JP6984153B2 - 起泡性水中油型乳化物 - Google Patents

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Description

本発明は、大豆抽出物を含有する、起泡性水中油型乳化物に関するものである。
起泡性水中油型乳化物はホイップクリームとも称され、多くの菓子に使用される等、万人に好まれる食品である。起泡性水中油型乳化物は、乳原料を使用した起泡性水中油型乳化物が代表的であるが、市場では、大豆抽出物の一例である豆乳などの植物性原料を使用した起泡性水中油型乳化物が市販されている。
また、起泡性水中油型乳化物の流通形態としては、ホイップ前の状態で流通する起泡性水中油型乳化物だけでなく、ホイップ後の状態、すなわち起泡済みの状態で流通する起泡性水中油型乳化物が市販されている。
豆乳をはじめとする大豆抽出物は、昨今の大豆に対する健康イメージから、各種の製品に乳の代わりに用いられる場合がある。
原材料に大豆抽出物を含有する起泡性水中油型乳化物に関連する出願としては、例えば特許文献1が存在する。特許文献1では、「豆乳ホイップクリーム」に関して記載されている。
また、起泡済みの状態で流通する起泡性水中油型乳化物に関連する出願としては、例えば特許文献2及び3が存在する。特許文献2には、「ホイップ済みクリーム類の製造法に関し、特に冷蔵温度域において流通ないし長期保存が可能なホイップ済みクリーム類の製造法」に関して記載されており、特許文献3には「製菓、製パン分野にてホイップ後にフィリングとして用いられ、常温にて流通、保管される低油分の起泡性水中油型乳化油脂組成物」に関して記載されている。
特開昭60−153757号公報 特開平3−83539号公報 特開2011−177056号公報
本発明は、風味劣化を抑制することができる、大豆抽出物を含有する、起泡性水中油型乳化物を提供することを課題とする。
大豆抽出物を含有する起泡性水中油型乳化物では、起泡された状態(ホイップ後)において、風味の劣化が生じやすい。
本発明者は、大豆抽出物を含有する、ホイップ後の起泡性水中油型乳化物の風味劣化を抑制することが出来れば、更なる市場の拡大につながるのではないかと、鋭意検討を行った。そうしたところ、特定の大豆原料から抽出した、特定の組成を有する大豆抽出物、及びラウリン系油脂を含有することで、風味劣化を抑制することができる、大豆抽出物を含有する、起泡性水中油型乳化物を提供することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明は、
(1)全脂大豆由来の抽出物であって、固形分中の脂質含量が15質量%以下であり、かつ炭水化物含量に対する蛋白質含量の質量比が100〜200質量%であることを特徴とする大豆抽出物を固形分換算で0.5〜5質量%、及びラウリン系油脂10〜40質量%を含有する、起泡性水中油型乳化物、
(2)該ラウリン系油脂がヤシ油及びパーム核油からなる群より選ばれる1以上の油脂に由来する油脂である、(1)記載の起泡性水中油型乳化物、
(3)(a)全脂大豆を水性溶媒で抽出して得られ、固形分中の脂質含量が15質量%以下であり、かつ炭水化物含量に対する蛋白質含量の質量比が100〜200質量%であることを特徴とする大豆抽出物を得る工程、
(b)該大豆抽出物及びラウリン系油脂を原料中に混合し、水中油型に乳化する工程、
を備える、起泡性水中油型乳化物の製造法、
(4)全脂大豆が予め加熱処理されたものである、(3)記載の、起泡性水中油型乳化物の製造法、
(5)該ラウリン系油脂がヤシ油及びパーム核油からなる群より選ばれる1以上の油脂に由来する油脂である、(3)又は(4)記載の、起泡性水中油型乳化物の製造法、
(6)全脂大豆を水性溶媒で抽出して得られ、固形分中の脂質含量が15質量%以下であり、かつ炭水化物含量に対する蛋白質含量の質量比が100〜200質量%であることを特徴とする大豆抽出物を固形分換算で0.5〜5質量%、及びラウリン系油脂10〜40質量%を含有させることを特徴とする、風味劣化を抑制できる、起泡性水中油型乳化物の風味劣化抑制方法、
に関するものである。
なお、特許文献1では、豆乳を使用したホイップクリームの出願であるが、起泡された状態での風味劣化抑制についての開示はない。
特許文献2及び3では、特定の大豆原料から抽出した、特定の組成を有する大豆抽出物及びラウリン系油脂を含有することで、大豆抽出物を含有する起泡性水中油型乳化物の風味劣化を抑制できる旨記載はない。
本発明により、全脂大豆由来の抽出物であって、固形分中の脂質含量が15質量%以下であり、かつ炭水化物含量に対する蛋白質含量の質量比が100〜200質量%であることを特徴とする大豆抽出物、及びラウリン系油脂を含有することで、風味劣化を抑制することができる、大豆抽出物を含有する、起泡性水中油型乳化物を提供することができる。
本発明で言う起泡性水中油型乳化物とは、起泡された状態で最終商品に使用された上で、その最終商品が保管、流通、販売され、食されるものである。また、該最終商品の保管、流通、販売は、冷蔵や冷凍だけでなく、常温でも可能なものである。
なお、該最終商品を製造する前までは、本発明に係る起泡性水中油型乳化物は、起泡されていない、液状で流通される。
起泡性水中油型乳化物は、一般には、生クリームをはじめ乳原料を用いた製品が多く市販されているが、本発明では、特定の大豆原料から抽出した、特定の組成を有する大豆抽出物、及びラウリン系油脂を含有することに特徴がある。
以下に、本発明で使用する、大豆抽出物及び油脂について説明する。
(全脂大豆)
本発明の大豆抽出物の原料となる全脂大豆は、圧搾やロールによる物理的処理や有機溶剤処理などにより大豆油の抽出処理がされていないものをいう。全脂大豆の脂質含量は特に限定されないが、抽出処理がされていない全脂大豆では固形分中15質量%を超えるのが通常であり、多くは18質量%以上である。分離大豆蛋白や醤油の製造などに使用されているような脱脂大豆を原料とした場合は、得られる大豆抽出物の風味は大豆臭が強く、本発明の効果を得られにくい場合がある。
使用する全脂大豆は未粉砕の丸豆のままでも良いし、水性溶媒により抽出する前に予め砕かれていても良い。全脂大豆を予め砕く場合の粒子径は任意であり、粗砕でも粉砕でも良い。
また全脂大豆は生のままでも良いが、水性溶媒により抽出する前に予め加熱処理を行っても良い。不快臭の低減および麺類への添加効果を高める点で、全脂大豆に加熱処理を行っておくのがより好ましい。特に全脂大豆を砕く場合においては、砕く前に予め加熱処理を行っておくのがより好ましい。全脂大豆の加熱処理の方法は特に限定されず、例えば乾熱処理、水蒸気処理、過熱水蒸気処理、マイクロ波処理等を用いることができる。
加熱の程度は抽出物に焦げ臭が付与されない程度が好ましい。加熱の程度は蛋白質の変性度合を表す水溶性窒素指数(NSI)により表すことができ、NSIは20〜77が好ましく、40〜65がより好ましい。かかる範囲に加熱することにより、より低脂質の大豆抽出物を得ることができ、これによって麺類への添加効果をさらに高めることができる。加熱処理の条件は加熱処理装置によって異なるので特に限定されず、NSIが上記範囲となるように適宜調整して設定すれば良い。例えば過熱水蒸気による加熱処理を行う場合、その処理条件は製造環境にも影響されるため一概に言えないが、おおよそ120〜250℃の過熱水蒸気を用いて5〜10分の間で加熱処理大豆のNSIが上記範囲となるように処理条件を適宜選択すれば良く、特段の試行錯誤は要しない。簡便には、NSIが上記範囲に加工された市販の加熱処理大豆を用いることもできる。
なお、NSIは所定の方法に基づき、全窒素量に占める水溶性窒素(粗蛋白)の比率(質量%)で表すことができ、本発明においては以下の方法に基づいて測定された値とする。
すなわち、試料2.0gに100mlの水を加え、40℃にて60分攪拌抽出し、1400×gにて10分間遠心分離し、上清1を得る。残った沈殿に再度100mlの水を加え、40℃にて60分攪拌抽出し、1400×gにて10分遠心分離し、上清2を得る。上清1および上清2を合わせ、さらに水を加えて250mlとする。No.5Aろ紙にてろ過したのち、ろ液の窒素含量をケルダール法にて測定する。同時に試料中の窒素含量をケルダール法にて測定し、ろ液として回収された窒素(水溶性窒素)の試料中の全窒素に対する割合を質量%として表したものをNSIとする。
(水性溶媒)
本発明の有効成分を抽出するための水性溶媒は、水や含水アルコール等を用いることができ、水や含水エタノールが食品製造上好ましく、特に水が好ましい。
(大豆抽出物)
本発明の大豆抽出物は、上記の未加熱もしくは加熱した全脂大豆を水性溶媒で抽出して得られる大豆抽出物であって、固形分中の脂質含量が15質量%以下であることが重要であり、12質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下が更に好ましく、7質量%以下が最も好ましい(以下、この抽出物を「本抽出物」と称する場合がある)。すなわち、全脂大豆から抽出した通常の脂質含量の高い豆乳や、脱脂大豆から抽出した脱脂豆乳とは明確に区別されるものである。本抽出物は、いわゆる低脂肪豆乳が典型的には包含されるが、全脂大豆からの水性溶媒抽出物であって脂質含量が上記範囲である限り、これらの呼称に限定されるものではない。なお、本発明において、脂質含量は酸分解法により測定される。加水量、抽出温度、抽出時間等の抽出条件は特に限定されず、例えば加水量は全脂大豆に対して5〜15質量倍、抽出温度は20〜99℃、抽出時間は20分〜14時間などで設定すればよい。本抽出物は液状、固形状、粉末状の何れの形態もとり得る。
本抽出物に含まれる脂質以外の成分は、水可溶性の成分であり、炭水化物と蛋白質を主体としてその他のミネラル、イソフラボン、サポニン等の微量成分が含まれる。ここで、本抽出物中の炭水化物含量に対する蛋白質含量の質量比(以下、「P/C比」と称する場合がある。)は、100〜200質量%であることが重要である。さらに下限は120質量%以上、130質量%以上や140質量%以上の範囲、上限は190質量%以下、180質量%以下や170質量%以下の範囲を選択することができる。ちなみに全脂豆乳や脱脂豆乳粉末は、P/C比が200質量%を大きく超え、相対的に高蛋白質含量である。
また分離大豆蛋白などのような、蛋白質が固形分中90質量%程度も含まれるような大豆蛋白質素材では、貯蔵蛋白質が主成分であり炭水化物が微量しか含まれないため、P/C比が過剰で本抽出物とは異なるものであり、本発明のような効果を奏さない。逆に分離大豆蛋白そのものの風味が加熱調理食品の風味に影響する場合がある。
なお、本発明において、蛋白質含量はケルダール法により測定される。また炭水化物含量は、固形分から脂質、蛋白質及び灰分の含量の和を引いた計算値とする。
◆低脂肪豆乳
本抽出物の一形態である低脂肪豆乳は、固形分中の脂質含量が上記範囲にあるものである。全脂大豆から公知の方法で抽出して得たスラリー(大豆粉砕液)から不溶性画分であるオカラを除去して得られる一般の豆乳(全脂豆乳)では、固形分中の脂質含量が上記範囲よりも高くなり、20質量%以上となる。そのため、低脂肪豆乳を得るには、スラリーや全脂豆乳から高速遠心分離等により脂質を分離する方法や、該スラリーからオカラを分離する際に脂質をオカラ側に移行させる方法を用いることができる。より好ましい態様として、上記の通り予め加熱処理された全脂大豆を原料とすることによって、より本発明の効果を向上させることができる。この方法は例えば特開2012-16348号公報に記載の方法を参照することができる。
本発明に係る起泡性水中油型乳化物には、原材料中、上記の本抽出物を固形分換算で0.5〜5.0質量%含有する。この量は、より望ましくは0.7〜4.0質量%であり、更に望ましくは0.8〜3.5質量%であり、最も望ましくは0.9〜3.3質量%である。
なお、上記の本抽出物は、液状のまま配合することもできるし、一旦粉体にした後に配合することもできる。いずれの場合も、上記の固形分換算相当量を配合することで、風味劣化を抑制することができる、大豆抽出物を含有する、起泡性水中油型乳化物を提供することができる。
(油脂)
本発明に係る起泡性水中油型乳化物は、ラウリン系油脂を含有する必要がある。該ラウリン系油脂には、ヤシ油及びパーム核油からなる群より選ばれる1以上の油脂に由来する油脂を用いることができる。なお、これらの油脂はそのまま、乃至分別、硬化及びエステル交換から選ばれる1以上の工程により加工したものを使用することもできる。本発明では、特にパーム核硬化油を用いることが望ましい。
また、本発明の目的が、起泡性水中油型乳化物であることから、食す温度乃至口中温度において融解状態である油脂を使用することが望ましく、使用する油脂の融点が望ましくは25〜45℃、より望ましくは28〜40℃、更に望ましくは30〜38℃である。なお、ここでの融点は上昇融点を指し、日本油化学会制定 規準油脂分析試験法(1)に記載される方法で測定されるものであり、毛細管に充填した試料が、所定条件での加熱により、軟化して上昇を始める温度を言う。
適当なラウリン系油脂を使用することで、風味劣化を抑制することができる、大豆抽出物を含有する、起泡性水中油型乳化物を提供することができる。
また、該ラウリン系油脂の量は、起泡性水中油型乳化物の原材料中10.0〜40.0質量%であり、より望ましくは15.0〜35.0質量%であり、更に望ましくは20.0〜30.0質量%である。ラウリン系油脂の量を適当な量とすることで、風味劣化を抑制することができる、大豆抽出物を含有する、起泡性水中油型乳化物を提供することができる。
以下に、本発明に係る起泡性水中油型乳化物の製造法について説明する。
本発明に係る、起泡状態での起泡性水中油型乳化物の製造法は、
(a)全脂大豆を水性溶媒で抽出して得られ、固形分中の脂質含量が15質量%以下であり、かつ炭水化物含量に対する蛋白質含量の質量比が100〜200質量%であることを特徴とする大豆抽出物を得る工程、
(b)該大豆抽出物及びラウリン系油脂を含有する、起泡性水中油型乳化物を調製する工程、
を備えることが望ましい。
工程(a)の特定の大豆抽出物は、上記に説明した大豆抽出物を自ら製造するか、あるいは別途入手することにより得られる。
工程(b)では、工程(a)で得られた大豆抽出物及び上記ラウリン系油脂を含有する、起泡性水中油型乳化物を調製する工程である。起泡性水中油型乳化物の調製法は、公知の手段で適宜行うことができる。
以下に、起泡性水中油型乳化物の調製法についてより具体的に説明する。
(起泡性水中油型乳化物)
本発明に係る起泡性水中油型乳化物は、本抽出物、ラウリン系油脂、乳化剤、水等の原材料、添加剤を調合する予備乳化工程、均質化工程、加熱殺菌工程、冷却工程、エージング工程などを経て調製される。
本発明に係る起泡性水中油型乳化物の予備乳化工程では、原材料である本抽出物、ラウリン系油脂、糖類、水、乳化剤、増粘剤、塩類、色素、香料などの各種添加剤を、加熱、撹拌しながら添加、混合し乳化をする。本発明における乳化温度は、50〜70℃が望ましく、より望ましくは50〜65℃、更に望ましくは50〜60℃である。予備乳化工程には、プロペラ等の撹拌機を保持する各種調合タンクを使用することができる。
予備乳化工程後の均質化工程では、一般的に知られている均質化装置を使用することができる。代表的には、高圧ホモゲナイザーを例示できる。
均質化後の加熱殺菌工程は、乳化物を殺菌するために行う工程であり、加熱殺菌工程での水中油型乳化物の品温が、90〜150℃で加熱殺菌されるのが望ましく、より望ましくは110℃〜150℃であり、更に望ましくは120℃〜150℃である。加熱殺菌方式には間接加熱方式と直接加熱方式の主に2種類があり、本発明に係る起泡性水中油型乳化物の加熱殺菌方式としては、直接加熱方式の直接蒸気吹き込み方式が望ましい。
なお、直接加熱式滅菌装置としては、例えば、超高温滅菌装置(岩井機械工業株式会社製)を例示できる。
本発明では、加熱殺菌後に冷却を行う。冷却工程では、間接冷却及び/又は蒸発冷却であることが望ましく、特に、間接冷却のみで冷却工程を行うことが望ましい。間接冷却により冷却を行うことで、製造時の風味成分が散逸することによる風味劣化を抑制することができる。
なお、間接冷却方式としては、例えば、プレート式間接冷却装置(岩井機械工業株式会社製)を例示できる。
本発明に係る起泡性水中油型乳化物には、本発明の効果を妨げない範囲で糖類を添加することができる。添加する糖類としては、例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖、乳糖、麦芽糖、転化糖、トレハロース、糖アルコール、コーンシロップ、水あめ、デキストリンを例示できる。また、糖アルコールとしては、エリスリトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール等の単糖アルコール、イソマルチトール、マルチトール、ラクチトール等の二糖アルコール、マルトトリイトール、イソマルトトリイトール、パニトール等の三糖アルコール、オリゴ糖アルコール等の四糖以上の糖アルコール、還元澱粉糖化物、還元澱粉分解物等を例示できる。また、乳蛋白質を含有する原材料中に存在する乳糖も、本発明の糖類に含まれる。
本発明に係る起泡性水中油型乳化物は、本発明の効果を妨げない範囲で、用途に応じて、乳化剤、増粘多糖類、塩類を添加することが望ましい。乳化剤としては、例えば、レシチン、モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤が例示でき、これらの乳化剤の中から1種又は2種以上を選択して適宜使用することができる。増粘多糖類としては、例えば、ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、プルラン、グァーガム、サイリウムシードガム、水溶性大豆多糖類、カラギーナン、タマリンド種子ガム及びタラガムから選択される1種又は2種以上の増粘多糖類を選択し、適宜使用することができる。また、塩類としては、例えば、ヘキサメタリン酸塩、第二リン酸塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸塩、重曹等を1種又は2種以上を選択して適宜使用することができる。その他、本発明の効果を妨げない範囲で、所望により、香料、色素、保存料等を添加することができる。
本起泡性水中油型乳化物は、ケーキ等の製造者において、起泡させてケーキ等のトッピングやナッペに使用し、販売流通させることができる。全脂大豆由来の抽出物であって、固形分中の脂質含量が15質量%以下であり、かつ炭水化物含量に対する蛋白質含量の質量比が100〜200質量%であることを特徴とする大豆抽出物が含まれているにも関わらず、大豆由来の風味の劣化が少ないため、冷蔵だけでなく常温でも1〜3日間流通させることができる。なお、本発明で言う常温とは、20〜35℃であることが好ましく、より好ましくは25〜33℃であり、更に好ましくは28〜30℃である。
以下に実施例を記載する。以下「%」及び「部」は特に断りのない限り「質量%」及び「質量部」を意味するものとする。
検討 起泡性水中油型乳化物の調製
表1及び表2に記載の配合の原材料を使用して、「○起泡性水中油型乳化物の調製法」に従い、起泡性水中油型乳化物を調製した。また、調製した起泡性水中油型乳化物を、「○官能評価法」に従い風味を評価し、結果を表4に示した。
また、オーバーラン、ホイップタイムの算出方法は、「○起泡性水中油型乳化物の評価法」に示した。
○起泡性水中油型乳化物の評価法
(1)オーバーラン:[(一定容積の起泡性水中油型乳化物質量)−(一定容積の起泡後の起泡物質量)]÷(一定容積の起泡後の起泡物質量)×100 [単位:%]
(2)ホイップタイム:品温5℃の、起泡性水中油型乳化物1kgをホバートミキサー(HOBART CORPORATION製「MODEL N−5」)で、3速(300rpm)にてホイップし、最適起泡状態に達するまでの時間
表1.配合(実施例1〜6)
Figure 0006984153
表2.配合(比較例1〜4)
Figure 0006984153
・ラウリン系油脂には、不二製油株式会社製のパーム核硬化油「パルケナH」(融点35℃)を使用した。
・低脂肪豆乳には、不二製油株式会社製「美味投入」(固形分9.7%)を使用した。
・全脂豆乳には、不二製油株式会社製「無調整豆乳」を使用した。
・脱脂豆乳粉末には、不二製油株式会社製「ソヤフィット2000」を使用した。
・配合中の低脂肪豆乳の固形分換算量は、全配合中の量を計算値で示した。
○起泡性水中油型乳化物の調製法
(実施例1〜6)
仕込み総質量を40kgとし、表1の配合に記載の原材料を使用して、乳化タンクで油相、水相を調合し、予備乳化を行った。
油相は、表1記載の配合に従い、それぞれ60℃、30分以上の加熱で融解したパーム核硬化油(融点35℃)に対し、油相の乳化剤を添加、混合し、油相を得た。
水相は、表1記載の配合に従い、水に対し、水あめ、低脂肪豆乳、水相の乳化剤、溶融塩、重曹、増粘剤、抗菌剤を溶解し水相を調製した。なお、実施例4では、増粘剤は添加していない。
油相と水相を、60℃、30分間乳化タンクで高速攪拌により予備乳化を行い、ホモゲナイザーで3MPa の圧力で均質化した後、78℃に加熱した状態で、超高温滅菌装置(岩井機械工業株式会社製)に供し、連続的に144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った。その後、ホモゲナイザーで3MPa の圧力で均質化し、プレート式間接冷却装置(岩井機械工業株式会社製)を用いて連続的に10℃まで冷却した。冷却後、5℃で約24時間エージングしたものを、起泡性水中油型乳化物とした。
該起泡性水中油型乳化物1kgを、ホバートミキサー(HOBART CORPORATION製 MODEL N−5)で、3速(300rpm)にてホイップし、最適起泡状態となった段階でホイップを終了し、実施例1〜6の起泡済み水中油型乳化物を得た。
(比較例1〜4)
上記の(実施例1〜6)の起泡性水中油型乳化物の調製法の「低脂肪豆乳」の部分を、比較例1及び2では「無調整豆乳(不二製油株式会社製)」に、比較例3及び4では「脱脂粉末豆乳(不二製油株式会社製「ソヤフィット2000」)」に置き換え、表2に記載の配合に従い、上記(実施例1〜6)の方法に準じて、起泡済み水中油型乳化物である、比較例1〜4を得た。
大豆抽出物のサンプルとして、実施例では「低脂肪豆乳」、比較例では、全脂豆乳「無調整豆乳」と、脱脂豆乳粉末「ソヤフィット2000」を用いており、各大豆抽出物の成分値を表3に示す。なお表中、「加熱処理」は原料の加熱処理を意味する。
表3.大豆抽出物の特徴
Figure 0006984153
○官能評価法
「○起泡性水中油型乳化物の調製法」にて調製した実施例及び比較例について、官能評価を行った。「調製直後」、「30℃、24時間経過後」、「30℃、48時間経過後」、「30℃、72時間経過後」の起泡済み水中油型乳化物について、パネラー10名にて盲検にて試食を行い、風味劣化を、油脂が劣化したような劣化臭とし、合議にて以下の基準で点数づけを行った。
なお、本評価におけるパネラーは、従前から起泡性水中油型乳化物の研究に従事し、熟練したパネラー10名であった。
5点 油脂が劣化したような劣化臭が感じられず、非常に良好な風味を感じた。
3点 やや油脂が劣化したような劣化臭があり、若干の風味劣化を感じた。
1点 油脂が劣化したような劣化臭があり、著しい風味劣化を感じた。
4点及び2点については、上位の点には至らないものの、下位の点より勝ると判断されるものとした。
全ての結果が4点以上となったものを、合格とした。
表4.結果
Figure 0006984153
表4の結果より、全ての結果が4点以上であった、実施例1〜6が合格であった。
考察
以上の結果より、本発明において、全脂大豆由来の抽出物であって、固形分中の脂質含量が15質量%以下であり、かつ炭水化物含量に対する蛋白質含量の質量比が100〜200質量%であることを特徴とする大豆抽出物、及びラウリン系油脂を含有することで、風味劣化を抑制することができる、大豆抽出物を含有する、起泡性水中油型乳化物を提供することができることを見出した。

Claims (4)

  1. 全脂大豆由来の抽出物であって、固形分中の脂質含量が15質量%以下であり、かつ炭水化物含量に対する蛋白質含量の質量比が100〜200質量%であることを特徴とする大豆抽出物を固形分換算で0.5〜5質量%、及びパーム核硬化油10〜40質量%を含有する、起泡性水中油型乳化物。
    ただし、該起泡性水中油型乳化物が、起泡させて、20〜35℃で販売流通されるものである。
  2. (a)全脂大豆を水性溶媒で抽出して得られ、固形分中の脂質含量が15質量%以下であり、かつ炭水化物含量に対する蛋白質含量の質量比が100〜200質量%であることを特徴とする大豆抽出物を得る工程、
    (b)該大豆抽出物及びパーム核硬化油を原料中に混合し、水中油型に乳化する工程、を備える、起泡性水中油型乳化物の製造法。
    ただし、該起泡性水中油型乳化物が、起泡させて、20〜35℃で販売流通されるものである。
  3. 全脂大豆が予め加熱処理されたものである、請求項2記載の、起泡性水中油型乳化物の製造法。
  4. 全脂大豆を水性溶媒で抽出して得られ、固形分中の脂質含量が15質量%以下であり、かつ炭水化物含量に対する蛋白質含量の質量比が100〜200質量%であることを特徴とする大豆抽出物を固形分換算で0.5〜5質量%、及びパーム核硬化油10〜40質量%を含有させることを特徴とする、風味劣化を抑制できる、起泡性水中油型乳化物の風味劣化抑制方法。
    ただし、該起泡性水中油型乳化物が、起泡させて、20〜35℃で販売流通されるものである。
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