塑性樹脂層の第1のサブパターンを形成した面に、1又は2以上のサブパターン用インキから選ばれるサブパターン用インキを用いて、指定絵柄パターンと同一パターンである追加サブパターンを第1のサブパターンに対し平面視で位置同調するように少なくとも1回形成することにより、所定の発色濃度を有する指定絵柄パターンを形成する工程である。
つまり、第1の実施形態は、第1のサブパターンの上から追加サブパターンを重ね刷りすることにより、所定の発色濃度を有する指定絵柄パターンを形成する実施形態であるといえる。
第1の実施形態において使用される熱可塑性樹脂層及びサブパターン用インキ、並びに、第1の実施形態において形成される指定絵柄パターンは、「(1)第1工程」及び「(2)第2工程」の説明にて述べた通りである。第3工程(第1〜第3の実施形態)において使用されるサブパターン用インキは、第2工程に用いたものであってもよいし、第2工程に用いたものとは異なるものであってもよい。
以上の結果、追加サブパターンは、第1のサブパターンとも同一パターンを有することとなる。
追加サブパターンを2以上形成する場合、第1のサブパターン及び全ての追加サブパターンが指定絵柄パターンと同一パターンを有する。また、追加サブパターンを2以上形成する場合、第1のサブパターンに対し全ての追加サブパターンが平面視で位置同調するように形成される。
絵柄層は、上述した第1のサブパターン及び追加サブパターンを少なくとも含んでなる層である。絵柄層により表現される絵柄及び色彩は、第1のサブパターン及び追加サブパターンにおいて説明した絵柄及び色彩と同様である。絵柄層は、複数の色彩の組み合わせによって写真や絵画を再現するものであったり、それ自体が絵画であったりしてもよい。
第1のサブパターン及び追加サブパターンは、その間に明瞭な境界が認められる場合と、その間に明瞭な境界が認められない場合がある。また、絵柄パターン(指定絵柄パターンを含む)が2以上ある場合、2以上の絵柄パターンの間に明瞭な境界が認められてもよいし、その間に明瞭な境界が認められなくてもよい。
積層方向に二次元配置される絵柄パターンの数、及び指定絵柄パターン中に含まれる第1のサブパターン及び追加サブパターンの数は、例えば、電子顕微鏡や元素分析等の公知の方法により確認することができる。
絵柄層は、熱可塑性樹脂層表面の全面に設けられていてもよいし、一部に設けられていてもよい。絵柄層は、絵柄部分と色彩部分が混在していてもよい。絵柄層は、少なくとも第1のサブパターン及び追加サブパターンの重ね刷りにより形成される部分と、金属薄膜の部分が混在していてもよい。
図2Aに示すように、成形用化粧シート100Aにおいては、2つの熱可塑性樹脂層1(第1及び第2の熱可塑性樹脂層)の間に絵柄層2が積層されている。2つの熱可塑性樹脂層1のうち1つは、第2の工程に使用されたものであり(図1A参照)、もう1つは第2の工程に使用されず、追加サブパターンの形成後(つまり、第3工程後)に得られる積層体の、絵柄層2の面する側に配置したものである。上述したように、第1のサブパターンと追加サブパターンは区別し難い場合もあり、その場合には、これら2以上のサブパターンが一体となって絵柄層2を構成する。ここで、2つの熱可塑性樹脂層1のうちの一方が着色剤を含み、他方が透明樹脂を含んでいてもよい。
図2Bは、第3工程の第1の実施形態により得られる、成形用化粧シートの第2の典型例の断面模式図である。図2Bの成形用化粧シート100Bは、上述した成形用化粧シート前駆体100b(図1B)を用いて形成されたものである。
図2Bに示すように、成形用化粧シート100Aにおいては、2つの熱可塑性樹脂層1(第1及び第2の熱可塑性樹脂層)の間に絵柄パターン2A及び指定絵柄パターン2Bが積層されている。このうち、絵柄層2Bは、第1のサブパターン2b(図1B)と追加サブパターンとを平面視で位置同調するように形成した結果、得られるものである。その結果として、成形用化粧シート100Bは、互いに異なる絵柄パターンである絵柄パターン2A及び指定絵柄パターン2Bを含む絵柄層2を備える。
絵柄層が2以上の指定絵柄パターンを含む場合には、重ね刷り回数を統一してもよいし、重ね刷り回数を指定絵柄パターンごとに変えてもよい。
第3工程における第2の実施形態は、第1又は第2の熱可塑性樹脂層のうち、上述した第2工程において選ばれなかった熱可塑性樹脂層の一面に、1又は2以上のサブパターン用インキから選ばれるサブパターン用インキを用いて、指定絵柄パターンと同一パターンである1の追加サブパターンを形成した後、第1又は第2の熱可塑性樹脂層それぞれのサブパターンが形成された面同士を向かい合わせ、第1の熱可塑性樹脂層のサブパターン上に第2の熱可塑性樹脂層のサブパターンを平面視で位置同調するように重ね合わせることにより、所定の発色濃度を有する指定絵柄パターンを形成する工程である。
つまり、第2の実施形態は、第1のサブパターンと追加サブパターンとを重ね合わせることにより、所定の発色濃度を有する指定絵柄パターンを形成する実施形態であるといえる。
第2の実施形態において使用される熱可塑性樹脂層及びサブパターン用インキ、並びに、第2の実施形態において形成される指定絵柄パターンは、「(1)第1工程」及び「(2)第2工程」の説明にて述べた通りである。
上記第1の実施形態においては、追加サブパターンが、第1のサブパターンと同一面において、第1のサブパターンに対し平面視で位置同調するように形成されるため、追加サブパターン自体が第1のサブパターンと独立に存在することはない。これに対し、第2の実施形態においては、追加サブパターンが第1のサブパターンとは別の熱可塑性樹脂層の面に形成されるため、追加サブパターンは第1のサブパターンとは独立に形成される。したがって、第2の実施形態において形成される追加サブパターンは、固有の発色濃度を有する。第2の実施形態における追加サブパターンの発色濃度は、指定絵柄パターンに必要とされる所定の発色濃度より低くてもよい。
成形用化粧シート前駆体100cにおいては、熱可塑性樹脂層1aの一方の面に、追加サブパターン2cが形成されている。この熱可塑性樹脂層1aは、上述した第1又は第2の熱可塑性樹脂層のうち、第2工程において選ばれなかったものである。追加サブパターン2cは、図1Aの第1のサブパターン2aと同一パターンを有するものとする。
図2Dの熱可塑性樹脂層1は、図1Aの熱可塑性樹脂層1に対応する。図2Dの熱可塑性樹脂層1aは、図2Cの熱可塑性樹脂層1aに対応する。図1Aの第1のサブパターン2a及び図2Cの追加サブパターン2cが、互いに平面視で位置同調するように重ね合わせられる結果、図2Dに示すように絵柄層2が形成される。
第2工程において着色原反を使用した場合、第3工程の第2実施形態において、熱可塑性樹脂層1aとして透明樹脂フィルムを使用してもよい。これとは逆に、第2工程において透明樹脂フィルムを使用した場合、第3工程の第2実施形態において、熱可塑性樹脂層1aとして着色原反を使用してもよい。
第3工程における第3の実施形態は、(a)第1又は第2の熱可塑性樹脂層のうち、上述した第2工程において選ばれなかった熱可塑性樹脂層の一面に、1又は2以上のサブパターン用インキから選ばれるサブパターン用インキを用いて、指定絵柄パターンと同一パターンである2以上の追加サブパターンを互いに平面視で位置同調するように形成した後、(b)第1又は第2の熱可塑性樹脂層それぞれのサブパターンが形成された面同士を向かい合わせ、第1の熱可塑性樹脂層のサブパターン上に第2の熱可塑性樹脂層のサブパターンを平面視で位置同調するように重ね合わせることにより、所定の発色濃度を有する指定絵柄パターンを形成する工程である。
つまり、第3の実施形態は、上記(a)において重ね刷りを行い、上記(b)において重ね合わせを行う点で、第1の実施形態(重ね刷り)及び第2の実施形態(重ね合わせ)を組み合わせたものであるといえる。したがって、第3の実施形態の説明は、第1の実施形態及び第2の実施形態の各説明を援用することができる。
図2C中の成形用化粧シート前駆体100cにおいては、熱可塑性樹脂層1aの一方の面に、2以上の追加サブパターンの積層体2cが形成されている。2以上の追加サブパターンの積層体2cは、図1Aの第1のサブパターン2aと同一パターンを有するものとする。そして、図1Aの第1のサブパターン2a及び図2Cの2以上の追加サブパターンの積層体2cが、互いに平面視で位置同調するように重ね合わせられる結果、図2Dに示すように絵柄層2が形成される。
第2工程において着色原反を使用した場合、第3工程の第3実施形態において、熱可塑性樹脂層1aとして透明樹脂フィルムを使用してもよい。これとは逆に、第2工程において透明樹脂フィルムを使用した場合、第3工程の第3実施形態において、熱可塑性樹脂層1aとして着色原反を使用してもよい。
本開示の成形用化粧シートは、上記製造方法により製造されることを特徴とする。
本開示の成形用化粧シートは、第1及び第2の熱可塑性樹脂層、並びに1又は2以上の絵柄パターンにより構成された絵柄層を備え、当該絵柄層が第1及び第2の熱可塑性樹脂層の間に積層されていれば、その他の層構成は特に限定されない。この基本的な層構成を有する成形用化粧シートの第1の典型例(図2A)、第2の典型例(図2B)、第3の典型例(図2D)については、上述した通りである。
図3は、本開示の成形用化粧シートの第4の典型例の断面模式図である。成形用化粧シート100Dにおいては、着色原反1Aの一方の面に絵柄層2及び透明樹脂層1Bがこの順に設けられ、透明樹脂層1Bが面する側にさらにトップコート層3が、着色原反1Aが面する側にさらに裏面プライマー層4が、それぞれ設けられる。ここで、着色原反1A又は透明樹脂層1Bのいずれか一方が上述した第1の熱可塑性樹脂層に該当し、いずれか他方が上述した第2の熱可塑性樹脂層に該当する。また、絵柄層2は、絵柄パターン2A及び絵柄パターン2Bを含む。これら2つの絵柄パターンは、いずれも指定絵柄パターンであってもよいし、これらのいずれか一方が指定絵柄パターンであってもよい。
なお、本開示の成形用化粧シートは、図2A、図2B、図2D及び図3に示す層構成に限定されるものではない。
熱硬化性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリレート系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリシロキサン系樹脂等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリレート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
裏面プライマー層は、通常、本開示の成形用化粧シートを立体成形部材表面に貼り合わせる際、ポリ塩化ビニル系樹脂基材と立体成形部材表面との密着性を向上させるための下地として機能する層である。
裏面プライマー層は、三次元成形の様々な成形法、例えば、真空成形法や、インサート成形法及びサーモジェクト成形法(射出成形同時加飾法)等の各種射出成形法に対応しうる。
裏面プライマー層に用いられる樹脂としては、ポリエステル/ウレタン樹脂混合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系共重合体樹脂(ABS系樹脂)、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等を好ましく挙げることができ、これらのうち1種又は2種以上を組み合せて用いることができる。裏面プライマー層に用いられる樹脂としては、これらの樹脂の内、ポリエステル/ウレタン樹脂混合樹脂、塩化ビニル系樹脂を含むことが特に好ましく、ポリエステル/ウレタン樹脂混合樹脂を含むことが最も好ましい。
裏面プライマー層の平均厚さとしては0.1〜10.0μmが好ましく、0.5〜3.0μmがより好ましい。
裏面プライマー層の形成方法としては、例えば、グラビア印刷法等の公知の方法が使用できる。
引張試験の試験方法の例は以下の通りである。まず、成形用化粧シートを、縦15cm×横5cmのサイズに切り出し、縦方向に間隔が5cmとなるように印をつける。印をつけた5cm間隔の部分が伸ばされるように上記各シートを引張試験器(例えば、ORIENTEC社製、RTC―1250A(商品名)等)に取り付け、70℃条件下で伸長率300%になるよう30mm/minの速度で引張試験を行う。この引張試験は、特に、真空成形条件下における化粧シートの状態を模擬するものである。
剥離試験の試験方法の例は以下の通りである。まず、上記引張試験等により300%伸長させた成形用化粧シートにつき、異なる2層の間(例えば、透明樹脂層と着色原反との間や、熱可塑性樹脂層と絵柄層との間等)で剥離の起点を作製し、引張試験器(例えば、ORIENTEC社製、RTC―1250A(商品名)等)にて剥離速度100mm/minで剥離試験を行うことで密着強度を測定する。
特に、引張試験の後に剥離試験を行うことにより、真空成形条件下における化粧シートの密着性を正確に評価することができる。
以下の基準に基づき密着性評価を行ってもよい。評価Aであれば、対象となる成形用化粧シートが優れた密着性を有すると評価することができる。
A:密着強度が20N以上であるか、又はシートに材料破壊が生じる。
F:密着強度が20N以下である。
まず、比較対象となる成形用化粧シート(例えば、従来技術により作製した成形用化粧シート)について、上記引張試験を行う。次に、意匠性評価対象である上記引張試験後の成形用化粧シートと、引張試験後の比較対象とを目視にて比較する。
以下の基準に基づき意匠性評価を行ってもよい。評価Aであれば、対象となる成形用化粧シートが意匠性に優れると評価することができる。
A:引張試験後の比較対象と比較して遜色ない外見であった。
F:引張試験後の比較対象と比較して見劣りした。
特に、本開示の化粧シートは、少なくとも成形時に当該化粧シートの幅方向に沿って引っ張り応力が付与されるような方法で成形する際の絵柄層の割れ、絵柄層と隣接する層との層間剥離、及び絵柄層の視覚的な歪みを阻止できるという点から、成形方法の典型例として、真空成形、射出成形同時積層、及びラッピング加工等が例示できる。これらの中でも、特に高い引っ張り応力が化粧シートに対し付与されるという点で、真空成形用であることが好ましい。なお、化粧シートを貼りつける物体の表面形状は、平面、凸曲面、凹曲面及び角部分のいずれであってもよい。
[実施例1]
第1のサブパターン及び追加サブパターンの重ね刷りによる効果を評価するため、以下の工程により成形用化粧シートを製造した。
着色原反の一面に、グラビア印刷法により、下記のサブパターン用インキaを用いて、第1のサブパターンとしてパターンa1を1回の印刷で形成した。サブパターン用インキaの着色剤濃度(42.76質量%(固形分濃度))から、パターンa1の発色濃度は、パターンAに必要とされる所定の発色濃度よりも低いと推定される。
なお、実施例1及び参考例1において説明するパターンa1(第1のサブパターン)及びパターンa2(追加サブパターン)は、パターンA(指定絵柄パターン又は絵柄パターン)と同一パターンを有する。実施例1及び参考例2において説明するパターンb1(第1のサブパターン)及びパターンb2(追加サブパターン)は、パターンB(指定絵柄パターン又は絵柄パターン)と同一パターンを有する。
<サブパターン用インキa>
・着色剤:イソインドリノン、キナクリドン及びカーボンブラックの混合着色剤
・樹脂バインダー:塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体/アクリル混合樹脂(昭和インク工業社製、化X(NT)(商品名))
・溶剤:酢酸エチル、メチルイソブチルケトン(MIBK)及びメチルエチルケトン(MEK)の混合溶剤
・着色剤濃度:42.76質量%(固形分濃度)
次に、着色原反のパターンa1を形成した面に、グラビア印刷法により、同じくサブパターン用インキaを用いて、追加サブパターンとしてパターンa2を、上記パターンa1に対し平面視で位置同調するように1回の印刷で形成した。サブパターン用インキaの着色剤濃度(42.76質量%(固形分濃度))から、パターンa2の発色濃度は、パターンAに必要とされる所定の発色濃度よりも低いと推定される。
以上のパターンa1及びパターンa2の重ね刷りにより、所定の発色濃度を有するパターンA(指定絵柄パターン)を形成した。
着色原反のパターンAを形成した面に、グラビア印刷法により、下記のサブパターン用インキbを用いて、第1のサブパターンとしてパターンb1を1回の印刷で形成した。サブパターン用インキbの着色剤濃度(29.93質量%(固形分濃度))から、パターンb1の発色濃度は、パターンBに必要とされる所定の発色濃度よりも低いと推定される。
<サブパターン用インキb>
・着色剤:イソインドリノン、キナクリドン及びカーボンブラックの混合着色剤
・樹脂バインダー:塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体/アクリル混合樹脂(昭和インク工業社製、化X(NT)(商品名))
・溶剤:酢酸エチル、メチルイソブチルケトン(MIBK)及びメチルエチルケトン(MEK)の混合溶剤
・着色剤濃度:29.93質量%(固形分濃度)
次に、着色原反のパターンb1を形成した面に、グラビア印刷法により、同じくサブパターン用インキbを用いて、追加サブパターンとしてパターンb2を、上記パターンb1に対し平面視で位置同調するように1回の印刷で形成した。サブパターン用インキbの着色剤濃度(29.93質量%(固形分濃度))から、パターンb2の発色濃度は、パターンBに必要とされる所定の発色濃度よりも低いと推定される。
以上のパターンb1及びパターンb2の重ね刷りにより、所定の発色濃度を有するパターンB(指定絵柄パターン)を形成した。
着色原反のパターンBを形成した面に、グラビア印刷法により、下記のインキCを用いて、パターンC(絵柄パターン)を1回の印刷で形成することにより、着色原反(第1の熱可塑性樹脂層)と絵柄層との積層体Aが完成した。
<インキC>
・着色剤:キナクリドン及びカーボンブラックの混合着色剤
・樹脂バインダー:塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体/アクリル混合樹脂(昭和インク工業社製、化X(NT)(商品名))
・溶剤:酢酸エチル、メチルイソブチルケトン(MIBK)及びメチルエチルケトン(MEK)の混合溶剤
・着色剤濃度:23.04質量%(固形分濃度)
上記積層体Aの絵柄層側と、透明樹脂層(第2の熱可塑性樹脂層)としての透明PVCフィルム(リケンテクノス社製、CLEAR G−5カイ2(商品名)、平均厚さ:200μm)とを、EM機にてライン速度5m/min、EM版温度80℃、EM圧4.5kgf、シート温度185℃の条件下で貼り合わせることにより、着色原反(第1の熱可塑性樹脂層)、絵柄層及び透明樹脂層(第2の熱可塑性樹脂層)からなる積層体Bを作製した。
次に、上記積層体Bの着色原反側の面上に、グラビア印刷法で、ポリエステル/ウレタン樹脂混合樹脂(DIC−G PUC−3(商品名))を塗工し、裏面プライマー層を形成した。
続いて、上記積層体Bの透明樹脂層側の面上に、グラビア印刷法で、塩ビ変性アクリルポリオール樹脂(昭和インク工業社製、OP No.81(NT)(商品名)」を塗工してトップコート層を形成することにより、実施例1の成形用化粧シートを製造した。
実施例1の「(1)パターンa1の形成」〜「(4)パターンb2の形成」を行う代わりに、以下の2工程を順に実施し、その後、インキCの着色剤濃度を表1に示す値に変えて実施例1の「(5)パターンCの形成」を実施したこと以外は、実施例1と同様に製造工程を実施した。
着色原反の一面に、グラビア印刷法により、下記のインキAを用いて、パターンA(絵柄パターン)を1回の印刷で形成した。
<インキA>
・着色剤、樹脂バインダー、溶剤:実施例1のサブパターン用インキaと同じ
・着色剤濃度:90.03質量%(固形分濃度)
着色原反のパターンAを形成した面に、グラビア印刷法により、下記のインキBを用いて、パターンB(絵柄パターン)を1回の印刷で形成した。
<インキB>
・着色剤、樹脂バインダー、溶剤:実施例1のサブパターン用インキbと同じ
・着色剤濃度:71.28質量%(固形分濃度)
実施例1の「(1)パターンa1の形成」〜「(4)パターンB2の形成」を行う代わりに、以下の2工程を順に実施し、その後実施例1の「(5)パターンCの形成」を実施したこと以外は、実施例1と同様に製造工程を実施した。
まず、実施例1の「(1)パターンa1の形成」に用いたグラビア版と同様のセルを有し、かつ当該グラビア版よりも深さが2倍の版深を有するグラビア版αを予め製版した。次に、実施例1と同様のサブパターン用インキa、及び深さが2倍の版深を有する前記グラビア版αを用いて、着色原反の一面に、グラビア印刷法によりパターンA(絵柄パターン)を1回の印刷で形成した。
まず、実施例1の「(3)パターンb1の形成」に用いたグラビア版と同様のセルを有し、かつ当該グラビア版よりも深さが2倍の版深を有するグラビア版βを予め製版した。次に、実施例1と同様のサブパターン用インキb、及び深さが2倍の版深を有する前記グラビア版βを用いて、着色原反のパターンAを形成した面に、グラビア印刷法によりパターンB(絵柄パターン)を1回の印刷で形成した。
実施例1の「(3)パターンb1の形成」及び「(4)パターンb2の形成」を行う代わりに、比較例1の「(3’)パターンBの形成」を実施し、かつ各工程のインキの着色剤濃度を表1に示す値に変えたこと以外は、実施例1と同様に、参考例1の成形用化粧シートを製造した。
実施例1の「(1)パターンa1の形成」及び「(2)パターンa2の形成」を行う代わりに、比較例1の「(1’)パターンAの形成」を実施し、かつ各工程のインキの着色剤濃度を表1に示す値に変えたこと以外は、実施例1と同様に、参考例2の成形用化粧シートを製造した。
(1)密着強度の測定及び密着性評価
実施例1、比較例1、参考例1及び参考例2の成形用化粧シートを、縦15cm×横5cmのサイズに切り出し、縦方向に間隔が5cmとなるように印をつけた。印をつけた5cm間隔の部分が伸ばされるように上記各シートを引張試験器(ORIENTEC社製、RTC―1250A(商品名))に取り付け、70℃条件下で伸長率300%になるよう30mm/minの速度で引張試験を行った。この引張試験は、真空成形条件下における化粧シートの状態を模擬するものである。
引張試験後、300%伸長させた成形用化粧シートにつき、透明PVCフィルムと着色PVCフィルムとの間で剥離の起点を作製し、再度、引張試験器にて剥離速度100mm/minで剥離試験を行うことで密着強度を測定した。
以下の基準に基づき密着性評価を行った。評価Aであれば、対象となる成形用化粧シートが優れた密着性を有すると評価する。なお、比較例2については、高精細な絵柄層を形成することができず、成形用化粧シートとして十分な機能を発揮できるものではないと判断し、密着強度の測定及び密着性評価を行わなかった。
A:密着強度が20N以上であるか、又はシートに材料破壊が生じる。
F:密着強度が20N以下である。
引張試験後の実施例1、参考例1及び参考例2の各成形用化粧シートと、引張試験後の比較例1の成形用化粧シートとを目視にて比較した。
以下の基準に基づき、引張試験後の実施例1、参考例1及び参考例2の各成形用化粧シートについて、意匠性評価を行った。評価Aであれば、対象となる成形用化粧シートが意匠性に優れると評価する。なお、比較例2については、高精細な絵柄層を形成することができず、成形用化粧シートとして十分な機能を発揮できるものではないと判断し、意匠性評価を行わなかった。
A:引張試験後の比較例1の成形用化粧シートと比較して遜色ない外見であった。
F:引張試験後の比較例1の成形用化粧シートと比較して見劣りした。
なお、パターンCの着色剤濃度が互いに異なる理由は、それまでに塗り重ねた各絵柄パターンの発色濃度によって、パターンCの下地となる色が変わってきたためである。予め色合わせをした結果、表1に記載したように着色剤濃度が各実験例において変わっている。
また、例えば、実施例1のパターンa1及びa2に使用されたサブパターン用インキaの着色剤濃度の和は、比較例1のパターンAに使用されたインキAの着色剤濃度よりも低い。これは、1回の印刷を2回に分けて印刷するといっても、必ずしも実際には、インキ量がその半分ずつとなる訳ではないことを意味する。なぜなら、インキ又はサブパターン用インキの被膜の上に乗る着色剤の量と、熱可塑性樹脂層に乗る着色剤の量との間には差が生じることが避けられず、重ね刷りの回数が多いとその増分又は減分が拡大する場合があるためである(いわゆる、トラッピング現象)。
また、下記表2は、実施例1、比較例1、比較例2、参考例1及び参考例2の成形用化粧シートの評価結果をまとめた表である。なお上述した通り、比較例2については、密着性評価及び意匠性評価を実施しなかった。
上記表1より、比較例1は、互いに異なるパターンA〜Cを、それぞれ1回ずつ印刷して形成した実験結果である。
表2より、比較例1の密着性評価はFである。したがって、高い着色剤濃度のインキA及びBを用いて、各所定の発色濃度を有するパターンA又はBをそれぞれ1回ずつ印刷した比較例1は、密着性に劣る。
これは、着色剤濃度が低くかつ樹脂バインダー濃度が高いサブパターン用インキa及びサブパターン用インキbを用いて、グラビア印刷法において各絵柄パターンの形成のために版深を深く設定した場合、各サブパターン用インキの粘度が適していないため、グラビア版がインキを所望の量ピックアップすることができず、各絵柄パターンの形成が不完全であったためか、又はインキチャージ量が増えたことにより液ダレが生じて意匠感を損なったためであると考えられる。
また、実施例1は、表1に示すように、パターンb1(第1のサブパターン)とパターンb2(追加サブパターン)を重ね刷りすることにより、パターンB(指定絵柄パターン)を形成している。上述したように、パターンb1の発色濃度及びパターンb2の発色濃度は、いずれも、パターンBに必要とされる所定の発色濃度よりも低いと推定される。
表2より、実施例1の密着性評価及び意匠性評価は、いずれもAである。したがって、所定の発色濃度よりも低い発色濃度を有する第1のサブパターン(パターンa1及びパターンb1)を形成した後、さらに追加サブパターン(パターンa2及びパターンb2)を重ね合わせることにより目的とする指定絵柄パターン(パターンA及びパターンB)を形成することによって、従来の成形用化粧シートよりも、絵柄層中の樹脂バインダーにより着色剤を繋ぎ止める効果に優れる結果、発色性に優れ且つ高精細な絵柄を形成できるのみならず、少なくとも成形時において、絵柄層の割れ、及び絵柄層と隣接する層との層間剥離を抑えることができ、優れた密着性及び意匠性を発揮することが実証された。
1A,11A 着色原反
1B,11B 透明樹脂層
2,12 絵柄層
2A,2B 絵柄パターン又は指定絵柄パターン
2a,2b 第1のサブパターン
2c 追加サブパターン、又は2以上の追加サブパターンの積層体
3 トップコート層
4 裏面プライマー層
20 従来の成形用化粧シート
30 立体成形部材
40 減圧を示す矢印
50 加圧を示す矢印
100A,100B,100C,100D 成形用化粧シートの典型例
100a,100b,100c 成形用化粧シート前駆体の典型例
200A 成形途中の従来品
200B 成形後の従来品
300A,300B,300C 割れ又は層間剥離が生じた従来品
Claims (11)
- 第1及び第2の熱可塑性樹脂層、並びに1又は2以上の絵柄パターンにより構成された絵柄層を備え、当該絵柄層が前記第1及び第2の熱可塑性樹脂層の間に積層されている成形用化粧シートの製造方法であって、
少なくとも、
1又は2以上の着色剤、及び樹脂バインダーを含む1又は2以上のサブパターン用インキ、及び第1及び第2の熱可塑性樹脂層を準備する第1工程、
前記第1又は第2の熱可塑性樹脂層から1の熱可塑性樹脂層を選び、選ばれた熱可塑性樹脂層の一面に、前記1又は2以上のサブパターン用インキから選ばれるサブパターン用インキを用いて、前記絵柄層を構成する1又は2以上の絵柄パターンから選ばれる指定絵柄パターンと同一パターンを有し且つ前記指定絵柄パターンに必要とされる所定の発色濃度よりも低い発色濃度を有する第1のサブパターンを形成する第2工程、並びに、
前記第2工程において選ばれた熱可塑性樹脂層の第1のサブパターンを形成した面に、前記1又は2以上のサブパターン用インキから選ばれるサブパターン用インキを用いて、前記指定絵柄パターンと同一パターンである追加サブパターンを前記第1のサブパターンに対し平面視で位置同調するように少なくとも1回形成するか、又は、
前記第1又は第2の熱可塑性樹脂層のうち、前記第2工程において選ばれなかった熱可塑性樹脂層の一面に、前記1又は2以上のサブパターン用インキから選ばれるサブパターン用インキを用いて、前記指定絵柄パターンと同一パターンである1の追加サブパターンを形成するか、若しくは、2以上の追加サブパターンを互いに平面視で位置同調するように形成した後、第1又は第2の熱可塑性樹脂層それぞれのサブパターンが形成された面同士を向かい合わせ、第1の熱可塑性樹脂層のサブパターン上に第2の熱可塑性樹脂層のサブパターンを平面視で位置同調するように重ね合わせることにより、
所定の発色濃度を有する前記指定絵柄パターンを形成する第3工程
を有することを特徴とする成形用化粧シートの製造方法。 - 前記1又は2以上のサブパターン用インキのうち少なくともいずれか1つにおける、固形分全量に対する着色剤濃度は、50質量%以下である、請求項1に記載の成形用化粧シートの製造方法。
- 前記2以上のサブパターン用インキのうち少なくともいずれか2つの着色剤濃度が互いに略等しい、請求項1又は2に記載の成形用化粧シートの製造方法。
- 前記2以上のサブパターン用インキのうち少なくともいずれか2つのサブパターン用インキに含まれる着色剤の種類は、同一種類である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の成形用化粧シートの製造方法。
- 前記絵柄層の形成に用いられる全てのインキにおける、固形分全量に対する着色剤濃度がいずれも50質量%以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の成形用化粧シートの製造方法。
- 前記第1及び第2の熱可塑性樹脂層のうち少なくともいずれか一方は、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系共重合体樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つの樹脂を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の成形用化粧シートの製造方法。
- 前記第1及び第2の熱可塑性樹脂層のうちの一方が着色剤を含み、他方が透明樹脂を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の成形用化粧シートの製造方法。
- グラビア印刷法を用いる、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の成形用化粧シートの製造方法。
- 前記請求項1乃至8のいずれか一項に記載の製造方法により製造されることを特徴とする、成形用化粧シート。
- 立体表面の装飾に用いられる、請求項9に記載の成形用化粧シート。
- 真空成形に用いられる、請求項9又は10に記載の成形用化粧シート。
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