JP2016093204A - 油脂含有食品 - Google Patents

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裕伴 長谷川
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Abstract

【課題】本発明の課題は、糖アルコールを含有する、甘味の発現に優れた油脂含有食品を提供することである。
【解決手段】構成脂肪酸として炭素数6〜12の中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールを有効成分とする、糖アルコールを含有する油脂含有食品の甘味改質剤。糖アルコールおよび油脂と、前記糖アルコールを含有する油脂含有食品の甘味改質剤とを含有する、糖アルコールを含有する油脂含有食品。糖アルコールを含有する油脂含有食品中の油脂に占める、構成脂肪酸として炭素数6〜12の中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールの含量を、0.5〜100質量%とする、糖アルコールを含有する油脂含有食品の甘味改質方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、糖アルコールを含有する油脂含有食品に関する。
油脂と糖類を多く含有する食品としては、チョコレートやクリームなどがよく知られている。例えば、一般にチョコレートは、カカオマス、砂糖、ココアバター、粉乳などを原料とする嗜好性の高い食品である。そして、油脂と砂糖がその大部分を占めるため、チョコレートは高カロリーな食品でもある。したがって、近年の糖尿病患者とその予備軍の増加に伴い、血糖値の上昇が抑制された、いわゆる、砂糖の使用量を抑えた低糖、あるいは、砂糖を含まない無糖のチョコレートに対する需要が増えている。
低糖あるいは無糖のチョコレートとしては、砂糖の代わりに糖アルコールや食物繊維を使用したものが知られている。例えば、特許文献1には、高純度の結晶化マルチトール、ラクチトール、水素化イソマルツロースおよび低カロリーサッカライドポリマーからなる群より選択された少なくとも1つを含む低カロリーチョコレートが開示されている。また、特許文献2には、砂糖代替物として還元パラチノース、還元乳糖又は還元麦芽糖から1種又は2種以上選んだ還元糖類が配合されたチョコレートにおいて、水溶性の難消化性デキストリンが配合されているチョコレートが開示されている。
しかしながら、糖アルコール等の砂糖代替甘味料を使用したチョコレートは、砂糖代替甘味料の甘味度が砂糖と比較して総じて低いことや、砂糖とは異なる甘味を有するため、嗜好性に劣るという難点がある。また、このような難点を克服するために、糖アルコール等の砂糖代替甘味料に、スクラロース、ステビア等の高甘味度甘味料を少量添加し、甘味を補う等の方策が採られているが、甘味の質や感じ方が砂糖と比較して不自然である等、甘味について未だ十分に課題解決されたとはいえない。
油脂と糖類を多く含有するクリームについても同様の課題がある。
特開平5−260894号公報 特開平7−79704号公報
従って、本発明の課題は、糖アルコールを含有する、甘味の発現に優れた嗜好性の高い油脂含有食品を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、糖アルコールを含有する油脂含有食品の油脂中に、構成脂肪酸として中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールを含有させることで本課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一態様によれば、構成脂肪酸として炭素数6〜12の中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールを有効成分とする、糖アルコールを含有する油脂含有食品の甘味改質剤を提供することができる。
本発明の好ましい態様によれば、上記甘味改質剤において、中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールの構成脂肪酸が、炭素数8および/または10の中鎖脂肪酸のみから構成されている、糖アルコールを含有する油脂含有食品の甘味改質剤を提供することができる。
本発明のまた別の態様によれば、糖アルコールおよび油脂と、上記糖アルコールを含有する油脂含有食品の甘味改質剤とを含有する、糖アルコールを含有する油脂含有食品を提供することができる。
本発明のまた別の態様によれば、糖アルコールを含有する油脂含有食品中の油脂に占める、構成脂肪酸として炭素数6〜12の中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールの含量を、0.5〜100質量%とする、糖アルコールを含有する油脂含有食品の甘味改質方法を提供することができる。
本発明のまた別の態様によれば、20〜70質量%の糖アルコールおよび20〜70質量%の油脂を含有する油脂含有食品であって、前記油脂が、構成脂肪酸として中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールを含有する、油脂含有食品を提供することができる。
本発明の好ましい態様によれば、上記構成脂肪酸として中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールにおいて、中鎖脂肪酸の炭素数が8〜12である、油脂含有食品を提供することができる。
本発明の好ましい態様によれば、上記構成脂肪酸として中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールが、構成脂肪酸として中鎖脂肪酸のみを有するトリアシルグリセロールである、油脂含有食品を提供することができる。
本発明の好ましい態様によれば、上記の油脂含有食品であって、さらに、0.2質量%以下の高甘味度甘味料を含有する、油脂含有食品を提供することができる。
本発明の好ましい態様によれば、上記油脂含有食品が、チョコレートである、油脂含有食品を提供することができる。
本発明の好ましい態様によれば、上記油脂含有食品が、クリームである、油脂含有食品を提供することができる。
本発明によれば、糖アルコールを含有する、甘味の発現に優れた嗜好性の高い油脂含有食品を提供することができる。本発明によれば、また、糖アルコールを含有する油脂含有食品の甘味を改質するための、構成脂肪酸として中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールを有効成分とする甘味改質剤を提供することができる。本発明によれば、また、構成脂肪酸として炭素数6〜12の中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールを使用する、糖アルコールを含有する油脂含有食品の甘味改質方法を提供することができる。
以下、本発明について順を追って記述する。
本発明の油脂含有食品の好ましい実施の形態の1つは、チョコレートである。
本発明においてチョコレートとは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(全国チョコレート業公正取引協議会)乃至法規に規定されているチョコレートに限定されない。本発明におけるチョコレートは、食用油脂および糖アルコールを主原料とする。主原料には、必要に応じてカカオ成分(カカオマス、ココアパウダー等)、乳製品、香料、または、乳化剤等を加える。かかるチョコレートは、チョコレート製造の工程(混合工程、微粒化工程、精練工程、成形工程、および冷却工程等の全部乃至一部)を経て製造される。また、本発明におけるチョコレートは、ダークチョコレート、およびミルクチョコレートの他に、ホワイトチョコレート、およびカラーチョコレートも含む。
本発明のチョコレートは、糖アルコールを20〜70質量%含有する。本発明のチョコレートに含まれる糖アルコールとしては、糖類を工業的に還元処理して得られる糖アルコールを使用するのが便利である。具体的には、例えば、マルチトール、ラクチトール、還元イソマルツロース、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、およびソルビトールが挙げられる。糖アルコールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明のチョコレートは、マルチトール、還元イソマルツロール、キシリトール、エリスリトールを含むことが好ましく、特に、還元イソマルツロースを含むことが好ましい。本発明のチョコレートは、糖アルコールを25〜60質量%含有することが好ましく、30〜55質量%含有することがより好ましい。
本発明のチョコレートは、砂糖の使用量を抑えた低糖、あるいは、砂糖を含まない無糖であることが好ましい。従って、本発明のチョコレートに含まれる砂糖の含量は、10質量%以下であることが好ましく、0〜5質量%であることがより好ましい。また、本発明のチョコレートに含まれる糖類の含量は、10質量%以下であることが好ましく、0〜5質量%であることがより好ましい。ここで糖類とは、単糖類と二糖類を意味し、具体的には、例として、果糖、ブドウ糖、ショ糖、麦芽糖、乳糖が挙げられる。
本発明のチョコレートは、チョコレートの甘味を補うために、高甘味度甘味料を少量含有してもよい。高甘味度甘味料は、少なくとも砂糖の100倍以上の甘味を有する甘味料であり、例として、スクラロース、アセスルファムカリウム、ステビア抽出物が挙げられる。本発明のチョコレートに含まれる高甘味度甘味料の含量は、2質量%以下であることが好ましく、0.001〜0.2質量%であることがより好ましく、0.01〜0.1質量%であることがさらに好ましい。
本発明のチョコレートは、油脂を20〜70質量%含有する。本発明のチョコレート中の油脂の含量は、好ましくは25〜60質量%であり、より好ましくは30〜55質量%である。なお、本発明におけるチョコレート中の油脂は、配合される油脂以外に、含油原料(カカオマス、ココアパウダー、全脂粉乳等)由来の油脂(ココアバター、乳脂等)も含む。例えば、一般的に、カカオマス中の油脂(ココアバター)の含量(含油率)は55質量%であり、ココアパウダー中の油脂(ココアバター)の含量(含油率)は11質量%であり、全脂粉乳中の油脂(乳脂)の含量(含油率)は25質量%である。よって、チョコレート中の油脂の含量は、チョコレート中の各原料の配合量(質量%)に含油率を掛け合わせた値を合計した値となる。
本発明のチョコレートは、構成脂肪酸として中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロール(中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロール)を含有する。本発明における中鎖脂肪酸は、炭素数6〜12の脂肪酸であり、飽和の直鎖脂肪酸であることが好ましい。より具体的には、中鎖脂肪酸は、炭素数6〜12の脂肪酸である、n−ヘキサン酸、n−オクタン酸、n−デカン酸、n−ドデカン酸であることが好ましく、炭素数8〜12の脂肪酸である、n−オクタン酸、n−デカン酸、n−ドデカン酸であることがより好ましく、炭素数8〜10の脂肪酸である、n−オクタン酸、n−デカン酸であることがさらに好ましい。
本発明のチョコレートに含まれる中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロール(以下、MTGとも表す)は、上記中鎖脂肪酸を、構成脂肪酸の一部もしくは全部とするトリアシルグリセロールである。構成脂肪酸の全部が中鎖脂肪酸である(構成脂肪酸が中鎖脂肪酸のみである)トリアシルグリセロールは、中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(以下、MCTとも表す)であり、MTGに含まれる。
本発明における中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールの中鎖脂肪酸以外の構成脂肪酸は、長鎖脂肪酸であることが好ましい。長鎖脂肪酸は、炭素数が14以上、好ましくは14〜22の、飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸である。例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸が挙げられる。
本発明における中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールが、構成脂肪酸として長鎖脂肪酸を有する場合(以下、MLCTとも表す)、MLCTは、MLL、LML、LLM、MML、MLM、LMMの構造を有する。ここで、中鎖脂肪酸はMであり、長鎖脂肪酸はLである。また、中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(MCT)の構造は、MMMである。中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールの分析及び計算方法は、当技術分野に周知の方法を用いることができる。詳しくは、R.J.VANDER WALの総説(Jarnal of American Oil Chemists' Society 40, 242−247 (1963))等を参照できる。
本発明における中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールは、油脂加工において通常行われるエステル交換反応及び/又はエステル化反応を用いて製造できる。例えば、中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(MCT)の場合、常法に従って、中鎖脂肪酸とグリセロールとを、120〜180℃に加熱し、脱水縮合させることにより製造できる。この縮合反応は、減圧下で行うのが好ましい。上記縮合反応には、触媒を用いることができる。しかし、無触媒下で、上記縮合反応を行うことが好ましい。反応後必要に応じて、触媒の除去、通常の食用油脂の精製工程で行われる脱色および脱臭処理を施すことができる。
本発明における中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールが長鎖脂肪酸を含む場合、例えば、MCTと、菜種油あるいはパーム油等の構成脂肪酸として炭素数16以上の脂肪酸が90質量%以上の油脂とを、質量比で好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは20:80〜80:20で混合した混合油脂を、エステル交換することにより製造することができる。エステル交換の方法としては、特に制限はない。化学的エステル交換あるいは酵素的エステル交換のどちらの方法も用いることができる。化学的エステル交換は、触媒として、ナトリウムメチラート等の、化学触媒を用いて行われる。化学的エステル交換は、位置選択性の低い、非選択的エステル交換である。
なお、天然油脂には、例えばヤシ油あるいはパーム核油等のようにMTGを含有するものがあり、それらおよびそれらを混合、硬化、分別、エステル交換処理等から選ばれる一種もしくは二種以上の加工を行った油脂も、本発明のMTGの全部乃至一部として利用することができる。
化学的エステル交換は、例えば、常法に従って、以下の操作により行うことができる。すなわち、十分に乾燥させた原料油脂に対して、0.1〜1質量%の触媒を添加することにより得られた、触媒含有原料油脂を、減圧下、80〜120℃で、0.5〜1時間攪拌することにより、エステル交換反応を行うことができる。エステル交換反応終了後は、水洗にて反応生成物から触媒を洗い流す。得られた粗製油脂に、通常の食用油脂の精製工程で行われる、脱色および脱臭処理を施すことができる。
酵素的エステル交換は、触媒として、リパーゼ製剤を用いて行われる。リパーゼ製剤の有する選択的な触媒作用により、1,3位選択性のあるエステル交換が可能である。酵素的エステル交換は、例えば、常法に従って、以下の操作により行うことができる。すなわち、原料油脂に対して、0.01〜5質量%のリパーゼ製剤を添加することにより得られた、酵素含有原料油脂を、30〜70℃で、1〜40時間攪拌することにより、エステル交換反応を行うことができる。エステル交換反応終了後は、ろ過により反応生成物からリパーゼ製剤が除去される。得られた粗製油脂に、通常の食用油脂の精製工程で行われる、脱色および脱臭処理を施すことができる。
本発明のチョコレートは、上記中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを油脂中に0.5〜100質量%含むことが好ましく、1〜50質量%含むことがより好ましく、5〜30質量%含むことがさらに好ましい。チョコレートに含まれる油脂中の中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールの含量が上記範囲にあると、糖アルコールを含むチョコレートの甘味が発現し易くなる。また、糖アルコールに由来する甘味の違和感(異味)が抑制される。中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロール(MTG)は、MTGに占めるMCT含量が50質量%以上であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましい。
本発明においては、上記MCT、ならびに、上記MTGを含有するエステル交換油脂等を、糖アルコールを含有する油脂含有食品の甘味改質剤として使用できる。すなわち、糖アルコールを含有する油脂含有食品中の油脂に占める、構成脂肪酸として炭素数6〜12の中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールの含量を調整するために、上記MCT、ならびに、上記MTGを含有するエステル交換油脂を使用できる。
本発明のチョコレートに使用する油脂は、チョコレート中の油脂の含量および構成脂肪酸として中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールの含量が、上記範囲を満たしている限り、どのような油脂原料を使用してもよい。原料油脂としては、例として、ヤシ油、パーム核油、パーム油、パーム分別油(パームオレインあるいはパームスーパーオレイン等)、シア脂、シア分別油、サル脂、サル分別油、イリッペ脂、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、乳脂、およびココアバター等、ならびに、これらの混合油あるいは加工油脂が挙げられる。
本発明のチョコレートは、チョコレート中の油脂が、グリセロールの2位にオレイン酸(O)、ならびに1位および3位に炭素数16以上の飽和脂肪酸(S)が結合したSOS型トリアシルグリセロール(以下、SOSとも表す)を含有することが好ましい。チョコレートに含まれる油脂中の、SOS含量は、25〜85質量%であることが好ましく、より好ましくは40〜80質量%、さらに好ましくは50〜80質量%である。SOSの1位および3位に結合している炭素数16以上の飽和脂肪酸は、必ずしも同じ飽和脂肪酸でなくともよい。1位および3位に結合する飽和脂肪酸は、炭素数が16〜26であることが好ましく、炭素数16〜22であることがより好ましい。また、上記1位および3位に結合する飽和脂肪酸全量のうち、炭素数16のパルミチン酸(P)と炭素数18のステアリン酸(St)が90質量%以上を占めることが好ましく、95質量%以上を占めることがより好ましい。チョコレートに含まれる油脂中のSOS含量が上記範囲にあると、ブロック状、板状、および粒状等に成型し易くなる。
本発明のチョコレートに含まれる油脂が、上記SOS型トリアシルグリセロールを含有するように、チョコレートに含まれる油脂として、SOSを豊富に含む油脂(40質量%以上、好ましくは60質量%以上のSOSを含む油脂)を使用することが好ましい。SOSを豊富に含む油脂(以下、SOS油脂とも表す)の例として、ココアバター、パーム油、シア脂、サル脂、アランブラッキア脂、モーラー脂、イリッペ脂、およびマンゴー核油、ならびに、それらの分別油が挙げられる。さらに、すでに知られているように、パルミチン酸、ステアリン酸、あるいは、それらの低級アルコールエステルと、ハイオレイックヒマワリ油等の高オレイン酸油脂との間で、1,3位選択性リパーゼ製剤を用いて、エステル交換反応させた後、必要に応じて分別することにより得られる油脂を使用してもよい。
本発明のチョコレートの好ましい実施の形態の一例として、以下の特定の組成を有する油脂を含むチョコレートが挙げられる。この油脂中、構成脂肪酸が炭素数6〜12の中鎖脂肪酸のみからなるトリアシルグリセロール(MCT)の含量と、SOSを豊富に含む油脂の含量との質量比が、0.5:99.5〜30:70である。
本発明のチョコレートには、上記の油脂、糖アルコール、糖類および高甘味度甘味料以外にも、本発明の効果を損なわない程度で、チョコレートに一般的に配合される原料を使用することができる。具体的には、例えば、全脂粉乳および脱脂粉乳等の乳製品、カカオマスおよびココアパウダー等のカカオ成分、大豆粉、大豆蛋白、果実加工品、野菜加工品、抹茶粉末、およびコーヒー粉末等の各種粉末、ガム類、澱粉類、乳化剤、酸化防止剤、着色料、ならびに香料を使用することができる。
本発明のチョコレートは、従来公知の方法により製造することができる。本発明のチョコレートの製造には、例えば、油脂(MTGを含む)、カカオ成分、糖アルコール、乳製品、および乳化剤等を原料として用いることができる。本発明のチョコレート中の最終的な糖アルコール含量が20〜70質量%、および最終的な油脂含量が20〜70質量%となるように、混合工程、微粒化工程(リファイニング)、精練工程(コンチング)、および冷却工程等を経て、本発明のチョコレートを製造することができる。特に、精錬工程の後に、テンパリング処理を行い、冷却固化することにより、テンパータイプのチョコレートとすることが好ましい。
本発明のチョコレートは、糖アルコールを使用した、低糖あるいは無糖のチョコレートではあるにもかかわらず、甘味の発現に優れたチョコレートである。本発明のチョコレートは、型抜きまたはカッティングされたチョコレート塊として、そのまま食することができる。その他、製菓製パン製品、例えば、パン、ケーキ、洋菓子、焼き菓子、ドーナツ、およびシュー菓子用の、コーティング材料、フィリング材料、または、生地へ混ぜ込むチップ材料として、本発明のチョコレートを使用することができる。
本発明の油脂含有食品の好ましい実施の形態の1つは、クリームである。
本発明のクリームは、水を実質的に含まない(水の含量が3質量%未満である)、ファットクリームのような、無水クリームであってもよい。また、本発明のクリームは、バタークリーム、ホイップクリーム、およびフラワーペーストのような、水を含む含水クリーム(含水乳化物)であってもよい。含水の形態は、油中水型、水中油型、ならびに、複合乳化型であってもよい。本発明のクリームが含水クリームである場合、含水クリームの水含量は、3〜60質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、10〜40質量%であることがさらに好ましい。本発明の含水クリームに使用される水は、水ならびに糖アルコール溶液等の水溶液の形で供給されることが好ましい。
本発明のクリームに占める、糖アルコール、糖類および高甘味度甘味料、の含量および特性は、すでに述べた本発明のチョコレートと同様である。また、本発明のクリームに占める油脂の含量および特性は、すでに述べた本発明のチョコレートと同様である。
本発明のクリームに含まれる、構成脂肪酸として中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールの特性およびクリーム中の油脂に占める含量は、すでに述べた本発明のチョコレートと同様である。
本発明のクリームには、本発明の効果を損なわない程度で、通常クリームに使用されるその他の副素材を使用することができる。副素材としては、例として、ペクチン、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、CMC、ローカストビーンガムおよびジェランガム等の増粘多糖類、全脂粉乳、バターミルク、脱脂粉乳、全脂加糖練乳、生クリーム、カゼインナトリウムおよび乳ホエー等の乳製品、大豆タンパク、大豆タンパク分解物、大豆ホエー濃縮物、乾燥卵白、加糖卵黄、小麦グルテンおよび小麦グルテン分解物等の蛋白関連製品、モノグリセリド、有機酸モノグリセリド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、酵素分解レシチン、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびポリソルベート等の乳化剤、フレーバー、着色料、および、酸化防止剤を挙げることができる。
本発明のクリームは、通常のクリームと同様の方法により製造できる。例えば、油脂含量が高い含水クリームの場合、以下の製造工程により、製造できる。すなわち、糖アルコール等の水相成分を、分散及び/又は溶解させた水相に、油脂(油相)を加え、ホモミキサーを用いて水中油型に乳化する。その後、必要に応じて副素材を投入して、減圧による脱泡処理を行いながら、70〜100℃に加熱保持する。その後、冷却して、必要に応じて香料等を分散させることにより製造できる。
本発明のクリームは、パン類や菓子類のトッピング材、スプレッド材としても使用できる。本発明のクリームを使用した食品である、上記パン類の例として、デニッシュ、スイートロール、イーストドーナツおよび菓子パンが挙げられる。また、菓子類の例として、クッキー、パイ、シュー、サブレ、スポンジケーキ、バターケーキおよびケーキドーナツが挙げられる。
次に、実施例および比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
以下において「%」とは、特別な記載がない場合、質量%を意味する。
油脂のトリグリセリド組成の分析は、ガスクロマトグラフ法(JAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)準拠)及び銀イオンカラム−HPLC法(J.High Resol.Chromatogr.,18,105−107(1995)準拠)を用いて行った。
油脂に含まれるトリアシルグリセロールの有する構成脂肪酸の分析は、ガスクロマトグラフ法(AOCS Ce1f−96準拠)を用いて行った。
<原料油脂>
原料油脂として以下のものを使用した。
〔MCT1〕:構成脂肪酸として、n−オクタン酸(炭素数8)またはn−デカン酸(炭素数10)のみを有し、かつ、構成脂肪酸としての上記n−オクタン酸と上記n−デカン酸との質量比が75:25であるMCT(日清オイリオグループ株式会社社内製)を、MCT1として用いた。
〔MCT2〕:構成脂肪酸として、n−オクタン酸(炭素数8)またはn−デカン酸(炭素数10)のみを有し、かつ、構成脂肪酸としての上記n−オクタン酸と上記n−デカン酸との質量比が30:70であるMCT(日清オイリオグループ株式会社社内製)を、MCT2として用いた。
〔SOS油脂1〕:ココアバター(大東カカオ株式会社製、SOS含量85.3%、SOSの有する構成脂肪酸Sの全量のうち、95質量%以上のSがPあるいはSt)をSOS油脂1として用いた。
〔菜種油〕:菜種油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ株式会社製)を用いた。
<糖アルコール>
糖アルコールとして以下のものを使用した。
〔糖アルコール1〕:還元イソマルツロース(商品名:パラチニット、三井製糖株式会社製)を、糖アルコール1として用いた。
〔糖アルコール2〕:エリスリトール(商品名:エリスリトール50M、物産フードサイエンス株式会社製)を、糖アルコール2として用いた。
〔糖アルコール3〕:マルチトール(商品名:ラクチトールLC−0、物産フードサイエンス株式会社製)を、糖アルコール3として用いた。
〔糖アルコール4〕:還元澱粉糖化物(商品名:PO−500、三菱商事フードテック、Brix71、糖アルコール組成:ソルビット40%、マルチトール30%、マルトトリイトール15%および4糖以上の糖アルコール15%)を、糖アルコール4として用いた。
<高甘味度甘味料>
高甘味度甘味料として以下のものを使用した。
〔高甘味度甘味料1〕:スクラロース(商品名:スクラロース、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)を、高甘味度甘味料として用いた。
<チョコレートの製造>
表1および2の配合に従って配合された原材料を用いて、実施例1〜6と比較例1〜3のチョコレートを、製造した。すなわち、常法に従って、混合、微粒化(リファイニング)、精練(コンチング)、の各工程を経て得られた融液状のチョコレートをテンパリング処理(シーディング処理)した。処理後の液状のチョコレートを、成形型を用いて、冷却固化した。
Figure 2016093204
Figure 2016093204
<チョコレートの評価>
上記の方法により製造した、実施例1〜6および比較例1〜3のチョコレートの甘味の発現、および美味しさについて、以下の評価基準に従って評価した。評価結果を、表1および2に示した。
<チョコレートの評価基準>

(1)甘味の発現
以下の基準に従って、5名のパネラーにより、総合的に評価した。
◎:甘味の発現がたいへんよい
○:甘味の発現がよい
△:ふつう
×:甘味の発現がよくない

(2)美味しさ
以下の基準に従って、5名のパネラーにより、総合的に評価した。
◎:たいへん美味しい
○:美味しい
△:ふつう(やや異味がある)
×:美味しくない
表1および2の結果より明らかなように、構成脂肪酸として中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールを含有する実施例1〜6のチョコレートは、食した時の甘味の発現に優れていた。実施例1〜6の糖アルコールを使用したチョコレートは、甘味の発現が大幅に改善され、嗜好性が向上したものであった。
<含水クリームの製造>
表3の配合に示された原材料を用いて、実施例7と比較例4の含水クリームを、製造した。すなわち、常法に従って、ホモミキサーに糖アルコール液を投入し、澱粉、蛋白等の粉類を投入して分散/溶解させた。その後、85℃に加温した油脂を投入して攪拌により乳化した。その後、80℃まで乳化物を加温し、時々攪拌しながら減圧下で保持した。さらに減圧下で冷却を行い、ペースト状の含水クリームを得た。
Figure 2016093204
<含水クリームの評価>
上記の方法により製造した、実施例7および比較例4の含水クリームの甘味の発現、および美味しさについて、以下の評価基準に従って評価した。評価結果を、表3に示した。
<含水クリームの評価基準>

(1)甘味の発現
以下の基準に従って、5名のパネラーにより、総合的に評価した。
◎:甘味の発現がたいへんよい
○:甘味の発現がよい
△:ふつう
×:甘味の発現がよくない

(2)美味しさ
以下の基準に従って、5名のパネラーにより、総合的に評価した。
◎:たいへん美味しい
○:美味しい
△:ふつう(やや異味がある)
×:美味しくない
さらに、本発明に係るチョコレートは、以下の第1〜第4のチョコレートであってもよい。
上記第1のチョコレートは、糖アルコール含量が20〜70質量%、油脂含量が20〜70質量%であるチョコレートであって、前記油脂中に構成脂肪酸として中鎖脂肪酸を含むトリアシルグリセロールを含有するチョコレートである。
上記第2のチョコレートは、前記構成脂肪酸として中鎖脂肪酸を含むトリアシルグリセロールにおいて、中鎖脂肪酸の炭素数が8〜12である、上記第1のチョコレートである。
上記第3のチョコレートは、前記構成脂肪酸として中鎖脂肪酸を含むトリアシルグリセロールが、構成脂肪酸として中鎖脂肪酸のみを含むトリアシルグリセロールである、上記第1または第2のチョコレートである。
上記第4のチョコレートは、高甘味度甘味料の含量が0.2質量%以下である、上記第1〜3のうちのいずれかのチョコレートである。

Claims (10)

  1. 構成脂肪酸として炭素数6〜12の中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールを有効成分とする、糖アルコールを含有する油脂含有食品の甘味改質剤。
  2. 前記中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールの構成脂肪酸が、炭素数8および/または10の中鎖脂肪酸のみから構成されている、請求項1に記載の糖アルコールを含有する油脂含有食品の甘味改質剤。
  3. 糖アルコールおよび油脂と、請求項1または2に記載の糖アルコールを含有する油脂含有食品の甘味改質剤とを含有する、糖アルコールを含有する油脂含有食品。
  4. 糖アルコールを含有する油脂含有食品中の油脂に占める、構成脂肪酸として炭素数6〜12の中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールの含量を、0.5〜100質量%とする、糖アルコールを含有する油脂含有食品の甘味改質方法。
  5. 20〜70質量%の糖アルコールおよび20〜70質量%の油脂を含有する油脂含有食品であって、前記油脂が、構成脂肪酸として中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールを含有する、油脂含有食品。
  6. 前記構成脂肪酸として中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールにおいて、中鎖脂肪酸の炭素数が8〜12である、請求項5に記載の油脂含有食品。
  7. 前記構成脂肪酸として中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールが、構成脂肪酸として中鎖脂肪酸のみを有するトリアシルグリセロールである、請求項5または6に記載の油脂含有食品。
  8. さらに、0.2質量%以下の高甘味度甘味料を含有する、請求項5〜7のいずれか1項に記載の油脂含有食品。
  9. 前記油脂含有食品が、チョコレートである、請求項5〜8のいずれか1項に記載の油脂含有食品。
  10. 前記油脂含有食品が、含水乳化物である、請求項5〜8のいずれか1項に記載の油脂含有食品。
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