JP2020115854A - 起泡性水中油型乳化物 - Google Patents

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JP2020115854A JP2020005340A JP2020005340A JP2020115854A JP 2020115854 A JP2020115854 A JP 2020115854A JP 2020005340 A JP2020005340 A JP 2020005340A JP 2020005340 A JP2020005340 A JP 2020005340A JP 2020115854 A JP2020115854 A JP 2020115854A
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敬祐 前川
Keisuke Maekawa
敬祐 前川
淳 垣本
Atsushi Kakimoto
淳 垣本
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Abstract

【課題】本発明は、乳由来原料を使用せず、植物性素材のみを使用した起泡性水中油型乳化物であって、乳化安定性が良く、風味良好な起泡性水中油型乳化物を提供することを課題とする。【解決手段】本発明によりココアバター6〜25質量%、特定の構成脂肪酸を有する油脂Aを2〜20質量%、植物性蛋白素材の部分分解物を固形分換算で0.2〜8質量%、及び乳化剤0.05〜3質量%を含有することで、乳化安定性が良く、風味良好な起泡性水中油型乳化物を提供することができることを見出した。好ましい態様として、乳由来原料を使用しない植物性素材のみを使用した起泡性水中油型乳化物である。また、ココアバターを多量に配合しているにもかかわらず、乳化安定性に優れる起泡性水中油型乳化物を提供することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、乳由来原料を使用しない起泡性水中油型乳化物に関するものである。
起泡性水中油型乳化物はホイップクリームとも称され、多くの菓子に使用される等、万人に好まれる食品である。
乳蛋白などの乳原料を使用した起泡性水中油型乳化物が一般的であるが、乳由来原料を使用しないものも存在する。大豆蛋白をはじめとする植物蛋白素材は、昨今の大豆に対する健康イメージから、各種の製品に乳の代わりに用いられる場合がある。
原料にココアバターを含有する起泡性水中油型乳化物に関連する出願としては、例えば特許文献1〜3が存在する。特許文献1では、ココアバターを1質量%以下含有する水中油型乳化油脂組成物に関して記載されている。特許文献2では、「油脂含量が1〜99質量%である食用クリームであって、カカオ豆より圧搾された未脱臭のカカオ脂を0.01〜4質量%含有し、トランス脂肪酸含量が5質量%以下である食用クリーム(ただし、油中水型乳化油脂組成物は除く)。」について記載されている。特許文献3では、「油脂含量が10〜60重量%である水中油型乳化物において、ラウリン系油脂1〜54重量%、トリグリセリドの2位置にリノール酸又はリノレン酸を多く含み、且つ1及び3位置が炭素数16以上の飽和脂肪酸である油脂0.3〜27重量%、及び、カカオバター1〜15重量%を含むことを特徴とする水中油型乳化物。」について記載されている。
特開2013−5752号公報 特開2012−191929号公報 特開平5−30911号公報
近年の健康志向や、原料の安定的な供給の問題から、乳由来の原料を使用せず、植物性の原料を用いた起泡性水中油型乳化物が望まれている。
本発明は、乳由来原料を使用せず、植物性素材のみを使用した起泡性水中油型乳化物であって、乳化安定性が良く、風味良好な起泡性水中油型乳化物を提供することを課題とする。
大豆蛋白をはじめとする植物蛋白素材は、昨今の植物性素材に対する健康イメージから、各種の製品に乳の代わりに用いられる場合があるが、植物性蛋白素材を起泡性水中油型乳化物に用いることは、乳蛋白を用いるよりも乳化状態が不安定になりやすい。
また、ココアバターは風味が良好であるため、乳由来の原料を使用しない起泡性水中油型乳化物への風味付与目的で多量に使用したい油脂のひとつとされる。しかしながら、ココアバターも、結晶多形のため乳化状態が不安定になりやすく、起泡性水中油型乳化物に使用するには課題を有していた。
なお、特許文献1では、乳成分を含有する水中油型乳化油脂組成物であって、本発明を完成させる上で参考とはならなかった。特許文献2では、本願のようなココアバターを多量に含有する起泡性水中油型乳化物について開示はなく、本発明を完成させる上で参考とはならなかった。
また、特許文献3はガナッシュクリームを含む発明であるが、実質的に、本願のような乳由来原料を使用せず、植物性素材のみを使用した起泡性水中油型乳化物であって、ココアバターを多量に含み、かつ植物性蛋白素材を含む、乳化安定性が良く、風味良好な起泡性水中油型乳化物を提供できる旨記載はなかった。
本発明者らは、乳化が不安定となる課題を有する、ココアバター及び、植物性蛋白素材を含有することができ、使用する原料が全て植物性である起泡性水中油型乳化物を提供することが出来れば、更なる市場の拡大につながるのではないかと、鋭意検討を重ねた結果、特定の油脂組成に調整することで、前記課題を解決し本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
(1)ココアバター6〜25質量%、油脂Aを2〜20質量%、植物性蛋白素材の部分分解物を固形分換算で0.2〜8質量%、及び乳化剤0.05〜3質量%含有する、起泡性水中油型乳化物、
油脂Aは下記を満たすランダムエステル交換油脂、
・構成脂肪酸組成中、炭素数6〜14の飽和脂肪酸の含有量が10〜50質量%、
・構成脂肪酸組成中、炭素数16〜18の飽和脂肪酸の含有量が15〜65質量%、
・構成脂肪酸組成中、炭素数6〜10の飽和脂肪酸と炭素数18の不飽和脂肪酸の合計量 が20〜60質量%、
(2)油脂Bを2〜30質量%含有する、(1)記載の起泡性水中油型乳化物、
油脂Bは下記を満たす非エステル交換ラウリン系油脂、
・構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が40〜60質量%、
・構成脂肪酸組成中、炭素数6〜10の飽和脂肪酸の含有量が1〜20質量%、
・構成脂肪酸組成中、炭素数16〜18の飽和脂肪酸の含有量が10〜40質量%、
・構成脂肪酸組成中、炭素数18の不飽和脂肪酸の含有量が0.2〜25質量%、
(3)植物性素材のみを使用したものである、(1)又は(2)記載の起泡性水中油型乳化物、
(4)該植物性蛋白素材が大豆蛋白である、(1)〜(3)いずれか1項に記載の起泡性水中油型乳化物、
(5)粒子径が3.5μm以下である、(1)〜(4)いずれか1項に記載の起泡性水中油型乳化物、
(6)(CN44〜CN48)に対する(CN52〜CN54)の質量比((CN52〜CN54)/(CN44〜CN48))が2.8〜2.0である、(1)〜(5)いずれか1項に記載の起泡性水中油型乳化物、
ただし、(CN44〜CN48):油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が44〜48のトリグリセリド、
(CN52〜CN54):油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が52〜54のトリグリセリドを示す、
に関するものである。
本発明により、乳化安定性が良く、風味良好な起泡性水中油型乳化物を提供することができる。好ましい態様として、乳由来原料を使用しない植物性素材のみを使用した起泡性水中油型乳化物である。また、ココアバターを多量に配合しているにもかかわらず、乳化安定性に優れる起泡性水中油型乳化物を提供することができる。
本発明で言う起泡性水中油型乳化物とは、油脂、蛋白質、水などの基礎原料に、乳化剤を併用した水中油型乳化物であり、ホイップ用クリームとも称される。これを泡立器具、又は専用のミキサーを用いて空気を抱き込ませるように攪拌したとき、いわゆる、ホイップド・クリームまたはホイップクリームと称されるものになる。
なお、泡立器具、又は専用のミキサーを用いて空気を抱き込ませるように攪拌する前までは、本発明に係る起泡性水中油型乳化物は、起泡されていない、液状で流通、保管、販売される。
起泡性水中油型乳化物は、一般には、乳脂や生クリームをはじめとする乳原料を用いた製品が多く市販されているが、本発明では、乳由来の原料を使用せず、ココアバター6〜25質量%、特定の構成脂肪酸組成を有する油脂Aを2〜20質量%、植物性蛋白素材の部分分解物を固形分換算で0.2〜8質量%、及び乳化剤0.05〜3質量%を含有することに特徴がある。
(ココアバター)
本発明のココアバターとは、カカオ豆より得られる油脂であり、カカオバターやカカオ脂とも称される。本発明では、ココアバターが有する独自の風味が重要である。従って、カカオ以外から得た同様の融点を示す、いわゆるココアバター代用脂では、本発明の効果を得ることは難しい。ココアバターはチョコレート等の原料用として市場に流通しているものであれば、いずれも本発明に使用することができる。
含有するココアバターの量は、起泡性水中油型乳化物の原料中6質量%以上、7質量%以上、8質量%以上、9質量%以上、10質量%以上又は14質量%以上などとすることができる。また、さらに25質量%以下、24質量%以下、23質量%以下、22質量%以下又は20質量%以下などとすることができる。ココアバターの量を適当な量とすることで、乳由来原料を使用せず、植物性素材のみを使用した起泡性水中油型乳化物であって、ココアバターを多量に含み、かつ植物性蛋白素材を含む、乳化安定性が良く、風味良好な起泡性水中油型乳化物を提供することができる。
また、本発明では、起泡性水中油型乳化物に多量のココアバターを含有することが出来たことで、ココアパウダー及び/又はカカオマス由来のカカオ無脂固形分を使用しなくとも、白色の起泡性水中油型乳化物でありながら、ココアバターが有する独自の風味が濃厚な、良好な風味である起泡性水中油型乳化物を得ることが可能となった。
なお、当然のことながら、本発明に係る起泡性水中油型乳化物に、ココアパウダー及び/又はカカオマス由来のカカオ無脂固形分を配合し、より濃厚な風味である起泡性水中油型乳化物を得ることもできる。
(油脂類)
本発明に係る起泡性水中油型乳化物は、ココアバター以外に、構成脂肪酸組成中、炭素数6〜14の飽和脂肪酸の含有量が10〜50質量%、構成脂肪酸組成中、炭素数16〜18の飽和脂肪酸の含有量が15〜65質量%、及び、構成脂肪酸組成中、炭素数6〜10の飽和脂肪酸と炭素数18の不飽和脂肪酸の合計量が20〜60質量%であるランダムエステル油脂である油脂Aを含有する必要がある。
本発明において、前記油脂Aは、ランダムエステル交換油脂であって、前記構成を満たせば、使用する油脂類に特に制限はなく、また、複数のランダムエステル交換油脂を混合した油脂であってもよい。特に、パーム核油、パーム油、ヤシ油、菜種油、ひまわり油、綿実油、コーン油及びシア脂からなる群から選ばれる1種又は2種以上の油脂を使用することが好ましく、より好ましくはパーム核油及びパーム油を加工した油脂より選ばれた1種以上の油脂を使用することが、前記構成が容易に調製できるので好ましい。パーム核油を加工した油脂としては、硬化パーム核油、パーム核分別硬化油、及びパーム核分別油等が例示できる。パーム油を加工した油脂としては、硬化パーム油、パーム分別硬化油、及びパーム分別油等が例示できる。かかる油脂類を使用し、前記構成を満たせば、使用する油脂類に特に制限はなく、他の油脂を使用することができる。
油脂Aの含量は、起泡性水中油型乳化物の原料中2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、又は5質量%以上などとすることができる。また、さらに20質量%以下、18質量%以下、16質量%以下、15質量%以下、12質量%以下又は10質量%以下などとすることができる。前記構成を満たす油脂Aを適当な量含有することで、乳由来原料を使用せず、植物性素材のみを使用した起泡性水中油型乳化物であって、ココアバターを多量に含み、かつ植物性蛋白素材を含む、乳化安定性が良く、風味良好な起泡性水中油型乳化物を提供することができる。
また、本発明に係る起泡性水中油型乳化物は、油脂Bを含有することが好ましい。油脂Bは、構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が40〜60質量%、構成脂肪酸組成中、炭素数6〜10の飽和脂肪酸の含有量が1〜20質量%、構成脂肪酸組成中、炭素数16〜18の飽和脂肪酸の含有量が10〜40質量%、及び、構成脂肪酸組成中、炭素数18の不飽和脂肪酸の含有量が0.2〜25質量%を満たす非エステル交換ラウリン系油脂であることが好ましい。
本発明において、前記油脂Bは、非エステル交換ラウリン系油脂であって、前記構成を満たせば、使用する油脂類に特に制限はなく、複数の油脂を混合した油脂であってもよい。パーム核油及びパーム核油を加工した油脂より選ばれた1種以上の油脂を使用することが、前記構成が容易に調製できるので好ましい。パーム核油を加工した油脂としては、硬化パーム核油、パーム核分別硬化油、及びパーム核分別油等が例示できる。かかる油脂類を使用し、前記構成を満たせば、使用する油脂類に特に制限はなく、他のラウリン系油脂類を使用しても良い。油脂Bは、好ましくは融点が30℃〜40℃、さらに好ましくは30℃〜35℃である。油脂Bとして複数の油脂を混合して使用する場合、混合した油脂の融点が30℃〜35℃であることが好ましい。
油脂Bの含量は、起泡性水中油型乳化物の原料中2質量%以上、4質量%以上、5質量%以上、8質量%以上又は10質量%以上などとすることができる。また、さらに30質量%以下、28質量%以下、25質量%以下、22質量%以下、20質量%以下又は15質量%以下などとすることができる。前記構成を満たす油脂Bを適当な量含有することで、乳由来原料を使用せず、植物性素材のみを使用した起泡性水中油型乳化物であって、ココアバターを多量に含み、かつ植物性蛋白素材を含む、乳化安定性が良く、風味良好な起泡性水中油型乳化物を提供することができる。
また、本発明に係る起泡性水中油型乳化物に含まれる油脂類には、上記の油脂以外の他の油脂を使用してもよい。植物性の油脂であって、通常食用として用いられるもの、例えば、大豆油,菜種油,キャノーラ油,サフラワー油,ひまわり油,米糠油,コーン油,綿実油,落花生油,カポック油,オリーブ油,パーム油,パーム核油,ヤシ油等の植物油脂が例示でき、或いはこれらの硬化,分別,エステル交換したもののいずれでもよく、これらのうち1種又は2種以上の油脂を調合して使用することもできる。
本発明に係る起泡性水中油型乳化物の油脂の含量は、上記油脂以外の原料中に含まれる脂質も含めた脂質含量として、8質量%以上、10質量%以上、12質量%以上、15質量%以上又は18質量%以上などとすることができる。また、さらに60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、38質量%以下又は35質量%以下などとすることができる。
また、本発明の目的が、起泡性水中油型乳化物であることから、本発明に係る起泡性水中油型乳化物中に含まれる油脂全体の融点として、食す温度乃至口中温度において融解状態であることが好ましく、起泡性水中油型乳化物中に含まれる油脂全体の融点が好ましくは25〜45℃、より好ましくは26〜40℃、更に好ましくは27〜35℃であることが好ましい。なお、本発明で言う融点は上昇融点を指し、日本油化学会制定 規準油脂分析試験法(1)に記載される方法で測定されるものであり、毛細管に充填した試料が、所定条件での加熱により、軟化して上昇を始める温度を言う。
(植物性蛋白素材)
本発明に係る起泡性水中油型乳化物は、植物性蛋白素材の部分分解物を含有する。植物性蛋白素材として具体的には、大豆、エンドウ、緑豆、ヒヨコ豆、うずら豆、コーヒー豆、ピスタチオ、ココナッツ、ゴマ、アーモンド、ピーナッツ、マカダミアナッツ、ヘーゼルナッツ、カシューナッツ、クルミ、栗、ひまわりの種、その他豆類やナッツ類及び種実類の蛋白素材を挙げることができる。特に、好ましくは大豆、エンドウ、緑豆、ヒヨコ豆、ココナッツ、ゴマ、アーモンドより選ばれる1種又は2種以上の植物性蛋白素材の部分分解物を含有することが好ましく、より好ましくは大豆蛋白素材及び/又はエンドウ蛋白素材の部分分解物を含有することが好ましく、更に好ましくは大豆蛋白素材の部分分解物を含有することが好ましい。
部分分解の方法は、酵素によるもの、酸やアルカリ、加熱によるものが例示できるが、特に限定はされないが温和な条件で反応できる酵素分解が好ましい。ここでいう分解度は、0.22Mトリクロロアセテート溶液に可溶なたん白の百分率で表わすことができる。分解度は、好ましくは5〜50%であり、より好ましくは15〜35%が好ましい。
なお、植物蛋白素材の部分分解物としては、例えば、市販品である不二製油株式会社製「フジプロCLE」(部分分解粉末状分離大豆たん白、分解度25%)を使用することができる。
含有する植物性蛋白素材の部分分解物の量は、起泡性水中油型乳化物中、固形分換算で0.2〜8質量%であり、より好ましくは0.3〜7質量%であり、更に好ましくは0.5〜5質量%である。なお、該植物性蛋白素材の部分分解物は、粉体のまま使用することもできるし、粉体に加水した状態で使用することもできる。また、該植物性蛋白素材の部分分解物を粉体にすることなく、液体の状態で使用することもできる。いずれの場合も、上記の固形分換算相当量を配合することで、乳由来原料を使用せず、植物性素材のみを使用した起泡性水中油型乳化物であって、ココアバターを多量に含み、かつ植物性蛋白素材を含む、乳化安定性が良く、風味良好な起泡性水中油型乳化物を提供することができる。
(乳化剤)
本発明に係る起泡性水中油型乳化物には、乳化剤を含有する必要がある。乳化剤としては、一般に食用の乳化物の製造に用いられる乳化剤であれば、いずれのものであってもよい。レシチン、酵素分解レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート等の乳化剤が例示でき、これらの乳化剤の中から1種又は2種以上を選択して適宜使用することができる。本発明では、特に、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、及びポリソルベートからなる群より選ばれる1種または2種以上の乳化剤を含有することが好ましい。更により好ましくは、使用する乳化剤にHLBが2〜6であるポリグリセリン脂肪酸エステルが含まれることが好ましい。
乳化剤の量は、起泡性水中油型乳化物中0.05〜3質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜2質量%であり、更に好ましくは0.5〜1.5質量%である。
また、本発明で言う、「植物性素材のみを使用」とは、起泡性水中油型乳化物の主原料である、油脂、蛋白素材、糖質素材、呈味素材等に動物性由来の原料を含まないことを指す。よって、本発明には、一般的に起泡性水中油型乳化物に用いられる、生クリーム、脱脂粉乳、全脂粉乳等の乳由来原料を含まない。また、牛脂、ラード、魚油等の動物性の油脂や、動物性の蛋白素材も使用しない。しかしながら、主原料ではない食品添加物、乳化剤、香料、色素、調味料、保存料及び卵黄レシチン等においては、動物由来の原料から構成されるものであっても、本発明の効果を妨げない範囲で使用することができ、主原料ではないかかる成分の本発明での使用を妨げるものではない。
(粘度)
また、本発明に係る起泡性水中油型乳化物は、特定範囲の粘度であることが好ましい。粘度は、東機産業株式会社製のBM形粘度計(VISCOMETER TV−10)にてローターNo.2を用いて5℃で測定した時の粘度が10cP以上1500cP以下であることが好ましく、より好ましくは15cP以上1000cP以下であり、更に好ましくは20cP以上500cP以下である。
上記範囲の粘度であることで、ガナッシュなどの含水チョコレートとは異なる、乳由来原料を使用せず、植物性素材のみを使用した起泡性水中油型乳化物であって、ココアバターを多量に含み、かつ植物性蛋白素材を含む、乳化安定性が良く、風味良好な起泡性水中油型乳化物を提供することができる。
(粒子径)
本発明に係る起泡性水中油型乳化物は、ある特定範囲の粒子径であることが好ましい。粒子径は、レーザー回折・光散乱法を用いた粒子径測定装置(株式会社島津製作所製「SALD−7100」)にて測定した時の粘度が、3.5μm以下であることが好ましく、より好ましくは2.3μm以下であることが好ましい。
上記範囲の粒子径であることで、ガナッシュなどの含水チョコレートとは異なる、より長期的に安定的な乳化状態を保ちながら1500cPよりも低い粘度による流動性を維持した、ココアバターの特徴的な風味を有する起泡性水中油型乳化物を提供することができる。
本発明に係る起泡性水中油型乳化物は、使用する油脂全体のトリグリセリド組成において、トリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数をCNと称し、(CN44〜CN48)を油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が44〜48のトリグリセリド、(CN52〜CN54)を油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が52〜54のトリグリセリドとした際、(CN44〜CN48)に対する(CN52〜CN54)の質量比((CN52〜CN54)/(CN44〜CN48))が2.8〜2.0であることが好ましい。
(CN44〜CN48)に対する(CN52〜CN54)の質量比が適当な範囲であることで、乳由来原料を使用せず、植物性素材のみを使用した起泡性水中油型乳化物であって、ココアバターを多量に含み、かつ植物性蛋白素材を含む、乳化安定性が良く、風味良好な起泡性水中油型乳化物を提供することができる。
以下に、本発明に係る起泡性水中油型乳化物の製造法について説明する。
(起泡性水中油型乳化物の調製)
本発明に係る起泡性水中油型乳化物は、ココアバター、ココアバター以外の油脂、植物性蛋白素材、乳化剤、水等の原料、添加剤を調合する予備乳化工程、均質化工程、加熱殺菌工程、冷却工程、エージング工程などを経て調製される。起泡性水中油型乳化物の調製法は、公知の手段で適宜行うことができる。
本発明に係る起泡性水中油型乳化物の予備乳化工程では、原料であるココアバター、ココアバター以外の油脂、植物性蛋白素材、糖類、水、乳化剤、増粘剤、塩類、色素、香料などの各種添加剤を、加熱、撹拌しながら添加、混合し乳化をする。本発明における乳化温度は、50〜70℃が好ましく、より好ましくは50〜65℃である。予備乳化工程には、プロペラ等の撹拌機を保持する各種調合タンクを使用することができる。
予備加熱工程の後の均質化工程には、一般的に知られている均質化装置を使用することができる。代表的には、高圧ホモゲナイザーを例示できる。
均質化後の加熱殺菌工程は、乳化物を殺菌するために行う工程であり、加熱殺菌工程での水中油型乳化物の品温が、90〜150℃で加熱殺菌されるのが好ましく、より好ましくは110℃〜150℃であり、更に好ましくは120℃〜150℃である。加熱殺菌方式には間接加熱方式と直接加熱方式の主に2種類があり、本発明に係る起泡性水中油型乳化物の加熱殺菌方式としては、直接加熱方式の直接蒸気吹き込み方式が好ましい。
なお、直接加熱式滅菌装置としては、例えば、超高温滅菌装置(岩井機械工業株式会社製)を例示できる。
本発明では、加熱殺菌後に冷却を行うことが好ましい。冷却工程では、間接冷却及び/又は蒸発冷却であることが好ましく、特に、間接冷却のみで冷却工程を行うことが好ましい。間接冷却により冷却を行うことで、製造時の風味成分が散逸することによる風味劣化を抑制することができる、起泡性水中油型乳化物を提供することができる。
なお、間接冷却方式としては、例えば、プレート式間接冷却装置(岩井機械工業株式会社製)を例示できる。
本発明に係る起泡性水中油型乳化物には、本発明の効果を妨げない範囲で糖類を添加することができる。添加する糖類としては、例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖、乳糖、麦芽糖、転化糖、トレハロース、糖アルコール、コーンシロップ、水あめ、デキストリン等を例示できる。また、糖アルコールとしては、エリスリトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール等の単糖アルコール、イソマルチトール、マルチトール、ラクチトール等の二糖アルコール、マルトトリイトール、イソマルトトリイトール、パニトール等の三糖アルコール、オリゴ糖アルコール等の四糖以上の糖アルコール、還元澱粉糖化物、還元澱粉分解物等を例示できる。また、乳蛋白質を含有する原料中に存在する乳糖も、本発明の糖類に含まれる。
本発明に係る起泡性水中油型乳化物は、本発明の効果を妨げない範囲で、用途に応じて、増粘多糖類、塩類を添加することが好ましい。増粘多糖類としては、例えば、ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、ウェランガム、カラヤガム、サイリウムシードガム、プルラン、白キクラゲ抽出物、アルギン酸塩、水溶性大豆多糖類、カラギーナン、タマリンド種子ガム及びタラガムから選択される1種又は2種以上の増粘多糖類を選択し、適宜使用することができる。また、塩類としては、例えば、ヘキサメタリン酸塩、第二リン酸塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸塩、重曹等を1種又は2種以上混合使用することができる。その他、本発明の効果を妨げない範囲で、所望により、香料、色素、保存料等を添加することができる。
本発明に係る起泡性水中油型乳化物は、起泡させた状態及び/又は起泡させていない液状の状態で、アイス、ドリンク、ケーキ、菓子類等に使用することができる。本発明の起泡性水中油型乳化物を使用することで、カカオパウダー及び/又はカカオマスに含まれるカカオ無脂固形分を使用しなくとも、従来味わうことができなかったココアバターが有する独自の風味が濃厚な、良好な風味を味わうことができるものである。
以下に実施例を記載する。以下「%」及び「部」は特に断りのない限り「質量%」及び「質量部」を意味するものとする。
○起泡性水中油型乳化物の製造
(実施例1)
仕込み総質量を25kgとし、ココアバター(不二製油株式会社製製品、融点33℃)15質量部、油脂Aである、パーム核油とパーム油のランダムエステル交換油脂(融点32℃)5質量部、油脂Bであるパーム核油(不二製油株式会社製「精製パーム核油」、融点28℃)8質量部及びパーム核硬化油(不二製油株式会社製「ニューメラリン38」、融点38℃)7質量部に大豆レシチン0.27質量部、グリセリン脂肪酸エステル(坂本薬品工業株式会社製「グリスターMO-3S」、HLB8.8)0.03質量部、ショ糖脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製「シュガーエステルS570」、HLB 5)0.3質量部を添加し、混合溶解し油相とする。これとは別に水64質量部に、部分分解した植物蛋白素材(不二製油株式会社製の部分分解粉末状分離大豆たん白「フジプロCLE」、分解度25%)1質量部、クエン酸ナトリウム0.3質量部を溶解し水相を調整する。上記乳化タンクで油相、水相を調合して予備乳化し、4MPaの均質化圧力で均質化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、145℃において4秒間の直接加熱方式による殺菌処理を行った後、直ちに冷却し、実施例1の起泡性水中油型乳化物を得た。
(実施例2)
実施例1の起泡性水中油型乳化物の配合に、更にショ糖脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製「シュガーエステルS170」、HLB 1)0.1質量部を配合する以外は、実施例1の配合及び製法と同様にして、実施例2の起泡性水中油型乳化物を得た。
(実施例3)
実施例1の起泡性水中油型乳化物の配合に、更にショ糖脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製「シュガーエステルS170」、HLB 1)0.1質量部、及びグリセリン脂肪酸エステル(坂本薬品工業株式会社製「グリスターPS-5S」、HLB4.5)0.1質量部を配合する以外は、実施例1の配合及び製法と同様にして、実施例3の起泡性水中油型乳化物を得た。
(比較例1)
実施例1の起泡性水中油型乳化物の油脂を、ココアバター15質量部及び油脂Bに該当するパーム核油20質量部とし、更に、実施例1の部分分解した植物蛋白素材を、部分分解していない植物蛋白素材である粉末状分離大豆たん白(不二製油株式会社製「フジプロR」)1質量部に置き換える以外は、実施例1の配合及び製法と同様にして、比較例1の起泡性水中油型乳化物を得た。
(比較例2)
実施例1の起泡性水中油型乳化物の油脂を、ココアバター15質量部及び油脂Bに該当するパーム核油20質量部とする以外は、実施例1の配合及び製法と同様にして、比較例2の起泡性水中油型乳化物を得た。
(比較例3)
実施例1の起泡性水中油型乳化物の部分分解した植物蛋白素材を、部分分解していない植物蛋白素材である粉末状分離大豆たん白(不二製油株式会社製「フジプロFR」)1質量部に置き換え、更に、ショ糖脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製「シュガーエステルS170」、HLB 1)0.1質量部、及びグリセリン脂肪酸エステル(坂本薬品工業株式会社製「グリスターPS-5S」、HLB4.5)0.1質量部を配合する以外は、実施例1の配合及び製法と同様にして、比較例3の起泡性水中油型乳化物を得た。
表1.配合
Figure 2020115854
(油脂A)
油脂Aとして、パーム核油及びパーム油を用い、ランダムエステル交換した油脂(融点32℃)を使用した。該ランダムエステル交換油脂は、以下の構成脂肪酸組成を有する油脂であった。
・構成脂肪酸組成中、炭素数6〜14の飽和脂肪酸の含有量が23.8質量%
・構成脂肪酸組成中、炭素数16〜18の飽和脂肪酸の含有量が45.4質量%
・構成脂肪酸組成中、炭素数6〜10の飽和脂肪酸と炭素数18の不飽和脂肪酸の合計量 が51.3質量%

(油脂B)
油脂Bとして、パーム核油及び/又はパーム核硬化油を使用した。パーム核油又はパーム核硬化油は以下の構成脂肪酸組成を有する油脂であった。
(パーム核油)
・構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が47.6質量%
・構成脂肪酸組成中、炭素数6〜10の飽和脂肪酸の含有量が5.9質量%
・構成脂肪酸組成中、炭素数16〜18の飽和脂肪酸の含有量が11.0質量%
・構成脂肪酸組成中、炭素数18の不飽和脂肪酸の含有量が18.8質量%

(パーム核硬化油)
・構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が47.3質量%
・構成脂肪酸組成中、炭素数6〜10の飽和脂肪酸の含有量が7.3質量%
・構成脂肪酸組成中、炭素数16〜18の飽和脂肪酸の含有量が27.5質量%
・構成脂肪酸組成中、炭素数18の不飽和脂肪酸の含有量が2.1質量%
表2.油脂Bの構成脂肪酸組成
Figure 2020115854
なお、油脂A及び油脂Bの構成脂肪酸組成の分析は、油脂の脂肪酸組成は日本油化学協会基準油脂分析試験法(1996年版)2.4.1.2メチルエステル化法(三フッ化ホウ素メタノール法)に規定の方法に準じて測定した。
使用する油脂全体のトリグリセリド組成において、トリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数(CN)を分析した。(CN28〜CN40)を油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が28〜40のトリグリセリド、(CN44〜CN48)を油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が44〜48のトリグリセリド、(CN52〜CN54)を油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が52〜54のトリグリセリドとし、(CN44〜CN48)に対する(CN52〜CN54)の質量比((CN52〜CN54)/(CN44〜CN48))を算出した。
(トリグリセリド組成分析方法)
油脂中のトリグリセリドを構成している脂肪酸の総炭素数の測定は、日本油化学会制定‘基準油脂分析試験法2.4.6 トリアシルグリセリン組成(ガスクロマトグラフ法)’に準じて実施した。
表3.トリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数(CN)の割合
Figure 2020115854
(CN44〜CN48)に対する(CN52〜CN54)の質量比((CN52〜CN54)/(CN44〜CN48))が、実施例1〜3及び比較例3では2.6、比較例1〜2では3.1であった。
○評価法
実施例及び比較例について、評価を行った。調製から1日後、及び調製から8日後の各起泡性水中油型乳化物について、粒子径測定、粘度測定、及び乳化安定性評価試験を実施した。また調製から1日後に各起泡性水中油型乳化物をホイップしたものを官能評価した。
なお、該起泡性水中油型乳化物のホイップは、品温5℃の各起泡性水中油型乳化物1kgをホバートミキサー(HOBART CORPORATION製 MODEL N−5)で、3速(300rpm)にてホイップし、最適起泡状態となった段階でホイップを終了し起泡済みのホイップクリームを得た。官能評価は、パネラー10名にて盲検にて試食を行い、ココアバターが有する独自の良好なカカオ風味について、合議にて以下の基準に従って評価した。
なお、本評価におけるパネラーは、従前から起泡性水中油型乳化物の研究に従事し、熟練したパネラー10名であった。
また、(1)粒子径の測定、(2)粘度測定、(3)乳化安定性評価試験は、以下のように評価した。
(1)粒子径の測定:起泡性水中油型乳化物の粒子径は、レーザー回折・光散乱法を用いた粒子径測定装置(株式会社島津製作所製「SALD−7100」)で、起泡性水中油型乳化物を水に少量分散させ、25℃で測定したのときの粒子径を測定した。[単位:μm]
粒子径は、3.5μm以下を合格とした。更に、合格範囲の中でも、2.3μm以上3.5μm以下を「○」、2.3μm以下をより良好な乳化安定性があるとして「◎」と評価した。

(2)粘度測定:品温5℃の起泡性水中油型乳化物の粘度は、BM形粘度計(東機産業株式会社製「VISCOMETER TV−10」)にてローターNo.2を用いて測定した。[単位:cP]
なお、測定時のローター回転数は、粘度が500cP以下の場合は60rpm、粘度が500cP〜1000cPの場合は30rpm、粘度が1000cP〜1500cPの場合は12rpmの条件で測定した。
粘度は、10cP以上1500cP以下を合格とした。

(3)乳化安定性評価試験:起泡性水中油型乳化物を100ml容ビーカーに50g採り、20℃で2時間及び5℃で2時間それぞれインキュベートし、その後5分間、横型シェーカーを用い、振動させ、水中油型乳化物のボテの発生の有無を確認した。このとき、5分間ボテが発生しなかったものを合格とした。
なお、ボテとは、品温の上昇や輸送中の振動によって著しい粘度上昇や固化が起こることであり、通称“ボテ”と称せられるものである。
<官能評価>
5点:非常に良好(良好なカカオ風味が、濃厚に強く感じられる)
4点:良好(良好なカカオ風味が感じられる)
3点:許容できる
2点:やや不良(カカオ風味が弱い)
1点:不良(カカオ風味が感じられない、又はカカオ風味とは異なる)
3点以上となったものを、合格とした。
表4.結果(調製から1日後)
Figure 2020115854
なお、測定不可とは、起泡性水中油型乳化物が凝集してしまい、測定することができなかった場合を指す。
表5.結果(調製から8日後)
Figure 2020115854
なお、測定不可とは、起泡性水中油型乳化物が凝集してしまい、測定することができなかった場合を指す。
表6.官能評価結果
Figure 2020115854
表4〜6の結果より、調製から1日後及び調製から8日後に、(1)粒子径の測定,(2)粘度,及び(3)乳化安定性評価試験の結果が合格であり、かつ官能評価試験結果が合格であった、実施例1〜3が最終合格であった。
考察
以上の結果より、本発明において、ココアバター6〜25質量%、特定の構成脂肪酸を有する油脂Aを2〜20質量%、植物性蛋白素材の部分分解物を固形分換算で0.2〜8質量%、及び乳化剤0.05〜3質量%を含有することで、乳由来原料を使用せず、植物性素材のみを使用した起泡性水中油型乳化物であって、ココアバターを多量に含み、かつ植物性蛋白素材を含む、乳化安定性が良く、風味良好な起泡性水中油型乳化物を提供することができることを見出した。

Claims (6)

  1. ココアバター6〜25質量%、油脂Aを2〜20質量%、植物性蛋白素材の部分分解物を固形分換算で0.2〜8質量%、及び乳化剤0.05〜3質量%含有する、起泡性水中油型乳化物。
    油脂Aは下記を満たすランダムエステル交換油脂、
    ・構成脂肪酸組成中、炭素数6〜14の飽和脂肪酸の含有量が10〜50質量%
    ・構成脂肪酸組成中、炭素数16〜18の飽和脂肪酸の含有量が15〜65質量%
    ・構成脂肪酸組成中、炭素数6〜10の飽和脂肪酸と炭素数18の不飽和脂肪酸の合計量 が20〜60質量%
  2. 油脂Bを2〜30質量%含有する、請求項1記載の起泡性水中油型乳化物。
    油脂Bは下記を満たす非エステル交換ラウリン系油脂、
    ・構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が40〜60質量%
    ・構成脂肪酸組成中、炭素数6〜10の飽和脂肪酸の含有量が1〜20質量%
    ・構成脂肪酸組成中、炭素数16〜18の飽和脂肪酸の含有量が10〜40質量%
    ・構成脂肪酸組成中、炭素数18の不飽和脂肪酸の含有量が0.2〜25質量%
  3. 植物性素材のみを使用したものである、請求項1又は2記載の起泡性水中油型乳化物。
  4. 該植物性蛋白素材が大豆蛋白である、請求項1〜請求項3いずれか1項に記載の起泡性水中油型乳化物。
  5. 粒子径が3.5μm以下である、請求項1〜4いずれか1項に記載の起泡性水中油型乳化物。
  6. (CN44〜CN48)に対する(CN52〜CN54)の質量比((CN52〜CN54)/(CN44〜CN48))が2.8〜2.0である、請求項1〜請求項5いずれか1項に記載の起泡性水中油型乳化物。
    ただし、(CN44〜CN48):油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が44〜48のトリグリセリド、
    (CN52〜CN54):油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が52〜54のトリグリセリドを示す。
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