JP6278649B2 - 中鎖脂肪酸含有トリグリセリドを含む乳化組成物及びその製造方法 - Google Patents

中鎖脂肪酸含有トリグリセリドを含む乳化組成物及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、中鎖脂肪酸含有トリグリセリドを含む乳化組成物及びその製造方法に関する。
構成脂肪酸に中鎖脂肪酸を含有するトリグリセリドは、その機能が構成脂肪酸に中鎖脂肪酸を含有しない動植物由来の食用油脂と異なっている。特に、中鎖脂肪酸トリグリセリドは、中鎖脂肪酸が消化管内で速やかに吸収され、肝臓で極めて早く分解、エネルギー化されることから、流動食等の栄養剤として用いられてきた。
しかしながら、中鎖脂肪酸トリグリセリドを食用油脂として使用する場合、人によっては中鎖脂肪酸トリグリセリドを摂取すると、胃もたれや胃への刺激等上腹部に不快感を誘発する場合があるため、その配合量には制限があった。また、特に乳化物とした場合、苦みや渋みを感じる場合があった。
かかる課題を解決するために、例えば特許文献1には、全構成脂肪酸中に炭素数6〜10の中鎖脂肪酸を5〜100質量%含有し、かつ、水酸基価が1以下の食用油脂、及び、それを使用した乳化油脂組成物が記載されている。しかしながら、特許文献1のように中鎖脂肪酸含有油脂の水酸基価を下げることで、中鎖脂肪酸含有油脂を使用した乳化物の苦みや渋みをある程度軽減することはできるものの、胃もたれや胃への刺激等を軽減することはなかった。
従って、中鎖脂肪酸を構成脂肪酸とするトリグリセリドを含有していながら、胃への負担感を軽減した乳化物の開発が望まれていた。
特開2003−135001号公報
解決しようとする課題は、中鎖脂肪酸を構成脂肪酸の一部もしくは全部とするトリグリセリドを含有していても、苦みや渋み等の異味や、胃もたれや胃への刺激等の胃への負担感が軽減された乳化組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、外相が油脂であり、中鎖脂肪酸含有トリグリセリドを含む水中油型乳化物を内相として含む乳化組成物とすることで、本発明の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(1)外相の連続相が油脂である乳化組成物であって、中鎖脂肪酸含有トリグリセリドを含む水中油型乳化物を、その内相として含む乳化組成物である。(2)上記水中油型乳化物中の油脂に含まれる中鎖脂肪酸含有トリグリセリド含量が30質量%以上である乳化組成物である。(3)上記外相の油脂の中鎖脂肪酸含有トリグリセリド含量が30質量%以下である乳化組成物である。(4)上記中鎖脂肪酸含有トリグリセリドを構成する全中鎖脂肪酸中のn−デカン酸含量が20質量%以上である乳化組成物である。(5)上記乳化組成物中の中鎖脂肪酸含有トリグリセリド含量が5〜70質量%である乳化組成物である。(6)上記の乳化組成物を使用した食品である。そして、(7)連続相が油脂である油脂組成物に、中鎖脂肪酸含有トリグリセリドを含む水中油型乳化物を混入分散する、乳化組成物の製造方法である。
本発明によれば、中鎖脂肪酸を構成脂肪酸の一部もしくは全部とするトリグリセリドを含有していても、苦みや渋み等の異味や、胃もたれや胃への刺激等の胃への負担感が軽減された、口どけの良い乳化組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該乳化組成物を使用した、スプレッド、バタークリーム、ガナッシュ等の食品を提供できる。
以下、本発明について順を追って説明する。なお、本発明において乳化組成物とは、少なくとも油脂と水とを含有する組成物であり、油脂組成物とは、油脂と油脂以外の少なくとも1つのその他成分(乳化剤、糖類、水等)を含有する組成物である。
本発明における中鎖脂肪酸は、炭素数6〜10の脂肪酸である。本発明の中鎖脂肪酸は、飽和の直鎖脂肪酸であることが好ましく、より具体的には、n−ヘキサン酸、n−オクタン酸、n−デカン酸であることが好ましく、n−オクタン酸、n−デカン酸であることがより好ましい。
本発明における中鎖脂肪酸含有トリグリセリド(以下、MTGとも表す)は、上記中鎖脂肪酸を構成脂肪酸の一部もしくは全部とするトリグリセリドである。構成脂肪酸の全部が中鎖脂肪酸であるトリグリセリドは、中鎖脂肪酸トリグリセリド(以下、MCTとも表す)であり、MTGに含まれる。
本発明における中鎖脂肪酸含有トリグリセリドの中鎖以外の脂肪酸は、長鎖脂肪酸であることが好ましい。長鎖脂肪酸とは炭素数が12以上、好ましくは12〜22の飽和および不飽和脂肪酸を言い、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。長鎖脂肪酸は、炭素数16〜22であることがより好ましい。
本発明における中鎖脂肪酸含有トリグリセリドが長鎖脂肪酸を含む場合、中鎖脂肪酸をM、長鎖脂肪酸をLとすると、そのトリグリセリドが、MLL、LML、LLM、MML、MLM、LMMの構造を有するものを意味する。また、中鎖脂肪酸トリグリセリドの構造は、MMMである。中鎖脂肪酸含有トリグリセリドの分析及び計算方法は、当技術分野に周知の方法を用いることができ、詳しくは、R.J.VANDER WALの総説(Jarnal of American Oil Chemists' Society 40, 242−247 (1963))等を参照できる。
本発明における中鎖脂肪酸含有トリグリセリドは、油脂加工において通常行われるエステル交換及び/又はエステル化により得られる。例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)の場合、常法に従って、中鎖脂肪酸とグリセリンとを、触媒下、好ましくは無触媒下で、また、好ましくは減圧下で、120〜180℃に加熱し、脱水縮合させることにより製造できる。反応後必要に応じて、触媒の除去、通常の食用油脂の精製工程で行われる脱色、脱臭処理を施すことができる。
本発明における中鎖脂肪酸含有トリグリセリドが長鎖脂肪酸を含む場合、例えば、MCTと、菜種油、パーム油等の構成脂肪酸として炭素数16以上の脂肪酸が90質量%以上の油脂とを、質量比で好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは20:80〜80:20で混合した混合油脂をエステル交換することにより得られる。エステル交換の方法としては、特に制限はなく、化学的エステル交換、酵素的エステル交換のどちらの方法でもよい。なお、化学的エステル交換は、触媒としてナトリウムメチラート等の化学触媒を用いて行われるものであり、反応は位置選択性の低い非選択的エステル交換となる。
化学的エステル交換は、例えば、常法に従って、原料油脂を十分に乾燥させ、触媒を原料油脂に対して0.1〜1質量%添加した後、減圧下、80〜120℃で0.5〜1時間攪拌しながら反応を行うことができる。エステル交換反応終了後は、水洗にて触媒を洗い流した後、通常の食用油脂の精製工程で行われる脱色、脱臭処理を施すことができる。
酵素的エステル交換は、触媒としてリパーゼ製剤を用いて行われるものであり、リパーゼ製剤の選択により、1,3位選択性のあるエステル交換が可能である。酵素的エステル交換は、例えば、常法に従って、原料油脂にリパーゼ製剤を対油脂0.01〜5質量%添加した後、30〜70℃で、1〜40時間攪拌しながら反応を行うことができる。エステル交換反応終了後は、ろ過によりリパーゼ製剤を除去した後、通常の食用油脂の精製工程で行われる脱色、脱臭処理を施すことができる。
本発明の乳化組成物は、外相が油脂の連続相である乳化組成物である。本発明の乳化組成物の外相を構成する油脂は、中鎖脂肪酸含有トリグリセリドの含量が30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、0〜10質量%であることがさらに好ましい。本発明の乳化組成物の外相を構成する油脂の中鎖脂肪酸含有トリグリセリド含量が上記範囲程度であると、乳化組成物を食した場合の異味や胃への負担感が軽減できるので好ましい。
本発明の乳化組成物の外相を構成する油脂は、中鎖脂肪酸含有トリグリセリド(MTG)を含む場合、全MTGに含まれる中鎖脂肪酸中のn−デカン酸含量が20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、60〜100質量%であることがさらに好ましい。また、全MTGに含まれる中鎖脂肪酸中のn−ヘキサン酸含量が、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、0〜10質量%であることがさらに好ましい。本発明の乳化組成物の外相を構成する油脂がMTGを含む場合、全MTGに含まれる中鎖脂肪酸中のn−デカン酸含量及びn−ヘキサン酸含量が上記範囲程度であると、乳化組成物を食した場合の異味や胃への負担感が軽減できるので好ましい。
本発明の乳化組成物の外相を構成する油脂は、中鎖脂肪酸含有トリグリセリドの含量が上記範囲程度であれば、通常食用に使用されるものであれば良く、例えば、パーム油、カカオ脂、サル脂、シア脂、ヤシ油、パーム核油、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、ヒマワリ油、米油、ゴマ油、オリーブ油、グレープシード油、落花生油、亜麻仁油、乳脂、ラード、牛脂、魚油、MCT等の油脂、これら油脂を、混合、分別、水素添加、エステル交換等から選ばれる一種もしくは二種以上の加工を行った油脂が挙げられる。これらの中では、トランス脂肪酸含量を低減するという意味で非部分水素添加油であることが好ましく、パーム油、パーム分別油等のパーム系油脂、及びパーム系油脂やその加工油脂を原料油脂として含むエステル交換油の中から選ばれる少なくとも一種が用いられることが好ましい。本発明の乳化組成物の外相を構成する油脂は、その固体脂含量(以下、SFCとも表す)が、20℃で10〜100%、30℃で2〜60%、40℃で0〜5%であることが好ましい。
本発明の乳化組成物は、その内相に中鎖脂肪酸含有トリグリセリドを含む水中油型乳化物を含む。該水中油型乳化物中の油脂に含まれる中鎖脂肪酸含有トリグリセリドの含量は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70〜100質量%であることがさらに好ましい。本発明の乳化組成物の内相に含まれる水中油型乳化物中の油脂の中鎖脂肪酸含有トリグリセリド含量が上記範囲程度であると、該乳化組成物を食する場合、中鎖脂肪酸含有トリグリセリドの摂取量を増やすことができるので好ましい。
本発明の乳化組成物の内相に含まれる水中油型乳化物に含まれる中鎖脂肪酸含有トリグリセリド(MTG)は、全MTGに含まれる中鎖脂肪酸中のn−デカン酸含量が20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、60〜100質量%であることがさらに好ましい。また、全MTGに含まれる中鎖脂肪酸中のn−ヘキサン酸含量が、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、0〜10質量%であることがさらに好ましい。本発明の乳化組成物の内相に含まれる水中油型乳化物に含まれるMTGは、全MTGに含まれる中鎖脂肪酸中のn−デカン酸含量及びn−ヘキサン酸含量が上記範囲程度であると、乳化組成物を食した場合の異味や胃への負担感が軽減できるので好ましい。
本発明の乳化組成物の内相に含まれる水中油型乳化物を構成する油脂は、中鎖脂肪酸含有トリグリセリドの含量が上記程度であれば、通常食用に使用されるものであれば良く、例えば、例えばパーム油、カカオ脂、サル脂、シア脂、ヤシ油、パーム核油、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、ヒマワリ油、米油、ゴマ油、オリーブ油、グレープシード油、落花生油、亜麻仁油、乳脂、ラード、牛脂、魚油、MCT等の油脂、これら油脂を、混合、分別、水素添加、エステル交換等から選ばれる一種もしくは二種以上の加工を行った油脂が挙げられる。
本発明の乳化組成物の内相に含まれる水中油型乳化物は、油脂を10〜80質量%、水を10〜80質量%含む水中油型乳化物であることが好ましく、油脂を30〜70質量%、水を10〜70質量%含む水中油型乳化物であることがより好ましい。
本発明の乳化組成物の内相に含まれる水中油型乳化物は、油脂及び水以外に、本発明の効果を損なわない程度において、通常のホイップクリームやフラワーペースト等に使用されるその他の副素材を使用してもよい。例えば、ブドウ糖、マルトース、蔗糖、ラクトース、トレハロース、マルトトリオース、テトラオース、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール等の単糖類、二糖類、オリゴ糖類、澱粉加水分解物及びこれらを還元した糖アルコール、それらの混合物、各種液糖等の糖類、馬鈴薯、甘藷、片栗、サゴ、タピオカ、コーン、米、小麦、豆等から得られる澱粉あるいはそれらの加工澱粉等の澱粉類、ペクチン、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、CMC、ローカストビーンガム、ジェランガム等の増粘多糖類、全脂粉乳、バターミルク、脱脂粉乳、全脂加糖練乳、生クリーム、カゼインナトリウム、乳ホエー等の乳製品、大豆タンパク、大豆タンパク分解物、大豆ホエー濃縮物、乾燥卵白、加糖卵黄、小麦グルテン、小麦グルテン分解物等の蛋白関連製品、カカオマス、ココアパウダー、ナッツペースト、果実等の呈味成分、モノグリセリド、有機酸モノグリセリド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、酵素分解レシチン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリソルベート等の乳化剤、フレーバー、着色料、酸化防止剤等を使用することができる。
本発明の乳化組成物の内相に含まれる水中油型乳化物は、通常のフィリング・トッピング材と同様の方法により製造することができる。フラワーペーストタイプの場合、例えば、α化澱粉や糖類を、分散及び/又は溶解させた水相に、中鎖脂肪酸含有トリグリセリドを含む油脂を加え、ホモミキサーを用いて水中油型に乳化した後、さらに練乳や加糖卵黄等の副素材を投入して、60〜100℃に加熱した後冷却し、香料等を分散させることにより製造することができる。またクリームタイプの場合、例えば、中鎖脂肪酸含有トリグリセリドを含む油脂に油溶性のその他の成分を溶解または分散させて油相を調製する。一方、水に水溶性のその他の成分を溶解または分散させて調製した水相も調製する。それぞれ調製した油相と水相を混合し、予備的に乳化させた乳化物を均質化処理することにより製造することができる。水中油型乳化物は、必要に応じて殺菌処理することもできる。均質化処理は、殺菌処理の前に行う前均質であっても、殺菌処理の後に行う後均質であってもよく、また前均質および後均質の両者を組み合わせた二段均質を行うこともできる。均質化処理の後は、冷却、エージングの工程をとることもできる。
本発明の乳化組成物は、外相の連続相が油脂である乳化組成物であって、中鎖脂肪酸含有トリグリセリドを含む水中油型乳化物をその内相として含む乳化組成物であり、一部に油中水中油型(O/W/O型)の構造を含んでもよい。本発明の乳化組成物は、その内相として、中鎖脂肪酸含有トリグリセリドを含む水中油型乳化物を、10〜90質量%含むことが好ましく、20〜80質量%含むことがより好ましい。また、本発明の乳化組成物は、乳化組成物中に中鎖脂肪酸含有トリグリセリドを5〜70質量%含むことが好ましく、10〜60質量%含むことがより好ましく、15〜50質量%含むことがさらに好ましい。本発明の乳化組成物の中鎖脂肪酸含有トリグリセリド含量が上記範囲程度であると、乳化組成物を食した場合、異味や胃への負担感がほとんど気にならない状態で、中鎖脂肪酸を適当量摂取できるので好ましい。
本発明の乳化組成物は、本発明の効果を損なわない程度において、本発明の乳化組成物の内相に含まれる水中油型乳化物と同様の各種副素材を含むことができる。また、本発明の乳化組成物は、中鎖脂肪酸を構成脂肪酸の一部もしくは全部とするトリグリセリドを含有していても、苦みや渋み等の異味や、胃もたれや胃への刺激等の胃への負担感が軽減されたものであるが、さらに、中鎖脂肪酸含有トリグリセリドを水中油型乳化物中に含有する構造のためか、同程度の油脂含量及び硬さの乳化物と比較して、口どけに優れたものである。
本発明の乳化組成物は、通常のO/W/O型乳化物と同様に製造することができる。例えば、本発明の乳化組成物がバタークリーム類である場合、外相となるショートニングもしくはマーガリン等の可塑性油脂組成物に水中油型乳化物を加えて乳化組成物とし、起泡化することにより、または、起泡化させた可塑性油脂組成物に水中油型乳化物を添加攪拌することにより製造することができる。水中油型乳化物の他に、必要に応じて液糖等をさらに加えてもよい。また、例えば、ファットスプレッド類である場合、外相となる融解した油脂組成物(例えば、油脂と乳化剤の混合物)に水中油型乳化物を混合し、常法に従って、ボテーター、コンビネーター等の急冷混捏装置を使用して、急冷混捏することにより製造することができる。また、例えば、ガナッシュ類の場合、融解したチョコレート(外相となる油脂組成物)に水中油型乳化物を混合し、攪拌冷却することにより製造することができる。
本発明の食品は、本発明の乳化組成物を使用した食品であり、バタークリーム類、ファットスプレッド類、ガナッシュ類等のように本発明の乳化組成物そのものである場合や、例えば、本発明の乳化組成物を、サンド、トッピング、コーティング、折り込み、練り込み等した複合食品も含むものである。
以下、具体的な実施例に基づいて、本発明について詳しく説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例の内容に、何ら限定されるものではない。
<バタークリームの例>
〔外相となるショートニングの調製〕
表1の原材料配合に従って常法により、原材料を混合融解し、コンビネーターにより急冷混捏することでショートニングA、Bを調製した。
表1中の油脂は以下のものを使用した。
エステル交換油1:パーム油60質量部とパーム核油40質量部との混合油を化学的エステル交換したエステル交換油(全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸含量2.2質量%(内訳:n−オクタン酸含量1.3質量%、n−デカン酸含量0.9質量%)、MTG含量9.3質量%)
エステル交換油2:パームステアリン極度硬化油50質量部とパーム核オレイン極度硬化油50質量部との混合油を化学的エステル交換したエステル交換油(全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸含量3.2質量%(内訳:n−オクタン酸2.0質量%、n−デカン酸含量1.2質量%)、MTG含量13.2質量%)
MCT1:トリグリセリドを構成する脂肪酸がn−オクタン酸(炭素数8)とn−デカン酸(炭素数10)であり、その質量比で75:25であるMCT(MTG含量100質量%)
ヤシ硬化油:全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸含量12.3質量%(内訳:n−オクタン酸含量8.0質量%、n−デカン酸含量4.3質量%)、MTG含量53.2質量%
菜種油:全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸含量0質量%、MTG含量0質量%
Figure 0006278649
〔内相となる水中油型乳化物の調製〕
表2の原材料配合に従って常法により、水中油型乳化物A、Bを調製した。すなわち、ホモミキサー(特殊機化製)に液糖を投入し、化工澱粉、乾燥卵白等の粉類を投入して分散/溶解させた後、85℃に加温した油脂を投入して攪拌により乳化した。80℃まで加温した後、時々攪拌しながら減圧下で保持した。62℃、常圧に戻した後、フレーバー等を投入し、再度減圧下で均一に分散させることにより水中油型乳化物を調製した。
表2中の油脂は、表1の油脂以外は以下のものを使用した。
MCT2:トリグリセリドを構成する脂肪酸がn−オクタン酸(炭素数8)とn−デカン酸(炭素数10)であり、その質量比で30:70であるMCT(MTG含量100質量%)
Figure 0006278649
〔バタークリームの調製〕
表3の配合に従って、バタークリーム(実施例1、2、比較例1、2)を調製した。すなわち、ショートニングと水中油型乳化物とを縦型ミキサーにより比重が0.4となるまでホイップした後、液糖及びその他副素材を加えて、比重が0.6となるまでホイップした。
実施例1、2、比較例1、2のバタークリームについて、口どけ、異味及び胃へ負担感を、MTG含有食品の評価に熟練した評価者4名で評価した。評価結果を表3に纏めた。
〔バタークリームの評価基準〕
口どけ
瑞々しくて口どけが良い ◎
口どけが良い ○
やや重い △
べったりとして重い ×
異味
異味がない ◎
気にならないレベルである ○
異味をやや感じる △
異味を感じる ×
胃への負担感
胃への負担感がなく良好 ◎
気にならないレベルである ○
胃への負担感をやや感じる △
胃への負担感を感じる ×
Figure 0006278649

Claims (3)

  1. 外相の連続相が油脂であり、内相に20〜80質量%の水中油型乳化物を含む、中鎖脂肪酸含有トリグリセリドの含有量が15〜70質量%である乳化組成物であって、
    前記外相の油脂に含まれる中鎖脂肪酸含有トリグリセリドの含有量が0〜7.5質量%であり、
    前記水中油型乳化物が、油脂中に、構成脂肪酸に含まれる中鎖脂肪酸の全量に占めるn−デカン酸の含有量が60〜100質量%である中鎖脂肪酸含有トリグリセリドを70〜100質量%含む、
    バタークリーム類、ファットスプレッド類、あるいはガナッシュ類である、
    乳化組成物。
  2. 前記水中油型乳化物の油脂含有量が30〜70質量%である、請求項に記載の乳化組成物。
  3. 連続相が油脂である油脂組成物に、中鎖脂肪酸含有トリグリセリドを含む水中油型乳化物を混入分散する、請求項1または2に記載の乳化組成物の製造方法。
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