JP6984246B2 - 触媒構造体の製造方法、及び、水素の製造方法 - Google Patents
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Description
アルミニウム酸化物、セリウム酸化物、マグネシウム酸化物、ケイ素酸化物、及び、ジルコニウム酸化物からなる群から選ばれる1種の担体に、ルテニウムを担持させることでルテニウム担持触媒を作製する触媒担持工程と、
前記前処理工程を施した構造体表面に、前記触媒担持工程で作製されたルテニウム担持触媒を被覆し、その後、乾燥、焼成して、外表面層を形成する外表面層形成工程と、を有し、
前記前処理工程では、
有機溶剤を用いて前記金属基材構造体の表面を脱脂した後に乾燥する工程と、前記金属基材構造体をアルカリ性水溶液に浸漬した後に乾燥する工程と、前記金属基材構造体を酸性水溶液に浸漬した後に乾燥する工程とを行うことにより、前記金属基材構造体の表面を処理することを特徴とする、アンモニアから水素を製造するための触媒構造体の製造方法。
前記前処理工程を施した構造体表面に、アルミニウム酸化物を含む下地層を形成する下地層形成工程と、
アルミニウム酸化物、セリウム酸化物、マグネシウム酸化物、ケイ素酸化物、ジルコニウム酸化物からなる群から選ばれる1種の担体に、ルテニウムを担持させることでルテニウム担持触媒を作製する触媒担持工程と、
前記下地層形成工程で形成された下地層に、前記触媒担持工程で作製されたルテニウム担持触媒を被覆し、その後、乾燥、焼成して、外表面層を形成する外表面層形成工程と、を有し、
前記前処理工程では、
有機溶剤を用いて前記金属基材構造体の表面を脱脂した後に乾燥する工程と、前記金属基材構造体をアルカリ性水溶液に浸漬した後に乾燥する工程と、前記金属基材構造体を酸性水溶液に浸漬した後に乾燥する工程とを行うことにより、前記金属基材構造体の表面を処理することを特徴とするアンモニアから水素を製造するための触媒構造体の製造方法。
アルミニウム酸化物、セリウム酸化物、マグネシウム酸化物、ケイ素酸化物、及び、ジルコニウム酸化物からなる群から選ばれる1種の担体にルテニウムを担持させることでルテニウム担持触媒を作製する触媒担持工程と、
前記前処理工程を施した金属基材の表面に、前記触媒担持工程で作製されたルテニウム担持触媒を被覆し、その後、乾燥、焼成して、外表面層を形成する外表面層形成工程と、を有し、
前記前処理工程の後かつ前記外表面層形成工程の前、または前記外表面層形成工程の後のタイミングで、前記金属基材をアンモニアガスの流通経路を有する金属基材構造体とする工程を行い、
前記前処理工程では、
有機溶剤を用いて前記金属基材の表面を脱脂した後に乾燥する工程と、前記金属基材をアルカリ性水溶液に浸漬した後に乾燥する工程と、前記金属基材を酸性水溶液に浸漬した後に乾燥する工程とを行うことにより、前記金属基材の表面を処理することを特徴とする、アンモニアから水素を製造するための触媒構造体の製造方法。
前記前処理工程を施した金属基材の表面にアルミニウム酸化物を含む下地層を形成する下地層形成工程と、
アルミニウム酸化物、セリウム酸化物、マグネシウム酸化物、ケイ素酸化物、ジルコニウム酸化物からなる群から選ばれる1種の担体にルテニウムを担持させることでルテニウム担持触媒を作製する触媒担持工程と、
前記下地層形成工程で形成された下地層に、前記触媒担持工程で作製されたルテニウム担持触媒を被覆し、その後、乾燥、焼成して、外表面層を形成する外表面層形成工程と、を有し、
前記前処理工程の後かつ前記下地層形成工程の前、前記下地層形成工程の後かつ前記外表面層形成工程の前、または前記外表面層形成工程の後のタイミングで、前記金属基材をアンモニアガスの流通経路を有する金属基材構造体とする工程を行い、
前記前処理工程では、
有機溶剤を用いて前記金属基材の表面を脱脂した後に乾燥する工程と、前記金属基材をアルカリ性水溶液に浸漬した後に乾燥する工程と、前記金属基材を酸性水溶液に浸漬した後に乾燥する工程とを行うことにより、前記金属基材の表面を処理することを特徴とする、アンモニアから水素を製造するための触媒構造体の製造方法。
金属基材構造体は、金属基材から構成される。金属基材の材質としては、アルミニウム及びステンレスが好適であり、ステンレスであればマルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系、オーステナイト・フェライトの二相系、及び析出強化鋼などが好適である。下地層および外表面層の被覆のしやすさという観点からは、アルミニウムを含有した鋼種がより好ましい。さらに、金属基材構造体は、アンモニアガスの流通経路を有するように形成される。金属基材構造体に形成される流通経路は、アンモニアが流通する方向に垂直な平面に亘って規則的な形状を有する貫通流路を含むことが好ましい。例えば、これらの貫通流路によってハニカム形状が形成されることが望ましいが、他の貫通孔の形状であっても構わない。また、基材としての金属基材は、伝熱性や基材の形状を付与する以外、反応に直接寄与しない。このため、触媒構造体の単位体積当たりに占める体積割合が小さい方がよく、金属基材の厚み(具体的には、貫通流路に垂直な方向の厚み)は好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下とすることが望ましい。下限値は特に制限されないが、形状を保つことができる程度の強度を有する厚みとすることが好ましい。また、高表面積化の観点から、セル(ここでは貫通流路)密度も高い方がよいが、例えば、セルに垂直な平面において100セル/インチ2(15.5セル/センチ2)以上、より好ましくは200セル/インチ2(31セル/センチ2)以上とすることが望ましい。上限値は特に制限されないが、例えば900セル/インチ2であってもよい。
金属基材上に形成する外表面層(すなわち、触媒層)、又は、下地層と外表面層の密着強度を高めるにあたっては、金属基材の表面を予め活性化することがさらに好ましい。金属基材は比較的平滑であるため、そのままでは、金属基材表面と下地層との界面の密着性が十分でない場合がある。そこで、以下の前処理工程を行うことが好ましい。具体的には、まず、金属基材表面の油分を除去するためにアルコールやアセトン等の揮発性のある有機溶剤で洗浄、乾燥する。その後、金属基材をアルカリ性水溶液へ浸漬して水洗、乾燥する。その後、金属基材を酸性水溶液へ浸漬して水洗、乾燥する。以上の前処理工程により、金属基材表面の金属結晶粒界の一部が溶解するので、金属基材の表面に凹凸が形成される。なお、前処理工程は省略されても良い。
外表面層に用いるルテニウム担持触媒(すなわち、アルミニウム酸化物、セリウム酸化物、マグネシウム酸化物、ケイ素酸化物、ジルコニウム酸化物から選ばれる1種の担体にルテニウムが担持されたもの)は、以下のようにして製造される。すなわち、ルテニウム担持触媒は、アルミニウム酸化物、セリウム酸化物、マグネシウム酸化物、ケイ素酸化物、ジルコニウム酸化物から選ばれる1種の担体上にルテニウム粒子が均一に高度に分散していることが好ましい。ルテニウム担持触媒は、例えば、多孔質な担体粒子に対してルテニウム化合物を含んだ溶液を接触させた後、乾燥、焼成することで作製される。詳細は後述する。ここで、担体粒子が多孔質となる場合、ルテニウム粒子は、担体粒子内部に存在し、且つ、外表面と繋がる開気孔の壁面にも担持されうる。ここで、担体の特性は、多孔質であれば特に制限するものではないが、例えば、比表面積は、ある程度大きい方が触媒担持量を増やせることから好ましい。ただし、比表面積が大きすぎると担体自体がもろくなる。具体的には、比表面積が10m2/g未満である場合、担体上に担持されるルテニウム粒子が凝集して粗大化し、十分な触媒活性を得ることが困難となる可能性がある。一方、比表面積が600m2/gを超える場合、担体自身が脆く強度が不十分になるのに加え、製造が複雑なために不経済となってしまう。そのため、比表面積は、10〜600m2/gが好ましく、より好ましくは20〜550m2/gである。また、担体の平均粒子径は金属基材自体の表面形状、反応器の形状、及び反応条件等によって適宜選択すればよく、特に制限するものではない。ただし、平均粒子径は、例えば、好ましくは0.1μm〜10mm、より好ましくは1μm〜5mmである。平均粒子径が0.1μm未満である場合、表面に担持されるルテニウムが不均質になりやすくなるか、あるいは、担持工程で担体同士が合体して粗大化しやすくなる可能性がある。一方、平均粒子径が10mmを超える場合、ルテニウムを微細に分散することが困難で十分な活性を得ることが困難となる可能性がある。ここで担体の平均粒子径は、下地層のアルミニウム酸化物粒子の場合と同様に測定することができる。また、比表面積は、窒素を用いたBET法で評価することができる。
外表面層形成工程では、金属基材上にルテニウム担持触媒を含む外表面層を形成する。外表面層形成工程は、金属基材上に外表面層を均一な厚さで形成することができる方法であれば特に制限されない。外表面層形成工程は、例えば、アルコールなどの揮発性の高い室温で液体の溶媒中にルテニウム担持触媒粒子を分散させた溶液槽を作成した後、表面を清浄化した金属基材、または、清浄化したのち下地層で被覆した金属基材を浸漬、引き上げることで、金属基材の表面にルテニウム担持触媒粒子を付着させることができる。また、バインダー成分を適宜添加することもでき、有機バインダーや無機バインダーを好適に用いることができる。ここで、付着量が所定の割合に達していない場合、本操作を繰り返すことで付着量、すなわち、外表面層の厚さを調製することができる。また、ウォッシュコート法により触媒粒子を含有した溶液を金属基材上に塗布した後、余分な溶液をエアブローにより吹き飛ばすことで、ルテニウム担持触媒粒子の付着量を調整することもできる。ここで、当該金属基材に被覆するルテニウム担持触媒の量、すなわち被覆量は、好ましくは金属基材1Lあたり1〜500g(以下、g/Lと記載する)、より好ましくは10〜400g/Lである。被覆量が1g/L未満であれば触媒成分が少なくセルの内壁に触媒成分が十分被覆されないことがある。また、被覆量が500g/Lを超える場合にはセルが触媒成分により満たされて、ガスの流路を塞ぐ可能性がある。尚、外表面層は、金属基材の表面に一様に被覆されているのが望ましいが、想定される反応条件で求められる触媒活性を発揮できるのであれば必ずしも一様に被覆されてなくても良く、例えば、外表面層が金属基材の一部のみに被覆されていても良い。
アルミニウム酸化物を含む下地層は、後述する外表面層と金属基材との密着性を高めるために金属基材上に形成される。すなわち、金属基材の表面は比較的平滑で凹凸に乏しいために、ルテニウム担持触媒(すなわち、アルミニウム酸化物、セリウム酸化物、マグネシウム酸化物、ケイ素酸化物、ジルコニウム酸化物から選ばれる1種の担体にルテニウムが担持されたもの)粉末を金属基材の表面に直接被覆した場合、金属基材との接触点が少なく、密着強度が不足して触媒層の剥離が起こり易かった。そこで、本実施形態においては、触媒粉末の粒径より小さく、触媒活性に悪影響を及ぼさない粒子で金属基材の表面を被覆することで、触媒粒子と金属基材との間に中間層(下地層)を形成する。これにより、触媒粒子そのものが有する活性は維持したまま触媒層全体の密着強度を改善することができる。
また、金属基材表面へアルミニウム酸化物を含む下地層を形成する方法としては、アルミニウム酸化物を含むゾル溶液を用いる方法が好適である。この方法では、まず、ゾルゲル法を用いてアルミニウム酸化物を含むゾル溶液を作製する。具体的には、アルミニウムアルコキシド(例えば、アルミニウムイソプロポキシド等)を酸性条件下で加水分解及び重縮合反応を行わせることによって、アルミニウムアルコキシドからアルコールを脱離する。これにより、均質且つ微細なアルミニウム水酸化物粒子が分散したゲル溶液を作製する。ゲル溶液は、所望の温度下で所望の時間エージングされる。ここで、酸性条件は、中性条件(pHが7〜8)よりpHが低ければ特に制限するものではなく、例えば、pHとして6以下が好ましい。また、加水分解温度、エージング時の温度および時間を調整することで、アルミニウム酸化物の平均粒子径及び粒子径分布を調整することができる。ゾル溶液は、具体的には、アルミニウム酸化物を主成分として含む。ここで、主成分とは、アルミニウム酸化物をゾル溶液の総質量に対して50質量%以上含むことを意味する。ゾル溶液中のアルミニウム酸化物の割合は多い方が好ましいが、ゾル溶液製造時に混入するアルミニウム酸化物等を含んでいても構わない。
次に、本実施形態に係るアンモニアからの水素の製造方法について説明する。本実施形態に係る水素の製造方法では、上述した本実施形態に係るアンモニアから水素を製造するための触媒を用いて、反応器内でアンモニアガスから水素を製造する。水素の製造は、アンモニアを含む原料ガスと本実施形態に係る触媒とを接触させることにより行うことができる。
[金属基材構造体の作成]
金属基材としてステンレス(鋼種:YUS205M1、概略成分:20Cr−5Al、アルミニウム約5質量%含有品)の100μm厚みの薄板を用いた。概略成分における数字は、鋼中に含まれる各金属元素の質量%を示す。まず、図1に示したようなサイズに薄板を切り出し、18等分の間隔で、山折、山折、谷折の順で繰り返し曲げていき、図1右に示したような形状にした。これにより、金属基材構造体を作製した。以下、本構造体を金属基材構造体Aと記す。また、他の金属基材構造体として、直径19mmφ、長さ50mm、100〜900セル/インチ2の円筒形メタルハニカム(鋼種:YUS205M1、板厚:30または50μm、フィン(波箔)形状:サイン波)を準備した。以下、本構造体を金属基材構造体Bと記す。金属基材構造体Bは後述する他の一部の実施例で使用される。
次に、上記金属基材構造体Aを室温でアセトンに浸漬、引き上げ、乾燥することで、金属基材構造体の表面を脱脂した。その後、NaOH(和光純薬工業、198−13765)の1.5gを純水37.5mLに溶解したアルカリ溶液を約80℃にした中へ金属基材構造体を浸漬し、1時間保持した。その後、金属基材構造体を500mLの蒸留水に浸して2.5分間超音波を照射して洗浄する操作を2回繰り返した。その後、金属基材構造体を、塩酸(和光純薬工業、080−01061)12.5mLを純水で2倍に希釈した酸性溶液を室温で保持した中へ浸漬し、15分間保持した。その後、金属基材構造体を500mLの蒸留水に浸して約2時間程度超音波を照射して洗浄した。尚、後述する他の一部の実施例では、金属基材構造体Aの代わりに金属基材構造体Bを用いた。金属基材構造体Bを用いる場合には、外筒をパラフィルムで予め被覆した後に処理を行った。
次に、アルミニウム酸化物の下地層を形成するためのゾル溶液(アルミニウムゾル)を調製した。具体的には、アルミニウムトリイソプロポキシド(ナカライテスク、01842−05)3.0gをビーカーに入れ、そこへ恒温槽で55℃に保温した蒸留水20mLを加え、アルミニウムトリイソプロポキシドが完全に溶けるまで撹拌棒で撹拌した。その後、硝酸(和光純薬工業、141−01361)1.5mLを加えて撹拌した後、ホルムアルデヒド(和光純薬工業、664−00406)1mLを加えてさらにかき混ぜた。その後ゾルを安定させるため、27℃に保持したインキュベーター内で48時間エージングした。以上の工程により、ゾル溶液を作製した。
次に、前処理を施した金属基材構造体を、上記で作製したゾル溶液に浸漬、引き上げを数回繰り返して、ゾル溶液を塗布した。その後、金属基材構造体上にゾル溶液が均一に塗布されるように、金属基材構造体を180rpmで5秒ほど回転させた後、100℃で30分間保持して乾燥した。その後、金属基材構造体を引き続き500℃で1時間保持することで、金属基材構造体上して焼成した。その後、800℃で1時間保持して最終焼成することにより、基材上に約240mgのアルミナ層を形成させた。このようにして作成されたアルミナ粒子の平均粒子径は、X線回折測定から求めた結果、約0.003μmであった。
アルミナ粉末(JRC−ALO−8、比表面積148m2/g、平均粒子径2.2μm)(なお、後述する他の一部の実施例では、アルミナ粉末の代わりに、酸化マグネシウム粉末(JRC−MGO−3、比表面積36m2/g、平均粒子径8.0μm)、酸化セリウム粉末(JRC−CEO−2、比表面積173m2/g、平均粒子径4.5μm)、酸化ケイ素粉末(JRC−SIO−4、比表面積347m2/g、平均粒子径3μm)、または酸化ジルコニウム粉末(JRC−ZRO−3、比表面積98m2/g、平均粒子径3.4μm)を使用した)を蒸留水中に分散させた後、アスピレーターを用いて脱気しつつ、室温で12時間撹拌した。その後、塩化ルテニウム(III)n水和物(和光純薬工業、186−02633)(なお、後述する他の一部の実施例では、塩化ルテニウムの代わりに硝酸ルテニウム(III)溶液(田中貴金属)を使用した)をルテニウム換算で担体粉末に対して3質量%となるように秤量、添加し、さらに室温条件下で2時間撹拌した。なお、後述する他の一部の実施例では、上記酸化物担体にさらに助触媒を担持させた。上記酸化物担体に助触媒を担持させる場合には、上記硝酸ルテニウム(III)溶液と共に硝酸カリウム、硝酸セシウム、硝酸マグネシウムのうちいずれかの水溶液を所定量混合して、各担体と混合、攪拌した。得られたスラリー状の懸濁液を80℃で蒸発乾固し、120℃で2時間乾燥した。その後、500℃で5時間焼成してルテニウム担持触媒の粉末を調製した。
ポリエチレン製の容器に2−プロパノール(和光純薬工業、166−04831)40mlを入れ、そこに上記触媒粉末1.0gを加えて分散させた。尚、触媒粉末は予め、メノウ乳鉢ですり潰して粒径を揃えた。
下地層を被覆した金属基材構造体を、前記触媒スラリー溶液に浸漬、引き上げを行って、下地層上に触媒を塗布した。その後、金属基材構造体を100℃で30分間保持して乾燥することにより、金属基材構造体の下地層上に外表面層を形成した。尚、金属基材構造体Bを用いる場合には、一連の処理が終了した後、外筒に被覆したパラフィルムを除去してから、後述の触媒活性評価に供した。
上述した工程により、ルテニウム担持触媒を下地層に100mg担持させた触媒構造体を得た。この触媒構造体9.4cm3を内径21.5mmφの石英製反応管の中央に石英ウールで固定し、さらに触媒層中央位置に熱電対を挿入した。ついで、これら固定床反応管を所定の位置にセットした。
金属基材構造体Aの代わりに金属基材構造体B(板厚50μm、セル密度400セル/インチ2)を使用したこと、ルテニウム化合物として塩化ルテニウムの代わりに硝酸ルテニウム溶液を用いて外表面層を形成した他は、実施例1と同様の処理を行うことで、触媒構造体を作成した。こうして得られた触媒構造体を用いて触媒活性を評価する際、反応温度を425℃にするほかは、すべて実施例1のRUN No.2と同様にして評価した。その結果、アンモニア転化率は73.7%となり、実施例1より高いアンモニア分解活性が得られた。また、本化合物を出発にして調製した触媒粉末の場合にも、金属基材との密着性は高いままであり、1000時間反応後でも問題なかった。尚、水素、窒素選択率は100%であった。
反応温度を300〜800℃とするほかは、すべて実施例1のRUN No.2と同様にして評価した。
空間速度を2,000〜200,000h−1とするほかは、すべて実施例1と同様にして評価した。
表4に示すような金属箔厚み及びセル密度となるように成形した金属基材構造体Bを用いる他は、すべて実施例1のRUN No.2と同様にして評価した。
金属基材構造体Bとして表4のRUN No.24を用い、触媒粒子の目付量を50、100、200、400g/Lとする他は、すべて実施例1のRUN No.2と同様にして評価した。
金属基材として、表6に示す鋼種を用いて表4のRUN No.21の構造体を作成して用いる他は、全て実施例1のRUN No.2と同様にして評価した。尚、表中の概略成分における数字は、鋼中に含まれる各金属元素の質量%を示す。
表7に示すような金属箔厚み及びセル密度となるように成形した円筒形ハニカムである金属基材構造体Bを用いた他は、実施例2と同様の工程を行うことで、触媒構造体を調製した。この触媒構造体の触媒活性を、反応温度を425℃とする他は、すべて実施例1のRUN No.2と同様にして評価した。
ルテニウム化合物として、ドデカカルボニル三ルテニウム(和光純薬工業、043−24051)をテトラヒドロフランに溶解させた溶液を用いる他は、すべて実施例1のRUN No.2と同様にして評価した。その結果、アンモニア転化率は72.0%となり、実施例1とほぼ同様の高いアンモニア分解活性が得られた。また、本化合物を出発にして調製した触媒粉末の場合にも、金属基材との密着性は高いままであり、1000時間反応後でも問題なかった。尚、水素、窒素選択率は100%であった。
ゾル溶液を用いて被覆したアルミナ粉末の平均粒子径を表8のように調整した他は、すべて実施例1と同様にして触媒構造体を作成し、RUN No.2と同様にして評価した。
ルテニウムを担持する担体のアルミナ粉末として表9の比表面積、平均粒子径のものを用いる他は、すべて実施例1と同様にして触媒構造体を作成し、RUN No.2と同様にして評価した。
前処理工程を行わない他はすべて実施例1と同様にして触媒構造体を作成し、触媒構造体の触媒活性をRUN No.2と同様にして評価した。その結果、アンモニア転化率は70.3%となり、実施例1に比べてやや低いアンモニア分解活性となった。また、1000時間反応した後、触媒層は若干剥離した部分が観察されたが、概ね密着性も問題ないことがわかった。ただ、この一部の剥離が触媒活性低下の原因と推察された。ただし、実用上問題なく、少なくとも後述する比較例よりも良好な結果が得られた。尚、水素、窒素選択率は100%であった。
ルテニウムを担持する担体粉末として酸化セリウムを用い、ルテニウム担持量を表11に示す割合で担持してルテニウム担持触媒を調製する他は、すべて実施例1と同様にして触媒構造体を作成し、触媒構造体の触媒活性を反応温度を400℃とする他はRUN No.2と同様にして評価した。
ルテニウムを10質量%、カリウム5質量%を酸化セリウム粉末に担持させることでルテニウム担持触媒を作製した後、このルテニウム担持触媒を400セル/インチ2のセル密度、板厚50μmを有した金属基材構造体Bの表面に触媒質量が300mgとなるように塗布して触媒構造体を作成する他は、すべて実施例1と同様にして触媒構造体を作成した。また、触媒構造体の触媒活性を、反応温度を200〜500℃とする他は、すべて実施例1のRUN No.2と同様にして評価した。
ルテニウムを10質量%、セシウム5質量%を酸化セリウム粉末に担持させることでルテニウム担持触媒を作製した後、このルテニウム担持触媒を400セル/インチ2のセル密度、板厚50μmを有した金属基材構造体Bの表面に触媒質量が300mgとなるように塗布して構造体を作成する他は、すべて実施例1と同様にして触媒構造体を作成。また、触媒構造体の触媒活性を、反応温度を200〜500℃とする他は、すべて実施例1のRUN No.2と同様にして評価した。
ルテニウムを10質量%、ナトリウム5質量%を酸化セリウム粉末に担持させることでルテニウム担持触媒を作製した後、このルテニウム担持触媒を、400セル/インチ2のセル密度、板厚50μmを有した金属基材構造体Bの表面に触媒質量が300mgとなるように塗布して構造体を作成する他は、すべて実施例1と同様にして触媒構造体を作成。また、触媒構造体の触媒活性を、反応温度を200〜500℃とする他は、すべて実施例1のRUN No.2と同様にして評価した。
ルテニウムを担持する担体粉末として酸化セリウムを用い、ルテニウム担持量を3質量%として、助触媒にカリウムを表15に示す割合で担持してルテニウム担持触媒を調製する他は、すべて実施例1と同様にして触媒構造体を作成した。この触媒構造体の触媒活性を、反応温度を400℃とする他はRUN No.2と同様にして評価した。
下地層を形成しなかった他はすべて実施例1と同様の処理を行うことで触媒構造体(触媒担体:アルミナ)を作成した。この触媒構造体の触媒活性を、RUN No.2と同様にして評価した。その結果、アンモニア転化率は70.0%となり、実施例1に比べてやや低いアンモニア分解活性となった。また、1000時間反応した後、アンモニア転化率は56.5%まで低下が見られた。反応終了後触媒構造体を解体したところ、触媒層が若干剥離した部分が観察され、この一部の剥離が触媒活性低下の原因と推察された。ただし、実用上問題なく、少なくとも後述する比較例よりも良好な結果が得られた。尚、水素、窒素選択率は100%であった。
下地層を形成しなかった他はすべて実施例1、13と同様にして触媒構造体(触媒担体:酸化セリウム)を作成した。この触媒構造体の触媒活性を、RUN No.2と同様にして評価した。その結果、アンモニア転化率は90.7%となり、実施例13のRUN No.53と同等の高いアンモニア分解活性となった。また、1000時間反応した後、アンモニア転化率は82.3%と高い性能を維持していた。反応終了後触媒構造体を解体したところ、触媒層はごく一部剥離した部分は観察されたが、概ね密着性も問題ないことがわかった。尚、水素、窒素選択率は100%であった。
下地層を形成しなかった他はすべて実施例1、13と同様にして触媒構造体(触媒担体:酸化マグネシウム)を作成した。この触媒構造体の触媒活性を、RUN No.2と同様にして評価した。その結果、アンモニア転化率は74.1%となり、実施例13のRUN No.54と同等の高いアンモニア分解活性となった。また、1000時間反応した後、アンモニア転化率は66.7%と高い性能を維持していた。反応終了後触媒構造体を解体したところ、触媒層はごく一部剥離した部分は観察されたが、概ね密着性も問題ないことがわかった。尚、水素、窒素選択率は100%であった。
下地層を形成しなかった他はすべて実施例1、13と同様にして触媒構造体(触媒担体:酸化ケイ素)を作成した。この触媒構造体の触媒活性を、RUN No.2と同様にして評価した。その結果、アンモニア転化率は69.8%となり、実施例13のRUN No.55と同等の高いアンモニア分解活性となった。また、1000時間反応した後、アンモニア転化率は58.3%と高い性能を維持していた。反応終了後触媒構造体を解体したところ、触媒層はごく一部剥離した部分は観察されたが、概ね密着性も問題ないことがわかった。尚、水素、窒素選択率は100%であった。
下地層を形成しなかった他はすべて実施例1、13と同様にして触媒構造体(触媒担体:酸化ジルコニウム)を作成した。この触媒構造体の触媒活性を、RUN No.2と同様にして評価した。その結果、アンモニア転化率は66.6%となり、実施例13のRUN No.56と同等の高いアンモニア分解活性となった。また、1000時間反応した後、アンモニア転化率は60.0%と高い性能を維持していた。反応終了後触媒構造体を解体したところ、触媒層はごく一部剥離した部分は観察されたが、概ね密着性も問題ないことがわかった。尚、水素、窒素選択率は100%であった。
ルテニウム担持量を10質量%、カリウム担持量を5質量%として酸化セリウムに担持してルテニウム担持触媒を作成し、金属基材として板厚50μm、400セル/インチ2の金属基材構造体Bを使用し、触媒担持量を300mgとした他は、すべて実施例1と同様にして、触媒構造体を作成した。触媒構造体の触媒活性を、反応温度を400℃、原料ガス流量を空間速度が表14に示す条件となるように流すほかは、すべて実施例1と同様にして評価した。
触媒構造体の代わりに、調製したルテニウム担持アルミニウム酸化物触媒を粒径が250〜500μmとなるように粉砕、分級した粒子を100mg用いて反応器に充填した他は、すべて実施例1と同様にして評価した。
Claims (5)
- アンモニアガスの流通経路を有する金属基材構造体の表面を清浄化する前処理工程と、
アルミニウム酸化物、セリウム酸化物、マグネシウム酸化物、ケイ素酸化物、及び、ジルコニウム酸化物からなる群から選ばれる1種の担体に、ルテニウムを担持させることでルテニウム担持触媒を作製する触媒担持工程と、
前記前処理工程を施した構造体表面に、前記触媒担持工程で作製されたルテニウム担持触媒を被覆し、その後、乾燥、焼成して、外表面層を形成する外表面層形成工程と、を有し、
前記前処理工程では、
有機溶剤を用いて前記金属基材構造体の表面を脱脂した後に乾燥する工程と、前記金属基材構造体をアルカリ性水溶液に浸漬した後に乾燥する工程と、前記金属基材構造体を酸性水溶液に浸漬した後に乾燥する工程とを行うことにより、前記金属基材構造体の表面を処理することを特徴とする、アンモニアから水素を製造するための触媒構造体の製造方法。 - アンモニアガスの流通経路を有する金属基材構造体の表面を清浄化する前処理工程と、
前記前処理工程を施した構造体表面に、アルミニウム酸化物を含む下地層を形成する下地層形成工程と、
アルミニウム酸化物、セリウム酸化物、マグネシウム酸化物、ケイ素酸化物、及び、ジルコニウム酸化物からなる群から選ばれる1種の担体に、ルテニウムを担持させることでルテニウム担持触媒を作製する触媒担持工程と、
前記下地層形成工程で形成された下地層に、前記触媒担持工程で作製されたルテニウム担持触媒を被覆し、その後、乾燥、焼成して、外表面層を形成する外表面層形成工程と、を有し、
前記前処理工程では、
有機溶剤を用いて前記金属基材構造体の表面を脱脂した後に乾燥する工程と、前記金属基材構造体をアルカリ性水溶液に浸漬した後に乾燥する工程と、前記金属基材構造体を酸性水溶液に浸漬した後に乾燥する工程とを行うことにより、前記金属基材構造体の表面を処理することを特徴とする、アンモニアから水素を製造するための触媒構造体の製造方法。 - 金属基材の表面を清浄化する前処理工程と、
アルミニウム酸化物、セリウム酸化物、マグネシウム酸化物、ケイ素酸化物、及び、ジルコニウム酸化物からなる群から選ばれる1種の担体にルテニウムを担持させることでルテニウム担持触媒を作製する触媒担持工程と、
前記前処理工程を施した金属基材の表面に、前記触媒担持工程で作製されたルテニウム担持触媒を被覆し、その後、乾燥、焼成して、外表面層を形成する外表面層形成工程と、を有し、
前記前処理工程の後かつ前記外表面層形成工程の前、または前記外表面層形成工程の後のタイミングで、前記金属基材をアンモニアガスの流通経路を有する金属基材構造体とする工程を行い、
前記前処理工程では、
有機溶剤を用いて前記金属基材の表面を脱脂した後に乾燥する工程と、前記金属基材をアルカリ性水溶液に浸漬した後に乾燥する工程と、前記金属基材を酸性水溶液に浸漬した後に乾燥する工程とを行うことにより、前記金属基材の表面を処理することを特徴とする、アンモニアから水素を製造するための触媒構造体の製造方法。 - 金属基材の表面を清浄化する前処理工程と、
前記前処理工程を施した金属基材の表面にアルミニウム酸化物を含む下地層を形成する下地層形成工程と、
アルミニウム酸化物、セリウム酸化物、マグネシウム酸化物、ケイ素酸化物、及び、ジルコニウム酸化物からなる群から選ばれる1種の担体にルテニウムを担持させることでルテニウム担持触媒を作製する触媒担持工程と、
前記下地層形成工程で形成された下地層に、前記触媒担持工程で作製されたルテニウム担持触媒を被覆し、その後、乾燥、焼成して、外表面層を形成する外表面層形成工程と、を有し、
前記前処理工程の後かつ前記下地層形成工程の前、前記下地層形成工程の後かつ前記外表面層形成工程の前、または前記外表面層形成工程の後のタイミングで、前記金属基材をアンモニアガスの流通経路を有する金属基材構造体とする工程を行い、
前記前処理工程では、
有機溶剤を用いて前記金属基材の表面を脱脂した後に乾燥する工程と、前記金属基材をアルカリ性水溶液に浸漬した後に乾燥する工程と、前記金属基材を酸性水溶液に浸漬した後に乾燥する工程とを行うことにより、前記金属基材の表面を処理することを特徴とする、アンモニアから水素を製造するための触媒構造体の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法で製造された触媒構造体を用いた、アンモニアから水素を製造する方法であって、アンモニアを含むガスを、前記アンモニアガスの流通経路に流通させて、前記ガス中のアンモニアを前記ルテニウム担持触媒に接触させて、前記アンモニアを分解し、水素を製造することを特徴とする水素の製造方法。
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